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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179531
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】乗物用シートのテーブル装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20241219BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241219BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B60N3/00 A
B60N2/90
A47C7/62 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098452
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 聖也
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B084JA05
3B087DE10
3B088AA01
(57)【要約】
【課題】ドーム状のキャノピー装置を備えた乗物用シートにおいてキャノピー装置に干渉することなく上下方向の位置調整が可能なテーブル装置を提供する。
【解決手段】自動車用シート1のテーブル装置10である。自動車用シート1は、着座乗員Pの頭部から膝付近までを側方から見て回動軸32を中心とした略円形のドーム状に覆うことができるキャノピー装置3を備えている。キャノピー装置3が着座乗員Pの頭部から膝付近までをドーム状に覆った状態で、テーブル装置10は、テーブル部11を着座乗員Pの膝の上方の第1位置から水平を保った状態で第1位置より上方かつ着座乗員Pの上体に近い方向の第2位置に水平に対して斜め方向に移動可能に構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートのテーブル装置であって、
前記乗物用シートは、着座乗員の頭部から膝付近までを、側方から見て前記乗物用シートの前記着座乗員の腰部近傍に中心を有する略円形をしたドーム状に覆うことができるキャノピー装置を備えており、
前記キャノピー装置が前記着座乗員の頭部から膝付近までをドーム状に覆った状態で、前記テーブル装置は、テーブル部を前記着座乗員の膝の上方の第1位置から水平を保った状態で該第1位置より上方かつ前記着座乗員の上体に近い方向の第2位置に向けて水平に対して斜め方向に移動可能に構成されている乗物用シートのテーブル装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記乗物用シートはシートクッションに対してシートバックの後傾角度を調整できるように構成されており、
前記キャノピー装置は前記シートバックに取付けられており、前記テーブル装置は、前記テーブル部を前記シートバックを後傾させたとき連動して前記第1位置から水平を保った状態で前記第2位置に移動可能に構成されている乗物用シートのテーブル装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記テーブル装置にはガスダンパが配設されており、
前記テーブル部の前記第1位置から前記第2位置への移動は前記ガスダンパの伸長により行われ、前記テーブル部の前記第2位置から前記第1位置への移動は前記ガスダンパの収縮により行われるように構成されている乗物用シートのテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートのテーブル装置に関する。詳しくは、ドーム状のキャノピー装置が取付けられた乗物用シートのテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の乗物に装備される乗物用シートにおいて、着座乗員の上体部をドーム状に覆うことができるキャノピー装置を備えたものがある。特許文献1には、そのような乗物用シートの一例が示されている。また、乗物用シートにおいて、テーブル部の前後方向の位置及び上下方向の位置を調整可能なテーブル装置を備えたものがある。特許文献2には、そのような乗物用シートの一例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-74277号公報
【特許文献2】特開2021-24367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載されたキャノピー装置を備えた乗物用シートにおいて、上述の特許文献2に示されるような鉛直方向に上下動可能なテーブル装置を配設しようとした場合、キャノピー装置が着座乗員の上体部を被覆した状態でテーブル部を上昇させるとテーブル部がキャノピー装置に干渉するおそれがあるという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、ドーム状のキャノピー装置を備えた乗物用シートにおいてキャノピー装置に干渉することなく上下方向の位置調整が可能なテーブル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、乗物用シートのテーブル装置であって、前記乗物用シートは、着座乗員の頭部から膝付近までを、側方から見て前記乗物用シートの前記着座乗員の腰部近傍に中心を有する略円形をしたドーム状に覆うことができるキャノピー装置を備えており、前記キャノピー装置が前記着座乗員の頭部から膝付近までをドーム状に覆った状態で、前記テーブル装置は、テーブル部を前記着座乗員の膝の上方の第1位置から水平を保った状態で該第1位置より上方かつ前記着座乗員の上体に近い方向の第2位置に向けて水平に対して斜め方向に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、キャノピー装置は、展開したとき側方から見て乗物用シートにおける着座乗員の腰部近傍に中心を有する略円形をしたドーム状をしているので、テーブル部を着座乗員の膝の上方の第1位置から水平を保った状態で鉛直方向に上昇移動させるとキャノピー装置に干渉するおそれがある。そこで、本発明にかかるテーブル装置は、テーブル部を着座乗員の膝の上方の第1位置から水平を保った状態で第1位置より上方かつ着座乗員の上体に近い方向の第2位置に移動可能に構成されているのでテーブル部を上昇させるときキャノピー装置に干渉するのを抑制できる。これは、テーブル部が第1位置から水平を保った状態で第1位置より上方かつ前記着座乗員の上体に近い方向の第2位置に向けて水平に対して斜め方向に移動可能とされているので、側方から見てキャノピー装置の外形線に沿った動きをすることによる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記乗物用シートはシートクッションに対してシートバックの後傾角度を調整できるように構成されており、前記キャノピー装置は前記シートバックに取付けられており、前記テーブル装置は、前記テーブル部を前記シートバックを後傾させたとき連動して前記第1位置から水平を保った状態で前記第2位置に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、キャノピー装置はシートバックに取付けられているのでシートバックの後傾とともに後傾する。それと連動してテーブル装置は、テーブル部を第1位置から水平を保った状態で第2位置に移動させる。これによって、シートバックを後傾させたときもテーブル部とキャノピーとの干渉を抑制できる。また、シートバックの後傾に伴って後方に移動する着座乗員の上体部にテーブル部を近づけることができるのでテーブル部の使用性が向上する。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明において、前記テーブル装置にはガスダンパが配設されており、前記テーブル部の前記第1位置から前記第2位置への移動は前記ガスダンパの伸長により行われ、前記テーブル部の前記第2位置から前記第1位置への移動は前記ガスダンパの収縮により行われるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、電動部品等を用いない簡潔な構造でテーブル部の上下移動ができるので重量の増加やコストの上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のテーブル装置が配設された自動車用シートの斜視図である。
図2】上記実施形態に係るテーブル装置が配設された自動車用シートの側面図である。テーブル部が第1位置にある状態を示す。
図3図2のIII-III矢視線断面図である。
図4図2のIV-IV矢視線断面図である。
図5】上記実施形態に係るテーブル装置の一部を斜め前方から見た斜視図である。
図6】上記実施形態に係るテーブル装置が配設された自動車用シートの側面図である。テーブル部が第2位置にある状態を示す。
図7】上記実施形態に係るテーブル装置が配設された自動車用シートの側面図である。シートバックを後傾させてテーブル部が第2位置にある状態を示す。
図8】上記実施形態に係るテーブル装置の一部であるテーブル部を前方から見た図である。実線が折り畳んだ状態で二点鎖線が展開した状態を示す。
図9】上記実施形態に係るテーブル装置の一部であるテーブル部を上方から見た図である。実線が折り畳んだ状態で二点鎖線が展開した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図9に基づき、本発明の一実施形態に係る自動車用シート1に適用されるテーブル装置10について説明する。以下の説明において、方向に関する説明は、各図に示される上下前後左右の各方向に基づいて行うものとする。ここで、上下前後左右の各方向は、自動車用シート1を自動車フロアFに取付けたときの自動車用シート1を基準に定めたものである。ここで、自動車用シート1が、特許請求の範囲の「乗物用シート」に相当する。
【0014】
図1及び図2に示すように、自動車用シート1は、着座乗員Pの身体を支持するシート本体部2と、着座乗員Pの上体部を覆うキャノピー装置3と、を有する。シート本体部2は、着座乗員Pの臀部及び大腿部を支持するシートクッション21と、着座乗員Pの腰部及び背部を支持するシートバック22と、を有する。シートバック22は、その左右両側の下端部が、図示しないリクライナを介してシートクッション21の左右両側の後端部に連結されている。これによって、シートバック22は、シートクッション21に対して傾動可能で後傾角度を調整できるようになっている。シートバック22の上部には、着座乗員Pの頭部を支持するヘッドレスト部22aが設けられている。シートクッション21の前端部側には着座乗員Pのふくらはぎを支持するオットマン21aが配設されている。シートクッション21は、自動車フロアFに対して左右一対のスライドレール21bを介して前後方向の位置調整が可能に取付けられている。
【0015】
図1及び図2に示すように、キャノピー装置3は、帯板を厚み方向に略U字状に湾曲させて形成した複数の板フレーム31と、各板フレーム31におけるU字の開口側端部をシートバック22の左右両側部にそれぞれ回動可能に連結する回動軸32と、隣り合う板フレーム31の間に配設された樹脂シート(図示せず)と、を有する。
【0016】
板フレーム31は、後側から前方に向かって第1フレーム31a、第2フレーム31b、第3フレーム31c、第4フレーム31d、第5フレーム31eと並んでいる。第1フレーム31aは、シートバック22に固定されており、第2フレーム31b~第5フレーム31eは、回動軸32を中心に前後方向に回動可能にシートバック22に取付けられている。詳しくは、第2フレーム31bがシート幅方向における一番内側で、第3フレーム31c、第4フレーム31d、第5フレーム31eの順にシート幅方向外側に向かうようにU字の開口側端部が重ねられて回動軸32に取付けられている。そして、第1フレーム31aと第2フレーム31bとの間、第2フレーム31bと第3フレーム31cとの間、第3フレーム31cと第4フレーム31dとの間、第4フレーム31dと第5フレーム31eとの間には、樹脂シートが張設されている。これによって、第5フレーム31eを回動軸32を中心に前方に向けて回動させていくと、各板フレーム31の間に張設された樹脂シートが展開した状態で各板フレーム31の回動が止められ図1及び図2に示すキャノピー装置3の展開状態となる。この展開状態においてキャノピー装置3は着座乗員Pの頭部から膝付近までの上体部をドーム状に覆った状態となる。この展開状態から第5フレーム31eを回動軸32を中心に後方に向けて回動させていくと、各板フレーム31の間に張設された樹脂シートが折り畳まれて各板フレーム31が回動軸32を中心とする周方向に近接した格納状態となる。回動軸32は、側方から見て自動車用シート1に着座した着座乗員Pの腰部近傍に位置している。
【0017】
図1及び図2に示すように、自動車用シート1の右側側部にはテーブル装置10が取付けられている。テーブル装置10は、テーブル部11と、テーブル部11を昇降させる昇降機構部12と、を有する。
【0018】
図2図5に示すように、昇降機構部12は、シートクッション21の右側側部に固定されたベース部40と、ベース部40に対して斜め上下方向に移動可能に取付けられた昇降部50と、を有する。
【0019】
ベース部40は、自動車フロアFに対して垂直な略面状の部材である。右方に向かって突出し前下方から後上方に向かって延びる下側の下凸条41と、右方に向かって突出し下凸条41と平行に延びる上側の上凸条42と、が形成されて剛性が高められている。下凸条41と上凸条42は、自動車フロアFに対して約45度の角度をなして斜めに延びている。下凸条41と上凸条42の間の右側面上には、下凸条41及び上凸条42と平行に延びる横断面が矩形状の下レール43と、上レール44が配設されている。上凸条42の上面である右側面上には、下側に歯45aが設けられたラック45が上凸条42と平行に延びて取付けられている。下レール43の下端部側の上方にはストッパ46が取付けられている。ストッパ46は、後述するガスダンパ53の下端部53bが当接する部分である。
【0020】
図2図5に示すように、昇降部50は、側面視で略直角三角形状をした部材で、右方に向けて開口する左側部材51と、左方に向けて開口する右側部材52とが互いの開口をふさぐように組み合わされて内部に空間50gを有するボックス状に形成されている。昇降部50は、側面視で、直角三角形の直角を挟む2辺のうち1辺に相当する後下側端部50aと、直角三角形の直角を挟む2辺のうち他辺に相当する後上側端部50bと、直角三角形の斜辺に相当する前側端部50cと、を有している。昇降部50は、ベース部40に対して、後下側端部50aが下凸条41と平行で、前側端部50cが自動車フロアFに対して略垂直になる状態で取付けられている。昇降部50における後下側端部50aの前上方には、後下側端部50aと平行に延びる拡幅部50dが形成されている。具体的には、左側部材51に形成された左方向に突出して後下側端部50aと平行に延びる左側凸条部51aと、右側部材52に形成された右方向に突出して後下側端部50aと平行に延びる右側凸条部52aと、で挟まれた内部空間50eが形成されている。内部空間50eには、ガスダンパ53が配置されている。左側部材51の左側面には、左側凸条部51aの前上方にベース部40の上レール44に対応して配置された2つの上ブロック部材54が上レール44の延びる方向に離隔して取付けられている。2つの上ブロック部材54は、いずれも上レール44に摺動可能に嵌合している。また、左側部材51の左側面には、左側凸条部51aの後下方にベース部40の下レール43に対応して配置された2つの下ブロック部材55が下レール43の延びる方向に離隔して取付けられている。2つの下ブロック部材55は、いずれも下レール43に摺動可能に嵌合している。この2つの上ブロック部材54と上レール44との嵌合及び2つの下ブロック部材55と下レール43との嵌合によって、昇降部50は、ベース部40に対して下凸条41と平行に斜め上下方向に移動可能に取付けられている。昇降部50の上部には、テーブル部11を取付けるための取付部50fが形成されている。
【0021】
図2図5に示すように、昇降部50の内部空間50eに配置されたガスダンパ53は、上端部53aが昇降部50に連結され、下端部53bは、ベース部40のストッパ46に当接している。ガスダンパ53は図示しない操作ハンドルを着座乗員Pが操作することによって伸縮しベース部40に対して昇降部50を昇下降させることができるようになっている。具体的には、図2に示す昇降部50が下端部にある状態(テーブル部11の第1位置)で操作ハンドルを操作するとガスダンパ53が伸びて昇降部50を押し上げ図6に示す昇降部50が上端部にある状態(テーブル部11の第2位置)にする。そして、図6に示す昇降部50が上端部にある状態(テーブル部11の第2位置)で操作ハンドルを操作するとともにテーブル部11を押し下げると図2に示す昇降部50が下端部にある状態(テーブル部11の第1位置)になる。なお、図2に示す昇降部50が下端部にある状態(テーブル部11の第1位置)で操作ハンドルを操作してテーブル部11が第2位置に達する前に操作ハンドルの操作を止めるとその位置で昇降部50は止まる。
【0022】
左側部材51における前側の上ブロック部材54の上方には、ロータリダンパ56が取付けられ、ベース部40に取付けられたラック45の歯45aとかみ合わされている。これによって、ベース部40に対する昇降部50の昇降動作が急激なものとならないようにされている。
【0023】
図2図5に示すように、昇降部50の後下側端部50aと拡幅部50dの間には、後下側端部50a及び拡幅部50dと平行に延びる横断面が矩形状のスライドレール57が配設されている。詳しくは、スライドレール57は、右側部材52の右側面上における後下側端部50aと右側凸条部52aの間に取付けられている。スライドレール57には、スライドブロック58が摺動可能に嵌合して取付けられている。スライドレール57の上端部と下端部には図示しないストッパが配設されており、上下のストッパ間でスライドブロック58はスライドレール57に対し摺動可能とされている。スライドブロック58には、右方に向かって延びるピン59が立設されている。アーム部材60は、側方から見て略L字状をした部材で図2に示す状態において前方に向けて延びる第1アーム部61と、略上方に向けて延びる第2アーム部62と、を有する。第1アーム部61と第2アーム部62とが交わる部分の近傍が左右方向に延びるアーム回動軸63によってベース部40の後端部側に回動可能に連結されている。第1アーム部61の先端側には、第1アーム部61の延びる方向と同じ方向に延びる第1長孔61aが形成され、第1長孔61aの中にスライドブロック58のピン59が配置されている。第2アーム部62の先端側には、第2アーム部62の延びる方向と略同じ方向に延びる第2長孔62aが形成され、第2長孔62aの中にキャノピー装置3の回動軸32が配置されている。これによって、図2に示す昇降部50が下端部にある状態からシートバック22をシートクッション21に対して後傾させていくと、アーム部材60は、第2アーム部62が回動軸32によって押されてアーム回動軸63を中心に図2において反時計回りに回動する。このとき、スライドブロック58はスライドレール57の上側のストッパに当接した状態で、第1アーム部61の第1長孔61aの中をピン59が移動しながら後上方に向かって持ち上げられるのでスライドブロック58とともに昇降部50がベース部40に対して移動し図7に示す状態となる。このとき、ガスダンパ53は縮んだ状態にあるので下端部53bは、ベース部40のストッパ46から離隔する。
【0024】
図1図2図8及び図9に示すように、テーブル部11は、リンク70と、テーブル71と、リンク70とテーブル71を昇降機構部12に対して水平方向に展開格納させることが可能で昇降機構部12の取付部50fに対して取付けられる展開格納機構72と、を有する。
【0025】
展開格納機構72は、リンク70の一端を昇降機構部12の取付部50fに対して水平方向に回転可能に連結する第1回転軸72aと、テーブル71をリンク70の他端に対して水平方向に回転可能に連結する第2回転軸72bと、を有する。展開格納機構72は、電動によってリンク70を第1回転軸72aの周りに回転させ、また、第1回転軸72aの駆動力を第2回転軸72bに伝達してテーブル71を第2回転軸72bの周りに回転させる。これによって、展開格納機構72は、リンク70とテーブル71を取付部50fに対して屈伸運動させるように、図8及び図9において実線で示す格納位置P1と、二点鎖線で示す展開位置P2との間で回転移動させる。格納位置P1では、リンク70とテーブル71が前後方向に延びる向きに重ね合わされ左右方向の幅を小さくした状態とされる。展開位置P2では、リンク70とテーブル71をそれぞれ左右方向に延びる向きに重ね合わされテーブル71が着座乗員Pの膝の上方に配置された状態とされる。
【0026】
テーブル装置10の作動及びその効果について説明する。図1の実線及び図2に示すのが、シートバック22を傾けない状態、キャノピー装置3を展開状態、テーブル部11を展開位置P2として最下限の第1位置にある状態である。このときキャノピー装置3を側方から見ると回動軸32を中心とした略円形の外形形状をしている。また、このときテーブル部11は、キャノピー装置3の内部における第4フレーム31dと第5フレーム31eの間の位置にある。さらに、スライドブロック58はその上端部がスライドレール57の上側のストッパに当接した状態にある。この状態で着座乗員Pがテーブル装置10のガスダンパ53の操作ハンドルを操作するとガスダンパ53が伸長しベース部40のストッパ46に対して昇降部50を上端部53aが押し上げる。そして、スライドブロック58はピン59によって移動が阻止されているのでスライドレール57が昇降部50とともに上方に向かって摺動移動しスライドブロック58の下端部がスライドレール57の下側のストッパに当接した状態で昇降部50の上昇移動を止めテーブル部11は第2位置となる。この状態が図6に示す状態である。このとき、テーブル部11は、側方から見たときのキャノピー装置3の外形形状にほぼ沿った斜め後上方に向かって移動するのでキャノピー装置3に干渉することが抑制される。また、昇降部50のベース部40に対する上昇の過程でロータリダンパ56が作動するので昇降動作はそのスピードが抑制されたものとなる。なお、テーブル部11が第2位置に至る前にガスダンパ53の操作ハンドルの操作を中止するとその位置で昇降部50の上昇移動が止まるので着座乗員Pの好みの位置にテーブル部11を配置することができる。
【0027】
図6に示す状態からガスダンパ53の操作ハンドルを操作しながらテーブル部11を下方に向けて押し下げて下降させるとガスダンパ53が縮んで図2に示すテーブル部11を展開位置P2として最下限の第1位置にある状態に戻る。このとき、昇降部50のベース部40に対する下降の過程でロータリダンパ56が作動するので下降動作はそのスピードが抑制されたものとなる。なお、テーブル部11が第1位置に至る前にガスダンパ53の操作ハンドルの操作を中止するとその位置で昇降部50の下降移動が止まるので着座乗員Pの好みの位置にテーブル部11を配置することができる。このときもテーブル部11は、側方から見たときのキャノピー装置3の外形形状にほぼ沿った斜め前下方に向かって移動するのでキャノピー装置3に干渉することが抑制される。
【0028】
図2に示す状態からガスダンパ53の操作ハンドルを操作せずシートバック22をシートクッション21に対して後傾させていくとキャノピー装置3は展開状態のままでシートバック22とともに後傾して図7に示すテーブル部11が第2位置となった状態となる。具体的には、アーム部材60が、スライドブロック58がスライドレール57の上側のストッパに当接した状態で、アーム回動軸63を中心に図2において反時計回りに回動し、第1アーム部61の第1長孔61aの中をピン59が移動しながらスライドブロック58を後上方に向かって持ち上げる。これによって、スライドブロック58とともに昇降部50がベース部40に対して上昇移動し図7に示す状態となる。このとき、ガスダンパ53は縮んだ状態にあるので下端部53bは、ベース部40のストッパ46から離隔する。そして、テーブル部11は、側方から見たときのキャノピー装置3の外形形状にほぼ沿った斜め後上方に向かって移動するのでキャノピー装置3に干渉することが抑制される。また、昇降部50のベース部40に対する上昇の過程でロータリダンパ56が作動するので昇降動作はそのスピードが抑制されたものとなる。なお、テーブル部11が第2位置に至る前にシートバック22の後傾を止めるとその位置で昇降部50の上昇移動が止まるので着座乗員Pの好みの位置にテーブル部11を配置することができる。テーブル装置10のテーブル部11が格納位置P1にある状態で、図2に示す状態からガスダンパ53の操作ハンドルを操作せずシートバック22をシートクッション21に対して後傾させていってもテーブル部11は、キャノピー装置3に干渉することが抑制される。
【0029】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0030】
1.上記実施形態においては、シートバック22を後傾させない状態でテーブル部11を第1位置から第2位置に移動させるのに、昇降部50をガスダンパ53で昇降させるように構成した。しかし、これに限らず、電動で昇降部50を昇降させるように構成してもよい。
【0031】
2.上記実施形態においては、下レール43と上レール44を直線状のものとして構成したが、若干湾曲させて側方から見たときのキャノピー装置3の外形形状により沿うようなものとすることもできる。ただしその場合上ブロック部材54と下ブロック部材55の嵌合部を摺動可能なように調整する必要が生ずることがある。
【0032】
3.上記実施形態においては、自動車用シート1に本願発明を適用したが飛行機、船舶、鉄道車両等のシートに適用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 自動車用シート(乗物用シート)
2 シート本体部
3 キャノピー装置
10 テーブル装置
11 テーブル部
12 昇降機構部
21 シートクッション
22 シートバック
32 回動軸
40 ベース部
50 昇降部
53 ガスダンパ
70 リンク
71 テーブル
72 展開格納機構
P 着座乗員
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9