IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイボー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-塗布具、及び、塗布具の使用方法 図1
  • 特開-塗布具、及び、塗布具の使用方法 図2
  • 特開-塗布具、及び、塗布具の使用方法 図3
  • 特開-塗布具、及び、塗布具の使用方法 図4
  • 特開-塗布具、及び、塗布具の使用方法 図5
  • 特開-塗布具、及び、塗布具の使用方法 図6
  • 特開-塗布具、及び、塗布具の使用方法 図7
  • 特開-塗布具、及び、塗布具の使用方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179607
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】塗布具、及び、塗布具の使用方法
(51)【国際特許分類】
   B43K 27/08 20060101AFI20241219BHJP
   B43K 3/00 20060101ALI20241219BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B43K27/08
B43K3/00 H
A45D34/04 515Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098589
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000109440
【氏名又は名称】テイボー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石間 隆太郎
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353KA01
2C353KA04
2C353KA07
2C353KA09
2C353KA12
2C353KA13
2C353KA16
2C353KA19
2C353MA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2つの軸筒を連結した状態であっても、連結せずに各軸筒単体の状態であっても使用可能であり、また、連結時に2つの軸筒の連結角度が一定程度ずれても連結可能な塗布具を提供することを課題とする。
【解決手段】第1の軸筒及び第2の軸筒を備え、前記第1の軸筒は、第1の筆先連結部と、該第1の筆先連結部とは反対側に第1の軸筒連結部を有し、前記第2の軸筒は、第2の筆先連結部と、該第2の筆先連結部とは反対側に第2の軸筒連結部を有し、前記第1の軸筒連結部は、第1の外側連結片と第1の内側連結片を有し、前記第2の軸筒連結部は、第2の外側連結片と第2の内側連結片を有し、前記第1の外側連結片の端部と前記第2の外側連結片の端部を互いに沿わせて接触させるように係合可能であることを特徴とする塗布具を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸筒及び第2の軸筒を備える塗布具であって、
前記第1の軸筒は、第1の筆先連結部と、該第1の筆先連結部とは反対側に第1の軸筒連結部を有し、
前記第2の軸筒は、第2の筆先連結部と、該第2の筆先連結部とは反対側に第2の軸筒連結部を有し、
前記第1の軸筒連結部は、第1の外側連結片と第1の内側連結片を有し、前記第1の内側連結片は前記第1の外側連結片の内側に位置し、
前記第2の軸筒連結部は、第2の外側連結片と第2の内側連結片を有し、前記第2の内側連結片は前記第2の外側連結片の内側に位置し、
前記第1の軸筒連結部の横断面において、前記第1の外側連結片は円弧状であり、前記第1の内側連結片は円弧状であり、
前記第2の軸筒連結部の横断面において、前記第2の外側連結片は円弧状であり、前記第2の内側連結片は円弧状であり、
前記第1の軸筒連結部のうち前記第1の外側連結片の軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面において、前記第1の外側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、
前記第2の軸筒連結部のうち前記第2の外側連結片の軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面において、前記第2の外側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、
前記第1の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第1の内側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、
前記第2の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第2の内側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、
前記第1の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第1の外側連結片の端部のS字曲線と、前記第1の内側連結片の端部のS字曲線は、前記第1の軸筒連結部の軸芯に対して略線対称であり、
前記第1の軸筒連結部と前記第2の軸筒連結部は同じ形状であり、前記第1の外側連結片の端部と前記第2の外側連結片の端部を互いに沿わせて接触させるように係合可能な、塗布具。
【請求項2】
前記第1の外側連結片の端部と前記第2の外側連結片の端部が係合する場合、
前記第1の内側連結片のS字曲線形状の端部の一部又は全部と、前記第2の内側連結片のS字曲線形状の端部の一部又は全部を互いに沿わせて接触可能な、請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記第1の軸筒連結部の長さは、5mm以上である、請求項1に記載の塗布具。
【請求項4】
前記第1の軸筒のうち前記第1の筆先連結部を除いた長さは、40mm以上であり、
前記第2の軸筒のうち前記第2の筆先連結部を除いた長さは、40mm以上である、請求項1に記載の塗布具。
【請求項5】
前記第1の外側連結片の内面に、直線凸部を軸方向に設け、
前記第1の内側連結片の外表面に、前記直線凸部に噛み合わせ可能な直線凹部が軸方向に設けられる、請求項1に記載の塗布具。
【請求項6】
前記第1の外側連結片の内面に、環状凹部を周方向に設け、
前記第1の内側連結片の外表面に、前記環状凹部に噛み合わせ可能な環状凸部が周方向に設けられる、請求項1に記載の塗布具。
【請求項7】
前記第1の軸筒は一体的に成形され、前記第2の軸筒は一体的に形成される、請求項1に記載の塗布具。
【請求項8】
請求項1に記載の塗布具の使用方法であって、
前記第1の外側連結片と前記第2の外側連結片を係合させることにより、前記第1の軸筒及び前記第2の軸筒を連結した状態で使用する工程、又は、
前記第1の外側連結片と前記第2の外側連結片を脱離させることにより、前記第1の軸筒又は前記第2の軸筒を別々にして使用する工程、を含む、塗布具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用具や筆記具等の塗布具、及び、該塗布具の使用方法に関する。特に、2つの軸筒を連結した状態でも、該2つの軸筒を切り離して単体とした状態でも塗布可能な塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧用具や筆記具等の分野では、塗布具1本で複数の化粧料やインクを別々に塗布可能な、様々なタイプの塗布具が開発されてきている。なかでも、軸筒の両端に2つの筆先を設け、仕切られた軸筒内部それぞれに異なる種類の化粧料やインクを貯留し、使用時に軸筒の上下をひっくり返して把持部分を変更することで、2種類(特に色違い)の化粧料やインクを塗布可能な塗布具が知られている。
【0003】
しかしながら、2種類の化粧料やインクを同時に使い切るように使用されることは稀であり、一方の化粧料やインクが先になくなり、他方の化粧料やインクが残ったまま廃棄されることも少なくないという課題があった。また、2種類の化粧料やインクが既に製品として組み込まれている場合、使用者の気に入った組み合わせの化粧料やインクに詰め替えることはできないという課題もあった。
【0004】
そこで、2つの筆先を2つの軸筒に別々に設けて、2つの軸筒を連結する方法も開発されている。
特許文献1には、2本のマーカー等の筆記具を連結するための尾栓の連結機構が開示されている。該連結機構は尾栓の基端側に装着部を形成するものであり、該装着部の先端側は周方向の断面を放射状に四等分した対向する扇形筒状の接続部を対峙させて長手方向に延設したものである。
しかしながら、特許文献1の連結機構は、軸筒(インク等が貯留された容器)とは別に、連結機構を設けた尾栓が必要となり、部品点数が多くなるという問題があった。また、連結する際に少しでも角度がずれると連結できないという問題があった。さらに、2つの軸筒を連結して使用することを想定しており、軸筒を単体で使用した場合に、尾栓部分の意匠性に劣るという問題があった。
【0005】
特許文献2には、一対のペンを同一軸線上で背中合わせ状に連結することができるペンが開示されている。該連結部は、円弧状の外側連結片が2つ、該外側連結片の内側に内側連結片が2つ設けられる構造である。また、2つの外側連結片及び2つの内側連結片は同じ長さであり、連結部の端部において面一となっている。
このため、連結する際に少しでも角度がずれると連結できないという問題があった。また、外側連結片及び内側連結片の長さが一定以上に長いと、一対のペンの嵌合力は強いが、取り外しにくく、折れやすいという課題があった。逆に、外側連結片及び内側連結片の長さが一定以下であると、一対のペンの嵌合力が弱く、使用時や携帯時に連結が解除されやすいという問題があった。
【0006】
特許文献3には、軸筒の両側にペン先を備えた直液タイプの両頭式筆記具及び両頭式筆記具用の筆記体が開示されている。連結部材は、一対の外側円弧状連結片と、一対の内側円弧状連結片とからなる構造である。また、軸筒の縦断面において、外側円弧状連結片の端部は同じ長さで切断された構造であり、内側円弧状連結片の端部も同じ長さで切断された構造である。このため、連結する際に少しでも角度がずれると連結できないという問題があった、また、筒状の内周面と外周面で嵌合するため、嵌合面積が大きく、高い寸法精度での製造が要求されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3084849号公報
【特許文献2】特開2003-127589号公報
【特許文献3】特開2005-178050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、2つの軸筒を連結した状態であっても、連結せずに各軸筒単体の状態であっても使用可能であり、また、連結時に2つの軸筒の連結角度が一定程度ずれても連結可能な塗布具を提供することを課題とする。
さらに、各軸筒単体で使用した場合でも、軸筒連結部の意匠性が高い塗布具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の塗布具は、第1の軸筒及び第2の軸筒を備える塗布具であって、前記第1の軸筒は、第1の筆先連結部と、該第1の筆先連結部とは反対側に第1の軸筒連結部を有し、前記第2の軸筒は、第2の筆先連結部と、該第2の筆先連結部とは反対側に第2の軸筒連結部を有し、前記第1の軸筒連結部は、第1の外側連結片と第1の内側連結片を有し、前記第1の内側連結片は前記第1の外側連結片の内側に位置し、前記第2の軸筒連結部は、第2の外側連結片と第2の内側連結片を有し、前記第2の内側連結片は前記第2の外側連結片の内側に位置し、前記第1の軸筒連結部の横断面において、前記第1の外側連結片は円弧状であり、前記第1の内側連結片は円弧状であり、前記第2の軸筒連結部の横断面において、前記第2の外側連結片は円弧状であり、前記第2の内側連結片は円弧状であり、前記第1の軸筒連結部のうち前記第1の外側連結片の軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面において、前記第1の外側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、前記第2の軸筒連結部のうち前記第2の外側連結片の軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面において、前記第2の外側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、前記第1の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第1の内側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、前記第2の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第2の内側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、前記第1の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第1の外側連結片の端部のS字曲線と、前記第1の内側連結片の端部のS字曲線は、前記第1の軸筒連結部の軸芯に対して略線対称であり、前記第1の軸筒連結部と前記第2の軸筒連結部は同じ形状であり、前記第1の外側連結片の端部と前記第2の外側連結片の端部を互いに沿わせて接触させるように係合可能であることを特徴とする。
【0010】
前記第1の外側連結片の端部と前記第2の外側連結片の端部が係合する場合、前記第1の内側連結片のS字曲線形状の端部の一部又は全部と、前記第2の内側連結片のS字曲線形状の端部の一部又は全部を互いに沿わせて接触可能であることが望ましい。
【0011】
前記第1の軸筒連結部の長さは、5mm以上であることが望ましい。
【0012】
前記第1の軸筒のうち前記第1の筆先連結部を除いた長さは、40mm以上であり、前記第2の軸筒のうち前記第2の筆先連結部を除いた長さは、40mm以上であることが望ましい。
【0013】
前記第1の外側連結片の内面に、直線凸部を軸方向に設け、前記第1の内側連結片の外表面に、前記直線凸部に噛み合わせ可能な直線凹部が軸方向に設けられてもよい。
【0014】
前記第1の外側連結片の内面に、環状凹部を周方向に設け、前記第1の内側連結片の外表面に、前記環状凹部に噛み合わせ可能な環状凸部が周方向に設けられてもよい。
【0015】
前記第1の軸筒は一体的に成形され、前記第2の軸筒は一体的に形成されることが望ましい。
【0016】
本発明の塗布具の使用方法は、前記第1の外側連結片と前記第2の外側連結片を係合させることにより、前記第1の軸筒及び前記第2の軸筒を連結した状態で使用する工程、又は、前記第1の外側連結片と前記第2の外側連結片を脱離させることにより、前記第1の軸筒又は前記第2の軸筒を別々にして使用する工程、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、2つの軸筒を連結した状態でも、連結せずに各軸筒単体の状態でも使用可能であり、また、連結時に2つの軸筒の連結角度が一定程度ずれても連結可能な塗布具を提供することができる。
さらに、各軸筒単体で使用した場合でも、軸筒連結部は縦断面においてS字曲線の外側連結片とS字曲線の内側連結片のなめらかな形状が露出し、意匠性が高い塗布具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の軸筒、第2の軸筒の一例であり、(a)斜視図、(b)左側面図、(c)平面図、(d)正面図、(e)底面図、(f)右側面図、(g)背面図を示す。
図2】本発明の第1の軸筒と第2の軸筒を連結した塗布具の一例であり、(a)斜視図、(b)左側面図、(c)平面図、(d)正面図、(e)底面図、(f)右側面図、(g)背面図を示す。
図3】本発明の第1の軸筒と第2の軸筒を連結し2つのキャップを装着した塗布具の一例であり、(a)斜視図、(b)左側面図、(c)平面図、(d)正面図、(e)底面図、(f)右側面図、(g)背面図を示す。
図4】本発明の第1の軸筒と第2の軸筒を連結し1つのキャップを装着した塗布具の一例であり、(a)斜視図、(b)左側面図、(c)平面図、(d)正面図、(e)底面図、(f)右側面図、(g)背面図を示す。
図5】本発明の3Dイメージの一例であり、(a)軸筒連結部の斜視図、(b)軸筒連結部の側面図、(c)軸筒の正面図を示す。また、(d)は軸筒連結部の外側連結片の内面に環状凹部、内側連結片の外表面に環状凸部を設けた軸筒連結部の一例を示す。(e)は軸筒連結部の外側連結片の内面に直線凸部、内側連結片の外表面に直線凹部を設けた軸筒連結部の一例を示す。
図6】本発明の第1の軸筒、第2の軸筒の一例を示す。(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図、(d)右側面図を示す。
図7】本発明の第1の軸筒、第2の軸筒の他の一例を示す。(a)平面図、(b)正面図を示す。(c)は第1の軸筒と第2の軸筒を連結したときの正面図であり、表面に現れない内側連結片の端部のS字曲線及び外側連結片の端部のS字曲線を点線で示したものである。
図8】本発明の第1の軸筒と第2の軸筒を連結し1つのキャップを装着した塗布具の一例である。(a)平面図、(b)正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の塗布具について、図面を参照し適宜符号を用いながら説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。
【0020】
本発明の塗布具1は、第1の軸筒21及び第2の軸筒22を備えるものである。
【0021】
第1の軸筒21は、一方の端部に第1の筆先連結部212を備え、第1の筆先連結部212とは反対側の他方の端部に第1の軸筒連結部211を有する。第1の筆先連結部212は筆先と連結可能なように構成され、第1の軸筒連結部211は第2の軸筒22と第2の軸筒連結部221を介して連結可能なように構成される。
第1の軸筒連結部211は第1の外側連結片211aと第1の内側連結片211bを有し、第1の内側連結片211bは第1の外側連結片211aの内側に位置する。
第1の軸筒連結部211の横断面において、第1の外側連結片211a及び第1の内側連結片211bは円弧状である。
第1の軸筒連結部211のうち第1の外側連結片211aの軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面において、第1の外側連結片211aの端部は、S字曲線の形状となっている。また、第1の軸筒連結部211の該縦断面において、第1の内側連結片211bの端部は、S字曲線の形状となっている。
【0022】
第2の軸筒22は、一方の端部に第2の筆先連結部222を備え、第2の筆先連結部222とは反対側の他方の端部に第2の軸筒連結部221を有する。第2の筆先連結部222は筆先と連結可能なように構成され、第2の軸筒連結部221は第1の軸筒21と第1の軸筒連結部211を介して連結可能なように構成される。
第2の軸筒連結部221は第2の外側連結片221aと第2の内側連結片221bを有し、第2の内側連結片221bは第2の外側連結片221aの内側に位置する。
第2の軸筒連結部221の横断面において、第2の外側連結片221a及び第2の内側連結片221bは円弧状である。
第2の軸筒連結部221のうち第2の外側連結片221aの軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面において、第2の外側連結片221aの端部は、S字曲線の形状となっている。また、第2の軸筒連結部221の該縦断面において、第2の内側連結片221bの端部は、S字曲線の形状となっている。
【0023】
第1の軸筒連結部211と第2の軸筒連結部221は同じ形状であり、第1の外側連結片211aの端部と第2の外側連結片221aの端部を互いに沿わせて接触させるように係合(嵌合)可能である。
なお、第1の軸筒連結部211と第2の軸筒連結部221が同じ形状であれば、第1の軸筒21と第2の軸筒22は同じ形状であってもなくてもよい。第1の軸筒21と第2の軸筒22が同じ形状の場合は、軸筒に関し部品を1種類製造すれば足り、2種類製造する場合より製造コストの削減となる。逆に、貯留する化粧料やインクの量を変えたい場合、筆先の種類を変えたい場合、化粧料やインクの導入方法を変えたい場合等は、第1の軸筒連結部211と第2の軸筒連結部221以外の、第1の軸筒21と第2の軸筒22を異なる形状にすればよい。
【0024】
また、内側連結片長さL206は、外側連結片長さL205と同じでもよいし、異なってもよい。
内側連結片長さL206が外側連結片長さL205と同じ場合は、図6で例示されるような構造となり、第1の内側連結片211bの端部と第2の内側連結片221bの端部を互いに添わせて接触させるように係合(嵌合)可能である。すなわち、第1の内側連結片211bのS字曲線形状の端部の全部と、第2の内側連結片221bのS字曲線形状の端部の全部を互いに沿わせて接触させることができる。
内側連結片長さL206が外側連結片長さL205より短い場合は、図7で例示されるような構造となり、第1の軸筒21と第2の軸筒22を連結させたときに、第1の内側連結片211bのS字曲線形状の端部の一部と、第2の内側連結片221bのS字曲線形状の端部の一部を互いに沿わせて接触させることができる。
また、内側連結片長さL206を外側連結片長さL205より長くすることも可能である(図示せず)。その場合、軸筒連結部長さL203が外側連結片長さL205より長くなる。たとえば、塗布具1をよりコンパクトに設計しなくてもよい場合や、嵌合力の微調整をしたい場合等は、本構成は有効である。
【0025】
第1の内側連結片211bは、第1の外側連結片211aの内側に位置し、第1の内側連結片211bの端部は縦断面においてS字曲線となっていればよい。第1の外側連結片211aのうち軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った外側連結片縦断面(本願請求項において、第1の軸筒連結部211のうち第1の外側連結片の軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面に相当)と、第1の内側連結片211bのうち軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った内側連結片縦断面の角度は適宜変更可能である。図1等の例においては、外側連結片縦断面と内側連結片縦断面の角度は180°であり、第1の軸筒連結部211の縦断面において、第1の外側連結片211aの端部のS字曲線と、第1の内側連結片211bの端部のS字曲線は、第1の軸筒連結部211の軸芯に対して略線対称となっている。軸筒の連結のしやすさや取り外しさ(外側連結片の端部同士の沿わせやすさ)の観点からは、外側連結片縦断面と内側連結片縦断面の角度は180°もしくは180°前後であることが望ましい。
【0026】
図5(e)のように、第1の外側連結片211aの内面に、直線凸部211aLを軸方向に設け、第1の内側連結片211bの外表面に、直線凸部211aLに噛み合わせ可能な直線凹部211bLが軸方向に設けられてもよい。
また、図5(d)のように、第1の外側連結片211aの内面に、環状凹部211aA(図示せず)を周方向に設け、第1の内側連結片211bの外表面に、環状凹部211aAに噛み合わせ可能な環状凸部211bAが周方向に設けられてもよい。
これらの凹凸により、嵌合力を高める等の調整が可能となる。
【0027】
第1の軸筒21、第2の軸筒22は、一体的に成形されることが望ましい。一体的に成形されることにより、部品点数を減らすことができ、製造コストを抑えることができる。なお、いくつかの部品を組み合わせて第1の軸筒21や第2の軸筒22を成形することを妨げるものではない。
【0028】
第1の軸筒21及び第2の軸筒22の材質は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属、ガラス、木材、繊維強化合成樹脂が挙げられるが、成形のしやすさや、化粧料やインク等の変性しにくさ、製造コスト等の観点から、ポリプロピレンが好ましい。
【0029】
第1の軸筒21及び第2の軸筒22のサイズは、第1の軸筒21と第2の軸筒22を連結した状態でも、第1の軸筒21又は第2の軸筒22を切り離して単体とした状態でも、良好に塗布可能に適宜設定される。
【0030】
図6図8に示すように、軸筒単体の持ち手長さL201は、軸筒中央部長さL204と軸筒連結部長さL203(外側連結片長さL205)の合計である。すなわち、第1の軸筒21のうち第1の筆先連結部212を除いた長さが軸筒単体の持ち手長さL201となり、40mm以上であることが望ましい。持ち手を人差し指に沿わせて塗布を行うことが多いため、人差し指の第2関節までの長さ(女性の場合、40mm程度)より短くなると、塗布具1を人差し指に沿わせて支えることができず、安定した使用感が得にくい。
同様に、第2の軸筒22のうち第2の筆先連結部222を除いた長さが軸筒単体の持ち手長さL201となり、40mm以上であることが望ましい。持ち手を人差し指に沿わせて塗布を行うことが多いため、人差し指の第2関節までの長さ(女性の場合、40mm程度)より短くなると、塗布具1を人差し指に沿わせて支えることができず、安定した使用感が得にくい。
【0031】
また、第1の軸筒21と第2の軸筒22を連結して使用する場合の、軸筒連結時の持ち手長さL202は、図8に示すとおり、軸筒連結部長さL203と、軸筒中央部長さL204の2倍と、キャップ長さL3の合計である。軸筒連結時の持ち手長さL202は、化粧用具や筆記具の塗布具として使用しやすく携帯しやすい長さ以下であればよい。たとえば、一般的なアイライナーの持ち手の長さは100mm程度であるので、軸筒連結時の持ち手長さL202が90~110mmとなるように構成することが望ましい。
【0032】
さらに、軸筒連結部長さL203は、短すぎると嵌合面積が小さくなり嵌合力が低下して、使用中や携帯中に軸筒同士の連結が保てなくなるため、5mm以上であることが好ましく、10mm以上、15mm以上であることがさらに好ましい。
【0033】
この他、軸筒外径(外側連結片外径)L207は7mm~15mm程度、内側連結片外径(外側連結片内径)L208は4mm~12mm程度、筆先連結部長さL210は10mm~15mm程度、筆先連結部外径L211は3mm~9mm程度、筆先連結部内径L212は2mm~6mm程度が例示される。
【0034】
たとえば塗布具1がアイライナーのような液体塗布具の場合、軸筒単体の持ち手長さL201は42mm、軸筒連結時の持ち手長さL202は97mm、軸筒連結部長さL203は15mm、軸筒中央部長さL204は27mm、外側連結片長さL205は15mm、内側連結片長さL206は15mm、軸筒外径(外側連結片外径)L207は9mm、内側連結片外径(外側連結片内径)L208は6mm、内側連結片内径L209は3mm、筆先連結部長さL210は12.5mm、筆先連結部外径L211は6mm、筆先連結部内径L212は3.7mm、キャップ長さL3は28mmが例示される。
【0035】
なお、塗布具1に液体を貯留する場合は、第1の軸筒21の内部の、第1の軸筒連結部211と第1の筆先連結部212の間に、仕切り部分を形成してもよい。仕切り部分の厚みや軸方向の位置を変えることにより、貯留する液量を調整することができる。
【0036】
本発明の塗布具の使用方法は、上述した塗布具1の第1の外側連結片211aと第2の外側連結片221aを係合させることにより、第1の軸筒21及び第2の軸筒22を連結した状態で使用する工程、又は、第1の外側連結片211aと第2の外側連結片221aを脱離させることにより、第1の軸筒21又は第2の軸筒22を別々にして使用する工程を含むものである。
【0037】
第1の筆先連結部212及び第2の筆先連結部222には、用途に合った筆先を適宜連結することができる。
筆先としては、長手方向に繊維を束ねた繊維束を熱硬化性樹脂等で接着した合繊芯、またはある合成繊維に対し、その合成繊維の融点より低い融点を有する合成繊維を混合して溶融することによって、合成繊維同士を接着した合繊芯、先端部分がテーパー加工されたモノフィラメントのブラシ、相互に連通状の連続気孔を有する立体網目構造をしたポリオレフィン系フォーム、熱可塑性樹脂を溶融押出成形により所要の断面形状及び寸法に成形したプラスチック芯、金属粉末や熱可塑性樹脂粉末の各粒状粒子が互いに部分的に融着し、かつ、各粒状粒子間に相互に連通状の連続気孔を形成した焼結芯等が例示される。
【0038】
本発明の塗布具1は、液体を貯留した中綿を用いる中綿式の液体塗布具、塗布具内に貯留された液体を用いる直液式の液体塗布具、液体に筆先をディップする浸漬式の液体塗布具として主に用いられるが、組み込み可能であればペンシルタイプ等の化粧料や芯等を組み込んでもよい。
具体的には、たとえば、アイライナー、アイシャドウ、アイブロー、リップライナー、リップグロス、コンシーラー、ネイルケア製品、まつ毛ケア製品等の化粧用塗布具に適用可能である。
また、コンパクトであるものの、油性マーカー、水性マーカー、ボードマーカー、ラインマーカー、ぺイントマーカー、修正ペン、医療用マーカーの筆記用塗布具、薬液塗布具等に適用可能である。
【実施例0039】
(試料の作製)
表1に記載の実施例1-4の構成を有する塗布具1(第1の軸筒21、第1のキャップ31、第2の軸筒22、第2のキャップ32)を作製した。
実施例1は、外側連結片長さL205が5mm、内側連結片長さL206が5mm、軸筒単体の持ち手長さL201が42mm、軸筒連結時の持ち手長さL202が107mmであった。
実施例2は、外側連結片長さL205が15mm、内側連結片長さL206が15mm、軸筒単体の持ち手長さL201が42mm、軸筒連結時の持ち手長さL202が97mmであった。
実施例3は、外側連結片長さL205が15mm、内側連結片長さL206が15mm、軸筒単体の持ち手長さL201が42mm、軸筒連結時の持ち手長さL202が97mmであった。第1の外側連結片の環状凹部211aAを外側連結片の端部から5mmの位置に1mmの幅、0.25mmの深さで形成し、第1の内側連結片の環状凸部211bAを内側連結片の端部から5mmの位置に1mmの幅、0.25mmの高さで形成した。
実施例4は、外側連結片長さL205が15mm、内側連結片長さL206が15mm、軸筒単体の持ち手長さL201が42mm、軸筒連結時の持ち手長さL202が97mmであった。第1の外側連結片の直線凸部211aLを第1の外側連結片211aのうち軸方向の長さが最も長い部分から軸方向に0.8mmの幅、0.25mmの深さ、15mmの長さで形成し、第1の内側連結片211bの外表面に、上記直線凸部211aLに噛み合わせ可能な直線凹部211bLを0.8mmの幅、0.25mmの高さ、15mmの長さで形成した。
なお、実施例1-4において、第2の軸筒22の構成は第1の軸筒21の構成と同じになるように作製した。また、実施例1-4における軸筒外径L207は9mmであり、外側連結片の厚み(外側連結片外径L207から外側連結片内径L208を差し引いたもの)は3mm、内側連結片の厚み(内側連結片外径L208から内側連結片内径L209を差し引いたもの)は3mm、材料はポリプロピレンであり、射出成形で作製した。
【0040】
(評価項目)
作製された実施例1-4の塗布具1を用いて、以下の内容の評価を行った。

(1)軸筒単体の意匠性
塗布具としての意匠性(見栄え)を、一般消費者の目線で評価し、意匠性が良好なものを○、意匠性が良好でないもの(見栄えがよくないもの)を×とした。
実施例1-4の塗布具1は、軸筒連結部がS字曲線の組み合わせとなっているため、スタイリッシュな塗布具として捕らえる一般消費者が多かった。

(2)軸筒連結部の取り外しやすさ
実施例1-4の塗布具1は、軸筒を軸方向へ引っ張るのみならず、少し捻るように回転させることができるため、いずれも取り外しやすいものであった。

(3)軸筒連結部の取り付けやすさ
実施例1-4の塗布具1は、外側連結片や内側連結片のS字曲線に沿わせながら連結(係合、嵌合)させることができるため、連結後の第1の軸筒21と第2の軸筒22の位置から角度が30°程度ずれている位置からでもS字曲線にガイドされ、連結可能であった。

(4)軸筒連結部強度、連結片強度
連結後に縦向き、横向き各5回、鉄板の上に1mの高さから落下させて、軸筒連結部が外れないかの評価を行い、軸筒連結部強度を確認した。実施例1-4の塗布具1はいずれも、軸筒連結部強度は十分であった。
また、連結前に縦向き、横向き各5回、鉄板の上に1mの高さから落下させて、連結片が破損しないかの評価を行い、連結片強度を確認した。実施例1-4の塗布具1はいずれも、連結片強度は十分であった。

(5)別部材の必要性
実施例1-4の塗布具1は、別部材なしでも連結可能な構成であった。

(6-1)単体での塗布安定性試験1
実施例2の塗布具1のうち、軸筒単体の持ち手長さL201(表1では42mm)を32mm~57mmの範囲に変更した塗布具を作製した。第1の筆先連結部212に筆先を連結して、安定して塗布(筆記)可能であるかの評価を行った。問題なく安定して塗布できる場合は◎、持ち方を変えれば安定して塗布できる場合は〇、塗布具を強く持てば安定して塗布できる場合は△、塗布具が安定して使用できない場合は×とした。
結果を表5に示す。軸筒単体の持ち手長さL201が40mmを下回ると、被験者の多くが×、△と評価し、概ね40mm以上になると、被験者が○、◎と評価した。よって、軸筒単体の持ち手長さL201は40mm以上であることが好ましいことが分かった。

(6-2)単体での塗布安定性試験2
実施例2の塗布具1について、軸筒単体での使用時は、軸筒連結部が持ち手(人差し指)に接触して支えることになる。このため、軸筒連結部の形状により、人差し指で支えられない場合があるかどうかを検証試験した。
結果を表6に示す。実施例2の塗布具1は、軸筒単体を90°ずつ回転させても、持ち手(人差し指)で安定して支えられ、安定して塗布することができることが分かった。

(7)必要な寸法精度
実施例1-4の塗布具1は、射出成形によって作製されている。よって、射出成形の一般的な公差は±0.03mm以下である。

以上の評価項目を表1にまとめた。
【0041】
【表1】
【0042】
(試料の作製)
表2に記載の比較例1、2の構成を有する塗布具を作製した。比較例1、2は特許文献1記載の内容から形状を割り出し、軸筒連結部(連結機構)の長さを他の実施例と比較例に合わせた構成である。すなわち、連結機構は尾栓の基端側に装着部を形成するものであり、該装着部の先端側は周方向の断面を放射状に四等分した対向する扇形筒状の接続部を対峙させて長手方向に延設したものである。
比較例1は軸筒連結部の長さが5mm、比較例2は軸筒連結部の長さが15mmとし、持ち手長さがともに42mmであった。
【0043】
(評価項目)
作製された比較例1、2の塗布具を用いて、実施例1-4と同様に、以下の内容の評価を行った。

(1)軸筒単体の意匠性
塗布具としての意匠性(見栄え)を、一般消費者の目線で評価したところ、尾栓部空間の見栄えが悪いと評価する一般消費者が多かった。

(2)軸筒連結部の取り外しやすさ
比較例1の塗布具は、連結部の長さが5mmと短いため、取り外しやすさに特に問題はみられなかった。
一方、比較例2の塗布具は、連結面積(嵌合面積)が大きく、非常に取り外しにくいことが分かった。

(3)軸筒連結部の取り付けやすさ
比較例1、2の塗布具は、連結後の軸筒同士の位置から少しでも角度がずれると、連結できないことが分かった。

(4)軸筒連結部強度、連結片強度
比較例1、2はいずれも、軸筒連結部強度は十分であった。
また、比較例1は連結部が短いため、連結片強度に特に問題はなかった。
一方、比較例2の連結部は細長いため、連結片強度は十分でなく、折れやすいことが分かった。

(5)別部材の必要性
比較例1、2の塗布具は、別部材(尾栓)が必要な構成である。

(6-2)単体での塗布安定性試験2
比較例2の塗布具について、軸筒連結部の形状により、人差し指で支えられない場合があるかどうかを検証試験した。
結果を表6に示す。比較例2の塗布具は、軸筒単体を90°ずつ回転させると、人差し指に沿わせられず支えられない角度が存在し、安定して塗布することができない角度があることが分かった。

(8)必要な寸法精度
比較例1、2の塗布具は、射出成形によって作製可能である。よって、射出成形の一般的な公差は±0.03mm以下である。

以上の評価項目を表2にまとめた。
【0044】
【表2】
【0045】
(試料の作製)
表3に記載の比較例3、4の構成を有する塗布具を作製した。比較例3、4は特許文献2記載の内容から形状を割り出し、軸筒連結部(連結機構)の長さを他の実施例と比較例に合わせた構成である。すなわち、連結部は、円弧状の外側連結片が2つ、該外側連結片の内側に内側連結片が2つ設けられる構造である。また、2つの外側連結片及び2つの内側連結片は同じ長さであり、連結部の端部において面一となっている。
比較例3は軸筒連結部の長さが5mm、比較例4は軸筒連結部の長さが15mmとし、持ち手長さがともに42mmであった。
【0046】
(評価項目)
作製された比較例3、4の塗布具を用いて、実施例1-4と同様に、以下の内容の評価を行った。

(1)軸筒単体の意匠性
塗布具としての意匠性(見栄え)を、一般消費者の目線で評価したところ、軸筒連結部に空間もなく、見栄えは問題ないと評価する一般消費者が多かった。

(2)軸筒連結部の取り外しやすさ
比較例3の塗布具は、連結部の長さが5mmと短いため、取り外しやすさに特に問題はみられなかった。
一方、比較例4の塗布具は、連結面積(嵌合面積)が大きく、非常に取り外しにくいことが分かった。

(3)軸筒連結部の取り付けやすさ
比較例3、4の塗布具は、連結後の軸筒同士の位置から少しでも角度がずれると、連結できないことが分かった。

(4)軸筒連結部強度、連結片強度
比較例3は連結部が短いため簡単に外れたが、比較例4は、軸筒連結部強度は十分であった。
また、比較例3は連結部が短いため、連結片強度に特に問題はなかった。
一方、比較例4の連結部は細長いため、連結片強度は十分でなく、折れやすいことが分かった。

(5)別部材の必要性
比較例3、4の塗布具は、別部材が不要な構成である。

(6-2)単体での塗布安定性試験2
比較例4の塗布具について、軸筒連結部の形状により、人差し指で支えられない場合があるかどうかを検証試験した。
結果を表6に示す。比較例4の塗布具は、軸筒単体を90°ずつ回転させても、持ち手(人差し指)で安定して支えられ、安定して塗布することができることが分かった。

(8)必要な寸法精度
比較例3、4の塗布具は、射出成形によって作製可能である。よって、射出成形の一般的な公差は±0.03mm以下である。

以上の評価項目を表3にまとめた。
【0047】
【表3】
【0048】
(試料の作製)
表4に記載の比較例5-8の構成を有する塗布具を作製した。比較例5-8は特許文献3記載の内容から形状を割り出し、軸筒連結部(連結機構)の長さを他の実施例と比較例に合わせた構成である。すなわち、連結部材は、一対の外側円弧状連結片と、一対の内側円弧状連結片とからなる構造である。また、軸筒の縦断面において、外側円弧状連結片の端部は同じ長さで切断された構造であり、内側円弧状連結片の端部も同じ長さで切断された構造である。
比較例5、7は軸筒連結部の長さが5mm、比較例6、8は軸筒連結部の長さが15mmとし、持ち手長さはいずれも42mmであった。
【0049】
(評価項目)
作製された比較例5-8の塗布具を用いて、実施例1-4と同様に、以下の内容の評価を行った。

(1)軸筒単体の意匠性
塗布具としての意匠性(見栄え)を、一般消費者の目線で評価したところ、比較例5、6は軸筒連結部に長い半円部分が存在するため、見栄えがよくないと評価する一般消費者が多かった。
一方、軸筒連結部の半円部分が短い比較例7、8については、見栄えに特に問題ないと評価する一般消費者が多かった。

(2)軸筒連結部の取り外しやすさ
比較例5、7の塗布具は、連結部の長さが5mmと短いため、取り外しやすさに特に問題はみられなかった。
一方、比較例6、8の塗布具は、連結面積(嵌合面積)が大きく、非常に取り外しにくいことが分かった。

(3)軸筒連結部の取り付けやすさ
比較例5-8の塗布具は、連結後の軸筒同士の位置から少しでも角度がずれると、連結できないことが分かった。

(4)軸筒連結部強度、連結片強度
比較例5-8はいずれも、軸筒連結部強度は十分であった。
また、比較例5-8はいずれも、連結片強度に問題はなかった。

(5)別部材の必要性
比較例5-8の塗布具は、別部材が不要な構成である。

(6-2)単体での塗布安定性試験2
比較例6の塗布具について、軸筒連結部の形状により、人差し指で支えられない場合があるかどうかを検証試験した。
結果を表6に示す。比較例6の塗布具は、軸筒単体を90°ずつ回転させると、人差し指に沿わせられず支えられない角度が存在し、安定して塗布することができない角度があることが分かった。

(8)必要な寸法精度
比較例5-8の塗布具は、同様な連結機構を持つレゴブロックの寸法精度(公差は±0.002mm以下)に近いと考えられる。すなわち、塗布具作製時に実施例より高い寸法精度が要求される。

以上の評価項目を表4にまとめた。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
本明細書において、第1の軸筒21の第1の軸筒連結部211の部材について記載した箇所は、第1の軸筒連結部211と第2の軸筒連結部221は同じ形状であるため、第2の軸筒22の第2の軸筒連結部221の部材に読み替えることができる。
【0054】
本発明は以下に示した項目の構成を有し得る。
[項1]
第1の軸筒及び第2の軸筒を備える塗布具であって、
前記第1の軸筒は、第1の筆先連結部と、該第1の筆先連結部とは反対側に第1の軸筒連結部を有し、
前記第2の軸筒は、第2の筆先連結部と、該第2の筆先連結部とは反対側に第2の軸筒連結部を有し、
前記第1の軸筒連結部は、第1の外側連結片と第1の内側連結片を有し、前記第1の内側連結片は前記第1の外側連結片の内側に位置し、
前記第2の軸筒連結部は、第2の外側連結片と第2の内側連結片を有し、前記第2の内側連結片は前記第2の外側連結片の内側に位置し、
前記第1の軸筒連結部の横断面において、前記第1の外側連結片は円弧状であり、前記第1の内側連結片は円弧状であり、
前記第2の軸筒連結部の横断面において、前記第2の外側連結片は円弧状であり、前記第2の内側連結片は円弧状であり、
前記第1の軸筒連結部のうち前記第1の外側連結片の軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面において、前記第1の外側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、
前記第2の軸筒連結部のうち前記第2の外側連結片の軸方向の長さが最も短い部分と軸方向の長さが最も長い部分を通るように切った縦断面において、前記第2の外側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、
前記第1の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第1の内側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、
前記第2の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第2の内側連結片の端部は、S字曲線の形状であり、
前記第1の軸筒連結部の前記縦断面において、前記第1の外側連結片の端部のS字曲線と、前記第1の内側連結片の端部のS字曲線は、前記第1の軸筒連結部の軸芯に対して略線対称であり、
前記第1の軸筒連結部と前記第2の軸筒連結部は同じ形状であり、前記第1の外側連結片の端部と前記第2の外側連結片の端部を互いに沿わせて接触させるように係合可能な、塗布具。
[項2]
前記第1の外側連結片の端部と前記第2の外側連結片の端部が係合する場合、
前記第1の内側連結片のS字曲線形状の端部の一部又は全部と、前記第2の内側連結片のS字曲線形状の端部の一部又は全部を互いに沿わせて接触可能な、上記項1に記載の塗布具。
[項3]
前記第1の軸筒連結部の長さは、5mm以上である、上記項1又は2に記載の塗布具。
[項4]
前記第1の軸筒のうち前記第1の筆先連結部を除いた長さは、40mm以上であり、
前記第2の軸筒のうち前記第2の筆先連結部を除いた長さは、40mm以上である、上記項1-3のいずれか一項に記載の塗布具。
[項5]
前記第1の外側連結片の内面に、直線凸部を軸方向に設け、
前記第1の内側連結片の外表面に、前記直線凸部に噛み合わせ可能な直線凹部が軸方向に設けられる、上記項1-4のいずれか一項に記載の塗布具。
[項6]
前記第1の外側連結片の内面に、環状凹部を周方向に設け、
前記第1の内側連結片の外表面に、前記環状凹部に噛み合わせ可能な環状凸部が周方向に設けられる、上記項1-4のいずれか一項に記載の塗布具。
[項7]
前記第1の軸筒は一体的に成形され、前記第2の軸筒は一体的に形成される、上記項1-6のいずれか一項に記載の塗布具。
[項8]
上記項1-7のいずれか一項に記載の塗布具の使用方法であって、
前記第1の外側連結片と前記第2の外側連結片を係合させることにより、前記第1の軸筒及び前記第2の軸筒を連結した状態で使用する工程、又は、
前記第1の外側連結片と前記第2の外側連結片を脱離させることにより、前記第1の軸筒又は前記第2の軸筒を別々にして使用する工程、を含む、塗布具の使用方法。
【符号の説明】
【0055】
1 塗布具
21 第1の軸筒
211 第1の軸筒連結部
211a 第1の外側連結片
211aL 第1の外側連結片の直線凸部
211aA 第1の外側連結片の環状凹部
211b 第1の内側連結片
211bL 第1の内側連結片の直線凹部
211bA 第1の内側連結片の環状凸部
212 第1の筆先連結部
22 第2の軸筒
221 第2の軸筒連結部
221a 第2の外側連結片
221aL 第2の外側連結片の直線凸部
221aA 第2の外側連結片の環状凹部
221b 第2の内側連結片
221bL 第2の内側連結片の直線凹部
221bA 第2の内側連結片の環状凸部
222 第2の筆先連結部
31 第1のキャップ
32 第2のキャップ

L201 軸筒単体の持ち手長さ
L202 軸筒連結時の持ち手長さ
L203 軸筒連結部長さ
L204 軸筒中央部長さ
L205 外側連結片長さ
L206 内側連結片長さ
L207 軸筒外径(外側連結片外径)
L208 内側連結片外径(外側連結片内径)
L209 内側連結片内径
L210 筆先連結部長さ
L211 筆先連結部外径
L212 筆先連結部内径
L3 キャップ長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7