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特開2024-179528サーバおよびその制御方法、並びに制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179528
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】サーバおよびその制御方法、並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/127 20060101AFI20241219BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G08G1/127
G08G1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098447
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】519182659
【氏名又は名称】MONET Technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】森 権次郎
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA14
5H181BB20
5H181EE03
5H181FF10
5H181FF13
5H181MA02
5H181MA23
5H181MA24
5H181MA28
(57)【要約】
【課題】移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間が未取得であっても、移動元停留所から移動先停留所までの車両移動の所要時間を提供する。
【解決手段】サーバ(2)は、移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間に基づく、移動元停留所が位置する移動元区域から、移動先停留所が位置する移動先区域までの車両移動に要する所要時間を記憶する記憶部(11)と、移動元停留所を示す情報と、移動先停留所を示す情報とを取得する取得部(20)と、移動元停留所が位置する移動元区域と、移動先停留所が位置する移動先区域とを特定する区域特定部(21)と、特定された移動元区域と、特定された移動先区域とに対応する所要時間を記憶部(11)から取得し、移動元停留所から移動先停留所までの車両移動に要する所要時間として出力する所要時間特定部(22)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間に基づく、前記移動元停留所が位置する移動元区域から、前記移動先停留所が位置する移動先区域までの車両移動に要する所要時間を、前記移動元区域および前記移動先区域の組ごとに記憶する記憶部と、
移動元停留所を示す情報と、移動先停留所を示す情報とを取得する取得部と、
前記移動元停留所が位置する移動元区域と、前記移動先停留所が位置する移動先区域とを特定する特定部と、
前記記憶部から、前記特定された前記移動元区域および前記特定された前記移動先区域の組に対応付けて記憶されている前記所要時間を取得し、前記移動元停留所から前記移動先停留所までの車両移動に要する所要時間として出力する出力部と、を備えるサーバ。
【請求項2】
移動元区域と移動先区域との組に対応付けて前記記憶部に記憶されている所要時間を、前記移動元区域に位置する移動元停留所から前記移動先区域に位置する移動先停留所までの実際の車両移動に要した複数の所要時間を用いて更新する更新部をさらに備える、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
第1区域と異なる区域に位置する1または複数の注目停留所の各々について、前記第1区域に位置する第1停留所と前記注目停留所との間の実際の車両移動に要した所要時間と、前記第1区域に位置する複数の停留所と前記注目停留所との間の実際の車両移動に要した所要時間との組が所定条件を満たす場合、前記第1区域を、前記第1停留所が位置する区域と残りの1または複数の区域とに分割する区域分割部をさらに備える、請求項1に記載のサーバ。
【請求項4】
前記所定条件は、前記第1区域に位置する複数の停留所と前記注目停留所との間の実際の車両移動に要した所要時間の平均値と、前記第1停留所と前記注目停留所との間の実際の車両移動に要した所要時間との偏差が所定値以上であることである、請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
第1区域と異なる区域かつ前記第1区域に隣接する第2区域と異なる区域に位置する1または複数の注目停留所の各々について、前記第1区域に位置する第1停留所と前記注目停留所との間の実際の車両移動に要した所要時間と、前記第2区域に位置する第2停留所と前記注目停留所との間の実際の車両移動に要した所要時間との組が所定条件を満たす場合、前記第1区域および前記第2区域を統合する区域統合部をさらに備える、請求項1に記載のサーバ。
【請求項6】
前記所定条件は、前記第1停留所と前記注目停留所との間の実際の車両移動に要した所要時間と、前記第2停留所と前記注目停留所との間の実際の車両移動に要した所要時間との偏差の統計値が所定値以下であることである、請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
請求項1に記載のサーバとしてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記特定部および上記出力部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項8】
移動元停留所を示す情報と、移動先停留所を示す情報とを取得する取得ステップと、
前記移動元停留所が位置する移動元区域と、前記移動先停留所が位置する移動先区域とを特定する特定ステップと、
移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間に基づく、前記移動元停留所が位置する移動元区域から、前記移動先停留所が位置する移動先区域までの車両移動に要する所要時間を、前記移動元区域および前記移動先区域の組ごとに記憶する記憶部から、前記特定された前記移動元区域および前記特定された前記移動先区域の組に対応付けて記憶されている前記所要時間を取得し、前記移動元停留所から前記移動先停留所までの車両移動に要する所要時間として出力する出力ステップと、を含むサーバの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デマンド型交通に利用されるサーバおよびその制御方法、並びに制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デマンド型交通は、利用者の予約に応じて運行経路および運行スケジュールを最適化して運行する地域公共交通を意味する。デマンド型交通に利用されるバスは、オンデマンドバスと呼ばれている。近年、各地でオンデマンドバスの運行が開始されている。
【0003】
オンデマンドバスの運行システムには、運行ルートは定めず、予約に応じて停留所間を結ぶ、自由経路ミーティングポイント型の運行システムがある。この運行システムでは、サーバが、地図情報、交通情報などを利用して、複数の上記停留所を結ぶ経路を探索し、最適な経路と該経路に基づく停留所間の所要時間とを、運転手および利用者に提供する。上記経路の探索処理は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-148466公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記サーバは、例えば、幹線道路以外の道路の交通情報、走行レーンごとの交通情報など、詳細な交通情報を収集すればするほど、上記所要時間の精度が向上するが、必要なリソースが著しく増加する。このため、上記サーバは、地域の詳細な交通情報を利用することは困難である。その結果、上記サーバが提供する所要時間は、実際の所要時間からの誤差が大きい。
【0006】
ところで、路線バスの場合、停留所間の走行経路が定まっている。従って、停留所間の所要時間は、交通状況等に応じて多少変化することはあるが、ほぼ同じである。一方、オンデマンドバスの場合、地域の道路事情に精通した運転手が運転するので、停留所間の走行経路は、定まっていないとは言え、ほぼ同じと考えられる。従って、停留所間の所要時間は、交通状況等に応じて多少変化することはあるが、ほぼ同じであると考えられる。
【0007】
そこで、以下のようなサーバが考えられる。すなわち、上記サーバは、移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間を収集し、上記移動元停留所および上記移動先停留所の組に対応付けて、記憶部に予め記憶する。次に、上記サーバは、移動元停留所を示す情報と、移動先停留所を示す情報とを端末から受信する。そして、上記サーバは、取得した上記移動元停留所と、取得した上記移動先停留所との組に対応付けて記憶されている1つの所要時間、或いは、複数の所要時間の統計値(平均値、最大値など)を取得して所要予測時間として端末に送信する。
【0008】
しかしながら、オンデマンドバスは、路線バスに比べて停留所の数が多い。このため、上記移動元停留所および上記移動先停留所の組の数は多数となる。例えば、停留所の数が100である場合、上記移動元停留所および上記移動先停留所の組の数は、100×99=9900となる。従って、上記移動元停留所および上記移動先停留所の組の全てについて、上記移動元停留所から上記移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間を取得するには、膨大な手間および時間がかかる。
【0009】
本発明の一態様は、上記移動元停留所から上記移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間が未取得であっても、上記移動元停留所から上記移動先停留所までの車両移動の所要時間を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るサーバは、移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間に基づく、前記移動元停留所が位置する移動元区域から、前記移動先停留所が位置する移動先区域までの車両移動に要する所要時間を、前記移動元区域および前記移動先区域の組ごとに記憶する記憶部と、移動元停留所を示す情報と、移動先停留所を示す情報とを取得する取得部と、前記移動元停留所が位置する移動元区域と、前記移動先停留所が位置する移動先区域とを特定する特定部と、前記記憶部から、前記特定された前記移動元区域および前記特定された前記移動先区域の組に対応付けて記憶されている前記所要時間を取得し、前記移動元停留所から前記移動先停留所までの車両移動に要する所要時間として出力する出力部と、を備える。
【0011】
本発明の別の態様に係るサーバの制御方法は、移動元停留所を示す情報と、移動先停留所を示す情報とを取得する取得ステップと、前記移動元停留所が位置する移動元区域と、前記移動先停留所が位置する移動先区域とを特定する特定ステップと、移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間に基づく、前記移動元停留所が位置する移動元区域から、前記移動先停留所が位置する移動先区域までの車両移動に要する所要時間を、前記移動元区域および前記移動先区域の組ごとに記憶する記憶部から、前記特定された前記移動元区域および前記特定された前記移動先区域の組に対応付けて記憶されている前記所要時間を取得し、前記移動元停留所から前記移動先停留所までの車両移動に要する所要時間として出力する出力ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、上記移動元停留所から上記移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間が未取得であっても、上記移動元停留所から上記移動先停留所までの車両移動の所要時間を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る所要時間提供システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】上記所要時間提供システムにおけるサーバの概略構成を示すブロック図である。
図3】上記サーバにおける停留所テーブルおよび実績DBの一例を表形式で示す図である。
図4】オンデマンドバスが移動する地域の一例を示す図である。
図5】上記サーバにおける区域テーブルおよび区域間DBの一例を表形式で示す図である。
図6】上記サーバにおける区域特定部が特定した区域IDが追加された実績DBの一例を表形式で示す図である。
図7】上記サーバにおける所要時間提供処理の流れを示すフローチャートである。
図8】上記サーバにおける所要時間更新処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本発明の別の実施形態に係る所要時間提供システムにおけるサーバの概略構成を示すブロック図である。
図10図6に示す実績DBに対し、上記サーバにおける区域分割部が算出した区域間平均および偏差を追加した図である。
図11図4に示す複数の区域のうち、分割される区域を示す図である。
図12】上段は、上記区域分割部が分割した区域に基づく実績DBに対し、上記サーバにおける区域統合部が算出した区域間平均および偏差を追加した図であり、下段は、移動元区域および移動先区域の区域IDと、上記偏差の平均値との対応を表形式で示す図である。
図13図4に示す複数の区域のうち、統合される区域を含む区域を示す図である。
図14】上記サーバにおける区域分割処理の流れを示すフローチャートである。
図15】上記サーバにおける区域統合処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1図8を参照して説明する。
【0016】
(所要時間提供システム)
図1は、本実施形態に係る所要時間提供システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態の所要時間提供システム1は、移動元停留所から移動先停留所までオンデマンドバス(車両)が移動(走行)するために必要な所要時間、すなわち、移動元停留所から移動先停留所までの車両移動の所要時間をユーザに提供するものである。なお、上記オンデマンドバスは、例えばオンデマンドタクシーなど、デマンド型交通に利用される任意の車両でよい。
【0017】
図1に示すように、所要時間提供システム1は、サーバ2と、複数の携帯端末3と、複数のオンデマンドバス4とを備える構成である。サーバ2は、複数の携帯端末3およびオンデマンドバス4と、インターネット等の通信ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。なお、以下では、サーバ2と複数の携帯端末3およびオンデマンドバス4との通信における通信ネットワーク5の記載を省略することがある。
【0018】
携帯端末3は、移動元停留所の情報と移動先停留所の情報とをサーバ2に送信する。このとき、サーバ2は、上記移動元停留所から上記移動先停留所までの上記所要時間の情報を携帯端末3に送信する。携帯端末3としては、上記ユーザからの入力を受け付け可能であり、かつ、通信ネットワーク5を介してサーバ2と通信可能であれば、スマートフォン、タブレット端末など、任意の携帯端末3を利用することができる。
【0019】
オンデマンドバス4は、移動元停留所から移動先停留所に実際に移動した場合、上記移動元停留所の情報と、上記移動先停留所の情報と、実際の移動に要した所要時間とをサーバ2に送信する。
【0020】
(所要時間サーバ)
図2は、サーバ2の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、サーバ2は、制御部10、記憶部11、および通信部12を備える構成である。
【0021】
制御部10は、サーバ2の各種構成の動作を統括的に制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)及びメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。なお、制御部10の詳細は後述する。
【0022】
記憶部11は、情報を記録するものであり、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶デバイスによって構成される。通信部12は、図1に示す通信ネットワーク5を介して携帯端末3およびオンデマンドバス4と情報の送受信を行うものである。通信部12は、送受信回路などの通信デバイスを備えている。
【0023】
本実施形態では、制御部10は、取得部20、区域特定部21(特定部)、所要時間特定部22(出力部)、および所要時間更新部23(更新部)を備える構成である。また、記憶部11は、停留所テーブル30、実績DB(database)31、区域テーブル32、および区域間DB33を記憶している。
【0024】
(記憶部の詳細)
図3は、停留所テーブル30および実績DB31の一例を表形式で示す図である。図3に示すように、停留所テーブル30は、停留所を識別するための停留所IDと、停留所の名称と、停留所の位置を示す位置情報とを含む停留所データを、停留所ごとに含む。図3の例では、上記位置情報は緯度経度情報である。
【0025】
また、実績DB31には、オンデマンドバス4が移動元停留所から移動先停留所まで実際に移動した場合における上記所要時間が蓄積される。具体的には、図3に示すように、実績DB31は、上記移動元停留所の停留所IDと、上記移動先停留所の停留所IDと、上記所要時間とを含む実績データを、オンデマンドバス4の実際の移動ごとに含む。
【0026】
図4は、オンデマンドバス4が移動する地域の一例を示す図である。図4に示す地図には、15ヶ所の停留所BS00~BS14が設けられている。この場合、図3に示す停留所テーブル30は、15個の停留所データを含む。
【0027】
本実施形態では、図4に示す地域が15個の区域A00~A14に区切られている。上記区域A00~A14の各々は、同形同サイズであることが好ましい。図5に示す区域A00~A14の各々は、一例として1辺が500mである正方形であるが、サイズおよび形状はこれに限定されるものではない。例えば、上記区域A00~A14の各々は同サイズの菱形でもよいし、同サイズの正六角形でもよい。また、上記区域A00~A14の各々は、サイズが異なる長方形であってもよい。
【0028】
図5は、区域テーブル32および区域間DB33の一例を表形式で示す図である。図5に示すように、区域テーブル32は、区域を識別するための区域IDと、区域の位置を示す位置情報とを含む区域データを、区域ごとに含む。図5の例では、区域の位置情報は、区域の北西位置における緯度経度情報と、区域の南東位置における緯度経度情報とである。
【0029】
区域間DB33は、実績DB31に含まれる移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間に基づく、上記移動元停留所が位置する移動元区域から、上記移動先停留所が位置する移動先区域までの車両移動に要する所要時間を、上記移動元区域および上記移動先区域の組ごとに含む。具体的には、図5に示すように、区域間DB33は、移動元区域の区域IDと、移動先区域の区域IDと、上記所要時間とを含む区域間データを、上記移動元区域および上記移動先区域の組ごとに含む。図4の例では、区域の数が15であるから、区域間DB33に含まれる区域間データの数は、15=210個となる。
【0030】
ところで、図4を参照すると、区域A01には停留所が存在しない。そこで、図5の例では、移動元区域または移動先区域の区域IDがA01である区域間データは省略されている。このように、停留所が存在しない区域を上記移動元区域または上記移動先区域とする区域間データは省略してもよい。図4の例では、停留所を含む区域の数が11であるから、区域間DB33に含まれる区域間データの数を、11=110個に低減することができる。
【0031】
(制御部の詳細)
取得部20は、携帯端末3から通信ネットワーク5および通信部12を介して、移動元停留所および移動先停留所の停留所IDを取得する。取得部20は、取得した移動元停留所および移動先停留所の停留所IDを区域特定部21に送出する。
【0032】
また、取得部20は、オンデマンドバス4から通信ネットワーク5および通信部12を介して、移動元停留所および移動先停留所の停留所IDと、上記移動元停留所から上記移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間とを取得する。このとき、取得部20は、上記移動元停留所および上記移動先停留所の停留所IDと、上記所要時間とを含む実績データを実績DB31に追加する。
【0033】
なお、取得部20は、上記移動元停留所および上記移動先停留所の停留所IDに代えて、上記移動元停留所および上記移動先停留所の名称を取得してもよい。この場合、取得部20は、停留所テーブル30を用いて、上記移動元停留所および上記移動先停留所の名称を上記移動元停留所および上記移動先停留所の停留所IDにそれぞれ置換すればよい。
【0034】
区域特定部21は、停留所テーブル30および区域テーブル32を参照して、取得部20からの移動元停留所および移動先停留所の停留所IDから、上記移動元停留所が位置する移動元区域と、上記移動先停留所が位置する移動先区域とを特定する。区域特定部21は、特定した移動元区域および移動先区域の区域IDを所要時間特定部22に送出する。
【0035】
また、区域特定部21は、停留所テーブル30および区域テーブル32を参照して、実績DB31における移動元停留所および移動先停留所の停留所IDから、上記移動元停留所が位置する移動元区域と、上記移動先停留所が位置する移動先区域との区域IDを特定する。区域特定部21は、特定した区域IDを実績DB31に追加する。
【0036】
図6は、区域特定部21が特定した区域IDが追加された実績DB31aの一例を表形式で示す図である。図6に示すように、実績DB31aは、図3に示す実績DB31に対し、区域特定部21が特定した移動元区域および移動先区域の区域IDを含む。区域特定部21は、実績DB31aを所要時間更新部23に送出する。
【0037】
所要時間特定部22は、区域間DB33を参照して、区域特定部21からの移動元区域および移動先区域の区域IDに対応する所要時間を特定する。所要時間特定部22は、特定した所要時間を、通信部12および通信ネットワーク5を介して携帯端末3に送信(出力)する。
【0038】
所要時間更新部23は、区域特定部21からの実績DB31aを用いて、区域間DB33を更新する。例えば、図6の場合、移動元区域A00から移動先区域A09までの実際の車両移動に要した所要時間は、9分が最も多い。そこで、所要時間更新部23は、移動元区域A00と移動先区域A09とを含む区域間データにおける所要時間を9分に更新する。なお、上記の例では、所要時間更新部23は、複数の所要時間の最頻値を採用しているが、平均値、中央値など、任意の統計値を採用することができる。さらに、所要時間更新部23は、外れ値の除外など、種々の統計的手法を利用することができる。
【0039】
上記の構成によると、例えば、移動元停留所BS00から移動先停留所BS01までの実際の車両移動に要した所要時間に基づき、移動元停留所BS00が位置する移動元区域A00から、移動先停留所BS01が位置する移動先区域A09までの車両移動に要する所要時間を記憶部11が記憶しているとする。この場合、移動元停留所BS00から、移動先区域A09に位置する移動先停留所BS03までの実際の車両移動に要した所要時間が不明であっても、移動元区域A00から移動先区域A09までの車両移動に要する所要時間を、移動元停留所BS00から移動先停留所BS03までの車両移動に要する所要時間として提供することができる。従って、移動元停留所から移動先停留所までの実際の車両移動に要した所要時間を取得すべき数を減らすことができ、当該所要時間を取得するための手間および時間を減らすことができる。
【0040】
ところで、移動元区域に位置する1つの移動元停留所から、移動先区域に位置する複数の移動先停留所までの実際の車両移動に要した複数の所要時間は、ばらつくことが考えられる。同様に、移動元区域に位置する複数の移動元停留所から、移動先区域に位置する1つの移動先停留所までの実際の車両移動に要した複数の所要時間も、ばらつくことが考えられる。
【0041】
これに対し、上記の構成によると、移動元区域と移動先区域との組に対応付けて記憶部11に記憶されている所要時間を、上記ばらつきを考慮した所要時間に更新することができる。
【0042】
また、オンデマンドバス4の場合、地域の道路事情に精通した運転手が運転するので、実際に移動に要した時間を用いることにより、経路探索サーバなどによる所要時間よりも正確な所要時間を提供することができる。また、新たに停留所を追加する場合にも、停留所テーブル30を更新すればよく、また、上記新たな停留所が位置する区域に既存の停留所が位置する場合、上記新たな停留所を移動元停留所または移動先停留所とする場合の所要時間を新たに取得しなくてもよい。
【0043】
(所要時間提供処理)
図7は、本実施形態のサーバ2における所要時間提供処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、まず、取得部20は、携帯端末3から移動元停留所および移動先停留所の停留所IDを取得する(S10)。次に、区域特定部21は、停留所テーブル30および区域テーブル32を参照して、取得部20が取得した移動元停留所および移動先停留所の停留所IDから、上記移動元停留所が位置する移動元区域と、上記移動先停留所が位置する移動先区域とを特定する(S11)。次に、所要時間特定部22は、区域間DB33を参照して、区域特定部21が特定した移動元区域および移動先区域の区域IDに対応する所要時間を特定する(S12)。そして、所要時間特定部22は、特定した所要時間を携帯端末3に送信する(S13)。その後、上記所要時間提供処理を終了する。
【0044】
(所要時間更新処理)
図8は、本実施形態のサーバ2における所要時間更新処理の流れを示すフローチャートである。上記所要時間更新処理は、1日ごと、1週間ごとなど、任意のタイミングで実行される。図8に示すように、まず、区域特定部21は、停留所テーブル30および区域テーブル32を参照して、実績DB31における移動元停留所および移動先停留所の停留所IDから、上記移動元停留所が位置する移動元区域と、上記移動先停留所が位置する移動先区域との区域IDを特定し、特定した区域IDを実績DB31に追加する(S20)。次に、所要時間更新部23は、区域特定部21による追加後の実績DB31aを用いて、区域間DB33を更新する(S21)。その後、所要時間更新処理を終了する。
【0045】
(付記事項)
なお、記憶部11は、図3に示す実績DB31に代えて、図6に示す実績DB31aを記憶してもよい。この場合、取得部20は、上記移動元停留所および上記移動先停留所の停留所IDと上記所要時間とを含む実績データに対し、停留所テーブル30および区域テーブル32を参照して、上記移動元停留所が位置する移動元区域の区域IDと、上記移動先停留所が位置する移動先区域の区域IDとを追加し、追加した実績データを実績DB31aに追加すればよい。また、区域特定部21が実績DB31を実績DB31aに変換する動作を省略することができる。
【0046】
〔実施形態2〕
本発明の別の実施形態について、図9図15を参照して説明する。本実施形態に係る所要時間提供システム1は、図1図8に示す所要時間提供システム1に比べて、サーバ2の構成が異なり、その他の構成は同様である。
【0047】
図9は、本実施形態に係るサーバ2の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のサーバ2は、図2に示すサーバ2に比べて、所要時間更新部23を包含する更新部40が設けられている点が異なり、その他の構成は同様である。
【0048】
更新部40は、区域特定部21からの実績DB31aを用いて、区域テーブル32および区域間DB33を更新する。更新部40は、上述の所要時間更新部23と、区域分割部41および区域統合部42とを備える。
【0049】
(区域分割部)
区域分割部41は、区域特定部21からの実績DB31aを用いて、分割すべき区域を決定する。区域分割部41は、決定した区域を分割し、区域テーブル32および区域間DB33を更新する。その後、所要時間更新部23は、分割された区域に関する所要時間を更新する。
【0050】
具体的には、区域分割部41は、区域特定部21からの実績DB31aを用いて、移動先の第1区域と異なる移動元の区域に位置する1または複数の注目停留所の各々について、上記注目停留所から、上記第1区域に位置する第1停留所までの実際の車両移動に要した所要時間と、上記注目停留所から、上記第1区域に位置する複数の停留所までの実際の車両移動に要した所要時間との組が所定条件を満たす場合、上記第1区域を、上記第1停留所が位置する区域と残りの1または複数の区域とに分割する。上記所定条件は、上記注目停留所から、上記第1区域に位置する複数の停留所までの実際の車両移動に要した所要時間の平均値と、上記注目停留所から、上記第1停留所までの実際の車両移動に要した所要時間との偏差が所定値以上であることである。
【0051】
区域分割部41の動作例について、図10および図11を参照して説明する。
【0052】
図10は、図6に示す実績DB31aに対し、区域分割部41が算出した区域間平均および偏差を追加した図である。上記第1区域は、分割の対象となる区域であり、図10の例では、移動先区域A07である。従って、図10の例では、上記第1区域に位置する複数の停留所は、移動先区域A07に位置する移動先停留所BS08、BS10、およびBS11である。また、図10の例では、上記注目停留所は、移動元区域A00に位置する移動元停留所BS00と、移動元A02に位置する移動元停留所BS09である。また、図10の例では、上記所定値は3分である。
【0053】
まず、区域分割部41は、移動元区域A00に位置する移動元停留所BS00から、移動先区域A07に位置する移動先停留所BS08、BS10、およびBS11までの実際の車両移動に要した所要時間の平均値および偏差を算出する。図10において、上記平均値は「区域間平均」の欄に記載され、上記偏差は「偏差」の欄に記載されている。同様に、区域分割部41は、移動元区域A02に位置する移動元停留所BS09から、移動先区域A07に位置する移動先停留所BS08、BS10、およびBS11までの実際の車両移動に要した所要時間の平均値および偏差を算出する。
【0054】
図10を参照すると、移動先区域A07に位置する移動先停留所BS08、BS10、およびBS11のうち、移動先停留所BS08は、全ての上記偏差が3分以上である。すなわち、上記第1停留所は、移動先停留所BS08が該当する。そこで、区域分割部41は、区域A07を、移動先停留所BS08が位置する区域と、残りの1または複数の区域とに分割する。これにより、分割前の区域A07に位置する停留所BS08、BS10、およびBS11と上記注目停留所BS00およびBS09との間の実際の車両移動に要した所要時間のばらつきを低減することができる。
【0055】
図11は、図4に示す複数の区域A00~A14のうち、分割される区域A07を示す図である。図11に示すように、区域A07は、移動先停留所BS08が位置する区域A071と、残りの3つの区域A070、A072、およびA073とに分割される。なお、上記3つの区域A070、A072、およびA073の少なくとも2つは統合されてもよい。
【0056】
例えば、区域A07の位置が、東方向(x方向)へ100~199、かつ南方向(y方向)へ100~199で示されるとする。この場合、区域A070の位置は、東方向へ100~149、かつ南方向へ100~149で示され、区域A071の位置は、東方向へ150~199、かつ南方向へ100~149で示される。また、区域A072の位置は、東方向へ100~149、かつ南方向へ150~199で示され、区域A073の位置は、東方向へ150~199、かつ南方向へ150~199で示される。区域分割部41は、これらの区域A070~A073に関する区域データを区域テーブル32に追加すると共に、元の区域A07に関する区域データを区域テーブル32から削除する。
【0057】
また、所要時間更新部23は、分割された区域A070~A073を移動先区域とする区域間の所要時間を新たに算出して、区域間DB33に追加すると共に、元の区域A07に関する区域間データを削除する。
【0058】
(区域統合部)
区域統合部42は、区域特定部21からの実績DB31aを用いて、統合すべき区域を決定する。区域統合部42は、決定した区域を統合し、区域テーブル32および区域間DB33を更新する。その後、所要時間更新部23は、統合された区域に関する所要時間を更新する。
【0059】
具体的には、区域統合部42は、区域特定部21からの実績DB31aを用いて、移動先の第1区域と異なる移動元の区域かつ上記移動先の第1区域に隣接する移動先の第2区域と異なる移動元の区域に位置する1または複数の移動元の注目停留所の各々について、上記移動元の注目停留所から、上記移動先の第1区域に位置する移動先の第1停留所までの実際の車両移動に要した所要時間と、上記移動元の注目停留所から、上記移動先の第2区域に位置する移動先の第2停留所までの実際の車両移動に要した所要時間との組が所定条件を満たす場合、上記第1区域および上記第2区域を統合する。上記所定条件は、上記移動元の注目停留所から上記移動先の第1停留所までの実際の車両移動に要した所要時間と、上記注目停留所から上記第2停留所までの実際の車両移動に要した所要時間との偏差の統計値が所定値以下であることである。
【0060】
区域統合部42の動作例について、図12を参照して説明する。
【0061】
図12の上段は、区域分割部41が分割した区域に基づく実績DB31aに対し、区域統合部42が算出した区域間平均および偏差を追加した図である。上記第1区域および上記第2区域は、統合の対象となる区域であり、図12の例では、図11に示す移動先区域A072およびA073である。従って、図12の例では、上記第1区域に位置する停留所は、移動先区域A072に位置する移動先停留所BS10であり、上記第2区域に位置する停留所は、移動先区域A073に位置する移動先停留所BS11である。また、図12の例では、上記注目停留所は、移動元区域A00に位置する移動元停留所BS00と、移動元A02に位置する移動元停留所BS09である。また、図12の例では、上記所定値は1分である。
【0062】
まず、区域統合部42は、移動元区域A00に位置する移動元停留所BS00から、移動先区域A072に位置する移動先停留所BS10までの実際の車両移動に要した所要時間の平均値および偏差を算出する。図12において、上記平均値は「区域間平均」の欄に記載され、上記偏差は「偏差」の欄に記載されている。同様に、区域統合部42は、移動元区域A02に位置する移動元停留所BS09から、移動先区域A072に位置する移動先停留所BS10までの実際の車両移動に要した所要時間の平均値および偏差を算出する。
【0063】
同様に、区域統合部42は、移動元区域A00に位置する移動元停留所BS00から、移動先区域A073に位置する移動先停留所BS11までの実際の車両移動に要した所要時間の平均値および偏差を算出する。同様に、区域統合部42は、移動元区域A02に位置する移動元停留所BS09から、移動先区域A073に位置する移動先停留所BS11までの実際の車両移動に要した所要時間の平均値および偏差を算出する。次に、区域統合部42は、移動元区域および移動先区域の組における1または複数の偏差の平均値を算出する。
【0064】
図12の下段は、移動元区域および移動先区域の区域IDと、上記偏差の平均値との対応を表形式で示す図である。図12を参照すると、移動先区域A072およびA073における偏差の平均値は、移動元区域が異なっていても全ての1分以内である。そこで、区域統合部42は、区域A072およびA073を統合する。従って、所要時間の偏差の小さい、隣り合う区域A072およびA073を統合することにより、記憶部11に記憶すべき所要時間の数を低減することができる。なお、上記平均値は、最頻値、中央値など、任意の統計値に変更してもよい。
【0065】
図13は、図4に示す複数の区域A00~A14のうち、統合される区域を含む区域A07を示す図である。図13を参照すると、図11に示す区域A072およびA073が統合されていることが理解できる。図13の例では、統合された区域の区域IDを新たなA074にしているが、A072またはA073でもよい。
【0066】
区域統合部42は、元の区域A072およびA073の区域IDを、統合された区域A074の区域IDに置換するように、区域テーブル32を更新する。なお、区域統合部42は、区域分割部41と同様に、統合された区域A074に関する区域データを区域テーブル32に追加すると共に、元の区域A072およびA073に関する区域データを区域テーブル32から削除してもよい。
【0067】
また、所要時間更新部23は、統合された区域A074を移動元区域または移動先区域とする区域間の所要時間を新たに算出して、区域間DB33に追加すると共に、元の区域A072およびA073に関する区域データを削除する。
【0068】
(付記事項)
なお、停留所の無いエリアは、隣接するエリアに統合されてもよい。例えば、図13に示す区域A070には停留所が無い。そこで、区域統合部42は、区域A070、A072、およびA073を区域A074に統合してもよい。また、図11に示す区域A070~A073の全てが統合された場合、統合された区域の区域IDは、例えばA074となり、他のA070~A073は削除される。この場合、区域IDA072は、元の区域IDA07に戻すことが望ましい。
【0069】
(区域分割処理)
図14は、本実施形態のサーバ2における区域分割処理の流れを示すフローチャートである。上記区域分割処理は、上記所要時間更新処理の前に実行されてもよい。図14に示すように、まず、区域特定部21は、停留所テーブル30および区域テーブル32を参照して、実績DB31における移動元停留所および移動先停留所の停留所IDから、上記移動元停留所が位置する移動元区域と、上記移動先停留所が位置する移動先区域との区域IDを特定し、特定した区域IDを実績DB31に追加する(S30)。次に、区域分割部41は、区域特定部21による追加後の実績DB31aを用いて、移動先の第1区域と異なる移動元の区域に位置する1または複数の注目停留所の1つを選択する(S31)。
【0070】
次に、区域分割部41は、選択した注目停留所から、上記第1区域に位置する複数の停留所までの実際の車両移動に要した所要時間の平均値と、上記注目停留所から、上記第1区域に位置する第1停留所までの実際の車両移動に要した所要時間との偏差が所定値以上であるか否かを判断する(S32)。上記偏差が所定値未満である場合(S32にてNO)、分割のため条件を満たさないと判断して、上記区域分割処理を終了する。
【0071】
一方、上記偏差が所定値以上である場合(S32にてYES)、区域分割部41は、上記注目停留所の全てを選択したか否かを判断する(S33)。上記注目停留所の一部しか選択していない場合(S33にてNO)、ステップS31に戻る。
【0072】
一方、上記注目停留所の全てを選択した場合(S33にてYES)、区域分割部41は、分割のための条件を満たすと判断して、上記第1区域を、上記第1停留所が位置する区域と残りの1または複数の区域とに分割して、区域テーブル32および区域間DB33を更新する(S34)。その後、上記区域分割処理を終了する。
【0073】
(区域統合処理)
図15は、本実施形態のサーバ2における区域統合処理の流れを示すフローチャートである。上記区域統合処理は、上記区域分割処理の後に実行されてもよく、上記所要時間更新処理の前に実行されてもよい。図15に示すように、まず、区域特定部21は、停留所テーブル30および区域テーブル32を参照して、実績DB31における移動元停留所および移動先停留所の停留所IDから、上記移動元停留所が位置する移動元区域と、上記移動先停留所が位置する移動先区域との区域IDを特定し、特定した区域IDを実績DB31に追加する(S40)。次に、区域統合部42は、区域特定部21による追加後の実績DB31aを用いて、移動先の第1区域と異なる移動元の区域かつ上記移動先の第1区域に隣接する移動先の第2区域と異なる移動元の区域に位置する1または複数の移動元の注目停留所の1つを選択する(S41)。
【0074】
次に、区域統合部42は、選択した注目停留所から、上記第1区域に位置する第1停留所までの実際の車両移動に要した所要時間と、上記注目停留所から上記第2停留所までの実際の車両移動に要した所要時間との偏差の平均値が所定値以下であるか否かを判断する(S42)。上記偏差の平均値が所定値より大きいである場合(S42にてNO)、統合のため条件を満たさないと判断して、上記区域統合処理を終了する。
【0075】
一方、上記偏差の平均値が所定値以下である場合(S42にてYES)、区域統合部42は、上記注目停留所の全てを選択したか否かを判断する(S43)。上記注目停留所の一部しか選択していない場合(S43にてNO)、ステップS41に戻る。
【0076】
一方、上記注目停留所の全てを選択した場合(S43にてYES)、区域統合部42は、統合のための条件を満たすと判断して、上記第1区域および上記第2区域を統合して、区域テーブル32および区域間DB33を更新する(S44)。その後、上記区域統合処理を終了する。
【0077】
(付記事項)
なお、上記実施形態では、更新部40は、移動先区域に基づいて区域を分割し或いは統合しているが、移動元区域に基づいて区域を分割し或いは統合してもよい。
【0078】
この場合、区域分割部41は、区域特定部21からの実績DB31aを用いて、移動元の第1区域と異なる移動先の区域に位置する1または複数の注目停留所の各々について、上記移動元の第1区域に位置する第1停留所から上記注目停留所までの実際の車両移動に要した所要時間と、上記移動元の第1区域に位置する複数の停留所から上記注目停留所までの実際の車両移動に要した所要時間との組が所定条件を満たす場合、上記第1区域を、上記第1停留所が位置する区域と残りの1または複数の区域とに分割すればよい。
【0079】
また、区域統合部42は、区域特定部21からの実績DB31aを用いて、移動元の第1区域と異なる移動先の区域かつ上記移動元の第1区域に隣接する移動元の第2区域と異なる移動先の区域に位置する1または複数の注目停留所の各々について、上記移動元の第1区域に位置する第1停留所から上記注目停留所までの実際の車両移動に要した所要時間と、上記移動先の第2区域に位置する第2停留所から上記注目停留所までの実際の車両移動に要した所要時間との組が所定条件を満たす場合、上記第1区域および上記第2区域を統合すればよい。
【0080】
また、実績DB31には、オンデマンドバス4が実際に移動した日時を実績データに含んでもよい。この場合、所要時間更新部23は、時間帯ごとの区域間DB33を作成したり、曜日ごとの区域間DB33を作成したりすることができる。
【0081】
また、移動元区域および移動先区域の或る組の区域間データが区域間DB33に含まれていない場合、所要時間特定部22は、外部の経路探索サーバにアクセスして所要時間を受信し、受信した所要時間の情報を携帯端末3に送信してもよい。
【0082】
〔ソフトウェアによる実現例〕
サーバ2(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0083】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0084】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0085】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0086】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1 所要時間提供システム
2 サーバ
3 携帯端末
4 オンデマンドバス
10 制御部
11 記憶部
12 通信部
20 取得部
21 区域特定部(特定部)
22 所要時間特定部(出力部)
23 所要時間更新部(更新部)
30 停留所テーブル
31、31a 実績DB
32 区域テーブル
33 区域間DB
40 更新部
41 区域分割部
42 区域統合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15