(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179591
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】高周波モジュール及び通信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20241219BHJP
H04B 1/00 20060101ALI20241219BHJP
H03H 7/48 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H04B1/38
H04B1/00 260
H03H7/48 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098567
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】可児 広幸
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011DA01
5K011DA27
5K011JA01
5K011KA01
5K011KA18
(57)【要約】
【課題】第1フィルタと第2フィルタの同時通信時に第2フィルタの通過位相の第1フィルタの状態に応じた変動量を低減できる高周波モジュールを提供する。
【解決手段】高周波モジュール1は第1スイッチ6、第1フィルタ7、第2フィルタ8,9、パワーアンプ10及びローノイズアンプ11を備える。第1スイッチ6は第1端子6a、第2端子6b及び第3端子6cを有する。第1端子6aはアンテナ端子5aに接続される。第1フィルタ7は第2端子6bに接続される。第2フィルタ8,9は第3端子6cに接続される。第1フィルタ7は共通フィルタ部71及び追加フィルタ部72を有する。追加フィルタ部72はパワーアンプ10と共通フィルタ部71との間に接続される。ローノイズアンプ11は共通フィルタ部71と追加フィルタ部72との間の経路から分岐された経路に接続される。共通フィルタ部71は追加フィルタ部72と第1スイッチ6との間に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信バンドを用いた第1通信と第2通信バンドを用いた第2通信とを同時通信することが可能な高周波モジュールであって、
アンテナ端子に接続される第1端子、並びに、前記第1端子と接続及び非接続の切り替えが可能な第2端子及び第3端子を有する第1スイッチと、
前記第2端子に接続され、前記第1通信バンドを含む通過帯域を有する第1フィルタと、
前記第3端子に接続され、前記第2通信バンドを含む通過帯域を有する第2フィルタと、
パワーアンプと、
ローノイズアンプと、を備え、
前記第1フィルタは、
送信及び受信の両方で用いられ、送信信号及び受信信号が時分割複信で通過する共通フィルタ部と、
送信及び受信の一方で用いられる追加フィルタ部と、を有し、
前記追加フィルタ部は、前記パワーアンプ及び前記ローノイズアンプのうちの一方である第1増幅器と前記共通フィルタ部との間に接続されており、
前記パワーアンプ及び前記ローノイズアンプのうちの残りである第2増幅器は、前記共通フィルタ部と前記追加フィルタ部との間の第1信号経路から分岐された第2信号経路に接続されており、
前記共通フィルタ部は、前記追加フィルタ部と前記第1スイッチとの間に接続される、
高周波モジュール。
【請求項2】
前記第1信号経路と前記第2信号経路との分岐点と前記追加フィルタ部との間に接続され、前記共通フィルタ部と前記追加フィルタ部との接続及び非接続を切り替える第2スイッチを更に備える、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記共通フィルタ部及び前記追加フィルタ部は、同一のチップ内に設けられている、
請求項2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
互いに対向する第1主面及び第2主面を有する基板を更に備え、
前記チップは、前記第1主面に配置され、
前記第1スイッチは、前記第2主面に配置され、
前記基板の厚さ方向において、前記チップは、前記第1スイッチと重なる、
請求項3に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記第2スイッチは、
前記追加フィルタ部に接続された第4端子と、
前記分岐点に接続され、前記第4端子に接続及び非接続の切り替えが可能な第5端子と、を有し、
前記チップは、
前記第1増幅器に接続された第1電極と、
前記第4端子に接続された第2電極と、
前記第5端子に接続された第3電極と、
前記第1スイッチの前記第2端子に接続された第4電極と、を有し、
前記チップの厚さ方向からの平面視で、前記第1電極と前記第4電極とを結ぶ方向において、前記第2電極及び前記第3電極は、前記第1電極と前記第4電極との間に配置される、
請求項3又は4に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記共通フィルタ部と前記追加フィルタ部との接続と、前記共通フィルタ部と前記第2信号経路との接続とを選択的に切り替える切替スイッチを備える、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記追加フィルタ部は、前記共通フィルタ部から前記ローノイズアンプに到る受信経路には設けられない、
請求項1~4のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記追加フィルタ部は、前記パワーアンプと前記共通フィルタ部との間に接続されており、
前記ローノイズアンプは、前記第2信号経路に接続されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の高周波モジュールと、
前記高周波モジュールに接続されており、高周波信号を信号処理する信号処理回路と、を備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波モジュール及び通信装置に関し、より詳細には、第1通信バンドを用いた第1通信と第2通信バンドを用いた第2通信とを同時通信することが可能な高周波モジュール、及び、上記高周波モジュールを備える通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のフィルタ装置は、スイッチと第1フィルタとを備える。上記スイッチは、共通端子、第1選択端子及び第2選択端子を有する。上記第1フィルタは、フィルタ回路(共通フィルタ部)と、直列腕共振子(追加フィルタ部)とを備える。上記フィルタ回路は、上記直列腕共振子の一端に接続される。上記第1選択端子は、上記直列腕共振子の一端と上記フィルタ回路との間に接続される。上記第2選択端子は、直列腕共振子の他端に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフィルタ装置では、上記スイッチの共通端子にアンテナ端子が接続される場合(すなわち上記スイッチがアンテナスイッチである場合)、アンテナスイッチと共通フィルタ部との間に、追加フィルタ部が接続される。この場合、共通フィルタ部及び追加フィルタ部の両方を用いて通信を行う場合は、追加フィルタ部が第1フィルタのアンテナスイッチ側の端部の共振子になる。他方、共通フィルタ部のみを用いて通信を行う場合は、共通フィルタ部のアンテナスイッチ側の端部の共振子が第1フィルタのアンテナスイッチ側の端部の共振子になる。このように、共通フィルタ部及び追加フィルタ部の両方を用いて通信を行う場合と、共通フィルタ部のみを用いて通信を行う場合とで、第1フィルタのアンテナスイッチ側の端部の共振子の構成が異なる。このため、共通フィルタ部及び追加フィルタ部の両方を用いて通信を行う場合と、共通フィルタ部のみを用いて通信を行う場合とで、第1スイッチから見たときの第1フィルタ側のインピーダンスが異なる。
【0005】
ここで、上記フィルタ装置を第1通信バンドを通過帯域とするフィルタとし、上記アンテナ端子に、上記フィルタ装置と共に、第2通信バンドを通過帯域とする別のフィルタを接続する。そして、上記フィルタ装置において、共通フィルタ部及び追加フィルタ部の両方を用いた通信と、共通フィルタ部のみを用いた通信と、を交互に行いながら、上記フィルタ装置と、上記別のフィルタとを用いて同時通信する場合を考える。この場合、上記別のフィルタを通過する信号は上記フィルタ装置の影響を受けるため、上記フィルタ装置の状態に応じて変動してしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑みて、時分割複信で用いられる第1フィルタと、第2フィルタとを用いて同時通信する場合に、第2フィルタの通過位相において第1フィルタの状態に応じた変動量を低減できる高周波モジュール及び通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、第1通信バンドを用いた第1通信と第2通信バンドを用いた第2通信とを同時通信することが可能な高周波モジュールである。高周波モジュールは、第1スイッチと、第1フィルタと、第2フィルタと、パワーアンプと、ローノイズアンプと、を備える。前記第1スイッチは、第1端子、並びに、第2端子及び第3端子を有する。前記第1端子は、アンテナ端子に接続される。前記第2端子及び前記第3端子は、前記第1端子と接続及び非接続の切り替えが可能である。前記第1フィルタは、前記第2端子に接続され、前記第1通信バンドを含む通過帯域を有する。前記第2フィルタは、前記第3端子に接続され、前記第2通信バンドを含む通過帯域を有する。前記第1フィルタは、共通フィルタ部と、追加フィルタ部と、を有する。前記共通フィルタ部は、送信及び受信の両方で用いられ、送信信号及び受信信号が時分割複信で通過する。前記追加フィルタ部は、送信及び受信の一方で用いられる。前記追加フィルタ部は、前記パワーアンプ及び前記ローノイズアンプのうちの一方である第1増幅器と前記共通フィルタ部との間に接続される。前記パワーアンプ及び前記ローノイズアンプのうちの残りである第2増幅器は、前記共通フィルタ部と前記追加フィルタ部との間の第1信号経路から分岐した第2信号経路に接続される。前記共通フィルタ部は、前記追加フィルタ部と前記第1スイッチとの間に接続される。
【0008】
本発明の一態様に係る通信装置は、前記高周波モジュールと、信号処理回路と、を備える。前記信号処理回路は、前記高周波モジュールに接続されており、高周波信号を信号処理する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る高周波モジュール及び通信装置によれば、時分割複信で用いられる第1フィルタと、第2フィルタとを用いて同時通信する場合に、第2フィルタの通過位相において第1フィルタの状態に応じた変動量を低減できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る高周波モジュール及び通信装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態2に係る高周波モジュール及び通信装置の構成図である。
【
図3】
図3は、同上の高周波モジュールにおける第1チップ(第1フィルタ)と第2チップ内の第2スイッチとの配置関係を説明する断面図である。
【
図4】
図4は、同上の高周波モジュールにおける第1チップの複数の電極の配置関係を説明する説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態2の変形例1に係る高周波モジュール及び通信装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、実施形態1に係る高周波モジュールを備える通信装置100について、図面を参照して詳しく説明する。
【0012】
(1)概要
図1に示すように、実施形態1に係る高周波モジュール1は、第1通信バンドを用いた第1通信と第2通信バンドを用いた第2通信とで同時通信することが可能な高周波モジュールである。高周波モジュール1は、第1スイッチ6と、第1フィルタ7と、第2フィルタ8,9と、パワーアンプ10(第1増幅器)と、ローノイズアンプ11(第2増幅器)と、を備える。第1スイッチ6は、第1端子6a、第2端子6b及び第3端子6cを有する。第1端子6aは、アンテナ端子5aに接続される。第2端子6b及び第3端子6cは、第1端子6aと接続及び非接続の切り替えが可能である。第1フィルタ7は、第2端子6bに接続され、第1通信バンドを含む通過帯域を有する。第2フィルタ8,9は、第3端子6cに接続され、第2通信バンドを含む通過帯域を有する。第1フィルタ7は、共通フィルタ部71と、追加フィルタ部72と、を有する。共通フィルタ部71は、送信及び受信の両方で用いられ、送信信号及び受信信号がTDD(Time Division Duplex:時分割複信)で通過する。追加フィルタ部72は、送信及び受信の一方で用いられる。追加フィルタ部72は、パワーアンプ10及びローノイズアンプ11のうちの一方である第1増幅器(
図1ではパワーアンプ10)と共通フィルタ部71との間に接続される。パワーアンプ10及びローノイズアンプ11のうちの残りである第2増幅器(
図1ではローノイズアンプ11)は、共通フィルタ部71と追加フィルタ部72との間の第1信号経路L1から分岐された第2信号経路L2に接続される。共通フィルタ部71は、追加フィルタ部72と第1スイッチ6との間に接続される。
【0013】
この構成によれば、共通フィルタ部71は、追加フィルタ部72と第1スイッチ6との間に接続される。このため、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、第1フィルタ7の第1スイッチ6側の端部(すなわち共通フィルタ部71の第1スイッチ6側の端部)の共振子を同一にすることができる。これにより、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、第2フィルタ8,9側から見たときの第1フィルタ7のインピーダンスの変動を低減できる。第1フィルタ7を用いる第1通信と第2フィルタ8,9を用いる第2通信とを同時通信する場合を考える。この場合、第2フィルタ8,9を通過する信号(第2通信バンドの信号)の位相が、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで変動することを低減できる。すなわち、第1フィルタ7と第2フィルタ8,9との同時通信時に、第2フィルタ8,9の通過位相における第1フィルタ7の状態に応じた変動量を低減できる。
【0014】
(2)通信装置の構成
図1に示すように、通信装置100は、高周波モジュール1を備える通信装置である。通信装置100は、例えば携帯端末(例えばスマートフォン)であるが、これに限らず、例えばウェアラブル端末(例えばスマートウォッチ)であってもよい。高周波モジュール1は、例えば、4G(第4世代移動通信)規格及び5G(第5世代移動通信)規格に対応可能なモジュールである。4G規格は、例えば、3GPP(登録商標、Third Generation Partnership Project) LTE規格(登録商標、Long Term Evolution)である。5G規格は、例えば、5G NR(New Radio)である。
【0015】
通信装置100は、高周波モジュール1の他に、信号処理回路2と、アンテナ3とを備える。
【0016】
高周波モジュール1は、信号処理回路2から出力された送信信号(高周波信号)を増幅してアンテナ3から送信し、又は、アンテナ3で受信された受信信号(高周波信号)を増幅して信号処理回路2に出力するように構成されている。高周波モジュール1は、例えば、信号処理回路2によって制御される。
【0017】
信号処理回路2は、高周波モジュール1に接続されており、高周波モジュール1に出力する送信信号を信号処理し、又は、高周波モジュール1から出力された受信信号を信号処理するように構成されている。信号処理回路2は、RF(Radio Frequency)信号処理回路2aとベースバンド信号処理回路2bとを含む。
【0018】
RF信号処理回路2aは、例えばRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)であり、高周波信号(送信信号及び受信信号)に対して信号処理を行う。RF信号処理回路2aは、高周波モジュール1から出力された受信信号をダウンコンバート等の信号処理を行ってベースバンド信号処理回路2bに出力する。また、RF信号処理回路2aは、ベースバンド信号処理回路2bから出力された送信信号をアップコンバート等の信号処理を行って高周波モジュール1に出力する。
【0019】
ベースバンド信号処理回路2bは、例えばBBIC(Baseband Integrated Circuit)である。ベースバンド信号処理回路2bは、RF信号処理回路2aから出力された受信信号を外部に出力する。この出力信号(受信信号)は、例えば、画像信号として画像表示のために、又は、音声信号として通話のために使用される。また、ベースバンド信号処理回路2bは、外部から入力されたベース通信バンド信号(例えば音声信号及び画像信号)から送信信号を生成し、生成した送信信号をRF信号処理回路2aに出力する。
【0020】
(3)高周波モジュールの構成
図1に示すように、高周波モジュール1は、複数の外部端子5a~5fと、第1スイッチ6と、第1フィルタ7と、複数(
図1の例では2つ)の第2フィルタ8,9と、パワーアンプ10,25と、ローノイズアンプ11,26と、整合回路12~14と、コントローラ15と、を備える。
【0021】
外部端子5aは、アンテナ3が接続されるアンテナ端子である。外部端子5b,5dは、信号処理回路2の出力部(図示せず)に接続されており、信号処理回路2の出力部から出力された送信信号が入力される入力端子である。外部端子5c,5eは、信号処理回路2の入力部(図示せず)に接続されており、高周波モジュール1で処理された受信信号を信号処理回路2の入力部に出力する出力端子である。外部端子5fは、信号処理回路2の信号出力部(図示せず)に接続されており、コントローラ15を制御するための制御信号を信号処理回路2から入力する信号入力端子である。以後、外部端子5aをアンテナ端子5aと記載し、外部端子5bを入力端子5bと記載し、外部端子5cを出力端子5cと記載する場合がある。また、外部端子5dを入力端子5dと記載し、外部端子5eを出力端子5eと記載し、外部端子5fを信号入力端子5fと記載する場合がある。
【0022】
第1スイッチ6は、アンテナ3の接続先を第1フィルタ7と第2フィルタ8,9とのうちの少なくとも一方のフィルタと接続する。第1スイッチ6は、コントローラ15からの制御信号によって制御される。第1スイッチ6は、例えばスイッチIC(Integrated Circuit)である。第1スイッチ6は、第1端子6aと、第2端子6bと、第3端子6cとを有する。第1端子6aは、共通端子であり、第2端子6b及び第3端子6cと選択的に接続可能である。第1端子6aは、アンテナ端子5aに接続されている。第2端子6b及び第3端子6cは、例えば選択端子であり、第1端子6aと接続及び非接続の切り替えが可能である。第2端子6bは、第1フィルタ7に接続されている。第3端子6cは、第2フィルタ8,9に接続されている。
【0023】
第1フィルタ7は、第1通信バンド(例えばBand41)の送受信帯域を含む通過帯域を有する送受信フィルタである。第1フィルタ7は、送信及び受信の両方で用いられ、送信信号及び受信信号がTDDで通過する。第1フィルタ7は、第1スイッチ6の第2端子6bとパワーアンプ10との間に接続されている。
【0024】
第1フィルタ7は、入出力部7aと、入力部7bと、出力部7cと、共通フィルタ部71と、追加フィルタ部72と、を備える。
【0025】
入出力部7aは、整合回路12を介して第1スイッチ6の第2端子6bに接続されている。入力部7bは、整合回路13を介してパワーアンプ10の出力部10bに接続されている。入出力部7aと入力部7bとの間には、共通フィルタ部71及び追加フィルタ部72が直列に接続されている。共通フィルタ部71と追加フィルタ部72との間の第1信号経路L1には、分岐点N1が設けられている。分岐点N1からは、ローノイズアンプ11の入力部11aに接続される第2信号経路L2が分岐している。出力部7cは、分岐点N1で、分岐点N1から第2信号経路L2に流れた電流を第1フィルタ7の内部から外部に出力する部分である。出力部7cは、第2信号経路L2の途中に設けられている。
【0026】
共通フィルタ部71は、送信及び受信の両方で用いられ、送信信号及び受信信号がTDDで通過する送受信フィルタである。共通フィルタ部71は、第1通信バンドを含む通過帯域を有する。共通フィルタ部71は、第1フィルタ7の入出力部7aと出力部7cとの間に接続されている。換言すれば、共通フィルタ部71は、追加フィルタ部72と第1スイッチ6の第2端子6bとの間に接続されている。すなわち、共通フィルタ部71は、パワーアンプ10と第1スイッチ6の第2端子6bとの間の信号経路において、追加フィルタ部72よりも第1スイッチ6側の箇所(すなわち第1フィルタ7の中で第1スイッチ6に一番近い箇所)に設けられている。
【0027】
共通フィルタ部71は、入出力部71a,71bと、複数の直列腕共振子S11~S16と、複数の並列腕共振子P11~P16とを備える。入出力部71aは、第1フィルタ7の入出力部7aに接続されている。入出力部71bは、第1フィルタ7の出力部7cに接続されている。複数の直列腕共振子S11~S16は、入出力部71aと入出力部71bとの間に直列に接続されている。
図1の例では、直列腕共振子S11~S16は、この順番で、入出力部71a側から入出力部71b側に向かって直列に接続されている。並列腕共振子P11,P12は、入出力部71aと直列腕共振子S11との間の分岐点とグランドとの間に直列に接続されている。並列腕共振子P13,P14は、直列腕共振子S12,S13の間の分岐点とグランドとの間に直列に接続されている。並列腕共振子P15,P16は、直列腕共振子S14,S15の間の分岐点とグランドとの間に直列に接続されている。
【0028】
共通フィルタ部71は、第1フィルタ7の送信時は、入出力部71bに入力された送信信号を、複数の直列腕共振子S11~S16及び複数の並列腕共振子P11~P16によって第1通信バンドを含む通過帯域の信号に制限して通過させる。そして、共通フィルタ部71は、通過させた送信信号を入出力部71aから出力する。また、共通フィルタ部71は、第1フィルタ7の受信時は、入出力部71aに入力された受信信号を、複数の直列腕共振子S11~S16及び複数の並列腕共振子P11~P16によって第1通信バンドを含む通過帯域の信号に制限して通過させる。そして、共通フィルタ部71は、通過させた受信信号を入出力部71bから出力する。
【0029】
図1の例では、共通フィルタ部71の第1スイッチ6側の端部の共振子KS1が並列腕共振子P11,P12になるように、共通フィルタ部71は構成される。ただし、共振子KS1が直列腕共振子になるように共通フィルタ部71は構成されてもよい。
【0030】
追加フィルタ部72は、送信及び受信の一方(実施形態1では送信のみ)で用いられるフィルタ(例えば送信フィルタ)である。追加フィルタ部72は、第1通信バンドを含む通過帯域を有する。追加フィルタ部72は、第1フィルタ7の入力部7bと出力部7cとの間に接続されている。すなわち、追加フィルタ部72は、パワーアンプ10の出力部10bと共通フィルタ部71との間に接続されている。追加フィルタ部72は、共通フィルタ部71からローノイズアンプ11に到る第2信号経路L2(受信経路)には設けられない。
【0031】
追加フィルタ部72は、入力部72aと、出力部72bと、複数の直列腕共振子S21~S24と、複数の並列腕共振子P21~P24とを備える。入力部72aは、第1フィルタ7の入力部7bに接続されている。出力部72bは、第1フィルタ7の出力部7cを介して共通フィルタ部71の入出力部71bに接続されている。複数の直列腕共振子S21~S24は、入力部72aと出力部72bとの間に直列に接続されている。
図1の例では、直列腕共振子S21~S24は、この順番で、入力部72a側から出力部72b側に向かって直列に接続されている。並列腕共振子P21,P22は、出力部72bと直列腕共振子S21との間の分岐点とグランドとの間に直列に接続されている。並列腕共振子P22,P24は、直列腕共振子S22,S23の間の分岐点とグランドとの間に直列に接続されている。
【0032】
追加フィルタ部72は、入力部72aに入力された送信信号を、複数の直列腕共振子S21~S24及び複数の並列腕共振子P21~P24によって第1通信バンドを含む通過帯域の信号に制限して通過させ、通過させた送信信号を出力部72bから出力する。
【0033】
第2フィルタ8は、第2通信バンド(例えばBand3)の送信帯域を含む通信帯域を有する送信フィルタである。第2通信バンドは、第1通信バンドとは異なる通信バンドである。第2フィルタ8は、入力部8a及び出力部8bを有する。入力部8aは、パワーアンプ25を介して外部端子5dに接続されている。出力部8bは、第1スイッチ6の第2端子6bに接続されている。第2フィルタ8は、パワーアンプ25から出力された送信信号を入力部8aから入力し、その入力した送信信号を第2通信バンドの送信帯域の信号に制限して通過させ、通過させた送信信号を出力部8bから出力する。
【0034】
第2フィルタ9は、第2通信バンド(例えばBand3)の受信帯域を含む通信帯域とする受信フィルタである。第2フィルタ9は、入力部9a及び出力部9bを有する。入力部9aは、第1スイッチ6の第2端子6bに接続されている。出力部9bは、ローノイズアンプ26を介して外部端子5eに接続されている。第2フィルタ9は、第1スイッチ6の第2端子6bから出力された受信信号を入力部9aから入力し、その入力した受信信号を第2通信バンドの受信帯域の信号に制限して通過させ、通過させた受信信号を出力部9bから出力する。
【0035】
パワーアンプ10は、外部端子5bと第1フィルタ7との間に接続されている。パワーアンプ10は、入力部10a及び出力部10bを有する。入力部10aは、外部端子5bに接続されている。出力部10bは、整合回路13を介して第1フィルタ7の入力部7bに接続されている。パワーアンプ10は、外部端子5bから入力部10aに入力された送信信号を増幅し、増幅した送信信号を出力部10bから第1フィルタ7に出力する。
【0036】
ローノイズアンプ11は、第1フィルタ7の出力部7c(分岐点N1)と外部端子5cとの間に接続されている。ローノイズアンプ11は、入力部11a及び出力部11bを有する。入力部11aは、整合回路14を介して第1フィルタ7の出力部7cに接続されている。出力部11bは、外部端子5cに接続されている。ローノイズアンプ11は、第1フィルタ7の出力部7cから入力部11aに入力された受信信号を増幅し、増幅した受信信号を出力部11bから外部端子5cに出力する。
【0037】
パワーアンプ25は、外部端子5dと第2フィルタ8との間に接続されている。パワーアンプ25は、入力部25a及び出力部25bを有する。入力部25aは、外部端子5dに接続されている。出力部25bは、第2フィルタ8の入力部8aに接続されている。パワーアンプ25は、外部端子5dから入力部25aに入力された送信信号を増幅し、増幅した送信信号を出力部25bから第2フィルタ8に出力する。
【0038】
ローノイズアンプ26は、外部端子5eと第2フィルタ9との間に接続されている。ローノイズアンプ26は、入力部26a及び出力部26bを有する。入力部26aは、第2フィルタ9の出力部9bに接続されている。出力部26bは、外部端子5eに接続されている。ローノイズアンプ26は、第2フィルタ9から入力部26aに入力された受信信号を増幅し、増幅した受信信号を出力部26bから外部端子5eに出力する。
【0039】
整合回路12は、第1スイッチ6の第2端子6bと第1フィルタ7との間に接続されている。整合回路12は、第1スイッチ6と第1フィルタ7との間のインピーダンス整合を取るための整合回路である。整合回路12は、例えば、第1スイッチ6の第2端子6bと第1フィルタ7の入出力部7aとの間の信号経路と接地との間に接続されたインダクタを含む。
【0040】
整合回路13は、パワーアンプ10と第1フィルタ7の追加フィルタ部72との間に接続されている。整合回路13は、パワーアンプ10と追加フィルタ部72との間のインピーダンス整合を取るための整合回路である。整合回路13は、例えば、パワーアンプ10と追加フィルタ部72との間に直列に接続されたインダクタを含む。
【0041】
整合回路14は、ローノイズアンプ11と第1フィルタ7の出力部7c(分岐点N1)との間に接続されている。整合回路14は、ローノイズアンプ11と第1フィルタ7の共通フィルタ部71との間のインピーダンス整合を取るための整合回路である。整合回路14は、例えば、ローノイズアンプ11と第1フィルタ7の出力部7cとの間に直列に接続されたインダクタを含む。
【0042】
コントローラ15は、信号処理回路2からの制御信号に従って、高周波モジュール1が備える電子部品(例えば、第1スイッチ6、パワーアンプ10,25、及び、ローノイズアンプ11,26など)を制御する。コントローラ15は、上記の電子部品と電気的に接続されている。また、コントローラ15は、外部端子5fを介して信号処理回路2の信号出力部に接続されている。コントローラ15は、信号処理回路2から外部端子5fに入力された制御信号に従って、上記の各電子部品を制御する。
【0043】
(4)高周波モジュール1の動作
(4-1)第1フィルタ7の動作
【0044】
第1フィルタ7は、送信及び受信の両方で用いられ、送信信号及び受信信号をTDDで通過させる。実施形態1では、第1フィルタ7は、第1通信バンドの送信信号及び受信信号をTDDで通過させる。
【0045】
より詳細には、第1フィルタ7がTDDの送信時の動作(すなわち送信フィルタとしての動作)を行うときは、パワーアンプ10は動作し、ローノイズアンプ11は動作しない。ローノイズアンプ11の非動作時は、ローノイズアンプ11の所定の内部スイッチがオフになる。これにより、ローノイズアンプ11は、第2信号経路L2から電気的に分離される。
【0046】
そして、第1フィルタ7がTDDの送信時の動作を行うときは、パワーアンプ10から出力された送信信号は、整合回路13、第1フィルタ7の追加フィルタ部72、分岐点N1及び共通フィルタ部71を順に通過して、第1スイッチ6の第2端子6bに出力される。この場合、ローノイズアンプ11は非動作であるため、ローノイズアンプ11の所定の内部スイッチがオフになって、ローノイズアンプ11は第2信号経路L2から電気的に分離される。これにより、上記送信信号が分岐点N1からローノイズアンプ11側に流れることが抑制される。
【0047】
また、第1フィルタ7がTDDの受信時の動作(すなわち受信フィルタとしての動作)を行うときは、ローノイズアンプ11は動作する。そして、第1フィルタ7がTDDの受信時の動作を行うときは、第1スイッチ6の第2端子6bから出力された受信信号は、第1フィルタ7の共通フィルタ部71、分岐点N1、ローノイズアンプ11を通過して、外部端子5cに出力される。なお、パワーアンプ10とインダクタ13との間にスイッチ(例えばバンドセレクトスイッチ)を設けて、第1フィルタ7がTDDの受信時の動作を行うときは、上記スイッチをオフにして、パワーアンプ10を追加フィルタ部72から電気的に分離させてもよい。これにより、上記受信信号が分岐点N1からパワーアンプ10側に流れることが抑制できる。
【0048】
(4-2)第1通信と第2通信とで同時通信するときの高周波モジュール1の動作
高周波モジュール1は、第1通信バンドを用いた第1通信と、第2通信バンドを用いた第2通信とを同時通信する。上記第1通信では、上述のように、第1フィルタ7を用いて第1通信バンドの送信信号の送信及び第1通信バンドの受信信号の受信をTDDで行う。上記第2通信では、第2フィルタ8を用いた第2通信バンドの送信信号の送信、及び第2フィルタ9を用いた第2通信バンドの受信信号の受信をFDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)で行う。
【0049】
より詳細には、高周波モジュール1が上記第1通信を行う場合は、第1スイッチ6の第1端子6aは、第2端子6b及び第3端子6cの両方に常に接続される。そして、この接続状態で、高周波モジュール1は、上述のように、第1フィルタ7を用いて、第1通信バンドの送信信号の送信と第1通信バンドの受信信号の受信とをTDDで行う。より詳細には、高周波モジュール1は、第1フィルタ7を用いてTDDで第1通信バンドの送信信号を送信する場合は、信号処理回路2から外部端子5bに送信信号が入力される。そして、その送信信号は、外部端子5bからパワーアンプ10、追加フィルタ部72、共通フィルタ部71及び第1スイッチ6を順に通過してアンテナ3から送信される。また、高周波モジュール1は、第1フィルタ7を用いてTDDで第1通信バンドの受信信号を受信する場合は、高周波モジュール1は、アンテナ3で第1通信バンドの受信信号を受信する。そして、その受信信号は、第1スイッチ6、第1フィルタ7の共通フィルタ部71、分岐点N1、及び、ローノイズアンプ11を順に通過して外部端子5cに出力される。
【0050】
また、高周波モジュール1が上記第2通信を行う場合は、第1スイッチ6の第1端子6aは、第2端子6b及び第3端子6cの両方に接続されている。そして、高周波モジュール1は、上述したFDDで第2フィルタ8を用いて第2通信バンドの送信信号を送信する場合は、信号処理回路2から外部端子5dに送信信号が入力される。そして、その送信信号は、外部端子5dからパワーアンプ25、第2フィルタ8及び第1スイッチ6を順に通過してアンテナ3から送信される。また、高周波モジュール1は、上述したFDDで第2フィルタ9を用いて第2通信バンドの受信信号を受信する場合は、アンテナ3で第2通信バンドの受信信号を受信する。そして、その受信信号は、第1スイッチ6、第2フィルタ9及びローノイズアンプ26を順に通過して外部端子5eに出力される。
【0051】
(4-3)第2フィルタ8,9を通過する信号の位相について
高周波モジュール1では、共通フィルタ部71は、追加フィルタ部72と第1スイッチ6との間に接続されている。このため、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、第1フィルタ7の第1スイッチ6側の端部(すなわち共通フィルタ部71の第1スイッチ6側の端部)の共振子KS1を同一にすることができる。これにより、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、第2フィルタ8,9から見たときの第1フィルタ7側のインピーダンスの変動を抑制できる。第1フィルタ7を用いた第1通信(すなわち第1通信バンドを用いた第1通信)と、第2フィルタ8,9を用いた第2通信(すなわち第2通信バンドを用いた第2通信)とをFDDで同時通信する場合を考える。この場合、第2フィルタ8,9を通過する信号(第2通信バンドの信号)の位相が、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで変動することを低減できる。
【0052】
また、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、共通フィルタ部71と第1スイッチ6の第2端子6bとの間の整合回路12は、共通である。これによっても、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、第2フィルタ8,9から見たときの第1フィルタ7側のインピーダンスの変動を抑制できる。第1フィルタ7を用いた第1通信(すなわち第1通信バンドを用いた第1通信)と、第2フィルタ8,9を用いた第2通信(すなわち第2通信バンドを用いた第2通信)とをFDDで同時通信する場合を考える。この場合も、第2フィルタ8,9を通過する信号(第2通信バンドの信号)の位相が、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで変動することを低減できる。
【0053】
(5)効果
以上のように、実施形態1に係る高周波モジュール1は、第1通信バンドを用いた第1通信と第2通信バンドを用いた第2通信とを同時通信することが可能である。高周波モジュール1は、第1スイッチ6と、第1フィルタ7と、第2フィルタ8,9と、パワーアンプ10と、ローノイズアンプ11と、を備える。第1スイッチ6は、第1端子6a、並びに、第2端子6b及び第3端子6cを有する。第1端子6aは、アンテナ端子5aに接続される。第2端子6b及び第3端子6cは、第1端子6aと接続及び非接続の切り替えが可能である。第1フィルタ7は、第2端子6bに接続され、第1通信バンドを含む通過帯域を有する。第2フィルタ8,9は、第3端子6cに接続され、第2通信バンドを含む通過帯域を有する。第1フィルタ7は、共通フィルタ部71と、追加フィルタ部72と、を有する。共通フィルタ部71は、送信及び受信の両方で用いられ、送信信号及び受信信号がTDDで通過する。追加フィルタ部72は、送信及び受信の一方で用いられる。追加フィルタ部72は、パワーアンプ10及びローノイズアンプ11のうちの一方である第1増幅器と共通フィルタ部71との間に接続される。パワーアンプ10及びローノイズアンプ11のうちの残りである第2増幅器は、共通フィルタ部71と追加フィルタ部72との間の第1信号経路L1から分岐された第2信号経路L2に接続される。共通フィルタ部71は、追加フィルタ部72と第1スイッチ6との間に接続される。
【0054】
この構成によれば、共通フィルタ部71は、追加フィルタ部72と第1スイッチ6との間に接続される。このため、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、第1フィルタ7の第1スイッチ6側の端部(すなわち共通フィルタ部71の第1スイッチ6側の端部の共振子KS1の構成を同一にすることができる。これにより、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、第2フィルタ8,9側から見たときの第1フィルタ7のインピーダンスの変動を抑制できる。第1フィルタ7を用いた第1通信と第2フィルタ8,9を用いた第1通信とを同時通信する場合を考える。この場合、第2フィルタ8,9を通過する信号(第2通信バンドの信号)の位相が、第1フィルタ7におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで変動することを低減できる。すなわち、第1フィルタ7と第2フィルタ8,9との同時通信時に、第2フィルタ8,9の通過位相における第1フィルタ7の状態に応じた変動量を低減できる。
【0055】
また、追加フィルタ部72は、共通フィルタ部71からローノイズアンプ11に到る第2信号経路L2(受信経路)には設けられない。この構成によれば、追加フィルタ部72が第1フィルタ7が機能する送信フィルタの一部を構成することを想定する。この場合、第1フィルタ7が機能する受信フィルタを共通フィルタ部71に集約できる。これにより、高周波モジュール1の小型化に寄与できる。
【0056】
また、追加フィルタ部72は、パワーアンプ10と共通フィルタ部71との間に接続されている。ローノイズアンプ11は、第2信号経路L2に接続されている。この構成によれば、追加フィルタ部72は、送信フィルタとして機能する第1フィルタ7の一部を構成できる。これにより、追加フィルタ部72によって、第1フィルタ7において、受信フィルタとして機能するときよりも送信フィルタとして機能するときの方が共振子の数を多くできる。一般に、送信信号の方が受信信号よりもパワーが大きくノイズが大きくなる。この場合でも、送信フィルタの減衰特性を送信信号のノイズを十分に減衰可能なように設定することができる。
【0057】
また、実施形態1に係る通信装置100は、高周波モジュール1と、信号処理回路2と、を備える。信号処理回路2は、高周波モジュール1に接続されており、高周波信号を信号処理する。この構成によれば、高周波モジュール1の上記効果を奏する通信装置100を提供できる。
【0058】
(6)変形例
実施形態1の変形例を説明する。以下の説明では、実施形態1と同じ構成要素には実施形態1の場合と同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分のみ説明する場合がある。また、以下の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0059】
(6-1)変形例1
実施形態1では、パワーアンプ10は、追加フィルタ部72に接続され、ローノイズアンプ11は、共通フィルタ部71と追加フィルタ部72との間の第1信号経路L1から分岐された第2信号経路L2に接続される。実施形態1の変形例1として、ローノイズアンプ11が追加フィルタ部72に接続され、パワーアンプ10が第2信号経路L2に接続されてもよい。この場合は、追加フィルタ部72は、ローノイズアンプ11と共通フィルタ部71との間に接続され、パワーアンプ10は、第2信号経路L2に接続される。この場合の追加フィルタ部72は、受信フィルタである。つまり、追加フィルタ部72は、送信フィルタに限定されず、受信フィルタであってもよく、この場合は、追加フィルタ部72は、ローノイズアンプ11と接続される。
【0060】
(6-2)変形例2
実施形態1の高周波モジュール1では、第2通信バンドを用いた第2通信をFDDで行う場合を例示する。より詳細には、第2フィルタ8を用いた第2通信バンドの送信信号の送信、及び、第2フィルタ9を用いた第2通信バンドの受信信号の受信をFDDで行う場合を例示する。ただし、第2通信バンドを用いた第2通信をTDDで行ってもよい。
【0061】
(実施形態2)
図2を参照して、実施形態2に係る高周波モジュール1について説明する。以下の説明では、実施形態1と同じ構成要素には実施形態1の場合と同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分のみ説明する場合がある。
【0062】
(1)構成
図2に示すように、実施形態2に係る高周波モジュール1は、実施形態1の高周波モジュール1と比べて、第2スイッチ16を更に備える点が異なる以外は同様に構成されている。
【0063】
第1フィルタ7は、出力部7dと、入力部7eと、を更に備える。出力部7dは、追加フィルタ部72の出力部72bの出力信号を第1フィルタ7の外部(第2スイッチ16の後述の端子16a)に出力する。出力部7dは、第2スイッチ16の後述の端子16aに接続されている。また、出力部7dは、追加フィルタ部72の出力部72bに接続されている。入力部7eは、第2スイッチ16の後述の端子16bから出力される信号を第1フィルタ7の内部に入力する。入力部7eは、第2スイッチ16の後述の端子16bに接続されている。また、入力部7eは、第1フィルタ7の分岐点N1に接続されている。
【0064】
第2スイッチ16は、第1フィルタ7の入力部7eと出力部7dとの間(すなわち分岐点N1と追加フィルタ部72との間)に接続されており、共通フィルタ部71と追加フィルタ部72との接続及び非接続を切り替える。第2スイッチ16は、端子16a(第4端子)と、端子16b(第5端子)とを有する。端子16aは、第1フィルタ7の出力部7dに接続されている。端子16bは、入力部7eに接続されており、端子16aと接続及び非接続の切り替えが可能である。
【0065】
第1フィルタ7がTDDの送信時の動作を行うときは(すなわちパワーアンプ10の動作時は)、第2スイッチ16の端子16a,16bは、互いに接続する。これにより、第1フィルタ7がTDDの送信時の動作を行うときは、パワーアンプ10の出力信号(送信信号)は、追加フィルタ部72、第2スイッチ16、分岐点N1、共通フィルタ部71、及び、第1スイッチ6を順に通過してアンテナ3から送信される。
【0066】
また、第1フィルタ7がTDDの受信時の動作を行うときは(すなわちパワーアンプ10の非動作時は)、第2スイッチ16の端子16a,16bは、互いに非接続となる。これにより、アンテナ3で受信された受信信号は、第1スイッチ6、共通フィルタ部71、分岐点N1、及び、ローノイズアンプ11を順に通過して外部端子5cに出力される。その際、第2スイッチ16の端子16a,16bが非接続であるため、受信信号が分岐点N1から追加フィルタ部72側に流れることが防止される。
【0067】
(2)実装基板の両面実装構造の例
図3に示すように、高周波モジュール1は、実装基板20(基板)と、第1チップ21(チップ)と、第2チップ22とを更に備える。
【0068】
実装基板20は、高周波モジュール1が備える複数の電子部品が実装される基板であり、例えば矩形の板状である。上記複数の電子部品は、第1スイッチ6、第2スイッチ16、第1フィルタ7、第2フィルタ8,9、パワーアンプ10,25、ローノイズアンプ11,26、整合回路12~14、及び、コントローラ15を含む。実施形態2では、第1フィルタ7は、第1チップ21によって構成されており、第1スイッチ6、第2スイッチ16及びローノイズアンプ11,26は、第2チップ22によって構成されている。
図3の例では、上記複数の電子部品のうち、第1チップ21、第2チップ22、及び、パワーアンプ10のみが図示されており、他の電子部品は図示省略されている。
【0069】
実装基板20は、複数の誘電体層及び複数の導電層を含む複数の層を有する基板(多層基板)である。複数の誘電体層及び複数の導電層は、実装基板20の厚さ方向D1において積層されている。複数の導電層は、層ごとに定められた所定パターンに形成されている。
【0070】
実装基板20は、実装基板20の厚さ方向D1において互いに対向する第1主面20a及び第2主面20bを有する。実装基板20の第1主面20aには、複数のパッド20pが設けられている。実装基板20の第2主面20bには、複数のパッド20qが設けられている。第1主面20aの複数のパッド20pは、実装基板20内の電路(すなわちビア電極及び導電層で構成された電路)を介して、第1主面20aの複数のパッド20pのうちの他のパッド20pに接続されている。また、第1主面20aの複数のパッド20pは、実装基板20内の電路を介して、第2主面20bの複数のパッド20qのうちの或るパッド20qに接続されている。
【0071】
実装基板20の第1主面20aには、上記複数の電子部品のうち、少なくとも、第1チップ21及びパワーアンプ10が配置(実装)されている。また、実装基板20の第2主面20bには、上記複数の電子部品のうち、少なくとも、第2チップ22が配置(実装)されている。
図3の例では、一例として、実装基板20の第1主面20aには、第1チップ21及びパワーアンプ10のみが図示され、実装基板20の第2主面20bには、第2チップ22のみが図示されている。
【0072】
第1チップ21は、第1フィルタ7を含むIC(Integrated Circuit)チップである。すなわち、第1フィルタ7の共通フィルタ部71及び追加フィルタ部72は、同一のチップ(第1チップ21)に設けられている。第1チップ21は、実装基板20の第1主面20aの所定位置に配置(実装)されている。第1チップ21は、例えば平面視矩形の板状である。
【0073】
第1チップ21は、チップ本体211と、複数の電極212と、を有する。チップ本体211は、例えば平面視矩形の板状である。チップ本体211は、第1チップ21のうちの複数の電極212以外の部分である。複数の電極212は、チップ本体211における実装基板20との対向面211sに設けられている。複数の電極212は、第1フィルタ7の入出力部7a、入力部7b、出力部7c、出力部7d及び入力部7eを構成する。複数の電極212は、実装基板20の第1主面20aに設けられた複数のパッド20pのいずれかと、はんだ24を介して接続されている。
【0074】
第2チップ22は、第1スイッチ6、第2スイッチ16及びローノイズアンプ11,26を含むICチップである。すなわち、第1スイッチ6、第2スイッチ16及びローノイズアンプ11,26は、同一のチップ(第2チップ22)に設けられている。
図3では、第2チップ22の内部には、第1スイッチ6及びローノイズアンプ11,26のみが点線で図示されている。第1チップ21は、実装基板20の第1主面20aの所定位置に配置(実装)されている。第2チップ22は、例えば平面視矩形の板状である。
【0075】
第2チップ22は、チップ本体221と、複数の電極222と、を有する。チップ本体221は、例えば平面視矩形の板状である。チップ本体221は、第2チップ22のうちの複数の電極222以外の部分である。複数の電極222は、チップ本体221における実装基板20との対向面221sに設けられている。複数の電極222は、第1スイッチ6の第1端子6a、第2端子6b又は第3端子6cに接続された電極、及び、ローノイズアンプ11の入力部11aに接続された電極を含む。複数の電極222は、実装基板20の第2主面20bに設けられた複数のパッド20qのいずれかと、はんだ24を介して接続されている。
【0076】
第1チップ21の或る電極212は、実装基板20の第1主面20aに設けられた或るパッド20p、実装基板20の内部の電路h1、及び、実装基板20の第2主面20bに設けられた或るパッド20qを介して、第2チップ22の或る電極222(例えば第1スイッチ6の第2端子6bと接続された電極)と電気的に接続されている。また、第1チップ21の別の電極212は、実装基板20の第1主面20aに設けられた別のパッド20p、実装基板20の内部の電路h2、及び、実装基板20の第2主面20bに設けられた別のパッド20qを介して、第2チップ22の別の電極222(例えばローノイズアンプ11の入力部11aと接続された電極)と電気的に接続されている。また、第1チップ21の別の電極212は、実装基板20の第1主面20aの別のパッド20p及び実装基板20の内部の電路h3を介してパワーアンプ10の出力部10bと電気的に接続されている。
【0077】
(3)第1チップ21と第2チップ22内の第2スイッチ16との配置関係
図3を参照して、実装基板20の厚さ方向D1における第1チップ21と第2チップ22内の第2スイッチ16との配置関係について説明する。
【0078】
図3に示すように、第1チップ21は、実装基板20の第1主面20aに配置(実装)されている。第2チップ22は、実装基板20の第2主面20bに配置されている。
【0079】
実装基板20の厚さ方向D1において、第1チップ21は、第2チップ22の内部の第1スイッチ6と重なる。ここで、「第1チップ21が第1スイッチ6と重なる」とは、第1チップ21が第1スイッチ6の少なくとも一部と重なっていてもよいし、第1チップ21の少なくとも一部が第1スイッチ6と重なっていてもよい。このように、実装基板20の厚さ方向D1において、第1チップ21が第1スイッチ6と重なることで、第1チップ21と第1スイッチ6との間の電路h1を短くできる。これにより、第1チップ21と第1スイッチ6との間の電路h1での損失を抑制できる。
【0080】
(4)第1チップ21の複数の電極212の配置関係
図4を参照して、第1チップ21の複数の電極212の配置について説明する。
【0081】
上述のように、第1チップ21は、複数(
図4の例では6個)の電極212を有する。
図4に示すように、6個の電極212は、第1~第4電極212a~212dを含む。6個の電極212は、第1チップ21の対向面211sに縦横に並んで配置されている。
【0082】
図4の例では、一例として、6個の電極212は、3行2列に並んで配置されている。第1電極212aは、1行1列目に配置されている。第2電極212bは、1行2列目に配置されている。第3電極212cは、2行1列目に配置されている。第4電極212dは、3行2列目に配置されている。
【0083】
図2に示すように、第1電極212aは、第1フィルタ7の入力部7bを構成する。第2電極212bは、第1フィルタ7の出力部7dを構成する。第3電極212cは、第1フィルタ7の出力部7c及び入力部7eを一体化して構成する。第4電極212dは、第1フィルタ7の入出力部7aを構成する。
【0084】
図4に示すように、第1電極212aは、電路を介してパワーアンプ10の出力部10bに接続されている。第2電極212bは、電路を介して第2スイッチ16の端子16a(第4端子)に接続されている。第3電極212cは、電路を介してローノイズアンプ11の入力部11aに接続されている。第4電極212dは、電路を介して第1スイッチ6の第2端子6bに接続されている。上記の各電路は、実装基板20に設けられた電路である。
【0085】
図4に示すように、第1チップ21の厚さ方向(すなわち実装基板20の厚さ方向D1)からの平面視で、第1電極212aと第4電極212dとを結ぶ方向M1において、第2電極212b及び第3電極212cは、第1電極212aと第4電極212dとの間に配置されている。これにより、第1チップ21内に共通フィルタ部71及び追加フィルタ部72を設けることと、第1チップ21の面積を小さくすることとを両立できる。
【0086】
(5)効果
実施形態2に係る高周波モジュール1は、実施形態1に係る高周波モジュール1において、第2スイッチ16を更に備える。第2スイッチ16は、第1信号経路L1と第2信号経路L2との分岐点N1と追加フィルタ部72との間に接続され、共通フィルタ部71と追加フィルタ部72との接続及び非接続を切り替える。この構成によれば、第2スイッチ16を非接続に切り替えることで、共通フィルタ部71、分岐点N1及び第2信号経路L2を流れる信号の一部が、分岐点N1から追加フィルタ部72側に流れることを防止できる。これにより、信号の損失を抑制できる。
【0087】
また、共通フィルタ部71及び追加フィルタ部72は、同一のチップ21内に設けられている。この構成によれば、高周波モジュール1の小型化に寄与できる。
【0088】
また、高周波モジュール1は、互いに対向する第1主面20a及び第2主面20bを有する実装基板20(基板)を更に備える。第1チップ21(チップ)は、実装基板20の第1主面20aに配置される。第1スイッチ6は、実装基板20の第2主面20bに配置される。実装基板20の厚さ方向D1において、第1チップ21は、第1スイッチ6と重なる。この構成によれば、第1チップ21と第1スイッチ6との間の電路h1を短くできる。これにより、第1チップ21と第1スイッチ6との間の電路h1での損失を抑制できる。
【0089】
また、第2スイッチ16は、端子16a(第4端子)と、端子16b(第5端子)と、を有する。端子16aは、追加フィルタ部72に接続される。端子16bは、分岐点N1に接続され、端子16aに接続及び非接続の切り替えが可能である。第1チップ21は、第1電極212aと、第2電極212bと、第3電極212cと、第4電極212dと、を有する。第1電極212aは、パワーアンプ10(第1増幅器)に接続されている。第2電極212bは、端子16aに接続される。第3電極212cは、端子16bに接続される。第4電極212dは、第1スイッチ6の第2端子6bに接続される。第1チップ21の厚さ方向D1からの平面視で、第1電極212aと第4電極212dとを結ぶ方向M1において、第2電極212b及び第3電極212cは、第1電極212aと第4電極212dとの間に配置される。この構成によれば、第1チップ21内に共通フィルタ部71及び追加フィルタ部72を設けることと、第1チップ21の面積を小さくすることとを両立できる。
【0090】
(6)変形例
以下、実施形態2の変形例を説明する。以下の説明では、実施形態2と同じ構成要素には実施形態2の場合と同じ符号を付して説明を省略し、実施形態2と異なる部分のみ説明する場合がある。また、以下の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0091】
(6-1)変形例1
実施形態2の変形例1に係る高周波モジュール1は、実施形態2に係る高周波モジュール1において、第2スイッチ16が切替スイッチ40に置換されている。すなわち、実施形態2の変形例2に係る高周波モジュール1は、切替スイッチ40を備える。
【0092】
切替スイッチ40は、共通フィルタ部71と追加フィルタ部72との接続と、共通フィルタ部71と第2信号経路L2との接続とを選択的に切り替える。
【0093】
より詳細には、切替スイッチ40は、共通端子40aと、第1選択端子40bと、第2選択端子40cとを有する。共通端子40aは、第1選択端子40b及び第2選択端子40cの一方と選択的に接続される。共通端子40aは、第1フィルタ7の入力部7eに接続されている。第1選択端子40bは、第1フィルタ7の出力部7dに接続されている。第2選択端子40cは、第2信号経路L2に接続されている。すなわち、第2選択端子40cは、整合回路14を介してローノイズアンプ11の入力部11aに接続されている。
【0094】
変形例1では、切替スイッチ40は、共通フィルタ部71の入出力部71bと追加フィルタ部72の出力部72bとの間の第1信号経路L1に設けられている。そして、切替スイッチ40によって、第1信号経路L1から第2信号経路L2が分岐されている。このため、変形例1では、実施形態1の分岐点N1及び出力部7cは省略されている。
【0095】
変形例1では、第1フィルタ7がTDDの受信時の動作を行うときは、切替スイッチ40では、共通端子40aが第2選択端子40cに選択的に接続される。すなわち、切替スイッチ40によって、共通フィルタ部71と追加フィルタ部72とは接続されず、かつ、共通フィルタ部71と第2信号経路L2とが接続される。これにより、アンテナ3で受信された受信信号は、第1スイッチ6、共通フィルタ部71、切替スイッチ40、整合回路14、ローノイズアンプ11を経由して出力端子5cから出力される。このとき、切替スイッチ40によって、共通フィルタ部71から追加フィルタ部72側に受信信号が流れることが防止される。
【0096】
また、第1フィルタ7がTDDの送信時の動作を行うときは、切替スイッチ40では、共通端子40aが第1選択端子40bに選択的に接続される。すなわち、切替スイッチ40によって、共通フィルタ部71と追加フィルタ部72とは接続され、かつ、共通フィルタ部71と第2信号経路L2とは接続されなくなる。これにより、パワーアンプ10の出力信号(送信信号)は、追加フィルタ部72、切替スイッチ40、共通フィルタ部71及び第1スイッチ6を通過してアンテナ3から送信される。このとき、切替スイッチ40によって、追加フィルタ部72から第2信号経路L2に送信信号が流れることが防止される。
【0097】
(6-2)変形例2
実施形態2では、第1チップ21は、実装基板20の第1主面20a(すなわちパワーアンプ10が配置される主面)に配置される。ただし、第1チップ21は、実装基板20の第2主面20bに配置されてもよい。この場合、第1チップ21は、実装基板20の厚さ方向D1において、パワーアンプ10と重なるように配置されてもよい。なお、「第1チップ21がパワーアンプ10と重なる」とは、第1チップ21がパワーアンプ10の少なくとも一部と重なっていてもよいし、第1チップ21の少なくとも一部がパワーアンプ10と重なっていてもよい。
【0098】
(6-3)変形例3
実施形態2では、共通フィルタ部71及び追加フィルタ部72は、実装基板20の第1主面20a(すなわち互いに同じ主面)に配置される。ただし、共通フィルタ部71及び追加フィルタ部72は、実装基板20の異なる主面に配置されてもよい。すなわち、共通フィルタ部71は、実装基板20の第1主面20a及び第2主面20bのうちの一方の主面に配置され、追加フィルタ部72は、実装基板20の第1主面20a及び第2主面20bのうちの他方の主面に配置されてもよい。例えば、共通フィルタ部71は、実装基板20の第1主面20a(すなわちパワーアンプ10が配置される主面)に配置され、追加フィルタ部72は、実装基板20の第2主面20bに配置されてもよい。
【0099】
(6-4)変形例4
実施形態2では、追加フィルタ部72は、送信フィルタの一部を構成する。この場合、追加フィルタ部72は、実装基板20の第1主面20aにおいて、パワーアンプ10と共通フィルタ部71との間に配置されてもよい。追加フィルタ部72が送信フィルタの一部を構成する場合は、追加フィルタ部72はパワーアンプ10と電路を介して接続される。このため、上記のように、追加フィルタ部72を共通フィルタ部71とパワーアンプ10との間に配置することで、追加フィルタ部72とパワーアンプ10とを繋ぐ電路を短くできる。
【0100】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0101】
第1の態様の高周波モジュール(1)は、第1通信バンドを用いた第1通信と第2通信バンドを用いた第2通信とを同時通信することが可能である。高周波モジュール(1)は、第1スイッチ(6)と、第1フィルタ(7)と、第2フィルタ(8,9)と、パワーアンプ(10)と、ローノイズアンプ(11)と、を備える。第1スイッチ(6)は、第1端子(6a)、並びに、第2端子(6b)及び第3端子(6c)を有する。第1端子(6a)は、アンテナ端子(5a)に接続される。第2端子(6b)及び第3端子(6c)は、第1端子(6a)と接続及び非接続の切り替えが可能である。第1フィルタ(7)は、第2端子(6b)に接続され、第1通信バンドを含む通過帯域を有する。第2フィルタ(8,9)は、第3端子(6c)に接続され、第2通信バンドを含む通過帯域を有する。第1フィルタ(7)は、共通フィルタ部(71)と、追加フィルタ部(72)と、を有する。共通フィルタ部(71)は、送信及び受信の両方で用いられ、送信信号及び受信信号が時分割複信で通過する。追加フィルタ部(72)は、送信及び受信の一方で用いられる。追加フィルタ部(72)は、パワーアンプ(10)及びローノイズアンプ(11)のうちの一方である第1増幅器と共通フィルタ部(71)との間に接続される。パワーアンプ(10)及びローノイズアンプ(11)のうちの残りである第2増幅器は、共通フィルタ部(71)と追加フィルタ部(72)との間の第1信号経路(L1)から分岐された第2信号経路(L2)に接続される。共通フィルタ部(71)は、追加フィルタ部(72)と第1スイッチ(6)との間に接続される。
【0102】
この構成によれば、共通フィルタ部(71)は、追加フィルタ部(72)と第1スイッチ(6)との間に接続される。このため、第1フィルタ(7)におけるTDD(時分割複信)の送信時の動作と受信時の動作とで、第1フィルタ(7)の第1スイッチ(6)側の端部(すなわち共通フィルタ部(71)の第1スイッチ(6)側の端部)の共振子(KS1)の構成を同一にすることができる。これにより、第1フィルタ(7)におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで、第2フィルタ(8,9)側から見たときの第1フィルタ(7)のインピーダンスの変動を抑制できる。第1フィルタ(7)を用いた第1通信と第2フィルタ(8,9)を用いた第1通信とを同時通信する場合を考える。この場合、第2フィルタ(8,9)を通過する信号(第2通信バンドの信号)の位相が、第1フィルタ(7)におけるTDDの送信時の動作と受信時の動作とで変動することを低減できる。すなわち、第1フィルタ(7)と第2フィルタ(8,9)との同時通信時に、第2フィルタ(8,9)の通過位相における第1フィルタ(7)の状態に応じた変動量を低減できる。
【0103】
第2の態様の高周波モジュール(1)は、第1の態様において、第2スイッチ(16)を更に備える。第2スイッチ(16)は、第1信号経路(L1)と第2信号経路(L2)との分岐点(N1)と追加フィルタ部(72)との間に接続され、共通フィルタ部(71)と追加フィルタ部(72)との接続及び非接続を切り替える。
【0104】
この構成によれば、第2スイッチ(16)を非接続に切り替えることで、共通フィルタ部(71)、分岐点(N1)及び第2信号経路(L2)を流れる信号の一部が、分岐点(N1)から追加フィルタ部(72)側に流れることを防止できる。これにより、信号の損失を抑制できる。
【0105】
第3の態様の高周波モジュール(1)は、第2の態様において、共通フィルタ部(71)及び追加フィルタ部(72)は、同一のチップ(21)内に設けられている。
【0106】
この構成によれば、高周波モジュール(1)の小型化に寄与できる。
【0107】
第4の態様の高周波モジュール(1)は、第3の態様において、互いに対向する第1主面(20a)及び第2主面(20b)を有する基板(20)を更に備える。チップ(21)は、第1主面(20a)に配置される。第1スイッチ(6)は、第2主面(20b)に配置される。基板(20)の厚さ方向(D1)において、チップ(21)は、第1スイッチ(6)と重なる。
【0108】
この構成によれば、チップ(21)と第1スイッチ(6)との間の電路(h1)を短くできる。これにより、チップ(21)と第1スイッチ(6)との間の電路(h1)での損失を抑制できる。
【0109】
第5の態様の高周波モジュール(1)では、第3又は第4の態様において、第2スイッチ(16)は、第4端子(16a)と、第5端子(16b)と、を有する。第4端子(16a)は、追加フィルタ部(72)に接続される。第5端子(16b)は、分岐点(N1)に接続され、第4端子(16a)に接続及び非接続の切り替えが可能である。チップ(21)は、第1電極(212a)と、第2電極(212b)と、第3電極(212c)と、第4電極(212d)と、を有する。第1電極(212a)は、第1増幅器に接続されている。第2電極(212b)は、第4端子(16a)に接続される。第3電極(212c)は、第5端子(16b)に接続される。第4電極(212d)は、第1スイッチ(6)の第2端子(6b)に接続される。チップ(21)の厚さ方向(D1)からの平面視で、第1電極(212a)と第4電極(212d)とを結ぶ方向(M1)において、第2電極(212b)及び第3電極(212c)は、第1電極(212a)と第4電極(212d)との間に配置される。
【0110】
この構成によれば、チップ(21)内に共通フィルタ部(71)及び追加フィルタ部(72)を設けることと、チップ(21)の面積を小さくすることとを両立できる。
【0111】
第6の態様の高周波モジュール(1)は、第1の態様において、切替スイッチ(40)を備える。切替スイッチ(40)は、共通フィルタ部(71)と追加フィルタ部(72)との接続と、共通フィルタ部(71)と第2信号経路(L2)との接続とを選択的に切り替える。
【0112】
この構成によれば、切替スイッチ(40)によって、共通フィルタ部(71)を、追加フィルタ部(72)及び第2信号経路(L2)の一方に選択的に接続できる。これにより、追加フィルタ部(72)及び第2信号経路(L2)のうちの共通フィルタ部(71)と接続されない方に信号(送信信号又は受信信号)が流れることを防止できる。
【0113】
第7の態様の高周波モジュール(1)では、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、追加フィルタ部(72)は、共通フィルタ部(71)からローノイズアンプ(11)に到る受信経路(L2)には設けられない。
【0114】
この構成によれば、追加フィルタ部(72)が第1フィルタ(7)が機能する送信フィルタの一部を構成することを想定する。この場合、第1フィルタ(7)が機能する受信フィルタを共通フィルタ部(71)に集約できる。これにより、高周波モジュール(1)の小型化に寄与できる。
【0115】
第8の態様の高周波モジュール(1)では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、追加フィルタ部(72)は、パワーアンプ(10)と共通フィルタ部(71)との間に接続されている。ローノイズアンプ(11)は、第2信号経路(L2)に接続されている。
【0116】
この構成によれば、追加フィルタ部(72)は、送信フィルタとして機能する第1フィルタ(7)の一部を構成できる。これにより、追加フィルタ部(72)によって、第1フィルタ(7)において、受信フィルタとして機能するときよりも送信フィルタとして機能するときの方が共振子の数を多くできる。この結果、受信フィルタの周波数特性よりも送信フィルタの周波数特性を設計し易くできる。
【0117】
第9の態様の通信装置(100)は、第1~第8の態様のいずれか1つの高周波モジュール(1)と、信号処理回路(2)と、を備える。信号処理回路(2)は、高周波モジュール(1)に接続されており、高周波信号を信号処理する。
【0118】
この構成によれば、高周波モジュール(1)の上記効果を奏する通信装置(100)を提供できる。
【符号の説明】
【0119】
1 高周波モジュール
2 信号処理回路
2a RF信号処理回路
2b ベースバンド信号処理回路
3 アンテナ
5a 外部端子(アンテナ端子)
5b~5f 外部端子
6 第1スイッチ
6a 第1端子
6b 第2端子
6c 第3端子
7 第1フィルタ
7a 入出力部
7b 入力部
7c 出力部
7d 出力部
7e 入力部
8 第2フィルタ
8a 入力部
8b 出力部
9 第2フィルタ
9a 入力部
9b 出力部
10 パワーアンプ(第1増幅器)
10a 入力部
10b 出力部
11 ローノイズアンプ(第2増幅器)
11a 入力部
11b 出力部
12~14 整合回路
15 コントローラ
16 第2スイッチ
16a 端子(第4端子)
16b 端子(第5端子)
20 実装基板(基板)
20a 第1主面
20b 第2主面
20p,20q パッド
21 第1チップ(チップ)
22 第2チップ
25 パワーアンプ
25a 入力部
25b 出力部
26 ローノイズアンプ
26a 入力部
26b 出力部
40 切替スイッチ
40a 共通端子
40b 第1選択端子
40c 第2選択端子
71 共通フィルタ部
71a 入出力部
71b 入出力部
72 追加フィルタ部
72a 入力部
72b 出力部
100 通信装置
211 チップ本体
211s 対向面
212 電極
212a 第1電極
212b 第2電極
212c 第3電極
212d 第4電極
221 チップ本体
221s 対向面
222 電極
D1 方向
h1~h3 電路
KS1 共振子
L1 第1信号経路
L2 第2信号経路(受信経路)
M1 方向
N1 分岐点
P11~P16,P21~P24 並列腕共振子
S11~S16,S21~S24 直列腕共振子