(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179576
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】戸当たり
(51)【国際特許分類】
E05C 17/56 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
E05C17/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098536
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000141727
【氏名又は名称】株式会社久力製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 裕一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】出来る限り少ない加工および露出で後付け設置が可能なマグネット式の戸当たりを提供する。
【解決手段】戸当たり100は、戸体1に固定された受け具10と、床面2に固定された係止具20とからなり、前記係止具20の係止片22が前記受け具10と係合することで前記戸体1のそれ以上の開扉方向への移動を阻止するものであり、前記受け具10は、樹脂製の受け具本体11と、前記受け具本体11に装着された補強金具12と、マグネット13と、を含み、前記戸体1の底面1aにおいて埋設せずに設置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸体に固定された受け具と、床面に固定された係止具とからなり、
前記戸体の開扉時に前記戸体の移動に伴い前記受け具と前記係止具が近接した際に、前記受け具に備えたマグネットの磁力により前記係止具に備えた磁性体である係止片を吸着し、前記係止片が前記受け具と係合することで前記戸体のそれ以上の開扉方向への移動を阻止する戸当たりであって、
前記受け具は、
樹脂製の受け具本体と、前記受け具本体に装着された補強金具と、マグネットと、を含み、前記戸体の底面において埋設せずに設置されており、
前記係止具は、
係止具本体と、前記係止具本体に対して揺動可能な磁性体である係止片と、を含む、
ことを特徴とする戸当たり。
【請求項2】
前記マグネットは、前記受け具本体の裏面側に装着されており、前記係止片と直接接触しない、
ことを特徴とする請求項1記載の戸当たり。
【請求項3】
前記マグネットは、対向する側面が互いに平行であるとともに上面と底面が平行ではない断面台形状である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の戸当たり。
【請求項4】
前記補強金具は、幅方向の長さよりも長手方向の長さの方が長い棒状を呈し、高さ方向の長さよりも幅方向の長さの方が長い断面L字型であり、前記マグネットと離隔して前記受け具本体に装着されている、
ことを特徴とする請求項1記載の戸当たり。
【請求項5】
前記係止具は、固定具によって前記床面に固定されるベース部材と、前記固定具を覆って前記ベース部材に被蓋されるとともに前記係止具本体と前記ベース部材を固定するカバー部材と、を備え、
前記床面において埋設せずに設置されている、
ことを特徴とする請求項1記載の戸当たり。
【請求項6】
前記受け具は、弾性を有するキャッチ片を備え、
前記キャッチ片は、前記戸体の開扉時において前記係止片が前記受け具と係合した際に前記キャッチ片と前記受け具本体の間に前記係止片を挟持し、前記係止片に対する前記マグネットによる吸着力および前記キャッチ片による保持力の和よりも大きな付勢力が前記戸体の閉扉方向に作用したときに前記係止片の挟持が解除される、
ことを特徴とする請求項1記載の戸当たり。
【請求項7】
前記係止具の前記係止片に係止孔が形成されており、
前記キャッチ片の一部が前記係止孔に挿し込まれることで係合する、
ことを特徴とする請求項6記載の戸当たり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸体が開扉されるときに所定の位置で停止させて衝突を防止するためのマグネット式の戸当たりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅などの建築物において設置される開き戸において、勢いよく開かれた戸体が壁面などに衝突して戸体または壁面などを破損してしまう事態を防止するため、緩衝用の戸当たりを戸体側または壁面側に設置することが一般的であり、また、戸体の開扉途中において床面から係止具を出没させて戸体側に係合することで、戸体を所定の位置で停止させて衝突を防止するマグネット式の戸当たりも、例えば特開平10-115139号公報(特許文献1)、特開平11-287062号公報(特許文献2)に示すように知られている。
【0003】
これら従来知られたマグネット式の戸当たりは、マグネットの磁力により戸体との位置関係に応じて係止具を出没させる構造としたことで、不使用状態において係止具が邪魔にならずに利便性が高く、見た目もスマートである。
【0004】
しかしながら、従来発明の戸当たりは、戸体と床面の一方、または双方に穴開け加工を行う必要があり、気軽に使用し辛い難点があった。
【0005】
これに対して、例えば特開2004-332323号公報(特許文献3)に示すように戸体の側面に受け具を設置する構成の戸当たりも知られているが、戸体の側面に受け具が大きく露出してしまうため、戸体から突出した部分が足などにぶつかってしまう恐れや、美観を損ねてしまう恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-115139号公報
【特許文献2】特開平11-287062号公報
【特許文献3】特開2004-332323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、出来る限り少ない加工および露出で後付け設置が可能なマグネット式の戸当たりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明である戸当たりは、戸体に固定された受け具と、床面に固定された係止具とからなり、
前記戸体の開扉時に前記戸体の移動に伴い前記受け具と前記係止具が近接した際に、前記受け具に備えたマグネットの磁力により前記係止具に備えた磁性体である係止片を吸着し、前記係止片が前記受け具と係合することで前記戸体のそれ以上の開扉方向への移動を阻止する戸当たりであって、
前記受け具は、樹脂製の受け具本体と、前記受け具本体に装着された補強金具と、マグネットと、を含み、前記戸体の底面において埋設せずに設置されており、
前記係止具は、係止具本体と、前記係止具本体に対して揺動可能な磁性体である係止片と、を含む、ことを特徴とする。
【0009】
上記本発明によれば、受け具を樹脂製の受け具本体と、補強金具と、マグネットとから構成したことによって、必要な強度を確保しつつも非常に薄型且つ小型に形成することを実現したので、戸体の底面に穴開け加工により凹部を形成する必要がなくきわめて少ない加工で後付け設置が可能であり、且つ、戸体の側面に受け具が露出することのないマグネット式の戸当たりを提供することができる。
【0010】
本発明において、前記マグネットは、前記受け具本体の裏面側に装着されており、前記係止片と直接接触しない場合、例えばフェライト系ステンレスなどの磁性体である係止片よりもマグネットは比較的欠けなどの破損を生じやすいところ、直接衝突することによる破損を防止することができるとともに、樹脂製の本体が係止片と接触するため、係止時の衝撃や音の発生を緩和することができる。
【0011】
本発明において、前記マグネットは、対向する側面が互いに平行であるとともに上面と底面が平行ではない断面台形状である場合、例えばマグネットを傾斜して装着する際に通常の直方体形状よりも厚みを稼げるため吸引力や吸着力の向上が望める。
【0012】
本発明において、前記補強金具は、幅方向の長さよりも長手方向の長さの方が長い棒状を呈し、高さ方向の長さよりも幅方向の長さの方が長い断面L字型であり、前記マグネットと離隔して前記受け具本体に装着されている場合、このように補強金具の形状を棒状の断面L字型としたことで、複数の方向に対して高い圧縮強度や曲げ強度などを発揮して全体の強度を向上させることができるとともに、マグネットと離隔して装着するため補強金具が磁性体/非磁性体のどちらであっても組立への影響を軽減または無効にできる。
【0013】
本発明において、前記係止具は、固定具によって前記床面に固定されるベース部材と、前記固定具を覆って前記ベース部材に被蓋されるとともに前記係止具本体と前記ベース部材を固定するカバー部材と、を備え、前記床面において埋設せずに設置されている場合、戸体側のみでなく床面側においても加工をきわめて少なくすることが可能となる。
【0014】
本発明において、前記受け具は、弾性を有するキャッチ片を備え、前記キャッチ片は、前記戸体の開扉時において前記係止片が前記受け具と係合した際に前記キャッチ片と前記受け具本体の間に前記係止片を挟持し、前記係止片に対する前記マグネットによる吸着力および前記キャッチ片による保持力の和よりも大きな付勢力が前記戸体の閉扉方向に作用したときに前記係止片の挟持が解除される場合、マグネットの磁力のみによる保持と比較してより強力な保持力を発揮して保持することが可能となり、例えば風や空気の動きによって閉扉方向に力が加わったとしても係止が解除されづらく、安定して戸体を所定の開度に保つことができる。
【0015】
更に、前記係止具の前記係止片に係止孔が形成されており、前記キャッチ片の一部が前記係止孔に挿し込まれることで係合する場合、更に強力な保持力を発揮して保持することが可能となるため特に望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、穴開け加工を要しないで戸体の底面に設置可能な受け具を用いることで、きわめて少ない加工および露出で後付け設置が可能なマグネット式の戸当たりを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明である戸当たりの好ましい実施の形態を示す、(a)側面図および(b)正面図。
【
図2】
図1に示した実施形態における受け具を示す、(a)分解斜視図および(b)組立斜視図。
【
図3】
図1に示した実施形態における補強金具を示す、(a)拡大斜視図および(b)B-B線断面図。
【
図4】
図1に示した実施形態における受け具の取り付け状態を示す斜視図。
【
図5】
図1に示した実施形態における係止具を示す、(a)分解斜視図および(b)組立斜視図。
【
図6】
図1(b)に示したA-A線拡大断面図(係止状態)。
【
図7】
図6から戸体が閉扉方向に移動している非係止状態を示す拡大断面図。
【
図8】本発明である戸当たりの異なる実施の形態を示す、(a)側面図および(b)正面図。
【
図9】
図8に示した実施形態における受け具を示す、(a)分解斜視図および(b)組立斜視図。
【
図10】
図8に示した実施形態における受け具の取り付け状態を示す斜視図。
【
図11】
図8に示した実施形態における、(a)マグネットを示す拡大斜視図、(b)異なる形状のマグネットを示す拡大斜視図、および(c)D-D線断面図。
【
図12】
図8(b)に示したC-C線拡大断面図(係止状態)。
【
図13】
図12から戸体が閉扉方向に移動している非係止状態を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1乃至
図7は本発明である戸当たりの好ましい実施の形態を示す図であり、この戸当たり100は、住宅などの建築物における開き戸である戸体1の底面1aに固定される受け具10と、前記戸体1の底面1aに対向する前記建築物における床面2に固定される係止具20と、からなる。
【0020】
そして、戸体1の開扉時に戸体1の移動に伴い受け具10と係止具20が近接した際に、受け具10に備えたマグネット13の磁力により係止具20に備えた磁性体である係止片22を吸着し、係止片22が受け具10と係合することで戸体1のそれ以上の開扉方向への移動を阻止し、位置を固定するものである。
【0021】
受け具10は、樹脂製の受け具本体11と、L字型を呈する金属製の補強金具12と、マグネット13と、受け具本体11を戸体1の底面1aに固定するための固定具14と、からなり、補強金具12およびマグネット13は受け具本体11の裏面側に形成された補強金具用凹部11a,マグネット用凹部11bにそれぞれ装着され、接着・圧入・嵌入その他従来周知の固定方法により固定されている。
【0022】
このように、本実施の形態の受け具10は樹脂製の受け具本体11に金属製の補強金具12を組み合わせたことにより、全体の強度を確保しつつも非常に薄型に構成したことで、戸体1の底面1aに固定することを可能として、戸体1の正面や背面に露出しない構造であるため、戸体1から突出した部分が足などにぶつかってしまう恐れや、美観を損ねてしまう恐れがなく、この点が本発明における優れた特徴である。
【0023】
受け具本体11は、裏面側に形成された補強金具用凹部11aおよびマグネット用凹部11bと、表面側に形成された係止片用凹部11cとを有し、例えばABSやPCなどの硬質のプラスチック材料を素材とすることが可能であり、特にその材質を問わないが、射出成型による成型に適したものであることが望ましい。
【0024】
補強金具12は、幅方向の長さW1よりも長手方向の長さL1の方が長い棒状を呈し、高さ方向の長さH1よりも幅方向の長さW1の方が長い断面L字型であり、マグネット13と離隔して受け具本体11に装着されている。その材料はステンレスやスチールなどの高強度の鋼材が好適であり、板材をL字型に曲げて形成したものや、圧延加工により山形(L字型)に形成したものなどを用いることができる。このように補強金具の形状を断面L字型としたことで、複数の方向に対して高い圧縮強度や曲げ強度などを発揮して全体の強度を向上させることができる。
【0025】
マグネット13は、板状の直方体を呈し、高い磁力を有するネオジム磁石などの希土類磁石が好適である。
【0026】
固定具14は、本実施の形態においては固定ねじを用いているが、その他、接着剤やテープなどを用いた接着によるものなど、戸体1の底面1aに凹部を形成しないものであれば、ねじにより固定するものに限らない。
【0027】
係止具20は、係止具本体21と、磁性体である係止片22と、からなり、係止片22は、係止具本体21に形成された管21a、係止片22に形成された管22a、および管21a,22aに挿入されるピン23aから構成されるヒンジ部23によって、床面2に固定される係止具本体21に対して揺動可能に軸支されている。
【0028】
係止具本体21は、固定具26によって床面2に固定されるベース部材24と、固定具26を覆ってベース部材24に被蓋されるとともに係止具本体21とベース部材24を固定するカバー部材25と、を備え、床面2において埋設せずに設置されているため、戸体1側のみでなく床面2側においても加工をきわめて少なくすることが可能となる。
【0029】
係止片22は、例えばスチールやステンレスなどの金属が使用可能であり、本実施の形態では強磁性体であるフェライト系ステンレスまたはマルテンサイト系ステンレスを材料として用いている。
【0030】
図6は、受け具10と係止具20が近接した係止状態の拡大断面図、
図7は、受け具10と係止具20が近接していない非係止状態の拡大断面図である。
【0031】
これらの図に示すように、受け具10および係止具20をそれぞれ戸体1、床面2に設置するにあたり、予め穴開け加工により凹部を形成する必要が無く、固定具14,26による取り付けのみでよく、戸体1側および床面2側の双方で加工をきわめて少なくすることが可能となる。
【0032】
開き戸である戸体1に設置された受け具10と、前記戸体1の底面1aに対向する建築物における床面2に固定される係止具20とが近接していない非係止状態から(
図7参照)、前記戸体1の開戸方向への移動により受け具10と係止具20とが近接すると、受け具10に備えたマグネット13の磁力により係止具20の係止片22を吸引して、係止片22がヒンジ部23を軸に斜めに起立し、受け具10の表面側に形成された係止片用凹部11cに係止片22が係合した係止状態となる(
図6参照)。
【0033】
受け具10と係止具20が係止するとき、マグネット13は受け具本体11の裏面側に形成されたマグネット用凹部11bに装着されており、係止片22とマグネット13との間には受け具本体11が介在するため、係止片22がマグネット13に直接接触しない構造となっており、金属製の係止片22よりもマグネット13は比較的欠けなどの破損を生じやすいところ、直接衝突することによる破損を防止することができるとともに、樹脂製の受け具本体11が係止片22と接触するため、係止時の衝撃や音の発生を緩和することができる。
【0034】
受け具10と係止具20が係止状態にあるとき、戸体1はそれ以上の開戸方向への移動が阻止され、位置が固定されて戸体1は所定の開度に保たれる。そして、この係止状態から戸体1を閉扉方向へ付勢すると、受け具10と係止具20の係止状態が解除されて非係止状態となる(
図7参照)。
【0035】
このように、本実施の形態の戸当たり100は、前述の従来知られたマグネット式の戸当たりと同様に不使用状態において係止具が邪魔にならずに利便性が高く、見た目もスマートである。
【0036】
図8乃至
図12は本発明である戸当たりの異なる実施の形態を示す図であり、この戸当たり200は、住宅などの建築物における開き戸である戸体1の底面1aに固定される受け具30と、前記戸体1の底面1aに対向する前記建築物における床面2に固定される係止具20と、からなる。
【0037】
そして、戸体1の開扉時に戸体1の移動に伴い受け具30と係止具20が近接した際に、受け具30に備えたマグネット33の磁力により前記係止具に備えた磁性体である係止片22を吸着し、係止片22が受け具30と係合することで戸体1のそれ以上の開扉方向への移動を阻止して衝突を防止するものである点においては前記戸当たり100と同様であるが、受け具30にキャッチ片35を設けた点において異なる。
【0038】
受け具30は、樹脂製の受け具本体31と、L字型を呈する金属製の補強金具32と、マグネット33と、受け具本体31を戸体1の底面1aに固定するための固定具34と、係止片22の係止穴22aに係合するキャッチ片35と、からなり、補強金具32およびキャッチ片35は受け具本体31の裏面側に形成された補強金具用凹部31aに、マグネット33は受け具本体31の裏面側に形成されたマグネット用凹部31bにそれぞれ装着され、接着・圧入・嵌入その他従来周知の固定方法により固定されている。
【0039】
なお、マグネット33は前記マグネット13と同様に板状の直方体を呈するものであるが、例えば
図11に示すように、対向する側面36aと側面36b、対向する側面36cと側面36dが互いに平行であるとともに上面36eと底面36fが平行ではない断面台形状のマグネット36であってもよい。このように断面台形状のマグネット36によれば、傾斜して形成されたマグネット用凹部31bにマグネットを装着する際に、通常の直方体形状よりも厚みを稼げるため、吸引力や吸着力の向上が望める。
【0040】
キャッチ片35は基端部35aと、連結部35bと、先端部35cとが連続して直角に接続された略Z字形を呈し、補強金具用凹部31aと連続して形成された挿通孔31dを通して係止片用凹部31cに先端部35cが露出するように取り付けられており、先端部35cは、先端を折り返して形成された三角形の係止突起35dを有する。その材料は弾性を有するステンレスなどの金属が好適であり、打ち抜いた板材を曲げて形成したものなどを用いることができる。また、樹脂など弾性を有するその他の材料により形成したものであってもよく、例えばABSなどの硬質のプラスチック材料により一体的に成形することができる。
【0041】
図12は、受け具30と係止具20が近接した係止状態の拡大断面図、
図13は、受け具30と係止具20が近接していない非係止状態の拡大断面図である。
【0042】
開き戸である戸体1に設置された受け具30と、前記戸体1の底面1aに対向する建築物における床面2に固定される係止具20とが近接していない非係止状態から(
図13参照)、前記戸体1の開扉方向への移動により受け具30と係止具20とが近接すると、受け具30に備えたマグネット33の磁力により係止具20の係止片22を吸引して、係止片22がヒンジ部23を軸に斜めに起立し、受け具30の表面側に形成された係止片用凹部31cに係止片22が係合した係止状態となる(
図12参照)。
【0043】
このとき、本実施の形態では、キャッチ片35と係止片用凹部31cの間に係止片22が保持されるとともに、キャッチ片35の係止突起35dが係止片22に形成した係止孔22bに係合されるので確実に戸体1を所定の開位置に保持することができる。
【0044】
なお、係止孔22bに係止突起35dが挿入・抜去される際のどちらも、三角形の係止突起35dの傾斜面に案内されることでスムーズな挿抜を可能としている。
【0045】
そして、受け具30と係止具20が係止状態にあるときから、係止片22に対するマグネット33の吸着力およびキャッチ片35の保持力の和よりも大きな付勢力が戸体1の閉扉方向に作用したとき、キャッチ片35の係止突起35dが係止片22の係止孔22aから脱出して、係止片22とキャッチ片35との係合が解除され、非係止状態となり、戸体1は閉扉方向へ移動する。なお、この保持力は、キャッチ片35の形状・材質・厚み等により調整可能であり、戸体の重量や使用する環境に応じて適宜選択することができる。
【0046】
本実施の形態の戸当たり200によれば、前記戸当たり100のマグネット13の磁力のみによる保持と比較してより強力な保持力を発揮して保持することが可能となり、例えば風や空気の動きによって閉扉方向に力が加わったとしても係止が解除されづらく、安定して戸体1を所定の開度に保つことができる。
【0047】
更に、受け具30と係止具20の係止は、受け具30のキャッチ片35に形成された係止突起35dが係止具20の係止片22に形成された係止孔22aに挿し込まれることで係合しているため、強力な保持力を発揮して係止片22を保持することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
100,200 戸当たり、1 戸体、1a 底面、2 床面、10 受け具、11 受け具本体、11a 補強金具用凹部、11b マグネット用凹部、11c 係止片用凹部、12 補強金具、13 マグネット、14 固定具、20 係止具、21 係止具本体、22 係止片、23 ヒンジ部、21a,22a 管、22b 係止孔、23a ピン、24 ベース部材、25 カバー部材、26 固定具、30 受け具、31 受け具本体、31a 補強金具用凹部、31b マグネット用凹部、31c 係止片用凹部、31d 挿通孔、32 補強金具、33,36 マグネット、34 固定具、35 キャッチ片、35a 基端部、35b 連結部、35c 先端部、35d 係止突起,36a,36b,36c,36d 側面、36e 上面、36f 底面、L1 補強金具の長手方向の長さ、W1 補強金具の幅方向の長さ、H1 補強金具の高さ方向の長さ