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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179498
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】アウターミラーの仮保持構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B60R1/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098385
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社ペンストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 康之
(72)【発明者】
【氏名】細江 鉱司
(72)【発明者】
【氏名】岡 聡明
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF30
3D053GG06
3D053HH08
3D053HH09
3D053JJ25
(57)【要約】
【課題】アウターミラーを車体側部材に固定する前に脱落しないように仮保持可能にし、しかも、アウターミラーを車体側部材に固定した後におけるシール性を十分に確保できるようにする。
【解決手段】ベース本体4と外板101との間に設けられるシール材5には、外板101に接触するとともに環状に形成されたリップ形状部51と、リップ形状部51の内方に位置するともに、車幅方向内方へ向けて突出し、外板101が有する開口部に挿入された状態で開口部の周縁部103aに係止する仮保持部52とが一体成形されている。仮保持部52の上下方向の寸法は、リップ形状部51の厚み寸法よりも長く設定されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側方に配置される後方視認用鏡面を有するミラーハウジングをドアに対して支持するベース本体を、当該ドアを構成する外板に仮保持するためのアウターミラーの仮保持構造において、
前記ベース本体と前記外板との間に設けられ、前記ベース本体と前記外板との間をシールする弾性材からなるシール材を備え、
前記シール材には、前記外板に接触するとともに環状に形成されたリップ形状部と、前記リップ形状部の内方に位置するともに、車幅方向内方へ向けて突出し、前記外板が有する開口部に挿入された状態で当該開口部の周縁部に係止する仮保持部とが一体成形され、
前記仮保持部の上下方向の寸法は、前記リップ形状部の厚み寸法よりも長く設定されていることを特徴とするアウターミラーの仮保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載のアウターミラーの仮保持構造において、
前記シール材には、前記仮保持部の基部に対応する部分に車外側に開口する孔部が形成され、
前記ベース本体は、前記シール材よりも硬質な材料で構成されるとともに前記孔部に差し込まれる芯部を有していることを特徴とするアウターミラーの仮保持構造。
【請求項3】
請求項2に記載のアウターミラーの仮保持構造において、
前記芯部の差し込み方向先端側には、差し込み方向と交差する方向に突出する係止部が形成され、
前記孔部における前記芯部の差し込み方向奥側には、前記係止部が係止する係止孔が形成されていることを特徴とするアウターミラーの仮保持構造。
【請求項4】
請求項3に記載のアウターミラーの仮保持構造において、
前記係止部は、下方へ向けて突出していることを特徴とするアウターミラーの仮保持構造。
【請求項5】
請求項4に記載のアウターミラーの仮保持構造において、
前記係止孔は、下方へ向けて延び、
前記係止孔の下端部は、前記仮保持部の下面に開口していることを特徴とするアウターミラーの仮保持構造。
【請求項6】
請求項2に記載のアウターミラーの仮保持構造において、
前記芯部の差し込み方向先端側は、前記開口部の上縁部よりも車外側に位置していることを特徴とするアウターミラーの仮保持構造。
【請求項7】
請求項2に記載のアウターミラーの仮保持構造において、
前記芯部は、前記開口部の上縁部よりも下に位置していることを特徴とするアウターミラーの仮保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車の側部に設けられるアウターミラーを外板等の車体側部材に固定する前に、ミラーベースを車体側部材に仮保持しておくためのアウターミラーの仮保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の側部にはアウターミラーが設けられている。アウターミラーは、ミラーが取り付けられたミラーハウジングをドアに支持するためのミラーベースを備えている。ミラーベースは、高剛性な樹脂材や金属材で構成されているベース本体と、ベース本体とドアの外面との間に介在する弾性材からなるシール材とで構成されている。ミラーベースをドアに取り付ける際には、ベース本体に形成されている位置決め片をドアパネル(外板)に形成された位置決め孔に挿入して仮保持し、その後、ベース本体をドアに締結固定するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4951280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ミラーベースをドアに取り付ける際には、ベース本体にシール材を予め組み付けておき、シール材をベース本体に一体化した状態で、ミラーベースをドアに仮保持させる。このとき、特許文献1のようにベース本体に形成されている位置決め片をドアに形成された位置決め孔に挿入する構造を採用すれば仮保持構造が成立するが、この場合、位置決め孔がドアの外面に開口しているので、外部の水が位置決め孔からドアの内部に浸入しないように対策する必要がある。
【0005】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、アウターミラーを車体側部材に固定する前に脱落しないように仮保持可能にし、しかも、アウターミラーを車体側部材に固定した後におけるシール性を十分に確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本態様では、車両の側方に配置される後方視認用鏡面を有するミラーハウジングをドアに対して支持するベース本体を、当該ドアを構成するアウタパネル等の外板に仮保持するためのアウターミラーの仮保持構造を前提とすることができる。アウターミラーの仮保持構造は、前記ベース本体と前記外板との間に設けられ、前記ベース本体と前記外板との間をシールする弾性材からなるシール材を備えている。前記シール材には、前記外板に接触するとともに環状に形成されたリップ形状部と、前記リップ形状部の内方に位置するともに、車幅方向内方へ向けて突出し、前記外板が有する開口部に挿入された状態で当該開口部の周縁部に係止する仮保持部とが一体成形されている。前記仮保持部の上下方向の寸法は、前記リップ形状部の厚み寸法よりも長く設定されている。
【0007】
この構成によれば、シール材をベース本体と一体化した後、シール材の仮保持部をドアの外板の開口部に挿入すると、仮保持部が開口部の周縁部に係止する。このとき、仮保持部の上下方向の寸法が、リップ形状部の厚み寸法よりも長く設定されているので、仮保持部が変形し難くなっており、仮保持時におけるアウターミラーの重量による撓み変形が抑制される。これにより、仮保持部が開口部の周縁部から離脱しなくなり、仮保持状態が維持される。また、ベース本体を車体側部材に固定すると、シール材のリップ形状部が外板に接触することによりシールされるので、外部の水がドアの内部に浸入しなくなる。
【0008】
前記シール材には、前記仮保持部の基部に対応する部分に、車外側に開口する孔部が形成されていてもよい。この場合、前記ベース本体が、前記シール材よりも硬質な材料で構成されるとともに前記孔部に差し込まれる芯部を有していることで、仮保持時における仮保持部の撓み変形量がさらに小さくなり、脱落の抑制効果がより一層高まる。
【0009】
前記芯部の差し込み方向先端側には、差し込み方向と交差する方向に突出する係止部が形成されていてもよい。この場合、前記孔部における前記芯部の差し込み方向奥側には、前記係止部が係止する係止孔が形成されていることで、芯部が孔部から抜け難くなる。
【0010】
前記係止部は、下方へ向けて突出していてもよい。これにより、ベース本体の自重による係止部の係止孔からの抜けが抑制される。さらに、前記係止孔は、下方へ向けて延びていてもよく、この場合、前記係止孔の下端部は、前記仮保持部の下面に開口させることができる。これにより、係止部を係止孔に差し込む時に、係止孔の内部の空気が仮保持部の下面に形成された開口から抜けるので、係止部を差し込み易くなる。
【0011】
前記芯部の位置の位置は任意に設定することができ、例えば前記芯部の差し込み方向先端側は、前記開口部の上縁部よりも車外側に位置していてもよい。前記芯部は、前記前記開口部の上縁部よりも下に位置していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、ドアの外板に接触するリップ形状部と、外板に形成された開口部の周縁部に係止する仮保持部とをシール材に一体成形し、仮保持部の上下方向の寸法をリップ形状部の厚み寸法よりも長く設定していることにより、アウターミラーを車体側部材に対して脱落しないように仮保持することができ、しかも、アウターミラーを車体側部材に固定した後におけるシール性を十分に確保して水の浸入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るアウターミラーがドアに固定された状態を示す図である。
図2】アウターミラーが取り付けられる前の外板を車幅方向内側から見た図である。
図3】シール材が取り付けられたベース本体を車幅方向内側から見た図である。
図4】シール材を取り外した状態のベース本体を車幅方向内側から見た図である。
図5】シール材単体を車幅方向内側から見た図である。
図6】カバー部材を上方から見た斜視図である。
図7】カバー部材を下方から見た斜視図である。
図8図3におけるVIII-VIII線に相当する断面図であり、仮保持状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るアウターミラー1の仮保持構造が適用された車両のドア100の一部を示すものである。図1は、右側のドア100を縦方向に切断して示しており、この切断部位よりも前側にアウターミラー1が固定されている。この実施形態の説明では、車両前側を単に前といい、車両後側を単に後というものとする。また、右とは車両右側であり、左とは車両左側である。車幅方向は車両の左右方向である。
【0016】
この実施形態で説明するアウターミラー1は右側に設けられるものであるが、左側にも同様に構成された左右対称構造のアウターミラー(図示せず)が設けられている。アウターミラー1は、車両の右側方に配置される後方視認用鏡面2を有するミラーハウジング3と、ミラーハウジング3を支持するベース本体4と、シール材5とを備えている。ミラーハウジング3には、例えば鏡面2の角度調整を行うための電動の角度調整機構等が設けられている。アウターミラー1は、例えばサイドミラー、ドアミラーとも呼ばれる。
【0017】
ベース本体4の基端部(左端部)40は、ドア100のアウタパネル(外板)101、ドア100の内部に設けられる補強部材(図示せず)、ドア100のインナパネル(図示せず)等に固定される部分である。ドア100は車体側部材の例であり、ベース本体4はアウタパネル101に直接固定されていてもよいし、ドア100の内部に設けられている補強部材やミラー取り付け用の部材、インナパネル等に固定されていてもよい。アウタパネル101、補強部材やミラー取り付け用の部材、インナパネルは、車体側部材の例である。本例では、補強部材にベース本体4の基端部40が固定されている例について説明する。
【0018】
図2は、アウターミラー1が取り付けられる前のアウタパネル101を車幅方向内側から見た図である。アウタパネル101には、当該アウタパネル101を厚み方向(車幅方向)に貫通する開口部103が形成されている。アウタパネル101の開口部103の上縁部103aは前後方向に直線状に延びるように形成されている。また、アウタパネル101の開口部103の前縁部103bは上下方向に直線状に延びるように形成されている。尚、開口部103の形状は図示した形状に限られるものではなく、例えば上下方向に長い形状であってもよいし、上下方向の寸法と前後方向の寸法とが同じ形状であってもよい。
【0019】
図1に示すように、ベース本体4は、アウタパネル101に固定される基端部40から右へ向かって斜め上に延びている。ベース本体4を構成している材料は、例えば金属や硬質樹脂のようにシール材5を構成する材料よりも硬質な材料とされており、これにより、ベース本体4は高剛性な部材となる。ベース本体4を構成している材料の具体例として、例えばアルミダイキャスト、ポリアミド等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
ベース本体4の先端部(右端部)41には、ミラーハウジング3の左側下部が取り付けられている。ミラーハウジング3は、ベース本体4に対して上下方向に延びる軸周りに回動可能に取り付けられており、図示しない電動の格納機構によって図1に示す使用位置と、図示しないが後方に回動した格納位置とに切り替えられるようになっている。
【0021】
図3は、シール材5が取り付けられたベース本体4を車幅方向内側から見た図である。図4は、シール材5を取り外した状態のベース本体4を車幅方向内側から見た図である。また、図5は、シール材5単体を車幅方向内側から見た図である。図3に示すように、ベース本体4には、カバー部材42が設けられている。図4ではベース本体4からカバー部材42を取り外している。図6及び図7は、カバー部材42を示すものであり、このカバー部材42の上部には上壁部42aが形成されている。カバー部材42の上壁部42aには、ベース本体4の先端部41が挿通する挿通孔42bが形成されている。また、カバー部材42の基端部42cは、前後方向に長い形状とされている。図7に示すように、カバー部材42の基端部42cはその全体が開放されている。ベース本体4の先端部41と基端部40との間の部分がカバー部材42に収容された状態になる。
【0022】
図4に示すように、ベース本体4の基端部40は前後方向に長い形状とされている。カバー部材42の基端部42cは、ベース本体4の基端部40に重なるように配置される。ベース本体4の基端部40には、複数のボス部43が前後方向及び上下方向に互いに間隔をあけて設けられている。ボス部43には、ボルトやネジ等の締結部材(図示せず)が螺合するようになっており、締結部材によりベース本体4がアウタパネル101や補強部材等に締結される。
【0023】
アウタパネル101には、図示しないが、アウターミラー1から延びるハーネスが挿通するハーネス挿通孔が形成されている。ベース本体4とアウタパネル101との間には、ベース本体4とアウタパネル101との間をシールする弾性材からなるシール材5(図5に示す)が設けられている。アウタパネル101に形成されたハーネス挿通孔の周縁部はシール材5によってシールされるようになっている。シール材5は、例えばゴムや熱可塑性エラストマー等で構成されており、全体が一体成形されている。
【0024】
図5に示すように、シール材5は、本体板部50と、リップ形状部51と、仮保持部52とを有している。本体板部50、リップ形状部51及び仮保持部52は一体成形されている。ベース本体4のボス部43の先端側がシール材5に嵌め込まれるようになっており、ボス部43の開口はシール材5から車幅方向内方に臨むようになっている。
【0025】
シール材5の本体板部50は、ベース本体4の基端部40に沿って延びるように形成されている。本体板部50の中央部には、表裏方向(車幅方向)に貫通する貫通孔50aが形成されている。貫通孔50aの前後方向の寸法は上下方向の寸法よりも長く設定されており、貫通孔50aは前後方向に長い形状を有している。貫通孔50aの上縁部50bは前後方向に直線状に延びるように形成されている。
【0026】
リップ形状部51は、本体板部50の周縁部から車幅方向内方へ向けて突出するとともに、アウタパネル101の開口部103を囲む環状に形成されている。リップ形状部51の突出方向先端側(車幅方向内側)がアウタパネル101の車外面における開口部103の周りに接触するようになっている。図8にも示すように、リップ形状部51はアウタパネル101に接触した状態で弾性変形して撓むように形成されている。
【0027】
仮保持部52は、ベース本体4をアウタパネル101に対して仮保持するための部分である。仮保持とは、ベース本体4のボス部43を締結部材によりアウタパネル101や補強部材等に締結する前の状態でベース本体4をアウタパネル101に対して保持しておくことであり、例えば自動車の製造現場では仮保持が必要になる。また、ベース本体4のボス部43を締結部材によりアウタパネル101や補強部材等に締結した後、何らかの理由で締結部材による締結を解除した場合にも、仮保持部52が設けられていることでベース本体4の脱落を抑制できる。
【0028】
図5に示すように、仮保持部52は、環状をなしているリップ形状部51の内方に位置するともに、車幅方向内方へ向けて突出している。つまり、仮保持部52を取り囲むようにリップ形状部51が形成されている。また、仮保持部52は、シール材5の上下方向中央部よりも上に偏位しており、シール材5の上縁部近傍に配置されている。
【0029】
図8に示すように、仮保持部52は、アウタパネル101が有する開口部103に挿入された状態で当該開口部103の周縁部の一部である上縁部103aに係止する。仮保持部52の基部52aは、本体板部50におけるリップ形状部51で囲まれた部分と一体化されており、本体板部50の車外面よりも車幅方向外方へ突出するように形成されている。
【0030】
仮保持部52の上下方向の寸法Aは、リップ形状部51の厚み寸法Bよりも長く設定されている。例えば、仮保持部52の上下方向の寸法Aは、リップ形状部51の厚み寸法Bの2倍以上、または3倍以上に設定されている。これにより、弾性材で構成されている仮保持部52の弾性変形が抑制され、仮保持時に仮保持部52が開口部103の上縁部103aから離脱し難くなる。また、仮保持部52の上下方向の寸法Aは、本体板部50の厚み寸法よりも長く設定されている。
【0031】
仮保持部52の前後方向の寸法C(図5に示す)は、仮保持部52の上下方向の寸法Aよりも長く設定されている。また、仮保持部52の上面における突出方向先端側には、上方へ突出する凸部52bが形成されている。仮保持部52が開口部103に挿入されると、凸部52bが開口部103の上縁部103aよりも車幅方向内側に位置付けられる。この状態で凸部52bの上端部が開口部103の上縁部103aよりも上に配置されるので、仮保持部52が開口部103から脱落し難くなる。凸部52bの上端部は、前後方向に直線状に延びている。尚、凸部52bは必要に応じて設ければよい。
【0032】
シール材5には、仮保持部52の基部52aに対応する部分に車外側に開口する孔部53が形成されている。一方、孔部53は、ベース本体4が有する芯部45を有している。芯部45は、ベース本体4に一体成形された部分であり、車幅方向内方へ突出するとともにシール材5の孔部53に対して車幅方向外方から内方へ向けて差し込まれるようになっている。
【0033】
芯部45の差し込み方向先端側(車幅方向内側)には、差し込み方向(車幅方向)と交差する方向に突出する係止部45aが形成されている。この実施形態では係止部45aが下方へ突出しているが、上方へ突出していてもよい。
【0034】
シール材5の孔部53における芯部45の差し込み方向奥側(車幅方向内側)には、当該孔部53に差し込まれた状態の係止部45aが係止する係止孔53aが形成されている。係止部45aが下方に突出しているので、係止孔53aは孔部53の内面に開口し、下方へ延びている。係止孔53aの下端部は、仮保持部52の下面に開口し、係止孔53aを下方に開放している。これにより、孔部53の内部空間が係止孔53aを介して外部と連通する。
【0035】
孔部53の奥側の面53bは、下へ行くほど車幅方向内方に位置するように傾斜している。一方、芯部45の先端面45bは、上下方向に略鉛直に延びている。芯部45が孔部53に差し込まれた状態で、芯部45の先端面45bは、孔部53の奥側の面53bから離れて位置付けられるようになっている。孔部53の奥側の面53bと、芯部45の先端面45bとの間に形成される隙間Sの車幅方向の寸法は、下へ行くほど長くなる。
【0036】
芯部45の差し込み方向先端側は、アウタパネル101の開口部103の上縁部103aよりも車外側に位置している。したがって、仮保持部52が開口部103に挿入された状態で、開口部103の上縁部103aの真下には、芯部45が配置されないようになっている。また、芯部45は、開口部の103の上縁部103aよりも下に位置している。
【0037】
ベース本体4における芯部45の上方には、シール材5に当接する当接部46が設けられている。当接部46は、ベース本体4から車幅方向内方へ突出し、シール材5の本体板部50の周縁部に対して車幅方向外方から当接する部分である。当接部46が本体板部50の周縁部に当接することで、リップ形状部51をアウタパネル101に確実に接触させることができる。尚、カバー部材42の基端部42cをシール材5の本体板部50の周縁部に対して車幅方向外方から当接させてもよい。
【0038】
芯部45の基部には、上方へ突出する突出部45cが形成されている。仮保持状態の時に、突出部45cの車幅方向内側の面と、仮保持部52の基部52aとは、車幅方向に離間しており、突出部45cの車幅方向内側の面が仮保持部52の基部52aと対向するように配置される。また、突出部45cは、上へ行くほど車幅方向内側に位置するように傾斜している。
【0039】
(アウターミラーの取り付け要領)
次に、上記アウターミラー1をドア100のアウタパネル101に取り付ける要領について説明する。まず、ベース本体4にシール材5を保持させる。このとき、シール材5の仮保持部52に形成されている孔部53にベース本体4の芯部45を差し込む。すると、芯部45の係止部45aが係止孔53aに入って係止する。このとき、ベース本体4には、ミラーハウジング3が取り付けられている。
【0040】
その後、シール材5の仮保持部52をアウタパネル101に形成されている開口部103に挿入する。この段階では、ベース本体4がアウタパネル101に固定される前なので、作業者がベース本体4から手を離すと、ベース本体4が車幅方向外側へ傾くように変位しようとし、仮保持部52が、開口部103の上縁部103aに対して車幅方向内側から係止する。このとき、仮保持部52の上下方向の寸法Aが、リップ形状部51の厚み寸法Bよりも長く設定されているので、仮保持部52が変形し難くなっており、仮保持時におけるアウターミラー1の重量による撓み変形が抑制される。これにより、仮保持部52が開口部103の上縁部103aから離脱しなくなり、仮保持状態が維持される。また、ベース本体4をアウタパネル101に固定すると、シール材5のリップ形状部51がアウタパネル101に接触することによりシールされるので、外部の水がドア100の内部に浸入しなくなる。
【0041】
また、仮保持時には、仮保持部52が変形することで孔部53の内面と芯部45の上面とが接触する場合が考えられる。この場合、芯部45が、シール材5よりも硬質な材料で構成されているので、仮保持時の仮保持部52の撓み変形量がさらに小さくなり、脱落の抑制効果がより一層高まる。
【0042】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように、本開示に係るアウターミラーの仮保持構造は、自動車の側部に設けられるアウターミラーをドアに仮保持する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 アウターミラー
3 ミラーハウジング
4 ベース本体
5 シール材
45a 係止部
51 リップ形状部
52 仮保持部
53a 係止孔
101 アウタパネル(車体側部材)
103 開口部
103a 上縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8