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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179501
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098393
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 由起夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】寺川 智充
(72)【発明者】
【氏名】須山 大樹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】カーシェア等の車両の貸し出しを行う際に、他のユーザが使用する車両が返却される前であっても、ユーザが車両の予約を行う可能性を高めるシステム。
【解決手段】ユーザの車両の使用予定に含まれる出発地を取得するユーザ使用予定取得部と、前記ユーザより前に車両を使用する少なくとも1台の他のユーザの車両の使用予定に基づく使用終了時のバッテリ充電量を取得する取得部と、前記他のユーザによる使用終了後の車両によって前記ユーザの前記出発地から走行可能な範囲である航続可能範囲を前記バッテリ充電量に基づいて取得し、表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの車両の使用予定に含まれる出発地を取得するユーザ使用予定取得部と、
前記ユーザより前に車両を使用する少なくとも1台の他のユーザの車両の使用予定に基づく使用終了時のバッテリ充電量を取得する取得部と、
前記他のユーザによる使用終了後の車両によって前記ユーザの前記出発地から走行可能な範囲である航続可能範囲を前記バッテリ充電量に基づいて取得し、表示部に表示させる表示制御部と、を備える、
車両表示システム。
【請求項2】
前記ユーザ使用予定取得部は、前記ユーザの車両の前記使用予定に含まれる使用開始時間を更に取得し、
前記取得部は、前記他のユーザの車両の前記使用予定に基づく使用終了時間を更に取得し、
前記表示制御部は、前記ユーザの車両の前記使用開始時間より前記他のユーザの車両の前記使用終了時間が早い車両における、前記バッテリ充電量に基づく前記ユーザの前記出発地からの前記航続可能範囲を表示させる、
請求項1に記載の車両表示システム。
【請求項3】
前記取得部は、
前記他のユーザの車両の現在位置と、現在の目的地と、前記現在位置から前記現在の目的地、当該現在の目的地から前記他のユーザの車両の出発地までの順に走行する場合の走行所要時間およびバッテリ消費電力量と、を取得し、
当該走行所要時間に基づいて前記使用終了時間を更新し、当該バッテリ消費電力量に基づいて前記バッテリ充電量を更新し、
前記表示制御部は、
前記ユーザの車両の前記使用開始時間より更新された前記使用終了時間が早い前記他のユーザの車両における、更新された前記バッテリ充電量に基づく前記ユーザの前記出発地からの前記航続可能範囲を表示させる、
請求項2に記載の車両表示システム。
【請求項4】
前記他のユーザの車両の前記現在の目的地が前記出発地である場合、
前記取得部は、
前記他のユーザの車両の前記現在位置から前記出発地まで走行する場合の前記走行所要時間および前記バッテリ消費電力量を取得し、
当該走行所要時間に基づいて前記使用終了時間を更新し、当該バッテリ消費電力量に基づいて前記バッテリ充電量を更新する、
請求項3に記載の車両表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、車両の現在のバッテリの充電量に基づいて、当該車両の航続可能距離を算出し、算出した航続可能距離を表示部に表示させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-7768号公報
【特許文献2】特開2021-169988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2のシステムでは、車両の現在のバッテリの充電量に基づいて航続可能距離を表示する。一方、このような技術を例えばカーシェア(またはレンタカー)等の車両の貸し出しを行うシステムに適用した場合には、予約を行うユーザは、他のユーザの車両が返却されないとバッテリの充電量を取得することができないため、他のユーザの車両の航続可能距離を把握できない。そのような場合、ユーザは、返却された際の他のユーザの車両が自身の車両の使用予定に沿う車両かがわからず、予約をし難くなるおそれがあり、ひいてはカーシェア等の稼働率が低下することになる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、カーシェア等の車両の貸し出しを行う際に、他のユーザが使用する車両が返却される前であっても、ユーザが車両の予約を行う可能性を高めるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、車両表示システムは、ユーザの車両の使用予定に含まれる出発地を取得するユーザ使用予定取得部と、前記ユーザより前に車両を使用する少なくとも1台の他のユーザの車両の使用予定に基づく使用終了時のバッテリ充電量を取得する取得部と、前記他のユーザによる使用終了後の車両によって前記ユーザの前記出発地から走行可能な範囲である航続可能範囲を前記バッテリ充電量に基づいて取得し、表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
すなわち、車両表示システムにおいては、ユーザより前に使用する他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量に基づいて、ユーザの出発地からの航続可能範囲を表示させる。これにより、ユーザは、他のユーザが車両を返却する前であっても、他のユーザの車両を使用した場合の、自身の出発地からの航続可能範囲を把握することができる。そして、このように、他のユーザによる車両の返却前に当該航続可能範囲を把握できることにより、ユーザは、自身の使用予定に基づいた車両の選択が可能となり、その結果、ユーザが車両を予約する可能性を高めることができる。さらに、ユーザが車両を予約する可能性を高めることができることで、カーシェアの稼働率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両表示システムのブロック図である。
図2】使用予定情報の一例を示す図である。
図3】車両情報の一例を示す図である。
図4】車両表示処理の一例を示すフローチャートである。
図5】車両情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
図6】航続可能範囲の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)車両表示システムの構成:
(2)車両表示処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)車両表示システムの構成:
図1は、本実施形態にかかる車両表示システム10の構成を示すブロック図である。この車両表示システム10は、カーシェアやレンタカーなど車両を借りるユーザに対して、貸し出しの候補となる車両における、出発地(ユーザの出発地)からの走行可能な範囲である航続可能範囲を表示するシステムである。本実施形態においては、貸し出しの候補となる車両は、充電可能な蓄電池であるバッテリを搭載しており、バッテリが蓄積している電力を用いて駆動する電気自動車である。以下に説明する例では、カーシェアにより車両を借りる場合を想定する。
【0011】
車両表示システム10は、例えば据置型の汎用コンピュータやクラウド型のサーバ等であり、通信を介して予約者端末100、予約者端末200、および、車両300と協働する。予約者端末100は、本実施形態において、車両を借りるための予約を行うユーザが使用する端末であって、ユーザは予約者端末100を操作して車両の予約を行う。予約者端末200は、予約者端末100と同様に車両を借りるための予約を行う端末であって、本実施形態においては、上述のユーザとは異なる他のユーザが使用する端末である。ここで、本実施形態において、他のユーザとは、上述のユーザの車両の使用より前(ユーザの車両の使用開始時間より前)に車両を使用する者と定義する。車両300は、予約者端末200を操作して予約した他のユーザが使用する車両であって、当該他のユーザが使用する車両がユーザに対して、貸し出しの候補となる車両である。予約者端末200での車両の予約が確定すると、ユーザの識別情報(ユーザID)と車両の識別情報(車両ID)とが対応付けられる。なお、上述の他のユーザは、複数人想定し得るが、以下に説明する例においては、特に説明する場合を除いて、主に、1人の他のユーザに着目して説明を行う。同様に、他のユーザが使用する車両は、他のユーザの数に応じて複数台存在し得るが、以下に説明する例においては、特に説明する場合を除いて、主に、1台の他のユーザの車両に着目して説明を行う。
【0012】
予約者端末100は、例えば、汎用コンピュータ、タブレット端末、または、携帯端末等で実現可能であり、CPU,RAM,ROM等を備える制御部110と、他の装置と通信を行うための通信部120とを備えている。また、予約者端末100は、ユーザに対して各種の情報を提供し、ユーザの入力を受け付けるためのユーザI/F部130を備えている。ユーザI/F部130は、ユーザの入力を受け付ける他、ユーザに各種の情報を提供するための、図示しないタッチパネル等のディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカー等の音声出力部等を備えている。
【0013】
制御部110は、記録媒体140やROMに記録された種々のプログラムを実行することができる。また、制御部110は、ユーザから車両の使用予定の情報である使用予定情報の入力を受け付け、当該入力を受け付けた使用予定情報を、通信部120を介して車両表示システム10に送信する。送信された使用予定情報は、車両表示システム10で受信され、ユーザに対して、貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲を表示する際のパラメータの一部となる。当該航続可能範囲を表示するための処理については、後述する。車両表示システム10は、当該航続可能範囲を取得すると、当該取得した航続可能範囲を地図上に重畳させて予約者端末100におけるユーザI/F部130の表示部に表示させる。
【0014】
図2は、本実施形態における使用予定情報の一例を示す図である。使用予定情報は、ユーザが車両を借りる際の出発地、目的地、使用開始時間等を示す情報であり、例えばユーザが、予約者端末100を使用して当該使用予定情報を生成する。図2においては、ユーザの識別情報(ユーザID:「001」)についての使用予定情報を示している。図2においては、識別情報の他、出発地と、目的地と、日付と、使用開始時間、使用終了時間と、が含まれている。
【0015】
出発地は、ユーザが車両を借りる元の情報を示し、当該出発地には位置の情報が対応付いている。図2に示す例では、出発地の識別情報(Sa)と座標((Xa,Ya))とが対応付けられ、「Sa(Xa,Ya)」と示されている。なお、出発地としては、例えば、駅、ショッピングセンター、ガソリンスタンド、駐車場などが想定され、ユーザは予約者端末100におけるユーザI/F部130を操作して車両を借りたい場所を指定する。
【0016】
目的地は、車両の行き先の情報を示し、当該目的地には位置の情報が対応付いている。図2に示す例では、目的地の識別情報(Sb)と座標((Xb,Yb))とが対応付けられ、「Sb(Xb,Yb)」と示されている。
【0017】
日付は、ユーザが車両を借りる希望の日を示し、図2に示す例では「mm/dd」と示されている。使用開始時間は、ユーザが車両の使用開始を希望する時間を示し、図2に示す例では「12:00」となっている。また、使用終了時間は、ユーザが車両の使用を終える予定の時間を示す。すなわち使用終了時間は、ユーザが借りた車両を返却地である出発地に戻す予定の時間である。使用終了時間は、図2に示す例では、「21:00」となっている。なお、図2には示されていないが、使用予定情報には、その他の情報として、目的地での滞在予定時間などが含まれていてよい。
【0018】
本実施形態においては、使用予定情報は、予約者端末100で生成され、当該生成された使用予定情報は通信部120を介して車両表示システム10に送信される。送信された当該使用予定情報は車両表示システム10における記録媒体30に使用予定情報30bとして記録される。
【0019】
つぎに、予約者端末200について説明する。予約者端末200は、予約者端末100と同様に、例えば汎用コンピュータ、タブレット端末、または、携帯端末等で実現可能であり、CPU,RAM,ROM等を備える制御部210と、他の装置と通信を行うための通信部220とを備えている。また、予約者端末200は、他のユーザに対して各種の情報を提供し、当該他のユーザの入力を受け付けるためのユーザI/F部230を備えている。ユーザI/F部230は、他のユーザの入力を受け付ける他、当該他のユーザに各種の情報を提供するための、図示しないタッチパネル等のディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカー等の音声出力部等を備えている。
【0020】
制御部210は、記録媒体240やROMに記録された種々のプログラムを実行することができる。また、制御部210は、他のユーザから車両の使用予定の情報である使用予定情報の入力を受け付け、当該受け付けた使用予定情報を、通信部220を介して車両表示システム10に送信する。送信された使用予定情報は、車両表示システム10で受信され、上述のユーザに貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲を表示する際のパラメータの一部となる。なお、他のユーザの車両における使用予定情報は、上述の図2を用いて説明したユーザの使用予定情報と同様である。したがって、詳細な説明については省略する。
【0021】
他のユーザにおける使用予定情報は、予約者端末200で生成され、当該生成された使用予定情報は通信部220を介して車両表示システム10に送信される。送信された当該使用予定情報は車両表示システム10における記録媒体30に使用予定情報30bとして記録される。
【0022】
つぎに、車両300について説明する。車両300は、上述のように予約者端末200を操作して予約した他のユーザが使用する車両である。車両300は、他の装置と通信を行うための通信部310と、測位部320と、地図情報330を記録する図示しない記録媒体と、バッテリ340と、を備える。車両300は、通信部310を介して車両表示システム10と無線通信を行う。測位部320は、GNSS受信部や車速センサやジャイロセンサ(いずれも図示せず)等の測位センサを備える。
【0023】
地図情報330は、ノードデータとリンクデータと形状補間点データと施設データとを含む。ノードデータは、交差点の位置を示すデータである。リンクデータは、道路区間を示し、道路区間の端点に相当するノードに対応付けられている。すなわち、リンクデータはノード同士を接続するリンクを示している。リンクデータには、リンクデータが示す道路区間の道路属性(高速道路、一般道路、細街路等)を示す情報が含まれている。また、リンクデータには、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置を示す形状補間点データが対応付けられている。また、リンクデータには、道路区間における道路勾配を示す情報が含まれている。
【0024】
施設データは、道路の周辺等に存在する施設の名称や位置や属性を示す。本実施形態における施設には、例えば、駅、サービスエリアなどの休憩所、店舗、商業施設等のそれぞれの名称、位置等が施設データとして定義されている。さらに、本実施形態における施設データには、カーシェア施設の名称や位置の情報が含まれる。カーシェア施設は、ユーザが車両を借りるための施設であって、例えば上述の駅、サービスエリアなどの休憩所、店舗、商業施設等の各施設の駐車場にカーシェアのスペースが設けられる。
【0025】
バッテリ340は、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池またはキャパシタなどにより構成された高電圧の蓄電装置である。バッテリ340は、車両300の駆動力源であるモータの電気的に接続され、当該バッテリ340からモータに電力を供給することにより車両を駆動させる。そして、バッテリ340は、充電量が低下した際に、カーシェア施設に設けられた充電装置等により充電される。なお、バッテリ340には、図示しないセンサが取り付けられており、当該センサはバッテリ340の現在の充電量を示す情報を出力する。当該センサの出力に基づいて、図示しない制御部は、定期的にバッテリ340の充電量を取得する。そして、制御部は、当該取得した情報を車両300の識別情報に対応付けて、後述する車両300の現在位置の情報、および、現在の目的地の情報と共に車両表示システム10に送信する。
【0026】
車両300は、他のユーザにより、車両の使用が開始されると、制御部により、測位部320に含まれるGNSS受信部、車速センサ、および、ジャイロセンサから出力された信号に基づいて車両300の現在位置を取得する。車両300は、当該車両の現在位置の情報を定期的に取得する。そして、車両300は、当該取得した現在位置の情報、上述のバッテリ340の現在の充電量の情報、および、現在の目的地の情報を車両の識別情報に対応付け、通信部310を介して車両表示システム10に送信する。なお、車両の識別情報には、現在、車両300を借りているユーザ(ここでは他のユーザ)の識別情報が対応付いている。また、現在の目的地の情報は、図示しない車両のナビゲーションシステムで設定された目的地の情報である。また、他のユーザがナビゲーションシステムを操作することにより、目的地が車両の予約時から変わった場合には、変更後の最新の目的地の情報が現在の目的地の情報として、車両表示システム10に送信される。
【0027】
車両の識別情報が対応付いた車両300の現在位置の情報、バッテリ340の充電量の情報、および、現在の目的地の情報は、車両表示システム10で受信され、ユーザに貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲を表示する際のパラメータの一部となる。そして、車両300の現在位置の情報、バッテリ340の充電量の情報、および、現在の目的地の情報は、車両表示システム10における記録媒体30に車両情報30cとして記録される。なお、車両情報30cは、車両300から現在位置の情報等が定期的に送信されることで、定期的に更新される。
【0028】
つぎに、車両表示システム10について説明する。車両表示システム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20と、記録媒体30と、通信部40と、を備えている。記録媒体30は、各種プログラム、および、各種データを記録する。通信部40は、予約者端末100、予約者端末200、および、車両300と無線通信を行うための回路である。制御部20は、記録媒体30やROM等に記憶された車両表示プログラム21を実行することができる。
【0029】
記録媒体30には、地図情報30a、使用予定情報30b、および、車両情報30cが記録される。地図情報30aは、上述の車両300における地図情報330と同様であって、ノードデータとリンクデータと形状補間点データと施設データとを含む。なお、リンクデータには、道路区間における道路勾配を示す情報が含まれている。そして、地図情報30aに含まれる施設データには、カーシェア施設に関する情報が含まれている。カーシェア施設は、ユーザが車両を借りるための施設であって、例えば上述の駅、サービスエリアなどの休憩所、店舗、商業施設等の各施設の駐車場にカーシェアのスペースが設けられる。施設データには、当該カーシェア施設に関するカーシェア施設情報30a1が含まれている。カーシェア施設情報30a1には、例えばカーシェア施設の識別情報、位置、車両の識別情報の情報が含まれる。カーシェア施設の識別情報は、カーシェア施設を区別するための情報(例えば施設ID)であり、当該カーシェアの識別情報毎に、位置、車両の識別情報等が定義されている。位置は、カーシェア施設の座標であり、地図情報30aにおいて施設の位置を示すための座標系(例えば、緯度、経度による座標系)を用いて定義される。車両の識別情報は、同一のカーシェア施設において管理されている車両の情報(例えば車両ID)を示す。同一のカーシェア施設において管理されている車両が複数台ある場合には、管理されている車両の台数分の車両の識別情報が定義される。
【0030】
使用予定情報30bは、上述のユーザが使用する予約者端末100および他のユーザが使用する予約者端末200を含む複数のユーザから送信される車両の使用予定の情報であり、制御部20により通信部40を介して取得される。当該使用予定情報30bには、図2で説明したように、出発地と、目的地と、日付と、使用開始時間、使用終了時間等の情報が含まれる。また、ユーザならびに他のユーザがそれぞれの予約者端末によって車両の予約を行い、当該予約が確定すると、ユーザの識別情報と車両の識別情報とが対応付けられ、当該対応付けられた情報が使用予定情報30bに記録される。
【0031】
車両情報30cは、上述の他のユーザの車両である車両300を含む複数の車両の情報である。図3は、本実施形態における車両情報30cの一例を示す図である。車両情報30cには、上述のように、車両の識別情報に対応付いた他のユーザの車両の現在位置の情報、現在のバッテリの充電量の情報、および、現在の目的地の情報が含まれる。図3に示す例では、他のユーザの車両の識別情報(車両ID:「A01」)についての車両情報を示している。図3に示す例では、他のユーザの車両の現在位置は、緯度、経度による座標系((Xc,Yc))によって定義されている。また、現在のバッテリの充電量は、満充電に対する現在の充電量(例えば80%)によって定義されている。また、現在の目的地は、目的地の識別情報(Sd)と座標((Xd,Yd))とが対応付けられ、「Sd(Xd,Yd)」と示されている。
【0032】
また、本実施形態における車両情報30cには、使用終了時のバッテリ充電量、および、使用終了時間が含まれる。当該使用終了時のバッテリ充電量は、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量であって、後述する制御部20の車両情報取得処理によって取得され、他のユーザの車両の走行に応じて定期的に更新される。また、使用終了時間は、他のユーザの車両の使用終了時間であって、後述する制御部20の車両情報取得処理によって取得され、他のユーザの車両の走行に応じて定期的に更新される。当該他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量、および、使用終了時間の詳細な説明については、車両情報取得処理において後述する。
【0033】
制御部20は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして、車両表示プログラム21を実行可能である。従来、車両の現在のバッテリの充電量に基づいて航続可能距離を取得するシステムが知られているが、このようなシステムを例えばカーシェア等の車両の貸し出しを行うシステムに適用した場合には、予約を行うユーザは、他のユーザの車両が返却されないとバッテリの充電量を取得することができないことから、他のユーザの車両の航続可能距離を把握できない。そのような場合、他のユーザの車両がユーザ自身の車両の使用予定に沿うかがわからず、ユーザは予約をし難くなるおそれがある。そこで、本実施形態において、制御部20は、他のユーザが使用する車両が返却される前であっても、ユーザが車両の予約を行う可能性を高めるべく、当該ユーザの予約時に、他のユーザの車両で走行可能な範囲を示す航続可能範囲を表示する。車両表示プログラム21は、当該提供を行うためのプログラムである。
【0034】
上述の車両表示プログラム21が実行されると、制御部20は、ユーザ使用予定取得部21a、取得部21b、および、表示制御部21cとして機能する。なお、以下において、ユーザ使用予定取得部21a、取得部21b、および、表示制御部21cが行うものとして記載する処理は、制御部20により実現される処理である。
【0035】
ユーザ使用予定取得部21aは、ユーザの車両の使用予定を取得する機能である。具体的には、制御部20は、使用予定情報30bを参照して、当該ユーザを特定し、当該ユーザの使用予定に含まれる出発地、目的地、日付、使用開始時間、使用終了時間等を取得する。
【0036】
取得部21bは、ユーザより前に車両を使用する少なくとも1台の他のユーザの車両の使用予定に基づく使用終了時のバッテリ充電量を取得する機能である。具体的には、制御部20は、使用予定情報30bを参照して、当該他のユーザを特定し、当該他のユーザの使用予定に基づく、出発地および目的地を特定する。また、制御部20は、当該特定した出発地と目的地との経路探索を、例えばダイクストラ法などを用いて行い、出発地と目的地との往復の距離を平均電費で除算することによりバッテリの消費電力量を算出する。そして、制御部20は、当該算出したバッテリの消費電力量に基づいて車両の使用終了時のバッテリ充電量を取得する。
【0037】
また、取得部21bの機能により、制御部20は、使用予定情報30bを参照して、当該他のユーザの使用予定に基づく車両の使用終了時間を取得する。これは後述する表示制御部21cの機能により、ユーザに貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲を表示する際に、当該ユーザの車両の使用開始時間より他のユーザの車両の使用終了時間が早い車両を貸し出しの候補として特定する際に必要な情報となる。
【0038】
また、他のユーザの車両が走行し始めたら、取得部21bの機能により、制御部20は、他のユーザの車両の現在位置と、現在の目的地と、現在位置から現在の目的地、当該現在の目的地から他のユーザの車両の出発地までの順に走行する場合の走行所要時間およびバッテリ消費電力量と、を取得する。具体的には、制御部20は、車両情報30cを参照して、他のユーザの車両における現在位置、現在の目的地、現在のバッテリ充電量を特定する。そして、制御部20は、当該特定した現在位置、現在の目的地、現在のバッテリ充電量に基づいて、現在位置から目的地、出発地(すなわち返却地)の順に走行した場合の走行所要時間およびバッテリ消費電力量を取得する。さらに、制御部20は、取得した当該走行所要時間に基づいて他のユーザの車両の使用終了時間を更新する。また、制御部20は、取得した当該バッテリ消費電力量に基づいて他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量を更新する。なお、取得部21bによる車両の使用終了時のバッテリ充電量と使用終了時間の取得の具体的な態様については、フローチャートにて後述する。
【0039】
また、他のユーザの車両の現在の目的地が出発地である場合(例えば予定していた目的地に行かず出発地に戻るような場合)、制御部20は、取得部21bの機能により、他のユーザの車両の現在位置から出発地まで走行する場合の走行所要時間およびバッテリ消費電力量を取得する。具体的には、制御部20は、車両情報30cを参照して、他のユーザの車両における現在位置、現在の目的地、現在のバッテリ充電量を特定する。そして、制御部20は、当該特定した現在位置、現在の目的地、現在のバッテリ充電量に基づいて、現在位置から出発地(すなわち返却地)の順に走行した場合の走行所要時間およびバッテリ消費電力量を取得する。そして、制御部20は、取得した当該走行所要時間に基づいて他のユーザの車両の使用終了時間を更新する。また、制御部20は、取得した当該バッテリ消費電力量に基づいて他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量を更新する。
【0040】
表示制御部21cは、他のユーザによる使用終了後の車両によってユーザの出発地から走行可能な範囲である航続可能範囲をバッテリ充電量に基づいて取得し、表示部に表示させる機能である。具体的には、制御部20は、車両情報30cを参照して、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量を取得する。他のユーザ使用の車両の当該バッテリ充電量は、上述のように取得部21bの機能により取得され、車両情報30cに記録される。そして、制御部20は、使用予定情報30bを参照してユーザの出発地を特定し、当該出発地から走行可能な範囲(すなわち航続可能範囲)を取得する。航続可能範囲の取得方法は、種々の手法であってよく、例えば制御部20は、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量に基づく走行可能な距離を示す航続可能距離を算出する。そして、制御部20は、算出した当該航続可能距離で、出発地を出発して当該出発地に戻ってこられる地点である暫定の目的地(以下、暫定目的地と記す)を360度の範囲で複数特定する。さらに、制御部20は、各暫定目的地までの経路探索を行う。そして、制御部20は、経路探索を行った各暫定目的地までの経路を走行した場合における、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量(半分のバッテリ充電量)で走行可能な地点をそれぞれ特定し、当該特定した地点を結んだ領域を航続可能範囲とする。
【0041】
そして、制御部20は、このような処理により他のユーザ車両の航続可能範囲を取得したら、取得した航続可能範囲を表示部に表示させる。すなわち制御部20は、表示制御部21cの機能により、地図情報30aを参照し、取得した航続可能範囲を地図上に重畳させた画像を生成し、当該画像をユーザI/F部130における表示部に表示させる。なお、制御部20は、このような、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量に基づく航続可能範囲を取得して、当該航続可能範囲を表示部に表示する処理を、全ての他のユーザの車両についてそれぞれ実行し、車両毎の航続可能範囲を区別可能に表示させる。
【0042】
また、表示制御部21cの機能により、制御部20は、上述の航続可能範囲を表示部に表示させる際に、ユーザの車両の使用開始時間より他のユーザの車両の使用終了時間が早い車両の航続可能範囲を表示させる。すなわち、制御部20は、他のユーザの車両の中ででも、ユーザの車両の使用開始時間に間に合う車両の航続可能範囲を表示させる。
【0043】
また、表示制御部21cの機能により、制御部20は、上述のように、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量、および、他のユーザの車両の使用終了時間が更新された場合、ユーザの車両の前記使用開始時間より更新された使用終了時間が早い他のユーザの車両における、当該更新されたバッテリ充電量に基づく航続可能範囲を表示させる。すなわち、制御部20は、他のユーザの車両の現在位置等によって、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量、および、他のユーザの車両の使用終了時間が更新された場合、当該更新されたそれぞれの情報に基づいて、他のユーザの車両の使用終了時における航続可能範囲を表示させる。なお、表示制御部21cにより航続可能範囲の表示させることにより具体的な態様については、フローチャートにて後述する。
【0044】
この構成によれば、ユーザより前に使用する他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量に基づいて、ユーザの出発地からの航続可能範囲を表示させる。これにより、ユーザは、他のユーザが車両を返却する前であっても、他のユーザの車両を使用した場合の、自身の出発地からの航続可能範囲を把握することができる。そして、このように、他のユーザによる車両の返却前に当該航続可能範囲を把握できることにより、ユーザは、自身の使用予定に基づいた車両の選択が可能となり、その結果、ユーザが車両を予約する可能性を高めることができる。さらに、ユーザが車両を予約する可能性を高めることができることで、カーシェアの稼働率を向上させることが可能となる。
【0045】
(2)車両表示処理:
つぎに、制御部20が実行する車両表示処理について説明する。図4は、車両表示処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、ユーザが生成した車両の使用予定情報が通信部120を介して予約者端末100から車両表示システム10に送信され、車両表示システム10において、当該使用予定情報が受信された場合に、開始される。なお、車両表示システム10で受信された使用予定情報は、記録媒体30に使用予定情報30bとして記録される。
【0046】
また、この車両表示処理は、他のユーザの車両の情報である車両情報30cを参照して、実行される。車両情報30cには、上述のように、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量、および、他のユーザの車両の使用終了時間が含まれ、これらの情報は定期的に更新される。具体的には、制御部20は、他の車両の情報(使用終了時のバッテリ充電量、使用終了時間)を取得する車両情報取得処理を実行し、定期的に車両情報30cを更新する。ここでは、説明の都合上、先に車両情報取得処理を説明し、その後に車両表示処理について説明する。
【0047】
図5は、その車両情報取得処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、上述のように、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量、および、他のユーザの車両の使用終了時間を取得する処理である。この車両情報取得処理は、例えば、他のユーザが、予約者端末200を操作し、車両を予約した場合に実行開始され、所定の時間毎(例えば数分毎)に繰り返し実行される。すなわち、当該処理は、他のユーザが車両を予約したら、所定の時間毎(ほぼリアルタイムと言い得る)に実行され、使用終了時のバッテリ充電量、および、使用終了時間が更新される。取得および更新された情報は車両情報30cとして記録媒体30に記録される。
【0048】
車両情報取得処理が開始されると、先ず、制御部20は、他のユーザの使用予定を取得する(ステップS10)。すなわち、制御部20は、取得部21bの機能により、使用予定情報30bを参照して、他のユーザを特定し、当該他のユーザにおける出発地、目的地、使用終了時間等の情報を取得する。制御部20は、ステップS10で他のユーザの使用予定を取得したら、処理をステップS11へ進める。
【0049】
ステップS11において、制御部20は、取得部21bの機能により、他のユーザの使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間を取得する。具体的には、制御部20は、ステップS10で取得した他のユーザの使用予定に含まれる出発地および目的地を特定する。そして、制御部20は、地図情報30aを参照して、特定した出発地と目的地との経路探索を例えばダイクストラ法を用いて行い、出発地と目的地との往復の距離を平均電費(例えば電気自動車の一般的な平均電費:6km/kWh)で除算することによりバッテリの消費電力量を算出する。そして、制御部20は、当該算出したバッテリの消費電力量に基づいて他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量を取得する。具体的には、制御部20は、他のユーザの車両の使用開始時のバッテリ充電量から消費電力量に基づく消費充電量を減算して当該使用終了時のバッテリ充電量を取得する。なお、他のユーザの車両において、使用開始時の充電量は、当該他のユーザの前に使用したユーザが車両を返却した際の充電量である。もしくは、当該充電量に使用開始までに充電された電力量が加算された充電量であってもよい。
【0050】
また、制御部20は、ステップS10で取得した他のユーザの使用予定に含まれる車両の使用終了時間を特定する。そして、制御部20は、取得したこれら使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間の情報を車両情報30cに記録する。
【0051】
ついで、制御部20は、取得部21bの機能により、他のユーザの車両が走行し始めたら、現在のバッテリ充電量と車両の現在位置とに基づいて、目的地、出発地(返却地)の順に走行する場合の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間を取得する(ステップS12)。なお、前提として、上述のように、車両情報30cに、他のユーザの車両の現在位置の情報、現在のバッテリ充電量の情報、および、現在の目的地の情報が記録されている。したがって、制御部20は、車両情報30cを参照して、他のユーザのこれらの情報を特定し、現在の状況における使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間を取得する。使用終了時のバッテリ充電量の算出方法は、上述のステップS11と同様であり、ここではその説明を省略する。使用終了時間の算出方法は、例えば制御部20は、図示しない計時機能により現在時刻を特定し、当該現在時刻に、現在位置、目的地、出発地の順で走行した場合の走行所要時間および目的地での滞在予定時間を加算して求めることができる。当該走行所要時間は、例えば現在位置、目的地、出発地の順で走行した場合の距離を車両の速さ(例えば平均時速等)で除算することで算出できる。また、目的地での滞在予定時間は、例えば取得部21bの機能により使用予定情報30bを参照することで特定することができる。そして、制御部20は、このように、現在のバッテリ充電量と車両の現在位置とに基づいて、目的地、出発地の順に走行した場合の使用終了時のバッテリ充電量と使用終了時間とを取得したら、処理をステップS13に進める。
【0052】
ステップS13において、制御部20は、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間を更新する(ステップS13)。すなわち、制御部20は、取得部21bの機能により、ステップS11で取得した、「他のユーザの使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」の情報をステップS12で取得した「他のユーザの使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」の情報に更新する。つまり、車両情報30cの情報を更新する。なお、後述するステップS16の処理において否定的に判定された場合には、制御部20は、処理をステップS12に戻すループ処理を行う。その場合には、前回のステップS13で更新された情報が車両情報30cに記録されていることになるため、制御部20は、前回のステップS13で更新した「他のユーザの使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」の情報を最新のステップS12で取得した「他のユーザの使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」の情報に更新する。
【0053】
ついで、制御部20は、取得部21bの機能により他のユーザの車両の現在のバッテリ充電量と現在位置とに基づいて、現在位置から出発地(返却地)に走行する場合の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間を取得する(ステップS14)。これは、上述のステップS12の処理が目的地に向かっている最中の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間を取得する処理であるのに対して、このステップS14は、現在位置から元々予定していた目的地(または更新された現在の目的地)に向かわずに出発地に戻る場合の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間を取得する処理である。このようなシチュエーションとしては、例えば、目的地に行かず出発地に戻る場合、目的地に現在到着している場合、または、目的地に既に行った状態である場合などが想定される。このステップS14における、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量の具体的な算出方法は、例えば制御部20は、現在位置から出発地までの経路探索を行い、当該使用終了時のバッテリ充電量を取得する。なお、経路探索後の当該使用終了時のバッテリ充電量の算出方法については、上述のステップS11,S12と同様であるため、ここではその説明を省略する。また、他のユーザの車両の使用終了時間は、現在時刻に、現在位置から出発地へ走行した場合の走行所要時間を加算して求めることができる。当該走行所要時間は、例えば現在位置から出発地へ走行した場合の距離を車両の速さ(例えば平均時速等)で除算することで算出できる。制御部20は、このように、当該使用終了時のバッテリ充電量および当該使用終了時間を取得したら、処理をステップS15へ進める。
【0054】
ステップS15において、制御部20は、取得部21bの機能により、他のユーザの車両が目的地に到着しているか否かを判定する。具体的には、制御部20は、車両情報30cを参照して、他のユーザの車両の現在位置の情報を取得する。そして、制御部20は、取得した他のユーザの車両の現在位置の情報と地図情報30aとに基づいて、他のユーザの車両が目的地に到着しているかを判定する。ここで目的地に到着しているとは、他のユーザの車両の現在位置が目的地であること、および、他のユーザの車両の現在位置が既に目的地を通りすぎた位置であることを含む。制御部20は、他のユーザの車両が目的地に到着していると判定した場合には、処理をステップS17へ処理を進める。それとは反対に、制御部20は、他のユーザの車両が目的地に到着していないと判定した場合には、処理をステップS16へ進める。ここでは先にステップS17について説明し、ステップS16については後述する。
【0055】
ステップS17において、制御部20は、取得部21bの機能により、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間を更新する。すなわち、制御部20は、取得部21bの機能により、車両情報30cに含まれる「他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」の情報をステップS14で取得した「使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」に更新する。車両情報30cに含まれる現在の「他のユーザの使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」の情報は、ステップS13で取得した「他のユーザの使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」となっている。他のユーザの車両は、上述のステップS15で判定したように、目的地に既に到着している状態である。そのため、制御部20は、ステップS14で取得した「他のユーザの使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」の情報(すなわち現在位置から出発地へ走行する場合の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間の情報)に更新する。
【0056】
一方、上述のステップS15で否定的に判定された場合、すなわち他のユーザの車両は、目的地に到着していないと判定された場合には、制御部20は、取得部21bの機能により、目的地が出発地となっているか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、制御部20は、車両情報30cを参照して、他のユーザの車両の現在の目的地の情報を取得する。そして、制御部20は、使用予定情報30bを参照して、他のユーザの出発地を特定し、当該出発地と取得した他のユーザの車両の現在の目的地との座標が一致するかを判定する。この判定により肯定的に判定された場合には、制御部20は、目的地が出発地となっていると判定する。なお、上述のステップS15において、他のユーザの車両が目的地に到着しておらず、このステップS16で目的地が出発地となっている状況としては、例えば目的地に行かず出発地に戻る場合が想定される。制御部20は、目的地が出発地となっていると判定した場合、処理をステップS17に進める。つまり、制御部20は、車両情報30cに含まれる「他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」の情報をステップS14で取得した「使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間」に更新する。
【0057】
それとは反対に、目的地が出発地となっていないと判定された場合には、制御部20は、処理をステップS12に戻す。すなわち、制御部20は、他のユーザの車両が目的地に向かっている状態であると判定できるため、処理をステップS12に戻す。なお、この図5に示す車両情報取得処理は、ステップS15またはステップS16で肯定的に判定され、ステップS17を実行したら終了する。
【0058】
そして、制御部20は、図5における処理(すなわちステップS10~ステップS17の一連の処理)を、他のユーザの全てを対象として行い、当該全ての他のユーザにおける車両の使用終了時のバッテリ充電量および使用終了時間、の情報を取得し、記録媒体30(車両情報30c)に記録する。これにより、図4で実行する車両表示処理において、制御部20は、ユーザに、全ての他のユーザにおける車両情報に基づく航続可能範囲の表示を行うことが可能となる。
【0059】
つぎに、図4に戻り、車両表示処理について説明する。この車両表示処理は、上述のように、ユーザにより生成された車両の使用予定情報が車両表示システム10で受信された場合に実行開始される。当該処理が開始されると、先ず、制御部20はユーザの使用予定を取得する(ステップS1)。すなわち、制御部20は、ユーザ使用予定取得部21aの機能により、使用予定情報30bを参照して、ユーザの出発地、目的地、使用開始時間、使用終了時間等の情報を取得する。制御部20は、ステップS1でユーザの使用予定を取得したら、処理をステップS2へ進める。
【0060】
ステップS2において、制御部20は、ユーザ使用予定取得部21aの機能により、車両情報30cを参照して、ユーザの車両の使用開始時における他のユーザの車両のバッテリ充電量を取得する。他のユーザの車両のバッテリ充電量の情報は、上述の他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量を意味し、すなわち他のユーザが車両をカーシェアのステーションに返却した際のバッテリ充電量である。当該他のユーザの車両のバッテリ充電量の情報は、上述の図5の車両情報取得処理によって他のユーザの車両の使用終了時間の情報と共に取得される。そして、当該取得された情報は、車両情報30cに記録され、所定の時間毎(ほぼリアルタイム)に更新される。制御部20は、車両情報30cを参照して、ユーザの車両の使用開始時間より他のユーザの車両の使用終了時間が早い車両を特定する。そして、制御部20は、当該特定した車両のバッテリ充電量を特定する。このようにして、制御部20は、ユーザの車両使用開始時における他のユーザの車両のバッテリ充電量を取得する。そして、制御部20は、このステップS2の処理を全ての他のユーザの車両を対象として行う。これにより、全ての他のユーザの車両の当該バッテリ充電量を取得することができる。
【0061】
なお、他のユーザの車両のバッテリ充電量は、ユーザの車両の使用開始時における充電量であるから、他のユーザが車両の使用を終了した時点での充電量に加えて、ユーザの車両の使用開始までにカーシェアのステーションで充電することが可能な充電量を含んでもよい。例えばユーザの使用開始時間が12時であり、他のユーザの使用終了時間が11時である場合には、1時間分のバッテリの充電が可能である。その場合には、1時間分の充電量を他のユーザの車両の使用終了時における充電量に加えてよい。当該1時間分の充電量はカーシェアのステーションにおける充電出力に基づく。充電出力は、普通充電であれば例えば単位時間当たりの充電量10%(4kWh)等、急速充電の場合には例えば単位時間当たりの充電量50%(20kWh)等が想定される。
【0062】
ついで、制御部20は、表示制御部21cの機能により、ユーザの使用開始時における他のユーザの車両のバッテリ充電量に基づく航続可能範囲を表示させる(ステップS3)。すなわち、制御部20は、ステップS2で取得した他のユーザ(全ての他のユーザ)のバッテリ充電量に基づいて、ユーザの出発地から走行可能な範囲を示す航続可能範囲を表示部に表示させる。具体的には、制御部20は、ステップS1で取得したユーザの使用予定に含まれる出発地を特定する。また、制御部20は、ステップS2で取得した他のユーザの車両のバッテリ充電量(すなわち使用終了時のバッテリ充電量)を特定する。そして、制御部20は、他のユーザの車両のバッテリ充電量で、ユーザの出発地から走行可能な範囲である航続可能範囲を取得する。
【0063】
ここで、航続可能範囲の取得方法について説明する。制御部20は、先ず、他のユーザの車両のバッテリ充電量に基づいて走行可能な最大距離を示す航続可能距離を算出する。具体的には、制御部20は、平均電費(例えば電気自動車の一般的な平均電費:6km/kWh)と、他のユーザの車両のバッテリ充電量と、の積から航続可能距離を算出する。また、制御部20は、算出した当該航続可能距離の最大距離(または航続可能距離における既定距離)で、ユーザの出発地を出発して当該出発地に戻ってこられる地点である暫定目的地を360度の範囲で複数特定する。すなわち、制御部20は、航続可能範囲の対象範囲を特定する。具体的には、制御部20は、出発地を基点として、航続可能距離の半分の地点と例えば主要道路との交差ポイントを複数の地点特定し、それぞれの地点を暫定目的地に設定する。主要道路とは、例えば国道や高速道路など比較的大きな道路を想定する。ここでは主要道路を国道として説明する。制御部20は、地図情報30aを参照し、ユーザの出発地を基点として360度の範囲で、航続可能距離(例えば平均電費6km/kWh×他のユーザのバッテリ充電量50%(例えば20kWh)=120km)の半分の距離の地点と国道との交差ポイントを複数の地点(例えば任意の8地点)、特定する。つまり、制御部20は、360度の対象範囲において、直線距離で、ユーザの出発地から60kmの地点と国道との交差ポイントを8地点特定する。そして、制御部20は、当該特定した8地点をそれぞれ暫定目的地に設定する。
【0064】
一方、各暫定目的地までの距離(例えば上述の60km)は直線距離であるから、実際の道路を走行した場合には、他のユーザの車両のバッテリ充電量で到達できる地点は各暫定目的地の地点より出発地側に近い地点となる。そこで、制御部20は、現在位置から各暫定目的地への経路探索を行い、探索した経路上において他のユーザの車両の半分のバッテリ充電量で走行可能な地点を特定する。具体的には、制御部20は、地図情報30aを参照し、例えばダイクストラ法を用いて行いて、ユーザの出発地から8つの各暫定目的地を訪問する経路を探索する。そして、制御部20は、経路探索を行った経路上で、他のユーザの車両の半分のバッテリ充電量で走行可能な地点をそれぞれ特定する。例えば制御部20は、経路探索したそれぞれの経路をユーザの出発地から累積していき、航続可能範囲の半分の距離に達する地点を特定する。これにより、各経路上における他のユーザの車両の半分のバッテリ充電量で走行可能な地点が特定される。
【0065】
ついで、制御部20は、経路探索を行った各経路において、特定した地点(8つの点)を結び、当該結んだ領域を航続可能範囲として確定させる。制御部20は、このステップS3における航続可能範囲を取得する処理をステップS2で取得した全ての他のユーザの車両の充電量を基づいて行う。
【0066】
そして、制御部20は、このような処理により他のユーザ車両の航続可能範囲を取得したら、取得した航続可能範囲を表示部に表示させる。すなわち制御部20は、表示制御部21cの機能により、地図情報30aを参照し、取得した航続可能範囲を地図上に重畳させた画像を生成し、当該画像をユーザI/F部130における表示部に表示させる。図6は、その航続可能範囲を地図上に重畳させた表示部の一例を示す図である。上述の各経路における8つの地点を結んだ多角形が地図上に重畳して描画されている。図6に示す例では、3台の他のユーザの車両(車両A01、車両A02、車両B01)の航続可能範囲が示されており、この中では車両B01が最も航続可能範囲が広く、車両A01が最も航続可能範囲が狭くなっている。ユーザは、この表示を見ることで、予約時の段階で、例えば自身の車両の使用予定に沿った車両の選択が可能となる。なお、この図3に示す例において、暫定目的地に向かう各経路をグレーの線で示し、8つの地点を結んだ多角形の線を太い黒線で示している。
【0067】
以上のように、本実施形態では、制御部20は、ユーザより前に使用する他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量に基づいて、ユーザの出発地からの航続可能範囲を表示部に表示させる。これにより、ユーザは、他のユーザが車両を返却する前であっても、他のユーザの車両を使用した場合の、自身の出発地からの航続可能範囲を把握することができる。そして、このように、他のユーザによる車両の返却前に当該航続可能範囲を把握できることにより、ユーザは、自身の使用予定(例えば○○目的地に行くとの予定)に基づいた車両の選択が可能となり、その結果、ユーザが車両を予約する可能性を高めることができる。さらに、ユーザが車両を予約する可能性を高めることができることで、カーシェアの稼働率を向上させることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態において、表示部には、図6で示したように、複数の他のユーザの車両のバッテリ充電量に基づく航続可能範囲が表示され得る。カーシェアにおいて、車両を借りる際には、例えばユーザの車両の使用開始時のバッテリ充電量が比較的少ない場合(例えばバッテリ充電量40%)には、使用開始時における当該バッテリ充電量が比較的多い場合(例えばバッテリ充電量80%)に比べて、利用料金が安いことが想定され得る。したがって、表示部に複数の車両に基づく航続可能範囲が表示されることで、例えばユーザは、自身の使用予定の条件に沿った車両が複数台ある場合には、航続可能範囲が狭い(言い換えればバッテリ充電量が少ない)車両を選択することで、車両を借りる際の利用料金を安くすることができる場合がある。
【0069】
また、本実施形態において、制御部20は、航続可能範囲を表示部に表示させる際に、ユーザの車両の使用開始時間より他のユーザの車両の使用終了時間が早い車両の航続可能範囲を表示させる。すなわち、制御部20は、他のユーザの車両の中ででも、ユーザの車両の使用開始時間に間に合う車両の航続可能範囲を表示させる。これにより、例えばバッテリ充電量に基づく航続可能範囲の条件を満たすが、ユーザの車両の使用開始時間に貸し出しの候補となる車両がユーザの出発地に待機していないなどの不都合が生じることを回避できる。
【0070】
また、本実施形態において、制御部20は、他のユーザの車両の現在位置と、現在の目的地と、現在位置から現在の目的地、当該現在の目的地から他のユーザの車両の出発地までの順に走行する場合の走行所要時間およびバッテリ消費電力量と、を取得する。そして、制御部20は、取得した当該走行所要時間に基づいて他のユーザの車両の使用終了時間を更新、ならびに、当該バッテリ消費電力量に基づいて他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量を更新する。すなわち、他のユーザの車両が走行し始めたら、走行中の現在位置および現在の目的地(目的地が変更された場合には最新の目的地が現在の目的地)に応じて、他のユーザの車両の使用終了時間および車両の使用終了時のバッテリ充電量を取得し、予約時における当該使用終了時間および当該バッテリ充電量の情報を更新する。また、当該情報の更新は、所定の時間毎(ほぼリアルタイム)に実行される。そして、制御部20は、当該更新された情報に基づいて、貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲を表示させる。これにより、表示される車両は、最新のバッテリ充電量等の情報に基づく航続可能範囲が表示されることになり、その結果、より精度の高い情報に基づく航続可能範囲の表示がされる。車両の走行過程においては、予定していたルートを変更したり、道路の渋滞等が発生したりするなどして、出発地に戻るまでの走行所要時間が変わる場合があり得る。そのような場合、例えば、他のユーザの車両の予約時の情報に基づいて、ユーザに貸し出する候補となる車両の航続可能範囲を表示した場合には、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量が予約時の想定より少なくなるなどして、航続可能範囲が狭くなり、ユーザの使用予定の条件を満たさなかったり、ユーザの車両の使用開始時間までに他のユーザの車両が出発地に戻ってこれなかったりするなどの不都合が生じる可能性がある。それに対して、本実施形態においては、上述のように、ほぼリアルタイムに更新される他のユーザの車両の情報に基づいて貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲を表示するため、このような不都合が生じる可能性を低減できる。
【0071】
また、本実施形態において、制御部20は、他のユーザの車両の現在の目的地が出発地である場合、他のユーザの車両の現在位置から出発地まで走行する場合の走行所要時間および前記バッテリ消費電力量を取得する。そして、制御部20は、取得した当該走行所要時間に基づいて他のユーザの車両の使用終了時間を更新、ならびに、当該バッテリ消費電力量に基づいて他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量を更新する。これにより、例えば他のユーザが当初予定していた目的地に行かずに出発地に戻るような場合であっても、現在位置から出発地まで走行する場合の他のユーザの車両の使用終了時間および他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量に基づいて、貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲を表示できる。その結果、例えば他のユーザの車両の予約時の情報では、バッテリ充電量が少なく航続可能範囲がユーザの条件を満たさなかったり、ユーザの車両の使用開始時間に間に合わなかったり等の理由により、貸し出しの候補とならない可能性があった車両の貸し出しが可能となる場合がある。すなわち、現在の目的地が出発地となり、他のユーザの車両が予約時の目的地に行かず出発地に戻る場合には、ユーザの使用予定に沿った航続可能範囲の条件を満たし、ユーザの車両の使用開始時間に間に合う可能性がある。そのような場合には、カーシェアの稼働率を向上させることができる。また、カーシェアにおいて、上述のように、車両を借りる際には、例えばユーザの車両の使用開始時のバッテリ充電量が少ない場合(例えばバッテリ充電量40%)には、使用開始時における当該バッテリ充電量が比較的多い場合(例えばバッテリ充電量80%)に比べて、利用料金が安いことが想定され得る。そのような場合、このような他のユーザの車両の現在の目的地が出発地に変更されたような車両を貸し出しの候補の対象とできる場合には、ユーザに対して、利用料金の安い車両を提供できる可能性がある。
【0072】
また、上述のように、本実施形態においては、他のユーザの車両のほぼリアルタイムの情報に基づいて、貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲の表示を行うことから、他のユーザの車両が出発地を出発して、時間が経過するほど(または、走行距離が長くなるほど)、車両の返却地(すなわち出発地)に近づくことになり、その結果、他のユーザの車両の情報の精度を高くすることができ、当該精度の高い情報を用いてユーザに貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲の表示を行うことが可能となる。
【0073】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。上述の実施形態においては、貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲を表示部に表示させる際に、ユーザの出発地から暫定目的地までの経路探索を行って、探索した経路上の点を結ぶことで生成される多角形の航続可能範囲を表示させた。一方、当該表示は、単に直線距離で算出した航続可能距離を結んだ円形の航続可能範囲を表示させてもよい。その場合には、上述の図6の多角形で示す航続可能範囲より精度は下がるが、ユーザにとっては、大凡の航続可能範囲が把握できれば良い場合もあり、その場合には、制御部20の処理が複雑になることを抑制できる。
【0074】
また、上述の実施形態において、制御部20は、ステップS3において、取得した航続可能範囲を地図上に重畳させる際に、更に、ユーザの目的地の情報を取得し、当該目的地の位置を地図上に併せて重畳させてもよい。すなわち、制御部20は、ステップS1で取得したユーザの使用予定に含まれる目的地を特定し、当該目的地の位置を航続可能範囲と併せて地図上に表示させてもよい。このような場合、ユーザは、表示された航続可能範囲の表示を見た際に、自身の目的地と貸し出しの候補となる車両の航続可能範囲との関係を目的地が地図上に表示されていない場合に比べて容易に把握できる。
【0075】
また、上述の実施形態においては、図5の車両情報取得処理において、目的地に到着していること(ステップS15でY)、または、目的地が出発地であること(ステップS16でY)により、ステップS17の処理を実行したら、車両情報取得処理を終了するが、ステップS17の処理の後に再度、目的地が設定された場合には、処理をステップS12へ戻してもよい。その場合には、仮に、再度、目的地が設定された場合であっても、現在位置から目的地、出発地の順に走行した場合の、他のユーザの車両の使用終了時のおけるバッテリ充電量、および、他のユーザの車両の使用終了時間を取得できる。そして、当該取得した情報が車両情報30cに記録(すなわち更新)され、当該更新された情報に基づいて、他のユーザの車両の航続可能範囲が表示されることになる。
【0076】
また、車両情報30cに含まれる、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量、および、他のユーザの車両の使用終了時間の情報の精度を上げるために、制御部20は、ステップS17の処理の後に、以下の処理を実行してもよい。具体的には、制御部20は、他のユーザの車両の現在の目的地が出発地である場合(または既に目的地に到着している場合)において、他のユーザの車両の現在位置と出発地との距離が既定距離になるまで、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量、および、他のユーザの車両の使用終了時間の情報を取得し、当該情報を更新してもよい。
【0077】
また、上述の実施形態においては、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量の取得について、制御部20は、出発地と目的地との往復の距離を平均電費で除算することによりバッテリの消費電力量を算出し、算出したバッテリの消費電力量に基づいて当該使用終了時のバッテリ充電量を取得した。一方、当該使用終了時のバッテリ充電量の取得方法はこれに限られず、制御部20は、例えば以下の計算式の式(1)~(3)を用いて取得してもよい。具体的には、制御部20は、他の車両における走行に必要な単位時間当たりの駆動力Fを算出し、当該算出した駆動力Fと車速との積により当該走行に必要なモータ(駆動力源)の単位時間当たりの出力(走行エネルギー)Pを求める。駆動力Fは空気抵抗(1/2ρCdAv)、転がり抵抗(μMgcosθ)、勾配抵抗(Mgsinθ)、および加速抵抗((M+m)a)の和によって求めることができ、これを計算式で表すと以下の式(1)のように示すことができる。
【0078】
【数1】
【0079】
なお、式(1)の各符号について、ρは予め定められた空気密度を示し、Cdは車両毎に予め定められた空気抵抗係数を示し、Aは車両毎に予め定められた車両の前方投影面積を示し、vは例えばリンク毎の車両の平均速度である車速を示し、μは予め定められた転がり摩擦抵抗係数を示し、Mは車両毎に予め定められた車両重量を示し、gは重力加速度を示し、θは地図情報30aに基づく道路勾配を示し、mは等価慣性重量(駆動系を回転させる際の抵抗)を示し、aは例えば車両の平均加速度である加速度を示す。なお、当該加速度は、リンク毎で道路勾配θが異なる可能性があり得るため、その場合には平均加速度となるように当該加速度は補正される。
【0080】
ついで、制御部20は、算出した駆動力Fと車速との積により単時間当たりモータの出力Pを算出する。そして、当該算出したモータの出力Pに基づいて、単位時間当たりに消費した電流Iを求め、消費した電流Iを積算することで他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量SOC(t)を取得する。電流Iは以下の式(2)によって算出できる。
【0081】
【数2】
【0082】
なお、式(2)の各符号について、Eは車両のバッテリ電圧を示し、Rはバッテリの内部抵抗を示し、Pは上述のモータの出力を示し、Pdcdcはエアコン等の補機の消費エネルギーを示す。なお、補機の消費エネルギーは、例えば固定値であってよく、記録媒体30に予め補機消費量情報として記録されていてよい。また、式(2)における「RI」はバッテリの損失(例えば発熱量)を示し、「EI」はバッテリの性能が示す電力を示す。また「1000」は単位換算するための係数である。
【0083】
そして、制御部20は、式(2)で求めた電流Iに基づいて、消費した電流を積算し、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量SOC(t)を算出する。すなわち、制御部20は、初期値のバッテリ充電量SOC(0)から消費した電流Iに基づく消費充電量を減算して当該使用終了時のバッテリ充電量SOC(t)を取得する。なお、初期値のバッテリ充電量SOC(0)は、他のユーザの車両における使用開始時の充電量であって、例えば当該他のユーザの前に使用したユーザが車両を返却した際の充電量である。もしくは、当該充電量に使用開始までに充電された電力量が加算された充電量であってもよい。具体的には、制御部20は、使用終了時のバッテリ充電量SOC(t)を以下の式(3)によって算出できる。
【0084】
【数3】
【0085】
なお、式(3)における符号Qはバッテリの容量(最大容量)を示す。なお、「1/60」は、単位換算するための係数である。このように、制御部20は、式(1)~式(3)を用いて、他のユーザの車両の使用終了時のバッテリ充電量を算出することができる。
【0086】
また、上述の実施形態においては、バッテリ充電量等における「充電量」は、満充電に対する割合を示す「%」で評価してもよいし、電力量(「kWh」)で評価してもよい。
【0087】
また、上述の使用予定情報の入力は、ユーザが予約者端末100を操作することにより入力されるが、例えば当該ユーザが過去に車両を借りた実績がある場合には、予約者端末100における制御部110は、過去の実績から例えば前回と同じ目的地、使用開始時間、使用終了時間等の表示を行って、使用予定情報の入力の操作をアシストしてもよい。また、使用予定情報に含まれる目的地は、例えば名称、住所、電話番号、地図上の特定の場所を指定するなどにより入力されてよい。また、使用予定情報には、使用開始時間、使用終了時間の他、車両を使用する時間である使用時間が含まれていてもよい。そのような場合、例えば使用終了時間が入力されなくても、使用開始時間と使用時間とから使用終了時間が定義されてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、現在の目的地が変更される場合があり、制御部20は車両情報30cを参照して、現在の目的地の情報を取得するが、変更された現在の目的地の情報の取得はこれに限られない。上述のように使用予定情報は、ユーザ、他のユーザのそれぞれが予約者端末を操作して入力し、当該入力した情報が予約者端末から車両表示システム10に送信され、使用予定情報30bとして記録媒体30に記録される。したがって、例えば他のユーザが予約者端末200を操作して目的地を変更(目的地を出発地に変更を含む)した場合には、使用予定情報30bが更新される。制御部20は、車両情報30cを参照して取得することに替えて、当該更新された使用予定情報30bを参照して変更された目的地の情報を取得してもよい。
【0089】
また、上述の実施形態を構成する各システムや装置は、機能を共有したより少ない装置で構成されてもよい。このような例としては、図1に示す少なくとも1台のシステムが、他の1台以上のシステムと同一の装置で構成される例が挙げられる。例えば、車両表示システム10と予約者端末100とが一体の装置で構成されていてもよいし、車両表示システム10と予約者端末200とが一体の装置で構成されてもよいし、車両表示システム10が車両300に含まれて構成されてもよいし、予約者端末200と車両300とが一体の装置で構成されてもよい。また、上述の車両表示システム10の機能うち、一部の機能が当該車両表示システム10で実現されてもよい。さらに、図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されてもよい。例えば、車両表示システム10、予約者端末100、予約者端末200の少なくとも一部がクラウドサーバで構成されてもよい。
【0090】
また、車両表示システム10を構成する各部(ユーザ使用予定取得部21a、取得部21b、表示制御部21c)の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していてもよい。また、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。
【0091】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0092】
10…車両表示システム、20…制御部、21…車両表示プログラム、21a…ユーザ使用予定取得部、21b…取得部、21c…表示制御部、30…記録媒体、30a…地図情報、30a1…カーシェア施設情報、30b…使用予定情報、30c…車両情報、40…通信部、100…予約者端末、110…制御部、120…通信部、130…ユーザI/F部、140…記録媒体、200…予約者端末、210…制御部、220…通信部、230…ユーザI/F部、240…記録媒体、300…車両、310…通信部、320…測位部、330…地図情報、340…バッテリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6