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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179521
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】パウチ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20241219BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65D30/16 G
B65D33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098428
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居敷 俊生
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA14
3E064AD26
3E064BA22
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC18
3E064BC20
3E064EA07
3E064EA30
3E064FA04
3E064GA02
3E064HE02
3E064HF03
3E064HG01
3E064HM01
3E064HN65
(57)【要約】
【課題】気体封入空間が設けられた襠部を確実に広げられるパウチ容器を提供する。
【解決手段】パウチ容器1は、気体封入空間50を内部に有し、第1壁部11および第2壁部を含む胴部10と、襠部20と、第1胴部シール部61aと、第1襠部シール部62aと、第2襠部シール部62bとを備える。第1襠部シール部62aと第2襠部シール部62bとは、第1胴部シール部61aに達するように形成される。気体封入空間50は、第1胴部空間51と、これに第1襠部シール部62aの第1根元部62a1にて連通する第1襠部空間53とを含む。第1襠部シール部62aは、第1襠部空間53の外縁を規定する第1外側シール部66と内縁を規定する第1内側シール部67とを含む。第1外側シール部66の第1根元部62a1を規定する部分には、第1内側シール部67側に突出する第1外側突出部66aが設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される収容空間および当該収容空間とは異なる空間である気体封入空間が内部に設けられてなるパウチ容器であって、
前記収容空間を規定し、互いに対向するシート状の第1壁部および第2壁部を有する胴部と、
前記収容空間を規定するシート状の襠部と、
前記第1壁部の幅方向の一対の縁部のうちの一方および前記第2壁部の前記幅方向の一対の縁部のうちの一方が重ね合わせられて接合されることによって形成された第1胴部シール部と、
前記第1壁部の前記幅方向と交差する高さ方向の縁部に対して前記襠部の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、前記第1壁部の前記高さ方向の縁部の延在方向に沿って延びるとともに前記第1胴部シール部に達するように形成された第1襠部シール部と、
前記第2壁部の前記高さ方向の縁部に対して前記襠部の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、前記第2壁部の前記高さ方向の縁部の延在方向に沿って延びるとともに前記第1胴部シール部に達するように形成された第2襠部シール部とを備え、
前記気体封入空間は、前記第1胴部シール部によって取り囲まれるように形成された第1胴部空間と、前記第1襠部シール部によって取り囲まれるように形成された第1襠部空間とを含み、
前記第1襠部空間は、前記第1襠部シール部のうちの前記第1胴部シール部側の端部である第1根元部において前記第1胴部空間に連通し、
前記第1襠部シール部は、前記第1襠部空間の外縁を規定する第1外側シール部と、前記第1襠部空間の内縁を規定する第1内側シール部とを含み、
前記第1外側シール部のうちの前記第1根元部を規定する部分に、前記第1内側シール部側に向けて突出する第1外側突出部が設けられている、パウチ容器。
【請求項2】
前記気体封入空間が、前記第2襠部シール部によって取り囲まれるように形成された第2襠部空間をさらに含み、
前記第2襠部空間が、前記第2襠部シール部のうちの前記第1胴部シール部側の端部である第2根元部において前記第1胴部空間および前記第1襠部空間の双方に連通し、
前記第2襠部シール部が、前記第2襠部空間の外縁を規定する第2外側シール部と、前記第2襠部空間の内縁を規定する第2内側シール部とを含み、
前記第2外側シール部のうちの前記第2根元部を規定する部分に、前記第2内側シール部側に向けて突出する第2外側突出部が設けられている、請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項3】
前記第1壁部の前記幅方向の一対の縁部のうちの他方および前記第2壁部の前記幅方向の一対の縁部のうちの他方が重ね合わせられて接合されることによって形成された第2胴部シール部をさらに備え、
前記気体封入空間が、前記第2胴部シール部によって取り囲まれるように形成された第2胴部空間をさらに含み、
前記第1襠部シール部が、前記第2胴部シール部に達するように形成され、
前記第2襠部シール部が、前記第2胴部シール部に達するように形成され、
前記第1襠部空間が、前記第1襠部シール部のうちの前記第2胴部シール部側の端部である第3根元部において前記第2胴部空間に連通し、
前記第2襠部空間が、前記第2襠部シール部のうちの前記第2胴部シール部側の端部である第4根元部において前記第2胴部空間および前記第1襠部空間の双方に連通し、
前記第1外側シール部のうちの前記第3根元部を規定する部分に、前記第1内側シール部側に向けて突出する第3外側突出部が設けられ、
前記第2外側シール部のうちの前記第4根元部を規定する部分に、前記第2内側シール部側に向けて突出する第4外側突出部が設けられている、請求項2に記載のパウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が収容される収容空間および当該収容空間とは異なる空間である気体封入空間が内部に設けられてなるパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、国際公開第2022/168653号(特許文献1)には、天襠部と側端部との双方に保形性を向上させるための気体封入空間が設けられてなるパウチ容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/168653号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたパウチ容器においては、気体封入空間が設けられた部分において剛性が高められることにより、自立性および保形性の向上が図られている。一方で、このように剛性が高められることに起因して、天襠部を十分に広げることが難しくなり、その結果、パウチ容器の形状に歪みが生じたり、収容空間が減容されてしまったりするという問題が生じ得る。
【0005】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、気体封入空間が設けられた襠部を確実に広げることができるパウチ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づくパウチ容器は、内容物が収容される収容空間および当該収容空間とは異なる空間である気体封入空間が内部に設けられてなるものであって、胴部と、襠部と、第1胴部シール部と、第1襠部シール部と、第2襠部シール部とを備えている。上記胴部は、上記収容空間を規定し、互いに対向するシート状の第1壁部および第2壁部を有する。上記襠部は、上記収容空間を規定するシート状のものである。上記第1胴部シール部は、上記第1壁部の幅方向の一対の縁部のうちの一方および上記第2壁部の上記幅方向の一対の縁部のうちの一方が重ね合わせられて接合されることによって形成されている。上記第1襠部シール部は、上記第1壁部の上記幅方向と交差する高さ方向の縁部に対して上記襠部の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、上記第1壁部の上記高さ方向の縁部の延在方向に沿って延びるとともに上記第1胴部シール部に達するように形成されている。上記第2襠部シール部は、上記第2壁部の上記高さ方向の縁部に対して上記襠部の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、上記第2壁部の上記高さ方向の縁部の延在方向に沿って延びるとともに上記第1胴部シール部に達するように形成されている。上記気体封入空間は、上記第1胴部シール部によって取り囲まれるように形成された第1胴部空間と、上記第1襠部シール部によって取り囲まれるように形成された第1襠部空間とを含んでいる。上記第1襠部空間は、上記第1襠部シール部のうちの上記第1胴部シール部側の端部である第1根元部において上記第1胴部空間に連通している。上記第1襠部シール部は、上記第1襠部空間の外縁を規定する第1外側シール部と、上記第1襠部空間の内縁を規定する第1内側シール部とを含んでいる。上記本発明に基づくパウチ容器にあっては、上記第1外側シール部のうちの上記第1根元部を規定する部分に、上記第1内側シール部側に向けて突出する第1外側突出部が設けられている。
【0007】
上記本発明に基づくパウチ容器にあっては、上記気体封入空間が、上記第2襠部シール部によって取り囲まれるように形成された第2襠部空間をさらに含んでいてもよい。その場合には、上記第2襠部空間が、上記第2襠部シール部のうちの上記第1胴部シール部側の端部である第2根元部において上記第1胴部空間および上記第1襠部空間の双方に連通していてもよい。また、その場合には、上記第2襠部シール部が、上記第2襠部空間の外縁を規定する第2外側シール部と、上記第2襠部空間の内縁を規定する第2内側シール部とを含んでいてもよい。さらに、その場合には、上記第2外側シール部のうちの上記第2根元部を規定する部分に、上記第2内側シール部側に向けて突出する第2外側突出部が設けられていてもよい。
【0008】
上記本発明に基づくパウチ容器にあっては、上記第1壁部の上記幅方向の一対の縁部のうちの他方および上記第2壁部の上記幅方向の一対の縁部のうちの他方が重ね合わせられて接合されることによって形成された第2胴部シール部をさらに備えていてもよい。その場合には、上記気体封入空間が、上記第2胴部シール部によって取り囲まれるように形成された第2胴部空間をさらに含んでいてもよい。また、その場合には、上記第1襠部シール部が、上記第2胴部シール部に達するように形成されるとともに、上記第2襠部シール部が、上記第2胴部シール部に達するように形成されていてもよい。さらに、その場合には、上記第1襠部空間が、上記第1襠部シール部のうちの上記第2胴部シール部側の端部である第3根元部において上記第2胴部空間に連通するとともに、上記第2襠部空間が、上記第2襠部シール部のうちの上記第2胴部シール部側の端部である第4根元部において上記第2胴部空間および上記第1襠部空間の双方に連通していてもよい。また、その場合には、上記第1外側シール部のうちの上記第3根元部を規定する部分に、上記第1内側シール部側に向けて突出する第3外側突出部が設けられるとともに、上記第2外側シール部のうちの上記第4根元部を規定する部分に、上記第2内側シール部側に向けて突出する第4外側突出部が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、気体封入空間が設けられた襠部を確実に広げることができるパウチ容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係るパウチ容器を前面側から見た斜視図である。
図2】実施の形態に係るパウチ容器を背面側から見た斜視図である。
図3】実施の形態に係るパウチ容器の気体封入空間が封止される前の状態における正面図である。
図4】第1変形例に係るパウチ容器の気体封入空間が封止される前の状態における正面図である。
図5】第2変形例に係るパウチ容器の気体封入空間が封止される前の状態における正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
(実施の形態)
図1および図2は、実施の形態に係るパウチ容器をそれぞれ前面側および背面側から見た斜視図である。図3は、実施の形態に係るパウチ容器の気体封入空間が封止される前の状態の正面図である。まず、図1ないし図3を参照して、本実施の形態に係るパウチ容器1の構成について説明する。
【0013】
図1ないし図3に示すように、パウチ容器1は、胴部10と、天襠部20と、底襠部30とを主として備えている。パウチ容器1は、内容物が収容される収容空間40と、当該収容空間40とは異なる空間である気体封入空間50とが、その内部に設けられてなるものである。
【0014】
胴部10は、互いに対向する一対のシート状の胴部用フィルム部材にて構成されている。一対の胴部用フィルム部材のうちの一方は、前壁部11を構成しており、一対の胴部用フィルム部材のうちの他方は、後壁部12を構成している。
【0015】
胴部10の幅方向の縁部には、前壁部11および後壁部12の各々の幅方向の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、第1胴部シール部61aと第2胴部シール部61bとが形成されている。
【0016】
本実施の形態においては、前壁部11が第1壁部に対応しており、後壁部12が第2壁部に対応している。
【0017】
天襠部20は、平面視略八角形状のシート状の天襠部用フィルム部材にて構成されている(図3参照)。前壁部11と天襠部20との境界部分には、前壁部11の幅方向と交差する高さ方向の縁部に対して天襠部20の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、第1天襠部シール部62aが形成されている。第1天襠部シール部62aは、前壁部11の上記縁部の延在方向に沿って延びている。第1天襠部シール部62aは、一端が第1胴部シール部61aに達するとともに、他端が第2胴部シール部61bに達するように形成されている。
【0018】
後壁部12と天襠部20との境界部分には、後壁部12の幅方向と交差する高さ方向の縁部に対して天襠部20の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、第2天襠部シール部62bが形成されている。第2天襠部シール部62bは、後壁部12の上記縁部の延在方向に沿って延びている。第2天襠部シール部62bは、一端が第1胴部シール部61aに達するとともに、他端が第2胴部シール部61bに達するように形成されている。
【0019】
本実施の形態においては、天襠部20が襠部に対応している。また、第1天襠部シール部62aが第1襠部シール部に対応しており、第2天襠部シール部62bが第2襠部シール部に対応している。
【0020】
天襠部20には、スパウト80が、天襠部20の中央部分に設けられた孔部に挿通されるように当該天襠部20に接合されることで設けられている。スパウト80は、パウチ容器1の収容空間40から内容物を注出するための筒状の注出口を有するものである。本実施の形態においては、スパウト80の注出口に、これを塞ぐキャップが取付けられている。
【0021】
天襠部20にスパウト80を固定する方法としては、ヒートシール、超音波シールもしくは高周波シール等による融着、または、接着剤による接着等の公知の方法を用いることができる。
【0022】
底襠部30は、シート状の底襠部用フィルム部材にて構成されている。前壁部11と底襠部30との境界部分には、前壁部11の高さ方向の縁部に対して底襠部30の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、第1底襠部シール部63aが形成されている。後壁部12と底襠部30との境界部分には、後壁部12の高さ方向の縁部に対して底襠部30の縁部が重ね合わせられて接合されることにより、第2底襠部シール部63bが形成されている。
【0023】
パウチ容器1の収容空間40は、これら胴部10、天襠部20および底襠部30によって規定されている。収容空間40は、第1胴部シール部61a、第2胴部シール部61b、第1天襠部シール部62a、第2天襠部シール部62b、第1底襠部シール部63aおよび第2底襠部シール部63bによって、外部に対して気密に封止されている。
【0024】
収容空間40に内容物が充填された状態におけるパウチ容器1の高さ方向および幅方向の双方と直交する方向における天襠部20の寸法(図3中の寸法D1)は、同方向における底襠部30の寸法(図3中の寸法D2の2倍の寸法)よりも約10mm小さいことが好ましい。これにより、天襠部20を大きく広げることができる。
【0025】
胴部10を構成する一対の胴部用フィルム部材、天襠部20を構成する天襠部用フィルム部材および底襠部30を構成する底襠部用フィルム部材は、たとえば樹脂製のフィルム部材にて構成される。当該樹脂製のフィルム部材は、好ましくは、包装体としての基本性能(耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性等)を発揮するベースフィルム層と、接合を可能にするためのシーラント層との積層体にて構成される。また、当該樹脂製のフィルム部材は、場合によっては、これらベースフィルム層およびシーラント層に加え、高いガスバリア性や遮光性等の付加性能を発揮するバリア層をこれらベースフィルム層とシーラント層との間に備えた積層体にて構成される。
【0026】
ベースフィルム層の材質としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル等が用いられる。シーラント層の材質としては、たとえば、低密度ポリエチレン等が用いられる。バリア層の材質としては、アルミニウム等に代表される金属等が用いられる。上述したフィルム部材同士のシール方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等による融着、もしくは接着剤による接着等が挙げられる。
【0027】
パウチ容器1には、さらに、収容空間40とは異なる空間である気体封入空間50が設けられている。気体封入空間50は、第1胴部シール部61aによって取り囲まれるように形成された第1胴部空間51と、第2胴部シール部61bによって取り囲まれるように形成された第2胴部空間52と、第1天襠部シール部62aによって取り囲まれるように形成された第1天襠部空間53と、第2天襠部シール部62bによって取り囲まれるように形成された第2天襠部空間54とを含んでいる。
【0028】
本実施の形態においては、第1天襠部空間53が第1襠部空間に対応しており、第2天襠部空間54が第2襠部空間に対応している。
【0029】
第1胴部空間51と第2胴部空間52とは、胴部10の高さ方向に沿って延びている。第1天襠部空間53は、第1天襠部シール部62aの延在方向に沿って延びている。第2天襠部空間54は、第2天襠部シール部62bの延在方向に沿って延びている。
【0030】
第1天襠部空間53は、第1天襠部シール部62aのうちの第1胴部シール部61a側の端部である第1根元部62a1において第1胴部空間51に連通している。この第1天襠部空間53が第1胴部空間51に連通する位置を第1連通位置CP1と称する(図3等参照)。
【0031】
また、第1天襠部空間53は、第1天襠部シール部62aのうちの第2胴部シール部61b側の端部である第3根元部62a3において第2胴部空間52に連通している。この第1天襠部空間53が第2胴部空間52に連通する位置を第2連通位置CP2と称する(図3等参照)。
【0032】
第2天襠部空間54は、第2天襠部シール部62bのうちの第1胴部シール部61a側の端部である第2根元部62b2において第1胴部空間51と第1天襠部空間53との双方に連通している(図3中の第1連通位置CP1参照)。また、第2天襠部空間54は、第2天襠部シール部62bのうちの第2胴部シール部61b側の端部である第4根元部62b4において第2胴部空間52および第1天襠部空間53の双方に連通している(図3中の第2連通位置CP2参照)。
【0033】
すなわち、これら第1胴部空間51、第2胴部空間52、第1天襠部空間53および第2天襠部空間54からなる気体封入空間50は、単一の空間を構成している。
【0034】
気体封入空間に封入される気体としては、たとえば空気、窒素、酸素、アルゴンあるいはヘリウム等の不活性ガス等を用いることができる。特に、空気を用いる場合には、パウチ容器1の製造コストをより安価にすることができる。
【0035】
気体封入空間50は、その幅寸法が一定となるように構成されてもよいし、位置によって幅寸法が異なることとなるように構成されてもよい。
【0036】
ここで、上述した第1天襠部シール部62aは、第1天襠部空間53の外縁を規定する第1外側シール部66と、第1天襠部空間53の内縁を規定する第1内側シール部67とを含んでいる。
【0037】
第1外側シール部66のうちの第1根元部62a1を規定する部分には、第1内側シール部67側に向けて突出する第1外側突出部66aが設けられている。また、第1外側シール部66のうちの第3根元部62a3を規定する部分には、第1内側シール部67側に向けて突出する第3外側突出部66bが設けられている。
【0038】
これにより、第1天襠部空間53のうちの第1外側突出部66aによって外縁を規定された部分と第3外側突出部66bによって外縁を規定された部分が、その幅寸法(すなわち、第1天襠部空間53の延在方向と交差する方向における寸法)が局所的に小さく構成された幅狭部となっている。
【0039】
同様に、第2天襠部シール部62bは、第2天襠部空間54の外縁を規定する第2外側シール部68と、第2天襠部空間54の内縁を規定する第2内側シール部69とを含んでいる。
【0040】
第2外側シール部68のうちの第2根元部62b2を規定する部分には、第2内側シール部69側に向けて突出する第2外側突出部68aが設けられている。また、第2外側シール部68のうちの第4根元部62b4を規定する部分には、第2内側シール部69側に向けて突出する第4外側突出部68bが設けられている。
【0041】
これにより、第2天襠部空間54のうちの第2外側突出部68aによって外縁を規定された部分と第4外側突出部68bによって外縁を規定された部分とが、それらの幅寸法が局所的に小さく構成された幅狭部となっている。
【0042】
以上のようにパウチ容器1を構成することにより、気体封入空間が設けられた襠部を確実に広げることが可能になるが、その詳細については後述することとする。
【0043】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るパウチ容器1の気体封入空間50への気体の封入方法について説明する。
【0044】
図3に示すように、気体封入空間50に気体が封入される前の状態におけるパウチ容器1においては、天襠部20が、第1天襠部シール部62aが形成された部分の天襠部20の縁部から外側に向けて突出する第1舌状部70aを含んでいる。また、前壁部11が、第1天襠部シール部62aが形成された部分の前壁部11の縁部から外側に向けて突出するとともに、第1舌状部70aに重なる第2舌状部70bを含んでいる。第2舌状部70bの突出長さは、第1舌状部70aの突出長さよりも長くなるように形成されている。
【0045】
第1舌状部70aおよび第2舌状部70bの各々の幅方向の両端部は、互いに接合されている。これにより、第1天襠部シール部62aが形成された部分の天襠部20の縁部と、第1天襠部シール部62aが形成された部分の前壁部11の縁部とには、突出形状の気体注入部70が設けられている。
【0046】
気体注入部70は、これを介して気体封入空間50に気体を注入するためのものである。気体注入部70には、第1天襠部空間53に連通する注入口71が形成されている。注入口71は、第1舌状部70aの突出方向における先端部および当該先端部に対向する部分の第2舌状部70bによって規定されている。気体封入空間50には、注入口71に気体注入装置のノズル等を挿入した状態で当該気体注入装置から気体を注入することにより、気体が封入されることになる。
【0047】
気体注入部70は、本実施の形態の如くパウチ容器1の幅方向における第1天襠部シール部62aの中央部分に設けられるか、あるいは、上記幅方向における第2天襠部シール部62bの中央部分に設けられることが好ましい。これにより、上記幅方向の両端に位置する第1胴部空間51および第2胴部空間52に対して、均等に気体を注入することが可能になる。
【0048】
ここで、第2舌状部70bの突出長さが第1舌状部70aの突出長さよりも長くなるように形成されていることにより、気体注入部70の先端部には、第2舌状部70bの先端部によって構成されたガイド部72が位置している。
【0049】
ガイド部72は、注入口71に気体注入装置のノズル等を挿入する際に、ノズル等を挿入するためのガイドとして機能する。これにより、ノズル等の挿入をスムーズに行なうことが可能になるため、気体封入空間50への気体の注入の容易化と製造の容易化とを図ることができる。
【0050】
気体注入部70は、これを介して気体封入空間50に気体が注入された後に、当該気体注入部70の根元部分(図3中の領域M参照)においてシールされる。これにより、気体封入空間50への気体の封入が完了する。気体注入部70は、気体封入空間50への気体の封入が完了した後にパウチ容器1から切除される。
【0051】
なお、気体注入部70は、必ずしもこれが第1天襠部シール部62aに形成される必要はなく、第2天襠部シール部62bや第1胴部シール部61a、あるいは第2胴部シール部61bのうちのいずれかに形成されてもよい。
【0052】
また、気体注入部70は、必ずしもガイド部72を含む必要はない。すなわち、気体注入部70を構成する第1舌状部70aおよび第2舌状部70bの各々の突出長さは、略同一であってもよい。
【0053】
以上において説明した本実施の形態に係るパウチ容器1とすることにより、気体封入空間50が設けられた襠部としての天襠部20を確実に広げることができる。
【0054】
すなわち、本実施の形態に係るパウチ容器1の如く、襠部としての天襠部に気体封入空間が設けられている場合においては、パウチ容器の自立性および保形性の向上が図られる一方で、気体封入空間が設けられた部分において剛性が高められることに起因して、天襠部を十分に広げることが難しくなる。
【0055】
より詳細には、パウチ容器の収容空間に内容物が収容された場合には、前壁部および後壁部が、互いに離間する方向に向けて膨らむように変形する。この変形に伴って天襠部が広げられるところ、第1連通位置CP1に隣接する第1根元部62a1においては、第1胴部空間51と第1天襠部空間53とが天襠部の展開を妨げ、当該部分において歪みが生じることになる(第2連通位置CP2に隣接する第3根元部62a3においても同様である)。
【0056】
この点、本実施の形態に係るパウチ容器1にあっては、上述したように、第1外側シール部66のうちの第1根元部62a1を規定する部分に、第1外側突出部66aが設けられている。これにより、第1天襠部空間53のうちの第1外側突出部66aによって外縁を規定された部分が、その幅寸法が局所的に小さく構成された幅狭部となり、この幅狭部が、第1天襠部空間53のうちの幅狭部以外の部分に比べて剛性が低い脆弱部となる。
【0057】
このように構成することにより、第1根元部62a1において歪みが生じることを効果的に抑制でき、ひいては、天襠部20をより大きく広げることが可能になる。
【0058】
また、上述の如く第1外側突出部66aが設けられることにより、第1外側突出部66aが設けられていない場合に比べ、第1根元部62a1を規定する部分の第1外側シール部66の領域を第1外側突出部66aの領域の分だけ大きく構成できる。
【0059】
このように、第1連通位置CP1に隣接しかつ天襠部20の外縁を規定する部分にシール部をより広く配置することにより、当該部分に位置する気体封入空間50の領域を小さくすることができる。これによっても天襠部20をより大きく広げることが可能になる。
【0060】
したがって、以上のように構成することにより、気体封入空間が設けられた襠部を確実に広げることができるパウチ容器とすることができる。
【0061】
また、本実施の形態に係るパウチ容器1においては、上記の如くの構成とすることにより、前壁部11のうちの、気体封入空間50が封止される前の状態(図3参照)において天襠部20に重なる部分と後壁部12に重なる部分との境界部分の近傍の領域において、皺や歪みが発生することを効果的に防止できる。そのため、パウチ容器1の収容空間40に内容物が収容された際に、前壁部11を、後壁部12から離間する方向に向けてきれいに膨らませることが可能になる。この効果は、後壁部12においても同様に奏される。なお、理解を容易とするために、図2において、後壁部12のうちの上記境界部分の近傍の領域を領域Nとして表わしている。
【0062】
さらに、本実施の形態に係るパウチ容器1においては、第2外側シール部68のうちの第2根元部62b2を規定する部分においても、上述した第1外側突出部66aと同様の構成を有する第2外側突出部68aが設けられている。これにより、脆弱部としての幅狭部が第2根元部62b2に位置することになる。そのため、第2根元部62b2においても歪みが生じることを効果的に抑制でき、ひいては、天襠部20をより大きく広げることが可能になる。
【0063】
また、本実施の形態に係るパウチ容器1においては、上述した第1外側突出部66aおよび第2外側突出部68aと同様の構成を有する第3外側突出部66bおよび第4外側突出部68bもまた設けられている。このように構成することにより、パウチ容器1の幅方向における天襠部20の両端において天襠部20を大きく広げることが可能になる。
【0064】
さらに、本実施の形態に係るパウチ容器1においては、平面視略八角形状に構成された天襠部20の外縁が含む8辺のうちの第1連通位置CP1が位置する辺の両端のうちの一方に第1外側突出部66aが位置し、他方に第2外側突出部68aが位置することが好ましい。また、上記8辺のうち、第2連通位置CP2が位置する辺の両端のうちの一方に第3外側突出部66bが位置し、他方に第4外側突出部68bが位置することが好ましい。これにより、天襠部20をより大きく広げることが可能になる。
【0065】
また、本実施の形態に係るパウチ容器1においては、第1外側突出部66aが、第2内側シール部69のうちの第2根元部62b2側の端部の略延長線上に位置し、第2外側突出部68aが、第1内側シール部67のうちの第1根元部62a1側の端部の略延長線上に位置することが好ましい。また、第3外側突出部66bが、第2内側シール部69のうちの第4根元部62b4側の端部の略延長線上に位置し、第4外側突出部68bが、第1内側シール部67のうちの第3根元部62a3側の端部の略延長線上に位置することが好ましい。これによっても、天襠部20をより大きく広げることが可能になる。
【0066】
さらに、本実施の形態に係るパウチ容器1にあっては、気体封入空間50が、胴部10の軸方向において延在する第1胴部空間51および第2胴部空間52をさらに含んでいる。このように構成することにより、パウチ容器1Aの自立性を向上させることができるばかりでなく、第1胴部空間51および第2胴部空間52を把持部として機能させることもできる。これにより、パウチ容器1のハンドリングがより容易になる効果も得られる。
【0067】
なお、パウチ容器1の胴部10は、上述した一対のシート状のフィルム部材を用いた方法に従って製作される必要は必ずしもなく、他の方法に従って製作されてもよい。たとえば、1枚のフィルム状のシートの幅方向の縁部同士を重ね合わせた上でこれらをシールする方法等に従って製作されてもよい。この場合においては、第2胴部空間は形成されず、第1胴部空間のみが形成されることになる。
【0068】
(第1変形例)
図4は、第1変形例に係るパウチ容器の気体封入空間が封止される前の状態における正面図である。以下、図4を参照して、上述した実施の形態に基づいた第1変形例に係るパウチ容器1Aについて説明する。
【0069】
図4に示すように、第1変形例に係るパウチ容器1Aは、上述した実施の形態に係るパウチ容器1と比較した場合に、第1天襠部シール部62aの第1内側シール部67、および、第2天襠部シール部62bの第2内側シール部69の構成が相違している。
【0070】
より詳細には、第1変形例に係るパウチ容器1Aにおいては、第1内側シール部67のうちの第1根元部62a1を規定する部分に、第1外側シール部66側に向けて突出する第1内側突出部67aが設けられている。第1内側突出部67aは、上述した第1外側突出部66aに対向配置されている。
【0071】
また、第1内側シール部67のうちの第3根元部62a3を規定する部分には、第1外側シール部66側に向けて突出する第3内側突出部67bが設けられている。第3内側突出部67bは、上述した第3外側突出部66bに対向配置されている。
【0072】
第2内側シール部69のうちの第2根元部62b2を規定する部分には、第2外側シール部68側に向けて突出する第2内側突出部69aが設けられている。第2内側突出部69aは、上述した第2外側突出部68aに対向配置されている。
【0073】
第2内側シール部69のうちの第4根元部62b4を規定する部分には、第2外側シール部68側に向けて突出する第4内側突出部69bが設けられている。第4内側突出部69bは、上述した第4外側突出部68bに対向配置されている。
【0074】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態において説明した効果と同様の効果が得られることになり、気体封入空間が設けられた襠部を確実に広げることができるパウチ容器とすることができる。
【0075】
また、上述の如く第1内側突出部67aが設けられた場合には、第1天襠部空間53のうちの第1外側突出部66aによって外縁を規定された部分に形成される幅狭部の幅寸法をより小さく構成できる。これによって当該幅狭部の剛性をさらに低くさせることにより、天襠部20をより大きく広げることが可能になる。この効果は、第2内側突出部69a、第3内側突出部67bおよび第4内側突出部69bにおいても同様に奏される。
【0076】
(第2変形例)
図5は、第2変形例に係るパウチ容器の気体封入空間が封止される前の状態における正面図である。以下、図5を参照して、上述した実施の形態に基づいた第2変形例に係るパウチ容器1Bについて説明する。
【0077】
図5に示すように、第2変形例に係るパウチ容器1Bは、上述した実施の形態に係るパウチ容器1と比較した場合に、第1外側突出部66a1、第2外側突出部68a1、第3外側突出部66b1および第4外側突出部68b1の位置が相違している。
【0078】
より詳細には、第2変形例に係るパウチ容器1Bにおいては、第1外側シール部66のうちの第1根元部62a1を規定する部分に設けられた第1外側突出部66a1が、実施の形態に係るパウチ容器1における第1外側突出部66aに比べ、わずかに第3根元部62a3側に向けて移動した位置に配置されている。
【0079】
また、パウチ容器1Bにおいては、第2外側シール部68のうちの第2根元部62b2を規定する部分に設けられた第2外側突出部68a1が、実施の形態に係るパウチ容器1における第2外側突出部68aに比べ、わずかに第4根元部62b4側に向けて移動した位置に配置されている。
【0080】
さらに、パウチ容器1Bにおいては、第1外側シール部66のうちの第3根元部62a3を規定する部分に設けられた第3外側突出部66b1が、実施の形態に係るパウチ容器1における第3外側突出部66bに比べ、わずかに第1根元部62a1側に向けて移動した位置に配置されている。
【0081】
また、パウチ容器1Bにおいては、第2外側シール部68のうちの第4根元部62b4を規定する部分に設けられた第4外側突出部68b1が、実施の形態に係るパウチ容器1における第4外側突出部68bに比べ、わずかに第2根元部62b2側に向けて移動した位置に配置されている。
【0082】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態において説明した効果と同様の効果が得られることになり、気体封入空間が設けられた襠部を確実に広げることができるパウチ容器とすることができる。
【0083】
(その他の形態等)
以上において説明した実施の形態およびその変形例に係るパウチ容器は、樹脂成型品からなる容器に比較して、樹脂の使用量を大幅に削減できるものである。また、以上において説明した実施の形態およびその変形例に係るパウチ容器は、樹脂成型品からなる容器に比較して、使用後において気体封入空間から気体を抜くことにより、これを折り畳めるものであるため、減容化した上で廃棄することができるものである。
【0084】
また、以上において説明した実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0085】
さらに、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0086】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0087】
1,1A,1B パウチ容器、10 胴部、11 前壁部、12 後壁部、20 天襠部、30 底襠部、40 収容空間、50 気体封入空間、51 第1胴部空間、52 第2胴部空間、53 第1天襠部空間、54 第2天襠部空間、61a 第1胴部シール部、61b 第2胴部シール部、62a 第1天襠部シール部、62a1 第1根元部、62a3 第3根元部、62b 第2天襠部シール部、62b2 第2根元部、62b4 第4根元部、63a 第1底襠部シール部、63b 第2底襠部シール部、66 第1外側シール部、66a,66a1 第1外側突出部、66b,66b1 第3外側突出部、67 第1内側シール部、67a 第1内側突出部、67b 第3内側突出部、68 第2外側シール部、68a,68a1 第2外側突出部、68b,68b1 第4外側突出部、69 第2内側シール部、69a 第2内側突出部、69b 第4内側突出部、70 入部、70a 第1舌状部、70b 第2舌状部、71 注入口、72 ガイド部、80 スパウト、CP1 第1連通位置、CP2 第2連通位置、M,N 領域。
図1
図2
図3
図4
図5