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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179603
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/133 20060101AFI20241219BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20241219BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G02F1/133 550
G02F1/1368
G02F1/1343
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098584
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】平井 明
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
2H193
【Fターム(参考)】
2H092GA14
2H092HA04
2H092JA24
2H092NA01
2H092PA08
2H092PA09
2H092QA06
2H192AA24
2H192BA32
2H192BB03
2H192BB12
2H192BB13
2H192BB33
2H192BB53
2H192BB73
2H192CC55
2H192EA06
2H192EA25
2H192EA42
2H192EA43
2H192GD61
2H192JA33
2H192JB05
2H193ZA04
2H193ZD23
2H193ZD39
2H193ZF13
2H193ZF17
2H193ZP03
2H193ZP13
2H193ZP15
2H193ZQ16
2H193ZQ44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プライバシーモードとパブリックモードとを切り替えることができ、かつ、プライバシーモードとパブリックモードとで、液晶パネルの輝度と色味の変化が抑制された液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の液晶表示装置は、液晶パネルと、上記液晶パネルを駆動させる制御部とを備え、上記液晶パネルの第一基板は、第一電極と第二電極とを有し、第二基板は、第三電極を有し、上記制御部は、表示モード切り替え部と、ガンマ補正テーブル記憶部と、ガンマ補正部と、画像データ出力部とを有し、上記ガンマ補正テーブル記憶部は、階調値と上記第一電極及び/又は上記第二電極への印加電圧とを対応付けるガンマ補正テーブルを格納しており、上記ガンマ補正部は、上記狭視野角モードと上記広視野角モードとで、上記ガンマ補正テーブル記憶部から異なるガンマ補正テーブルを取得し、それぞれのガンマ補正テーブルに基づいてガンマ補正を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、前記液晶パネルを駆動させる制御部とを備え、
前記液晶パネルは、第一基板と、液晶層と、第二基板とをこの順に有し、
前記第一基板は、第一の絶縁層を介して積層された第一電極と第二電極とを有するか、又は、互いに対向して配置された第一電極と第二電極とを有し、
前記第二基板は、第三電極を有し、
前記制御部は、表示モード切り替え部と、ガンマ補正テーブル記憶部と、ガンマ補正部と、画像データ出力部とを有し、
前記表示モード切り替え部は、前記第三電極へ印加する電圧を制御することで狭視野角モードと広視野角モードとの切り替えを行い、
前記ガンマ補正テーブル記憶部は、階調値と前記第一電極及び/又は前記第二電極への印加電圧とを対応付けるガンマ補正テーブルを格納しており、
前記ガンマ補正部は、前記狭視野角モードと前記広視野角モードとで、前記ガンマ補正テーブル記憶部から異なるガンマ補正テーブルを取得し、それぞれのガンマ補正テーブルに基づいて、原画像データに対してガンマ補正を行い、得られたガンマ補正後画像データを前記画像データ出力部に出力し、
前記画像データ出力部は、液晶パネル駆動信号を前記液晶パネルへ出力し、前記第一電極及び/又は前記第二電極への印加電圧を調整することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値と、前記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値との差は、0.4以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、前記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ガンマ補正テーブル記憶部は、階調0~255の間でガンマ値が一定であるガンマ補正テーブルを含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記ガンマ補正テーブル記憶部は、階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有するガンマ補正テーブルを含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルは、階調0~255の間でガンマ値が一定であり、前記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルは、階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
階調0~255の間の任意の階調を階調Xとすると、
0以上、X未満の階調では、前記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルの前記ガンマ値は、前記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さく、
X以上、255の以下の階調では、前記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、前記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値より大きいことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
0~255階調の任意の階調をXとし、Xより大きい任意の階調をYとすると、
0以上、X未満の階調では、前記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルの前記ガンマ値は、前記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さく、
Y以上、255の以下の階調では、前記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、前記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値より大きいことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方は、絵素毎に配置され、第一の方向に延伸する線状電極部を含み、
前記第三電極は、平面視において、前記第一の方向と交差する第二の方向に延伸する線状電極部を含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であり、その代表的な表示方式は、一対の基板間に封入された液晶組成物に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶組成物中の液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。このような液晶表示装置は、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられている。
【0003】
従来、液晶表示装置は、狭い視野角の範囲から観察しても、広い角度の範囲から観察しても同様の画像が観察できるように視野角特性を向上させることが検討されている。一方で、プライバシー保持の観点からは、狭い視野角の範囲からは画像を観察できるが、視野角の広い範囲からは上記画像を観察し難くする表示方法が検討されている。例えば、特許文献1には、カラーフィルタ基板に設けられた第三電極に印加する電圧を制御することで、狭視野角モードと広視野角モードとを切り替えることができる液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-67852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの検討によると、対向基板側に配置された第三電極に電圧を印加することでパブリックモードとプライバシーモードとを切り替えると、パブリックモードとプライバシーモードとで、液晶パネルの正面輝度や色味が異なることがあった。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、プライバシーモードとパブリックモードとを切り替えることができ、かつ、プライバシーモードとパブリックモードとで、液晶パネルの輝度と色味の変化が抑制された液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一実施形態は、液晶パネルと、上記液晶パネルを駆動させる制御部とを備え、上記液晶パネルは、第一基板と、液晶層と、第二基板とをこの順に有し、上記第一基板は、第一の絶縁層を介して積層された第一電極と第二電極とを有するか、又は、互いに対向して配置された第一電極と第二電極とを有し、上記第二基板は、第三電極を有し、上記制御部は、表示モード切り替え部と、ガンマ補正テーブル記憶部と、ガンマ補正部と、画像データ出力部とを有し、上記表示モード切り替え部は、上記第三電極へ印加する電圧を制御することで狭視野角モードと広視野角モードとの切り替えを行い、上記ガンマ補正テーブル記憶部は、階調値と上記第一電極及び/又は上記第二電極への印加電圧とを対応付けるガンマ補正テーブルを格納しており、上記ガンマ補正部は、上記狭視野角モードと上記広視野角モードとで、上記ガンマ補正テーブル記憶部から異なるガンマ補正テーブルを取得し、それぞれのガンマ補正テーブルに基づいて、原画像データに対してガンマ補正を行い、得られたガンマ補正後画像データを上記画像データ出力部に出力し、上記画像データ出力部は、液晶パネル駆動信号を上記液晶パネルへ出力し、上記第一電極及び/又は上記第二電極への印加電圧を調整する液晶表示装置。
【0008】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値と、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値との差は、0.4以下である液晶表示装置。
【0009】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は(2)の構成に加え、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さい液晶表示装置。
【0010】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)~(3)のいずれかの構成に加え、上記ガンマ補正テーブル記憶部は、階調0~255の間でガンマ値が一定であるガンマ補正テーブルを含む液晶表示装置。
【0011】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)~(3)のいずれかの構成に加え、上記ガンマ補正テーブル記憶部は、階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有するガンマ補正テーブルを含む液晶表示装置。
【0012】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(4)又は(5)の構成に加え、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルは、階調0~255の間でガンマ値が一定であり、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルは、階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有する液晶表示装置。
【0013】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(6)の構成に加え、階調0~255の間の任意の階調を階調Xとすると、0以上、X未満の階調では、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルの上記ガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さく、X以上、255の以下の階調では、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値より大きい液晶表示装置。
【0014】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(6)の構成に加え、0~255階調の任意の階調をXとし、Xより大きい任意の階調をYとすると、0以上、X未満の階調では、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルの上記ガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さく、Y以上、255の以下の階調では、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値より大きい液晶表示装置。
【0015】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(1)~(8)のいずれかの構成に加え、上記第一電極及び上記第二電極の少なくとも一方は、絵素毎に配置され、第一の方向に延伸する線状電極部を含み、上記第三電極は、平面視において、上記第一の方向と交差する第二の方向に延伸する線状電極部を含む液晶表示装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プライバシーモードとパブリックモードとを切り替えることができ、かつ、プライバシーモードとパブリックモードとで、液晶パネルの輝度と色味の変化が抑制された液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る液晶表示装置の表示方法の一例を示したブロック図である。
図2】実施形態1に係る液晶表示装置の一例を示した平面模式図である。
図3図2に示した液晶表示装置の一絵素の平面模式図である。
図4図2のY1-Y2線における断面模式図である。
図5図2のX1-X2線における断面模式図である。
図6】液晶パネル周辺の構成を抜粋した斜視図である。
図7】狭視野角モードと広視野角モードとで表示を行った場合の実測値に基づくVTカーブを示したグラフである。
図8図7の広視野角モードのVTカーブに基づき、γ=2.2となるように設定したガンマ補正テーブル(テーブル1)を示したグラフである。
図9】狭視野角モード用と広視野角モード用のガンマ補正テーブルを示したグラフである。
図10】ベールビューパターンを表示する場合の表示方法の一例を示したブロック図である。
図11】液晶パネルが有する一つの表示単位の一例を示した平面模式図である。
図12】ベールビュー機能によりカラー表示を行う場合のカラー素子の一例を示した平面模式図である。
図13】カラー素子の表示パターンの一例を示した平面模式図である。
図14】カラー素子の表示パターンの他の一例を示した平面模式図である。
図15】比較例1に係る液晶表示装置の狭視野角モードと広視野角モードのγカーブを示したグラフである。
図16】実施例1で用いた狭視野角モード用のガンマ補正テーブルと、実施例2で用いた狭視野角モード用のガンマ補正テーブルとを示したグラフである。
図17】実施例1及び実施例2について、狭視野角モードと広視野角モードとを正面から見た場合のγカーブを比較したグラフである。
図18】実施例2及び比較例1について、狭視野角モードと広視野角モードとを正面から見た場合のγカーブを比較したグラフである。
図19】実施例1及び実施例2について、狭視野角モードと広視野角モードとを斜め方向から見た場合のγカーブを比較したグラフである。
図20】実施例4で用いた狭視野角モード用のガンマ補正テーブルを示したグラフである。
図21】実施例4について、狭視野角モードと広視野角モードとを正面から見た場合のγカーブを示したグラフである。
図22】実施例5について、狭視野角モードと広視野角モードとを正面から見た場合のγカーブを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【0019】
本明細書中、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を「観察者側(前面側)」ともいい、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を「背面側」ともいう。前面側の法線方向から観察した場合を平面視ともいう。
【0020】
本明細書中、「水平」とは、液晶分子のチルト角(プレチルト角を含む)が、第一基板10又は第二基板30の表面に対して0°~5°であることを意味し、好ましくは0°~3°、より好ましくは0°~1°であることを意味する。液晶分子のチルト角は、液晶分子の長軸が、第一基板10の表面に対して傾斜する角度を意味する。
【0021】
<実施形態1>
実施形態1に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、上記液晶パネルを駆動させる制御部とを備え、上記液晶パネルは、第一基板と、液晶層と、第二基板とをこの順に有し、上記第一基板は、第一の絶縁層を介して積層された第一電極と第二電極とを有するか、又は、互いに対向して配置された第一電極と第二電極とを有し、上記第二基板は、第三電極を有し、上記制御部は、表示モード切り替え部と、ガンマ補正テーブル記憶部と、ガンマ補正部と、画像データ出力部とを有し、上記表示モード切り替え部は、上記第三電極へ印加する電圧を制御することで狭視野角モードと広視野角モードとの切り替えを行い、上記ガンマ補正テーブル記憶部は、階調値と上記第一電極及び/又は上記第二電極への印加電圧とを対応付けるガンマ補正テーブルを格納しており、上記ガンマ補正部は、上記狭視野角モードと上記広視野角モードとで、上記ガンマ補正テーブル記憶部から異なるガンマ補正テーブルを取得し、それぞれのガンマ補正テーブルに基づいて、原画像データに対してガンマ補正を行い、得られたガンマ補正後画像データを上記画像データ出力部に出力し、上記画像データ出力部は、液晶パネル駆動信号を上記液晶パネルへ出力し、上記第一電極及び/又は上記第二電極への印加電圧を調整する。
【0022】
図1は、実施形態に係る液晶表示装置の表示方法の一例を示したブロック図である。図1に示したように、実施形態1に係る液晶表示装置1000は、液晶パネル100と、液晶パネルを駆動させる制御部200とを備える。
【0023】
(液晶パネル)
以下に図2図5を用いて、液晶パネルの構成について説明する。図2は、実施形態1に係る液晶表示装置の一例を示した平面模式図である。図3は、図2に示した液晶表示装置の一絵素の平面模式図である。図4は、図2のY1-Y2線における断面模式図である。図5は、図2のX1-X2線における断面模式図である。
【0024】
図2に示したように、液晶パネル100は、複数の絵素がマトリクス状に配置されてもよい。第一基板10は、複数のゲート配線1と、上記複数のゲート配線1と交差するように配置された複数のソース配線2とを有してもよい。ゲート配線1とソース配線2との交点にはスイッチング素子として、薄膜トランジスタ3(TFT:Thin Film Transistor)が配置されてもよい。本明細書中、「絵素」とは、図2及び図3に示したような、互いに隣接する2本のゲート配線1と互いに隣接する2本のソース配線2とに囲まれた領域を指す。本明細書中、後述する第一の絵素70と第二の絵素71とを特に区別しない場合、単に絵素と記載する。
【0025】
複数の絵素には、それぞれ、光が液晶パネル100を透過するよう構成された光学的開口部が設けられることが好ましい。上記光学的開口部は、図2に示した絵素の内側に点線で囲まれた領域である。液晶パネル100が透過型又は半透過型である場合には、上記光学的開口部は、液晶パネル100の背面から出射された光を液晶パネル100の前面に向かって透過する。液晶パネル100が反射型又は半透過型である場合には、上記光学的開口部は、液晶パネル100の外部から入射される入射光、及び、上記入射光が液晶パネル100の内部で反射され、液晶パネル100の外部に向かって出射される反射光を透過する。なお、上記光学的開口部は、平面視において、例えば、偏光板、カラーフィルタ等の透過性を有する部材と重畳していてもよい。実施形態1では、液晶パネル100が透過型である場合について説明する。
【0026】
図4及び図5に示したように、液晶パネル100は、第一基板10と、液晶層20と、第二基板30とをこの順に有する。図4及び図5では、第一基板10は、第一の絶縁層13を介して積層された第一電極12と第二電極14とを有するFFS(Fringe Field Switching)方式の電極構造を有する場合を例示する。第一基板10が、第一の支持基板11、第一電極12、第一の絶縁層13、第二電極14をこの順に有する場合を例示するが、第一の支持基板11、第二電極14、第一の絶縁層13、第一電極12をこの順に有してもよい。
【0027】
なお、図示しないが、上記第一基板は、互いに対向して配置された第一電極と第二電極とを有するIPS(In Plane Switching)方式の電極構造を有してもよい。IPS方式の場合、上記第一電極と上記第二電極とは同一レイヤー上(例えば第一の支持基板11又は第一の絶縁層13)に配置されてもよい。
【0028】
第一の支持基板11及び後述する第二の支持基板31としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート等の樹脂基板、ガラス基板等を用いることができる。
【0029】
第一の絶縁層13の材料としては、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物等の無機材料が挙げられる。
【0030】
上記第一電極及び上記第二電極の少なくとも一方は、絵素毎に配置され、第一の方向に延伸する線状電極部を含んでもよい。図2及び図3では、第二電極14が線状電極部を有する場合を例示する。
【0031】
第一電極12は、平面視において、少なくとも絵素の光学的開口部と重畳する領域に、スリットや開口が設けられていない平板状の電極(ベタ電極ともいう)であってもよい。第一電極12は、複数の絵素毎に配置されてもよいし、複数の絵素で共通して配置されてもよく、絵素の境界に関わらず表示領域全体に渡って形成されてもよい。第一電極12の材料としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料が挙げられる。
【0032】
第二電極14は、絵素毎に配置される。図2及び図3に示したように、第二電極14は、第一の方向D1に延伸する第一の線状電極部14aを含む。第一の線状電極部14aは、少なくとも一部が第一の方向D1に延伸していればよく、第一の方向D1とは異なる方向に延伸する線状電極部を含んでもよい。
【0033】
第一の線状電極部14aは複数であってもよい。隣接する第一の線状電極部14aの端部が電極材料で繋がれ、電極材料で囲まれた開口が設けられてもよい。また、第二電極14は、隣接する第一の線状電極部14aの端部が解放された櫛歯電極であってもよく、隣接する第一の線状電極部14a間にスリットが設けられてもよい。図2及び図3では、複数の第一の線状電極部14aの端部が電極材料で繋がれ、開口14bが設けられる場合を例示した。
【0034】
第一の線状電極部14aの幅は、例えば2~5μmであってもよい。スリット又は開口の幅は、例えば2~5μmであってもよい。第一の線状電極部14aの幅、スリット又は開口の幅は、第一の方向D1と直交する方向における幅である。
【0035】
第二電極14の材料としては、例えば、ITO、IZO等の透明導電材料が挙げられる。第二電極14は、例えば、TFT3が備える半導体層を介して対応するソース配線2と電気的に接続されてもよい。
【0036】
第一電極12及び第二電極14のいずれか一方は、上記複数の絵素を跨いで電気的に結合して配置されることが好ましい。上記複数の絵素を跨ぐとは、複数の絵素の境界を越えて上記複数の絵素と重畳するように配置されることをいう。上記複数の絵素を跨いで電気的に結合することで、第一電極12及び第二電極14のいずれか一方に、上記複数の絵素に対して、共通した定電圧を印加することができる。
【0037】
液晶層20は、液晶分子を含有する。液晶分子は、下記式(L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するもの(ポジ型)が好ましい。また、液晶分子は、電圧が印加されていない状態(電圧無印加状態)で、ホモジニアス配向するものが好ましい。電圧無印加状態における液晶分子の長軸の方向は、液晶分子の初期配向の方向ともいう。上記電圧無印加状態とは、液晶層に液晶分子の閾値未満の電圧が印加された場合も含む。
Δε=(液晶分子の長軸方向の誘電率)-(液晶分子の短軸方向の誘電率) (L)
【0038】
第二基板30は、第三電極34を有する。実施形態1に係る液晶表示装置は、上記第三電極へ印加する電圧を制御することで狭視野角モードと広視野角モードとの切り替えを行う。具体的には、第三電極34に駆動電圧を印加し、液晶層20の厚み方向に電界を発生させることで、プライバシーモードとパブリックモードとを切り替えることができる。表示方法については、後述する。
【0039】
図4及び図5に示したように、第三電極34は、第二基板30の液晶層20側に配置され、第一基板10の液晶層20側に配置された第一電極12及び/又は第二電極14と、液晶層20を挟んで対向する位置に配置される。
【0040】
図4及び図5では、第二基板30が、第二の支持基板31と、ブラックマトリクス33と、カラーフィルタ32と、第三電極34とを有する場合を例示するが、カラーフィルタ32及びブラックマトリクス33は、第一基板10に形成されてもよい。
【0041】
図2及び図3に示したように、上記第三電極34は、第二電極14は、第一の方向D1に延伸する第一の線状電極部14aの延伸方向を第一の方向D1とすると、平面視において、第一の方向D1と交差する第二の方向D2に延伸する線状電極部(第二の線状電極部)34aを含んでもよい。
【0042】
第二の線状電極部34aは、列方向に隣接する2つの絵素間に配置されてもよい。上述したゲート配線1は、第二の線状電極部34aの延伸方向である第二の方向D2に延伸してもよく、図2及び図3に示したように、第二の線状電極部34aは、平面視においてゲート配線1と重畳してもよい。プライバシー性能を高める観点からは、第二の線状電極部34aの幅は、ゲート配線1の幅よりも広いことが好ましい。また、図2及び図3に示したように、第二の線状電極部34aは、一つの絵素の上下端に沿って配置されてもよく、第二の線状電極部34aの一部は、光学的開口部と重畳してもよい。
【0043】
第二の線状電極部34aの幅W34aは、25μm以上、35μm以下が好ましく、27μm以上、33μm以下がより好ましく、29μm以上、31μm以下が更に好ましい。幅W34aは、第二の方向D2と直交する方向における第二の線状電極部34aの電極幅である。
【0044】
第三電極34は、更に複数の第二の線状電極部34a間に配置された第三の線状電極部34bを含んでもよい。第三の線状電極部34bは、平面視において上記第二の方向D2に延伸し、かつ絵素の光学的開口部と重畳するように配置されることが好ましい。第三電極34が第三の線状電極部34bを含むことで、正面コントラストの高さを維持しつつ、斜め方向から観察した場合のコントラストをより抑制できる。絵素の光学的開口部と重畳する位置に、1本の第三の線状電極部34bが配置されてもよいし、複数の第三の線状電極部34bが配置されてもよい。
【0045】
第三の線状電極部34bの幅W34bは、第二の線状電極部34aの幅よりも狭いことが好ましい。第二の線状電極部34aの幅よりも狭い第三の線状電極部34bを配置することで、プライバシーモードにおいて、正面コントラストを高くし、斜め方向のコントラストをより抑制することができる。
【0046】
上記幅W34bは2.5μm以上、15μm以下であることが好ましく、3μm以上、13μm以下であることがより好ましく、4μm以上、10μm以下が更に好ましい。上記幅W34bは、第二の方向D2と直交する方向における第三の線状電極部34bの電極幅である。
【0047】
複数の第三の線状電極部34bを配置する場合、第三の線状電極部34bは、等間隔で配置されることが好ましい。隣接する第三の線状電極部34bの距離d1は、3μm以上、20μm以下が好ましく、9μm以上、15μm以下がより好ましい。
【0048】
第二の線状電極部34aと第三の線状電極部34bは互いに電気的に接続されていることが好ましい。第二の線状電極部34aと第三の線状電極部34bとは、例えば、液晶パネルの端部で接続部により繋がっていてもよく、第三電極34全体として同電圧が印加されることが好ましい。
【0049】
第三電極34(第二の線状電極部34a及び第三の線状電極部34b)は、上記第一の方向D1に対する横ストライプ電極であるともいえる。第三電極34が横ストライプ電極であることで、例えば、上記第一の方向D1と同じ方向に配置した場合(縦ストライプ電極の場合)や、ブラックマトリクスと同形状とした場合等よりも、プライバシー性能を高くすることができる。具体的には、プライバシーモードで表示した場合の正面コントラストを高くし、斜め方向(例えば、0°-180°方位で、極角35°~55°から観察した場合)のコントラストを低くすることができる。また、横ストライプとすることで、第三電極34が上記光学的開口部と重畳しない部分ができ、パブリックモードで表示を行う際に、絵素の開口部において縦電界が作用し難いため、高い透過率と高いコントラストを得ることができる。
【0050】
第一の方向D1と第二の方向D2とが成す角度θ1は、80°以上、100°以下であることが好ましく、85°以上、95°以下であることがより好ましい。第二の方向D2は、第二の偏光板62の吸収軸62A又は第一の偏光板61の吸収軸61Aと平行であってもよい。実施形態1では、図1に示したように、第二の方向D2は、第二の偏光板62の吸収軸62Aと平行(0°-180°方位)とした。
【0051】
第三電極34は、透明導電材料により形成されてもよい。上記透明導電材料としては、ITO、IZO等が挙げられる。
【0052】
図2及び3に示したように、カラーフィルタ32は、液晶パネル100を前面側から観察した場合に、上記光学的開口部と重畳するように絵素毎に配置される。カラーフィルタ32は、例えば、赤色のカラーフィルタ32R、緑色のカラーフィルタ32G及び青色のカラーフィルタ32Bを含む。例えば、カラーフィルタ32は、液晶パネル100の行方向又は列方向に同色のカラーフィルタが連続して形成されていてもよい。カラーフィルタ32は、誘電体層であることが好ましい。
【0053】
ブラックマトリクス33は、複数の絵素間に配置される。ブラックマトリクス33は、行方向又は列方向に隣接する上記光学的開口部間に配置されてもよいし、平面視において光学的開口部の周囲に配置されてもよい。ブラックマトリクス33としては、液晶表示装置の分野で通常用いられるものを使用することができるが、樹脂からなることが好ましく、黒色顔料又は染料を含む黒色樹脂からなることがより好ましい。
【0054】
図示しないが、第一基板10と液晶層20との間、及び、第二基板30と液晶層20との間には、それぞれ配向膜が配置されてもよい。上記配向膜は、電圧無印加状態における液晶分子の初期配向方位を制御する。上記配向膜は、水平配向膜であることが好ましい。水平配向膜は、配向膜の表面に対する、液晶分子の初期(液晶層への電圧無印加状態)のプレチルト角を、0°から1°とするものが好ましい。
【0055】
また、第一基板10の液晶層20に対して反対側、及び、第二基板30の液晶層20に対して反対側には、第一の偏光板61、第二の偏光板62がそれぞれ配置されてもよい。第一の偏光板61の吸収軸61Aと第二の偏光板62の吸収軸62Aとは、互いに直交するようにクロスニコルに配置されていることが好ましい。図1では、第二の偏光板62の吸収軸62Aを0°-180°方位とし、第一の偏光板61の吸収軸61Aを90°-270°方位とした。第一の偏光板61及び第二の偏光板62は、直線偏光板であることが好ましい。
【0056】
図示しないが、液晶パネル100は、第三電極34と液晶層20との間に誘電体層を有してもよい。上記誘電体層を配置することで、パブリックモードにおいて、第三電極34と第一基板側の電極との間に発生してしまう不要な縦電界の発生を抑制できる。その結果、液晶分子をほとんど立たせることなく横電界駆動ができるため、パブリックモードで表示を行った場合の正面の白表示時の透過率及び正面コントラストを高くすることができる。
【0057】
上記誘電体層は、配向膜とは異なる層であり、例えば、光透過性を有する樹脂からなる層である。上記誘電体層は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。本明細書中、全光線透過率とは、JIS K7361-1に準拠して測定される全光線透過率をいう。上記誘電体層としては、例えば、アクリル系、ポリイミド系等の樹脂を用いることができる。上記誘電体層の厚みは、0.5μm以上、4μm以下であることが好ましい。
【0058】
実施形態1に係る液晶表示装置は、液晶パネルの背面側(第一基板10側)に、バックライト300を備えてもよい。バックライト300としては、特に限定されず、液晶表示装置の分野で通常用いられるものを使用することができる。バックライト300は、例えば、導光板の端面に光源を配置するエッジライト型でもよいし、光源を面内に多数配置して拡散板等で均整度を高めた直下型であってもよい。
【0059】
<表示方法>
図1に示したように、制御部200は、表示モード切り替え部201と、ガンマ補正テーブル記憶部と202、ガンマ補正部203と、画像データ出力部204とを有する。また、液晶表示装置1000は、ゲートドライバ101とソースドライバ102と第三電極駆動回路103とを有してもよい。
【0060】
図1に示したように、外部から表示モード切り替え信号211が制御部200の表示モード切り替え部201に入力されると、表示モード切り替え部201は、第三電極駆動回路103とガンマ補正部203に表示モード信号212を出力する。まずは、以下に狭視野角モードと広視野角モードの表示方法の一例について、図1及び図6を用いて説明する。ガンマ補正については後述する。
【0061】
図6は、液晶パネル周辺の構成を説明した説明図である。図6に示したように、ゲートドライバ101は第一基板10に配置されたゲート配線1と電気的に接続され、ソースドライバ102は第一基板10に配置されたソース配線2と電気的に接続され、第三電極駆動回路103は第三電極34と電気的に接続される。
【0062】
(表示モードの切り替え方法)
表示モード切り替え部201は、第三電極34へ印加する電圧を制御することで狭視野角モードと広視野角モードとの切り替えを行う。広視野角モード(パブリックモード)の場合、第三電極駆動回路103は、表示モード信号212に基づき、第三電極34に対して所定の交流電圧を定電圧として印加する。狭視野角モード(プライバシーモード)の場合、表示モード信号212に基づき、第三電極駆動回路103は、第三電極34に対して上記定電圧とは実効値が異なる駆動電圧を印加する。
【0063】
本明細書中、液晶パネルの法線方向を含む狭い視野角の範囲から観察できる第一の画像を表示する表示モードを狭視野角モードといい、上記狭い視野角の範囲を含む広い視野角の範囲から上記第一の画像が観察できる表示モードを広視野角モードという。また、本明細書中、上記狭視野角モードをプライバシーモードともいい、上記広視野角モードをパブリックモードともいう。
【0064】
上記狭い視野角の範囲では、液晶パネルを斜め方向(0°方位又は180°方位)からある極角で観察した場合に、コントラストが5以下になることが好ましい。上記極角は、例えば、液晶パネルの表面に対して、垂直な方向を極角0°とし、液晶パネルの表面に対して水平な方向を極角90°とした場合に、60°以上であることが好ましく、45°以上であることがより好ましく、30°以上であることが更に好ましい。上記広い視野角の範囲とは、上記狭い視野角の範囲の極角よりも、大きい極角の範囲をいう。
【0065】
(パブリックモード)
パブリックモードで黒表示とする場合、第三電極34に対して所定の交流電圧を定電圧として印加しつつ、画像データ出力部204からゲートドライバ101、ソースドライバ102に液晶パネル駆動信号217が出力される。なお、黒表示とは、各表示モードで最低輝度となる表示状態をいい、白表示とは、最高輝度となる表示状態をいう。
【0066】
原画像信号213が原画像データ生成部205に入力されると、原画像データ214が出力される。ガンマ補正を行わない場合、原画像データ214が画像データ出力部204に出力され、画像データ出力部204は、原画像データ214に基づき、例えば、第二電極14及び第一電極12に対して、上記定電圧を0Vとして、定電圧と共通したコモン電圧を印加するように制御を行う。なお、第二電極14及び第一電極12に印加されるコモン電圧は、上記定電圧を同じであってもよいし、上記定電圧に対して液晶分子の閾値未満の電圧が印加されてもよい。このような状態を電圧無印加状態ともいう。
【0067】
電圧無印加状態では、図6に示した液晶層20中に液晶分子を駆動させる電界が発生しないため、液晶分子は初期配向方位に配向する。上記液晶層への電圧が印加されていない電圧無印加状態において、上記液晶分子が、第一基板10に対して水平に配向してもよい。液晶層20の面内で液晶分子の配向方位が変化しないため、液晶パネルは背面からの光を透過せず黒表示となる。上記初期配向方位は、第一基板10に対して平行であり、かつ平面視において第一の偏光板61の吸収軸61A又は第二の偏光板62の吸収軸62Aと平行であることが好ましい。
【0068】
パブリックモードで白表示とする場合、例えば、第三電極34に対して定電圧を印加した状態で、画像データ出力部204から第一電極12及び第二電極14のいずれか一方に対して定電圧(コモン電圧)を印加し、他方に対して上記コモン電圧とは実効値が異なる交流電圧を印加するように液晶パネル駆動信号217が出力される。第一電極12と第二電極14との間にはフリンジ電界が形成される一方で、後述するプライバシーモードとは異なり、液晶層20の厚み方向の電界は小さい。そのため、液晶分子は、第一電極12と第二電極14との間に形成される電界により、第一基板10に対して平行に配向しつつ配向方位を変化させる。液晶分子が液晶層20の面内で回転して初期配向方位から変化することで、液晶分子の長軸方向が第一の偏光板の吸収軸61A及び第二の偏光板の吸収軸62Aと角度を成し、液晶パネルの背面からの光を透過することで白表示を行う。
【0069】
(プライバシーモード)
プライバシーモードで黒表示とする場合、第三電極駆動回路103は、上記第三電極に対して上記定電圧とは実効値が異なる駆動電圧を印加し、画像データ出力部204は、第二電極14及び第一電極12に対して定電圧(コモン電圧)を印加する制御を行う。第三電極34と、第一電極12及び第二電極14との間には斜め電界が形成される。液晶分子は、上記斜め電界により、第一基板10に対して角度をなす。
【0070】
液晶層20の面内で液晶分子の配向方位は変化しないため、液晶パネルは背面からの光を透過しない一方で、液晶分子は第一基板に対して角度をなすため、広い視野角の範囲から液晶パネルを観察した場合には、狭い視野角の範囲から観察される黒表示よりも白っぽい表示として観察される。
【0071】
プライバシーモードで白表示とする場合、第三電極駆動回路103が、第三電極34に対して駆動電圧を印加した状態で、画像データ出力部204は、第一電極12及び第二電極14のいずれか一方に対して定電圧(コモン電圧)を印加し、他方に対して上記コモン電圧とは実効値が異なる交流電圧を印加する制御を行う。第三電極34に印加される駆動電圧は、第一電極12又は第二電極14に印加される交流電圧とは、実効値が異なることが好ましく、第一電極12及び第二電極14に印加される交流電圧よりも実効値が大きいことがより好ましい。第一電極12と第二電極14との間にはフリンジ電界が形成され、第三電極34と第一電極12との間、又は、第三電極34と第二電極14との間には、液晶層20の厚み方向に対して斜め電界が形成される。その結果、液晶層20中には、上記フリンジ電界と上記斜め電界が合成された電界が形成されるため、液晶分子は、第一電極12と第二電極14と上記第三電極34との間に形成された電界により、第一基板10に対して角度をなしつつ配向方位を変化することで、白表示を行う。液晶分子が第一基板に対して角度をなすため、狭い視野角の範囲からは第一の画像を観察することができる一方で、広い視野角の範囲から液晶パネルを観察した場合には、コントラストが極端に低くなる等の画像の変化が得られ上記第一の画像を観察し難くすることができる。
【0072】
上述したプライバシーモードの白表示とパブリックモードの白表示とは、第三電極に電圧を印加することで切り替えることができる。同様に、プライバシーモードの黒表示とパブリックモードの黒表示とは、第三電極に電圧を印加することで切り替えることができる。中間調表示も同様である。
【0073】
実施形態に係る液晶表示装置では、上述のように、広視野角モード(パブリックモード)から狭視野角モード(プライバシーモード)に切り替えることで、液晶パネルの斜め方向から観察した場合に高いプライバシー性が得られる。なお、上記斜め方向とは、所望の画像を表示した液晶パネルの右手方向を0°とし、反時計回りに角度が増す場合に、0°方位及び180°方位で、極角35°~55°から観察した場合をいう。
【0074】
(ガンマ補正)
本発明者らの検討によると、上述のように、対向基板側の第三電極へ印加する電圧を制御することで狭視野角モードと広視野角モードとの切り替えを行う場合に、狭視野角モードと広視野角モードとで、液晶パネルを正面(法線方向)から見た場合の輝度や色味が異なることがあった。
【0075】
図7は、狭視野角モードと広視野角モードとで表示を行った場合の実測値に基づくVTカーブを示したグラフである。図7に示したように、ガンマ補正をせずに、第三電極に定電圧を印加して狭視野角モードにすると、狭視野角モードのVTカーブは、広視野角モードのVTカーブよりも高電圧側にシフトする。例えば、印加電圧が4.5V辺りでは、広視野角モードの輝度比は1であるが、狭視野角モードでは0.8ぐらいまで低下する。このようなVTカーブ特性の違いにより、狭視野角モードを広視野角モードと同じ電圧で駆動すると、輝度が大きく低下し、かつ、中間調も色味が違って見える。また、狭視野角モードにおける輝度の低下は、コントラストの低下や消費電力の増大に繋がる。実施形態1では、狭視野角モードと広視野角モードとで、異なるガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正を行うことで、輝度差や色味の違いを低減することができる。
【0076】
図1に示したように、外部から表示モード切り替え信号211が制御部200の表示モード切り替え部201に入力されると、表示モード切り替え部201は、ガンマ補正部203に表示モード信号212を出力する。また、原画像データ生成部205は、入力された原画像信号213に基づき、原画像データ214をガンマ補正部203に出力する。
【0077】
ガンマ補正部203は、入力された表示モード信号212に応じて、上記狭視野角モードと上記広視野角モードとで、ガンマ補正テーブル記憶部202から異なるガンマ補正テーブル215を取得する。
【0078】
ガンマ補正テーブル記憶部202は、階調値と上記第一電極及び/又は上記第二電極への印加電圧とを対応付けるガンマ補正テーブルを格納している。上記ガンマ補正テーブルは、例えば以下の方法で作成することができる。まず、ガンマ補正を行わずに、狭視野角モードと広視野角モードとで表示を行い、実測値に基づきVTカーブを作成する。VTカーブは、印加電圧(V)と輝度比(T)との関係を表したグラフである。本明細書中、VTカーブの「印加電圧」は、第一電極及び第二電極のいずれか一方の電極に共通電圧を0Vとした場合に、上記0Vを基準とした他方の電極に印加される電圧をいう。本明細書中、上記輝度比は、絵素の輝度を256階調(0~255階調)で表した場合に、0階調の輝度を0とし、255階調の輝度を1とする。
【0079】
上記で測定したVTカーブに基づき、階調と輝度比とで定義される階調特性が特定のガンマ値となるように、予め階調と設定電圧との関係を計算してガンマ補正テーブルを作成する。なお、階調と輝度比との関係を示したグラフをγカーブともいう。実施形態1では、広視野角モードと狭視野角モードとでそれぞれ個別にガンマ補正テーブルを作成する。設定電圧とは、画像データ出力部204から出力されるように設定された電圧であり、第一電極及び第二電極のいずれか一方の電極に共通電圧を0Vとした場合に、上記0Vを基準とした他方の電極に印加される電圧をいう。
【0080】
輝度比L、階調G及びガンマ値γの関係は、下記式(1)で表される。
【0081】
【数1】
【0082】
ガンマ補正テーブル記憶部202は、階調0~255の間でガンマ値が一定であるガンマ補正テーブルを含んでもよい。上記ガンマ値は、1.8以上、2.6以下が好ましく、2.0以上、2.4以下がより好ましく、2.2であることが更に好ましい。
【0083】
以下、狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルを「狭視野角モード用のガンマ補正テーブル」ともいい、広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルを「広視野角モード用ガンマ補正テーブル」ともいう。狭視野角モード用ガンマ補正テーブルのガンマ値と広視野角用ガンマ補正テーブルのガンマ値とは同じであってもよい。広視野角モード用及びガンマ補正テーブルのガンマ値は、1.8以上、2.6以下が好ましく、2.0以上、2.4以下がより好ましく、2.2であることが更に好ましい。
【0084】
また、狭視野角モード用ガンマ補正テーブルのガンマ値と広視野角用ガンマ補正テーブルのガンマ値とは異なってもよい。上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さいことが好ましい。このような態様とすることで、狭視野角モードにおけるプライバシー性をより高めることができる。
【0085】
広視野角モード用ガンマ補正テーブルのガンマ値は、1.8以上、2.6以下が好ましく、2.0以上、2.4以下がより好ましく、2.2であることが更に好ましい。狭視野角モード用のガンマ補正テーブルのガンマ値は、広視野角モード用ガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さければよいが、正面からの色味の変化を効果的に抑制する観点からは、上記他方のガンマ補正テーブルのガンマ値は、1.8以上が好ましい。
【0086】
例えば、広視野角モード用ガンマ補正テーブルのガンマ値が2.2である場合、狭視野角モード用のガンマ補正テーブルのガンマ値は2.2であってもよい。斜め方向からのプライバシー性を向上させる観点からは、狭視野角モード用のガンマ補正テーブルのガンマ値は2.0であってもよいし、1.8であってもよい。
【0087】
上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値と、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値との差は、0.4以下であることが好ましい。上記ガンマ値の差を0.4以下とすることで、斜め方向からのプライバシー性の向上と正面からの色味の低減とを両立させることができる。上記ガンマ値との差が大きいほど斜め方向からのプライバシー性は向上するが、上記ガンマ値との差が大きい過ぎると、表示モード間で正面から見た場合に色味の差が大きくなってしまうためである。上記ガンマ値との差は、0.2以下であることがより好ましい。
【0088】
図8は、図7の広視野角モードのVTカーブに基づき、γ=2.2となるように設定したガンマ補正テーブル(テーブル1)を示したグラフである。図8に示したガンマ補正テーブルは、図7の広視野角モードのVTカーブに基づき、広視野角モードのγカーブの階調特性がγ=2.2になるように、予め階調と設定電圧との関係を計算したものである。
【0089】
図9は、狭視野角モード用と広視野角モード用のガンマ補正テーブルを示したグラフである。図9の狭視野角モード用のガンマ補正テーブルは、図7の狭視野角モードのVTカーブに基づき、狭視野角モードのγカーブの階調特性がγ=2.2になるように、予め階調と設定電圧との関係を計算したものである。上記狭視野角モード用のガンマ補正テーブルを「テーブル2」ともいう。
【0090】
ガンマ補正部203は、上記狭視野角モードと上記広視野角モードとで、異なるガンマ補正テーブルに基づいて、原画像データに対してそれぞれガンマ補正を行い、得られたガンマ補正後画像データ216を画像データ出力部204に出力する。ガンマ補正部203は、原画像データ214の階調情報に対して、ガンマ補正テーブルの階調と設定電圧との対応情報を参照して、所望の輝度比が得られるように、画像データ出力部204にガンマ補正後画像データ216を出力する。例えば、広視野角モードでは、図9の広視野角モード用のガンマ補正テーブル(テーブル1)を用いてガンマ補正を行い、狭視野角モードでは、図9の狭視野角モード用ガンマ補正テーブル(テーブル2)用いてガンマ補正を行う。
【0091】
画像データ出力部204は、液晶パネル駆動信号217を上記液晶パネル100へ出力し、上述の上記第一電極及び/又は上記第二電極への印加電圧を調整する。
【0092】
液晶パネルのVTカーブ特性を考慮して、狭視野角モードと広視野角モードとで、それぞれ異なるガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正を行う。例えば、狭視野角モードでも、広視野角モードでもγ=2.2の階調特性となるようにガンマ補正を行ってもよい。これにより、狭視野角モードと広視野角モードのγカーブの形状が同じになり、狭視野角モードと広視野角モードとを切り替えても、輝度差や色味の違いを低減することができる。
【0093】
γカーブの輝度比は、ガンマ補正テーブルに沿って出力された液晶パネルの正面からの輝度を、256階調(0~255階調)で表した場合に、0階調の輝度を0とし、255階調の輝度を1とした値である。
【0094】
(実施形態2)
実施形態2では、上記ガンマ補正テーブル記憶部が、階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有するガンマ補正テーブルを含む。
【0095】
実施形態2では、狭視野角モード用のガンマ補正テーブルと広視野角モード用ガンマ補正テーブルの少なくとも一方が、階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有すればよい。狭視野角モード用のガンマ補正テーブルと広視野角モード用ガンマ補正テーブルのいずれか一方は、階調0~255の間でガンマ値が一定であり、他方は階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有してもよい。このような態様とすることで、狭視野角モードにおける中間調での輝度比の変化量を、広視野角モードにおける中間調での輝度比の変化量よりも小さくすることができ、正面からの輝度変化をより抑制することができる。
【0096】
上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルは、階調0~255の間でガンマ値が一定であり、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルは、階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有することがより好ましい。
【0097】
0~255階調の任意の階調をXとすると、0以上、X未満の階調では、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルの上記ガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さく、X以上、255の以下の階調では、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値より大きくてもよい。
【0098】
例えば、広視野角モード用のガンマ補正テーブルのガンマ値が0~255階調で2.2(一定)である場合、狭視野角モード用のガンマ補正テーブルのガンマ値は、0以上、X未満の階調では、2.2未満であり、X以上、255の以下の階調では、2.2を超えてもよい。狭視野角モード用のガンマ補正テーブルの0以上、X未満の階調のガンマ値は、2.0以下が好ましく、狭視野角モードの視認性と正面からの色味の変化抑制を両立する観点からは1.8以上が好ましい。狭視野角モード用のガンマ補正テーブルのX以上、255の以下の階調のガンマ値は、2.4以上が好ましく、狭視野角モードの視認性と正面からの色味の変化抑制を両立する観点からは2.6以下が好ましい。上記任意の階調Xは、64、128、192のいずれかであってもよい。視野角制御性能と、狭視野角モードと広視野角モードとで正面からの色味の変化を抑制する効果とは、トレードオフの関係にある。
【0099】
0~255階調の任意の階調をXとし、Xより大きい任意の階調をYとすると、0以上、X未満の階調では、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルの上記ガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値よりも小さく、Y以上、255の以下の階調では、上記狭視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値は、上記広視野角モードで用いられるガンマ補正テーブルのガンマ値より大きくてもよい。
【0100】
例えば、広視野角モード用のガンマ補正テーブルのガンマ値は0~255階調で2.2(一定)である場合、狭視野角モード用のガンマ補正テーブルのガンマ値は、0以上、X未満の階調では、2.2未満であり、Y以上、255の以下の階調では、2.2を超えてもよい。狭視野角モード用のガンマ補正テーブルの0以上、X未満の階調のガンマ値は、2.0以下が好ましく、狭視野角モードの視認性と正面からの色味の変化抑制を両立する観点からは1.8以上が好ましい。狭視野角モード用のガンマ補正テーブルのY以上、255の以下の階調のガンマ値は、2.4以上が好ましく、狭視野角モードの視認性と正面からの色味の変化抑制を両立する観点からは2.6以下が好ましい。
【0101】
上記任意の階調X、Yは、64、128、192のいずれかであってもよい。具体的なXとYの組み合わせを例示すると、X=64でY=192であってもよいし、X=64でY=128であってもよいし、X=128でY=192であってもよい。階調X~Y間は、階調Xから階調Yに向かって輝度比が滑らかに上昇するように、適宜階調毎にガンマ値が設定されてもよい。
【0102】
(実施形態3)
実施形態3では、第一の画像を表示する通常表示の表示モードの切り替えに加え、第二の画像を第一の画像に重ねて表示するベールビュー機能と組み合わせることで、更にプライバシー性を向上させることができる。以下に図10を用いてベールビュー機能により画像を表示する方法の一例を説明する。図10は、ベールビューパターンを表示する場合の表示方法の一例を示したブロック図である。制御部200は、上記第一の画像とは異なる第二の画像が、上記広い視野角の範囲から観察されるように、上記第一の絵素と上記第二の絵素とに異なる画像信号を入力する。このような表示方法をベールビュー機能ともいう。
【0103】
図10に示したように、制御部200は、更に、ベールビューパターンに関する情報(ベールビューパターンデータ)が格納されたベールビューパターンデータベース206(以下、データベース206)と、ベールビュー切り替え部207とを有してもよい。
【0104】
ベールビュー切り替え部207に、ベールビュー表示切り替え信号218が入力されると、ベールビュー切り替え部207は、データベース206からベールビューパターンデータ219を取得して、上述の画像データ出力部204にベールビューパターン画像信号220を出力する。
画像データ出力部204は、上述のガンマ補正部203から出力されたガンマ補正後画像データ216とベールビューパターン画像信号220とを合成して液晶パネル駆動信号217を、ゲートドライバ101とソースドライバ102に出力する。
【0105】
ベールビュー機能による表示は、狭視野角モードと組み合わせることで、プライバシー性をより高めることができることから、狭視野角モードが選択された場合に、前述の表示モード切り替え部201からベールビュー切り替え部207に、ベールビュー表示切り替え信号218が入力されてもよい。
【0106】
例えば、第二電極14に対してコモン電圧が印加される場合は、第一電極12に対しては、広い視野角の範囲から上記第二の画像が観察されるように、第一の絵素70及び第二の絵素71に対応する第一電極12に対してそれぞれ異なる電圧が印加される。このような場合、第一電極12は絵素毎に設けられていることが好ましい。一方で、第一電極12に対してコモン電圧が印加される場合は、第二電極14に対しては、広い視野角の範囲から上記第二の画像が観察されるように、第一の絵素70及び第二の絵素71に対応する第二電極14に対してそれぞれ異なる電圧が印加される。
【0107】
図11は、液晶パネルが有する一つの表示単位の一例を示した平面模式図である。図12は、ベールビュー機能によりカラー表示を行う場合のカラー素子の一例を示した平面模式図である。図11に示したように、液晶パネル100は、ベールビュー機能により画像を表示する複数の表示単位72を有してもよい。表示単位72は、互いに列方向に隣接して配置され、奇数行から選ばれた第一の絵素70と偶数行から選ばれた第二の絵素71とからなる一対の絵素を含むことが好ましい。
【0108】
第一の絵素70及び第二の絵素71は、図2及び図11に示したように、それぞれ一つの絵素として捉えてもよいし、図12に示したように、第一の赤絵素70R、第一の緑絵素70G及び第一の青絵素70Bの組み合わせを第一の絵素70として捉え、第二の赤絵素71R、第二の緑絵素71G及び第二の青絵素71Bの組み合わせを第二の絵素71として捉えてもよい。なお、通常の表示方法でカラー表示を行う場合には、赤色、緑色及び青色を含むそれぞれの絵素を独立させて駆動させることでカラー表示を行うことができる。通常のカラー表示をおこなう場合には、ベールビュー機能によりカラー表示を行う場合の2倍の解像度で表示を行うことができる。
【0109】
カラー表示を行う場合は、上記液晶パネルは、第一の赤絵素70Rと第二の赤絵素71Rとを含む赤色の表示単位72R、第一の緑絵素70Gと第二の緑絵素71Gとを含む緑色の表示単位72G、及び、第一の青絵素70Bと第二の青絵素71Bとを含む青色の表示単位72Bとを含むことが好ましい。カラー素子73は、赤色の表示単位72R、緑色の表示単位72G、青色の表示単位72Bを含んでもよい。各色の第一及び第二の絵素は、それぞれ光学的開口部において各色のカラーフィルタ32Rと重畳する。
【0110】
ベールビュー機能により画像を表示する方法としては、例えば、第一の画像として表示したい原画像の輝度のデータ値をData1とすると、Data1を互いに等しい二つのデータ値Data2及びData3に分割し、第一の絵素70又は第二の絵素71のいずれか一方には、Data1+Data2のデータ値を入力し、他方にはData1-Data3のデータ値を入力する。液晶パネルを狭い視野角の範囲から観察した場合には、第一の絵素70の輝度と第二の絵素71の輝度とが空間的に平均化され、原画像の輝度として視認される、一方で、広い視野角の範囲から観察した場合には、Data1+Data2の輝度、又は、Data1-Data3の輝度として視認される。
【0111】
図13は、カラー素子の表示パターンの一例を示した平面模式図である。図13に示したように、第一の赤絵素70R、第二の緑絵素71G及び第二の青絵素71Bを黒表示とし、第二の赤絵素71R、第一の緑絵素70G及び第一の青絵素70Bを白表示とした場合、225°方位から観察すると、第二の赤絵素71Rに存在する液晶分子は、リタデーションが高い液晶分子の短軸方向から観察することになるため赤色が観察されるが、第一の緑絵素70G及び第一の青絵素70Bに存在する液晶分子は、リタデーションが低い液晶分子の長軸方向から観察することになるため対応する色は観察されない。その結果、赤色が視認される。一方で、315°方位から観察すると、第一の緑絵素70G及び第一の青絵素70Bに存在する液晶分子は、液晶分子の短軸方向から観察することになるため、青色と緑色の混色であるシアンが視認されるが、第二の赤絵素71Rに存在する液晶分子は長軸方向から観察することになるため対応する色は観察されない。その結果、シアンが視認される。
【0112】
図14は、カラー素子の表示パターンの他の一例を示した平面模式図である。図14に示したように、第一の赤絵素70R、第一の緑絵素70G及び第二の青絵素71Bを黒表示とし、第二の赤絵素71R、第二の緑絵素71G及び第一の青絵素70Bを白表示とした場合、225°方位から観察すると、赤色と緑色の混色である黄色が視認され、315°方位から観察すると青色が視認される。
【0113】
図13に示したカラー素子の表示パターンと、図14に示したカラー素子の表示パターンとを組み合わせることで、液晶パネルの法線方向(正面)から観察した場合には、白表示が観察される。中間調の範囲では、奇数行側に配置された複数の絵素と偶数行側に配置された複数の絵素とで視認される映像のコントラストの差が大きい。このような奇数行側/偶数行側の視認性の違いが充分に得られるような中間調の範囲で、ソフトベールビューパターンを作成することが好ましい。
【0114】
上記第二の画像は、ベールビューパターンであることが好ましい。上記ベールビューパターンとは、上記第一の画像に重ねて表示され、上記第一の画像を視認し難くする表示画像である。ベールビューパターンを表示することで、よりプライバシー性を向上させることができる。上記ベールビューパターンとしては、特に限定されないが、ストライプ、市松模様等の幾何学模様、文字、画像等を表示することができる。
【実施例0115】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の効果を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0116】
(実施例1)
実施例1は、実施形態1の具体例であり図1図6に示した構成を有する。第一基板10は、FFS型の電極構造を有し、第一電極12は開口を有さないベタ電極とした。第二電極14は、絵素毎に配置され、幅2.5μmの第一の線状電極部14aを3本有し、第一の線状電極部14a間に幅3.5μmの開口14bを有する電極構成とした。液晶分子は、ポジ型の液晶材料とした
【0117】
第二基板30には、第三電極34を配置した。第三電極34は、絵素の上下端に沿って配置された第二の線状電極部34aと、光学的開口部と重畳する2本の第三の線状電極部34bとを有する。
第二の線状電極部34aの幅W34aは31μmとし、第三の線状電極部34bの幅W34bは5μmとした。隣接する第三の線状電極部34b間の距離d1は11μmとした。
【0118】
第一の線状電極部14aの延伸方向(第一の方向D1)と、第三電極が有する第二の線状電極部34a及び第三の線状電極部34bの延伸方向(第二の方向D2)とが成す角度θ1は、80°とした。
【0119】
広視野角モードでは、第三電極に定電圧(コモン電圧)を印加した。上記定電圧としては、0Vの固定電圧を印加した。狭視野角モードでは、第三電極に上記定電圧に対して4Vの交流電圧を印加した。広視野角モード、狭視野角モード共に、第一電極12にコモン電圧(0V)を印加し、第二電極14に印加する電圧を変えることで階調表示を行った。
【0120】
上述の図7図9は、実施例1のグラフでもある。実施例1では、図7に示した狭視野角モードと広視野角モードとのVTカーブに基づき、図9に示した階調特性がγ=2.2となるように設定した広視野角モード用のガンマ補正テーブルと、階調特性がγ=2.2となるように設定した狭視野角モード用のガンマ補正テーブルとを作成した。なお、図9の広視野角モード用のガンマ補正テーブルは、図8の広視野角モード用のガンマ補正テーブルと同じである。実施例1では、広視野角モードではテーブル1を用いてガンマ補正を行い、狭視野角モードではテーブル2を用いてガンマ補正を行った。
【0121】
実施例1では、ガンマ補正後の広視野角モードと狭視野角モードは階調特性がγ=2.2となるように補正されているため、得られる広視野角モードと狭視野角モードのγカーブは一致する。そのため、広視野角モードと狭視野角モードとを切り替えても、液晶パネルの輝度と色味の変化が起こらなかった。
【0122】
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同じ液晶パネルを用いて、狭視野角モードと広視野角モードの両方で同一のガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正を行った。比較例では、狭視野角モードと広視野角モードの両方で、図8に示したテーブル1のガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正を行った。
【0123】
図15は、比較例1に係る液晶表示装置の狭視野角モードと広視野角モードのγカーブを示したグラフである。図15に示したように、狭視野角モードと広視野角モードとで同じガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正を行うと、広視野角モードのγカーブの形状と、狭視野角モードのγカーブの形状が大きく異なる。図15から、狭視野角モードは、広視野角モードよりも低階調側では輝度が高く、高階調側では輝度が低くなっており、狭視野角モードで表示すると、色表現にメリハリがなくなる。
【0124】
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同じ液晶パネルを用いて、広視野角モードは実施例1と同様にテーブル1を用いてガンマ補正を行った。狭視野角モードは、図7に示した狭視野角モードのVTカーブに基づき、階調特性がγ=1.8となるように設定した狭視野角モード用のガンマ補正テーブル(テーブル3)を作成し、ガンマ補正を行った。図16は、実施例1で用いた狭視野角モード用のガンマ補正テーブルと、実施例2で用いた狭視野角モード用のガンマ補正テーブルとを示したグラフである。
【0125】
図17は、実施例1及び実施例2について、狭視野角モードと広視野角モードとを正面から見た場合のγカーブを比較したグラフである。図18は、実施例2及び比較例1について、狭視野角モードと広視野角モードとを正面から見た場合のγカーブを比較したグラフである。図17に示したように、実施例2は、実施例1と比べて狭視野角モードの中間調で輝度比がやや高くなるものの、図18に示したように、比較例1よりも、狭視野角モードと広視野角モードとで輝度比の差が小さく、色味の違和感が低減されていた。
【0126】
図19は、実施例1及び実施例2について、狭視野角モードと広視野角モードとを斜め方向から見た場合のγカーブを比較したグラフである。図19に示したように、斜め方向(180°方位、極角45°)から観察すると、実施例1、2ともに、階調0において、狭視野角モードの輝度比が広視野角モードよりも高くなっており、視認性を制限してプライバシー性が得られることが確認された。また、実施例2では、狭視野角モードの中間調での輝度比が実施例1よりも高く、斜め方向から見た場合に視認性が低くなり白っぽく見えることから、プライバシー性を更に向上させることができた。
【0127】
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同じ液晶パネルを用いて、広視野角モードは実施例1と同様にテーブル1を用いてガンマ補正を行った。狭視野角モードは、図7に示した狭視野角モードのVTカーブに基づき、階調特性がγ=2.0となるように設定した狭視野角モード用のガンマ補正テーブル(テーブル4)を作成し、ガンマ補正を行った。
【0128】
実施例3においても、比較例1よりも狭視野角モードと広視野角モードとで輝度比の差が小さく、色味の違和感が低減されていた。また、実施例3では、狭視野角モードの中間調での輝度比が実施例1よりも高く、斜め方向から見た場合視認性が低くなり、実施例2よりは劣るものの実施例1よりはプライバシー性を向上させることができた。
【0129】
(実施例4)
実施例4は、実施形態2の具体例であり、階調0~255の間でガンマ値が複数の値を有するガンマ補正テーブルを用いた。実施例4では、実施例1と同じ液晶パネルを用いて、広視野角モードは実施例1と同様に、階調0~255の間でγ値が2.2で一定であるテーブル1を用いてガンマ補正を行った。実施例4の狭視野角モードでは、下記表1に示したように階調0~255の間でγ値を2.0~2.4で変動させたガンマ補正テーブル(テーブル5)を作成し、ガンマ補正を行った。図20は、実施例4で用いた狭視野角モード用のガンマ補正テーブルを示したグラフである。
【0130】
上述のように、液晶パネル100は、狭視野角モードでは斜めの黒表示(0階調)の輝度を高くすることで、斜め方向から見たコントラストを極端に低下させることで視認性を低下させ、プライバシー性を向上させている。実施例4では、狭視野角モードにおいて、γを固定せず各階調で変動させた設定とし、64階調以下ではγ=1.8、192階調以上ではγ=2.6とした。実施例4では、64~192階調の範囲でγ値を1.8~2.6に変化させることで、実施例1よりも中間調に限ってのコントラストを落とすことができた。通常表示での画像は、中間調で表現させることが多いため、中間調のコントラストを落とすことで、狭視野角モードにおいて斜め方向から見た場合の視認性をより低下させて、プライバシー性を向上させることができた。
【0131】
図21は、実施例4について、狭視野角モードと広視野角モードとを正面から見た場合のγカーブを示したグラフである。図21に示したように、64~192階調での輝度比の変化量は、広視野角モードよりも狭視野角モードの方が小さかった。γ値を1.8~2.6の範囲での変化に抑えたことから、狭視野角モードでの正面視認性については、目視では輝度の変化が視認できないレベルであり、良好であった。
【0132】
(実施例5~7)
実施例5~7は、狭視野角モードにおいて、下記表1に示したように階調0~255の間でγ値を変動させたガンマ補正テーブル(テーブル6~8)を作成し、ガンマ補正を行ったこと以外は実施例4と同様である。
【0133】
【表1】
【0134】
実施例5は、64~192階調の範囲でγの数値を2.0~2.4に変化させることで、実施例1よりも中間調に限ってのコントラストを落とすことができた。その結果、狭視野角モードにおいて、斜め方向から見た場合に視認性をより低下させて、プライバシー性を向上させることができた。図22は、実施例5について、狭視野角モードと広視野角モードとを正面から見た場合のγカーブを示したグラフである。図22に示したように、実施例5においても、64~192階調での輝度比の変化量は、広視野角モードよりも狭視野角モードの方が小さく、狭視野角モードでの正面視認性については、目視では輝度の変化が視認できないレベルであり、良好であった。
【0135】
実施例6、7は、それぞれ64~128階調、128~192階調での輝度比の変化量は、広視野角モードよりも狭視野角モードの方が小さく、狭視野角モードでの正面視認性は良好であった。また、実施例6、7は、実施例1よりも、それぞれ64~128階調、128~192階調でのコントラストを落とすことができた。
【0136】
実施例1~7、比較例1の狭視野角モードについて、以下の基準で(1)斜め方向からの視認性、(2)正面の輝度、(3)正面の色味を評価し、結果を下記表2にまとめた。
【0137】
(1)斜め方向からの視認性
実施例及び比較例の液晶表示装置を狭視野角モードで表示画像を表示し、斜め方向(0-180°方位、極角45°)から観察して、目視で表示画像が視認できるか評価した。比較例1の狭視野角モードでの表示画像の見え難さを1点とし、各実施例の狭視野角モードでの視認性を1~3点で点数を付けた。点数が高いほど、狭視野角モードで表示画像が視認し難く、プライバシー性が高いといえる。上記表示画像としては、カラーの風景画を表示した。
【0138】
(2)正面の輝度
実施例及び比較例の液晶表示装置について、255階調における広視野角モードの法線方向からの輝度を100%として、255階調における狭視野角モードの法線方向からの輝度を測定した。上記狭視野角モードの正面輝度が90%以上であれば〇とし、90%未満であれば×とした。
【0139】
(3)正面の色味
実施例及び比較例の液晶表示装置を法線方向から観察し、表示画像を表示し、広視野角モードと狭視野角モードとを切り替えた場合に、広視野角モードと比較して、狭視野角モードの色味に違和感があるかを5人のパネリストで行い、以下の基準で判定した。上記表示画像としては、カラーの風景画を表示した。
〇:5人中4人又は5人が、広視野角モードと狭視野角モードとで色味に違いが感じられなかった
△:5人中2人又は3人が、広視野角モードと狭視野角モードとで色味に違いが感じられなかった
×:5人中0人又は1人が、広視野角モードと狭視野角モードとで色味に違いが感じられなかった
【0140】
【表2】
【符号の説明】
【0141】
1:ゲート配線
2:ソース配線
3:薄膜トランジスタ
10:第一基板
11:第一の支持基板
12:第一電極
13:第一の絶縁層
14:第二電極
14a:第一の線状電極部
14b:開口
20:液晶層
30:第二基板
31:第二の支持基板
32、32B、32G、32R:カラーフィルタ
33:ブラックマトリクス
34:第三電極
34a:第二の線状電極部
34b:第三の線状電極部
61:第一の偏光板
61A、62A:吸収軸
62:第二の偏光板
70:第一の絵素
70B:第一の青絵素
70G:第一の緑絵素
70R:第一の赤絵素
71:第二の絵素
71B:第二の青絵素
71G:第二の緑絵素
71R:第二の赤絵素
72、72B、72G、72R:表示単位
73:カラー素子
100:液晶パネル
101:ゲートドライバ
102:ソースドライバ
103:第三電極駆動回路
200:制御部
201:表示モード切り替え部
202:ガンマ補正テーブル記憶部
203:ガンマ補正部
204:画像データ出力部
205:原画像データ生成部
206:ベールビューパターンデータベース
207:ベールビュー切り替え部
211:表示モード切り替え信号
212:表示モード信号
213:原画像信号
214:原画像データ
215:ガンマ補正テーブル
216:ガンマ補正後画像データ
217:液晶パネル駆動信号
218:ベールビュー表示切り替え信号
219:ベールビューパターンデータ
220:ベールビューパターン画像信号
300:バックライト
1000:液晶表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22