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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179630
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】乗客コンベアの歯飛び検出装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/00 20060101AFI20241219BHJP
   B66B 23/02 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
B66B29/00 D
B66B23/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098620
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久下 敬輔
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321EA15
3F321EA17
3F321EB07
3F321EB10
3F321EC10
(57)【要約】
【課題】減速機の出力スプロケットの歯飛びを検出できる乗客コンベアの歯飛び検出装置を提供する。
【解決手段】モータ20と、モータ20の回転軸に入力軸84が連結された減速機82と、無端状に連結された複数の踏段30と、踏段30を駆動する踏段スプロケット24と、踏段スプロケット24と同軸に設けられた第1スプロケット92と、減速機82の出力スプロケット90と第1スプロケット92との間に架け渡された無端状の駆動チェーン22と、踏段スプロケット24によって駆動する手摺り駆動輪72と、手摺り駆動輪72と手摺りベルト38を挟んで走行させる手摺り従動輪74と、入力軸84の第1回転速度に対応した第1パルス信号を出力する入力軸速度センサ52と、手摺り従動輪74の第2回転速度に対応した第2パルス信号を出力する手摺り速度センサ54と、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力される間に出力された第2パルス信号に基づいて、出力スプロケット90の歯飛びを検出する制御部50とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転軸に入力軸が連結された減速機と、
無端状に連結された複数の踏段と、
前記踏段を駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第1スプロケットと、
前記減速機の出力スプロケットと前記第1スプロケットとの間に架け渡された無端状の駆動チェーンと、
前記踏段スプロケットによって駆動される手摺り駆動輪と、
前記手摺り駆動輪と手摺りベルトを挟んで走行させる手摺り従動輪と、
前記入力軸の第1回転速度に対応した第1パルス信号を出力する第1速度センサと、
前記手摺り従動輪の第2回転速度に対応した第2パルス信号を出力する第2速度センサと、
所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力される間に出力された前記第2パルス信号に基づいて、前記出力スプロケットの歯飛びを検出する制御部と、
を有する乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項2】
前記踏段が上昇運転しているときに、前記制御部は、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力されている間、前記第2パルス信号がON、又はOFFを継続している場合に、前記出力スプロケットが歯飛びしていると判断する、
請求項1に記載の乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項3】
前記踏段が下降運転しているときに、前記制御部は、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力されている間、歯飛びが起こっていない正常状態における前記第2パルス信号のパルス間隔より、当該第2パルス信号のパルス間隔が狭くなっている場合に、前記出力スプロケットが歯飛びしていると判断する、
請求項1に記載の乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項4】
前記第1パルス信号の所定のパルス数とは、前記出力スプロケットが出力歯一つ分回転するのに要するa時間と、予め定めた歯数n(n=>1)の積の時間の間に出力された数である、
請求項1に記載の乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項5】
手摺りスプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第2スプロケットと、
前記手摺りスプロケットと同軸に設けられた第3スプロケットと、
前記第2スプロケットと前記第3スプロケットとに架け渡された無端状の伝達チェーンと、
複数の前記手摺り駆動輪と前記手摺りスプロケットとに架け渡された無端状の手摺りチェーンと、
を有する請求項1に記載の乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項6】
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第2スプロケットと、
一つの前記手摺り駆動輪と同軸に設けられた第3スプロケットと、
前記第2スプロケットと前記第3スプロケットとに架け渡された無端状の伝達チェーンと、
を有する請求項1に記載の乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアの歯飛び検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアは、モータを有する駆動装置によって複数の踏段を循環回転させている。この踏段を循環回転させるために、モータから踏段を駆動する駆動スプロケットまで複数の動力伝達装置が介在している。その中で、モータに連結された減速機の出力スプロケットと駆動スプロケットの間の動力伝達を担う駆動チェーンに関しては、その切断や弛みの検出を行うために、切断センサや弛みセンサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4504407号公報
【特許文献2】特許第6305321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、駆動チェーンに関しては異常を検出するためにセンサが設けられているが、減速機の出力スプロケットの摩耗により、駆動チェーンが意図せず歯飛びする場合がある。しかし、従来、出力スプロケットの歯飛びを検出する装置がないという問題点があった。例えば、出力スプロケットの歯飛びがあり、その歯飛びが原因でその他の安全装置が偶然作動して乗客コンベアが停止した場合、その真因を出力スプロケットの歯飛びであると特定するには多くの時間を費やす必要があった。
【0005】
そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、減速機の出力スプロケットの歯飛びを検出できる乗客コンベアの歯飛び検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、モータと、前記モータの回転軸に入力軸が連結された減速機と、無端状に連結された複数の踏段と、前記踏段を駆動する踏段スプロケットと、前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第1スプロケットと、前記減速機の出力スプロケットと前記第1スプロケットとの間に架け渡された無端状の駆動チェーンと、前記踏段スプロケットによって駆動する手摺り駆動輪と、前記手摺り駆動輪と手摺りベルトを挟んで走行させる手摺り従動輪と、前記入力軸の第1回転速度に対応した第1パルス信号を出力する第1速度センサと、前記手摺り従動輪の第2回転速度に対応した第2パルス信号を出力する第2速度センサと、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力される間に出力された前記第2パルス信号に基づいて、前記出力スプロケットの歯飛びを検出する制御部と、を有する乗客コンベアの歯飛び検出装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1のエスカレータの左側から見た説明図である。
図2】駆動装置、踏段スプロケット、手摺りスプロケット、手摺り駆動装置の拡大説明図である。
図3】駆動装置の平面図である。
図4】出力スプロケットが正常状態のタイムチャートである。
図5】上昇運転中に出力スプロケットに歯飛びが発生した状態のタイムチャートである。
図6】下降運転中に出力スプロケットに歯飛びが発生した状態のタイムチャートである。
図7】運転中に手摺りベルトがスリップした状態のタイムチャートである。
図8】実施形態2の駆動装置と踏段スプロケットと手摺りスプロケットの説明図である。
図9】実施形態2の正常時の下降運転中の駆動装置と踏段スプロケットと手摺りスプロケットの説明図である。
図10】実施形態2の1歯飛び時の下降運転中の駆動装置と踏段スプロケットと手摺りスプロケットの説明図である。
図11】下降運転中に出力スプロケットに歯飛びが発生した状態の実際のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態の乗客コンベアの歯飛び検出装置について図面を参照して説明する。なお、実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明する。
【実施形態1】
【0009】
本発明の実施形態1のエスカレータ10について、図1図7を参照して説明する。
【0010】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造についてまず説明する。図1は、エスカレータ10を左側面から見た説明図である。但し、エスカレータ10の内部構造をわかりやすくするために、エスカレータ10の片側(左側)の部材の図示を省略している。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、上階から下階を見下ろし、上階が後側、下階が前側であるものとする。
【0011】
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。
【0012】
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の踏段スプロケット24,24、左右一対の手摺りスプロケット27,27が設けられている。駆動装置18は、モータ20と、減速機82とを有している。この減速機82の出力軸に取り付けられた出力スプロケット90により駆動チェーン22が駆動して、踏段スプロケット24が回転する。左右一対の踏段スプロケット24,24と左右一対の手摺りスプロケット27,27とは、連結ベルトにより連結されて同期して回転する。駆動装置18、踏段スプロケット24、手摺りスプロケット27の構造については後から詳しく説明する。上階側の機械室14内部には、モータ20などを制御する制御部50が設けられている。
【0013】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、従動スプロケット26が設けられている。上階側の踏段スプロケット24と下階側の従動スプロケット26との間には、左右一対の無端状の踏段チェーン28,28が架け渡されている。すなわち、左右一対の踏段チェーン28,28には、複数の踏段30の車輪301が等間隔で取り付けられている。踏段30の車輪301はトラス12に固定された不図示の案内レールに沿って走行すると共に、踏段スプロケット24の外周部にある凹部と従動スプロケット26の外周部にある凹部に係合して上下に反転する。また、車輪302はトラス12に固定された案内レール25を走行する。
【0014】
トラス12の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部に手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って無端状の手摺りベルト38が移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。
【0015】
欄干36の側面下部には、スカートガード44が設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。
【0016】
左右一対の手摺りベルト38は、エスカレータ10が上昇運転する場合は、上階側のインレット部46から正面スカートガード40内にそれぞれ進入し、各手摺りベルト38は、前記手摺りスプロケット27によって駆動する手摺り駆動装置70によって駆動されて、スカートガード44内を移動し、下階側のインレット部48から正面スカートガード42外に表れる。エスカレータ10が下降運転する場合は、下階側のインレット部48からスカートガード44内に突入し、上階側のインレット部46から正面スカートガード40外に表れる。
【0017】
上階側の機械室14の天井面にある乗降口には、上階側の乗降板32が水平に設けられ、下階側の機械室16の天井面にある乗降口には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、踏段30がこのコム60から進出、又は、このコム60へ進入する。また、乗降板34にも櫛歯状のコム62が設けられている。
【0018】
(2)駆動装置18、踏段スプロケット24、手摺りスプロケット27の構造
次に、駆動装置18、踏段スプロケット24、手摺りスプロケット27の構造について図2図3を参照して説明する。
【0019】
駆動装置18は、上階側の機械室14のトラス12に設置されたものであり、図3に示すように、モータ20の回転軸86がカップリング装置88を介して減速機82の入力軸84と連結されている。なお、入力軸84と回転軸86の連結手段としては、カップリング装置88に限らず、Vベルトを用いてもよい。
【0020】
図2図3に示すように、減速機82の出力軸には出力スプロケット90が設けられている。この出力スプロケット90の外周部には、不図示の出力歯が一定間隔で突出している。
【0021】
図2に示すように、踏段スプロケット24と同軸に第1スプロケット92が設けられている。減速機82の出力スプロケット90と第1スプロケット92との間には、無端状の駆動チェーン22が架け渡されている。踏段スプロケット24と同軸に、第2スプロケット94も取り付けられている。また、手摺りスプロケット27と同軸に第3スプロケット96が設けられている。第2スプロケット94と第3スプロケット96との間には、無端状の伝達チェーン98が架け渡されている。
【0022】
図2図3に示すように、減速機82の入力軸84には、近接センサよりなる入力軸速度センサ(第1速度センサ)52が設けられ、入力軸84の回転速度である第1回転速度に対応したパルス間隔を有する第1パルス信号を制御部50に出力する。例えば、入力軸84に検出片を設け、入力軸84が1回転する毎に近接センサである入力軸速度センサ52がその検出片を検出し、1つのパルス(第1パルス信号)を出力する。制御部50は、入力軸速度センサ52の第1パルス信号に基づいてモータ20の運転停止の検出、減速の検出を行い、Vベルトが使用されている場合にはVベルトの異常も検出する。
【0023】
図2に示すように、出力スプロケット90と踏段スプロケット24とに駆動チェーン22が架け渡されているので、駆動装置18のモータ20が回転すると、それと共に減速機82の出力スプロケット90が回転し、駆動チェーン22を介して第1スプロケット92が回転する。第1スプロケット92が回転すると、踏段スプロケット24が回転し、踏段30が移動する。踏段スプロケット24が、図2において時計回りの方向に回転した場合には踏段30が上昇し、反時計回りの方向に回転すると踏段30は下降する。第1スプロケット92の回転と共に第2スプロケット94も回転し、伝達チェーン98によって第3スプロケット96が回転する。第3スプロケット96が回転すると、手摺りスプロケット27が回転し、次に説明する手摺り駆動装置70が駆動して、手摺りベルト38が移動する。
【0024】
(3)手摺り駆動装置70の構造
次に、手摺り駆動装置70について、図1図2を参照して説明する。手摺り駆動装置70は、エスカレータ10のスカートガード44で囲われた内部に設けられている。手摺り駆動装置70は、直線駆動式であり、トラス12の上方で、かつ、スカートガード44内部に設けられた横長の基板64、4個の手摺り駆動輪72、4個の手摺り従動輪74、4個の手摺り駆動スプロケット66、及び補助スプロケット68を有している。
【0025】
図1に示すように、4個の手摺り駆動スプロケット66は、水平方向に直線上に並んで回転自在に基板64に設けられている。また、中央の2個の手摺り駆動スプロケット66,66の間には、補助スプロケット68が設けられている。補助スプロケット68には、手摺り駆動輪72は取り付けられていない。
【0026】
図1に示すように、直線上に並んだ4個の手摺り駆動輪72は、4個の手摺り駆動スプロケット66と同軸に取り付けられ、手摺り駆動輪72は、手摺り駆動スプロケット66と共に回転する。
【0027】
基板64には、4個の手摺り駆動輪72の下方に、4個の手摺り従動輪74が4個の手摺り駆動輪72とそれぞれ相対向するように直線上に並んで設けられている。4個の手摺り駆動輪72と4個の手摺り従動輪74との間を、手摺りベルト38が走行し、4個の手摺り従動輪74は、4個の手摺り駆動輪72に手摺りベルト38を押圧している。
【0028】
上記で説明した手摺りスプロケット27と、手摺り駆動装置70の間には2個の案内スプロケット76,78が回転自在に設けられている。手摺りスプロケット27、4個の手摺り駆動スプロケット66と1個の補助スプロケット68と案内スプロケット76,78には、無端状の手摺りチェーン80が架け渡されている。すなわち手摺りチェーン80は、手摺りスプロケット27の下周面、第1の手摺り駆動スプロケット66の上周面、第2の手摺り駆動スプロケット66の上周面、補助スプロケット68の下周面、第3の手摺り駆動スプロケット66の上周面、第4の手摺り駆動スプロケット66の上周面を通り、案内スプロケット76と案内スプロケット78とに案内されて、手摺りスプロケット27に再び至る。
【0029】
これにより、踏段30を駆動する踏段スプロケット24と同期して手摺りスプロケット27が回転すると、4個の手摺り駆動スプロケット66と同軸に設けられている4個の手摺り駆動輪72も回転する。そして、回転する4個の手摺り駆動輪72と4個の手摺り従動輪74との間に挟まれた手摺りベルト38が走行する。
【0030】
上記で説明した4つの手摺り従動輪74の中で、一つの手摺り従動輪74には、近接センサよりなる手摺り速度センサ(第2速度センサ)54が設けられている。この手摺り速度センサ54は、手摺り従動輪74の回転速度である第2回転速度に対応したパルス間隔を有する第2パルス信号を制御部50に出力する。例えば、手摺り従動輪74に検出片を設け、近接センサである手摺り速度センサ54が、手摺り従動輪74が1回転する毎にその検出片を検出し、1つのパルス(第2パルス信号)を出力する。制御部50は、手摺り速度センサ54の第2パルス信号に基づいて、手摺りベルト38の停止、スリップなどを検出する。
【0031】
(4)出力スプロケット90の歯飛びの検出装置
次に、減速機82の出力スプロケット90の歯飛び検出装置について図4図7を参照して説明する。歯飛び検出装置は、制御部50、入力軸速度センサ52、手摺り速度センサ54から構成されている。ここで「歯飛び」とは、チェーンやスプロケットなどのギア(出力歯)の部分の噛み合わせが悪く、力が掛るとチェーンが滑り、入力された力が駆動対象に伝わらない現象を指すことである。図4図7のタイムチャートは、横軸が時間tであり、縦軸には、出力スプロケット90の出力歯の状態の概念図、入力軸速度センサ52が出力する第1パルス信号の波形、手摺り速度センサ54が出力する第2パルス信号の波形を上から順に示している。
【0032】
1列目の図は、出力スプロケット90の出力歯が一つ分回転したときに縦線が表示されるようにした出力歯の概念図であり、実線の縦線は出力歯が正常な動作をしたことを示し、点線の縦線は出力歯が摩耗などにより歯飛びが生じたことを示す。そして、一つの出力歯が隣接する出力歯の位置まで回転するのに要する時間をaとする。
【0033】
2列目の第1パルス信号は、入力軸84の回転と共に出力されるものであり、入力軸84の回転速度である第1回転速度が一定の場合には、パルス間隔がそれぞれ一定のパルス信号となる。そして、出力歯が一つ分回転するのに要するa時間の間に、所定のパルス数を出力する。例えば入力軸84が2回転すると、第1パルス信号は、図4図7に示すように2つのパルスを出力する。
【0034】
3列目の第2パルス信号は、手摺り従動輪74の回転と共に出力されるものであり、手摺り従動輪74の回転速度である第2回転速度が一定の場合には、パルス間隔がそれぞれ一定のパルス信号となる。そして、出力歯が一つ分回転するのに要するa時間の間に、例えば手摺り従動輪74が4回転すると、第2パルス信号は図4に示すように4つのパルスを出力し、第2回転速度が速くなるほどa時間の間のパルスの数が増加する(図6参照)。
【0035】
(4-1)正常状態
出力スプロケット90の出力歯が正常状態である場合について、図4のタイムチャートを参照して説明する。
【0036】
出力スプロケット90の出力歯が正常な場合には、出力歯の概念図における実線の縦線は、出力歯が1個分回転するa時間毎に突出する。このa時間の間の第1パルス信号のパルス数は、モータ20の回転速度と、減速機82における減速比と、出力スプロケット90の出力歯の数から求めることができる。図4は正常状態の例示であり、第1パルス信号はa時間の間にパルス間隔が一定の2つのパルスを含み、第2パルス信号はa時間の間にパルス間隔が一定の4つのパルスを含む場合を示している。
【0037】
制御部50は、このような状態の第1パルス信号と第2パルス信号が入力している場合には、出力スプロケット90の出力歯には歯飛びが発生していないと判断する。
【0038】
(4-2)上昇運転中の歯飛び
以下では、歯1個分(n=1)だけ歯飛びしたとき、すなわち、2つのパルスの第1パルス信号が出力されるときの歯飛びの検出について説明する。但し、歯飛びが1個分発生しても、通常はその時間は短く、第2パルス信号の変化は少ないので、複数の歯飛びが発生しているときの検出の方がより明確となる。その場合には、a時間×n(n>1)の間における第1パルス信号の数をカウントする。このnは、予め決めておいてもよい。
【0039】
まず、踏段30が上昇運転しているときに出力スプロケット90の出力歯に歯飛びが発生した場合について、図5のタイムチャートを参照して説明する。
【0040】
図5のタイムチャートにおいて一列目の出力歯の概念図は、点線の縦線によって歯飛びが一つ発生したことを示している。
【0041】
入力軸84に関しては、動力伝達系において出力スプロケット90の手前に存在するため、第1パルス信号は出力歯が正常なときのパルス信号と同様、パルス数及びパルス間隔がそれぞれ一定である。
【0042】
第2パルス信号に関しては、出力スプロケット90の出力歯に歯飛びが発生しているため、駆動チェーン22は一時的に停止して、踏段スプロケット24は回転せず踏段30も一時的に停止し、そのときの停止時間は歯飛びの歯数に比例する。すなわち、出力スプロケット90の出力歯一つ分回転するのに要するa時間と歯飛びが発生した歯数nの積となる。なお、図5においては、歯数はn=1である。駆動チェーン22が停止すると、その停止が第1スプロケット92、踏段スプロケット24、第2スプロケット94、第3スプロケット96、手摺りスプロケット27へと順に伝わり、さらに手摺りチェーン80から手摺り駆動輪72に伝達される。その間、手摺りベルト38の移動が停止するため、手摺り従動輪74も回転せず、手摺り速度センサ54は手摺り従動輪74の回転を検出できず、第2パルス信号が変化しないこととなる。すなわち、第2パルス信号のON又はOFF状態がa時間(但し、n=1)だけ継続する。
【0043】
制御部50は、上昇運転しているときに、入力軸速度センサ52の第1パルス信号が正常であるにも係わらず、手摺り速度センサ54の第2パルス信号が一定時間(a時間のn倍)だけ停止している場合には、出力スプロケット90に歯飛びが発生しているとして判断して記録すると共に、必要があれば外部に通報する。
【0044】
(4-3)下降運転中の歯飛び
次に、踏段30が下降運転しているときの出力スプロケット90の歯飛びが発生した場合について、図6のタイムチャートを参照して説明する。
【0045】
出力歯の概念図と入力軸速度センサ52の第1パルス信号については、上述の上昇運転中に歯飛びが発生した場合と同様である。
【0046】
下降運転中に出力スプロケット90に一つ分の歯飛びが発生した場合、駆動チェーン22を駆動する力がなくなり、踏段30は、その自重により下階側に下がるため、駆動チェーン22がその踏段30の移動に引っ張られ、瞬間的に出力スプロケット90の回転速度よりも踏段スプロケット24が高速で回転する。すると、その高速で回転した速度は第1スプロケット92、踏段スプロケット24、第2スプロケット94、第3スプロケット96、手摺りスプロケット27に伝わり、さらに手摺り駆動輪72にも伝わって、手摺りベルト38も一時的に高速で移動する。それに伴い手摺り従動輪74も高速で回転するため、手摺り速度センサ54の第2パルス信号は、この異常加速によりパルス間隔が狭くなる。例えば図6においては、a時間の間に平均1/2に圧縮された例を示している。但し、どの程度までパルス間隔が狭くなるかは、出力スプロケット90、第1スプロケット92、踏段スプロケット24、第2スプロケット94、第3スプロケット96、手摺りスプロケット27のそれぞれの出力歯の数やそれらの出力歯の数の比率で決定され、1/2は例示である。なお、この下降運転中に出力スプロケット90に一つ分の歯飛びが発生した場合については、実施形態1より構造が簡単な実施形態2でわかりやすく説明する。
【0047】
制御部50は、下降運転しているときに、第1パルス信号が正常であり、第2パルス信号のパルス間隔が正常時より狭くなっている場合には、出力スプロケット90に歯飛びが発生しているとして判断して記録すると共に、必要があれば外部に通報する。
【0048】
(4-4)上昇運転、下降運転中の手摺りベルト38のスリップの場合
出力スプロケット90において歯飛びが発生していないが、手摺りベルト38が移動中にスリップを起こす場合がある。このときのスリップ状態と歯飛びが起こっているときの状態との相違について、図7のタイムチャートを参照して説明する。
【0049】
出力歯の概念図と入力軸速度センサ52の第1パルス信号については正常な状態と同様である。
【0050】
しかし、手摺りベルト38が何らかの原因によってスリップを起こした場合には、手摺り駆動輪72の回転は正常な状態であるにもかかわらず、手摺りベルト38の移動速度が落ちるため、手摺り従動輪74の速度も落ち、それと共に手摺り速度センサ54の第2パルス信号のパルス幅及びパルス間隔の少なくとも一方が正常時よりも広がることとなる。これにより出力スプロケット90の歯飛びと区別できる。
【0051】
このように入力軸速度センサ52からの第1パルス信号が正常であるにもかかわらず、手摺り速度センサ54の第2パルス信号のパルス幅やパルス間隔が正常時よりも広がった場合には、制御部50は歯飛びではなく手摺りベルト38のスリップが発生したと判断する。
【0052】
(5)効果
本実施形態によれば、エスカレータ10が上昇運転中であっても下降運転中であっても、出力スプロケット90の歯飛びを確実に検出できる。
【0053】
また、手摺りベルト38のスリップと歯飛びとを区別して、手摺りベルト38のスリップも検出できる。
【0054】
また、入力軸速度センサ52と手摺り速度センサ54は、それぞれモータ20の速度や手摺りベルト38の速度を検出するために既に設置されているものを利用できるので、この出力スプロケット90の歯飛びを検出するために新たに設ける必要がなく、コストが上昇したり取り付けの手間が増えたりすることもない。
【実施形態2】
【0055】
次に、実施形態2のエスカレータ10について図8を参照して説明する。本実施形態と実施形態1の異なる点は、手摺りベルト38を駆動させる構造が異なる点にある。
【0056】
本実施形態では、第3スプロケット96に同軸に取り付けられているのが手摺りスプロケット27でなく、手摺りベルト38を駆動させる手摺り駆動輪100である。そして、この手摺り駆動輪100に手摺りベルト38を押圧するために、手摺り駆動輪100の下外周には、複数の手摺り従動輪102が設けられている。そして、この手摺り従動輪102の中の一つに、手摺り速度センサ54が設けられている。また、手摺りベルト38を、手摺り駆動輪100に案内する複数の案内ローラ104と、手摺り駆動輪100からスカートガード44内部に案内する複数の案内ローラ106が設けられている。
【0057】
これにより、踏段スプロケット24と共に第2スプロケット94が回転し、伝達チェーン98を介して第3スプロケット96が回転すると、手摺り駆動輪100が回転し、手摺りベルト38が移動する。手摺りベルト38が移動すると、手摺り従動輪102も回転し、手摺り速度センサ54が手摺りベルト38の速度に対応して第2パルス信号を出力する。
【0058】
本実施形態であっても、上記実施形態1と同様にして、上昇運転中又は下降運転中において、出力スプロケット90の歯飛びを検出できる。また、歯飛びとは区別して、手摺りベルト38のスリップも検出できる。
【0059】
本実施形態に基づいて、下降運転中に減速機82の出力スプロケット90にて歯飛びが一つ発生した場合について図9図11を参照して説明する。
【0060】
図9図10に示すように、下降運転中は出力スプロケット90、第1スプロケット92、第2スプロケット94,第3スプロケット96、手摺り駆動輪100は反時計回り、手摺り従動輪102は時計回りに回転する。図面では回転状態が分かるよう、基準にする歯の1本を太い線で表現している。
【0061】
図9に示すように、正常時は、出力スプロケット90は、0時の位置(図9(a)参照)から9時の位置(図9(b)参照)へ1歯進む間(図11のa時間に相当)に4回のパルス立ち上りが発生し、手摺り駆動輪100(手摺り速度センサ54の検出片)は0時から4時の位置まで(4パルス分)回転する。
【0062】
図10に示すように、下降運転中に減速機82の出力スプロケット90の0時の位置(図10(a)参照)で歯飛びが発生した場合、駆動チェーン22の空転により手摺り駆動輪100が0時から4時の位置(図10(b)参照)まで回転する。その間、出力スプロケット90は通常通り0時から9時の位置まで回転するので、手摺り駆動輪100は4時から8時の位置(図10(c)参照)まで回転する。上記は出力スプロケット90が1歯進む間(図11のa時間)に発生し、手摺り駆動輪100と同様に回転する検出片を有する手摺り速度センサ54は通常の2倍である8パルス立上りを発生させる。図6に示すように、a時間内で平均化するとパルス間隔は正常時の1/2であるが、実際は図11に示すように、歯飛び直後のみ間隔が極端に狭く、途中から正常間隔になる。すなわち、歯飛びした後ろの歯に駆動チェーン22が掛かることとなる。
【変更例】
【0063】
上記実施形態では、入力軸速度センサ52と手摺り速度センサ54には近接センサを用いたが、これに代えて、入力軸84と共に回転するエンコーダや、手摺り従動輪74と共に回転するロータリーエンコーダなどの高分解能センサを用いてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、エスカレータ10に適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0065】
また、上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10・・・エスカレータ、18・・・駆動装置、20・・・モータ、22・・・駆動チェーン、24・・・踏段スプロケット、27・・・手摺りスプロケット、28・・・踏段チェーン、30・・・踏段、38・・・手摺りベルト、52・・・入力軸速度センサ、54・・・手摺り速度センサ、70・・・手摺り駆動装置、72・・・手摺り駆動輪、74・・・手摺り従動輪、80・・・手摺りチェーン、82・・・減速機、84・・・入力軸、90・・・出力スプロケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転軸に入力軸が連結された減速機と、
無端状に連結された複数の踏段と、
前記踏段を駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第1スプロケットと、
前記減速機の出力スプロケットと前記第1スプロケットとの間に架け渡された無端状の駆動チェーンと、
前記踏段スプロケットによって駆動される手摺り駆動輪と、
前記手摺り駆動輪と手摺りベルトを挟んで走行させる手摺り従動輪と、
前記入力軸の第1回転速度に対応した第1パルス信号を出力する第1速度センサと、
前記手摺り従動輪の第2回転速度に対応した第2パルス信号を出力する第2速度センサと、
所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力される間に出力された前記第2パルス信号に基づいて、前記出力スプロケットの歯飛びを検出する制御部と、
を有し、
前記踏段が上昇運転しているときに、前記制御部は、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力されている間、前記第2パルス信号がON、又はOFFを継続している場合に、前記出力スプロケットが歯飛びしていると判断する、
乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項2】
モータと、
前記モータの回転軸に入力軸が連結された減速機と、
無端状に連結された複数の踏段と、
前記踏段を駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第1スプロケットと、
前記減速機の出力スプロケットと前記第1スプロケットとの間に架け渡された無端状の駆動チェーンと、
前記踏段スプロケットによって駆動される手摺り駆動輪と、
前記手摺り駆動輪と手摺りベルトを挟んで走行させる手摺り従動輪と、
前記入力軸の第1回転速度に対応した第1パルス信号を出力する第1速度センサと、
前記手摺り従動輪の第2回転速度に対応した第2パルス信号を出力する第2速度センサと、
所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力される間に出力された前記第2パルス信号に基づいて、前記出力スプロケットの歯飛びを検出する制御部と、
を有し、
前記踏段が下降運転しているときに、前記制御部は、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力されている間、歯飛びが起こっていない正常状態における前記第2パルス信号のパルス間隔より、当該第2パルス信号のパルス間隔が狭くなっている場合に、前記出力スプロケットが歯飛びしていると判断する、
乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項3】
前記第1パルス信号の所定のパルス数とは、前記出力スプロケットが出力歯一つ分回転するのに要するa時間と、予め定めた歯数n(n=>1)の積の時間の間に出力された数である、
請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項4】
手摺りスプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第2スプロケットと、
前記手摺りスプロケットと同軸に設けられた第3スプロケットと、
前記第2スプロケットと前記第3スプロケットとに架け渡された無端状の伝達チェーンと、
複数の前記手摺り駆動輪と前記手摺りスプロケットとに架け渡された無端状の手摺りチェーンと、
を有する請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【請求項5】
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第2スプロケットと、
一つの前記手摺り駆動輪と同軸に設けられた第3スプロケットと、
前記第2スプロケットと前記第3スプロケットとに架け渡された無端状の伝達チェーンと、
を有する請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの歯飛び検出装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の実施形態は、モータと、前記モータの回転軸に入力軸が連結された減速機と、無端状に連結された複数の踏段と、前記踏段を駆動する踏段スプロケットと、前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第1スプロケットと、前記減速機の出力スプロケットと前記第1スプロケットとの間に架け渡された無端状の駆動チェーンと、前記踏段スプロケットによって駆動する手摺り駆動輪と、前記手摺り駆動輪と手摺りベルトを挟んで走行させる手摺り従動輪と、前記入力軸の第1回転速度に対応した第1パルス信号を出力する第1速度センサと、前記手摺り従動輪の第2回転速度に対応した第2パルス信号を出力する第2速度センサと、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力される間に出力された前記第2パルス信号に基づいて、前記出力スプロケットの歯飛びを検出する制御部と、有し、前記踏段が上昇運転しているときに、前記制御部は、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力されている間、前記第2パルス信号がON、又はOFFを継続している場合に、前記出力スプロケットが歯飛びしていると判断する、乗客コンベアの歯飛び検出装置である。
本発明の他の実施形態は、モータと、前記モータの回転軸に入力軸が連結された減速機と、無端状に連結された複数の踏段と、前記踏段を駆動する踏段スプロケットと、前記踏段スプロケットと同軸に設けられた第1スプロケットと、前記減速機の出力スプロケットと前記第1スプロケットとの間に架け渡された無端状の駆動チェーンと、前記踏段スプロケットによって駆動される手摺り駆動輪と、前記手摺り駆動輪と手摺りベルトを挟んで走行させる手摺り従動輪と、前記入力軸の第1回転速度に対応した第1パルス信号を出力する第1速度センサと、前記手摺り従動輪の第2回転速度に対応した第2パルス信号を出力する第2速度センサと、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力される間に出力された前記第2パルス信号に基づいて、前記出力スプロケットの歯飛びを検出する制御部と、を有し、前記踏段が下降運転しているときに、前記制御部は、所定のパルス数の前記第1パルス信号が出力されている間、歯飛びが起こっていない正常状態における前記第2パルス信号のパルス間隔より、当該第2パルス信号のパルス間隔が狭くなっている場合に、前記出力スプロケットが歯飛びしていると判断する、乗客コンベアの歯飛び検出装置である。