(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179620
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】接着剤の塗布状態の検査システム、検査装置、検査プログラム、および検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/958 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G01N21/958
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098604
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野々村 博之
(72)【発明者】
【氏名】加賀野 未来
(72)【発明者】
【氏名】西原 淳
(72)【発明者】
【氏名】白須賀 恵一
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB13
2G051BA01
2G051BA08
2G051CA04
2G051CB01
2G051EA11
2G051EB01
2G051ED04
(57)【要約】
【課題】光を透過する接着剤によって対象物において形成された塗布状態に対する検査の精度を向上させる。
【解決手段】撮像装置20は、複数の光源31~33から出射された光の反射光を接着面F10から受けて、接着面F10の画像を生成する。複数の光源31~33は、互いに異なる波長の光を重なり合うように出射し、接着面F10において第2部材121に隣接する互いに異なる複数の領域R11~R14が、複数の光源31~33のうち少なくとも一つの光源からの光によって照射されるとともに、複数の光源31~33のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られるように配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する接着剤によって、第1部材の接着面に第2部材が接着された対象物を検査するための検査システムであって、
前記接着面に互いに異なる波長の光を重なり合うように出射する複数の光源と、
前記複数の光源から出射された光の反射光を前記接着面から受けて、前記接着面の画像を生成する撮像装置と、
前記画像に対して少なくとも1つの処理を行う情報処理装置とを備え、
前記複数の光源は、前記接着面において前記第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域が、前記複数の光源のうち少なくとも一つの光源からの光によって照射されるとともに、前記複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られるように配置される、検査システム。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第1部材に当接する第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、側面である第3面とを有し、
前記複数の領域は、前記第2面および前記第3面によって前記複数の光源のうち少なくとも一つの光源からの光が遮られる、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの処理は、前記複数の光源の各々に対応する画素値に関する二値化処理によって、前記画像において前記第2部材に隣接する前記接着剤に対応する接着剤領域を抽出する処理を含む、請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記複数の光源からそれぞれ出射される複数の光の合成光は、白色光であり、
前記複数の光源は、第1光源と、第2光源と、第3光源とを含み、
前記第1光源は、前記第2部材に隣接する、前記接着面の第1領域および第2領域に出射し、
前記第2光源は、前記第2部材に隣接する前記接着面の第3領域に出射し、
前記第3光源は、前記第2領域、および前記第2部材に隣接する前記接着面の第4領域に出射する、請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記画像に含まれる複数の画素の各々は、前記第1光源から出射される光に対応する第1画素値と、前記第2光源から出射される光に対応する第2画素値と、前記第3光源から出射される光に対応する第3画素値とを含み、
前記接着剤領域を抽出する処理は、
前記複数の画素のうち、前記第1画素値が第1閾値より大きく、かつ、前記第2画素値が第2閾値より小さく、かつ、前記第3画素値が第3閾値より小さい少なくとも1つの第1画素を特定し、
前記複数の画素のうち、前記第1画素値が前記第1閾値より小さく、かつ、前記第2画素値が前記第2閾値より大きく、かつ、前記第3画素値が前記第3閾値より小さい少なくとも1つの第2画素を特定し、
前記複数の画素のうち、前記第1画素値が前記第1閾値より小さく、かつ、前記第2画素値が前記第2閾値より小さく、かつ、前記第3画素値が前記第3閾値より大きい少なくとも1つの第3画素を特定し、
前記複数の画素のうち、前記第1画素値が前記第1閾値より大きく、かつ、前記第2画素値が前記第2閾値より小さく、かつ、前記第3画素値が前記第3閾値より大きい少なくとも1つの第4画素を特定し、
前記少なくとも1つの第1画素、前記少なくとも1つの第2画素、前記少なくとも1つの第3画素、および前記少なくとも1つの第4画素を前記接着剤領域として抽出する、請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記第2部材の反射率は、前記第1部材の反射率とは異なり、
前記少なくとも1つの処理は、
前記画像において前記第2部材に隣接する外周領域を抽出する処理と、
前記外周領域と前記接着剤領域との共通領域を抽出する処理と、
前記外周領域の面積に対する前記共通領域の面積の割合に基づいて、前記接着剤の塗布状態を判定する処理とをさらに含む、請求項5に記載の検査システム。
【請求項7】
前記外周領域を抽出する処理は、前記複数の画素のうち、前記第1領域~前記第4領域のいずれかにおいて前記第2部材に隣接する複数の外周画素を特定し、
前記共通領域を抽出する処理は、前記複数の外周画素に含まれ、かつ、前記少なくとも1つの第1画素~前記少なくとも1つの第4画素のいずれかに含まれる少なくとも1つの共通画素を特定し、
前記塗布状態を判定する処理は、前記複数の外周画素の面積に対する前記少なくとも1つの共通画素の面積の割合を用いて、前記接着剤の前記塗布状態を判定する、請求項6に記載の検査システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの処理は、前記画像の基準位置に対する前記画像における前記第2部材の位置が前記第2部材に対応する基準範囲に含まれているか否かを判定する処理を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項9】
光を透過する接着剤によって、第1部材の接着面に第2部材が接着された対象物を検査するための検査装置であって、
前記接着面の画像が保存される記憶部と、
前記画像に対して画像処理を行う処理部とを備え、
前記画像は、複数の光源から出射された光の反射光を前記接着面から受ける撮像装置によって生成され、
前記複数の光源は、前記第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域に、互いに異なる波長の光がそれぞれ重なり合うように出射し、
前記複数の領域は、前記複数の光源のうち少なくとも一つの光源によって照射されるとともに、前記複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られ、
前記第2部材の反射率は、前記第1部材の反射率とは異なり、
前記画像処理は、
前記画像において前記第2部材に隣接する外周領域を抽出し、
前記複数の光源の各々に対応する画素値に関する二値化処理によって、前記画像において前記第2部材に隣接する前記接着剤に対応する接着剤領域を抽出し、
前記外周領域と前記接着剤領域との共通領域を抽出し、
前記外周領域の大きさに対する前記共通領域の大きさの割合に基づいて、前記接着剤の塗布状態を判定する、検査装置。
【請求項10】
光を透過する接着剤によって、第1部材の接着面に第2部材が接着された対象物を検査するための検査プログラムであって、
前記検査プログラムは、処理回路によって実行されることによって、前記処理回路に前記接着面の画像に対する画像処理を行わせ、
前記画像は、複数の光源から出射された光の反射光を前記接着面から受ける撮像装置によって生成され、
前記複数の光源は、前記接着面において前記第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域に、互いに異なる波長の光がそれぞれ重なり合うように出射し、
前記複数の領域は、前記複数の光源のうち少なくとも一つの光源によって照射されるとともに、前記複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られ、
前記第2部材の反射率は、前記第1部材の反射率とは異なり、
前記画像処理は、
前記画像において前記第2部材に隣接する外周領域を抽出し、
前記複数の光源の各々に対応する画素値に関する二値化処理によって、前記画像において前記第2部材に隣接する前記接着剤に対応する接着剤領域を抽出し、
前記外周領域と前記接着剤領域との共通領域を抽出し、
前記外周領域の大きさに対する前記共通領域の大きさの割合に基づいて、前記接着剤の塗布状態を判定する、検査プログラム。
【請求項11】
光を透過する接着剤によって、第1部材の接着面に第2部材が接着された対象物を検査するための検査方法であって、
前記検査方法は、前記接着面の画像に対して画像処理を行い、
前記画像は、複数の光源から出射された光の反射光を前記接着面から受ける撮像装置によって生成され、
前記複数の光源は、前記接着面において前記第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域に、互いに異なる波長がそれぞれ重なり合うように出射し、
前記複数の領域は、前記複数の光源のうち少なくとも一つの光源によって照射されるとともに、前記複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られ、
前記第2部材の反射率は、前記第1部材の反射率とは異なり、
前記画像処理は、
前記画像において前記第2部材に隣接する外周領域を抽出するステップと、
前記複数の光源の各々に対応する画素値に関する二値化処理によって、前記画像において前記第2部材に隣接する前記接着剤に対応する接着剤領域を抽出するステップと、
前記外周領域と前記接着剤領域との共通領域を抽出するステップと、
前記外周領域の大きさに対する前記共通領域の大きさの割合に基づいて、前記接着剤の塗布状態を判定するステップとを含む、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着剤の塗布状態の検査システム、検査装置、検査プログラム、および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤の塗布状態を検査する構成が知られている。たとえば、特開2020-071195号公報(特許文献1)には、接着剤で2つの被着体を接着することにより構成される貼り合わせ被着体からなる被検査対象物を検査する検査装置が開示されている。当該検査装置においては、接着剤中に散在する気泡に起因して被着体同士の接着が弱まり得る被検査対象物の箇所の有無を判定するため、被検査対象物に光を照射して、被検査対象物からの反射光を撮影することによって取得される被検査対象物の画像から、二値化画像が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接着剤が光を透過する場合(たとえば、接着剤が透明または半透明である場合)、自然光を用いて撮影された被検査対象物の画像において、接着剤によって被覆されている被着体の領域である接着剤領域の色が当該被着体の色に類似する。その結果、当該画像から生成された二値化画像において接着剤領域に対応する画素の識別が困難になり得る。特許文献1に開示された検査装置によると、接着剤が光を透過する場合に、被検査対象物における接着剤の塗布状態に対する検査の精度が低下し得る。
【0005】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、光を透過する接着剤によって対象物において形成された接着剤の塗布状態に対する検査の精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に係る検査システムは、光を透過する接着剤によって、第1部材の接着面に第2部材が接着された対象物を検査する。検査システムは、複数の光源と、撮像装置と、情報処理装置とを備える。複数の光源は、接着面に互いに異なる波長の光を重なり合うように出射する。撮像装置は、複数の光源から出射された光の反射光を接着面から受けて、接着面の画像を生成する。情報処理装置は、画像に対して少なくとも1つの処理を行う。複数の光源は、接着面において第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域が、複数の光源のうち少なくとも一つの光源からの光によって照射されるとともに、前記複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られるように配置される。
【0007】
本開示の他の局面に係る検査装置は、光を透過する接着剤によって、第1部材の接着面に第2部材が接着された対象物を検査する。検査装置は、記憶部と、処理部とを備える。記憶部には、接着面の画像が保存される。処理部は、画像に対して画像処理を行う。画像は、複数の光源から出射された光の反射光を接着面から受ける撮像装置によって生成される。複数の光源は、第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域に、互いに異なる波長の光がそれぞれ重なり合うように出射する。複数の領域は、複数の光源のうち少なくとも一つの光源によって照射されるとともに、複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られる。第2部材の反射率は、第1部材の反射率とは異なる。画像処理は、画像において第2部材に隣接する外周領域を抽出し、複数の光源の各々に対応する画素値に関する二値化処理によって、画像において第2部材に隣接する接着剤に対応する接着剤領域を抽出し、外周領域と接着剤領域との共通領域を抽出し、外周領域の大きさに対する共通領域の大きさの割合に基づいて、接着剤の塗布状態を判定する。
【0008】
本開示の他の局面に係る検査プログラムは、光を透過する接着剤によって、第1部材の接着面に第2部材が接着された対象物を検査する。検査プログラムは、処理回路によって実行されることによって、処理回路に接着面の画像に対する画像処理を行わせる。画像は、複数の光源から出射された光の反射光を接着面から受ける撮像装置によって生成される。複数の光源は、接着面において第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域に、互いに異なる波長の光がそれぞれ重なり合うように出射する。複数の領域は、複数の光源のうち少なくとも一つの光源によって照射されるとともに、複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られる。第2部材の反射率は、第1部材の反射率とは異なる。画像処理は、画像において第2部材に隣接する外周領域を抽出し、複数の光源の各々に対応する画素値に関する二値化処理によって、画像において第2部材に隣接する接着剤に対応する接着剤領域を抽出し、外周領域と接着剤領域との共通領域を抽出し、外周領域の大きさに対する共通領域の大きさの割合に基づいて、接着剤の塗布状態を判定する。
【0009】
本開示の他の局面に係る検査方法は、光を透過する接着剤によって、第1部材の接着面に第2部材が接着された対象物を検査する。検査方法は、接着面の画像に対して画像処理を行う。画像は、複数の光源から出射された光の反射光を接着面から受ける撮像装置によって生成される。複数の光源は、接着面において第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域に、互いに異なる波長の光がそれぞれ重なり合うように出射する。複数の領域は、複数の光源のうち少なくとも一つの光源によって照射されるとともに、複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られる。第2部材の反射率は、第1部材の反射率とは異なる。画像処理は、画像において第2部材に隣接する外周領域を抽出するステップと、複数の光源の各々に対応する画素値に関する二値化処理によって、画像において第2部材に隣接する接着剤に対応する接着剤領域を抽出するステップと、外周領域と接着剤領域との共通領域を抽出するステップと、外周領域の大きさに対する共通領域の大きさの割合に基づいて、第1部材と第2部材との塗布状態を判定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示に検査システム、検査装置、検査プログラム、および検査方法によれば、複数の光源が接着面において第2部材に隣接する互いに異なる複数の領域が複数の光源のうち少なくとも一つの光源によって照射されるとともに、複数の光源のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られることにより、光を透過する接着剤によって対象物において形成された接着剤の塗布状態に対する検査の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る検査システムの構成、および情報処理装置の制御ブロックを併せて示す図である。
【
図2】
図1の対象物の接着面を自然光の下でZ軸方向から平面視した図である。
【
図3】
図1の対象物の接着面を3つの光源で照らした状態でZ軸方向から平面視した図である。
【
図4】対象物の検査画像に含まれる、部材に対応する複数の画素、および部材に隣接する外周領域に対応する複数の画素を併せて示す図である。
【
図5】対象物の検査画像に含まれる、部材に対応する複数の画素、および接着剤領域に対応する複数の画素を併せて示す図である。
【
図6】対象物の検査画像に含まれる、部材に対応する複数の画素、外周領域に対応する複数の画素、および接着剤領域に含まれる複数の画素を併せて示す図である。
【
図7】
図1の検査プログラムを実行する処理回路によって行われる、対象物の塗布状態の検査処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図7の塗布率算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図7の塗布状態判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図1の検査プログラムを実行する処理回路によって行われる、対象物の接着位置の検査処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。
【0013】
図1は、実施の形態に係る検査システム1の構成、および情報処理装置100の制御ブロックを併せて示す図である。
図1において、X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交する。
図2~
図6においても同様である。
【0014】
図1に示すように、検査システム1は、対象物100の塗布状態を検査する。対象物100は、部材110と、部材121と、部材122とを含む。部材110は、たとえば、アルミ素材の方形の金属カバーである。部材121,122は、たとえば、不透明であるシリコンゴム素材で方形に成型された電波吸収体である。部材121,122は、部材110の接着面F10に、光を透過する接着剤によって接着されている。
図1においては、接着面F10の法線方向がZ軸方向として、対象物100をY軸方向から平面視した様子が示されている。部材121,122の各々の反射率は、部材110の反射率とは異なる。以下では、部材110の反射率が部材121,122の各々の反射率よりも大きい場合について説明する。なお、部材110の接着面F10に接着される部材の数は、1個でもよいし、3個以上であってもよい。なお、部材110は第1部材に対応し、部材121,122の各々は第2部材に対応する。
【0015】
検査システム1は、情報処理装置10と、撮像装置20と、光源31と、光源32と、光源33とを含む。光源31~33は、接着面F10に互いに異なる波長の光を重なり合うように出射する。光源31~33からそれぞれ出射される複数の光の合成光は、白色光である。光源31~33は、たとえば、赤色光(R)、青色光(B)、および緑色光(G)をそれぞれ出射する。光源31~33の各々は、たとえば、LED(Light Emitting Diode)を含み、照射範囲に均等に光を照射する。方向Dr1,Dr2,Dr3は、それぞれ光源31~33の照射範囲の中心方向である。また、光源31~33の電源線および信号線は、情報処理装置10と接続されてもよい。情報処理装置10からの制御信号に応じて、光源31~33の各々は、点灯、消灯、または点滅してもよい。なお、情報処理装置10は検査装置に対応し、光源31~33は第1光源、第2光源、および第3光源にそれぞれ対応する。
【0016】
撮像装置20は、光源31~33から出射された光の反射光を接着面F10から受けて、接着面F10の画像を生成する。情報処理装置10は、撮像装置20によって生成された画像に対して少なくとも1つの処理を行う。当該少なくとも1つの処理には、たとえば、当該画像の保存処理、表示処理、および二値化処理が含まれる。また、撮像装置20は、情報処理装置10と接続されている。
【0017】
情報処理装置10は、処理回路11と、メモリ12と、入力部13と、出力部14と、バス15とを含む。処理回路11、メモリ12、入力部13、出力部14、および撮像装置20は、バス15によって互いに通信可能に接続されている。情報処理装置10は、たとえば、PC(Personal Computer)、あるいはワークステーションを含む。なお、処理回路11は処理部に対応し、メモリ12は記憶部に対応する。
【0018】
処理回路11は、メモリ12に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を含む。処理回路11は、GPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。情報処理装置10の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアあるいはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ12に格納される。処理回路11は、メモリ12に記憶されたプログラムを読み出して実行する。なお、CPUは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいはDSP(Digital Signal Processor)とも呼ばれる。
【0019】
メモリ12には、不揮発性または揮発性の半導体メモリ(たとえばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、あるいはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory))、および磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、あるいはDVD(Digital Versatile Disc)が含まれる。メモリ12には、対象物100の塗布状態の検査に必要な処理が規定された検査プログラムPgが保存されている。
図1に示されてはいないが、メモリ12には、OS(Operating System)、検査プログラムPgの実行に必要なデータ(たとえば撮像装置20によって生成された検査画像)、および検査プログラムPgの処理結果(たとえば、検査画像の二値化画像、塗布状態の判定結果、接着位置の判定結果)が保存されてもよい。
【0020】
入力部13は、ユーザからの操作を受ける。入力部13は、マウス、キーボード、マイク、およびタッチパネルを含む。出力部14は、処理回路11の処理結果をユーザに出力する。出力部14は、たとえば、タッチパネル、ディスプレイ、およびスピーカを含む。
【0021】
図2は、
図1の対象物100の接着面F10を自然光の下でZ軸方向から平面視した図である。
図2に示すように、接着面F10に対向する部材121,122の各々の底面には、樹脂を含む接着剤Gtが塗布されて、部材110の接着面F10に接着されている。接着剤Gtは、光を透過するため、自然光の下では肉眼で透明または半透明に見える。また、乾いた接着剤Gtの表面は、接着面F10の表面よりも滑らかである。接着面F10に対向する部材121,122の各々の底面に塗布された接着剤Gtの一部は、当該底面からはみ出している。
【0022】
部材121,122の各々は、Z軸方向に厚みを有する四角柱である。部材121は、Z軸方向に交差する底面BF1、底面BF1と反対側においてZ軸方向に交差する上面UF1、X軸方向に交差する側面F11および側面F13、ならびにY軸方向に交差する側面F12および側面F14を有する。底面BF1は、部材110に当接する。部材122は、Z軸方向に交差する底面BF2、底面BF2と反対側においてZ軸方向に交差する上面UF2、X軸方向に交差する側面F21および側面F23、ならびにY軸方向に交差する側面F22および側面F24を有する。底面BF2は、部材110に当接する。好ましくは、部材121は、X軸方向に直交する側面F11,F13、およびY軸方向に直交する側面F12,F14を有する。部材122の側面F21~F24も同様である。部材121,122の各々の形状は、厚みを有する柱状であればどのような形状であってもよく、たとえば、四角柱以外の多角柱であってもよいし、楕円柱を含む円柱であってもよいし、あるいは射角柱や射円柱であってもよい。なお、底面BF1,BF2の各々は第1面に対応し、上面UF1,UF2の各々は第2面に対応し、側面F11~F14,F21~F24の各々は第3面に対応する。
【0023】
図2の状態が撮像された画像おいて、部材121,122の底面は見えない。しかし、部材121,122の各々に接する外周領域において接着剤Gtが存在する接着剤領域が認められる場合、部材121,122の各々の底面には接着面F10の接着剤領域に接続するように接着剤Gtが存在すると考えることができる。そのため、対象物100の塗布状態の検査においては、部材121,122の各々の外周領域に占める接着剤領域の割合が予め定められた閾値を超えている場合に、部材121,122の各々の底面に接着剤Gtが正しく塗布されている(塗布状態が正常あるいは合格)と判定することができる。
【0024】
接着剤Gtが透明または半透明である場合、自然光または白色光を用いて撮影された対象物100の画像において、接着剤Gtによって被覆されている接着剤領域の色が接着面F10の色に類似する。その結果、当該画像において接着剤領域に対応する画素を識別することが困難になり得る。
【0025】
そこで、検査システム1においては、接着面F10において部材121,122の各々に隣接する互いに異なる複数の領域が光源31~33のうち少なくとも一つの光源からの光によって照射されるとともに、光源31~33のうち少なくとも一つの他の光源からの光が遮られるように光源31~33を配置する。このように光源31~33を配置することによって、部材121,122の各々の外周領域には、光源31~33の一つの光源によって照射されるとともに、当該部材の厚みによって少なくとも1つの他の光源からの光が遮られる、互いに異なる複数の領域(射影領域)が生じる。また、接着剤領域には接着面F10の表面よりも滑らかな表面を有する接着剤Gtが存在するため、接着剤領域において反射される光のうち乱反射される成分が減少し、正反射される成分が増加する。射影領域に含まれる接着剤領域は、射影領域に照射される光によって強調されるため、撮像装置20によって他の領域の色とは異なる色として撮像される。その結果、検査システム1によって撮像された対象物100の接着面F10の画像において、接着面F10に接着された部材の外周領域に含まれる接着剤領域が強調される。検査システム1によれば、接着剤領域を容易に特定することができるため、対象物100において形成された塗布状態に対する検査の精度を向上させることができる。
【0026】
図3は、
図1の対象物100の接着面F10を3つの光源31~33で照らした状態でZ軸方向から平面視した図である。
図3に示すように、光源31の中心方向Dr1と光源32の中心方向Dr2との間の角度は、αである。光源32の中心方向Dr2と光源33の中心方向Dr3との間の角度は、βである。光源33の中心方向Dr3と光源31の中心方向Dr1との間の角度は、γである。対象物100の接着面F10に互いに異なる複数の方向から均等に光が照射されるように、角度α,β,γは互いに等しいこと(α=β=γ=120°)が望ましい。
【0027】
領域RWには、光源31~33の各々からの光が照射される。すなわち、領域RWは、光源31~33の合成光である白色光が照射される白色領域である。白色領域RWの外側のうち、光源31に相対的に近い部分には光源31からの光が主に照射され、光源32に相対的に近い部分には光源32からの光が主に照射され、光源33に相対的に近い部分には光源33からの光が主に照射される。
【0028】
部材121の側面F11は光源31の方向を向いているため、側面F11には光源31からの赤色光が照射される。一方、側面F11は光源32,33の方向を向いていないため、光源32,33の各々からの光は部材121の上面UF1によってほとんど遮られて側面F11には届かない。その結果、接着面F10には側面F11に接するように、光源31からの赤色光が主に照射される射影領域R11が形成される。射影領域R11に含まれる接着剤領域Rg11においては光源31からの赤色光の正反射が増加するため、接着剤領域Rg11は赤色によって強調される。なお、射影領域R11は、第1領域に対応する。
【0029】
部材121の側面F12は光源32の方向を向いているため、側面F12には光源32からの青色光が照射される。一方、側面F12は光源31,33の方向を向いていないため、光源31,33の各々からの光は部材121の上面UF1によってほとんど遮られて側面F12には届かない。その結果、接着面F10には側面F12に接するように、光源32からの青色光が主に照射される射影領域R12が形成される。射影領域R12に含まれる接着剤領域Rg12においては光源32からの青色光の正反射が増加するため、接着剤領域Rg12は青色によって強調される。なお、射影領域R12は、第3領域に対応する。
【0030】
部材121の側面F13は光源33の方向を向いているため、側面F13には光源33からの緑色光が照射される。一方、側面F13は光源31,32の方向を向いていないため、光源31,32の各々からの光は部材121の上面UF1によってほとんど遮られて側面F13には届かない。その結果、接着面F10には側面F13に接するように、光源33からの緑色光が主に照射される射影領域R13が形成される。射影領域R13に含まれる接着剤領域Rg13においては光源33からの緑色光の正反射が増加するため、接着剤領域Rg13は緑色によって強調される。なお、射影領域R13は、第4領域に対応する。
【0031】
部材121の側面F14は光源31,33の方向を向いているため、側面F14には光源31,33からの赤色光および緑色光がそれぞれ照射される。一方、側面F14は光源32の方向を向いていないため、光源32からの青色光は部材121の上面UF1によってほとんど遮られて側面F14には届かない。その結果、接着面F10には側面F14に接するように、光源31,33からの赤色光および緑色光がそれぞれ主に照射される射影領域R14が形成される。射影領域R14に含まれる接着剤領域Rg14においては光源31,33からの赤色光および緑色光の各々の正反射が増加するため、接着剤領域Rg13は赤色および緑色の合成色である黄色によって強調される。なお、射影領域R14は、第2領域に対応する。
【0032】
部材121と同様の理由により、部材122の側面F21~F24に接するように射影領域R21、射影領域R22、射影領域R23、射影領域R24がそれぞれ形成される。射影領域R21~R24にそれぞれ含まれる接着剤領域Rg21,Rg22,Rg23,Rg24は、赤色、青色、緑色、および黄色にそれぞれ強調される。なお、射影領域R21~R24は、第1領域、第3領域、第4領域、および第2領域にそれぞれ対応する。
【0033】
射影領域R11~R14,R21~R24の周囲の領域は、複数の光源31~33から出射される複数の光の合成光(白色光)によって、白色に見える。一方、射影領域R11~R14,R21~R24に照射される光は、複数の光源31~33から出射される複数の光から少なくとも1つを欠いている。そのため、部材121,122の各々の底面から接着面F10にはみ出している接着剤Gtの色は、射影領域の周囲の色と異なる。そのため、
図3に示す状態が撮像された検査画像を用いることにより、接着面F10において部材121,122の外周領域にはみ出ている接着剤Gtを容易に確認することができる。
【0034】
なお、光源31~33からそれぞれ出射される光の組合せは、赤色光と、青色光と、緑色光との組合せに限定されない。以下の表1に、光源31~33からそれぞれ出射される光の組合せと、接着剤領域Rg11~Rg14およびRg21~Rg24の色の組合せとの対応を示す。
【表1】
【0035】
接着面F10を有する部材110、および接着面F10に接着される部材121,122の材質および色等を考慮して、ある色の画素値に関する二値化処理に必要な閾値の設定が容易となるように、光源31~33の色および配置を適宜選択することができる。その結果、検査画像から接着剤領域を高精度に抽出することが可能になる。
【0036】
また、
図1,
図3に示す光源31~33の配置および角度は一例である。光源31~33の配置および角度は、接着面F10に接着される部材121,122の各々の形状および配置に応じて、最良の条件で接着剤領域Rg11~Rg14,Rg21~Rg24が抽出可能なように調整されてもよい。さらに、光源31~33間の距離、光源31~33の各々と接着面F10との距離、および光源31~33の各々の発光強度についても、接着面F10を有する部材110、および接着面F10に接着される部材121,122の材質等に応じて、接着剤領域Rg11~Rg14,Rg21~Rg24が抽出可能なように調整されてもよい。
【0037】
また、実施の形態に係るシステムに含まれる光源の数は複数であればよく、3つに限定されない。たとえば、
図3に示す構成から光源33を除き、光源31,32を部材110の左上から右下に延びる対角線の左上に光源31を配置して光源31から赤色光を出射し、当該対角線の右下に光源32を配置して緑色光を出射する場合、接着面F10の全体は赤色と緑色との合成色である黄色に照らされ、射影領域R11,R12,R21,R22は赤色に照らされ、射影領域R13,R14,R23,R24は緑色に照らされる。そのため、撮像された検査画像を用いることにより、接着面F10において部材121,122の外周領域にはみ出ている接着剤Gtを容易に確認することができ、対象物100における塗布状態を判定することが可能である。以下の表2に、光源31,32からそれぞれ出射される光の組合せと、接着剤領域Rg11~Rg14およびRg21~Rg24の色の組合せとの対応を示す。
【表2】
【0038】
以下では、対象物100の検査画像に対する情報処理装置10の画像処理によって、対象物100における塗布状態および接着位置の検査を自動的に行う構成について説明する。なお、当該画像に含まれる複数の画素は、光源31から出射される赤色光の反射光の濃淡値に対応する画素値R(第1画素値)、光源32から出射される青色光の反射光の濃淡値に対応する画素値B(第2画素値)、および光源33から出射される緑色光の反射光の濃淡値に対応する画素値G(第3画素値)によって定義される色空間座標を含む。色空間座標の各次元の値は、たとえば、0以上255以下の整数(デジタル値)である。なお、画素値R,G,Bは、第1画素値、第2画素値、および第3画素値にそれぞれ対応する。
【0039】
図4は、対象物100の検査画像に含まれる、部材122に対応する複数の画素、および部材122に隣接する外周領域R20に対応する複数の画素を併せて示す図である。
図4において、部材122に対応する複数の画素には互いに同じハッチングが付されている。同様に、外周領域R20に対応する複数の画素には互いに同じハッチング付されている。一方、部材122に対応する画素および外周領域R20に対応する画素には互いに異なるハッチングが付されている。なお、外周領域R20に対応する複数の画素は、外周画素に対応する。
【0040】
図4を参照して、部材122の反射率は部材110の反射率より小さいため、部材122に対応する複数の画素の各々は、たとえば、色空間座標の各次元の画素値が予め定められた閾値以下である画素として抽出される。外周領域R20に対応する複数の画素は、部材122に対応する複数の画素に隣接する複数の画素として抽出される。
【0041】
図5は、対象物100の検査画像に含まれる、部材122に対応する複数の画素、および接着剤領域Rg21~Rg24に対応する複数の画素を併せて示す図である。
図5において、部材122に対応する複数の画素に付されているハッチングは、
図4と同様である。接着剤領域Rg21~Rg24に対応する複数の画素には互いに同じハッチングが付されている。一方、部材122に対応する画素および接着剤領域Rg21~Rg24に対応する画素には互いに異なるハッチングが付されている。
【0042】
図5を参照して、接着剤領域Rg21~Rg24は、光源31~33の各々に対応する画素値に関する二値化処理によって抽出される。具体的には、検査画像に含まれる複数の画素のうち、画素値Rが赤色閾値(第1閾値)より大きく、かつ、画素値Bが青色閾値(第2閾値)より小さく、かつ、画素値Gが緑色閾値(第3閾値)より小さい少なくとも1つの赤色画素(第1画素)が接着剤領域Rg21として抽出される。検査画像に含まれる複数の画素のうち、画素値Rが赤色閾値より小さく、かつ、画素値Bが青色閾値より大きく、かつ、画素値Gが緑色閾値より小さい少なくとも1つの青色画素(第2画素)が接着剤領域Rg22として抽出される。検査画像に含まれる複数の画素のうち、画素値Rが赤色閾値より小さく、かつ、画素値Bが青色閾値より小さく、かつ、画素値Rが緑色閾値より大きい少なくとも1つの緑色画素(第3画素)が接着剤領域Rg23として抽出される。検査画像に含まれる複数の画素のうち、画素値Rが赤色閾値より大きく、かつ、画素値Bが青色閾値より小さく、かつ、画素値Gが緑色閾値より大きい少なくとも1つの黄色画素が接着剤領域Rg24として抽出される。
図3の接着剤領域Rg11~Rg14も接着剤領域Rg21~Rg24とそれぞれ同様に抽出される。なお、赤色閾値、青色閾値、および緑色閾値は、たとえば、画素値のヒストグラムから適宜決定することができる。なお、赤色画素、青色画素、および緑色画素は、第1画素、第2画素、および第3画素にそれぞれ対応する。また、赤色閾値、青色閾値、および緑色閾値は、第1閾値、第2閾値、および第3閾値にそれぞれ対応する。
【0043】
図6は、対象物100の検査画像に含まれる、部材122に対応する複数の画素、外周領域R20に対応する複数の画素、および接着剤領域Rg21~Rg24に含まれる複数の画素を併せて示す図である。
図6において、部材122に対応する複数の画素に付されているハッチングおよび外周領域R20に付されているハッチングは、
図4と同様である。接着剤領域Rg21~Rg24に対応する複数の画素に付されているハッチングは、
図5と同様である。外周領域R20と接着剤領域Rg21~Rg24との共通領域Rcに含まれる複数の画素(共通画素)には、部材122に対応する画素、外周領域R20に対応する画素、および接着剤領域Rg21~Rg24に対応する画素の各々とは異なるハッチングが付されている。
【0044】
外周領域R20の面積に対する共通領域Rcの面積の割合(塗布率)に基づいて、部材110と部材122における接着剤の塗布状態が判定される。すなわち、複数の外周画素の面積(個数)に対する複数の共通画素の面積の割合(塗布率)に基づいて、部材110と部材122における接着剤の塗布状態が判定される。部材110と部材121における接着剤の塗布状態も、同様に判定される。なお、たとえば、部材122の側面F21~F24から法線方向に延びる接着剤領域の長さ(幅)が基準幅より広い場合に、当該部材における接着剤の塗布状態が合格とされてもよい。接着剤領域の幅は、たとえば、当該幅に含まれる画素数を単位画素の実際の長さ寸法を用いて校正することによって求めることができる。
【0045】
図7は、
図1の検査プログラムPgを実行する処理回路11によって行われる、対象物の塗布状態の検査処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、情報処理装置10を統括的に制御する不図示のメインルーチンによって呼び出される。以下では、ステップを単にSと記載する。
【0046】
図7に示すように、処理回路11は、S110において、検査画像から接着面に接着された部材に対応する領域である部材領域を抽出し、処理をS120に進める。検査画像が
図3に示す状態に対応する場合、処理回路11は、部材121,122にそれぞれ対応する2つの部材領域を検査画像から抽出する。S110によって検出された部材領域は、
図1に示す出力部14に表示されてもよい。
【0047】
処理回路11は、S120において、各部材領域に対応する塗布率を算出し、処理をS130に進める。検査画像が
図3に示す状態に対応する場合、処理回路11は、部材121,122にそれぞれ対応する2つの塗布率を算出する。
【0048】
処理回路11は、S130において、各部材における接着剤の塗布状態を判定し、処理をメインルーチンに返す。検査画像が
図3に示す状態に対応する場合、処理回路11は、部材121における接着剤の塗布状態、および部材122における接着剤の塗布状態を判定する。
【0049】
処理回路11は、S140において、各部材の接着位置を判定し、処理をS150に進める。検査画像が
図3に示す状態に対応する場合、処理回路11は、接着面F10における部材121の接着位置および部材122の接着位置を判定する。
【0050】
処理回路11は、S150において、全部材における接着剤の塗布状態が合格であり、かつ全部材の接着位置が合格であるか否かを判定する。全部材における接着剤の塗布状態が合格であり、かつ全部材の接着位置が合格である場合(S150においてYES)、処理回路11は、S160において、対象物の検査が合格であることを含む検査結果を出力部14に出力する。接着剤の塗布状態が不合格(異常)であるか、または接着位置が不合格である部材がある場合(S150においてNO)、処理回路11は、S170において、対象物の検査が不合格であることを含む検査結果を出力部14に出力する。検査結果には、たとえば、各部材に関する塗布率および接着位置の座標が含まれる。
【0051】
図8は、
図7の塗布率算出処理S120の流れの一例を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、
図7のS110において検出された部材領域毎に行われる。検査画像が
図3に示す状態に対応する場合、処理回路11は、部材121に対応する部材領域、および部材122に対応する部材領域の各々に対して、
図8に示す処理を行う。
【0052】
図8に示すように、処理回路11は、S121において、接着面において部材領域を囲む外周領域を抽出し、処理をS122に進める。処理回路11は、S122において、接着面において部材領域に接する接着剤領域を抽出し、処理をS123に進める。処理回路11は、S123において、外周領域と接着剤領域との共通領域を抽出し、処理をS124に進める。処理回路11は、S124において、外周領域の面積に対する共通領域の面積に対する割合を塗布率として算出し、処理をメインルーチンに返す。
【0053】
図9は、
図7の塗布状態判定処理S130の流れの一例を示すフローチャートである。
図9に示す処理は、
図7のS110において検出された部材領域毎に行われる。検査画像が
図3に示す状態に対応する場合、処理回路11は、部材121に対応する部材領域、および部材122に対応する部材領域の各々に対して、
図9に示す処理を行う。
【0054】
図9に示すように、処理回路11は、S131において部材領域に関する塗布率が閾値よりも大きいか否かを判定する。部材領域に関する塗布率が閾値よりも大きい場合(S131においてYES)、処理回路11は、S132において、当該部材領域に対応する部材における接着剤の塗布状態を合格と判定し、処理をメインルーチンに返す。部材領域に関する塗布率が閾値以下である場合(S131においてNO)、処理回路11は、S133において、当該部材領域に対応する部材における接着剤の塗布状態を不合格と判定し、処理をメインルーチンに返す。なお、当該閾値は、予め定められた品質基準に基づいて、適宜決定することができる。
【0055】
図10は、
図1の検査プログラムPgを実行する処理回路11によって行われる、対象物の接着位置の検査処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、処理回路11は、S141において、検査画像における基準位置(たとえば左上の隅の原点)に対する部材の接着位置を特定し、処理をS142に進める。たとえば、処理回路11は、基準位置からの部材領域の中心までの画素数を単位画素の実際の長さ寸法を用いて校正することによって、部材領域に対応する部材の位置座標を当該部材の接着位置として特定する。
【0056】
処理回路11は、S142において、部材の接着位置が当該部材に対応する基準範囲に含まれるか否かを判定する。部材の接着位置が当該基準範囲に含まれる場合(S142においてYES)、処理回路11は、S143において、部材の接着位置を合格と判定し、処理をメインルーチンに返す。部材の接着位置が当該基準範囲に含まれない場合(S143においてNO)、処理回路11は、S144において、部材の接着位置を不合格と判定し、処理をメインルーチンに返す。
【0057】
以上、実施の形態に係る検査システム、検査装置、検査プログラム、および検査方法によれば、光を透過する接着剤によって対象物において形成された塗布状態に対する検査の精度を向上させることができる。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1 検査システム、10 情報処理装置、11 処理回路、12 メモリ、13 入力部、14 出力部、15 バス、20 撮像装置、31~33 光源、100 対象物、110,121,122 部材、BF1,BF2 底面、Dr1~Dr3 中心方向、F10 接着面、F11~F14,F21~F24 側面、Gt 接着剤、Pg 検査プログラム、R11~R14,R21~R24 射影領域、R20 外周領域、RW 白色領域、Rc 共通領域、Rg11~Rg14,Rg21~Rg24 接着剤領域、UF1,UF2 上面。