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特開2024-179611ネットワーク監視装置およびネットワーク監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179611
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ネットワーク監視装置およびネットワーク監視方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/045 20220101AFI20241219BHJP
【FI】
H04L43/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098594
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】福田 聡
(57)【要約】
【課題】互いに影響を与えうる複数のネットワークの統合監視を行うことができるようにする。
【解決手段】ネットワーク監視装置1は、それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおけるネットワーク管理システムから、ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得するデータ取得手段2と、取得された監視データを用いて、複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析するデータ分析手段3と、データ分析手段の分析結果を表示器に表示する表示制御手段4とを含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおける前記ネットワーク管理システムから、前記ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得するデータ取得手段と、
取得された監視データを用いて、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析するデータ分析手段と、
前記データ分析手段の分析結果を表示器に表示する表示制御手段と
を備えたネットワーク監視装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像および前記分析結果に応じた画像の表示データを前記表示器に出力する
請求項1記載のネットワーク監視装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、スタック表示される前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像の表示データを前記表示器に出力する
請求項2記載のネットワーク監視装置。
【請求項4】
前記データ分析手段は、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害に関連する他のコンピュータネットワークを特定する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のネットワーク監視装置。
【請求項5】
前記データ分析手段は、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害に関連する他のコンピュータネットワークの機器を検出し、
前記表示制御手段は、検出された前記機器を特定可能にする表示データを前記表示器に出力する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のネットワーク監視装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記分析結果としての前記関連性を示す補助情報の表示データを前記表示器に出力する
請求項5記載のネットワーク監視装置。
【請求項7】
それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおける前記ネットワーク管理システムから、前記ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得し、
取得された監視データを用いて、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析し、
分析結果を表示器に表示する
ネットワーク監視方法。
【請求項8】
前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像および前記分析結果に応じた画像の表示データを前記表示器に出力する
請求項7記載のネットワーク監視方法。
【請求項9】
スタック表示される前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像の表示データを前記表示器に出力する
請求項8記載のネットワーク監視方法。
【請求項10】
コンピュータに、
それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおける前記ネットワーク管理システムから、前記ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得する処理と、
取得された監視データを用いて、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析する処理と、
分析結果を表示器に表示する処理と
を実行させるためのネットワーク監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークの状況を統合監視するネットワーク監視装置およびネットワーク監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続されている機器を監視したり、ネットワークを通過するデータや機器の稼働状況などを監視するネットワーク管理システム(NMS:Network Management System)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ネットワークの管理者は、各機器を個別に調べることなく、例えばネットワーク監視装置としてのサーバで、ネットワークの状況を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-154301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一ユーザにおいて、複数のネットワークが運用されることがある。そして、複数のネットワークが互いに接続される形態で運用されることがある。その場合、あるネットワークにおいて障害(例えば、ネットワークに接続されている機器における障害)が発生すると、その障害が別のネットワークに影響を与えることがある。影響が与えられると、別のネットワークにおいて通信障害等が現れる。上記のあるネットワークにおける障害は、別のネットワークにおける通信障害等の原因に相当する。
【0006】
複数のネットワークが含まれるシステムにNMSを適用する場合、各々のネットワークに対してNMSを適用することが想定される。
【0007】
ネットワークにおいて通信障害等の障害が発生したときに、障害の原因が当該ネットワークにあるのか他のネットワークにあるかを判定する必要がある。そのような判定を行うには、時間がかかる。換言すれば、ネットワークが障害から復旧するのに時間がかかる。
【0008】
本発明は、互いに影響を与えうる複数のネットワークの統合監視を行うことができるネットワーク監視装置およびネットワーク監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるネットワーク監視装置は、それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおけるネットワーク管理システムから、ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得するデータ取得手段と、取得された監視データを用いて、複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析するデータ分析手段と、データ分析手段の分析結果を表示器に表示する表示制御手段とを含む。
【0010】
本発明によるネットワーク監視方法は、それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおけるネットワーク管理システムから、ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得し、取得された監視データを用いて、複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析し、分析結果を表示器に表示する。
【0011】
本発明によるネットワーク監視プログラムは、コンピュータに、それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおけるネットワーク管理システムから、ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得する処理と、取得された監視データを用いて、複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析する処理と、分析結果を表示器に表示する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、互いに影響を与えうる複数のネットワークの統合監視を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ネットワーク監視装置を適用可能な通信ネットワークの一例を示す説明図である。
図2】データの流れの一例を示す説明図である。
図3】障害発生の一例を示す説明図である。
図4】ネットワーク監視装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】ネットワーク監視装置を実現可能なコンピュータの構成例を示すブロック図である。
図6】表示器に表示される画像の一例を示す説明図である。
図7】ネットワーク監視装置の動作を示すフローチャートである。
図8】ネットワーク監視装置の主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、ネットワーク監視装置を適用可能な通信ネットワークの一例を示す説明図である。
【0015】
図1に例示された通信ネットワークには、3つのネットワーク(ネットワークA、ネットワークB、ネットワークC)が存在する。ネットワークA、ネットワークBおよびネットワークCのそれぞれは独立して運用されるが、各ネットワークは、ルータ等の機器で接続される。以下、ネットワークA、ネットワークBおよびネットワークCのそれぞれを、コンピュータネットワークと呼ぶ。
【0016】
作図の都合上、図1には、複数のネットワークAが示されているが、それらは、1つのコンピュータネットワークに属する。また、図1には、複数のネットワークBが示されているが、それらは、1つのコンピュータネットワークに属する。
【0017】
ただし、コンピュータネットワークが広域に構築される場合には、図1に示されている複数のネットワークAのそれぞれが、拠点の通信網(例えば、LAN(Local Area Network))に相当してもよい。ネットワークAにおける通信網は、通信回線で接続される。また、複数のネットワークBのそれぞれも、拠点の通信網に相当してもよい。なお、ネットワークCも、拠点の通信網に相当してもよい。
【0018】
以下、図1に示されている各々のネットワークAを、拠点(または、ネットワークAの拠点)ということがある。また、各々のネットワークBを、拠点(または、ネットワークBの拠点)ということがある。拠点は、LAN等の通信網である場合もあるが、下記のNEである場合もある。
【0019】
NEは、ネットワーク要素(Network Element:NE)を表す。本明細書では、NEには、サーバや端末(クライアント)といった機器が含まれる。また、NEとして、ルータ等のネットワーク機器が含まれてもよい。
【0020】
ネットワークA、ネットワークBおよびネットワークCのそれぞれに対して、NMS(Network Management System:ネットワーク管理システム)101,102,103が設けられている。NMSの機能として、NEの死活監視、NEの情報を定期的に収集して保存(監視データの収集および保存)、収集したデータに基づく分析、ネットワークにおける様々な障害の検出等がある。監視データには、少なくとも、NEのログ(稼働状況に関するデータ)、および、通信に関するデータ(通信ポートの監視結果など)が含まれる。
【0021】
NMS101,102,103のそれぞれは、例えば、サーバに実装されたプログラムで実現される。すなわち、サーバにおけるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することによって、NMSの機能が実現される。なお、NMS101,102,103は、専用回路等のハードウェアで実現されてもよい。
【0022】
図2は、データの流れの一例を示す説明図である。図2には、ネットワークAのある拠点のNEが、ネットワークBのある拠点、ネットワークC、およびネットワークBの別の拠点を経由して、ネットワークAの別の拠点のNEと通信可能である例が示されている。ネットワークAのある拠点のNEからネットワークAの別の拠点のNEとの通信経路を、ルートPとする。
【0023】
図3は、障害発生の一例を示す説明図である。図3には、ネットワークCにおいて障害が発生したことが例示されている。ネットワークCに対して設けられているNMS103は、その障害を検知できる。
【0024】
ネットワークCにおける障害に起因して、ルートPでの通信が不能になることがある。しかし、NMS101は、ルートPでの通信が不能になったことを通信障害として検知できる。しかし、NMS101は、ネットワークAの監視しか行っていないので、ルートPでの通信が不能になった原因を検知できない。図3に示された例では、ネットワークCでの障害が原因だからである。その場合、NMS101の管理者または管理者の指揮下にある作業者は、障害の原因を究明するための調査作業を行ったり、他の拠点に問い合わせを行うことが求められる。その結果、障害から復旧するまでの時間が長くなる。
【0025】
以下の実施形態のネットワーク監視装置は、上記のような障害から復旧するまでの時間を短縮可能である。
【0026】
図4は、ネットワーク監視装置の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すネットワーク監視装置10は、データ収集部11、記憶部12、データ分析部13、および表示制御部14を備えている。
【0027】
データ収集部11は、複数のコンピュータネットワークの各々を管理するNMSから、NMSは保有するデータを収集する。以下、NMSとして、図1に例示されたNMS101,102,103を例にする。上述したように、NMS101は、ネットワークAに関するデータ(NE等に関する監視データなど)を保有する。NMS102は、ネットワークBに関するデータ(NE等に関する監視データなど)を保有する。NMS103は、ネットワークCに関するデータ(NE等に関する監視データなど)を保有する。
【0028】
記憶部12は、データ収集部11が収集したデータを保存する。データ分析部13は、記憶部12に保存されているデータを用いて分析処理を行う。表示制御部14は、記憶部12に保存されているデータおよびデータ分析部13による分析結果から表示データを生成する。表示制御部14は、表示データを表示器20に出力する。
【0029】
図5は、ネットワーク監視装置を実現可能なコンピュータの構成例を示すブロック図である。図5に示すコンピュータは、CPU1000、プログラムメモリ1001、メモリ1002、通信インタフェース1003、および出力インタフェース1004を含む。
【0030】
図4に示されたデータ収集部11、データ分析部13および表示制御部14は、ソフトウェアで実現可能である。すなわち、例えば、図5に例示されたコンピュータにおけるプログラムメモリ1001に格納されたプログラムに従ってCPU1000が処理を実行することによって、データ収集部11、データ分析部13および表示制御部14の機能を実現できる。
【0031】
なお、図5に示された通信インタフェース1003は、データ収集部11の一部(通信回路など)を実現する。また、出力インタフェース1004は、表示器20に対する出力回路を実現する。
【0032】
データ収集部11をソフトウェアで実現する場合、専用ソフトウェアを開発してもよいが、既存汎用品であるCOTS(Commercial Off-The-Shelf:商用オフザシェルフ)を使用してもよい。その場合、OSS(Open Source Software)のCOTSを使用することが好ましい。ソースコードを入手可能であるため、ソフトウェアに問題が生じたときの対応が容易であるからである。
【0033】
専用ソフトウェアを使用する場合でもCOTSを使用する場合でも、データ収集部11の機能は、一例として、エージェントで実現できる。すなわち、エージェント機能を有する専用ソフトウェアを開発するか、または、エージェント機能を有するCOTSが採用される。
【0034】
エージェント機能は、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)を利用して実現可能である。その場合、データ収集部11は、図5に例示されたコンピュータに実装されるSNMPマネージャで実現される。また、NMS101,102,103のそれぞれに、SNMPエージェントが実装される。
【0035】
SNMPマネージャは、定期的なデータ収集のためにNMS101,102,103におけるSNMPエージェントに対してポーリングを行ったり、SNMPエージェントからトラップを受ける。ポーリングやトラップによって、データ収集部11は、NMS101,102,103が保有するデータを得ることができる。
【0036】
OSSのCOTSとして、例えば、Zabbix(登録商標)を使用できる。Zabbixが使用される場合、図5に例示されたコンピュータに、データ収集部11を実現するためのZabbixサーバが実装される。また、NMS101,102,103のそれぞれに、Zabbixエージェントが実装される。Zabbixエージェントは、NMS101,102,103が保有するデータを、Zabbixサーバに送信する。
【0037】
データ分析部13をソフトウェアで実現する場合、図5に例示されたコンピュータに、データ分析プログラムが格納される。データ分析プログラムは、記憶部12に保存されているデータから、いずれかのコンピュータネットワークにおいて障害が発生したことを検出する機能を実現する。また、データ分析プログラムは、障害発生箇所を特定する機能を実現する。
【0038】
一般に、NMS101,102,103は、対応するコンピュータネットワークにおける各NEの監視データを収集して保存する。また、NMS101,102,103は、対応するコンピュータネットワークにおける様々な障害を検出する機能を有する。
【0039】
データ収集部11は、NMS101,102,103から監視データを収集して、それらを記憶部12に保存する。したがって、データ分析部13は、監視データから、いずれのNEに障害が生じたのかを特定可能である。また、図3に示す例では、データ分析部13は、監視データから、ネットワークAに対応するNMS101が通信障害を検知したことを把握できる。具体的には、データ収集部11は、図3における左上に示されている拠点において発生した通信障害をNMS101が検知したことを把握できる。
【0040】
例えば、記憶部12に、あらかじめ、少なくとも、各拠点における通信障害と、それを引き起こしうる他のコンピュータネットワークにおける1つまたは複数のNEを示すデータ(障害の原因を特定可能なデータ)とが対応して記憶される。それらのデータは、一例として、テーブル形式で記憶部12に記憶されている。データ分析部13は、テーブルを参照して、ある拠点(この例では、図3における左上に示されている拠点)において発生した通信障害の原因になっている他のコンピュータネットワークにおけるNEを特定する。換言すれば、データ分析部13は、あるNMSで発生した障害が他のNMSと関連があるか否か判定する。データ分析部13は、障害が発生したときに、その障害に関連する別のコンピュータネットワークのNEを検出するともいえる。以下、障害が発生したときに、その障害に関連する別のコンピュータネットワークのNEを検出することを、関連性を判定するという。
【0041】
なお、データ分析部13が、関連性を判定するために上記のようなテーブルを使用することは一例である。データ分析部13は、他の方法で、関連性を判定してもよい。
【0042】
一例として、データ分析部13は、機械学習による学習済みモデルを用いて、関連性を判定する。データ分析部13は、例えば、発生した障害に関するパラメータ(障害発生箇所や障害の程度など)を説明変数とし、原因となった別のコンピュータネットワークにおけるNEを目的変数として学習された学習済みモデルを用いる。すなわち、データ分析部13は、実際に発生した障害に関するパラメータを学習済みモデルに入力して、分析結果として、発生した障害の原因を得る。発生した障害の原因は、発生した障害に関連する事項である。
【0043】
表示制御部14は、記憶部12に記憶されているデータとデータ分析部13の分析結果とに基づいて、各コンピュータネットワーク(図1に示す例では、ネットワークA、ネットワークB、ネットワークC)の状況を可視表示するための制御を行う。
【0044】
図6は、表示器20に表示される画像(表示画像)の一例を示す説明図である。
【0045】
図6に示す例では、画像Xと画像Yと画像Zとがスタック表示されている。すなわち、一画面に、画像Xと画像Yと画像Zとが重ねて表示される。なお、画像Xと画像Yと画像Zとは、視認性等の観点からスタック表示されることが好ましいが、例えば、一画面における別ウィンドウで表示されてもよい。
【0046】
また、監視者等のユーザが、画像Xと画像Yと画像Zとのうちのいずれかを選択(例えば、マウスでクリック)すると、選択された画像に対応するコンピュータネットワークにおいて生じている障害の詳細情報が、例えば、テキストで表示されるようにしてもよい。
【0047】
図1に示された通信ネットワークを例にする。画像Xが、図1に示されたネットワークAに対応し、画像Yが、図1に示されたネットワークBに対応し、画像Zが、図1に示されたネットワークCに対応することを想定する。したがって、画像Xに対応するコンピュータネットワークは、NMS101で監視される。画像Yに対応するコンピュータネットワークは、NMS102で監視される。画像Zに対応するコンピュータネットワークは、NMS103で監視される。
【0048】
図6において、白丸は、コンピュータネットワークに接続されたNE(機器)を示す。黒丸は、NMS101,102,103で障害が検出された箇所a1,a2,b1,b2,cを示す。
【0049】
なお、白丸および黒丸に示される箇所を拠点に位置付けてもよい。上述したように、拠点には、LAN等の通信網が設置されうる。その場合、黒丸で示される箇所に、少なくとも1つのNEが存在する。白丸または黒丸を繋ぐ実線は、通信回線を示す。
【0050】
破線Rの両端の白丸または黒丸は、2つのコンピュータネットワークの接続ポイントとしてのNEを示す。それらは、例えば、ルータである。なお、破線Rは、表示されなくてもよい。
【0051】
黒丸を繋ぐ破線Qは、障害が検出された箇所またはNEが関連していることを示す。すなわち、破線Qは、障害発生箇所に関する関連性を示す補助情報の表示の一例である。補助情報の表示は、線による表示に限られない。例えば、表示制御部14は、テキストで、障害が検出された箇所またはNEが関連していることを表示器20に表示してもよい。
【0052】
図6に示す例では、日本国内において広域に構築されたコンピュータネットワークが想定されている。したがって、図6には、コンピュータネットワークに対応する画像として、日本地図の画像が表示される例が示されている。ネットワーク監視装置10において、例えば、記憶部12に、日本地図の画像データがあらかじめ格納されている。表示制御部14は、記憶部12から日本地図の画像データを読み出して、日本地図の表示データを作成できる。
【0053】
また、例えば、記憶部12に、コンピュータネットワークに接続されたNEまたは拠点の位置を示すデータが、あらかじめ格納されている。また、記憶部12に、NEまたは拠点間の通信回線の有無を示すデータが、あらかじめ格納されている。表示制御部14は、記憶部12から、それらのデータを読み出して、NEまたは拠点を示す表示データ、および、通信回線を示す表示データを作成できる。なお、あらかじめ、日本地図の画像データに、NEまたは拠点の位置を示す丸印、および、通信回線を示す線が、重畳されていてもよい。
【0054】
次に、図7のフローチャートを参照して、ネットワーク監視装置10の動作を説明する。図7は、ネットワーク監視装置10の動作を示すフローチャートである。
【0055】
以下の説明では、ネットワーク監視装置10が、図1に示された通信ネットワークにおけるNMS101,102,103から監視データを取得することが例にされる。また、ネットワーク監視装置10がNMS101,102,103から定期的に監視データを取得する場合を例にする。さらに、自ネットワークにおいて障害が発生したことを検知したNMSが、そのことをネットワーク監視装置10に通知することがある場合を例にする。以下、NMSからのネットワーク監視装置10に対する障害に関する通知をトラップという。
【0056】
ネットワーク監視装置10において、データ収集部11は、監視データの取得タイミングが到来すると(ステップS11)、NMS101,102,103から監視データを収集(取得)する(ステップS12)。データ収集部11は、収集した監視データを記憶部12に保存する(ステップS13)。そして、ステップS21に移行する。
【0057】
また、データ収集部11は、いずれかのNMS101,102,103からトラップを受けた場合に(ステップS14)、トラップを発行したコンピュータネットワークにおける障害の内容を、トラップに付随する情報から把握する(ステップS15)。そして、ステップS21に移行する。把握される障害の内容には、障害発生箇所などの情報が含まれる。なお、厳密にいうと、トラップは、NMS(NMSにおけるエージェントなど)から発行される。
【0058】
ステップS21では、データ分析部13は、記憶部12に記憶されているNMS101,102,103からの監視データを用いて、1つ以上のコンピュータネットワークにおいて障害が発生したか否か判定する。データ分析部13は、障害が発生したことを検出した場合には(ステップS22)、障害の関連性を判定する。具体的には、データ分析部13は、通信ネットワークにおける複数箇所(より具体的には、あるコンピュータネットワークにおける箇所と、別のコンピュータネットワークにおける箇所)で障害が発生したときに、それらの箇所を関連する箇所とする。ステップS21の処理において、データ分析部13は、複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害に関連する他のコンピュータネットワークを特定する処理も行っている。
【0059】
なお、データ分析部13は、ステップS15の処理を実行した後にステップS21の処理を実行する場合には、ステップS15の処理で把握した障害発生箇所も関連性の判定対象とする。
【0060】
表示器20は、一例として液晶表示デバイスである。液晶表示デバイスを駆動するために、表示用メモリとしてのフレームバッファ(図4および図5において図示せず)と、フレームバッファに格納されている表示データに基づいて液晶素子を駆動する駆動回路(図4および図5において図示せず)とが設けられている構成を例にする。フレームバッファおよび駆動回路は、表示器20に内蔵されていてもよい。
【0061】
表示制御部14は、記憶部12から必要なデータを読み出す。図1に示す例では、日本地図の画像データ、コンピュータネットワークに接続されたNEまたは拠点の位置を示すデータ、およびNEまたは拠点間の通信回線の有無を示すデータが記憶部12から読み出される。
【0062】
表示制御部14は、記憶部12から読み出したデータから、コンピュータネットワークが設置されているエリア(例えば、日本列島全体)、機器(NEまたは拠点)、通信回線、および障害発生箇所を含む表示データを作成する。そして、表示制御部14は、表示データをフレームバッファに書き込む(ステップS24)。
【0063】
さらに、表示制御部14は、関連性を示す補助情報の表示データをフレームバッファに書き込む(ステップS25)。
【0064】
駆動回路がフレームバッファに格納されている表示データに基づいて液晶素子を駆動することによって、表示器20には、図3に例示されたような画像が表示される。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態では、互いに影響を与えうる複数のコンピュータネットワーク(例えば、ネットワークA、ネットワークB、ネットワークC)のそれぞれを監視するNMSから収集したデータに基づく画像が、一元的に表示される。表示される画像には、複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を把握可能な補助情報に基づく画像が含まれる。したがって、監視者等は、容易に障害発生箇所を特定でき、また、障害の原因を容易に突き止めることができる。また、OSSのCOTSを採用することによって、開発コストを抑えられる。
【0066】
[応用例]
自衛隊では、陸上、海上、航空、統合幕僚監部ごとに、かつ、伝送路別に、ネットワークが構築され、各ネットワークがNMSで管理されている。そのような一ユーザにおいて多数のネットワークが運用されるシステムにおいて、上記の実施形態のネットワーク監視装置は好適に適用可能である。
【0067】
図8は、ネットワーク監視装置の主要部を示すブロック図である。図8に示すネットワーク監視装置1は、それぞれに対してネットワーク管理システム(例えば、NMS101,102,103)が設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワーク(例えば、ネットワークA、ネットワークB、ネットワークC)におけるネットワーク管理システムから、ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得するデータ取得手段2(実施形態では、データ収集部11で実現される。)と、取得された監視データを用いて、複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析するデータ分析手段3(実施形態では、データ分析部13で実現される。)と、データ分析手段3の分析結果を表示器20に表示する表示制御手段4(実施形態では、表示制御部14で実現される。)とを備えている。
【0068】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は、以下の構成に限定されるわけではない。
【0069】
(付記1)それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおける前記ネットワーク管理システムから、前記ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得するデータ取得手段と、
取得された監視データを用いて、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析するデータ分析手段と、
前記データ分析手段の分析結果を表示器に表示する表示制御手段と
を備えたネットワーク監視装置。
【0070】
(付記2)前記表示制御手段は、前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像および前記分析結果に応じた画像の表示データを前記表示器に出力する
付記1のネットワーク監視装置
【0071】
(付記3)前記表示制御手段は、スタック表示される前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像の表示データを前記表示器に出力する
付記2のネットワーク監視装置。
【0072】
(付記4)前記データ分析手段は、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害に関連する他のコンピュータネットワークを特定する
付記1から付記3のいずれかのネットワーク監視装置。
【0073】
(付記5)前記データ分析手段は、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害に関連する他のコンピュータネットワークの機器を検出し、
前記表示制御手段は、検出された前記機器を特定可能にする表示データを前記表示器に出力する
付記1から付記4のいずれかのネットワーク監視装置。
【0074】
(付記6)前記表示制御手段は、前記分析結果としての前記関連性を示す補助情報の表示データを前記表示器に出力する
付記5のネットワーク監視装置。
【0075】
(付記7)それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおける前記ネットワーク管理システムから、前記ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得し、
取得された監視データを用いて、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析し、
分析結果を表示器に表示する
ネットワーク監視方法。
【0076】
(付記8)前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像および前記分析結果に応じた画像の表示データを前記表示器に出力する
付記7のネットワーク監視方法。
【0077】
(付記9)スタック表示される前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像の表示データを前記表示器に出力する
付記8のネットワーク監視方法。
【0078】
(付記10)前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害に関連する他のコンピュータネットワークを特定する
付記7から付記9のいずれかのネットワーク監視方法。
【0079】
(付記11)前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害に関連する他のコンピュータネットワークの機器を検出し、
検出された前記機器を特定可能にする表示データを前記表示器に出力する
付記7から付記10のいずれかのネットワーク監視方法。
【0080】
(付記12)前記分析結果としての前記関連性を示す補助情報の表示データを前記表示器に出力する
付記11のネットワーク監視方法。
【0081】
(付記13)コンピュータに、
それぞれに対してネットワーク管理システムが設置され他のコンピュータネットワークとデータのやりとりを行うことが可能な複数のコンピュータネットワークにおける前記ネットワーク管理システムから、前記ネットワーク管理システムが収集した監視データを取得する処理と、
取得された監視データを用いて、前記複数のコンピュータネットワークのいずれかで発生した障害と他のコンピュータネットワークで発生した障害との関連性を分析する処理と、
分析結果を表示器に表示する処理と
を実行させるためのネットワーク監視プログラム。
【0082】
(付記14)コンピュータに、
前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像および前記分析結果に応じた画像の表示データを前記表示器に出力させる
付記13のネットワーク監視プログラム。
【0083】
(付記15)コンピュータに、
スタック表示される前記複数のコンピュータネットワークのそれぞれに対応する画像の表示データを前記表示器に出力させる
付記14のネットワーク監視プログラム。
【符号の説明】
【0084】
1,10 ネットワーク監視装置
2 データ取得手段
3 データ分析手段
4 表示制御手段
11 データ収集部
12 記憶部
13 データ分析部
14 表示制御部
20 表示器
101,102,103 NMS(ネットワーク管理システム)
1000 CPU
1001 プログラムメモリ
1002 メモリ
1003 通信インタフェース
1004 出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8