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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179527
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】レギュレーター及び回路装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G05F1/56 310N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098445
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】関田 真一
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF02
5H430FF13
5H430HH03
5H430JJ03
5H430JJ04
(57)【要約】
【課題】安定して電圧精度が高い出力電圧を出力できるレギュレーター等の提供。
【解決手段】入力電圧VD5をレギュレートして出力電圧VDDを出力するレギュレーター10は、出力電圧VDDを分圧した電圧をフィードバック電圧として出力する分圧回路20と、フィードバック電圧を基準電圧と比較する演算増幅器OPと、入力電圧VD5のノードと出力電圧のノードとの間に設けられ、演算増幅器OPの出力に基づいて制御される駆動トランジスターTRと、出力電圧VDDの調整信号を出力するロジック回路40と、調整信号に基づいて出力電圧VDDを調整する出力電圧調整回路30を含む。分圧回路20は、複数の抵抗と、各スイッチが複数の抵抗の各抵抗に並列に設けられた複数のスイッチを含み、出力電圧調整回路30は、調整信号に応じた制御信号を複数のスイッチに出力し、出力電圧調整回路30には出力電圧VDDが電源電圧として供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧をレギュレートして出力電圧を出力するレギュレーターであって、
前記出力電圧を分圧した電圧をフィードバック電圧として出力する分圧回路と、
前記フィードバック電圧を基準電圧と比較する演算増幅器と、
前記入力電圧のノードと前記出力電圧のノードとの間に設けられ、前記演算増幅器の出力に基づいて制御される駆動トランジスターと、
前記出力電圧の調整信号を出力するロジック回路と、
前記調整信号に基づいて前記出力電圧を調整する出力電圧調整回路と、
を含み、
前記分圧回路は、
複数の抵抗と、
各スイッチが前記複数の抵抗の各抵抗に並列に設けられた複数のスイッチと、
を含み、
前記出力電圧調整回路は、
前記調整信号に応じた制御信号を前記複数のスイッチに出力し、
前記出力電圧調整回路には、
前記出力電圧が電源電圧として供給されることを特徴とするレギュレーター。
【請求項2】
請求項1に記載のレギュレーターにおいて、
前記複数のスイッチの前記各スイッチは、並列に接続されたN型のトランジスター及びP型のトランジスターにより構成され、
前記出力電圧調整回路は、
前記N型のトランジスター及び前記P型のトランジスターの一方を制御する第1制御信号を出力する第1インバーターと、
前記第1インバーターの出力が入力され、前記N型のトランジスター及び前記P型のトランジスターの他方を制御する第2制御信号を出力する第2インバーターと、
を含むことを特徴とするレギュレーター。
【請求項3】
請求項1に記載のレギュレーターにおいて、
前記ロジック回路は、
初期値レジスターを含み、
パワーオンリセット後に前記初期値レジスターからの前記出力電圧の調整値の初期値に基づいて、前記調整信号を出力することを特徴とするレギュレーター。
【請求項4】
請求項1に記載のレギュレーターにおいて、
前記ロジック回路は、
不揮発性メモリーから読み出された前記出力電圧の調整値に基づいて、前記調整信号を出力することを特徴とするレギュレーター。
【請求項5】
請求項1に記載のレギュレーターにおいて、
前記出力電圧調整回路及び前記ロジック回路には、前記出力電圧が電源電圧として共通に供給されることを特徴とするレギュレーター。
【請求項6】
請求項1に記載のレギュレーターにおいて、
前記複数の抵抗は、
前記フィードバック電圧が出力されるフィードバック電圧ノードと所定電圧ノードとの間に設けられる第1抵抗群と、
前記出力電圧のノードと前記フィードバック電圧ノードとの間に設けられる第2抵抗群と、
を含むことを特徴とするレギュレーター。
【請求項7】
請求項6に記載のレギュレーターにおいて、
前記ロジック回路は、
前記第1抵抗群のうちの第1抵抗と並列に設けられた第1スイッチがオン又はオフの一方の状態になる場合に、前記第2抵抗群のうちの第2抵抗と並列に設けられた第2スイッチがオン及びオフの他方の状態になるように、前記調整信号を出力することを特徴とするレギュレーター。
【請求項8】
請求項7に記載のレギュレーターにおいて、
第1抵抗と第2抵抗は、同じ抵抗値の抵抗であることを特徴とするレギュレーター。
【請求項9】
請求項6に記載のレギュレーターにおいて、
前記分圧回路は、
前記第1抵抗群に対して直列に設けられた第3抵抗と、
前記第2抵抗群に対して直列に設けられた第4抵抗と、
を含み、
前記第3抵抗及び前記第4抵抗の抵抗値は、前記複数のスイッチの全てがオン又はオフの場合に前記出力電圧が所与の設定電圧になるように設定されることを特徴とするレギュレーター。
【請求項10】
請求項6に記載のレギュレーターにおいて、
前記分圧回路は、
前記第1抵抗群と前記所定電圧ノードとの間に設けられた帰還抵抗遮断用のスイッチを含むことを特徴とするレギュレーター。
【請求項11】
請求項10に記載のレギュレーターにおいて、
前記帰還抵抗遮断用のスイッチの制御信号は、前記入力電圧に基づく信号であることを特徴とするレギュレーター。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のレギュレーターと、
前記入力電圧に基づいて充電対象を充電する充電回路と、
前記充電回路を制御する充電制御回路と、
を含み、
前記出力電圧は、
前記充電制御回路の電源電圧又は前記充電制御回路に用いられる検出回路の電源電圧として供給されることを特徴とする回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レギュレーター及び回路装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリーからの放電電力を電力供給対象に供給する際の電力供給を制御する制御装置が記載されている。そして特許文献1の図6等には、入力電圧をレギュレートして出力電圧を出力するレギュレーターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-143704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなレギュレーターでは、例えばレギュレーターの初期設定時、動作開始時、或いは動作中などにおいて、出力電圧が不安定になってしまうおそれがあることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、入力電圧をレギュレートして出力電圧を出力するレギュレーターであって、前記出力電圧を分圧した電圧をフィードバック電圧として出力する分圧回路と、前記フィードバック電圧を基準電圧と比較する演算増幅器と、前記入力電圧のノードと前記出力電圧のノードとの間に設けられ、前記演算増幅器の出力に基づいて制御される駆動トランジスターと、前記出力電圧の調整信号を出力するロジック回路と、前記調整信号に基づいて前記出力電圧を調整する出力電圧調整回路と、を含み、前記分圧回路は、複数の抵抗と、各スイッチが前記複数の抵抗の各抵抗に並列に設けられた複数のスイッチと、を含み、前記出力電圧調整回路は、前記調整信号に応じた制御信号を前記複数のスイッチに出力し、前記出力電圧調整回路には、前記出力電圧が電源電圧として供給されるレギュレーターに関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記に記載のレギュレーターと、前記入力電圧に基づいて充電対象を充電する充電回路と、前記充電回路を制御する充電制御回路と、を含み、前記出力電圧は、前記充電制御回路の電源電圧又は前記充電制御回路に用いられる検出回路の電源電圧として供給される回路装置に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態のレギュレーターの構成例。
図2】本実施形態のレギュレーターの詳細な構成例。
図3】レギュレーターの動作を説明する信号波形図。
図4】比較例の問題点の説明図。
図5】比較例での各ノードの信号波形図。
図6】本実施形態での各ノードの信号波形図。
図7】分圧回路の詳細な構成例。
図8】出力電圧を所与の設定電圧に設定する手法の説明図。
図9】本実施形態の回路装置の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0009】
1.レギュレーター
図1に本実施形態のレギュレーター10の構成例を示す。レギュレーター10は、入力電圧VD5をレギュレートして出力電圧VDDを出力する回路である。例えばレギュレーター10は、入力電圧VD5を降圧したレギュレート電圧である出力電圧VDDを基準電圧VRFに基づき生成して出力する。このようにすれば例えばバンドギャップリファレンス回路などの不図示の基準電圧生成回路により生成された基準電圧VRFを利用して、入力電圧VD5をレギュレートした定電圧の出力電圧VDDを生成できるようになる。入力電圧VD5は例えば第1電源電圧であり、出力電圧VDDは例えば第2電源電圧である。一例として、入力電圧VD5は5.0~3.5V程度であり、出力電圧VDDは例えば1.8V程度である。レギュレーター10は、分圧回路20、演算増幅器OP、駆動トランジスターTR、出力電圧調整回路30、ロジック回路40を含む。なおレギュレーター10は、図1や後述の図2図7等の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
【0010】
分圧回路20は、出力電圧VDDを分圧した電圧をフィードバック電圧VFBとして出力する。例えば電圧分割回路である分圧回路20は、出力電圧VDDを抵抗により電圧分割した電圧をフィードバック電圧VFBとして出力する。フィードバック電圧VFBは分圧回路20による出力電圧VDDの分圧電圧である。
【0011】
演算増幅器OPは、分圧回路20からのフィードバック電圧VFBを基準電圧VRFと比較する。例えば演算増幅器OPは第1入力端子及び第2入力端子を有する。第1入力端子は例えば反転入力端子であり、第2入力端子は例えば非反転入力端子である。そして演算増幅器OPは、基準電圧VRFが第1入力端子に入力され、フィードバック電圧VFBが第2入力端子に入力される。そして演算増幅器OPは、フィードバック電圧VFBと基準電圧VRFの差分に基づく信号を出力する。演算増幅器OPは、例えば基準電圧VRFとフィードバック電圧VFBとが差動入力される差動部と、差動部の出力が入力される出力部とを有する差動増幅回路であり、例えば入力電圧VD5を電源電圧として動作する。
【0012】
駆動トランジスターTRは、入力電圧VD5のノードNV5と出力電圧VDDのノードNVDとの間に設けられる。そして駆動トランジスターTRは、演算増幅器OPの出力に基づいて制御される。例えば駆動トランジスターTRは、演算増幅器OPの出力信号がゲートに入力されて制御される。図1では駆動トランジスターTRはP型のMOSのトランジスターである。例えば駆動トランジスターTRは、ソースがVD5のノードNV5に接続され、ゲートが演算増幅器OPの出力に接続され、ドレインがVDDのノードNVDに接続されている。なお駆動トランジスターTRは、これには限定されず、N型のMOSのトランジスターやバイポーラートランジスターなどであってもよい。例えば駆動トランジスターTRとしてN型のトランジスターを用いる場合には、演算増幅器OPの非反転入力端子に基準電圧VRFを入力し、反転入力端子にフィードバック電圧VFBを入力すればよい。
【0013】
ロジック回路40は、出力電圧VDDの調整信号AS1~AS4を出力する。調整信号AS1~AS4は、出力電圧VDDの電圧値を調整するための信号であり、出力電圧VDDの調整コードと言うこともできる。図1ではロジック回路40は、4ビットに対応する4本の調整信号AS1~AS4を出力しているが、本実施形態はこれには限定されず、例えば5本以上の調整信号であってもよい。ロジック回路40は、制御回路であり、一例としてはゲートアレイ等の自動配置配線によるASIC(Application Specific Integrated Circuit)の回路などにより実現できる。
【0014】
出力電圧調整回路30は、調整信号AS1~AS4に基づいて出力電圧VDDを調整する。例えば出力電圧調整回路30は、調整信号AS1~AS4に基づいて分圧回路20を制御することで出力電圧VDDを調整する。
【0015】
具体的には図1に示すように、分圧回路20は、複数の抵抗R0~R5と、複数のスイッチSW1~SW4を含む。スイッチSW1~SW4は、各スイッチが複数の抵抗R1~R4の各抵抗に並列に設けられている。また図1では分圧回路20には、スイッチが並列に設けられていない抵抗R0、R5も設けられている。抵抗R0~R5は、VDDのノードNVDと、VSSのノードNSとの間に直列に設けられており、ラダー抵抗回路を構成している。VSSのノードは所定電圧のノードであり、例えばGNDに対応する0Vの電圧のノードであるが、これには限定されない。例えば分圧回路20のノードN1とノードN2の間には、抵抗R1とスイッチSW1が並列に設けられ、ノードN2とノードNFの間には、抵抗R2とスイッチSW2が並列に設けられている。また分圧回路20のノードNFとノードN3の間には、抵抗R3とスイッチSW3が並列に設けられ、ノードN3とノードN4の間には、抵抗R4とスイッチSW4が並列に設けられている。またスイッチが並列に設けられていない抵抗R0は、ノードNVDとノードN1との間に設けられ、スイッチが並列に設けられていない抵抗R5は、ノードN4とノードNSとの間に設けられている。なお図1では、説明の簡素化のために抵抗の個数が6個であり、スイッチの個数が4個である場合の例を示しているが、分圧回路20における抵抗の個数やスイッチの個数は、図1の個数には限定されず、任意である。
【0016】
そして出力電圧調整回路30は、調整信号AS1~AS4に応じた制御信号CS1~CS4を複数のスイッチSW1~SW4に出力する。制御信号CS1~CS4はスイッチSW1~SW4をオン又はオフにする信号である。例えばCS1~CS4の制御信号がアクティブレベルある場合に、その制御信号が入力されるスイッチがオンになり、制御信号が非アクティブレベルである場合に、その制御信号が入力されるスイッチがオフになる。アクティブレベルは例えばハイレベルであり、非アクティブレベルは例えばローレベルである。例えばノードNAとノードNBの間に抵抗RとスイッチSWが並列に設けられていたとする。この場合にスイッチSWがオンになると、ノードNAとノードNBが短絡されて、抵抗Rはバイパスされる。一方、スイッチSWがオフになると、ノードNAとノードNBの間の抵抗値が抵抗Rにより設定される。なお実際にはスイッチSWを構成するトランジスターのオン抵抗もノードNAとノードNBの間の抵抗値に寄与する。
【0017】
例えば分圧回路20は、フィードバック電圧ノードであるノードNFからフィードバック電圧VFBを出力する。例えばノードNFとノードNSとの間の分圧回路20の抵抗値をr1とし、ノードNVDとノードNFとの間の分圧回路20の抵抗値をr2とする。抵抗値r1は、抵抗R3、R4、R5の直列の抵抗値であり、抵抗値r2は、抵抗R0、R1、R2の直列の抵抗値である。この場合に、レギュレーター10の出力電圧VDDは下式(1)のように表される。
【0018】
VDD={(r1+r2)/r1}×VRF …(1)
【0019】
出力電圧調整回路30からの制御信号CS1~CS4に基づいて、スイッチSW1~SW4がオン又はオフになって、上式(1)における抵抗値r1、r2が設定されて、出力電圧VDDの電圧値が調整される。これにより、例えば半導体のプロセス変動等により基準電圧VRFや抵抗の抵抗値にばらつきが発生した場合にも、高い電圧精度の出力電圧VDDを、レギュレーター10は出力できるようになる。
【0020】
そして本実施形態では図1に示すように、出力電圧調整回路30には、出力電圧VDDが電源電圧として供給されている。例えば出力電圧調整回路30は、出力電圧VDDを電源電圧として、制御信号CS1~CS4をスイッチSW1~SW4に出力する。例えば制御信号CS1~CS4のハイレベルの電圧が、電源電圧である出力電圧VDDの電圧レベルになる。
【0021】
例えば分圧回路20のスイッチSW1~SW4を適切にオン、オフ制御するためには、出力電圧調整回路30は、VDDよりも高い電圧の入力電圧VD5が、電源電圧として供給されて、制御信号CS1~CS4を出力することが望ましい。
【0022】
しかしながら、出力電圧VDDを調整するための制御信号CS1~CS4の電圧レベルが変化したときに、この電圧レベルの変化が原因で、分圧回路20のフィードバック電圧VFBに電圧の揺れが発生する。そして、この電圧の揺れが駆動トランジスターTR等を介して入力電圧VD5に伝わり、入力電圧VD5に電圧の揺れが発生する事態が発生する。例えば入力電圧VD5と出力電圧VDDの双方が揺れてしまう事態が発生する。この場合に、出力電圧調整回路30が、出力電圧VDDではなく入力電圧VD5を電源電圧として制御信号CS1~CS4を生成していると、入力電圧VD5の電圧の揺れが制御信号CS1~CS4に伝わり、フィードバック電圧VFBを再度揺らしてしまう事態が発生してしまう。これにより、入力電圧VD5や出力電圧VDDの電圧の揺れが収束しない状況が生じてしまう。例えば入力電圧VD5と出力電圧VDDの双方が例えば異なる位相で揺らし合うことで、VD5とVDDが共に電圧収束しない事態が発生し、レギュレーター10の出力が安定しないという問題が発生する。
【0023】
この点、本実施形態では、出力電圧調整回路30が、入力電圧VD5ではなく出力電圧VDDを電源電圧として制御信号CS1~CS4を出力する。従って、制御信号CS1~CS4の変化により、フィードバック電圧VFBが揺れて、入力電圧VD5に揺れが発生しても、この入力電圧VD5の揺れが電源電圧の揺れとして出力電圧調整回路30に伝わるのが抑制される。従って、入力電圧VD5と出力電圧VDDが共に電圧収束しない状況が発生してレギュレーター10の出力が安定しなくなる事態の発生を、効果的に防止することが可能になる。
【0024】
図2に本実施形態のレギュレーター10の詳細な構成例を示す。図2では、分圧回路20の複数のスイッチSW1~SW4の各スイッチは、並列に接続されたN型のトランジスター及びP型のトランジスターにより構成される。例えばスイッチSW1~SW4は、N型のトランジスター及びP型のトランジスターが並列に接続されたトランスファーゲートTF1~TF4により実現されている。そして出力電圧調整回路30は、制御信号XCS1~XCS4を出力するインバーターIV11~IV14と、インバーターIV11~IV14の出力が入力され、制御信号CS1~CS4を出力するインバーターIV21~IV24を含む。インバーターIV11~IV14には、例えばロジック回路40からの調整信号AS1~AS4が入力されている。インバーターIV11~IV14は第1インバーターであり、制御信号XCS1~XCS4は第1制御信号である。図2では第1制御信号であるXCS1~XCS4により、スイッチSW1~SW4(TF1~TF4)のP型のトランジスターが制御されている。但し第1制御信号によりN型のトランジスターが制御されるようにしてもよい。またインバーターIV21~IV24は第2インバーターであり、制御信号CS1~CS4は第2制御信号である。図2では第2制御信号であるCS1~CS4により、スイッチSW1~SW4(TF1~TF4)のN型のトランジスターが制御されている。但し第2制御信号によりP型のトランジスターが制御されるようにしてもよい。ここで、出力電圧VDDは、電源電圧としてインバーターIV11~IV14、インバーターIV21~IV24に供給されている。このように出力電圧調整回路30は、スイッチSW1~SW4のN型のトランジスター及びP型のトランジスターの一方を制御する第1制御信号を出力する第1インバーターと、第1インバーターの出力が入力され、スイッチSW1~SW4のN型のトランジスター及びP型のトランジスターの他方を制御する第2制御信号を出力する第2インバーターを含む。
【0025】
このように図2では、スイッチSW1~SW4の各スイッチは、並列に接続されたN型のトランジスター及びP型のトランジスターにより構成され、出力電圧調整回路30は、これらのN型のトランジスターやP型のトランジスターをオン、オフする制御信号XCS1~XCS4、CS1~CS4を出力する。このような構成にすれば、スイッチSW1~SW4がオンしたときのオン抵抗を小さくすることができ、出力電圧調整回路30からの制御信号により、スイッチSW1~SW4を適正にオン状態にすることが可能になる。例えば本実施形態では、出力電圧調整回路30の電源電圧として、入力電圧VD5よりも低い出力電圧VDDが用いられている。従って、スイッチSW1~SW4を例えばN型のトランジスターだけで構成した場合には、出力電圧VDDのノードNVDに近いスイッチのオン抵抗が非常に高くなったり、適正にオン状態にすることができなくなるおそれがある。この点、図2では、スイッチSW1~SW4が並列に接続されたN型のトランジスター及びP型のトランジスターにより構成されるため、例えばN型のトランジスターが適正なオン状態にならない場合にも、P型のトランジスターをオン状態にすることで、スイッチSW1~SW4を適正にオンすることが可能になる。
【0026】
また図2ではロジック回路40は初期値レジスター42を含む。初期値レジスター42は、出力電圧VDDの調整値の初期値を記憶するレジスターであり、例えばフリップフロップ回路などの記憶回路により実現できる。そしてロジック回路40は、パワーオンリセット後に初期値レジスター42からの出力電圧VDDの調整値の初期値に基づいて、調整信号AS1~AS4を出力する。例えばパワーオンリセットが解除された後に、ロジック回路40は、初期値レジスター42に記憶される出力電圧VDDの調整値の初期値に基づいて、調整信号AS1~AS4を生成して、出力電圧調整回路30に出力する。出力電圧調整回路30は、この出力電圧VDDの調整値の初期値に基づく調整信号AS1~AD4をバッファリングした制御信号XCS1~XCS4、CS1~CS4を分圧回路20に出力して、スイッチSW1~SW4のオン、オフを制御する。このようにスイッチSW1~SW4のオン、オフが、調整値に初期値に基づく制御信号により制御されることで、分圧回路20での抵抗比が初期値に対応する抵抗比に設定されて、調整値の初期値に対応する電圧に出力電圧VDDが設定されるようになる。このようにすれば、パワーオンリセット後に、スイッチSW1~SW4のオン、オフを適正に制御して、調整値の初期値に対応する電圧に出力電圧VDDを設定できるようになる。
【0027】
また図2ではロジック回路40は、不揮発性メモリー48から読み出された出力電圧VDDの調整値に基づいて調整信号AS1~AS4を出力する。即ち不揮発性メモリー48は、後述の図9で説明するレギュレーター10を有する回路装置2に設けられ、出力電圧VDDの調整値を記憶する。不揮発性メモリー48は、例えばFAMOS(Floating gate Avalanche injection MOS)メモリー又はMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)メモリー等のEEPROMであるが、これに限定されず、OTP(One Time Programmable)メモリー又はヒューズ型ROM等であってもよい。例えば回路装置2の半導体の製造時や検査時において、テスター等の計測機器により出力電圧VDDをモニターすることで、出力電圧VDDの調整値が決定される。即ち出力電圧VDDを所望の仕様の電圧に設定するための調整値が決定され、決定された調整値が、回路装置2の不揮発性メモリー48に書き込まれる。そして回路装置2の動作時には、ロジック回路40が、不揮発性メモリー48から調整値を読み出して、読み出された調整値に基づいて調整信号AS1~AS4を生成する。出力電圧調整回路30は、この出力電圧VDDの調整値に基づく調整信号AS1~AD4をバッファリングした制御信号XCS1~XCS4、CS1~CS4を分圧回路20に出力して、スイッチSW1~SW4のオン、オフを制御する。このようにスイッチSW1~SW4のオン、オフが、不揮発性メモリー48に記憶された調整値に基づく制御信号により制御されることで、分圧回路20での抵抗比が調整値に対応する抵抗比に設定されて、調整値に対応する電圧に出力電圧VDDが設定されるようになる。このようにすれば、不揮発性メモリー48に記憶された調整値に基づきスイッチSW1~SW4のオン、オフを適正に制御して、調整値に対応する電圧に出力電圧VDDを設定できるようになる。
【0028】
また図2では、出力電圧調整回路30及びロジック回路40には、出力電圧VDDが電源電圧として共通に供給される。即ち出力電圧調整回路30に出力電圧VDDが電源電圧として供給されると共に、ロジック回路40にも出力電圧VDDが供給される。このようにすればレギュレーター10により生成される出力電圧VDDに基づいて、ロジック回路40を動作させて、調整信号AS1~AS4を生成し、この調整信号AS1~AS4を、同じ出力電圧VDDを電源電圧として動作する出力電圧調整回路30に入力できるようになる。そして制御信号CS1~CS4や制御信号XCS1~XCS1により分圧回路20を制御して、出力電圧VDDを調整できるようになる。
【0029】
図3は本実施形態のレギュレーター10の動作を説明する信号波形図である。レギュレーター10の入力電圧VD5が立ち上がり、レギュレーター10の出力電圧VDDが立ち上がると、パワーオンリセット回路からのパワーオンリセット信号XPORによりパワーオンリセットが行われる。例えば負論理のイネーブル信号XENはレギュレーター10を起動する信号であり、アクティブレベルであるローレベルになっている。そして負論理のパワーオンリセット信号XPORがハイレベルになると、ロジック回路40のリセット状態が解除されて、図3のA2に示すように初期値レジスター42から出力電圧VDDの調整値の初期値が読み出されて、初期値に対応する調整信号AS1~AS4がロジック回路40から出力電圧調整回路30に出力される。そして出力電圧調整回路30が、初期値に対応する制御信号を分圧回路20に出力することで、分圧回路20の抵抗値(抵抗比)が設定されて、初期値に対応する出力電圧VDDがレギュレーター10から出力されるようになる。この初期値に対応する出力電圧VDDはティピカル値である例えば1.8V程度の電圧である。
【0030】
その後、所与の期間が経過して、データ切り替え信号DASWがアクティブレベルであるハイレベルになると、不揮発性メモリー48に記憶された出力電圧VDDの調整値が読み出される。そして、調整値に対応する調整信号AS1~AS4がロジック回路40から出力電圧調整回路30に出力される。この調整値は、レギュレーター10を有する回路装置2の製造時等において出力電圧VDDをモニターすることで設定された値である。そして出力電圧調整回路30が、調整値に対応する制御信号を分圧回路20に出力することで、分圧回路20の抵抗値が設定されて、調整値に対応する出力電圧VDDがレギュレーター10から出力されるようになる。これにより半導体の製造ばらつきの影響を低減した出力電圧VDDがレギュレーター10から出力されるようになり、高い電圧精度の出力電圧VDDを出力できるようになる。
【0031】
以上のように本実施形態では、定電圧を出力するレギュレーター10において、初期値レジスター42や不揮発性メモリー48からのデータをロードにより出力電圧VDDが動的に変化する際のレギュレーター出力の不安定な挙動を改善するために、出力電圧調整回路30の電源に自身の出力電圧VDDを供給している。
【0032】
例えば図4に本実施形態の比較例のレギュレーター10の構成例を示す。レギュレーター10は、例えば不図示の高耐圧のHV(ハイボルテージ)のレギュレーターからの3.5V~5.0Vの入力電圧VD5が電源として供給されて、例えば1.8Vの定電圧の出力電圧VDDを出力する。この出力電圧VDDはロジック回路40や後述の図9の検出回路70や充電制御回路62の電源として用いられる。そして出力電圧VDDの電圧精度を良くするために、レギュレーター10は出力電圧調整回路30を備えている。そして出力電圧調整回路30は、分圧回路20の帰還抵抗比を調整するスイッチSW1~SW4の制御信号CS1~CS4を出力する駆動回路BF1~BF4により構成される。この駆動回路BF1~BF4は、HVのレギュレーターからの入力電圧VD5を電源としており、スイッチSW1~SW4は、N型のMOSのトランジスターNT1~NT4のみから構成されている。また出力電圧調整回路30には、1.8VのVDDを電源とするロジック回路40からの調整信号AS1~AS4の電圧レベルをシフトするためのレベルシフターLS1~LS4が設けられている。そして不揮発性メモリー48には、VDDを1.8Vに調整するためのデータが記憶されており、VD5の電圧が所定の電圧レベル以上になると、パワーオンリセットが解除されて、ロジック回路40が動作を開始する。ロジック回路40が動作し開始すると、出力電圧調整回路30に初期値がロードされ、所定時間後に不揮発性メモリー48に記憶されたVDDの調整値のデータのロードが行われる。出力電圧調整回路30によりVDDの調整値のデータに基づき抵抗値が選択されることで、所望のVDD=1.8Vの電圧が得られる。
【0033】
このようにレギュレーター10では、回路動作中に動的に出力電圧VDDの調整値のデータが切り替わる。また出力電圧調整回路30は、帰還用の抵抗R1~R4に並列にスイッチSW1~SW4が設けられ、これらのスイッチSW1~SW4にはゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間に寄生容量が存在する。また図4では、スイッチSW1~SW4の駆動回路BF1~BF4の電源として入力電圧VD5が用いられている。
【0034】
そして調整値の切り替えにより、図4の(1)に示すようにロジック回路40からの調整信号AS1~AS4が変化すると、調整信号AS1~AS4に基づく制御信号CS1~CS4の電圧レベルが変化する。そして制御信号CS1~CS4により制御されるスイッチSW1~SW4が、オンからオフ、或いはオフからオンに変化するときに、各スイッチのN型のトランジスターのゲートの電位が、VD5からVSS、或いはVSSからVD5に変化する。そして図4の(2)に示すように、このゲートの電位の変化が、ゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間に寄生容量を介して、フィードバック電圧VFBのノードNFに伝わる。これにより図4の(3)に示すように、フィードバック電圧VFBが、意図せず揺らされる事態が生じる。この意図しないフィードバック電圧VFBの揺れを受けたのち、遅れて、図4の(4)の演算増幅器OPが出力電圧VDDを制御するため、結果的に、図4の(5)に示すように、レギュレーター10の出力電圧VDDも揺れて、出力不安定な状態である出力リンギングのような状況が発生する。例えばHV用のレギュレーターが出力するVD5を、VDD用のレギュレーター10の電源として使用している場合、VD5の負荷であるVDDの出力変動が起こるのと同時に、図4の(6)に示すように、VD5の電圧レベルが揺れ、VDDとVD5の両方の出力電圧を揺らしあうことで、お互いのVD5とVDD共に電圧収束しない状況が発生してしまう。
【0035】
この点、図1図2の本実施形態では、スイッチSW1~SW4に制御信号を出力する駆動回路であるインバーターIV11~IV24の電源がVDDとなっている。このため、動的に出力電圧VDDの調整値が変化したときに、スイッチSW1~SW4のゲート・ソース間の寄生容量やゲート・ドレイン間の寄生容量を介してフィードバック電圧VFBが揺らされるが、VD5とVDDを相互に干渉しあう回路的なループがないため、VDDの電圧が収束しやすくなる。また本実施形態では、帰還の抵抗を短絡するスイッチSW1~SW4を、P型のトランジスターとN型のトランジスターのペアーにより構成している。このようにすれば、出力電圧調整回路30の電源をVD5よりも低いVDDに変更しても、帰還の抵抗を短絡するスイッチSW1~SW4について所望のオン抵抗特性を得ることが可能になる。例えば図4の比較例のようにスイッチSW1~SW4をN型のトランジスターのみで構成すると、VDDのノードNVDに近いスイッチのオン抵抗が高くなりすぎたり、スイッチが適正にオンしない事態が生じるおそれがあるが、P型のトランジスターとN型のトランジスターのペアーによりスイッチを構成すれば、このような事態の発生を防止できる。
【0036】
図5図4の比較例における各ノードの信号波形を示す図である。図5のAS[6:0]は後述の図7の調整信号AS1~AS7に対応し、CSは制御信号CS1~CS7、XCS1~XCS7に対応している。そして図5のB1では、初期値レジスター42からの初期値の読み出しや、不揮発性メモリー48からの調整値の読み出しにより、調整信号AS[6:0]が変化している。これによりB2に示すように、スイッチSW1~SW4を構成するトランジスターNT1~NT4のゲート電圧である制御信号CSの電圧レベルが変化する。この電圧変化が、トランジスターNT1~NT4のゲート・ソース間やゲート・ドレイン間の寄生容量を介して伝わることで、B3に示すようにフィードバック電圧VFBに揺れが発生する。このフィードバック電圧VFBの揺れに対して、演算増幅器OPは、B4に示すように出力電圧VDDが調整電圧である1.8Vに近づくように制御する。しかしながら、このVDDの揺れが、駆動トランジスターTRなどを介してVD5に伝わり、B5に示すようにVD5にも揺れが発生してしまう。そして、このB5に示すVD5の揺れが、VD5を電源とする出力電圧調整回路30の駆動回路BF1~BF4に伝わり、B6に示すように制御信号CSに揺れが発生する。この揺れが寄生容量を介してフィードバック電圧VFBを揺らし、VDD、VD5が揺れるというように、相互に干渉しあう回路的なループができてしまい、揺れが収束しなくなる事態が発生してしまう。
【0037】
図6は本実施形態における各ノードの信号波形を示す図である。図6のC1では、初期値レジスター42からの初期値の読み出しや、不揮発性メモリー48からの調整値の読み出しにより、制御信号CSの電圧が変化している。この電圧変化が寄生容量を介して伝わることで、C3に示すようにフィードバック電圧VFBに揺れが発生する。このフィードバック電圧VFBの揺れに対して、演算増幅器OPは、C4に示すように出力電圧VDDが調整電圧である1.8Vに近づくように制御する。そしてC5では、VD5に揺れが発生している。しかしながら、本実施形態では図1図2に示すように、出力電圧調整回路30には、VD5ではなくVDDが電源として供給されているため、C6に示すように、VD5の揺れを原因とする制御信号CSの揺れが発生しない。従って、図4図5の比較例のようにVD5とVDDの揺れが相互に干渉しあう回路的なループができないため、揺れが収束しなくなるような事態が発生しないようになる。
【0038】
即ち、フィードバック電圧VFBの揺れに対して、VDDについては一定電圧になるように演算増幅器OPによるフィードバック制御が働くが、VD5に対してはこのようなフィードバック制御が働かない。従って、図4図5の比較例のように、演算増幅器OPによるフィードバック制御が働かないVD5が、出力電圧調整回路30の電源として供給されてしまうと、VD5、VDDの揺れが相互に干渉しあって収束しない事態が発生してしまう。これに対して本実施形態では、演算増幅器OPによるフィードバック制御が働いているVDDが、出力電圧調整回路30の電源として供給されるため、図6に示すように、VD5、VDDの揺れが収束しなくなる事態の発生を防止できる。
【0039】
2.分圧回路
図7に分圧回路20の具体的な構成例を示す。なお分圧回路20は、図7の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
【0040】
図7に示すように分圧回路20の複数の抵抗は、第1抵抗群21と第2抵抗群22を含む。第1抵抗群は、フィードバック電圧VFBが出力されるノードNFと、所定電圧ノードであるVSSのノードNSとの間に設けられる。また第2抵抗群22は、出力電圧VDDのノードNVDと、フィードバック電圧VFBのノードNFとの間に設けられる。このようにすることで、第1抵抗群21の各抵抗に並列に設けられた各スイッチと、第2抵抗群22の各抵抗に並列に設けられた各スイッチのオン、オフを制御することで、出力電圧VDDを調整値に応じた電圧に設定できるようになる。なお本実施形態では、第1抵抗群21、第2抵抗群22を総称して帰還抵抗と呼ぶ場合がある。
【0041】
例えば第1抵抗群21は複数の抵抗RA1~RA7を有し、これらの抵抗RA1~RA7は、フィードバック電圧VFBのノードNFと、VSSのノードNSとの間に直列に設けられている。そして、抵抗RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RA6、RA7の各抵抗に対して、スイッチSA1、SA2、SA3、SA4、SA5、SA6、SA7の各スイッチが並列に設けられている。また抵抗RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RA6、RA7の抵抗値は、各々、r/8、r/4、r/2、r、2r、4r、8rというようにバイナリーに重み付けされている。このようにすることで、調整信号AS1~AS7に応じてスイッチSA1~SA7のオン、オフ制御を行うことで、第1抵抗群21の抵抗値を、バイナリーデータの調整値に応じた抵抗値に設定できるようになる。なお抵抗値rは一例としては10kΩ程度である。
【0042】
また第2抵抗群22は複数の抵抗RB1~RB7を有し、これらの抵抗RB1~RB7は、出力電圧VDDのノードNVDとフィードバック電圧VFBのノードNFとの間に直列に設けられている。そして、抵抗RB1、RB2、RB3、RB4、RB5、RB6、RB7の各抵抗に対して、スイッチSB1、SB2、SB3、SB4、SB5、SB6、SB7の各スイッチが並列に設けられている。また抵抗RB1、RB2、RB3、RB4、RB5、RB6、RB7の抵抗値は、各々、r/8、r/4、r/2、r、2r、4r、8rというようにバイナリーに重み付けされている。このようにすることで、調整信号AS1~AS7に応じてスイッチSB1~SB7のオン、オフ制御を行うことで、第2抵抗群22の抵抗値を、バイナリーデータの調整値に応じた抵抗値に設定できるようになる。
【0043】
そして図7では、第1抵抗群21のうちの抵抗RA1と並列に設けられたスイッチSA1がオン又はオフの一方の状態になる場合に、第2抵抗群22のうちの抵抗RB1と並列に設けられたスイッチSB1がオン及びオフの他方の状態になるように、ロジック回路40は調整信号AS1を出力する。即ち第1抵抗群21の抵抗のスイッチSA1と第2抵抗群22の抵抗のスイッチSB1は排他的にオン、オフされる。例えばスイッチSA1のN型のトランジスターとスイッチSB1のP型のトランジスターに正論理の制御信号CS1が入力され、スイッチSA1のP型のトランジスターとスイッチSB1のN型のトランジスターに負論理の制御信号XCS1が入力されることで、このような排他的な制御が可能になる。
【0044】
また第1抵抗群21のうちの抵抗RA2と並列に設けられたスイッチSA2がオン又はオフの一方の状態になる場合に、第2抵抗群22のうちの抵抗RB2と並列に設けられたスイッチSB2がオン及びオフの他方の状態になるように、ロジック回路40は調整信号AS2を出力する。即ちスイッチSA2とスイッチSB2は排他的にオン、オフされる。例えばスイッチSA2のN型のトランジスターとスイッチSB2のP型のトランジスターに正論理の制御信号CS2が入力され、スイッチSA2のP型のトランジスターとスイッチSB2のN型のトランジスターに負論理の制御信号XCS2が入力されることで、このような排他的な制御が可能になる。
【0045】
第1抵抗群21の抵抗RA3~RA7に並列に設けられるスイッチSA3~SA7と、第2抵抗群22の抵抗RB3~RB7に並列に設けられるスイッチSB3~SB7についても、調整信号AS3~AS7により、同様に排他的にオン、オフするように制御される。ここで第1抵抗群21の抵抗RA1~RA7が第1抵抗であり、スイッチSA1~SA7が第1スイッチである。また第2抵抗群22の抵抗RB1~RB7が第2抵抗であり、スイッチSB1~SB7が第2スイッチである。
【0046】
このように図7では、第1抵抗群21のうちの第1抵抗と並列に設けられた第1スイッチがオン又はオフの一方の状態になる場合に、第2抵抗群22のうちの第2抵抗と並列に設けられた第2スイッチがオン及びオフの他方の状態になるように、ロジック回路40が、調整信号AS1~AS7を出力する。このようにすれば、第1抵抗群21と第2抵抗群22とによる帰還抵抗の総抵抗値が変化しないようなスイッチ制御を実現できるようになる。即ち本実施形態では、オンになって短絡されるスイッチと、オフになって開放されるスイッチとを、第1抵抗群21、第2抵抗群22に対してペアーで配置することで、帰還抵抗の総抵抗値が変化しないようにしている。これによりレギュレーター10を有する回路装置2のアプリケーションに配慮して、消費電流のばらつきを小さくすることが可能になる。
【0047】
例えば本実施形態では、第1抵抗群21の第1抵抗と第2抵抗群22の第2抵抗は、同じ抵抗値の抵抗になっている。例えば第1抵抗群21の抵抗RA1と、第2抵抗群22の対応する抵抗RB1は、同じr/8の抵抗値に設定されている。また第1抵抗群21の抵抗RA2と、第2抵抗群22の対応する抵抗RB2も、同じr/4の抵抗値に設定されている。また第1抵抗群21の抵抗RA3と、第2抵抗群22の対応する抵抗RB3も、同じr/2の抵抗値に設定されている。同様に、第1抵抗群21の抵抗RA4~RA7と第2抵抗群22の抵抗RB4~RB7も、同じ抵抗値に設定されている。このようにすれば、例えば第1抵抗群21の第1スイッチがオンになり、第1抵抗群21の抵抗値が減少すると、第2抵抗群22の第2スイッチがオフになり、第2抵抗群22の抵抗値が、減少した抵抗値の分だけ増加するため、総抵抗値は変化しないようになる。また第1抵抗群21の第1スイッチがオフになり、第1抵抗群21の抵抗値が増加すると、第2抵抗群22の第2スイッチがオンになり、第2抵抗群22の抵抗値が、増加した抵抗値の分だけ減少するため、総抵抗値は変化しないようになる。
【0048】
また図7では、分圧回路20は、第1抵抗群21に対して直列に設けられた抵抗RC3と、第2抵抗群22に対して直列に設けられた抵抗RC4を含む。抵抗RC3は第3抵抗であり、抵抗RC4は第4抵抗である。例えば抵抗RC3は、ノードNFとノードNSとの間において第1抵抗群21に対して直列に設けられる。抵抗RC4は、ノードNVDとノードNFとの間において第2抵抗群22に対して直列に設けられる。そして抵抗RC3、RC4の抵抗値は、分圧回路20の複数のスイッチの全てがオン又はオフの場合に出力電圧VDDが所与の設定電圧になるように設定される。例えば図7では、抵抗RC3の抵抗値はr/8+58rに設定され、抵抗RC4の抵抗値はr/8+45rに設定されている。
【0049】
一例としては、図8において、分圧回路20の複数のスイッチの全てがオフの場合に、ノードNFとノードNSとの間の抵抗値r1が731kΩ程度、ノードNVDとノードNFとの間の抵抗値r2が602kΩ程度になるように、抵抗RC3、RC4の抵抗値が設定される。これによりレギュレーター10の出力電圧VDDは例えば1.82V程度になる。また分圧回路20の複数のスイッチの全てがオンの場合に、図8の抵抗値r1が574kΩ程度、抵抗値r2が445kΩ程度になるように、抵抗RC3、RC4の抵抗値が設定される。これによりレギュレーター10の出力電圧VDDは例えば1.77V程度になる。
【0050】
例えば電源投入後などにおいては、ロジック回路40の出力等が不定状態になっているため、分圧回路20のスイッチの全てがオフの場合や全てがオンの場合があり得る。この場合に、図7に示すようなスイッチが並列に設けられていない抵抗RC3、RC4がないと、レギュレーター10の出力電圧VDDが、1.8Vなどの目標電圧からかけ離れた電圧になってしまう場合がある。その後、ロジック回路40の出力等が確定して、調整値に応じてスイッチがオン又はオフになると、レギュレーター10の出力電圧VDDが、目標電圧からかけ離れた電圧から、調整値に対応する電圧に急激に変化する事態が発生してしまう。このような事態が発生すると、演算増幅器OPによるフィードバック制御により出力電圧VDDが安定するまでに時間を要してしまう。
【0051】
この点、図7では、第1抵抗群21、第2抵抗群22の各々に直列に抵抗RC3、RC4が設けられ、抵抗RC3、RC4の抵抗値が、複数のスイッチの全てがオン又はオフの場合に出力電圧VDDが所与の設定電圧になるように設定されている。このようにすれば、電源投入後などにおいてロジック回路40の調整信号等が不定状態になった場合などにおいても、レギュレーター10の出力電圧VDDが目標電圧に近い設定電圧に設定されるようになる。従って、レギュレーター10の出力電圧VDDが、目標電圧からかけ離れた電圧から調整値に対応する電圧に変化するような事態の発生を防止することが可能になる。
【0052】
また図7では分圧回路20は、第1抵抗群21と所定電圧ノードであるVSSのノードNSとの間に設けられた帰還抵抗遮断用のスイッチSWCを含む。図7ではスイッチSWCは例えばN型のトランジスターにより実現されている。そしてスイッチSWCがオフになることで、第1抵抗群21とノードNSとの間の電気的な接続が遮断されるようになる。
【0053】
例えば図9の回路装置の製造時などにおいて、VDDを電源とする回路のリーク電流等を検査する場合がある。この場合には、例えば不図示の検査用パッドを介して、テスター等の検査装置によりノードNVDに対して外部からVDDを供給し、流れる電流を測定することでリーク電流を検査する。このようにノードNVDに外部からVDDを供給した場合に、分圧回路20の帰還抵抗を介して電流が流れてしまうと、リーク電流等を適正に測定できなくなる。この場合に図7では、第1抵抗群21とVSSのノードNSとの間に帰還抵抗遮断用のスイッチSWCが設けられている。従って、リーク電流等の検査時において、スイッチSWCをオフにすることで、帰還抵抗を介してVSSに電流が流れてしまうのを防止することが可能になる。これにより、VDDを電源とする回路のリーク電流等の適正な検査が可能になる。
【0054】
また、この帰還抵抗遮断用のスイッチSWCの制御信号は、入力電圧VD5に基づく信号になっている。例えば図7では、スイッチSWCの制御信号として入力電圧VD5が入力されている。但しスイッチSWCの制御信号は入力電圧VD5に基づく信号であればよく、入力電圧VD5そのものを入力することには限定されない。例えば電源投入後などにおいては、帰還抵抗遮断用のスイッチSWCがオフであると、分圧回路20の帰還抵抗の抵抗比により設定されるフィードバック電圧VFBが不定になり、適正な出力電圧VDDを出力できなくなるおそれがある。例えば図8では、スイッチが並列に設けられない抵抗RC3、RC4を用いることで、分圧回路20のスイッチが全てオン又はオフの場合にも、レギュレーター10の出力電圧VDDが所与の設定電圧に設定している。しかしながら、電源投入後等において帰還抵抗遮断用のスイッチSWCがオフであると、このような適正な設定電圧の設定ができなくなるおそれがある。
【0055】
この点、図7では、帰還抵抗遮断用のスイッチSWCの制御信号は、入力電圧VD5に基づく信号になっている。従って、電源投入後等において、図3に示すようにVD5が立ち上がることで、帰還抵抗遮断用のスイッチSWCを確実にオンにできるようになる。従って、帰還抵抗遮断用のスイッチSWCがオフとなって、帰還抵抗の経路が遮断されて、レギュレーター10の出力電圧VDDが適切でない電圧になってしまう事態を防止できるようになる。
【0056】
3.回路装置
図9に本実施形態のレギュレーター10を含む回路装置2の構成例を示す。なお図9は回路装置2の構成の一例を示すものであり、回路装置2は図9の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
【0057】
図9は、無接点電力伝送システムへの適用例であり、受電制御装置である回路装置2は、送電装置100からの送電電力を無接点で受電するための制御を行う。例えば送電装置100側には1次コイルL1が設けられ、回路装置2により実現される受電装置側には2次コイルL2が設けられる。そして送電装置100の送電ドライバーが1次コイルL1に交流電圧を印加することで、1次コイルL1から2次コイルL2に電力がワイヤレスで送電され、回路装置2により実現される受電装置が、送電された電力を受電する。なお本実施形態のレギュレーター10を含む回路装置2は、無接点電力伝送システムの用途のものには限定されず、他の用途のものであってもよい。
【0058】
回路装置2は、整流回路50、レギュレーター10、12、充電回路60、充電制御回路62を含む。また回路装置2は、検出回路70、給電回路80を含むことができる。回路装置2は、例えば、半導体プロセスにより製造されるIC(Integrated Circuit)であり、半導体基板に回路素子が形成された半導体チップである。回路素子は、トランジスターなどの能動素子や、抵抗、キャパシターなどの受動素子である。
【0059】
受電回路として動作する整流回路50は、2次コイルL2に誘起される交流電圧VC1、VC2を直流の整流電圧VCCに変換する。レギュレーター12は、整流電圧VCCをレギュレートして、VD5を生成する。これにより、交流電圧VC1、VC2を整流した整流電圧VCCから、安定した定電圧の電圧であるVD5を生成できるようになる。なお整流回路50、レギュレーター12は、例えば高耐圧のハイボルテージ(HV)のトランジスター等により構成される回路である。また回路装置2のうち、整流回路50、レギュレーター12以外の回路は、例えばHVよりも低耐圧のトランジスター等により構成される回路である。
【0060】
充電回路60は、レギュレーター12からの入力電圧VD5に基づいて、バッテリー110の充電を行う。バッテリー電圧VBTは、例えばバッテリー110の正側の電極の電圧である。例えば充電回路60は、充電トランジスターと、充電トランジスターを制御する充電制御回路を含む。充電トランジスターは、例えば入力電圧VD5の入力ノードとバッテリー電圧VBTの出力ノードとの間に設けられる。そして充電制御回路が充電トランジスターのゲートを制御することなどにより、バッテリー110の定電流充電(CC充電)や定電圧充電(CV充電)が行われる。例えば充電トランジスターによる充電電流をセンス抵抗等により検出し、検出結果に基づいて充電制御回路が充電トランジスターのゲートを制御することで、定電流充電等が実現される。
【0061】
給電回路80は、バッテリー電圧VBTに基づき動作して、給電対象120への給電動作を行う。例えば給電回路80は、バッテリー電圧VBTに基づき生成された出力電圧を、例えば電源電圧として給電対象120に供給する。給電対象120は、一例としてはマイクロコントローラー等の処理装置である。例えば給電回路80は、チャージポンプ回路を含み、このチャージポンプ回路が、バッテリー電圧VBTを降圧するチャージポンプ動作を行い、バッテリー電圧VBTを降圧した出力電圧を給電対象120に供給する。給電回路80はバッテリー110の放電回路と言うこともできる。
【0062】
そして本実施形態のレギュレーター10は、入力電圧VD5をレギュレートして、レギュレートした電圧を出力電圧VDDとして出力する。出力電圧VDDは、充電制御回路62や検出回路70に対して電源電圧として供給される。
【0063】
充電制御回路62は、充電回路60を制御する。例えば充電制御回路62は、検出回路70の検出結果に基づいて充電回路60を制御する。例えば充電制御回路62は、充電回路60での充電トランジスター等による充電を制御するための処理を行う。
【0064】
検出回路70は、回路装置2における各種の検出処理を行う。例えば検出回路70により、バッテリー電圧VBTを検出して監視する処理、充電電流を検出して監視する処理、或いは回路装置2の内部又は外部に設けられた温度センサーからの信号に基づく温度検出処理などを実現できる。例えば検出回路70は、バッテリー電圧VBTなどの電圧や充電電流などの電流の検出処理を行う。この検出回路70は、A/D変換回路72を含む。A/D変換回路72は、検出回路70の検出対象の電圧をデジタルの検出データにA/D変換する処理を行う。例えばA/D変換回路72は、バッテリー電圧VBTのA/D変換を行ったり、充電電流を電圧に変換した電圧のA/D変換などを行って、デジタルの検出データを出力する。充電制御回路62は、検出回路70からのデジタルの検出データに基づいて充電回路60の制御を行う。
【0065】
このように本実施形態の回路装置2は、レギュレーター10と、入力電圧VD5に基づいてバッテリー110等の充電対象を充電する充電回路60と、充電回路60を制御する充電制御回路62を含む。そして、レギュレーター10の出力電圧VDDは、充電制御回路62の電源電圧、又は充電制御回路62に用いられる検出回路70の電源電圧として用いられる。このようにすれば、充電制御回路62や、充電制御回路62に検出結果を出力する検出回路70に対して、安定した電圧精度の高い出力電圧VDDを電源電圧として供給できるようになる。例えば検出回路70のA/D変換回路72に高いA/D変換の精度が要求される場合には、高い電圧精度の出力電圧VDDを電源電圧として供給する必要がある。この点、本実施形態のレギュレーター10には、出力電圧調整回路30が設けられているため、高い電圧精度の出力電圧VDDをA/D変換回路72等に供給できる。また出力電圧調整回路30には、VD5ではなくVDDが電源電圧として供給される。従って、図6で説明したように、出力電圧調整回路30の調整値が変化した場合にも、出力電圧VDDが不安定になるのを防止でき、安定した高い電圧精度の出力電圧VDDを供給することが可能になる。
【0066】
以上に説明したように本実施形態のレギュレーターは、入力電圧をレギュレートして出力電圧を出力するレギュレーターであって、出力電圧を分圧した電圧をフィードバック電圧として出力する分圧回路と、フィードバック電圧を基準電圧と比較する演算増幅器を含む。またレギュレーターは、入力電圧のノードと出力電圧のノードとの間に設けられ、演算増幅器の出力に基づいて制御される駆動トランジスターと、出力電圧の調整信号を出力するロジック回路と、調整信号に基づいて出力電圧を調整する出力電圧調整回路を含む。そして分圧回路は、複数の抵抗と、各スイッチが複数の抵抗の各抵抗に並列に設けられた複数のスイッチと、を含み、出力電圧調整回路は、調整信号に応じた制御信号を複数のスイッチに出力し、出力電圧調整回路には、出力電圧が電源電圧として供給される。
【0067】
本実施形態によれば、分圧回路により出力電圧を分圧したフィードバック電圧と、基準電圧とが演算増幅器により比較され、演算増幅器の出力に基づいて駆動トランジスターが制御されて、出力電圧が出力される。そしてロジック回路が、出力電圧の調整信号を出力し、出力電圧調整回路が、調整信号に基づいて出力電圧を調整する。また分圧回路は、複数の抵抗と複数のスイッチを含み、調整信号に応じた制御信号を複数のスイッチに出力する出力電圧調整回路には、出力電圧が電源電圧として供給される。このようにすれば、ロジック回路からの調整信号に基づき出力調整回路が出力電圧を調整することで、高い電圧精度の出力電圧を出力できるようになる。また出力電圧調整回路が、入力電圧ではなく、出力電圧を電源電圧として制御信号を出力するため、制御信号の変化により、フィードバック電圧が揺れて、入力電圧に揺れが発生しても、この入力電圧の揺れが電源電圧の揺れとして出力電圧調整回路には伝わるのが抑制される。従って、レギュレーターの出力が安定しなくなるような事態の発生を防止しながら、高い電圧精度の出力電圧を出力することが可能になる。
【0068】
また本実施形態では、複数のスイッチの各スイッチは、並列に接続されたN型のトランジスター及びP型のトランジスターにより構成されてもよい。そして出力電圧調整回路は、N型のトランジスター及びP型のトランジスターの一方を制御する第1制御信号を出力する第1インバーターと、第1インバーターの出力が入力され、N型のトランジスター及びP型のトランジスターの他方を制御する第2制御信号を出力する第2インバーターを含んでもよい。
【0069】
このようにすれば、スイッチがオンしたときのオン抵抗を小さくすることができ、出力電圧調整回路からの制御信号により、スイッチを適正にオン状態にすることが可能になる。
【0070】
また本実施形態では、ロジック回路は、初期値レジスターを含み、パワーオンリセット後に初期値レジスターからの出力電圧の調整値の初期値に基づいて、調整信号を出力してもよい。
【0071】
このようにすれば、パワーオンリセット後に、スイッチのオン、オフを適正に制御して、調整値の初期値に対応する電圧に出力電圧を設定できるようになる。
【0072】
また本実施形態では、ロジック回路は、不揮発性メモリーから読み出された出力電圧の調整値に基づいて、調整信号を出力してもよい。
【0073】
このようにすれば、不揮発性メモリーに記憶された調整値に基づきスイッチのオン、オフを適正に制御して、調整値に対応する電圧に出力電圧を設定できるようになる。
【0074】
また本実施形態では、出力電圧調整回路及びロジック回路には、出力電圧が電源電圧として共通に供給されてもよい。
【0075】
このようにすればレギュレーターにより生成される出力電圧に基づいて、ロジック回路を動作させて、調整信号を生成し、この調整信号を、出力電圧を電源電圧として動作する出力電圧調整回路に入力できるようになる。
【0076】
また本実施形態では、複数の抵抗は、フィードバック電圧が出力されるフィードバック電圧ノードと所定電圧ノードとの間に設けられる第1抵抗群と、出力電圧のノードとフィードバック電圧ノードとの間に設けられる第2抵抗群を含んでもよい。
【0077】
このようにすれば、第1抵抗群の各抵抗に並列に設けられた各スイッチと、第2抵抗群の各抵抗に並列に設けられた各スイッチのオン、オフを制御することで、出力電圧を調整値に応じた電圧に設定できるようになる。
【0078】
また本実施形態では、ロジック回路は、第1抵抗群のうちの第1抵抗と並列に設けられた第1スイッチがオン又はオフの一方の状態になる場合に、第2抵抗群のうちの第2抵抗と並列に設けられた第2スイッチがオン及びオフの他方の状態になるように、調整信号を出力してもよい。
【0079】
このようにすれば、第1抵抗群と第2抵抗群とによる帰還抵抗の総抵抗値が変化しないようなスイッチ制御を実現できるようになる。
【0080】
また本実施形態では、第1抵抗と第2抵抗は、同じ抵抗値の抵抗であってもよい。
【0081】
このようにすれば、一方の抵抗群のスイッチがオンになり、一方の抵抗群の抵抗値が減少すると、他方の抵抗群のスイッチがオフになって、他方の抵抗群の抵抗値が増加することで、総抵抗値は変化しないようになる。
【0082】
また本実施形態では、分圧回路は、第1抵抗群に対して直列に設けられた第3抵抗と、第2抵抗群に対して直列に設けられた第4抵抗と、を含み、第3抵抗及び第4抵抗の抵抗値は、複数のスイッチの全てがオン又はオフの場合に出力電圧が所与の設定電圧になるように設定されてもよい。
【0083】
このようにすれば、ロジック回路の調整信号等が不定状態になった場合などにおいても、レギュレーターの出力電圧が目標電圧に近い設定電圧に設定されるようになる。
【0084】
また本実施形態では、分圧回路は、第1抵抗群と所定電圧ノードとの間に設けられた帰還抵抗遮断用のスイッチを含んでもよい。
【0085】
このようにすれば、出力電圧が供給される回路のリーク電流等の検査時において、帰還抵抗遮断用のスイッチをオフにすることで、帰還抵抗を介して電流が流れてしまうのを防止することが可能になる。
【0086】
また本実施形態では、帰還抵抗遮断用のスイッチの制御信号は、入力電圧に基づく信号であってもよい。
【0087】
このようにすれば、電源投入後等において入力電圧が立ち上がることで、帰還抵抗遮断用のスイッチを確実にオンにできるようになる。
【0088】
また本実施形態の回路装置は、上記に記載のレギュレーターと、入力電圧に基づいて充電対象を充電する充電回路と、充電回路を制御する充電制御回路と、を含み、出力電圧は、充電制御回路の電源電圧又は充電制御回路に用いられる検出回路の電源電圧として供給されてもよい。
【0089】
このようにすれば、充電制御回路や検出回路に対して、安定した電圧精度の高い出力電圧Vを電源電圧として供給できるようになる。
【0090】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。またレギュレーター、回路装置の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0091】
2…回路装置、10、12…レギュレーター、20…分圧回路、21…第1抵抗群、22…第2抵抗群、30…出力電圧調整回路、40…ロジック回路、42…初期値レジスター、48…不揮発性メモリー、50…整流回路、60…充電回路、62…充電制御回路、70…検出回路、72…A/D変換回路、80…給電回路、100…送電装置、110…バッテリー、120…給電対象、AS、AS1~AS7…調整信号、BF1~BF4…駆動回路、CS、CS1~CS7、XCS1~XCS4…制御信号、IV11~IV24…インバーター、LS1~LS4…レベルシフター、NT1~NT4…トランジスター、OP…演算増幅器、R0~R5、RA1~RA7、RB1~RB7、RC3、RC4…抵抗、SA1~SA7、SB1~SB7、SW1~SW4、SWC…スイッチ、TF1~TF4…トランスファーゲート、TR…駆動トランジスター、VBT…バッテリー電圧、VD5…入力電圧、VDD…出力電圧、VFB…フィードバック電圧、VRF…基準電圧、XEN…イネーブル信号、XPOR…パワーオンリセット信号、DASW…データ切り替え信号
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