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特開2024-179507制御装置、制御システム、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179507
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20241219BHJP
   G06Q 50/163 20240101ALI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098405
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友也
(72)【発明者】
【氏名】坂井 博敏
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋輝
(72)【発明者】
【氏名】島田 和好
(72)【発明者】
【氏名】徳井 孝信
(72)【発明者】
【氏名】田口 達也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC29
5L049CC42
5L050CC29
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】 施設利用者の快適性を損ねずに、省エネルギー化の促進を図る。
【解決手段】 制御装置は、予測部と、計画変更部と、制御部とを備える。予測部は、複数のエリアから構成される施設の各々のエリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する。計画変更部は、エリアに設置された照明機器の制御計画を、混雑度に応じて変更する。制御部は、変更された制御計画に基づいて制御機器を制御し、背照明機器の制御に連動して空調機器を制御する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアから構成される施設の各々の前記エリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する予測手段と、
前記エリアに設置された照明機器の制御計画を、前記混雑度に応じて変更する計画変更手段と、
前記変更された制御計画に基づいて前記照明機器を制御し、前記照明機器の制御に連動して空調機器を制御する制御手段と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記施設は空港のターミナルビルである
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記移動情報は、チェックイン情報、空港内に設置されたゲートの通過情報、および前記施設に設置された監視カメラの映像のうち少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記予測手段は、前記チェックイン情報としてチェックインが完了した人数を用いて各々の前記エリアの前記混雑度を予測する
ことを特徴とする、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
フライト情報に基づいて前記制御計画を作成する計画手段
をさらに備える、請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
フライト情報は、航空機の運航状況についての情報および時刻変更に関する情報を含む
ことを特徴とする、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記照明機器の維持照度と前記空調機器の設定温度とを関連付けた情報である制御情報を用いて前記空調機器の制御を行う
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の制御装置と、
撮影した画像を前記制御装置へ前記移動情報として送信する監視カメラと
を備えることを特徴とする、制御システム。
【請求項9】
制御装置が、
複数のエリアから構成される施設の各々の前記エリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測し、
各前記エリアに設置された照明機器の制御計画を、前記混雑度に応じて変更し、
前記変更された制御計画に基づいて前記照明機器を制御し、前記照明機器の制御に連動して空調機器を制御する
ことを特徴とする、制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
複数のエリアから構成される施設の各々の前記エリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する処理と、
各前記エリアに設置された照明機器の制御計画を、前記混雑度に応じて変更する処理と、
前記変更された制御計画に基づいて前記照明機器を制御し、前記照明機器の制御に連動して空調機器を制御する処理と
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空港等の施設に設置された空調機器および照明機器の制御装置、制御システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の区画に仮想的に分割された空間において、人々の快適性を損なうことなく省エネルギー化を図るための技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の空調システムは、学習器を用いた人流予測に基づいて空調機を制御することで、人々の快適性を損ねずに省エネルギー化を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-115075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、複数のエリアから構成される施設においても省エネルギー化を図る動きがある。そのため、様々な省エネルギー化を図る技術が提案されているが、より一層の省エネルギー化が望まれている。
【0005】
本開示の目的は、施設利用者の快適性を損ねずに、省エネルギー化の促進を図ることが可能な制御装置、制御システム、制御方法およびプログラムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の制御装置は、複数のエリアから構成される施設の各々のエリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する予測手段と、エリアに設置された照明機器の制御計画を、混雑度に応じて変更する計画変更手段と、変更された制御計画に基づいて前記照明機器を制御し、照明機器の制御に連動して空調機器を制御する制御手段と、を備える。
【0007】
本開示の一態様の制御方法は、複数のエリアから構成される施設の各々のエリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測し、各々のエリアに設置された照明機器の制御計画を、混雑度に応じて変更し、変更された制御計画に基づいて照明機器を制御し、照明機器の制御に連動して空調機器を制御する。
【0008】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータに、複数のエリアから構成される施設の各々のエリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する処理と、各々のエリアに設置された照明機器の制御計画を、混雑度に応じて変更する処理と、変更された制御計画に基づいて照明機器を制御し、照明機器の制御に連動して空調機器を制御する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、施設利用者の快適性を損ねずに、省エネルギー化の促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ターミナルビルの出発ロビーにおける仮想的なエリア分割の一例を示す図である。
図2】ターミナルビルの到着ロビーにおける仮想的なエリア分割の一例を示す図である。
図3】本開示に係る第1の制御システムについて説明するための説明図である。
図4】本開示に係る第1の制御システムの構成の一例を説明するためのブロック図である。
図5】本開示に係る第1の制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】照明機器の制御計画の一例を示す図である。
図7】空調機器の制御情報の一例を示す図である。
図8】本開示に係る第1の制御装置によって予測された混雑度の一例を示す図である。
図9】本開示に係る第1の制御装置によって変更された制御計画の一例を示す図である。
図10】本開示に係る第1の制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】本開示に係る第2の制御システムについて説明するための図である。
図12】ターミナルビルから出発する航空機のフライト情報の一例である。
図13】ターミナルビルに到着する航空機のフライト情報の一例である。
図14】ターミナルビルに到着する航空機のフライト情報を用いて作成された制御計画の一例を示す図である。
図15】ゲート通過情報の一例を示す図である。
図16】本開示に係る第2の制御システムの構成の一例を説明するためのブロック図である。
図17】本開示に係る第2の制御装置の動作の一例を示す図である。
図18】各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0012】
[第1実施形態]
制御システム1は、施設に設置された空調機器および照明機器を制御するためのシステムである。本実施形態では、空港のターミナルビルに制御システム1を適用する場合について説明する。空港のターミナルビルは、以降の説明において、単に「ターミナルビル」とも記す。
【0013】
ターミナルビルは、仮想的に分割された複数のエリアから構成される。図1および図2は、ターミナルビルにおける仮想的なエリア分割の一例を示す図である。ターミナルビルの出発ロビーにおいては、例えば図1に示すように、搭乗口の配置に合わせてエリア分割されることによりエリアE1~エリアE21が設定されてもよい。ターミナルビルの到着ロビーにおいては、例えば図2に示すように、手荷物引取場に設置されたターンテーブルの配置に合わせてエリア分割されることによりエリアE22~エリアE33が設定されてもよい。別の例としては、ターミナルビルは、照明機器または空調機器の配置に合わせてエリア分割されることによりエリアEが設定されてもよい。エリアをどのように分割するかは、例えば制御装置10の管理者によって予め決められる。予め決められたエリア分割の情報は、例えば制御装置10の記憶部(図示せず)に記憶される。制御システム1は、分割された各エリアに設置された照明機器および空調機器を制御する。
【0014】
(制御システム1の構成)
まず、図3および図4を用いて、本実施形態の制御システム1について説明する。図3は、本開示における制御システム1について説明するための説明図である。図4は、本開示に係る制御システム1の構成の一例を説明するブロック図である。
【0015】
制御システム1は、制御装置10および監視カメラ41を有して構成される。制御装置10、制御計画記憶部30、および監視映像記憶部40は、それぞれがネットワークNWを介して通信可能に接続されている。本実施形態において、制御計画記憶部30、および監視映像記憶部40はそれぞれが単独である構成としたが、1つの記憶装置に記憶される構成であってもよい。さらに、制御計画記憶部30、および監視映像記憶部40は、制御装置10に内蔵される構成であってもよい。
【0016】
制御装置10は、空調機器60および照明機器50を制御する装置である。そのため、制御装置10と、空調機器60および照明機器50とは、通信可能に接続されている。制御装置10は、例えば、サーバ、クラウド、パーソナルコンピュータ(PC)等の装置によって実現される。制御装置10の構成については、後述する。
【0017】
制御計画記憶部30は、照明機器50の制御計画、および空調機器60の制御情報を記憶するデータベースである。照明機器50の制御計画、および空調機器60の制御計画は、例えば、制御装置10の管理者によって予め決められているものとする。
【0018】
照明機器50の制御計画の一例を図6に示す。照明機器50の制御計画は、少なくとも、分割されたエリアの識別情報、日時情報、および維持照度の情報を含む。図6の例においては、分割されたエリアの識別情報は、「ターミナル情報」および「搭乗口番号」を指す。また、図6の例においては、日時情報は、「日付」および「時刻」を指す。図6の例において、維持照度0[lx]は、照明機器50を消灯することを意味する。
【0019】
照明機器50の制御計画は、各エリアの使用時間帯に応じて維持照度を変更するように計画されている。例えば、制御計画は、該エリアが暫く使用されないことが想定される時間帯には照明機器50を消灯するように計画される。制御計画は、該エリアが使用されないことが想定される時間帯が短い場合には、照明機器50を消灯せずに維持照度の値を下げる(例えば50[lx])ように計画されてもよい。該エリアが使用される時間帯には照明機器50の維持照度を推奨設定値(例えば500[lx])になるように計画されている。例えば出発ロビーの場合には、飛行機の出発時刻前後の時間帯は搭乗口付近のエリアは使用される時間帯であるため、維持照度が500[lx]になるように計画される。それ以外の時間帯は使用されない時間帯であるため、維持照度が0[lx]になるように計画される。例えば到着ロビーの場合では、そのエリアを使用する航空機の到着時刻から暫くの間は使用される時間帯であるため、維持照度が500[lx]になるように計画される。それ以外の時間帯は使用されない時間帯であるため、維持照度が0[lx]になるように計画される。
【0020】
空調機器60の制御情報の一例を図7に示す。空調機器60の制御情報は、図7に示すように、照明機器50の維持照度と、空調機器60の設定温度とを紐づけた情報である。空調機器60は、照明機器50の維持照度に応じて制御される。換言すれば、空調機器は照明機器の制御に連動して制御される。例えば、照明機器50を消灯すると、それに連動して空調機器60の設定温度は省エネルギー化における推奨温度(例えば28度)に変更される。
【0021】
監視映像記憶部40は、ターミナルビルに設置された監視カメラ41から取得した監視映像を記憶するデータベースである。監視カメラ41は、単数であっても複数であってもよい。監視カメラ41は、仮想的に分割された複数のエリアの画像を取得する。監視カメラ41によって取得された画像は、監視映像記憶部40へ送信される。監視映像記憶部40に記憶された情報は、制御装置10の予測部11によって参照される。
【0022】
照明機器50は、ターミナルビルに設置された照明機器である。照明機器50は、単数であっても複数であってもよい。空調機器60は、ターミナルビル内に設置された空調機器である。照明機器50は、単数であっても複数であってもよい。照明機器50および空調機器60の配置場所を表す情報は、例えば制御装置10の制御部13が保有するメモリ(図示せず)に記憶される。
【0023】
(制御装置10の構成)
次に、図4および図5を用いて、本実施形態の制御装置10について説明する。制御装置10は、予測部11、計画変更部12、および制御部13を含む。
【0024】
予測部11は、複数のエリアから構成される施設の各々のエリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する予測手段の一例である。予測部11は、現在時刻を含む所定期間の混雑度を予測する。混雑度とは、各エリアの人密度を指す。例えば混雑度は、図8に示すように0~1の数値で表される。混雑度の値が高いほど混雑度が高い、すなわち人密度が高いことを意味する。
【0025】
現在時刻を含む所定期間とは、現在時刻と、現在時刻より未来の時刻との間の期間である。未来の時刻は、制御装置10の管理者によって予め決められる。例えば、予測部11は、現在から1時間後までの混雑度を予測する。
【0026】
施設利用者の移動情報は、施設利用者の施設内の移動に関する情報である。本実施形態においては、施設利用者の移動情報は、監視映像記憶部40に記憶された監視カメラ41の画像を指す。尚、施設利用者の移動情報は上述の例に限らない。例えば、施設利用者の移動情報は、搭乗者のチェックイン情報やゲート通過情報であってもよい。これらの情報を利用する手法については、第2実施形態で後述する。
【0027】
予測部11は、監視映像記憶部40に記憶された画像を用いて、各エリアの混雑度を予測する。例えば、予測部11は、特許文献1に開示されるように、人流を予測し、予測した人流を用いて、各エリアの混雑度を予測してもよい。他の例では、予測部11は、監視カメラ41の画像から、各エリアの現在の人数を算出し、算出した人数を用いて、各エリアの混雑度を予測してもよい。予測部11は、制御装置10の管理者によって予め決められた時間間隔で、各エリアの混雑度を予測する。
【0028】
計画変更部12は、各エリアに設置された照明機器50の制御計画を、予測部11が予測した混雑度に応じて変更する計画変更手段の一例である。計画変更部12は、制御計画記憶部30に記憶された照明機器50の制御計画を参照する。計画変更部12は、予測部11が予測した混雑度と、照明機器50の制御計画とを参照し、予め決められたルールに基づいて制御計画を変更する。
【0029】
図6図8および図9を用いて、計画変更部12が照明機器50の制御計画を変更する具体例を説明する。ターミナルT1の搭乗口番号160のエリアでは、図6のような照明の制御計画が立てられている。このエリアについて、予測部11が予測した混雑度の一例を示す図を図8に示す。例えば、混雑度が0.3以上の場合に維持照度を500[lx]に設定し、混雑度が0.3未満の場合に維持照度を0[lx]に設定するというルールが予め決められているとする。計画変更部12は、予測部11が予測した混雑度を参照し、混雑度が0.3以上になるのが12:55であると特定する。また、計画変更部12は、混雑度が0.3未満になるのが13:35であると特定する。計画変更部12は、予め決められたルールに基づいて特定した時間をもとに、照明機器50の制御計画を図9に示すように変更する。計画変更部12は、図9の例のように、制御計画記憶部30に記憶された制御計画に計画後の変更時刻を紐づけるようにしてもよいし、制御計画記憶部30に記憶された制御計画を上書きで変更してもよい。
【0030】
制御部13は、計画変更部12によって変更された制御計画に基づいて照明機器50を制御し、照明機器50の制御に連動して空調機器60を制御する制御手段の一例である。制御部13は、変更された制御計画を参照し、照明機器を制御する。制御部13はまた、変更された照明機器50の制御計画と、空調機器60の制御情報とを参照し、空調機器60を照明機器50と連動するように制御する。
【0031】
(制御装置10の動作)
次に、本実施形態における制御装置10の動作の一例について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る制御装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0032】
まず、予測部11は、複数のエリアから構成される施設の各エリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する(ステップS11)。
【0033】
次に、計画変更部12は、各エリアに設置された照明機器50の制御計画を、ステップS11で予測された混雑度に応じて変更する(ステップS12)。例えば、計画変更部12は、予測部11が求めた混雑度の値と、維持照度ごとに予め決められた閾値とに応じて、制御計画を変更する。
【0034】
次に、制御部13は、変更された制御計画に基づいて照明機器50を制御する(ステップS13)。また、制御部13は、照明機器50の制御に連動して空調機器60を制御する(ステップS14)。制御装置10は、ステップS14の処理を終えると、処理を終了する。
【0035】
(効果)
本実施形態の制御装置は、上述のように構成されている。次に、本実施形態の制御装置による効果を説明する。
【0036】
本実施形態の制御装置は、予測部、計画変更部、および制御部を備える。予測部は、複数のエリアから構成される施設の各エリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する。計画変更部は、各エリアに設置された照明機器の制御計画を、予測部が予測した混雑度に応じて変更する。制御部は、計画変更部によって変更された制御計画に基づいて照明機器を制御し、照明機器の制御に連動して空調機器を制御する。照明機器の制御計画は、該エリアが暫く使用されないことが想定される時間帯には照明機器50を消灯するように計画されている。本実施形態の制御装置は、予測部によって該エリアの混雑度を予測する。計画変更部は、例えば照明機器の消灯計画時刻より前に該エリアの混雑度が低くなると予測される場合、照明機器の消灯計画時刻が前倒しになるように制御計画を変更する。本実施形態の制御装置は、使用されることが想定されるエリアについては事前に照明機器を点灯し、使用されないことが想定されるエリアについては事前に照明機器を消灯しておく。そのように構成されていることにより、当該エリアが使用されるのか否かを利用者に認識させることが可能になる。このことは、例えば、空港において搭乗口の変更が行われるとき等に有用である。本実施形態の制御装置は、予測された混雑度に応じて、照明機器の制御計画を変更する。そのように構成されていることにより、当該エリアに実際に人が集まってきたか否かに応じて、照明の明るさを適切に変更し、施設利用者が多く集まったときの当該多くの施設利用者の利便性と施設利用者が多く集まっていないときの省エネルギー化とを両立することができる。さらに、空調機器は、照明機器の制御に連動して制御される。施設利用者は、照明が消灯されたエリアには向かわないことが想定される。例えば、空港のターミナルビルにおいて、搭乗口付近のエリアが消灯しており、搭乗時間がまだ先であれば、施設利用者は別の照明の点灯したエリアに向かうことが想定される。そのため、照明の消灯したエリアが適正温度になっていなかったとしても、施設利用者の快適性を損ねない。換言すれば、本実施形態の制御装置は、施設利用者の快適性を損ねずに、より一層の省エネルギー化を実現することができる。また、空調機器は、照明機器の制御に連動して制御されるため、使用されることが想定されるエリアについては、事前に空調機器が起動することで適正温度に制御される。したがって、施設利用者は、当該エリアに到着すると適正温度に制御されて快適に過ごすことができる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る制御システム2および制御装置20について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、空港のターミナルビルに制御システム2を適用する場合について説明する。
【0038】
(制御システム2の構成)
図11は、本実施形態に係る制御システム2の構成の一例を説明するための図である。制御システム2は、制御装置20および監視カメラ41を有して構成される。監視映像記憶部40、照明機器50、空調機器60、フライト情報記憶部70、および搭乗者情報記憶部80を含む。監視映像記憶部、照明機器50、および空調機器60は、第1実施形態のものと同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0039】
フライト情報記憶部70は、フライト情報を記憶するデータベースである。フライト情報は、例えば、ターミナルビルが保有するフライトインフォメーションシステム(Flight information System:FIS)71から取得され、フライト情報記憶部70に記憶される。フライト情報記憶部70は、フライトインフォメーションシステム71のフライト情報が更新されると、記憶された情報を更新する。
【0040】
フライト情報記憶部70は、具体的には、航空機の便名、航空機の出発時刻および到着時刻、到着時刻の時刻変更、航空機の出発ターミナルまたは到着ターミナル、航空機の搭乗口番号、航空機の運航状況等の情報を記憶する。航空機の運航状況とは、具体的には、出発済、到着済、欠航等の、航空機の運航についての状況を示す。図12および図13に、フライト情報記憶部70に記憶されるフライト情報の一例を示す。図12は、該ターミナルビルから出発する航空機のフライト情報の一例である。図13は、該ターミナルビルに到着する航空機のフライト情報の一例である。
【0041】
搭乗者情報記憶部80は、搭乗者のチェックイン情報およびゲート通過情報を記憶するデータベースである。
【0042】
搭乗者のチェックイン情報は、具体的には、航空機の識別情報とチェックインが完了した人数とを関連付けた情報を含む。チェックインが完了した人数は、すなわち、航空機に搭乗する人数である。航空機の識別情報は、航空機の便名と、航空機の出発時刻とを含む。搭乗者のチェックイン情報は、例えば航空会社が保有するチェックイン情報管理システム81から取得され、搭乗者情報記憶部80に記憶される。
【0043】
ゲート通過情報とは、搭乗者が搭乗券読取機の設置されたゲート82を通過した際にゲート82から取得される情報である。ゲート82は、新たなゲート通過情報を得ると、搭乗者情報記憶部80へ逐次送信する。ゲート82は、ターミナルビル内に設置される。ゲート82は、例えば、保安検査場、出国審査場、搭乗口等に複数設置される。ゲート通過情報は、ゲート82の識別情報と、搭乗者がゲート82に搭乗券をかざした通過日時と、搭乗者が搭乗する(または搭乗した)航空機の識別情報とを関連付けたログ情報である。ゲート通過情報の一例を図15に示す。図15に示すように、ゲート通過情報は、通過日時と、通過した搭乗券読取機の識別情報とを含む。
【0044】
(制御装置20の構成)
次に、図16を用いて制御装置20の構成について説明する。制御装置20は、予測部21、計画変更部22、制御部23、および計画部24を含む。
【0045】
計画部24は、フライト情報記憶部70に記憶されたフライト情報に基づいて、照明機器50の制御計画を作成する計画手段の一例である。計画部24は、予め決められたルールに従い、制御計画を作成する。
【0046】
計画部24は、例えば図12に示すフライト情報に基づいて、図6に示すような照明機器50の制御計画を作成する。例えば、出発時間の30分前に照明機器50の維持照度を推奨設定値に設定し、出発時間の10分後に照明機器50を消灯または維持照度の値を低くするようなルールが予め決められている。予め決められたルールは、条件付きのルールであってもよい。例えば、出発時刻から次の出発時刻までの間隔が1時間以上ある場合には照明機器50を消灯し、出発時刻から次の出発時刻までの間隔が1時間未満である場合には維持照度の値を低くするルールでもよい。計画部24は、予め決められたルールに従い、出発の30分前になると照明機器50の維持照度を推奨設定値(例えば500[lx])に設定するよう計画する。計画部24は、予め決められたルールに従い、出発後10分経過すると、照明機器50を消灯または維持照度の値を低くする(例えば50[lx])ように計画する。
【0047】
計画部24は、例えば図13に示すフライト情報に基づいて、図14に示すような照明機器50の制御計画を作成する。計画部24は、例えば、該手荷物引取場を使用する航空機が到着する10分後に、照明機器50の維持照度を推奨設定値(例えば500[lx])に設定するよう計画する。計画部24は、例えば、照明機器50を点灯させてから20分後に、照明機器50を消灯するように計画する。
【0048】
予測部21は、各エリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する。本実施形態において、施設利用者の移動情報は、監視映像記憶部40に記憶された監視カメラ41の画像、搭乗者情報記憶部80に記憶されたチェックイン情報、およびゲート通過情報の少なくともいずれかを含む情報である。施設利用者の移動情報を用いて混雑度を予測する手法について、以下で説明する。尚、監視映像記憶部40に記憶された監視カメラ41の画像を用いて混雑度を予測する手法については第1実施形態に記載したため、ここでの説明は省略する。
【0049】
まず、チェックイン情報を用いて各エリアの混雑度を予測する手法について説明する。予測部21は、搭乗者情報記憶部80を一定時間ごとに参照して、チェックインが完了した人数の時間推移の情報を得る。予測部21は、チェックインが完了した人数の時間推移に基づいて、各エリアの混雑度を予測する。例えば、予測部21は、学習済みの混雑度予測モデルを用いて、チェックインが完了した人数の時間推移を入力とすることで、現在を含む所定期間の混雑度を予測してもよい。
【0050】
次に、ゲート通過情報を用いて各エリアの混雑度を予測する手法について説明する。予測部21は、搭乗者情報記憶部80を一定時間ごとに参照して、ゲート通過情報を得る。ゲート通過情報は、ゲート82の識別情報と、搭乗者がゲート82に搭乗券をかざした通過日時とを関連付けた図15に示すような情報である。予測部21は、ゲート通過情報を参照して、各々のエリアの混雑度の推移を得る。予測部21は、混雑度の推移を用いて、各エリアの混雑度を予測する。
【0051】
計画変更部22は、計画部24によって作成された照明機器50の制御計画を、予測部21が予測した混雑度に応じて変更する。制御部23は、計画変更部22によって変更された制御計画に基づいて照明機器50を制御し、照明機器50の制御に連動して空調機器60を制御する。
【0052】
(制御装置20の動作)
次に、本実施形態における制御装置20の動作について、図17を参照して説明する。図17は、本実施形態に係る制御装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【0053】
計画部24は、各エリアに設置された照明機器50の制御計画を作成する(ステップS21)。具体的には、計画部24は、フライト情報記憶部70に記憶されたフライト情報を参照して、照明機器50の制御計画を作成する。
【0054】
次に、予測部21は、各エリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する(ステップS22)。施設利用者の移動情報は、監視映像記憶部40に記憶された監視カメラ41の画像、搭乗者情報記憶部80に記憶されたチェックイン情報、およびゲート通過情報の少なくともいずれかを含む情報である。
【0055】
次に、計画変更部22は、計画部24によって作成された照明機器50の制御計画を、予測部21が予測した混雑度に応じて変更する(ステップS23)。
【0056】
次に、制御部23は、計画変更部22によって変更された制御計画に基づいて照明機器50を制御する(ステップS24)。また、制御部23は、照明機器50の制御に連動して空調機器60を制御する(ステップS25)。制御装置20は、ステップS25の処理を終えると、上述した一連の処理を終了する。
【0057】
(効果)
本実施形態の制御装置は、上述のように構成されている。本実施形態の制御装置は、第1実施形態の制御装置から得られる効果に加えて、以下のような効果を得る。
【0058】
本実施形態における制御装置は、計画部を備える。計画部は、フライト情報に基づいて制御計画を作成する。フライト情報は、欠航等の航空機の運航状況についての情報および時刻変更に関する情報を含む。フライト情報に基づいて計画を立てることにより、例えば航空機で欠航になった便があった場合に、その便に関連するエリアが使用されていないにも関わらず消灯されていないという状況を防ぐことができる。
【0059】
本実施形態における制御装置は、予測部を備える。予測部は、複数のエリアから構成される施設の各エリアの混雑度を、施設利用者の移動情報を用いて予測する。移動情報は、チェックイン情報、空港内に設置されたゲートの通過情報、および施設に設置された監視カメラの映像のうち少なくともいずれかを含む。移動情報がチェックイン情報である場合、予測部は、チェックイン情報としてチェックインが完了した人数を用いて、各々のエリアの混雑度を予測する。チェックイン情報を用いることにより、航空機に搭乗する人数または搭乗した人数を正確に把握することができるので、より正確に混雑度を予測することができる。
【0060】
(変形例)
第1実施形態および第2実施形態では、空港のターミナルビルに制御システムを適用する場合について説明したが、上述の例に限らず他の施設に適用されてもよい。本開示における制御装置は、空港のターミナルビルのように複数のエリアに区分され、混雑度が時間によって変化する施設に適用することで効果を発揮する。例えば、本開示の制御システムは、学校等の施設に適用されてもよい。学校に適用する場合、照明機器の制御計画は、例えば学校のカリキュラムや時間割表から作成される。混雑度の予想は、学校に設置された監視カメラの映像または講義の履修人数等の情報を用いて予測される。
【0061】
[コンピュータによるハードウェア構成]
以上説明した本開示の各実施形態における各構成要素は、その機能をハードウェア的に実現することは勿論、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアによって実現することができる。
【0062】
図18は、本開示における制御装置を、プロセッサを含むコンピュータ装置90で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。各実施形態の制御装置は、コンピュータ装置90によって実現される。コンピュータ装置90は、図13に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、プログラムを格納するハードディスク等の記憶装置93、入力装置および出力装置接続用の入出力インタフェース94、およびネットワーク接続用の通信インタフェース95を含む。
【0063】
CPU91は、オペレーティングシステムを動作させて、本開示の制御装置を制御する。例えば、CPU91は、ドライブ装置等に装着された記憶媒体からメモリ92にプログラムやデータを読み出す。また、CPU91は、例えば、本開示の制御装置10における予測部11、計画変更部12、または制御部13の一部として機能し、プログラムに基づいて処理または命令を実行する。
【0064】
記憶装置93は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、または半導体メモリ等である。記憶装置の一部の記憶媒体は、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている外部コンピュータ(図示せず)からダウンロードされてもよい。
【0065】
入出力インタフェース94に接続される入力装置は、例えばマウスやキーボード等により実現され、入力操作に用いられる。同様に、入出力インタフェース94に接続される出力装置は、例えばディスプレイ等によって実現され、出力結果の表示および確認に用いられる。
【0066】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は、内容に支障がない範囲で変更することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、2 制御システム
10、20 制御装置
11、21 予測部
12、22 計画変更部
13、23 制御部
24 計画部
30 制御計画記憶部
40 監視映像記憶部
41 監視カメラ
50 照明機器
60 空調機器
70 フライト情報記憶部
71 フライトインフォメーションシステム(Flight information System:FIS)
80 搭乗者情報記憶部
81 チェックイン情報管理システム
82 ゲート
90 コンピュータ装置
91 CPU(Central Processing Unit)
92 メモリ
93 記憶装置
94 入出力インタフェース
95 通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18