IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヤモリの特許一覧

特開2024-179522情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179522
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20241219BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20241219BHJP
   G06Q 50/163 20240101ALI20241219BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098435
(22)【出願日】2023-06-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年4月5日に下記のアドレスのウェブサイトに掲載 https://www.yamori.co.jp/post/pr004 〔刊行物等〕 令和5年4月5日に下記のアドレスのウェブサイトに掲載 https://www.aioinissaydowa.co.jp/corporate/about/news/pdf/2023/news_2023040501146.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】522473553
【氏名又は名称】株式会社ヤモリ
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 涼哉
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA01
5C086CA25
5C086DA08
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB74
5C087DD03
5C087EE08
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5L049CC28
5L050CC28
(57)【要約】
【課題】賃貸住宅に適した見守りサービスを提供する。
【解決手段】賃貸住宅の入居者に関する情報であって、前記賃貸住宅における前記入居者の動きを示す情報を取得するセンサの識別情報を少なくとも含む入居者情報を、記憶する記憶部と、前記識別情報に対応する前記センサにより取得された情報に基づいて前記入居者の安否確認の実施要否を判定し、安否確認の実施要と判定された場合に安否確認が実際に実施されたか否かを示す情報を取得して前記入居者情報として前記記憶部に記憶させる制御部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
賃貸住宅の入居者に関する情報であって、前記賃貸住宅における前記入居者の動きを示す情報を取得するセンサの識別情報を少なくとも含む入居者情報を、記憶する記憶部と、
前記識別情報に対応する前記センサにより取得された情報に基づいて前記入居者の安否確認の実施要否を判定し、安否確認の実施要と判定された場合に安否確認が実際に実施されたか否かを示す情報を取得して前記入居者情報として前記記憶部に記憶させる制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、安否確認の実施要と判定された場合に、安否確認を依頼するメッセージを前記賃貸住宅の管理会社に送信し、前記管理会社による安否確認の実施有無を示す情報を前記入居者情報として前記記憶部に記憶させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記管理会社による安否確認が実施されなかった場合、前記賃貸住宅の大家に、前記管理会社による安否確認が実施されていないことを示す情報を送信する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記安否確認を依頼するメッセージは、安否確認を実施しなかった場合に発生し得る損害を示す情報を含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記入居者情報を、前記賃貸住宅にかけられた保険の保険者である保険会社に送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記センサにより取得された情報を、前記入居者情報として前記記憶部に記憶させる、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記入居者の行動パターンに関する情報をさらに記憶し、
前記制御部は、前記入居者の行動パターンに関する情報にさらに基づいて、前記入居者の安否確認の実施要否を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記賃貸住宅にかけられた保険を示す情報をさらに記憶し、
前記制御部は、前記賃貸住宅にかけられた保険を示す情報にさらに基づいて、前記入居者の安否確認の実施要否を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
賃貸住宅の入居者に関する情報であって、前記賃貸住宅における前記入居者の動きを示す情報を取得するセンサの識別情報を少なくとも含む入居者情報を、記憶するよう記憶部を制御することと、
前記識別情報に対応する前記センサにより取得された情報に基づいて前記入居者の安否確認の実施要否を判定することと、
安否確認の実施要と判定された場合に安否確認が実際に実施されたか否かを示す情報を取得して前記入居者情報として記憶するよう前記記憶部を制御することと、
を含む情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
賃貸住宅の入居者に関する情報であって、前記賃貸住宅における前記入居者の動きを示す情報を取得するセンサの識別情報を少なくとも含む入居者情報を、記憶するよう記憶部を制御し、
前記識別情報に対応する前記センサにより取得された情報に基づいて前記入居者の安否確認の実施要否を判定し、
安否確認の実施要と判定された場合に安否確認が実際に実施されたか否かを示す情報を取得して前記入居者情報として記憶するよう前記記憶部を制御する、制御部として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本社会では、高齢化等の要因で単身世帯が増えている。しかし、単身世帯に十分な量及び質の賃貸住宅が提供されているとは言い難い。賃貸住宅の大家は、単身高齢者をはじめとする単身世帯を敬遠する傾向にあるためである。敬遠する要因のひとつは、賃貸住宅において孤独死が発生した場合に、賃貸住宅の資産価値が低下することにある。
【0003】
人の生活を守るための技術のひとつに、見守りサービスがある。例えば、下記特許文献1に、IoT(Internet of Things)センサを利用して見守り対象者の生活に発生した異変を検知し、緊急通報を発する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-183414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された技術は、開発されてから未だ日が浅く、様々な観点で向上の余地が残されている。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、賃貸住宅に適した見守りサービスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、賃貸住宅の入居者に関する情報であって、前記賃貸住宅における前記入居者の動きを示す情報を取得するセンサの識別情報を少なくとも含む入居者情報を、記憶する記憶部と、前記識別情報に対応する前記センサにより取得された情報に基づいて前記入居者の安否確認の実施要否を判定し、安否確認の実施要と判定された場合に安否確認が実際に実施されたか否かを示す情報を取得して前記入居者情報として前記記憶部に記憶させる制御部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
前記制御部は、安否確認の実施要と判定された場合に、安否確認を依頼するメッセージを前記賃貸住宅の管理会社に送信し、前記管理会社による安否確認の実施有無を示す情報を前記入居者情報として前記記憶部に記憶させてもよい。
【0009】
前記制御部は、前記管理会社による安否確認が実施されなかった場合、前記賃貸住宅の大家に、前記管理会社による安否確認が実施されていないことを示す情報を送信してもよい。
【0010】
前記安否確認を依頼するメッセージは、安否確認を実施しなかった場合に発生し得る損害を示す情報を含んでもよい。
【0011】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記入居者情報を、前記賃貸住宅にかけられた保険の保険者である保険会社に送信してもよい。
【0012】
前記制御部は、前記センサにより取得された情報を、前記入居者情報として前記記憶部に記憶させてもよい。
【0013】
前記記憶部は、前記入居者の行動パターンに関する情報をさらに記憶し、前記制御部は、前記入居者の行動パターンに関する情報にさらに基づいて、前記入居者の安否確認の実施要否を判定してもよい。
【0014】
前記記憶部は、前記賃貸住宅にかけられた保険を示す情報をさらに記憶し、前記制御部は、前記賃貸住宅にかけられた保険を示す情報にさらに基づいて、前記入居者の安否確認の実施要否を判定してもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、賃貸住宅の入居者に関する情報であって、前記賃貸住宅における前記入居者の動きを示す情報を取得するセンサの識別情報を少なくとも含む入居者情報を、記憶するよう記憶部を制御することと、前記識別情報に対応する前記センサにより取得された情報に基づいて前記入居者の安否確認の実施要否を判定することと、安否確認の実施要と判定された場合に安否確認が実際に実施されたか否かを示す情報を取得して前記入居者情報として記憶するよう前記記憶部を制御することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータにより実行されるプログラムであって、前記プログラムは、前記コンピュータを、賃貸住宅の入居者に関する情報であって、前記賃貸住宅における前記入居者の動きを示す情報を取得するセンサの識別情報を少なくとも含む入居者情報を、記憶するよう記憶部を制御し、前記識別情報に対応する前記センサにより取得された情報に基づいて前記入居者の安否確認の実施要否を判定し、安否確認の実施要と判定された場合に安否確認が実際に実施されたか否かを示す情報を取得して前記入居者情報として記憶するよう前記記憶部を制御する、制御部として機能させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、賃貸住宅に適した見守りサービスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係る見守りシステムの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係るシステムにおいて実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.概要>
以下、図1を参照しながら、本発明の一実施形態の概要を説明する。図1は、本実施形態に係る見守りシステム1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、システム1は、サーバ10、複数のセンサ20(20A及び20B)、及び管理会社端末30を含む。システム1は、賃貸住宅に入居する入居者の見守りサービスを提供する。賃貸住宅とは、賃貸借の契約に基づき他人に貸し出される居住用建物全般を指す。賃貸住宅は、一軒家であってもよいし、マンション等の集合住宅の一室であってもよい。入居者とは、賃貸住宅に住む人であり、典型的には賃貸借契約の契約者である。以下では、入居者は、賃貸住宅に一人で住む、単身世帯であるものとする。
【0021】
センサ20は、賃貸住宅に配置され、賃貸住宅における入居者の動きを示す情報を取得する。センサ20は、いわゆるモーションセンサであってよく、センサ20により取得される情報(以下、センサ情報とも称する)は多様に考えられる。一例として、センサ20は、光学カメラ又は深度センサを含んでいてもよい。その場合、センサ20は、生活空間における入居者の行動を示す画像又は深度情報を、センサ情報として取得することができる。他の一例として、センサ20は、マイクロフォンを含んでいてもよい。その場合、センサ20は、入居者が発する音声及び生活音を、センサ情報として取得することができる。他にも、センサ20は、温度センサ、又は光電センサ等の他のセンサを含んでいてもよい。
【0022】
センサ20は、通信機能を有する、いわゆるIoTセンサであってよい。センサ20は、LAN(Local area network)、Wi-Fi(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))、又はLPWA(Low Power Wide Area)等の任意の通信規格に準拠した通信を行い得る。センサ20は、取得したセンサ情報をサーバ10にアップロードする。
【0023】
サーバ10は、システム1の動作全体を制御する情報処理装置である。サーバ10は、センサ20により取得されたセンサ情報を収集及び蓄積しながら、賃貸住宅に入居する入居者に対する安否確認の実施要否を判定する。そして、サーバ10は、安否確認の実施要と判定された場合に安否確認を実施するよう、賃貸住宅を管理する管理会社の管理会社端末30に依頼する。その後、サーバ10は、管理会社による安否確認の実施結果を収集及び蓄積する。
【0024】
管理会社端末30は、賃貸住宅を管理する管理会社により使用される情報処理装置である。管理会社端末30は、サーバ10から依頼された安否確認を実施するよう、管理会社の社員に促す。安否確認は、賃貸住宅への訪問、入居者への電話、又はメール若しくはSNS(Social Networking Service)等を用いたメッセージ送受信等の、多様な方法で実施され得る。また、管理会社端末30は、管理会社の社員による安否確認の実施結果の入力を受け付け、入力された情報をサーバ10へ送信する。なお、管理会社とは、賃貸住宅を大家に代わって管理する組織を指す。管理会社は、法人、法人格を有さない団体、又は個人により運営されてよい。大家とは、賃貸住宅の持ち主であって、賃貸借契約の契約者である。
【0025】
本実施形態に係るシステム1によれば、賃貸住宅に入居する入居者の健康的な生活を見守り、孤独死を防止することができる。その結果、孤独死の発生に伴う賃貸住宅の資産価値の低下を防止することが可能となる。
【0026】
ここで、大家向けの賃貸住宅の保険(以下、大家保険とも称する)が保険会社から提供される場合がある。大家保険は、賃貸住宅の資産価値の低下をてん補する保険である。大家保険は、センサ20の配置を条件に契約可能であってもよいし、センサ20の配置を条件に保険料が割り引かれてもよい。センサ20を配置した賃貸住宅では孤独死が起きにくくなるため、孤独死に起因する賃貸住宅の資産価値の低下も起きにくいためである。本実施形態に係るシステム1によれば、賃貸住宅にセンサ20を配置して大家保険に加入することで、孤独死の発生を防止して賃貸住宅の資産価値の低下を抑制すると共に、仮に孤独死が発生した場合であっても低下した資産価値を補償することができる。さらには、高齢であることを理由にこれまで賃貸住宅への入居が難しかった単身高齢者が、センサ20の配置及び大家保険への加入に同意することを条件に入居できるようになることも期待される。その結果、大家が単身世帯に賃貸住宅を貸し出しやすくなるので、社会全体で単身世帯に十分な量及び質の賃貸住宅が提供されることが期待される。
【0027】
なお、保険会社とは、大家保険の保険者である。保険者とは、保険契約の当事者のうち、保険給付を行う義務を負う者である。
【0028】
大家保険は、損害保険契約に分類される保険であってよい。損害保険契約とは、保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約するものである。
【0029】
賃貸住宅の大家は、大家保険の保険契約者及び被保険者である。保険契約者とは、保険契約の当事者のうち、保険料を支払う義務を負う者である。被保険者とは、損害保険契約によりてん補することとされる損害を受ける者である。
【0030】
なお、図1に示したシステム1は、1つの管理会社の管理会社端末30、及び当該1つの管理会社により管理される複数の賃貸住宅に配置されたセンサ20を含むが、本発明はかかる例に限定されない。システム1は、複数の管理会社の管理会社端末30、及び当該複数の管理会社の各々により管理される複数の賃貸住宅に配置されたセンサ20を含んでいてもよい。その場合、サーバ10は、安否確認の実施要と判定した入居者が入居する賃貸住宅を管理する管理会社に、安否確認を実施するよう依頼すればよい。
【0031】
<2.見守りサービスの詳細>
サーバ10は、入居者情報を記憶する。入居者情報とは、賃貸住宅の入居者に関する情報である。入居者情報は、入居者が入居する賃貸住宅に配置されたセンサ20の識別情報を含む。かかる識別情報を、以下ではセンサID(identifier)とも称する。センサIDにより、入居者が入居する賃貸住宅に配置されたセンサ20を一意に特定することが可能となる。入居者情報は、入居者の属性情報をさらに含んでいてもよい。入居者の属性情報としては、入居者の氏名、年齢、性別、住所、及び連絡先等が挙げられる。
【0032】
サーバ10は、センサIDに対応するセンサ20により取得されたセンサ情報に基づいて入居者の安否確認の実施要否を判定する。詳しくは、サーバ10は、入居者情報に含まれるセンサIDに基づいて、入居者の賃貸住宅に配置されたセンサ20を特定する。そして、サーバ10は、特定したセンサ20により取得されたセンサ情報に基づいて、入居者の安否確認の実施要否を判定する。一例として、サーバ10は、入居者が何ら行動していない時間が所定時間を超えた場合に、安否確認の実施要と判定する。他の一例として、サーバ10は、入居者がひとつの部屋に留まっている時間が所定時間を超えた場合に、安否確認の実施要と判定する。もちろん、安否確認の実施要否の判定基準はこれらの例に限定されず、任意の判定基準が採用されてよい。
【0033】
サーバ10は、安否確認の実施要と判定された場合に、安否確認を依頼するメッセージ(以下、安否確認リクエストとも称する)を、センサ20が配置された賃貸住宅の管理会社に送信する。安否確認リクエストは、入居者の氏名、住所、及び連絡先等の安否確認のために使用される情報を含み得る。安否確認リクエストは、賃貸住宅への訪問、入居者への電話、又はメッセージ送受信等の安否確認の方法を指定する情報を含んでいてもよい。その場合、適切な方法での安否確認の実施を、管理会社に促すことが可能となる。管理会社は、安否確認リクエストに基づいて、安否確認を実施することが期待される。もちろん、管理会社は、安否確認を実施しない場合もあり得る。かかる構成によれば、管理会社に安否確認を実施するよう促し、入居者の孤独死を防止することが可能となる。
【0034】
安否確認を依頼するメッセージは、安否確認を実施しなかった場合に発生し得る損害を示す情報を含んでいてもよい。安否確認を実施しなかった場合に発生し得る損害を示す情報としては、入居者が孤独死した場合に発生する、特殊清掃費、又は告知事項あり物件になることに伴う賃貸住宅の資産価値の低下幅等の損害額が挙げられる。例えば、サーバ10は、賃貸住宅の現在の資産価値又は賃料に所定の係数を乗算することで損害額を推定してもよい。所定の係数としては、20~30%程度が採用され得る。かかる構成によれば、安否確認を実施しなかった場合の損害を可視化することができる。その結果、安否確認を実施するよう、より強く管理会社を動機付けることが可能となる。
【0035】
管理会社は、安否確認の結果を報告するメッセージ(以下、安否確認レポートとも称する)をサーバ10に送信する。安否確認レポートは、安否確認の実施有無を示す情報を少なくとも含む。他に、安否確認レポートは、実施した安否確認の方法を示す情報、安否確認の実施時刻を示す情報、又は安否確認の結果を示す情報の少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。安否確認の結果としては、特に問題なかった、転倒してケガをした、又は体調が悪い、等が挙げられる。
【0036】
サーバ10は、入居者に対して実施された又は実施要と判定されたにも関わらず実施されなかった安否確認に関する情報(以下、安否確認の実施履歴とも称する)を、入居者情報として記憶する。詳しくは、サーバ10は、安否確認の実施要と判定された場合に、安否確認が実際に実施されたか否かを示す情報を安否確認レポートから取得して、安否確認の実施履歴として記憶する。即ち、安否確認の実施履歴は、管理会社による安否確認の実施有無を示す情報を少なくとも含む。安否確認の実施履歴は、管理会社による安否確認の実施有無を示す情報以外にも、安否確認レポートに含まれる情報を含んでいてもよい。また、安否確認の実施履歴は、安否確認リクエストに含まれる情報を含んでいてもよい。他にも、安否確認の実施履歴は、安否確認の実施要と判定された時刻、安否確認リクエストの送信時刻、安否確認リクエストの送信先、安否確認レポートの送信元、及び安否確認レポートの受信時刻等の、安否確認に関するその余の情報を含んでいてもよい。かかる構成によれば、入居者ごと且つ賃貸住宅ごとに、安否確認の実施履歴を残すことができる。その結果、賃貸住宅において適切に見守りサービスが提供されているか否かを、把握することが可能となる。
【0037】
サーバ10は、センサ20により取得されたセンサ情報の履歴を、入居者情報として記憶してもよい。とりわけ、サーバ10は、安否確認の実施要又は実施不要と判定した際に利用したセンサ情報を、安否確認の実施履歴として記憶してもよい。かかる構成によれば、記憶されたセンサ情報に基づいて、安否確認の実施要否の判定が適切であったか否かを、事後的に検証することが可能となる。
【0038】
サーバ10は、記憶した入居者情報を、賃貸住宅にかけられた保険の保険者である保険会社に送信してもよい。例えば、サーバ10は、賃貸住宅を対象とする大家保険を提供する保険会社に、当該賃貸住宅の入居者の入居者情報を送信してもよい。保険会社は、受信した入居者情報に含まれる安否確認の実施履歴を、保険金又は保険料の算定に利用し得る。例えば、保険会社は、安否確認の実施要と判定される度に安否確認が実施されていることが、安否確認の実施履歴から認められる場合に、保険料を割り引いてもよい。かかる構成によれば、大家保険を適切に運用することが可能となる。
【0039】
以下、図2を参照しながら、本実施形態に係るシステム1において実行される処理の流れの一例を説明する。図2は、本実施形態に係るシステム1において実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、サーバ10、センサ20、及び管理会社端末30が関与する。
【0040】
図2に示すように、まず、センサ20は、センサ情報を取得して、取得したセンサ情報をサーバ10にアップロードする(ステップS102)。
【0041】
次いで、サーバ10は、センサ20からアップロードされたセンサ情報を記憶し(ステップS104)、安否確認の実施要否を判定する(ステップS106)。
【0042】
安否確認の実施不要と判定された場合(ステップS106:NO)、サーバ10は、次にセンサ20からセンサ情報がアップロードされるまで待機する。
【0043】
他方、安否確認の実施要と判定された場合(ステップS106:YES)、サーバ10は、安否確認リクエストを管理会社端末30に送信する(ステップS108)。管理会社端末30は、例えば、受信した安否確認リクエストを出力して、管理会社の社員に安否確認の実施を促す。そして、管理会社の社員は、安否確認を実施すると、安否確認の結果を管理会社端末30に入力する。
【0044】
その後、管理会社端末30は、安否確認レポートをサーバ10に送信する(ステップS110)。安否確認レポートは、ステップS108において実施された安否確認の結果を示す情報を含む。
【0045】
サーバ10は、安否確認レポートを受信すると、受信した安否確認レポートに基づいて安否確認の実施履歴を記憶する(ステップS112)。
【0046】
<3.ハードウェア構成例>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、図3に示す情報処理装置900は、例えば、図1に示したサーバ10を実現し得る。本実施形態に係るサーバ10による情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明するハードウェアとの協働により実現される。
【0047】
図3に示すように、情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903及びホストバス904aを備える。また、情報処理装置900は、ブリッジ904、外部バス904b、インタフェース905、入力装置906、出力装置907、ストレージ装置908、及び通信装置909を備える。
【0048】
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。情報処理装置900は、CPU901に代えて、又はこれとともに、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)若しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の電気回路を有してもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901によるプログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。CPU901は、例えば、サーバ10の制御部を形成し得る。そして、CPU901は、入居者情報を記憶する、安否確認の実施要否を判定する、安否確認リクエストを送信する、及び安否確認レポートを受信して安否確認の実施履歴を更新する、といった、サーバ10において実施される各種処理を制御する。
【0049】
CPU901、ROM902及びRAM903は、CPUバスなどを含むホストバス904aにより相互に接続されている。ホストバス904aは、ブリッジ904を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス904bに接続されている。なお、必ずしもホストバス904a、ブリッジ904及び外部バス904bを分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0050】
入力装置906は、ユーザから情報が入力される装置である。そのような装置としては、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等が挙げられる。他にも、入力装置906は、音声入力を受け付けるマイクロフォン、又はジェスチャ入力を受け付けるカメラを含んでいてもよい。情報処理装置900のユーザは、入力装置906を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理の実行を指示したりすることができる。
【0051】
出力装置907は、情報をユーザに対して出力する装置である。そのような装置として、ディスプレイ及びプロジェクタ等の視覚情報を出力する装置、スピーカ等の聴覚情報を出力する装置、並びに偏心モータ等の触覚情報を出力する装置等が挙げられる。出力装置907は、例えば、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を出力する。
【0052】
ストレージ装置908は、データを格納する装置である。そのような装置としては、HDD等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び光磁気記憶デバイス等が挙げられる。ストレージ装置908は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置908は、例えば、サーバ10の記憶部を形成し得る。そして、ストレージ装置908は、入居者情報をはじめとするシステム1内で使用される各種情報を記憶する。
【0053】
通信装置909は、有線又は無線で他の装置と通信する装置である。通信装置909は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、LPWA(Low Power Wide Area)、又はUSB(Universal Serial Bus)等の任意の通信規格に準拠した通信を行う。通信装置909は、例えば、サーバ10における通信部を形成し得る。そして、通信装置909は、管理会社端末30との間で安否確認リクエスト又は安否確認レポートを送受信したり、保険会社に入居者情報を送信したりし得る。
【0054】
以上、本実施形態に係る情報処理装置900の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて実現されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより実現されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0055】
<4.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
(1)第1の変形例
サーバ10は、安否確認の実施要否の判定基準を、入居者ごとに設定してもよい。以下、具体的な設定例を説明する。
【0057】
サーバ10は、入居者の健康状態を示す情報を、入居者情報として記憶していてもよい。ここでの健康状態を示す情報としては、持病、既往歴、及び通院履歴等が挙げられる。そして、サーバ10は、入居者の健康状態を示す情報に基づいて、安否確認の実施要否を判定してもよい。例えば、サーバ10は、入居者に持病がある場合には、安否確認の実施要と判定されやすくなるよう、判定基準を緩めてもよい。かかる構成によれば、安否確認の実施要否の判定精度を向上させることが可能となる。
【0058】
サーバ10は、入居者の行動パターンに関する情報を、入居者情報として記憶していてもよい。ここでの行動パターンとは、センサ情報の時系列推移に現れるパターンである。サーバ10は、センサ情報の時系列推移をパターン認識することで、入居者の行動パターンを特定してもよい。例えば、サーバ10は、入居者が起床後に決まって行う行動、及び昼食時にいつもの椅子に座る行動等に対応するセンサ情報の時系列推移を、行動パターンとして特定し得る。そして、サーバ10は、入居者の行動パターンに関する情報に基づいて、入居者の安否確認の実施要否を判定してもよい。例えば、サーバ10は、センサ情報の時系列推移が、入居者の行動パターンから乖離する場合に、安否確認の実施要と判定してもよい。かかる構成によれば、入居者がいつもと異なる行動をとっている場合に、安否確認の実施要と判定され得る。入居者が賃貸住宅内で行動していても、それが倒れたまま起き上がれずに苦しんでいる等、通常とは異なる行動をとっている場合に、安否確認を実施することができる。このように、安否確認の実施要否の判定精度を向上させることが可能となる。
【0059】
サーバ10は、安否確認の実施履歴に基づいて、安否確認の実施要否の判定基準を更新してもよい。例えば、サーバ10は、実施された安否確認において入居者が体調を崩していたことが判明した場合、復調するまでの間は安否確認の実施要と判定されやすくなるよう、判定基準を緩めてもよい。かかる構成によれば、安否確認の実施要否の判定精度を動的に最適化することが可能となる。
【0060】
サーバ10は、賃貸住宅に掛けられた大家保険を示す情報を記憶していてもよい。そして、サーバ10は、賃貸住宅に掛けられた大家保険に基づいて、入居者の安否確認の実施要否を判定してもよい。例えば、サーバ10は、保険金又は保険料が多額であるほど安否確認の実施要と判定されやすくなるよう、判定基準を緩めてもよい。かかる構成によれば、大家保険の内容に応じて、安否確認の手厚さを最適化することが可能となる。
【0061】
(2)第2の変形例
サーバ10は、安否確認の実施要否の判定基準を、安否確認を実施する管理会社ごとに設定してもよい。以下、具体的な設定例を説明する。
【0062】
サーバ10は、安否確認リクエストの送信時刻から安否確認の実施時刻までのタイムラグに基づいて、安否確認の実施要否の判定基準を設定してもよい。例えば、サーバ10は、タイムラグが長いほど、安否確認の実施要と判定されやすくなるよう、判定基準を緩めてもよい。かかる構成によれば、安否確認の実施が遅れがちな管理会社に対しては、早いタイミングで安否確認リクエストを送信することができる。その結果、入居者の孤独死をより確実に防止することが可能となる。
【0063】
(3)その他
上記では、サーバ10が安否確認レポートを管理会社から受信する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。サーバ10は、安否確認リクエストを送信したにも関わらず安否確認レポートを受信しない場合があり得る。管理会社が安否確認を実施せず、結果を管理会社端末30に入力しない場合がその一例である。そこで、サーバ10は、安否確認リクエストを送信してから所定時間が経過した場合に、安否確認を実施していないと推認し、その旨を安否確認の実施履歴として記憶してもよい。
【0064】
サーバ10は、管理会社による安否確認が実施されなかった場合、賃貸住宅の大家に、管理会社による安否確認が実施されていないことを示す情報を送信してもよい。これにより、サーバ10は、管理会社の代わりに安否確認を実施するよう、賃貸住宅の大家を促すことができる。サーバ10は、賃貸住宅の大家から、安否確認レポートを受信してもよく、受信した安否確認レポートに基づいて、安否確認の実施履歴を記憶してもよい。かかる構成によれば、入居者の孤独死をより確実に防止することが可能となる。
【0065】
サーバ10は、入居者本人から、安否確認レポートを受信してもよい。入居者は、管理会社から安否確認を受けた場合に、受けた安否確認を報告するメッセージを、安否確認レポートとしてサーバ10に送信し得る。そして、サーバ10は、管理会社から受信した安否確認レポートと入居者本人から受信した安否確認レポートとを照合してもよい。これにより、サーバ10は、安否確認を実施していないにも関わらず実施したと報告するような虚偽の報告を検知して、安否確認の実施履歴の改ざん防止を図ることが可能となる。
【0066】
上記では、センサ20が賃貸住宅に配置される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。センサ20は、賃貸住宅の入居者に装着されてもよい。その場合、センサ20は、心拍、血圧、及び体温等の生体情報を検出する生体センサ、又は加速度及び角速度等の慣性情報を検出する慣性センサ等を含んでいてもよい。
【0067】
上記では、入居者が単身世帯である例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。システム1により提供される見守りサービスは、シェアハウス又はルームシェアのように、1つの居住用建物内に複数人で住む入居者を対象としてもよい。また、システム1が提供する見守りサービスの対象者は、賃貸住宅に入居する入居者に限定されず、持ち家に一人暮らしをしている高齢者等の、持ち家に入居する入居者を含んでいてもよい。即ち、システム1は、住居が賃貸住宅であるか持ち家であるかを問わず、広く不安を抱える人を対象に、上述した見守りサービスを提供してもよい。
【0068】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(詳しくは、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、本明細書において説明した各装置を制御するコンピュータによる実行時にRAM(Random Access Memory)に読み込まれ、CPU(Central Processing Unit)などの処理回路により実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。また、上記のコンピュータは、ASIC(application specific integrated circuit)のような特定用途向け集積回路、ソフトウエアプログラムを読み込むことで機能を実行する汎用プロセッサ、又はクラウドコンピューティングに使用されるサーバ上のコンピュータ等であってよい。また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、単数のコンピュータにより集中して処理されてもよく、複数のコンピュータにより分散して処理されてもよい。さらに、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されてもよい。
【0069】
また、本明細書においてフローチャート又はシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 システム
10 サーバ
20 センサ
30 管理会社端末
図1
図2
図3