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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179555
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】保護具および監視システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20241219BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241219BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20241219BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241219BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20241219BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
E21D11/10 D
H04N7/18 D
G02B23/24 A
G02B23/24 B
G03B15/00 S
G03B15/00 U
G03B17/08
G03B17/56 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098492
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】522236006
【氏名又は名称】ツインリンクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】新井 智之
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝識
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 廉樹
(72)【発明者】
【氏名】末松 幸人
(72)【発明者】
【氏名】大野 義範
(72)【発明者】
【氏名】重田 政夫
【テーマコード(参考)】
2D155
2H040
2H101
2H105
5C054
【Fターム(参考)】
2D155CA01
2D155DB02
2D155DB06
2D155LA10
2D155LA13
2H040AA02
2H040AA03
2H040BA24
2H040DA12
2H040DA57
2H040GA02
2H101CC00
2H105DD07
2H105EE05
2H105EE35
5C054CA04
5C054CC02
5C054CE06
5C054CE12
5C054HA19
(57)【要約】
【課題】粉塵が発生する作業において用いられる機器を保護する保護具を提供すること。
【解決手段】保護具は、一面に開口部を含み、内部に作業環境を検出するための機器が設置される空間を有する筐体と、筐体と間隙を有して開口部を覆い、透光性を有する蓋体と、内部に設置され、蓋体と接続して蓋体を回転可能に駆動するモータと、筐体の外部から蓋体に向けて流体を流出するノズルと、を含む。モータは、エアモータであってもよい。エアモータの排気は、間隙を介して外部に排出されてもよい。流体は、液体であってもよい。液体は、蓋体の回転中心近傍に流出されてもよい。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に開口部を含み、内部に作業環境を検出するための機器が設置される空間を有する筐体と、
前記筐体と間隙を有して前記開口部を覆い、透光性を有する蓋体と、
前記内部に設置され、前記蓋体と接続して前記蓋体を回転可能に駆動するモータと、
前記筐体の外部から前記蓋体に向けて流体を流出するノズルと、を含む、保護具。
【請求項2】
前記モータは、エアモータである、請求項1に記載の保護具。
【請求項3】
前記エアモータの排気は、前記間隙を介して前記外部に排出される、請求項2に記載の保護具。
【請求項4】
前記流体は、液体である、請求項1に記載の保護具。
【請求項5】
前記液体は、前記蓋体の回転中心近傍に流出される、請求項4に記載の保護具。
【請求項6】
前記流体が流出される前記蓋体の表面には、表面改質材が設けられている、請求項1に記載の保護具。
【請求項7】
前記機器は、カメラおよびレーザスキャナの少なくとも1つを含む、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の保護具。
【請求項8】
一面に開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部に設置され、作業環境を検出するための機器と、
前記筐体と間隙を有して前記開口部を覆い、透光性を有する蓋体と、
前記内部に設置され、前記蓋体と接続して前記蓋体を回転可能に駆動するモータと、
前記筐体の外部から前記蓋体に向けて流体を流出するノズルと、
前記流体の流出量および前記モータの回転のうちの少なくとも1つを制御する制御器と、を含む、監視システム。
【請求項9】
さらに、前記制御器と電気的に接続され、前記制御器に制御信号を送信するフットスイッチを含む、請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
前記機器は、カメラであり、
さらに、前記カメラと通信可能に接続され、前記カメラから画像データを受信する表示装置を含む、請求項8に記載の監視システム。
【請求項11】
前記表示装置は、前記画像データに基づいて前記蓋体および前記カメラのレンズの透過度を判定する画像解析部を含み、
判定された前記透過度に基づき、前記制御器が制御される、請求項10に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、粉塵が発生する作業において用いられる機器を保護する保護具に関する。また、本発明の一実施形態は、保護具を用いた監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル工事の一工程として、掘削したトンネルの壁を補強するためにコンクリート吹付作業が行われる。コンクリート吹付作業では、作業者が、切羽の直下においてコンクリートの吹付け状況を目視で確認しながら、吹付機のコントローラを操作する。近年、切羽の近傍における作業者の作業による事故を防止する観点から、吹付機にカメラを設置し、カメラの映像を見ながら遠隔操作によりコンクリート吹付作業を行うシステムが開発されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-123963号公報
【特許文献2】特開2023-43588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遠隔操作によるコンクリート吹付作業などの粉塵が発生する作業環境下においては、カメラなどの機器が有する機能が失われないように、機器を保護する必要がある。例えば、吹付機によるコンクリートの吹付けは、コンクリートを噴出させて行われるが、切羽に当たった骨材が跳ね返り、カメラを破損させる場合がある。また、コンクリートの噴出においては、コンクリートに含まれるセメント成分の粉塵が発生しやすい。セメント成分には急結材が含まれており、カメラのレンズにコンクリートが付着してしまうと、付着したコンクリートが急速に硬化され、カメラの撮影機能が失われてしまう。カメラの破損防止のためにカメラを保護ケース内に収容しても、保護ケースにコンクリートが付着してしまうと、カメラの撮影範囲がコンクリートによって覆われることになるため、カメラの映像によってコンクリートの吹付け状況を確認することはできない。すなわち、コンクリート吹付作業では、カメラの撮影機能が失われ、カメラを用いて長時間撮影し続けることが困難であった。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、粉塵が発生する作業において用いられる機器を保護する保護具を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、保護具を用いた監視システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る保護具は、一面に開口部を含み、内部に作業環境を検出するための機器が設置される空間を有する筐体と、筐体と間隙を有して開口部を覆い、透光性を有する蓋体と、内部に設置され、蓋体と接続して蓋体を回転可能に駆動するモータと、筐体の外部から蓋体に向けて流体を流出するノズルと、を含む。
【0007】
モータは、エアモータであってもよい。エアモータの排気は、間隙を介して外部に排出されてもよい。
【0008】
流体は、液体であってもよい。液体は、蓋体の回転中心近傍に流出されてもよい。
【0009】
流体が流出される蓋体の表面には、表面改質材が設けられていてもよい。
【0010】
機器は、カメラおよびレーザスキャナの少なくとも1つを含んでもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る監視システムは、一面に開口部を有する筐体と、筐体の内部に設置され、作業環境を検出するための機器と、筐体と間隙を有して開口部を覆い、透光性を有する蓋体と、内部に設置され、蓋体と接続して蓋体を回転可能に駆動するモータと、筐体の外部から蓋体に向けて流体を流出するノズルと、流体の流出量およびモータの回転のうちの少なくとも1つを制御する制御器と、を含む。
【0012】
前記機器は、カメラであり、監視システムは、さらに、制御器と電気的に接続され、制御器に制御信号を送信するフットスイッチを含んでもよい。
【0013】
監視システムは、さらに、カメラと通信可能に接続され、前記カメラから画像データを受信する表示装置を含んでもよい。表示装置は、画像データに基づいて蓋体およびカメラのレンズの透過度を判定する画像解析部を含み、判定された透過度に基づき、制御器が制御されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、粉塵が発生する作業において、機器の機能を損なうことなく、長時間の作業が可能となる。例えば、保護具を用いてカメラを保護すれば、カメラによる長時間の撮影が可能となる。また、作業者による遠隔での長時間の作業が可能となる。例えば、コンクリート吹付作業であれば、作業者が切羽から離れて長時間にわたってコンクリート吹付作業を行うことができるため、コンクリート吹付作業の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な上面図である。
図1B】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な側面図である。
図1C】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な断面図である。
図1D】本発明の一実施形態に係る保護具の筐体の構成を示す模式的な斜視図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な上面図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な側面図である。
図2C】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な断面図である。
図2D】本発明の一実施形態に係る保護具の筐体の構成を示す模式的な斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な断面図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な上面図である。
図4B】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な側面図である。
図4C】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な断面図である。
図4D】本発明の一実施形態に係る保護具の蓋体の構成を示す模式的な斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る保護具の構成を示す模式的な断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る監視システムの利用態様を示す模式図である。
図7】本発明の一実施形態に係る監視システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面などを参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示される実施形態の内容に限定して解釈されるべきではない。図面は本発明の内容を理解しやすくするために、実際の構造に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などについて模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内容を限定するものではない。また、本明細書において、ある図面に記載されたある構成要素と、他の図面に記載されたある構成要素とが同一または対応する関係にあるときは、同一の符号(または符号として記載された数字の後にA、B等を付した符号)を付して、繰り返しの説明を適宜省略する場合がある。さらに各構成要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各構成要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0017】
<第1実施形態>
本発明の一実施形態に係る保護具100は、例えば、後述する監視システム10において用いられる。監視システム10の構成および利用態様の詳細は後述するが、監視システム10は、コンクリート吹付作業で用いられ、保護具100は、監視システム10に含まれるカメラ200を保護するための保護具として機能する。以下では、図1A図1Dを参照して、本発明の一実施形態に係る保護具100について説明する。
【0018】
図1A図1Cは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る保護具100の構成を示す模式的な上面図、側面図、および断面図である。また、図1Dは、本発明の一実施形態に係る保護具100の筐体110の構成を示す模式的な斜視図である。保護具100は、開口部111を有し内部に作業環境を検出するための機器が設置される筐体110、筐体110と間隙を有して開口部111を覆う蓋体120、筐体110の内部に設置され蓋体120を回転するモータ130、および蓋体120の外部から蓋体120に向けて流体を流出するノズル140を含む。
【0019】
[1.筐体110の構成]
筐体110は、内部に空間を有し、一面に開口部111を含む(図1D参照)。図1Dに示す筐体110の外観形状は角柱体であるが、筐体110の外観形状はこれに限られない。筐体110は、内部に空間を有していればよく、円柱体、または円柱体と角柱体とが結合された外観形状であってもよい。開口部111は、筐体110の一面において、円形状に形成されている。但し、開口部111の開口形状は、これに限られない。開口部111は、楕円形状に形成されていてもよく、多角形状に形成されていてもよい。
【0020】
詳細は後述するが、保護具100は、例えば、コンクリート吹付作業において吹付機の吹付アームに取り付けられるため、筐体110は、軽量であり、かつ、ある程度の強度を有することが好ましい。筐体110は、例えば、アルミニウムを含む合金もしくはステンレスなどの金属材料、またはアクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、またはポリ塩化ビニルなどの樹脂材料を用いて加工することができる。
【0021】
筐体110の内部には、作業環境を検出するための機器が設置される。作業環境を検出するための機器としては、例えば、カメラなどの撮像機器または3Dレーザスキャナなどの計測機器である。撮像機器は、筐体110の内部から外部を撮影することにより、作業環境を検出する。作業者は、撮影された映像に基づき作業環境を確認することができる。また、計測機器は、筐体110の外部の対象物を計測する(例えば、位置座標などのデータを取得する)ことにより、作業環境を検出する。作業者は、計測された対象物のデータに基づき作業環境を確認することができる。
【0022】
なお、以下では、便宜上、筐体110の内部にカメラ200が設置されている構成について説明する。カメラ200として、例えば、魚眼カメラ、赤外線カメラ、またはステレオカメラなどを用いることができる。
【0023】
カメラ200は、筐体110の内部に設置される。筐体110の内部には、カメラ200を支持するカメラ支持部材110aが設けられている。カメラ200は、カメラ支持部材110aに着脱可能に設置され、開口部111および蓋体120を通して、筐体110の外部のコンクリートの吹付け状況を撮影することができる。カメラ支持部材110aの構成は特に限定されない。カメラ支持部材110aは、カメラ200を支持し、固定することができればよい。保護具100は、例えば、吹付機に取り付けられるため、筐体110の内部に設置されるカメラ200は、カメラ支持部材110aに固定されていることが好ましい。カメラ支持部材110aは、カメラ200と嵌合することによってカメラ200を固定してもよく、ネジ留めすることによってカメラ200を固定してもよい。
【0024】
なお、筐体110の内部には、少なくとも1台のカメラ200が設置されていればよい。
【0025】
[2.蓋体120の構成]
蓋体120は、筐体110と間隙を有し、開口部111を覆うように設けられている(図1C参照)。平面視において、蓋体120は、開口部111と完全に重畳する。換言すると、平面視において、蓋体120の面積は、開口部111の面積よりも大きい。蓋体120は、回転した場合においても開口部111を覆うように構成されていればよく、筐体110の一部が蓋体120によって覆われていなくてもよい。換言すると、平面視において、蓋体120は、筐体110の一面の一部と重畳していなくてもよい。
【0026】
蓋体120は、円板形状を有する。但し、蓋体120の形状はこれに限られない。蓋体120は、回転した場合に開口部111を覆う形状であればよく、多角形状を有していてもよい。また、蓋体120は、透光性を有し、可視光領域における光透過率が、60%以上であり、好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。蓋体120の材料として、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、またはポリ塩化ビニルなどの透明樹脂を用いることができる。蓋体120が透光性を有することにより、カメラ200は、蓋体120を通して筐体110の外部の作業環境を撮影することができる。
【0027】
保護具100がコンクリート吹付作業において用いられる場合、蓋体120は、切羽からの跳ね返りの骨材が衝突する場合がある。そのため、蓋体120の厚さは特に限定されないが、ある程度の強度が維持される厚さであることが好ましい。
【0028】
蓋体120の表面(より具体的には、後述する流体が流出される側の蓋体120の表面)には、表面を親水性に、または疎水性に改質する表面改質材が設けられていてもよい。表面改質材は、表面にコーティングされてもよく、フィルムが貼付されてもよい。蓋体120の表面に表面改質材が設けられることにより、流体が液体である場合において、蓋体に流出される液体を迅速に除去することが可能となる。
【0029】
[3.モータ130の構成]
モータ130は、筐体110の内部に設置されている。モータ130は、駆動によって回転する回転軸130aを有する。回転軸130aは、蓋体120と接続されている。すなわち、モータ130は、蓋体120を回転可能に蓋体120と接続されている。蓋体120と回転軸130aとは、ナット120aおよび120bならびに平座金120cおよび120dを用いて接続することができる。具体的には、蓋体120の中心を貫通した回転軸130aに、蓋体120の一方の面からナット120aおよび平座金120cを挿通し、蓋体120の他方の面からナット120bおよび平座金120dを挿通し、間に挟まれた蓋体120をナット120aおよび120bを用いて締め付けることにより、蓋体120を回転軸130aに固定することができる。これにより、回転軸130aが回転すると、蓋体120も、回転軸130aの回転速度に合わせて回転する。例えば、回転速度は2000rpmであるが、回転速度は、例えば、吹付機の大きさまたは作業現場の状況などに応じて適宜設定することができる。なお、モータ130と蓋体120との接続は、回転軸130aを直接介する接続構成に限られない。蓋体120は、モータ130の駆動によって回転可能にモータ130と接続されていればよく、間接的にモータ130の回転軸130aと接続されていてもよい。
【0030】
モータ130は、圧縮空気を動力源とするエアモータである。すなわち、モータ130は、圧縮空気によって回転駆動力を得る。図示しないが、圧縮空気は、例えば、吹付機に搭載されているコンプレッサから供給することができる。モータ130には排気口が設けられており、モータ130の駆動時には排気口から筐体110の内部に空気が排出される。そのため、モータ130の駆動時には筐体110の内部の圧力が高まる。その結果、モータ130から排出された空気は、筐体110と蓋体120との間隙から筐体110の外部に排出される。
【0031】
[4.ノズル140の構成]
ノズル140は、筐体110の外部に設置されている。ノズル140は、蓋体120の外部から蓋体120に向けて流体を流出する。蓋体120に流出された流体は、蓋体に付着したコンクリートを除去することができる。ノズル140の流体が流出する流出口は、蓋体120の回転中心の近傍に位置していることが好ましい。この場合において、蓋体120が回転すると、ノズル140から蓋体120の回転中心の近傍に流出された流体は、遠心力により蓋体120の外周へと拡散される。
【0032】
流体は、水などの液体であってもよく、空気などの気体でもよい。また、ノズル140から流出される流体は、液体および気体の混合であってもよい。但し、保護具100がコンクリート吹付作業において用いられる場合、蓋体120に付着したコンクリートを除去するためには、流体は、少なくとも液体を含むことが好ましい。
【0033】
以上、保護具100の構成について説明したが、保護具100がコンクリート吹付作業に用いられる場合、蓋体120が、筐体110の内部に設置されたカメラ200を保護することができる。特に、蓋体120が回転することにより、切羽からの跳ね返りの骨材を弾き飛ばし、また、コンクリートが付着した場合であっても遠心力により吹き飛ばすことができる。また、蓋体120を回転するモータ130からの排気による空気が筐体110の内部の圧力を高める。その結果、筐体110と蓋体120との間隙から空気が排出され、間隙へのコンクリート、粉塵、またはノズル140から蓋体120へ供給される液体(流体が液体である場合)により発生するミスト等の侵入を防ぐことができる。モータ130を駆動するための圧縮空気は、コンクリート吹付作業で用いられる吹付機に搭載されているコンプレッサから供給することができるため、保護具100の軽量化を図ることができる。さらに、蓋体120には、ノズル140から流体が流出される。そのため、蓋体120にコンクリートが付着した場合であっても、セメント成分が硬化する前にコンクリートを流体によって除去することができる。蓋体120は回転しているため、蓋体120に流出された流体は中心から外周へと拡散する。その結果、流体は蓋体120に付着したコンクリートを洗い流すだけでなく、遠心力を利用して蓋体120の外周から振り切ることができる。
【0034】
したがって、コンクリート吹付作業において保護具100を用いることにより、カメラ200およびカメラ200を保護する蓋体120へのコンクリートの付着を低減し、コンクリート吹付作業において、カメラによる長時間の撮影が可能となる。
【0035】
なお、本実施形態では、保護具100が、主に、コンクリート吹付作業において用いられる利用態様で説明したが、保護具100は、コンクリート吹付作業以外において用いられてもよい。保護具100は、筐体110の内部に設置される機器がその機能を失わないように粉塵から保護することができ、粉塵が発生する作業環境において用いることできる。例えば、保護具100は、ブレーカー掘削作業または斫り作業などにおいても用いることができる。
【0036】
保護具100は、さまざまな変形が可能である。以下では、保護具100のいくつかの変形例について説明する。なお、以下では、保護具100の構成と同様の構成については、その構成の説明を省略する場合がある。
【0037】
<変形例1>
図2A図2Dを参照して、保護具100の変形例である保護具100Aについて説明する。
【0038】
図2A図2Cは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る保護具100Aの構成を示す模式的な上面図、側面図、および断面図である。また、図2Dは、本発明の一実施形態に係る保護具100Aの筐体110Aの構成を示す模式的な斜視図である。保護具100Aは、筐体110A、蓋体120、モータ130、およびノズル140を含む。保護具100Aは、保護具100の筐体110の代わりに、筐体110Aを含む。
【0039】
筐体110Aは、内部に空間を有し、一面に開口部112Aおよび113Aを含む(図2D参照)。開口部112Aは、筐体110Aの内部に設置されたカメラ200と重畳している。すなわち、カメラ200は、開口部112Aおよび蓋体120を通して、筐体110の外部のコンクリートの吹付け状況を撮影することができる。一方、開口部113Aには、回転軸130aが挿通される。すなわち、開口部113Aは、蓋体120を回転するため接続構成のために設けられている。このように、保護具100Aでは、筐体110Aの内部に設置される構成と対応し、その必要に応じた開口部112Aおよび113Aが設けられている。そのため、保護具100Aの筐体110Aの開口面積(開口部112Aおよび113Aの総面積)は、図1A~1Dに示す保護具100の筐体110の開口面積(開口部111の面積)よりも小さい。
【0040】
保護具100Aによれば、筐体110Aの開口面積が小さく、筐体110Aの内部の圧力をさらに高めることができる。そのため、筐体110Aと蓋体120との間隙から排出される空気の圧力が高まり、筐体110Aの内部へのコンクリート、粉塵、またはノズル140から蓋体120へ供給される液体(流体が液体である場合)により発生するミスト等の侵入をさらに防ぐことができる。
【0041】
したがって、コンクリート吹付作業において保護具100Aを用いることにより、カメラ200へのコンクリートの付着をより低減し、コンクリート吹付作業において、カメラによる長時間の撮影が可能となる。
【0042】
<変形例2>
図3を参照して、保護具100の変形例である保護具100Bについて説明する。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態に係る保護具100Bの構成を示す模式的な断面図である。保護具100Bは、筐体110B、蓋体120、モータ130、およびノズル140を含む。保護具100Bは、保護具100の筐体110の代わりに、筐体110Bを含む。
【0044】
筐体110Bは、内部に空間を有し、一面に開口部112Bおよび113Bを含む。開口部112Bは、筐体110Bの内部に設置されたカメラ200と重畳している。すなわち、カメラ200は、開口部112Bおよび蓋体120を通して、筐体110の外部のコンクリートの吹付け状況を撮影することができる。一方、開口部113Bには、軸受130bが配置され、回転軸130aは軸受130bに挿通されている。開口部113Bでは、軸受130bによって回転軸130aが滑らかに回転することができる一方で、開口部113Bが回転軸130aおよび軸受130bによって実質的に密閉されており、空気が放出されにくい構造となっている。
【0045】
保護具100Bによれば、筐体110Bから排出される空気の出口が実質的に開口部112Bに限定されている。そのため、筐体110Aの内部の圧力が高まり、筐体110Bと蓋体120との間の間隙から排出される空気の圧力も高くなる。特に、保護具100Bでは、カメラ200近傍の開口部112Bから排出される空気の圧力が高いため、カメラ200近傍へのコンクリート、粉塵、またはノズル140から蓋体120へ供給される液体(流体が液体である場合)により発生するミスト等の侵入をさらに防ぐことができる。
【0046】
したがって、コンクリート吹付作業において保護具100Bを用いることにより、カメラ200へのコンクリートの付着をより低減し、コンクリート吹付作業において、カメラによる長時間の撮影が可能となる。
【0047】
<変形例3>
図4A図4Dを参照して、保護具100の変形例である保護具100Cについて説明する。
【0048】
図4A図4Cは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る保護具100Cの構成を示す模式的な上面図、側面図、および断面図である。また、図4Dは、本発明の一実施形態に係る保護具100Cの蓋体120Cの構成を示す模式的な斜視図である。保護具100Cは、筐体110C、蓋体120C、モータ130、およびノズル140を含む。保護具100Cは、保護具100の筐体110および蓋体120の代わりに、筐体110Cおよび蓋体120Cを含む。
【0049】
筐体110Cは、内部に空間を有し、一面に開口部112Cよび113Cを含む(図4C参照)。開口部112Cは、筐体110Cの内部に設置されたカメラ200と重畳している。すなわち、カメラ200は、開口部112Cおよび蓋体120Cを通して、筐体110Cの外部のコンクリートの吹付け状況を撮影することができる。一方、開口部113Cには、軸受130bが配置され、回転軸130aは軸受130bに挿通されている。開口部113Cでは、軸受130bによって回転軸130aが滑らかに回転することができる一方で、開口部113Cが回転軸130aおよび軸受130bによって実質的に密閉されており、空気が放出されにくい構造となっている。
【0050】
筐体110Cは、蓋体120Cが有する円板形状と対応し、円柱体の外観形状を有する。すなわち、平面視において、筐体110Cは、蓋体120と完全に重畳する(図4A参照)。但し、筐体110Cの外観形状はこれに限られない。筐体110Cは、上部(蓋体120Cが設けられている側)が円柱体で、下部が角柱体であってもよい。この場合、平面視において、筐体110Cの下部は、蓋体120と重畳しない部分(すなわち、蓋体120からはみ出した部分)を含んでいてもよい。
【0051】
蓋体120Cは、平坦部120C-1、傾斜部120C-2、および突出部120C-3を含む(図4D参照)。平坦部120C-1は、蓋体120Cの中心近傍に位置し、開口部121Cが設けられている。開口部121Cには回転軸130aが挿通され、平坦部120C-1の一方の面からナット120aおよび平座金120cが挿通され、平坦部120C-1の他方の面からナット120bおよび平座金120dが挿通され、間に挟まれた蓋体120Cをナット120aおよび120bを用いて締め付けることにより、蓋体120Cが回転軸130aに固定される。傾斜部120C-2は、平坦部120C-1の外周において接続され、蓋体120Cの中心から外周に向かって平坦部120C-1の面とは異なる角度の傾斜面を有する。傾斜部120C-2の厚さが一定である場合、蓋体120Cの上面は凸面状を有し、蓋体120Cの下面は凹面状を有する。但し、傾斜部120C-2の厚さは一定でなくてもよい。例えば、傾斜部120C-2の厚さが中心から外周に向かって小さくなってもよい。この場合において、蓋体120Cの上面は凸面状を有し、蓋体120Cの下面は平坦であってもよい。突出部120C-3は、傾斜部120C-2の下方から突出し、傾斜部120C-2の外周に沿って設けられている。突出部120C-3は、傾斜部120C-2の外周端と一致するように設けられていてもよく、傾斜部120C-2の外周端の近傍に設けられていてもよい。なお、側面視において、突出部120C-3は、筐体110Cの側面と重畳していることが好ましい。この場合、筐体110Cと蓋体120Cとの間隙を狭くすることができるとともに、空気の排出する方向を変えることができる。
【0052】
保護具100Cによれば、蓋体120Cが突出部120C-3を含むことにより、筐体110Cと蓋体120Cとの間の間隙の方向が、コンクリートを吹付ける方向と逆になる。そのため、筐体110Cの開口部112Cへのコンクリートの侵入をさらに防ぐことができる。また、蓋体120Cが傾斜部120C-2を含むことにより、蓋体120Cの上面が傾斜し、ノズル140から流出された流体を蓋体120Cの上面に沿って制御よく拡散することができる。これにより、蓋体120Cに付着したコンクリートを洗い流す、または遠心力を利用して蓋体120Cの外周から振り切る流体の効果をさらに向上させることができる。
【0053】
したがって、コンクリート吹付作業において保護具100Cを用いることにより、カメラ200へのコンクリートの付着をより低減し、コンクリート吹付作業において、カメラによる長時間の撮影が可能となる。
【0054】
<変形例4>
図5を参照して、保護具100の変形例である保護具100Dについて説明する。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態に係る保護具100Dの構成を示す模式的な断面図である。保護具100Dは、筐体110B、蓋体120、モータ130D、ノズル140、および吹出口150Dを含む。保護具100Dは、保護具100Bのモータ130の代わりに、モータ130Dを含む。保護具100Dは、さらに、吹出口150Dを含む。
【0056】
モータ130Dは、電気を動力源とする電動モータである。すなわち、モータ130Dは、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換し、回転駆動力を得る。図示しないが、モータ130Dの電力は、例えば、吹付機を動作させる電源から供給することができる。
【0057】
吹出口150Dは、筐体110Bの一部に取り付けられている。図示しないが、吹出口150Dは、吹付機に搭載されているコンプレッサと接続され、筐体110Bの内部に空気を供給することができる。吹出口150Dから供給された空気は、筐体110Bの内部の圧力が高まると、開口部112Bから筐体110Bの外部に排出される。保護具100Dでは、モータ130Dが電動モータであるため、筐体110Bの内部に空気が排出されない。しかしながら、筐体110Bに空気が供給される吹出口150Dを設けることにより、吹出口150Dから供給される空気が、エアモータから排出される空気と同様の機能を有するようになる。コンプレッサ―から供給される空気は、フィルターでろ過された乾燥空気であるため、カメラのレンズの防曇効果を得ることができる。なお、保護具100Dは、吹出口150Dを含む構成であることが好ましいが、吹出口150Dを含まない構成も可能である。
【0058】
保護具100Dによれば、電動モータであるモータ130Dによって蓋体120を回転することができる。また、吹出口150Dから筐体110Bの内部に空気を供給することができる。これにより、筐体110Bと蓋体120との間の間隙から排出される空気の圧力が高まり、間隙へのコンクリート、粉塵、またはノズル140から蓋体120へ供給される液体(流体が液体である場合)により発生するミスト等の侵入をさらに防ぐことができる。さらに、モータ130Dを駆動するための電力は、コンクリート吹付作業で用いられる吹付機の電源から供給することができ、吹出口150Dから供給される空気は、吹付機のコンプレッサから供給することができる。そのるため、保護具100Dの軽量化を図ることができる。
【0059】
したがって、コンクリート吹付作業において保護具100Dを用いることにより、カメラ200へのコンクリートの付着をより低減し、コンクリート吹付作業において、カメラによる長時間の撮影が可能となる。
【0060】
なお、本発明の一実施形態に係る保護具100は、保護具100A~保護具100Dを組み合わせた変形例も可能である。
【0061】
<第2実施形態>
図6および図7を参照して、本発明の一実施形態に係る監視システム10について説明する。なお、以下では、第1実施形態で説明した構成と同様の構成については、その説明を省略する場合がある。
【0062】
[1.監視システム10の利用態様]
図6は、本発明の一実施形態に係る監視システム10の利用態様を示す模式図である。具体的には、図6には、吹付機1000を用いた、掘削したトンネルにおけるコンクリート吹付作業が示されている。吹付機1000は、トンネルの壁に向けてノズル1000aからコンクリートを噴出している。ノズル1000aはアーム1000bと接続され、アーム1000bの動作により、ノズル1000aを移動させることができる。作業者は、吹付機1000のアームの動作を操作することができる。監視システム10の構成の詳細は後述するが、監視システム10は保護具を含む。
【0063】
コンクリート吹付作業において、カメラ200が設置された保護具100は、吹付機1000のアーム1000bの先端に取り付けられる。具体的には、保護具100は、カメラ200が吹付機1000のノズル1000aから噴出されたコンクリートの吹付け状況を撮影することができるように取り付けられる。監視システム10では、作業者は、カメラ200で撮影されたコンクリートの吹付け状況の映像を見ながら、吹付機1000を操作することができる。そのため、作業者は、切羽の近傍で作業する必要はなく、切羽から離れた場所において、吹付機1000を遠隔で操作することができる。なお、カメラ200は、保護具100によって保護されているため、長時間の撮影が可能である。
【0064】
なお、保護具100は、切羽からの跳ね返りが最も大きい吹付機1000のアーム1000bの先端に取り付けられる構成を説明したが、保護具100の取付位置は、この構成に限られない。保護具100は、吹付機1000のアーム1000bのいずれの位置に取り付けられてもよく、また、吹付機1000のアーム1000b以外の位置に取り付けられてもよい。保護具100は、コンクリート吹付作業において筐体110の内部に設置されたカメラ200が作業環境を撮影することができるように、取り付けられればよい。
【0065】
なお、本実施形態に係る監視システム10おいても、筐体110の内部にはカメラ200が設置されている構成について説明するが、カメラ200の代わりに、またはカメラ200とともに、3Dレーザスキャナが設置されていてもよい。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態に係る監視システム10の構成を示すブロック図である。監視システム10は、保護具100、カメラ200、表示装置300、コンプレッサ400、ポンプ500、液体貯蔵タンク510、フットスイッチ600、第1の制御器610、および第2の制御器620を含む。図7において、実線は、構成間の機械的な接続を示し、点線は、構成間の電気的な接続を示す。
【0067】
カメラ200は、特に限定されない。但し、カメラ200は吹付機1000に搭載されるため、カメラ200は吹付機1000の振動による映像のぶれを補正する機構または耐振動性を有する機構(例えば、振動を吸収する機構)が設けられていることが好ましい。
【0068】
表示装置300は、カメラ200と電気的に接続され、カメラ200で撮影された映像を表示する。なお、表示装置300とカメラ200との接続は、無線による通信接続であってもよい。
【0069】
コンプレッサ400は、空気(圧縮空気)を供給する。監視システム10において、コンプレッサ400は、吹付機1000に搭載されているものを用いることができる。
【0070】
液体貯蔵タンク510は、水などの液体を貯蔵することができる。また、液体貯蔵タンク510は、ポンプ500と接続され、ポンプ500に液体を供給することができる。なお、流体が気体である場合には、液体貯蔵タンク510内に液体が貯蔵されなくてもよい。
【0071】
ポンプ500は、ノズル140とコンプレッサ400との間に配置され、液体貯蔵タンク510と接続されている。流体が液体である場合、コンプレッサ400からポンプ500に供給される空気の圧力に応じて、液体貯蔵タンク510内に貯蔵された液体がポンプ500内に吸い上げられ、ポンプ500からノズル140に液体を供給することができる。
【0072】
フットスイッチ600は、作業者が足で踏んで操作することにより、電気信号(制御信号)を出力するスイッチである。フットスイッチ600により、コンプレッサ400からモータ130へ供給される空気量や、ポンプ500からノズル140に供給される流出量を制御することができる。具体的には、フットスイッチ600は、第1の制御器610を制御することによってモータ130へ供給される空気量を調整し、および第2の制御器620を制御することによってノズル140に供給される流出量を調整する。コンクリート吹付作業における作業者は、手を使って吹付機1000を操作しているため、監視システム10は、フットスイッチ600を用いて操作されることが好ましい。フットスイッチ600は、第1の制御器610および第2の制御器620と電気的に接続され、第1の制御器610および第2の制御器620を制御することができる。なお、フットスイッチ600を2台設け、一方のフットスイッチ600を用いて第1の制御器610を制御し、他方のフットスイッチ600を用いて第2の制御器620を制御してもよい。また、保護具100に複数のカメラ200が設置されている場合、フットスイッチ600を用いて複数のカメラ200が撮影する映像を切り替えてもよい。
【0073】
第1の制御器610は、モータ130とコンプレッサ400との間に設置され、コンプレッサ400からモータ130へ供給される空気を制御する。すなわち、第1の制御器610により、モータ130の駆動のオンおよびオフが制御される。なお、第1の制御器610は、モータ130の駆動を段階的に切り替えることができることが好ましい。モータ130の駆動が段階的に切り替えられることにより、モータ130と接続される蓋体120の回転速度を調整することができる。
【0074】
第2の制御器620は、コンプレッサ400とポンプ500との間に設置され、コンプレッサ400からポンプ500へ供給される空気を制御する。すなわち、第2の制御器620により、ノズル140から蓋体120に流体を流出するか否かが制御されるとともに、コンプレッサ400の圧力に応じて、ノズル140への流体の供給量を段階的に(連続的であってもよく、不連続的であってもよい。)切り替えることができる。ノズル140への流体の供給量を段階的に切り替えられることにより、ノズル140から蓋体120への流体の量を調整することができる。
【0075】
第1の制御器610および第2の制御器620の各々は、例えば、電磁弁であるが、これに限られない。
【0076】
なお、図示しないが、吹付機1000を制御するためのセンサ(例えば、加速度センサまたはジャイロセンサなど)は、保護具100の筐体110の内部に設置されていてもよい。
【0077】
表示装置300は、画像解析部を含んでいてもよい。画像解析部は、コンピュータ上でプログラムを実行することにより機能する。コンピュータは、例えば、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ(Micro Processing Unit:MPU)、画像処理装置(Graphics Processing Unit:GPU)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)などの演算処理装置を含む。また、コンピュータは、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、またはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)などの記憶装置を含む。プログラムは、記憶装置に格納されていてもよい。
【0078】
画像解析部は、カメラ200で撮影された映像から定期的に画像データを取得し、取得された画像データに基づいて蓋体およびカメラのレンズの透過度を判定する。蓋体120にコンクリートが付着すると筐体110の外部から筐体110の内部に入射する光が遮られるため、透過度が低下する。そのため、画像解析部は、蓋体およびカメラのレンズの透過度が予め設定されたしきい値以下であるか否かを判定し、蓋体およびカメラのレンズの透過度がしきい値以下であるとき、ノズル140から流体が流出されるように第2の制御器620を制御する。これにより、蓋体120へのコンクリートの付着が増加した際に、自動で蓋体120を洗浄することができる。なお、画像解析部は、ノズル140からの流体の流出の有無だけでなく、ノズル140からの流体の流出量を段階的に変化するように、第2の制御器620を制御してもよい。
【0079】
また、画像解析部は、学習機能を有し、画像データに基づいて蓋体120へのコンクリートの付着量を判定し、第2の制御器620を制御してもよい。画像解析部が実行する学習手段は、特に限定されず、例えば、機械学習であってもよく、ディープラーニングであってもよい。
【0080】
以上、監視システム10の構成について説明したが、コンクリート吹付作業において監視システム10を用いると、作業者は、表示装置300に表示されるカメラ200で撮影された映像を見ながら、遠隔にて吹付機1000を操作することができる。監視システム10では、保護具100によってカメラ200が保護され、長時間の撮影が可能である。したがって、作業者は、切羽から離れてコンクリート吹付作業を行うことができるため、コンクリート吹付作業の安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0081】
10:監視システム、 100、100A、100B、100C、100D:保護具、 110、110A、110B、110C:筐体、 110a:カメラ支持部材、 111、112A、112B、112C、113A、113B、113C:開口部、 120、120C:蓋体、 120a、120b:ナット、 120c、120d:平座金、 120C-1:平坦部、 120C-2:傾斜部、 120C-3:突出部、 121C:開口部、 130、130D:モータ、 130a:回転軸、 130b:軸受、 140:ノズル、 150D:吹出口、 200:カメラ、 300:表示装置、 400:コンプレッサ、 500:ポンプ、 510:液体貯蔵タンク、 600:フットスイッチ、 610:第1の制御器、 620:第2の制御器、 1000:吹付機、 1000a:ノズル、 1000b:アーム
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7