(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179606
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G03G21/00 384
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098588
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】羽野 雅美
(72)【発明者】
【氏名】塚田 佳朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 俊行
(72)【発明者】
【氏名】菊地 恭平
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昂太
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270LA44
2H270LC02
2H270LC10
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MH06
2H270PA14
2H270QA05
2H270QA21
2H270QA43
2H270QB01
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】ミシン目シートに対し画像形成を行う際に、カエリに起因して画像不良が生じるのを抑制可能な画像形成装置の提供。
【解決手段】シートの種類がミシン目シートである場合(S1のYes)、ハーフトーン処理を変更する機能が有効か否かを判定し(S3)、ハーフトーン処理を変更する機能が有効である場合(S3のYes)、ハーフトーン処理としてユーザが予め設定したスクリーン処理が誤差拡散処理に変更される(S4)。この場合、制御部は画像処理部によって入力画像データに対し誤差拡散処理を行い、画像形成部に出力画像データに基づき画像を形成させる(S2)。誤差拡散処理を行った場合、画像はドットの配列や大きさがランダムな状態で形成され、例えミシン目領域で意図しない放電が生じたとしても、ドットの形状や配置の乱雑化が顕在化しづらい。それ故、シートのカエリに起因する画像不良が生じ難い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン目加工されたシートに対して画像形成可能な画像形成装置であって、
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に担持させるトナー像を形成する画像形成部と、
前記像担持体に担持されたトナー像をシートに転写する転写部と、
取得した画像データに対してスクリーン処理と誤差拡散処理との少なくともいずれかの処理を施す画像処理部と、
前記画像処理部で処理された画像データに基づいて前記画像形成部にトナー像を形成させる制御部と、を備え、
前記画像処理部は、取得した画像データに対して前記スクリーン処理を施す設定である場合において、トナー像を形成するシートがミシン目加工されたシートである場合には、取得した画像データに対して前記スクリーン処理を施さずに前記誤差拡散処理を施すモードを実行可能である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記モードの実行有無をユーザ選択可能な選択部を備え、
前記画像処理部は、前記選択部により前記モードの実行有が選択されている場合に前記モードを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択部は、表示部を有し、
前記表示部は、トナー像を形成するシートがミシン目加工されたシートである場合に、前記モードの実行有無をユーザ選択可能に表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ミシン目加工されたシートに対して画像形成可能な画像形成装置であって、
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に担持させるトナー像を形成する画像形成部と、
前記像担持体に担持されたトナー像をシートに転写する転写部と、
取得した画像データに対してスクリーン処理と誤差拡散処理との少なくともいずれかの処理を施す画像処理部と、
前記画像処理部で処理された画像データに基づいて前記画像形成部にトナー像を形成させる制御部と、を備え、
前記画像処理部は、取得した画像データに対して前記スクリーン処理を施す設定である場合において、トナー像を形成するシートがミシン目加工されたシートである場合には、ミシン目加工のカエリが形成された所定の領域に位置する画像データに対して前記誤差拡散処理を施し、前記所定の領域以外の領域に位置する画像データに対して前記スクリーン処理を施すモードを実行可能である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記モードの実行有無をユーザ選択可能な選択部を備え、
前記画像処理部は、前記選択部により前記モードの実行有が選択されている場合に前記モードを実行する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記選択部は、表示部を有し、
前記表示部は、トナー像を形成するシートがミシン目加工されたシートである場合に、前記モードの実行有無をユーザ選択可能に表示する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、ミシン目加工されたシートにおいてミシン目加工のカエリが形成された位置を取得可能であり、
前記画像処理部は、前記カエリが形成された位置に基づいて前記所定の領域に位置する画像データを特定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
シートに対し光を照射する照射部と、照射した光のシートからの反射光を受光する受光部とを有し、シート上の画像を読み取り可能な原稿読取部を備え、
前記制御部は、前記原稿読取部から画像が形成されていないミシン目加工されたシートの読み取りに基づき前記カエリの位置を取得する、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記カエリの位置及び前記所定の領域の範囲をユーザ入力可能な入力部を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
回転する感光体と、
前記感光体を帯電する帯電部と、
帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光部と、
前記感光体に形成された静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像部と、
前記感光体に当接して回転する中間転写体と、
前記感光体から前記中間転写体へトナー像を一次転写する第一転写部と、
前記中間転写体からシートへトナー像を二次転写する第二転写部と、を備え、
前記像担持体は、前記中間転写体であり、
前記転写部は、前記第二転写部である、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記スクリーン処理は、AMスクリーン処理である、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリあるいは複合機などの電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、シートをセット可能なカセットや手差しトレイを備えており、これらカセットや手差しトレイから搬送される様々なシートに対してトナー像を転写し画像を形成する。シートとして、ミシン目加工されたシート(ミシン目シートと呼ぶ)を用いる場合がある(特許文献1)。また、従来から、入力された画像データよりも低い階調で出力用の画像データを生成するために、ハーフトーン処理としてスクリーン処理及び誤差拡散処理のいずれかを選択的に実行可能な画像形成装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-71751号公報
【特許文献2】特開平9-331450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、ミシン目シートにトナー像を形成する際に画像不良が生じる虞があった。即ち、ミシン目シートの場合、ミシン目を加工する際にシートにカエリと呼ばれる凹凸が生じており、ミシン目シートへトナー像を転写する際に、カエリが生じている所定の領域(ミシン目領域と呼ぶ)に意図しない放電が生じることがある。そうすると、トナーが意図しない箇所に転写され、画像を形成するドットの形状や配置が乱雑化することから、トナー像の色味が変わるなどの画像不良が生じ得る。特に、AMスクリーン処理やFMスクリーン処理が行われた場合に、シートのカエリに起因する画像不良が生じやすかった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、ミシン目加工されたシートに画像を形成する場合に、シートのカエリに起因する画像不良が生じるのを抑制可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、ミシン目加工されたシートに対して画像形成可能な画像形成装置であって、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に担持させるトナー像を形成する画像形成部と、前記像担持体に担持されたトナー像をシートに転写する転写部と、取得した画像データに対してスクリーン処理と誤差拡散処理との少なくともいずれかの処理を施す画像処理部と、前記画像処理部で処理された画像データに基づいて前記画像形成部にトナー像を形成させる制御部と、を備え、前記画像処理部は、取得した画像データに対して前記スクリーン処理を施す設定である場合において、トナー像を形成するシートがミシン目加工されたシートである場合には、取得した画像データに対して前記スクリーン処理を施さずに前記誤差拡散処理を施すモードを実行可能である、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、ミシン目加工されたシートに対して画像形成可能な画像形成装置であって、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に担持させるトナー像を形成する画像形成部と、前記像担持体に担持されたトナー像をシートに転写する転写部と、取得した画像データに対してスクリーン処理と誤差拡散処理との少なくともいずれかの処理を施す画像処理部と、前記画像処理部で処理された画像データに基づいて前記画像形成部にトナー像を形成させる制御部と、を備え、前記画像処理部は、取得した画像データに対して前記スクリーン処理を施す設定である場合において、トナー像を形成するシートがミシン目加工されたシートである場合には、ミシン目加工のカエリが形成された所定の領域に位置する画像データに対して前記誤差拡散処理を施し、前記所定の領域以外の領域に位置する画像データに対して前記スクリーン処理を施すモードを実行可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ミシン目加工されたシートに画像を形成する場合に、シートのカエリに起因する画像不良が生じるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】画像形成装置の制御構成を示す制御ブロック図。
【
図5】第一実施形態の画像形成処理を示すフローチャート。
【
図8】AMスクリーン処理を行った場合の画像を示す模式図。
【
図9】誤差拡散処理を行った場合の画像を示す模式図。
【
図10】第二実施形態の画像形成処理を示すフローチャート。
【
図13】ミシン目領域に誤差拡散処理を行った場合の画像と、ミシン目領域以外の領域にAMスクリーン処理を行った場合の画像を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
<画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置について、
図1を用いて説明する。画像形成装置100は、電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを有する。画像形成装置100は、例えば画像形成装置100に接続された原稿読取装置130や、パーソナルコンピュータ等の外部機器1000から送られる画像データに基づいてトナー像をシートSに形成する。シートSとしては、普通紙、厚紙、ラフ紙、凹凸紙、コート紙等のシート材が挙げられる。
【0011】
原稿読取部としての原稿読取装置130は画像形成装置100の上部に配設され、予め画像形成済みのシートS上の画像を読み取る画像読取部131と、画像読取部131へシートSを自動的に搬送する原稿搬送部132を有している。画像読取部131は、プラテンガラス133上に搬送されたシートSに対し照射部131aにより光を照射し、照射した光のシートSからの反射光を受光部131bにより受光し、シートS上の画像を予め定められたドット密度で読み取り可能である。
【0012】
画像形成装置100のシートSの搬送プロセスについて説明する。シートSは、カセット10内に積載される形でセット可能である。あるいは、シートSは手差しトレイ17上に積載される形でセット可能である。これらカセット10や手差しトレイ17にセットされたシートSは、供給ローラ13により画像形成タイミングに合わせて送り出される。カセット10や手差しトレイ17は開閉可能に設けられ、ユーザが任意に開閉できてよい。
【0013】
供給ローラ13により送り出されたシートSは、シートSを搬送可能な搬送部114に配設されたレジストレーションローラ12へと搬送される。そして、レジストレーションローラ12においてシートSの斜行補正やタイミング補正が行われた後に、シートSは二次転写ニップT2へと送られる。二次転写ニップT2は、二次転写内ローラ14と二次転写外ローラ11とにより形成される転写ニップ部であり、転写部としての二次転写外ローラ11(第二転写部)に電源90により二次転写電圧が印加されることに応じてシート上にトナー像が転写される。なお、
図1ではカセット10を1つのみ示したが、カセット10は複数あってよい。搬送部114は、それらカセット10や手差しトレイ17からシートSを二次転写ニップT2に搬送する。
【0014】
上記した二次転写ニップT2までのシートSの搬送プロセスに対して、同様のタイミングで二次転写ニップT2まで送られて来る画像の形成プロセスについて説明する。まず、画像形成部について説明するが、各色の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置1a、1b、1c、1dで使用するトナーがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)と異なる以外はほぼ同様に構成される。そこで、以下では、代表としてブラックの画像形成部Pdについて説明し、その他の画像形成部Pa、Pb、Pcについては説明を省略する。
【0015】
画像形成部Pdは、主に現像部としての現像装置1d、帯電部としての帯電装置2d、感光体としての感光ドラム3d、感光ドラムクリーナ4d、露光部としての露光装置5d、一次転写ローラ6d等から構成される。回転される感光ドラム3dの表面は、帯電装置2dにより予め表面を一様に帯電され、その後、画像情報の信号に基づいて駆動される露光装置5dによって静電潜像が形成される。次に、感光ドラム3d上に形成された静電潜像は、現像装置1dにより現像剤を用いてトナー像に現像される。そして、感光ドラム3dと中間転写ベルト80を挟んで配置される一次転写ローラ6d(第一転写部)に一次転写電圧が印加されることに応じて、感光ドラム3d上に形成されたトナー像が、中間転写ベルト80上に一次転写される。感光ドラム3d上に僅かに残った一次転写残トナーは、感光ドラムクリーナ4dにより回収される。
【0016】
像担持体としての中間転写ベルト80(中間転写体)は、二次転写内ローラ14、張架ローラ15、16によって張架され、感光ドラム3a~3dに当接して矢印R2方向へと駆動される。張架ローラ16は中間転写ベルト80を駆動する駆動ローラを兼ねている。画像形成部Pa~Pdにより並列処理される各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト80上に一次転写された上流の色のトナー像上に順次重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト80上に形成され、中間転写ベルト80に担持されて二次転写ニップT2へと搬送される。二次転写ニップT2を通過した後の二次転写残トナーは、ベルトクリーナ22によって中間転写ベルト80から除去される。
【0017】
以上、それぞれ説明した搬送プロセス及び画像形成プロセスをもって、二次転写ニップT2においてシートSとフルカラートナー像のタイミングが一致し、二次転写が行われる。その後、シートSは定着装置50へと搬送され、熱と圧力とが加えられてシート上にトナー像が定着される。定着装置50は、トナー像が形成されたシートSを挟持搬送してシートSに熱及び圧力を加えることにより、トナー像をシートSに定着させる。即ち、加熱、加圧によってシートSに形成されたトナー像のトナーが溶融、混合され、フルカラーの画像としてシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、画像形成装置100の装置本体外に設けられた排出トレイ95へ排出される。あるいは、画像形成装置100の装置本体にフィニッシャなどの後処理装置(不図示)が接続されている場合、トナー像が定着されたシートSは後処理装置へ搬送される。フィニッシャは、例えばシートSに孔をあけるパンチ処理や複数枚のシートSを束ねて針閉じするステイプル処理などを行うものである。
【0018】
<現像剤>
本実施形態の画像形成装置100では、現像剤にトナーとキャリアを含む二成分現像剤が用いられる。トナーは、結着樹脂、着色剤、および離型剤を含有している。結着樹脂は、公知のものを用いることができる。例えば、スチレン-(メタ)アクリル共重合体に代表されるビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体とポリエステルが化学的に結合されたハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体等の樹脂を使用できる。着色剤は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に関して、それぞれ公知のものを用いることができる。
【0019】
離型剤としては、例えば低分子量ポリエチレンワックス、低分子量オレフィン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、ベヘン酸ベヘニルやステアリン酸ベヘニルなどの高級脂肪酸と高級アルコールとの合成反応物であるエステルワックス、および脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
【0020】
<制御部>
図1に示すように、画像形成装置100は制御部101を備えている。制御部101による画像形成装置100の制御構成について、
図1を参照しながら
図2を用いて説明する。なお、制御部101には
図2に図示した以外にも、画像形成装置100を構成する各部や、それら各部を動作させるための駆動源(モータや電源等)などの各種機器が接続されている。しかし、ここでは発明の本旨でないので、それらの図示及び説明を省略する。
【0021】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104を有し、画像形成装置100全体を制御する。ROM103には、画像形成ジョブなどの各種プログラムが記憶されている。制御部101は、例えば操作部110から入力された各種データ、外部機器1000(
図1参照)から送信された画像データあるいは原稿読取装置130により読み取られた画像の画像データなど(入力画像データと呼ぶ)を取得可能である。制御部101により取得されたこれらデータはRAM104に記憶される。なお、RAM104は、各種プログラムの実行に伴う演算処理結果などを一時的に記憶することもできる。
【0022】
画像形成装置100は表示部111を有する操作部110を備えており(
図1参照)、操作部110は制御部101に接続されている。制御部101は、表示部111に各種プログラムや各種データなどを提示した各種画面を表示させることが可能であり、また操作部110からユーザ操作に応じて各種プログラムの開始入力や各種データ入力などを受け付ける。後述するが、入力部としての操作部110はミシン目シートSに形成されるカエリの位置及びミシン目領域の範囲をユーザ入力可能である。
【0023】
制御部101は画像形成ジョブの開始命令を受信すると、ROM103に記憶されている画像形成処理(プログラム)を実行して、シートSに画像を形成するために画像形成部Pa~Pdを制御する。画像処理部105は、制御部101により取得された画像データに対してハーフトーン処理(中間調処理とも呼ばれる)を施す。ここで、ユーザはハーフトーン処理の種類としてAMスクリーン処理や誤差拡散処理を設定できる。画像処理部105は、入力画像データにハーフトーン処理を施して画像出力用の画像データを出力する(出力画像データと呼ぶ)。制御部101は出力画像データに基づいて画像形成部Pa~Pdにトナー像を形成させる。
【0024】
AMスクリーン処理は、中間調を周期性のあるドット(網点)配列で表現する処理であり、例えばドットスクリーン処理やラインスクリーン処理などがある。ドットスクリーン処理は、等間隔に並んだ網点の面積を変えることで濃淡を表現する。ドットスクリーン処理は、網点の形状が円形であり、網点が等間隔に並べられるので、周期性があるドットパターンが生成される。ラインスクリーン処理も周期性があるドットパターンが生成されるが、ドットスクリーン処理のように網点の面積の大小で濃淡を表現するのではなく、等間隔に並んだラインの太さを変えることで濃淡を表現する。ここでは、AMスクリーン処理のドットの並ぶ方向(スクリーン角度)が色毎に予め決まっている。例えばイエロー(Y)を0度として、イエローを基準に時計回りに、シアン(C)が15度、ブラック(K)が45度、マゼンダ(M)が75度に、CMYKの色毎に異なるスクリーン角度が設定されている。
【0025】
誤差拡散処理は、周期性のないドットパターンを生成する処理である。誤差拡散処理では入力画像データの画像を構成する画素の濃度情報に基づいて、まず1つの画素における濃度を2値化し(注目画素と呼ぶ)、2値化した後の濃度と2値化する前の濃度との誤差(差分)を求める。そして、その誤差に重み付けの係数をかけた値(拡散値と呼ぶ)を求め、注目画素から所定範囲内にある他の画素それぞれの濃度に拡散値を加算する。次に、注目画素から所定範囲内にある他の画素のいずれか1つに対し2値化を行うが(次の注目画素)、このときの2値化する前の濃度は拡散値が加算された濃度である。その後、次の注目画素において2値化した後の濃度と2値化する前の濃度との誤差を求め、次の注目画素から所定範囲内にある他の画素それぞれの濃度に拡散値を加算する。こうして、注目画素の誤差が周囲の画素に上乗せされるように拡散されることにより、誤差の分配度合いに周期性が無いことから、誤差拡散処理では周期性のないドットパターンが生成される。
【0026】
<操作部>
次に、選択部(入力部)としての操作部110について
図3を用いて説明する。
図3に示すように、操作部110は、例えば液晶モニタなどの表示部111と、ハードウェアキーとを有する。表示部111はユーザがタッチ操作可能なタッチパネルであってもよく、タッチ操作可能なソフトウェアキーとして各種ボタンやスイッチ等を含む画面を表示可能である。表示部111には後述する「シート選択画面」(
図4参照)や「変更有無選択画面」(
図6参照)などが表示される。
【0027】
ハードウェアキーとしては、例えば設定キー1102、節電キー1103、ハードキー群1104、リセットキー1105、ストップキー1106、スタートキー1107などがある。スタートキー1107は、例えば原稿画像の読み取り印刷(コピー)やその他の動作開始を指示する機能を有する。スタートキー1107には不図示の緑色と赤色の2色のLEDが組み込まれており、緑色点灯時には動作開始可能であることを示し、赤色点灯時には動作開始不可であることを示す。ストップキー1106は、動作中である画像形成等を一旦停止する機能を有する。ハードキー群1104は、例えばテンキー、クリアキー、認証キーなどである。
【0028】
節電キー1103は、画像形成装置100を通常モードから省電力で待機するスリープモードに移行する、あるいは画像形成装置100をスリープモードから通常モードに復帰させる機能を有する。即ち、画像形成装置100は通常モードで節電キー1103がユーザにより押下されるとスリープモードへ移行し、スリープモードで節電キー1103がユーザにより押下されると通常モードへ移行する。設定キー1102は、例えばシートSの種類等を設定する際に用いられる。リセットキー1105は、例えば設定されたシートSの種類等を取り消す際に用いられる。
【0029】
<シート選択画面>
操作部110の表示部111には、「シート選択画面」が表示される。「シート選択画面」は、例えば表示部111に表示された「メニュー画面」(不図示)からユーザがシート種類選択ボタンを操作した場合、あるいはユーザがカセット10ないしは手差しトレイ17を開けた場合に、表示部111に表示される。「シート選択画面」について、
図4を用いて説明する。
【0030】
図4に示すように、「シート選択画面」には、ROM103(
図2参照)に予め記憶されている画像形成装置100で画像形成可能なシートSの種類を選択可能なダイアログボックス1201が表示される。ここでは「普通紙」、「厚紙」、「ミシン目紙」(ミシン目シート)が表示されているが、ユーザはダイアログボックス1201に表示される画面をスクロールすることで、画像形成可能な他の種類を表示させることができる。ユーザはダイアログボックス1201に表示された複数種類の中からシートSの種類を選択できる。選択されたシートSの種類は、確定ボタン1203が操作されることにより確定される。
【0031】
<画像形成処理>
次に、画像形成装置100の画像形成処理について、
図2を参照しながら
図5乃至
図9を用いて説明する。画像形成処理は、制御部101が画像形成ジョブの開始命令を受信することにより開始される。なお、以下ではユーザが画像形成ジョブの開始前に、操作部110からハーフトーン処理としてAMスクリーン処理を設定済みである場合を例に説明する。
【0032】
図5に示すように、制御部101は画像形成ジョブの開始命令を受け付けると、シートSの種類がミシン目シートSであるか否かを判定する(S1)。制御部101はシートSの種類がミシン目シートSであるか否かを、上記した「シート選択画面」(
図4参照)からユーザにより選択されたシートSの種類がミシン目シートSであるか否かによって判定する。なお、画像形成ジョブがシートに関する用紙情報を有する構成であれば、制御部101は画像形成ジョブの用紙情報に基づきシートSの種類がミシン目シートSであるか否かを判定してもよい。
【0033】
シートSの種類がミシン目シートSでない場合(S1のNo)、制御部101は画像処理部105によって入力画像データに対しユーザが予め設定したAMスクリーン処理を行い、画像形成部Pa~Pdに出力画像データに基づき画像を形成させる(S2)。出力画像データは、露光装置5a~5dにより感光ドラム3a~3dを露光する際に用いられる。制御部101は出力画像データに基づき露光装置5a~5dにより感光ドラム3a~3dを露光した後、現像装置1a~1dにより静電潜像をトナー像に現像する。その後、感光ドラム3a~3dに形成されたトナー像は、中間転写ベルト80を介してシートSに転写される。
【0034】
制御部101はシートSへの画像形成後、画像形成ジョブを終了するか否かを判定する(S5)。制御部101はユーザが指定した枚数のシートSに画像形成した場合に、画像形成ジョブを終了すると判定し(S5のYes)、制御部101は本画像形成処理を終了する。制御部101は画像形成ジョブを終了しない場合(S5のNo)、次のシートSに画像形成を行うためにステップS1の処理に戻って、指定枚数のシートSに画像形成するまで画像形成処理を繰り返す。
【0035】
他方、シートSの種類がミシン目シートSである場合(S1のYes)、制御部101はハーフトーン処理を変更する機能が有効か否かを判定する(S3)。ハーフトーン処理を変更する機能が有効か否かの判定は、後述する「変更有無選択画面」(
図6参照)を用いたユーザ選択に基づいて行われる。
【0036】
ハーフトーン処理を変更する機能が有効である場合(S3のYes)、制御部101はハーフトーン処理をユーザが予め設定したAMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更する(S4)。制御部101は、画像処理部105によって入力画像データに対し誤差拡散処理を行い、画像形成部Pa~Pdに出力画像データに基づき画像を形成させる(S2)。
【0037】
ハーフトーン処理を変更する機能が有効でない場合(S3のNo)、制御部101はAMスクリーン処理を誤差拡散処理に変更せず、画像形成部Pa~Pdによって入力画像データに対しユーザが予め設定したAMスクリーン処理を行い、画像形成部Pa~Pdに出力画像データに基づき画像を形成させる(S2)。
【0038】
<変更有無選択画面>
次に、上記の「変更有無選択画面」について
図6を用いて説明する。「変更有無選択画面」は、「シート選択画面」(
図4参照)においてシートSの種類として「ミシン目紙」が選択された場合に、
図6に示すようにして操作部110の表示部111に表示される。
図6では、「変更有無選択画面」として選択ボタン表示部1202がポップアップ表示されている。
【0039】
選択ボタン表示部1202には、ハーフトーン処理変更機能(モード)の実行有無をユーザ選択可能とするために、ハーフトーン処理変更機能を有効化する「有効」ボタンと、ハーフトーン処理変更機能を非有効化する「非有効」ボタンが表示されている。ユーザは選択ボタン表示部1202の「有効」ボタン又は「非有効」ボタンのいずれかを操作して、ハーフトーン処理変更機能の有効化又は非有効化を選択できる。その後、ユーザにより確定ボタン1203が操作されることに応じて、ハーフトーン処理変更機能が「有効(実行有り)」又は「非有効(実行無し)」のいずれかに確定される。確定されたシートSの種類及びハーフトーン処理変更機能の実行有無は、RAM104(
図2参照)に記憶される。制御部101は画像形成ジョブの実行時に、RAM104に記憶されたシートSの種類、ハーフトーン処理変更機能の実行有無を参照する。
【0040】
<画像不良の発生有無>
既に述べた通り、ミシン目シートSへトナー像を転写する際に、カエリが生じているミシン目領域に意図しない放電が生じてトナーが意図しない箇所に転写され、画像を形成するドットの形状や配置が乱雑化し、トナー像の色味が変わるなどの画像不良が生じ得る。特に、AMスクリーン処理を行った場合に、シートのカエリに起因する画像不良がミシン目領域に生じやすかった。これに対し、画像形成装置100は、ミシン目シートSに形成する画像に対するハーフトーン処理を、AMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更することで(
図5のS4参照)、ミシン目シートSのカエリに起因する画像不良を抑制できる。表1は、ハーフトーン処理としてAMスクリーン処理を行った場合と誤差拡散処理を行った場合に、ミシン目シートSのカエリに起因する画像不良の発生有無を評価した結果を示す。
【表1】
【0041】
表1における画像不良の発生有無は以下のように評価した。ミシン目シートSに対し、表1における「ハーフトーン処理」の欄に記載された「AMスクリーン」処理と「誤差拡散」処理を行うことで、Kトナー単色で印字率が30%となるように画像形成した。ここで言う印字率とは、
図7に示すような画像形成領域200の微小領域201の全面にトナーが存在する場合を印字率「100%」とし、これを基準に微小領域201においてトナーが存在する面積の比率(面積率)である。
【0042】
ユーザは、AMスクリーン処理を行った場合と、誤差拡散処理を行った場合とでそれぞれ形成されたトナー像を目視で確認して、画像不良が発生したかどうかを判断した。表1に示すように、AMスクリーン処理を行った場合には、シートSのカエリに起因する画像不良が発生した。これに対し、誤差拡散処理を行った場合には、シートSのカエリに起因する画像不良が発生しなかった。ここで、
図8にAMスクリーン処理を行った場合の画像を示し、
図9に誤差拡散処理を行った場合の画像を示す。
【0043】
図8に示すように、AMスクリーン処理を行った場合、画像はKトナーのドットが直線状に配列されることによって形成される。しかし、ミシン目260を含むミシン目領域では、一部のドットに関し形状が変わる。または、直線状に配置されないなどの乱雑化がみられる(微小領域211参照)。この時、画像形成領域200に形成した画像に生じた現象は以下のとおりである。カエリが生じているミシン目領域は、局所的にシートSの厚さが変化したり、シートSに穴が開いたりしている箇所である。すると、二次転写ニップT2(
図1参照)においてミシン目シートSへトナー像を転写する際に、ミシン目領域で意図しない局所的な放電が生じ得る。この意図しない放電によってトナーが意図しない箇所に転写されることで、ドットの形状や配置が乱雑化する。それ故、ミシン目領域に形成されたトナー像は、それ以外の領域に形成されたトナー像と比較して色味が変わって見え、これが画像不良として顕在化する。
【0044】
他方、
図9に示すように、誤差拡散処理を行った場合、画像はドットの配列や大きさがランダムな状態で形成される(微小領域222参照)。ランダムなドット配列のパターンであると、上記したような意図しない局所的な放電によってドットの形状や配置が乱雑化した場合でも、周囲との差異として顕在化しづらい。それ故、ミシン目領域に形成されたトナー像と、ミシン目領域以外の領域に形成されたトナー像とを比較しても、色味は変わらない。
【0045】
以上のように、本実施形態の画像形成装置100では、シートSの種類がミシン目シートSである場合に、ハーフトーン処理をユーザが予め設定したAMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更できる。このように、本実施形態の画像形成装置100はミシン目シートSに画像を形成する場合に、局所的なドットの形状や配置の乱雑化の顕在化を低減できるので、シートのカエリに起因する画像不良が生じるのを抑制できる。
【0046】
なお、本実施形態の画像形成装置100は、「変更有無選択画面」(
図6参照)においてユーザが任意にハーフトーン処理の変更有無を選択できるようにしている。これは、ユーザの使用環境や色設計の好み等によっては、変更後のハーフトーン処理による出力画像データが最適化されていない可能性が考えられるからである。そうであれば、ハーフトーン処理の変更有無は、各条件において個別に選択できることが望ましい。画像形成装置100の不具合を含めた想定外の状況下で、ユーザによってハーフトーン処理の変更機能が正常に動作していないと判断された場合には、該変更機能を「非有効」に設定できるのが望ましい。そこで、個々のユーザが使用する状況や成果物に応じて変更機能の有効化と非有効化を選択可能とすることで、より高品質な成果物を提供できる。
【0047】
[第二実施形態]
上述した第一実施形態では、ミシン目領域かミシン目領域以外の領域かに関わらず、ミシン目シートSの全域において、ハーフトーン処理をAMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更可能としたが、これに限らない。例えば、ミシン目領域に形成するトナー像に関してのみ、ハーフトーン処理をAMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更可能としてよい。それを実現可能な第二実施形態の画像形成処理について、
図2を参照しながら
図10乃至
図13を用いて説明する。画像形成処理は、制御部101が画像形成ジョブの開始命令を受信することにより開始される。
【0048】
なお、ここではユーザが画像形成ジョブの開始前に、操作部110からハーフトーン処理としてAMスクリーン処理を設定済みである場合を例に説明する。また、
図10に示す画像形成処理において、
図5に示した画像形成処理と同様の処理に関しては説明を簡略又は省略する。
【0049】
図10に示すように、制御部101は画像形成ジョブの開始命令を受け付けると、シートSの種類がミシン目シートSであるか否かを判定する(S11)。制御部101はシートSの種類がミシン目シートSであるか否かを、上述した「シート選択画面」(
図4参照)からユーザにより選択されたシートSの種類がミシン目シートSであるか否かによって判定する。シートSの種類がミシン目シートSでない場合(S1のNo)、制御部101は画像処理部105によって入力画像データに対しユーザが予め設定したAMスクリーン処理を行い、画像形成部Pa~Pdに出力画像データに基づき画像を形成させる(S12)。
【0050】
制御部101はシートSへの画像形成後、画像形成ジョブを終了するか否かを判定する(S21)。制御部101はユーザが指定した枚数のシートSに画像形成した場合に、画像形成ジョブを終了すると判定し(S21のYes)、制御部101は本画像形成処理を終了する。制御部101は画像形成ジョブを終了しない場合(S21のNo)、次のシートSに画像形成を行うためにステップS11の処理に戻って、指定枚数のシートSに画像形成するまで処理を繰り返す。
【0051】
他方、シートSの種類がミシン目シートSである場合(S11のYes)、制御部101はミシン目領域の位置情報を設定する(S13)。ミシン目領域の位置情報の設定は、後述する「ミシン目位置設定画面」(
図11参照)を用いたユーザによる座標設定に基づいて行われる。ミシン目領域の位置情報の設定後、制御部101は入力画像データと設定された位置情報とに基づいて、ミシン目領域に形成する画像があるか否かを判定する(S14)。ミシン目領域に形成する画像がない場合(S14のNo)、制御部101はミシン目領域かミシン目領域以外の領域かに関わらずミシン目シートSの全域に関し、画像処理部105によって入力画像データに対しユーザが予め設定したAMスクリーン処理を行い、画像形成部Pa~Pdに出力画像データに基づき画像を形成させる(S12)。
【0052】
ミシン目領域に形成する画像がある場合(S14のYes)、制御部101はハーフトーン処理を変更する範囲をミシン目領域のみとするか否かを判定する(S15)。制御部101は、後述する「変更範囲設定画面」(
図12参照)を用いたユーザによる変更範囲設定に基づいて、ハーフトーン処理を変更する範囲をミシン目領域のみとするか否かを判定する。
【0053】
ハーフトーン処理を変更する範囲をミシン目領域のみとせず、ミシン目シートSの全域とする場合(S15のNo)、制御部101はハーフトーン処理を変更する機能が有効か否かを判定する(S16)。ハーフトーン処理を変更する機能が有効か否かの判定は、後述する「変更範囲設定画面」に表示される選択ボタン表示部1202(
図12参照)を用いたユーザによる選択に基づいて行われる。
【0054】
ハーフトーン処理を変更する機能が有効である場合(S16のYes)、制御部101はミシン目シートSの全域に関し、ハーフトーン処理をユーザが予め設定したAMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更する(S17)。制御部101は画像処理部105によって入力画像データに対し誤差拡散処理を行い、画像形成部Pa~Pdに出力画像データに基づき画像を形成させる(S12)。ハーフトーン処理を変更する機能が有効でない場合(S16のNo)、制御部101はミシン目シートSの全域に関し、ハーフトーン処理を誤差拡散処理に変更することなく、画像処理部105によって入力画像データに対しユーザが予め設定したAMスクリーン処理を行い、画像形成部Pa~Pdに出力画像データに基づき画像を形成させる(S12)。
【0055】
他方、ハーフトーン処理を変更する範囲をミシン目領域のみとする場合(S15のYes)、制御部101はミシン目領域の範囲設定を行う(S18)。ミシン目領域の範囲設定は、後述する「変更範囲設定画面」に表示される領域幅設定ボックス1209(
図12参照)を用いたユーザ設定により行われる。その後、制御部101はハーフトーン処理を変更する機能が有効か否かを判定する(S19)。
【0056】
ハーフトーン処理を変更する機能が有効である場合(S19のYes)、制御部101はミシン目領域に関し、ハーフトーン処理をユーザが予め設定したAMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更する(S20)。制御部101は画像処理部105によってミシン目領域に関しての入力画像データに対し誤差拡散処理を行い、ミシン目領域以外に関しての入力画像データに対しAMスクリーン処理を行い、画像形成部Pa~Pdにそれら出力画像データに基づき画像を形成させる(S12)。制御部101は、ミシン目の位置に基づいてミシン目領域に関しての入力画像データと、ミシン目領域以外に関しての入力画像データを特定できる。
【0057】
ハーフトーン処理を変更する機能が有効でない場合(S19のNo)、制御部101はミシン目領域であるかミシン目領域以外であるかに関わらず、ハーフトーン処理を誤差拡散処理に変更することなく、画像処理部105によってシートSの全域に関しての入力画像データに対しAMスクリーン処理を行い、画像形成部Pa~Pdに出力画像データに基づき画像を形成させる(S12)。
【0058】
<ミシン目位置設定画面>
表示部111には、「ミシン目位置設定画面」を表示する(
図10のS13)。「ミシン目位置設定画面」は、例えば表示部111に表示された「メニュー画面」(不図示)からユーザが所定の設定開始ボタンを操作した場合に、表示部111に表示される。「ミシン目位置設定画面」について、
図11を用いて説明する。
【0059】
図11に示すように、「ミシン目位置設定画面」には、ミシン目シートSのミシン目の座標位置を取得するためのミシン目位置取得方法を選択可能なダイアログボックス1204が表示される。ここでは、ミシン目位置取得方法としてROM103に予め記憶されている「スキャン」と「入力」を表示した例を示している。「スキャン」は、ミシン目シートSのミシン目(カエリ)の位置を原稿読取装置130(
図1参照)で読み取る方法である。
【0060】
ユーザはミシン目位置取得方法として「スキャン」を選択する場合、原稿読取装置130(
図1参照)に画像が形成されていないミシン目シートSを配置し、スキャン開始ボタン1205を押下する。すると、原稿読取装置130はミシン目シートSにおいてミシン目(カエリ)の位置を読み取って、読み取ったミシン目の位置(始点座標及び終点座標)が位置座標設定ボックス1206に表示される。
図11に示した例では、プレビュー画面に表示したように、ミシン目シートSは2つのミシン目が形成されていることから、「ミシン目1」と「ミシン目2」それぞれに関し始点座標と終点座標が表示されるようにしている。ユーザにより確定ボタン1207が押下されることで、ミシン目の始点座標と終点座標がRAM104(
図2参照)に記憶される。なお、ユーザは必要に応じて、位置座標設定ボックス1206に表示されたミシン目の始点座標及び終点座標を、ハードキー群1104の数値キーを操作して変更できてよい。
【0061】
「入力」は、原稿読取装置130によるミシン目シートSの読み取りなしに、ユーザがミシン目シートSのミシン目の始点座標と終点座標を直接入力する方法である。ユーザはダイアログボックス1204で「入力」を選択したのち、位置座標設定ボックス1206の任意の入力欄を指定してハードキー群1104の数値キーを操作することで、ミシン目シートSのミシン目の始点座標と終点座標を入力できる。そして、ユーザにより確定ボタン1207が押下されることで、ユーザにより入力されたミシン目の始点座標と終点座標がRAM104(
図2参照)に記憶される。なお、上記したミシン目位置取得方法は一例であり、必ずしも上記の方法で行われなくてもよい。
【0062】
<変更範囲設定画面>
次に、「変更範囲設定画面」(
図10のS15)について、
図12を用いて説明する。「変更範囲設定画面」は、例えば表示部111に表示された「メニュー画面」(不図示)からユーザがハーフトーン処理の変更範囲設定ボタンを操作した場合に、表示部111に表示される。
【0063】
図12に示すように、「変更範囲設定画面」には、ハーフトーン処理を変更する変更範囲を選択可能なダイアログボックス1208が表示される。ここでは、ミシン目シートSの全域を変更範囲とする「全面」、ミシン目シートSのミシン目領域を変更範囲とする「ミシン目領域」が表示されている。ユーザはダイアログボックス1208に表示されたいずれかの項目をタッチすることで、ハーフトーン処理の変更範囲を設定できる。
【0064】
また、「変更範囲設定画面」には、領域幅設定ボックス1209が表示される。ユーザはハードキー群1104の数値キーを操作することで、領域幅設定ボックス1209にミシン目領域の幅(mm)を設定できる。例えば、ミシン目領域の幅は「10mm」に設定される。なお、上述したように、ミシン目加工によるシートの形状変化により構成するトナーが意図しない箇所に転写され、ドットの形状や配置が乱雑化する。そのため、スクリーン処理を誤差拡散に変更する領域の幅、即ちミシン目領域の幅はドット形状や配置が乱雑化する領域より大きく設定することが望ましい。
【0065】
さらに、「変更範囲設定画面」には、上述した選択ボタン表示部1202が表示される。ユーザは選択ボタン表示部1202の「有効」ボタン又は「非有効」ボタンのいずれかを操作して、ハーフトーン処理変更機能の有効化又は非有効化を選択できる。そして、ユーザにより確定ボタン1210が押下されることで、ハーフトーン処理の変更範囲、ミシン目領域の幅、ハーフトーン処理変更機能の有無がRAM104(
図2参照)に記憶される。
【0066】
<画像不良の発生有無>
既に述べた通り、ミシン目シートSへトナー像を転写する際に、カエリが生じているミシン目領域に意図しない放電が生じてトナーが意図しない箇所に転写され、画像を形成するドットの形状や配置が乱雑化し、トナー像の色味が変わるなどの画像不良が生じ得る。そこで、本実施形態では、カエリが生じているミシン目領域に形成する画像に対するハーフトーン処理を、AMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更することで(
図10のS20参照)、シートのカエリに起因する画像不良を抑制できる。
【0067】
表2は、ミシン目領域かミシン目領域以外かに関わらずAMスクリーン処理を行った場合と、ミシン目領域に誤差拡散処理を行ってミシン目領域以外にAMスクリーン処理を行った場合に、シートSのカエリに起因する画像不良の発生有無を評価した結果を示す。
【表2】
【0068】
表2における画像不良の発生有無は以下のように評価した。まず、ミシン目シートSに対し、所定の画像情報に基づいてトナー像を形成した。ここでの所定の画像情報は、Kトナー単色で印字率が30%となるように、表2におけるハーフトーン処理の欄に記載されたそれぞれの処理を用いた画像情報である。なお、ここで言う印字率とは、
図7に示すような画像形成領域200の微小領域201の全面にトナーが存在する場合を印字率「100%」とし、これを基準に微小領域201においてトナーが存在する面積の比率(面積率)である。
【0069】
ユーザはそれぞれのハーフトーン処理を行って出力された出力画像データに基づき形成されたトナー像を目視で確認して、画像不良が発生したかどうかを判断した。表2に示すように、ミシン目領域かミシン目領域以外の領域かに関わらずAMスクリーン処理を行った場合には、シートSのカエリに起因する画像不良が発生した。これに対し、ミシン目領域に誤差拡散処理を行い、ミシン目領域以外の領域にAMスクリーン処理を行った場合には、シートSのカエリに起因する画像不良が抑制されていた。
図13に、ミシン目領域に誤差拡散処理を行い、ミシン目領域以外の領域にAMスクリーン処理を行って出力された出力画像データに基づき形成した画像を示す。ミシン目260を基準に設定されたミシン目領域265の幅は、例えば「10mm」である。
【0070】
図13に示すように、AMスクリーン処理を行ったミシン目領域265以外の領域では、Kトナーのドットが直線状に配列されることによって画像が形成されている(微小領域250参照)。ミシン目領域265以外の領域では、意図しない放電が生じないことから、トナーが意図しない箇所に転写されない。つまり、画像を形成するドットの形状や配置が乱雑化しないので、トナー像の色味が変わるなどの画像不良は生じない。
【0071】
他方、誤差拡散処理を行ったミシン目領域265では、Kトナーのドットがランダムに配置されることによって画像が形成されている(微小領域251参照)。ミシン目領域265では、上記したように意図しない局所的な放電が生じる。しかし、画像形成装置100は、ミシン目領域265に形成する画像に対するハーフトーン処理をAMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更することから、意図しない局所的な放電に伴い例えドットの形状や配置が乱雑化したとしても、乱雑化が生じたか否かがわかり難くなる。
【0072】
このように、シートSの種類がミシン目シートSである場合に、ミシン目領域に関し、ハーフトーン処理をユーザが予め設定したスクリーン処理から誤差拡散処理に変更でき、誤差拡散処理され出力された出力画像データに基づき画像形成が行われる。これにより、ミシン目シートSに画像を形成する場合に、局所的なドットの形状や配置の乱雑化の顕在化を低減できるので、シートのカエリに起因する画像不良が生じるのを抑制できる。
【0073】
なお、上述した第二実施形態において、ハーフトーン処理を変更する機能が有効である場合(S19のYes)に、制御部101は画像処理部105によってミシン目領域265に関しての入力画像データに対し誤差拡散処理を行い、ミシン目領域以外の領域に関しての入力画像データに対しAMスクリーン処理を行うようにしたが、これに限らない。例えば、制御部101は、AMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更する対象を、ミシン目領域265に関しての入力画像データに限らず、ミシン目領域265を含んだ範囲に形成される1つの画像全体に関しての入力画像データとしてもよい。
【0074】
<他の実施形態>
なお、上述した第一、第二実施形態では、制御部101が画像処理部105を有する場合を例に説明したが、これに限らない。例えば、
図1に示すように、CPU等を有する情報処理装置101Aが画像形成装置100とデータ送受信可能に接続され、該情報処理装置101AがAMスクリーン処理や誤差拡散処理を施す画像処理部105Aを有する構成としてもよい。この構成の場合、外部機器1000Aが情報処理装置101Aにデータ送受信可能に接続されることにより、情報処理装置101Aは外部機器1000Aから送信された画像データ(入力画像データ)を受信する。情報処理装置101Aは画像処理部105Aによって入力画像データに対しハーフトーン処理を行い、出力画像データとして画像形成装置100へ送信する。画像形成装置100の制御部101は情報処理装置101Aから受信した出力画像データにハーフトーン処理を施すことなく、画像形成部Pa~Pdによって情報処理装置101Aから受信した出力画像データに基づき画像を形成させる。その際に、制御部101はユーザが操作部110を操作して入力される、例えばシートSの種類、ハーフトーン処理変更機能の実行有無、ハーフトーン処理の変更範囲、ミシン目領域の幅、ミシン目の位置などを、情報処理装置101Aへ随時に送信する。情報処理装置101Aは、上述したようにこれらの情報に基づいてミシン目シートSに関してAMスクリーン処理を誤差拡散処理に切り替え、画像処理部105Aによって入力画像データに対しハーフトーン処理を行うことができる。
【0075】
なお、上述した第一、第二実施形態では、ユーザが画像形成ジョブの開始前に、操作部110からハーフトーン処理としてAMスクリーン処理を設定済みである場合を例に説明したが、これに限らない。ハーフトーン処理としてFMスクリーン処理が設定済みである場合でもよい。この場合、ハーフトーン処理を変更する機能が有効である場合に、ハーフトーン処理がFMスクリーン処理から誤差拡散処理に変更される。
【0076】
なお、上述した第一、第二実施形態では、各色の感光ドラム3a~3dから中間転写ベルト80に各色のトナー像を一次転写した後に、シートSに各色の複合トナー像を一括して二次転写する構成の画像形成装置を説明したが、これに限らない。例えば、感光ドラムとの間でニップ部が形成された搬送ベルトに搬送されるシートに対し、感光ドラムと搬送ベルトを挟んで対向配置された転写ローラへの電圧印加により、感光ドラム上のトナー像をシートに直接転写する直接転写方式の画像形成装置であってもよい。また、ブラック単色のトナー像を形成可能な画像形成装置(モノクロ機)であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1a~1d…現像部(現像装置)、2a~2d…帯電部(帯電装置)、3a~3d…感光体(感光ドラム)、5a~5d…露光部(露光装置)、6a~6d…第一転写部(一次転写ローラ)、11…転写部(第二転写部、二次転写外ローラ)、80…像担持体(中間転写ベルト)、100…画像形成装置、101…制御部、105…画像処理部、110…選択部(入力部、操作部)、111…表示部、130…原稿読取部(原稿読取装置)、131a…照射部、131b…受光部、Pa~Pd…画像形成部、S…シート