(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179626
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電子計算機装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20241219BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241219BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G06F1/20 D
H05K7/20 J
G06F1/20 B
G06F1/20 C
H01L23/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098612
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大智
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AB10
5E322BA04
5E322BB03
5E322BB05
5F136CA01
5F136CA17
5F136HA01
(57)【要約】
【課題】作動時に発熱する素子を効率的に冷却できる電子計算機装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る電子計算機装置は、筐体と、複数の素子と、複数のファンと、複数の温度センサと、制御部と、を備える。前記複数の素子は、前記筐体の内部に設けられ、作動時に発熱する。前記複数のファンは、前記筐体の内部に設けられ、送風する。前記複数の温度センサは、前記筐体の内部に設けられ、前記複数の素子のそれぞれの温度を検出する。前記制御部は、前記複数のファンを制御する。前記複数のファンは、それぞれ、風向きを変化させない第1モードと、風向きを連続的に変化させる第2モードと、を有する。前記制御部は、前記複数の素子のそれぞれの前記温度に基づいて、前記複数のファンにおいて、前記第1モード及び前記第2モードを変更する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、作動時に発熱する複数の素子と、
前記筐体の内部に設けられ、送風する複数のファンと、
前記筐体の内部に設けられ、前記複数の素子のそれぞれの温度を検出する複数の温度センサと、
前記複数のファンを制御する制御部と、
を備え、
前記複数のファンは、それぞれ、風向きを変化させない第1モードと、風向きを連続的に変化させる第2モードと、を有し、
前記制御部は、前記複数の素子のそれぞれの前記温度に基づいて、前記複数のファンにおける前記第1モード及び前記第2モードを変更する、電子計算機装置。
【請求項2】
前記複数の素子は、第1素子と、第2素子と、第3素子と、を有し、
前記複数のファンは、前記第1素子に最も近い位置に設けられた第1ファンと、前記第2素子に最も近い位置に設けられた第2ファンと、前記第3素子に最も近い位置に設けられた第3ファンと、を有し、
前記第2ファンは、前記第1ファンと前記第3ファンとの間に設けられ、
前記制御部は、
前記第1素子の前記温度が第1閾値以上であり、前記第2素子及び前記第3素子の前記温度が前記第1閾値未満のときには、前記第1ファン及び前記第2ファンを前記第1素子に向けて前記第1モードで作動させ、前記第3ファンを前記第2モードで作動させ、
前記第3素子の前記温度が第1閾値以上であり、前記第1素子及び前記第2素子の前記温度が前記第1閾値未満のときには、前記第1ファンを前記第2モードで作動させ、前記第2ファン及び前記第3ファンを前記第3素子に向けて前記第1モードで作動させる、請求項1に記載の電子計算機装置。
【請求項3】
前記複数の素子は、第1素子と、第2素子と、第3素子と、を有し、
前記複数のファンは、前記第1素子に最も近い位置に設けられた第1ファンと、前記第2素子に最も近い位置に設けられた第2ファンと、前記第3素子に最も近い位置に設けられた第3ファンと、を有し、
前記第2ファンは、前記第1ファンと前記第3ファンとの間に設けられ、
前記制御部は、前記第1素子及び前記第3素子の前記温度が第1閾値以上のときには、前記第2ファンを前記第2モードで作動させる、請求項1に記載の電子計算機装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の素子のすべてにおいて前記温度が第2閾値未満のときには、前記複数のファンの一部を停止させ、前記複数のファンの前記一部以外を前記第2モードで作動させる、請求項1~3のいずれか1つに記載の電子計算機装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子計算機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作動時に発熱するCPU(Central Processing Unit)や電源などの素子を冷却するためのファンが設けられた電子計算機装置がある。このような電子計算機装置において、素子を効率的に冷却することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、作動時に発熱する素子を効率的に冷却できる電子計算機装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る電子計算機装置は、筐体と、複数の素子と、複数のファンと、複数の温度センサと、制御部と、を備える。前記複数の素子は、前記筐体の内部に設けられ、作動時に発熱する。前記複数のファンは、前記筐体の内部に設けられ、送風する。前記複数の温度センサは、前記筐体の内部に設けられ、前記複数の素子のそれぞれの温度を検出する。前記制御部は、前記複数のファンを制御する。前記複数のファンは、それぞれ、風向きを変化させない第1モードと、風向きを連続的に変化させる第2モードと、を有する。前記制御部は、前記複数の素子のそれぞれの前記温度に基づいて、前記複数のファンにおいて、前記第1モード及び前記第2モードを変更する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る電子計算機装置を模式的に表す平面図である。
【
図2】実施形態に係る電子計算機装置を模式的に表すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る電子計算機装置の動作を表すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る電子計算機装置の動作を表す表である。
【
図5】実施形態に係る電子計算機装置の動作の一例を模式的に表す平面図である。
【
図6】実施形態に係る電子計算機装置の動作の一例を模式的に表す平面図である。
【
図7】実施形態に係る電子計算機装置の動作の一例を模式的に表す平面図である。
【
図8】実施形態に係る電子計算機装置の動作の一例を模式的に表す平面図である。
【
図9】実施形態に係る電子計算機装置の動作の一例を模式的に表す平面図である。
【
図10】実施形態に係る電子計算機装置の別の動作を表すフローチャートである。
【
図11】実施形態に係る電子計算機装置の別の動作を模式的に表す平面図である。
【
図12】実施形態に係る電子計算機装置の別の動作を表すフローチャートである。
【
図13】実施形態に係る電子計算機装置の別の動作を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
また、以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いて、各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交している。またX軸が延びる方向を「X方向」とし、Y軸が延びる方向を「Y方向」とし、Z軸が延びる方向を「Z方向」とする。
【0009】
図1は、実施形態に係る電子計算機装置を模式的に表す平面図である。
図2は、実施形態に係る電子計算機装置を模式的に表すブロック図である。
図1及び
図2に表したように、実施形態に係る電子計算機装置100は、筐体10と、複数の素子20と、複数のファン30と、複数の温度センサ40と、制御部50と、を備えている。
【0010】
筐体10は、中空の箱状である。複数の素子20、複数のファン30、及び複数の温度センサ40は、それぞれ、筐体10の内部に設けられている。
【0011】
複数の素子20は、それぞれ、作動時に発熱する。複数の素子20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、電源、HDD(Hard Disk Drive)、及びグラフィックカードの少なくともいずれかを含む。
【0012】
複数の素子20の数は、2以上であればよい。複数の素子20は、それぞれ異なる機能を有する素子であってもよいし、同じ機能を有する素子を含んでいてもよい。この例では、複数の素子20は、第1素子21、第2素子22、第3素子23、及び第4素子24を有する。この例では、4つの素子20を、X方向において並ぶ順に、第1素子21、第2素子22、第3素子23、及び第4素子24としている。第2素子22のX方向における位置は、第1素子21のX方向における位置と、第3素子23のX方向における位置と、の間である。第3素子23のX方向における位置は、第2素子22のX方向における位置と、第4素子24のX方向における位置と、の間である。この例では、第1素子21、第2素子22、第3素子23、及び第4素子24は、Y方向において、互いに重ならない位置に設けられている。第1素子21、第2素子22、第3素子23、及び第4素子24の少なくとも一部は、例えば、Y方向において、互いに重なっていてもよい。
【0013】
複数のファン30は、それぞれ、送風する。複数のファン30は、例えば、それぞれ、気流を発生させるための送風部と、風向きを変化させるための駆動部と、を有する。送風部は、例えば、モータと、モータにより回転する羽根と、を有する。送風部は、例えば、軸流ファンである。駆動部は、例えば、サーボモータである。複数のファン30は、それぞれ、制御部50と電気的に接続されている。複数のファン30は、それぞれ、制御部50からの信号に基づいて、作動する。より具体的には、送風部及び駆動部は、それぞれ、制御部50からの信号に基づいて、作動する。
【0014】
この例では、複数のファン30の数は、複数の素子20の数と同じである。複数のファン30の数は、複数の素子20の数よりも多くてもよいし、複数の素子20の数よりも少なくてもよい。この例では、複数のファン30は、第1ファン31、第2ファン32、第3ファン33、及び第4ファン34を有する。第1ファン31、第2ファン32、第3ファン33、及び第4ファン34は、X方向において、第1ファン31、第2ファン32、第3ファン33、第4ファン34の順で並んでいる。第2ファン32は、X方向において、第1ファン31と第3ファン33との間に位置する。第3ファン33は、X方向において、第2ファン32と第4ファン34との間に位置する。
【0015】
第1ファン31は、第1素子21に最も近い位置に設けられる。第1ファン31と第1素子21との間の距離は、第1ファン31以外のファンと第1素子21との間の距離よりも短い。第2ファン32は、第2素子22に最も近い位置に設けられる。第2ファン32と第2素子22との間の距離は、第2ファン32以外のファンと第2素子22との間の距離よりも短い。第3ファン33は、第3素子23に最も近い位置に設けられる。第3ファン33と第3素子23との間の距離は、第3ファン33以外のファンと第3素子23との間の距離よりも短い。第4ファン34は、第4素子24に最も近い位置に設けられる。第4ファン34と第4素子24との間の距離は、第4ファン34以外のファンと第4素子24との間の距離よりも短い。
【0016】
第1ファン31、第2ファン32、第3ファン33、及び第4ファン34は、それぞれ、Y方向に沿う風向きで送風可能である。以下では、Y方向を、第1ファン31、第2ファン32、第3ファン33、及び第4ファン34の「デフォルト」の風向きとする。各図では、空気の流れる向きを白抜き矢印で示す。
【0017】
複数のファン30は、それぞれ、第1モードと、第2モードと、を有する。第1モードは、風向きを変化させないモードである。第1モードでは、各ファン30は、特定の対象に向けて送風し続ける。一方、第2モードは、風向きを連続的に変化させるモードである。第2モードでは、例えば、各ファン30の向きを変化させることで、風向きを変化させる。第2モードでは、各ファン30は、例えば、Z方向を軸にして回転することで風向きを回転方向に沿って変化させる動き(いわゆる「首振り」)を、所定の範囲内において往復しながら、繰り返す。所定の範囲は、例えば、45°以上180°以内に設定される。第2モードでは、例えば、各ファン30に設けられたルーバーの向きを変化させることで、風向きを変化させてもよい。
【0018】
複数のファン30は、それぞれ、一定の風力(回転数)で送風する。1つのファン30の第1モードにおける風力(回転数)は、例えば、このファン30の第2モードにおける風力(回転数)と同じである。
【0019】
複数のファン30の風力(回転数)は、例えば、それぞれ、同じでもよいし、異なっていてもよい。第1ファン31、第2ファン32、第3ファン33、及び第4ファン34の風力(回転数)は、例えば、それぞれ、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
複数の温度センサ40は、複数の素子20のそれぞれの温度を検出する。複数の温度センサ40は、例えば、サーミスタまたは熱電対である。複数の温度センサ40は、例えば、素子20の異常を検出するためのRAS(Reliability, Availability and Serviceability)機能の一部であってもよい。RAS機能は、例えば、サーバの稼働診断機能や状態検出機能などを備えている。RAS機能を用いることで、動作状態をリアルタイムで検出できる。複数の温度センサ40は、それぞれ、検出結果(各素子20の温度)を制御部50に出力する。
【0021】
複数の温度センサ40の数は、例えば、複数の素子20の数と同じである。この例では、複数の温度センサ40は、第1温度センサ41、第2温度センサ42、第3温度センサ43、及び第4温度センサ44を有する。
【0022】
第1温度センサ41は、第1素子21に最も近い位置に設けられる。第1温度センサ41と第1素子21との間の距離は、第1温度センサ41以外の温度センサと第1素子21との間の距離よりも短い。第2温度センサ42は、第2素子22に最も近い位置に設けられる。第2温度センサ42と第2素子22との間の距離は、第2温度センサ42以外の温度センサと第2素子22との間の距離よりも短い。第3温度センサ43は、第3素子23に最も近い位置に設けられる。第3温度センサ43と第3素子23との間の距離は、第3温度センサ43以外の温度センサと第3素子23との間の距離よりも短い。第4温度センサ44は、第4素子24に最も近い位置に設けられる。第4温度センサ44と第4素子24との間の距離は、第4温度センサ44以外の温度センサと第4素子24との間の距離よりも短い。
【0023】
この例では、第1温度センサ41は、第1素子21と接する位置に設けられている。第2温度センサ42は、第2素子22と接する位置に設けられている。第3温度センサ43は、第3素子23と接する位置に設けられている。第4温度センサ44は、第4素子24と接する位置に設けられている。
【0024】
制御部50は、複数のファン30を制御する。制御部50は、複数の温度センサ40から入力された複数の素子20のそれぞれの温度に基づいて、複数のファン30における第1モード及び第2モードを変更する。制御部50は、例えば、複数のファン30の駆動部の作動についての信号を送信することで、複数のファン30における第1モード及び第2モードを変更する。制御部50は、複数の温度センサ40から入力された複数の素子20のそれぞれの温度に基づいて、複数のファン30における作動の開始及び停止を制御してもよい。この場合、制御部50は、例えば、複数のファン30の送風部の作動についての信号を送信することで、複数のファン30における作動の開始及び停止を制御する。制御部50は、例えば、CPUである。なお、制御部50は、例えば、複数の素子20とは別に設けられてもよいし、複数の素子20の一部であってもよい。
【0025】
近年では、電子計算機装置の性能向上に伴い、2CPU化や高性能グラフィックカードなどの高熱を発する部品の実装が増えており、個々の部品の温度が上昇しやすくなっている。また、筐体内では、電子計算機装置の動作状態によって発熱部位が変わるため、ファンの向きが固定されていると、複数の部品が発熱した場合に個々に対応ができない。これを解決する手段として、例えば、発熱量に応じてファンの回転数を上げる方法が考えられる。しかし、ファンの回転数を上げると、騒音が増大したり、ファンの寿命が低下したりするという問題がある。
【0026】
また、別の手段として、1つのファンを回動自在に設け、温度が高くなった場所に向けて送風することが考えられる。しかし、温度が高くなった場所に1つしかないファンを割り当てると、別の場所の温度が上がりやすくなり、冷却が追い付かず十分な性能が発揮できなくなったり、電子部品の寿命が低下したりするという問題がある。また、ファンを1つしか設けない場合には、このファンが故障したときに冷却機能が失われ、ファンの交換が終わるまで電子計算機装置を十分に冷却させることができないという問題がある。
【0027】
これに対し、実施形態に係る電子計算機装置100では、風向きを変化させない第1モードと、風向きを連続的に変化させる第2モードと、を有する複数のファン30を設けている。これにより、複数のファン30の風向き(モード)を変更することで、状況に応じて風向きを設定できるため、高温の素子20がある場合には、高温の素子20に風を集中させて冷却することができる。また、高温の素子20が同時に複数ある場合には、複数のファン30を個別に作動させて、同時に冷却することができる。これにより、ファン30の回転数を上げなくても、各素子20を効率的に冷却できる。また、各素子20を効率的に冷却できるため、設置するファン30の数を削減できる。また、ファン30により各素子20を効率的に冷却できるため、例えば、ヒートシンクやエアダクトなどの他の冷却部品を設けなくても、十分な冷却性能を確保できる。
【0028】
以下、実施形態に係る電子計算機装置の動作について、説明する。
図3は、実施形態に係る電子計算機装置の動作を表すフローチャートである。
図4は、実施形態に係る電子計算機装置の動作を表す表である。
図3に表したように、制御部50は、ステップS101~S113を繰り返し行うことで、複数のファン30を制御する。
【0029】
まず、制御部50は、第1素子21の温度が第1閾値未満か否かを判定する(ステップS101)。第1素子21の温度が第1閾値未満の場合(ステップS101:Yes)、制御部50は、第1素子21のフラグ値を0にする(ステップS102)。第1素子21の温度が第1閾値以上の場合(ステップS101:No)、制御部50は、第1素子21のフラグ値を1にする(ステップS103)。第1閾値は、例えば、50℃以上70℃以下に設定される。
【0030】
次に、制御部50は、第2素子22の温度が第1閾値未満か否かを判定する(ステップS104)。第2素子22の温度が第1閾値未満の場合(ステップS104:Yes)、制御部50は、第2素子22のフラグ値を0にする(ステップS105)。第2素子22の温度が第1閾値以上の場合(ステップS104:No)、制御部50は、第2素子22のフラグ値を1にする(ステップS106)。
【0031】
次に、制御部50は、第3素子23の温度が第1閾値未満か否かを判定する(ステップS107)。第3素子23の温度が第1閾値未満の場合(ステップS107:Yes)、制御部50は、第3素子23のフラグ値を0にする(ステップS108)。第3素子23の温度が第1閾値以上の場合(ステップS107:No)、制御部50は、第3素子23のフラグ値を1にする(ステップS109)。
【0032】
次に、制御部50は、第4素子24の温度が第1閾値未満か否かを判定する(ステップS110)。第4素子24の温度が第1閾値未満の場合(ステップS110:Yes)、制御部50は、第4素子24のフラグ値を0にする(ステップS111)。第4素子24の温度が第1閾値以上の場合(ステップS110:No)、制御部50は、第4素子24のフラグ値を1にする(ステップS112)。
【0033】
次に、制御部50は、各素子20のフラグ値に基づいて、各ファン30の風向き(モード)を制御する(ステップS113)。制御部50は、例えば、
図4に示した、各素子20のフラグ値と各ファン30の風向き(モード)のパターンP1~P16に基づいて、各ファン30を制御する。
【0034】
図5~
図9は、実施形態に係る電子計算機装置の動作の一例を模式的に表す平面図である。
図5は、
図4に示したパターンP1における各ファン30の風向き(モード)を示している。
図6は、
図4に示したパターンP9における各ファン30の風向き(モード)を示している。
図7は、
図4に示したパターンP3における各ファン30の風向き(モード)を示している。
図8は、
図4に示したパターンP10における各ファン30の風向き(モード)を示している。
図9は、
図4に示したパターンP12における各ファン30の風向き(モード)を示している。
【0035】
図5に表したように、第1~第4素子21~24の温度が第1閾値未満のとき(すなわち、第1~第4素子21~24のフラグ値が0のとき)、制御部50は、第1~第4ファン31~34をデフォルトの風向きで第1モードで作動させる。
【0036】
図6に表したように、第1素子21の温度が第1閾値以上であり、第2~第4素子22~24の温度が第1閾値未満のとき(すなわち、第1素子21のフラグ値が1であり、第2~第4素子22~24のフラグ値が0のとき)、制御部50は、第1ファン31及び第2ファン32を第1素子21に向けて第1モードで作動させ、第3ファン33を第2モードで作動させ、第4ファン34をデフォルトの風向きで第1モードで作動させる。
【0037】
図7に表したように、第3素子23の温度が第1閾値以上であり、第1、第2、第4素子21、22、24の温度が第1閾値未満のとき(すなわち、第3素子23のフラグ値が1であり、第1、第2、第4素子21、22、24のフラグ値が0のとき)、制御部50は、第1ファン31を第2モードで作動させ、第2ファン32及び第3ファン33を第3素子23に向けて第1モードで作動させ、第4ファン34をデフォルトの風向きで第1モードで作動させる。
【0038】
このように、制御部50は、例えば、高温の素子20が一側のみにある場合には、一側に設けられたファン30(第1ファン31及び第2ファン32)の風向きを高温の素子20に集中させるとともに、他側に設けられたファン30(第3ファン33)を第2モードで作動させる。また、制御部50は、例えば、高温の素子20が他側のみにある場合には、他側に設けられたファン30(第2ファン32及び第3ファン33)の風向きを高温の素子20に集中させるとともに、一側に設けられたファン30(第1ファン31)を第2モードで作動させる。これにより、高温の素子20に風を集中させるとともに、風が不足する第2素子22の周辺に第1ファン31や第3ファン33から送風することができる。したがって、各素子20をより効率的に冷却できる。
【0039】
図8に表したように、第1、第4素子21、24の温度が第1閾値以上であり、第2、第3素子22、23の温度が第1閾値未満のとき(すなわち、第1、第4素子21、24のフラグ値が1であり、第2、第3素子22、23のフラグ値が0のとき)、制御部50は、第1ファン31を第1素子21に向けて第1モードで作動させ、第2ファン32及び第3ファン33を第2モードで作動させ、第4ファン34を第4素子24に向けて第1モードで作動させる。
【0040】
図9に表したように、第1、第3、第4素子21、23、24の温度が第1閾値以上であり、第2素子22の温度が第1閾値未満のとき(すなわち、第1、第3、第4素子21、23、24のフラグ値が1であり、第2素子22のフラグ値が0のとき)、制御部50は、第1ファン31を第1素子21に向けて第1モードで作動させ、第2ファン32を第2モードで作動させ、第3ファン33を第3素子23に向けて第1モードで作動させ、第4ファン34を第4素子24に向けて第1モードで作動させる。
【0041】
このように、制御部50は、例えば、2つの高温の素子20の間に低温の素子20がある場合には、低温の素子20の近くにあるファン30(第2ファン32や第3ファン33)を第2モードで作動させる。これにより、各素子20をより効率的に冷却できる。
【0042】
図5~
図9に表したように、各ファン30を作動させると、筐体10の内部の空気は、Y方向において一方向に流れる。これにより、筐体10の外部からの空気が筐体10の内部に供給され、筐体10の内部の空気が筐体10の外部に排出される。このように、各ファン30は、筐体10の内部の空気と筐体10の外部の空気を循環可能に設けられる。
【0043】
図10は、実施形態に係る電子計算機装置の別の動作を表すフローチャートである。
図11は、実施形態に係る電子計算機装置の別の動作を模式的に表す平面図である。
図10に表したように、制御部50は、さらに、ステップS201~S205を繰り返し行うことで、複数のファン30を制御してもよい。
【0044】
まず、制御部50は、第1素子21の温度が第2閾値未満か否かを判定する(ステップS201)。第1素子21の温度が第2閾値未満の場合(ステップS201:Yes)、制御部50は、第2素子22の温度が第2閾値未満か否かを判定する(ステップS202)。第2素子22の温度が第2閾値未満の場合(ステップS202:Yes)、制御部50は、第3素子23の温度が第2閾値未満か否かを判定する(ステップS203)。第3素子23の温度が第2閾値未満の場合(ステップS203:Yes)、制御部50は、第4素子24の温度が第2閾値未満か否かを判定する(ステップS204)。第4素子24の温度が第2閾値未満の場合(ステップS204:Yes)、制御部50は、
図11に表したように、第1ファン31及び第4ファン34を停止させ、第2ファン32及び第3ファン33を第2モードで作動させる(ステップS205)。第2閾値は、例えば、40℃以下に設定される。
【0045】
第1素子21の温度が第2閾値以上の場合(ステップS201:No)、制御部50は、ステップS202~S205を行わない。第2素子22の温度が第2閾値以上の場合(ステップS202:No)、制御部50は、ステップS203~S205を行わない。第3素子23の温度が第2閾値以上の場合(ステップS203:No)、制御部50は、ステップS204、S205を行わない。第4素子24の温度が第2閾値以上の場合(ステップS204:No)、制御部50は、ステップS205を行わない。
【0046】
図10に示したフローチャートのステップS201~S205は、例えば、
図3に示したフローチャートのステップS101の前に行われる。また、
図3に示したフローチャートのステップS113において、パターンP1(すなわち、第1~第4素子21~24の温度が第1閾値未満)のとき、ステップS113の後に、
図10に示したフローチャートのステップS201~S205が行われる。
【0047】
このように、制御部50は、例えば、複数の素子20のすべてにおいて温度が第2閾値未満のときには、複数のファン30の一部を停止させ、複数のファン30の一部(停止させたもの)以外を第2モードで作動させる。
【0048】
これにより、複数の素子20のすべてにおいて温度が第2閾値未満のときに、作動させるファン30の数を減らして、消費電力を低減できる。したがって、素子20をより効率的に冷却できる。また、作動させるファン30の数を減らすことで、騒音の発生を抑制し、ファン30の交換寿命を延ばすことができる。
【0049】
図12は、実施形態に係る電子計算機装置の別の動作を表すフローチャートである。
図13は、実施形態に係る電子計算機装置の別の動作を模式的に表す平面図である。
図12に表したように、制御部50は、さらに、ステップS301~S308を繰り返し行うことで、複数のファン30を制御してもよい。
【0050】
まず、制御部50は、第1ファン31が故障しているか否かを判定する(ステップS301)。第1ファン31が故障している場合(ステップS301:Yes)、制御部50は、
図13に表したように、第2、第3、第4ファン32、33、34を第2モードで作動させる(ステップS302)。第1ファン31が故障していない場合(ステップS301:No)、制御部50は、ステップS302を行わない。
【0051】
次に、制御部50は、第2ファン32が故障しているか否かを判定する(ステップS303)。第2ファン32が故障している場合(ステップS303:Yes)、制御部50は、第1、第3、第4ファン31、33、34を第2モードで作動させる(ステップS304)。第2ファン32が故障していない場合(ステップS303:No)、制御部50は、ステップS304を行わない。
【0052】
次に、制御部50は、第3ファン33が故障しているか否かを判定する(ステップS305)。第3ファン33が故障している場合(ステップS305:Yes)、制御部50は、第1、第2、第4ファン31、32、34を第2モードで作動させる(ステップS306)。第3ファン33が故障していない場合(ステップS305:No)、制御部50は、ステップS306を行わない。
【0053】
次に、制御部50は、第4ファン34が故障しているか否かを判定する(ステップS307)。第4ファン34が故障している場合(ステップS307:Yes)、制御部50は、第1、第2、第3ファン31、32、33を第2モードで作動させる(ステップS308)。第4ファン34が故障していない場合(ステップS307:No)、制御部50は、ステップS308を行わない。
【0054】
このように、制御部50は、例えば、複数のファン30の一部が故障しているときには、複数のファン30の一部(故障しているもの)以外を第2モードで作動させる。
【0055】
これにより、複数のファン30の一部が故障した場合であっても、故障したファン30の近くにある素子20の冷却を、複数のファン30の一部(故障しているもの)以外で行うことができるため、故障したファン30を交換するまでの間も、故障したファン30の近くにある素子20を効率的に冷却できる。したがって、複数のファン30の一部が故障した場合であっても、電子計算機装置100の動作を継続させることができ、故障したファン30の交換までの猶予を伸ばすことができる。
【0056】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0057】
(構成1)
筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、作動時に発熱する複数の素子と、
前記筐体の内部に設けられ、送風する複数のファンと、
前記筐体の内部に設けられ、前記複数の素子のそれぞれの温度を検出する複数の温度センサと、
前記複数のファンを制御する制御部と、
を備え、
前記複数のファンは、それぞれ、風向きを変化させない第1モードと、風向きを連続的に変化させる第2モードと、を有し、
前記制御部は、前記複数の素子のそれぞれの前記温度に基づいて、前記複数のファンにおける前記第1モード及び前記第2モードを変更する、電子計算機装置。
【0058】
(構成2)
前記複数の素子は、第1素子と、第2素子と、第3素子と、を有し、
前記複数のファンは、前記第1素子に最も近い位置に設けられた第1ファンと、前記第2素子に最も近い位置に設けられた第2ファンと、前記第3素子に最も近い位置に設けられた第3ファンと、を有し、
前記第2ファンは、前記第1ファンと前記第3ファンとの間に設けられ、
前記制御部は、
前記第1素子の前記温度が第1閾値以上であり、前記第2素子及び前記第3素子の前記温度が前記第1閾値未満のときには、前記第1ファン及び前記第2ファンを前記第1素子に向けて前記第1モードで作動させ、前記第3ファンを前記第2モードで作動させ、
前記第3素子の前記温度が第1閾値以上であり、前記第1素子及び前記第2素子の前記温度が前記第1閾値未満のときには、前記第1ファンを前記第2モードで作動させ、前記第2ファン及び前記第3ファンを前記第3素子に向けて前記第1モードで作動させる、構成1に記載の電子計算機装置。
【0059】
(構成3)
前記複数の素子は、第1素子と、第2素子と、第3素子と、を有し、
前記複数のファンは、前記第1素子に最も近い位置に設けられた第1ファンと、前記第2素子に最も近い位置に設けられた第2ファンと、前記第3素子に最も近い位置に設けられた第3ファンと、を有し、
前記第2ファンは、前記第1ファンと前記第3ファンとの間に設けられ、
前記制御部は、前記第1素子及び前記第3素子の前記温度が第1閾値以上のときには、前記第2ファンを前記第2モードで作動させる、構成1または2に記載の電子計算機装置。
【0060】
(構成4)
前記制御部は、前記複数の素子のすべてにおいて前記温度が第2閾値未満のときには、前記複数のファンの一部を停止させ、前記複数のファンの前記一部以外を前記第2モードで作動させる、構成1~3のいずれか1つに記載の電子計算機装置。
【0061】
以上のように、実施形態によれば、作動時に発熱する素子を効率的に冷却できる電子計算機装置が提供される。
【0062】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
10:筐体
20:素子
21~24:第1~第4素子
30:ファン
31~34:第1~第4ファン
40:温度センサ
41~44:第1~第4温度センサ
50:制御部
100:電子計算機装置