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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179649
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】窒化物半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20241219BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/06 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098655
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼堂 真也
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102FA01
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GL04
5F102GQ01
5F102GR12
5F102GS05
5F102GS06
5F102GV05
5F102HC16
(57)【要約】
【課題】ゲート層における電界集中を緩和しつつゲートソース間容量を低減すること。
【解決手段】窒化物半導体装置10は、ゲート層30を覆うパッシベーション層50と、パッシベーション層50上のフィールドプレート電極60とを含む。ゲート30層は、ゲート層本体部32とドレイン側延在部36とを含む。パッシベーション層50は、ドレイン側延在部36およびフィールドプレート電極60の双方と平面視で重複する第1部分52Aと、第1部分52Aと連続しドレイン側延在部36とドレイン開口部50Bとの間に位置する第2部分52Bと、第1部分52Aと第2部分52Bとの境界53を含む領域に位置する第1段差部54とを含む。第1部分52Aは、段差上面54Aからドレイン側延在部36の上面まで第1厚さT1を有し、第2部分52Bは、段差下面54Bから電子供給層28の上面まで第2厚さT2を有する。第1厚さT1は第2厚さT2よりも大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1窒化物半導体で構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に設けられ、前記第1窒化物半導体よりも大きなバンドギャップを有する第2窒化物半導体で構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に設けられ、第3窒化物半導体で構成されたゲート層と、
前記ゲート層上に設けられたゲート電極と、
前記電子供給層、前記ゲート層、および前記ゲート電極を覆うとともに、ソース開口部およびドレイン開口部を含むパッシベーション層と、
前記ソース開口部を介して前記電子供給層に接するソース電極と、
前記ドレイン開口部を介して前記電子供給層に接するドレイン電極と、
前記パッシベーション層上に設けられ、前記ソース電極と電気的に接続されたフィールドプレート電極と、を備え、
前記ゲート層は、ゲート層本体部と、前記ゲート層本体部から前記ドレイン開口部に向かって延在するドレイン側延在部と、を含み、
前記パッシベーション層は、
前記ドレイン側延在部および前記フィールドプレート電極の双方と平面視で重複する第1部分と、
前記第1部分と連続し、前記ドレイン側延在部と前記ドレイン開口部との間に位置する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との境界を含む領域に位置する第1段差部と、を含み、
前記第1段差部は、段差上面と、前記段差上面よりも低い段差下面と、前記段差上面と前記段差下面とをつなぐ段差壁とを有し、
前記第1部分は、前記段差上面から前記ドレイン側延在部の上面まで第1厚さを有し、
前記第2部分は、前記段差下面から前記電子供給層の上面まで第2厚さを有し、
前記第1厚さは前記第2厚さよりも大きい、窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記第2厚さに対する前記第1厚さの比が、1よりも大きく3以下である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第1厚さを有する領域を支配的に含み、
前記第2部分は、前記第2厚さを有する領域を支配的に含む、請求項1または2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記第1厚さは、100nm以上200nm以下である、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記第2厚さは、50nm以上150nm以下である、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記第1部分は、
前記第1厚さを有する第1領域と、
前記第1領域よりも前記ゲート層本体部寄りに位置し、前記第1厚さよりも大きな厚さを有する第2領域と、
を含む、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
平面視において前記第1領域は前記第2領域よりも大きな面積を有している、請求項6に記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記第1厚さは、前記ドレイン側延在部の厚さよりも大きい、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
前記第1厚さと前記ドレイン側延在部の厚さとの合計厚さは、前記ゲート層本体部の厚さよりも大きく、かつ、前記ゲート層本体部の厚さと前記ゲート電極の厚さとの合計厚さよりも小さい、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項10】
前記ゲート層はさらに、前記ゲート層本体部から前記ソース開口部に向かって延在するソース側延在部を含み、
前記パッシベーション層は、
前記ソース側延在部および前記フィールドプレート電極の双方と平面視で重複する第3部分と、
前記第3部分と連続し、前記ソース側延在部と前記ソース開口部との間に位置する第4部分と、
前記第3部分と前記第4部分との境界を含む領域に位置する第2段差部と、を含み、
前記第2段差部は、段差上面と、前記第2段差部の前記段差上面よりも低い段差下面と、前記第2段差部の前記段差上面と前記段差下面とをつなぐ段差壁とを有し、
前記第3部分は、前記第2段差部の前記段差上面から前記ソース側延在部の上面まで第3厚さを有し、
前記第4部分は、前記第2段差部の前記段差下面から前記電子供給層の上面まで第4厚さを有し、
前記第3厚さは前記第4厚さよりも大きい、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項11】
前記第4厚さに対する前記第3厚さの比が、1よりも大きく3以下である、請求項10に記載の窒化物半導体装置。
【請求項12】
前記第3厚さは、100nm以上200nm以下である、請求項10または11に記載の窒化物半導体装置。
【請求項13】
前記第4厚さは、50nm以上150nm以下である、請求項10~12のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項14】
前記第3部分は、
前記第3厚さを有する第3領域と、
前記第3領域よりも前記ゲート層本体部寄りに位置し、前記第3厚さよりも大きな厚さを有する第4領域と、
を含む、請求項10~13のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項15】
前記第3厚さは、前記ソース側延在部の厚さよりも大きい、請求項10~14のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項16】
前記第3厚さと前記ソース側延在部の厚さとの合計厚さは、前記ゲート層本体部の厚さよりも大きく、かつ、前記ゲート層本体部の厚さと前記ゲート電極の厚さとの合計厚さよりも小さい、請求項10~15のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項17】
前記フィールドプレート電極は、前記ソース電極と一体に形成されており、かつ、平面視で前記ゲート層本体部および前記ドレイン側延在部を覆うように前記ソース電極から前記ドレイン電極に向かって延在している、請求項1~16のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項18】
前記フィールドプレート電極は、前記ソース電極とは分離して設けられており、かつ、平面視で前記ドレイン側延在部の少なくとも一部を覆うように前記第1部分と前記第1段差部と前記第2部分とに跨がって設けられている、請求項1~16のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)の製品化が進んでいる。特許文献1は、窒化物半導体を用いたノーマリオフ型HEMTの一例を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-73506号公報
【0004】
[概要]
一般に、窒化物半導体装置は、ゲート層の端部に局所的に印加される電界を緩和するためにゲート層の上方を覆うフィールドプレート電極を含む。フィールドプレート電極は、ソース電極と一体に形成されるかまたはソース電極に電気的に接続されている。この構成では、ゲート層の上方にフィールドプレート電極が存在することでソースゲート間容量が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、第1実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略平面図である。
図2図2は、図1の窒化物半導体装置の一部を拡大して示す概略平面図である。
図3図3は、図2のF3-F3線で切断した窒化物半導体装置の概略断面図である。
図4図4は、図3の窒化物半導体装置の一部を拡大して示す概略断面図である。
図5図5は、図3の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図6図6は、図5に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図7図7は、図6に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図8図8は、図7に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図9図9は、図8に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図10図10は、図9に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図11図11は、図10に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図12図12は、図11に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
【0006】
[詳細な説明]
以下、添付図面を参照して本開示における半導体装置の実施形態を説明する。
【0007】
なお、図示および説明を簡潔かつ明瞭にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。理解を容易にするために、特徴部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率は各図面で同じであるとは限らない。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0008】
本開示において使用される「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、対象物の構成要素を明確に区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。また、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の複数の選択肢のうちの1つ以上を意味する。一例として、選択肢の数が2つであれば、「少なくとも1つ」の表現は、1つの選択肢のみ、または2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、選択肢の数が3つ以上であれば、「少なくとも1つ」の表現は、1つの選択肢のみ、または2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。
【0010】
[第1実施形態]
[1.窒化物半導体装置の概略構造]
図1は、第1実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置10の概略平面図である。窒化物半導体装置10はチップ本体12を含む。なお、図1および他の図面に示される互いに直交するXYZ軸のZ軸方向は、チップ本体12の主面(図1において上面13)と直交する方向である。本開示において使用される「平面視」という用語は、明示的に別段の記載がない限り、Z軸方向に沿って上方から窒化物半導体装置10を視ることをいう。
【0011】
窒化物半導体装置10は、少なくとも1つのゲートパッド14と、少なくとも1つのソースパッド16と、少なくとも1つのドレインパッド18とを含む。例えば、窒化物半導体装置10は、1つのゲートパッド14と、複数のソースパッド16と、複数のドレインパッド18とを含む。ゲートパッド14、ソースパッド16、およびドレインパッド18は、チップ本体12の上面13に形成されており、窒化物半導体装置10の外部接続端子として使用され得る。
【0012】
ゲートパッド14、ソースパッド16、およびドレインパッド18は各々、平面視において例えば矩形状に形成されている。ゲートパッド14は、上面13の1つの角部に配置されている。ソースパッド16およびドレインパッド18は各々、平面視において一方向、図1においてY軸方向に延在している。ソースパッド16とドレインパッド18は、Y軸方向と直交するX軸方向に交互に配置されている。
【0013】
図2は、図1の窒化物半導体装置10の一部を拡大して示す概略平面図である。また、図3は、図2に示すF3-F3線で切断した窒化物半導体装置10の概略断面図である。窒化物半導体装置10は、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)として構成され得る。
【0014】
図3に示されるように、窒化物半導体装置10は、半導体基板20と、半導体基板20上に形成された核生成層22と、核生成層22上に形成されたバッファ層24と、バッファ層24上に形成された電子走行層26と、電子走行層26上に形成された電子供給層28とを含む。
【0015】
半導体基板20は、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、サファイア、または他の基板材料で形成され得る。例えば、半導体基板20はSi基板である。半導体基板20の厚さは、例えば200μm以上1500μm以下とすることができる。なお、Z軸方向は、半導体基板20の厚さ方向に対応する。
【0016】
核生成層22は、窒化物半導体によって構成されている。例えば、核生成層22は、100nm以上500nm以下の厚さを有する窒化アルミニウム(AlN)層として形成され得る。なお、核生成層22は、バッファ層24の最下層として含まれてもよい。
【0017】
バッファ層24は、半導体基板20と電子走行層26との間の熱膨張係数の不整合によるウェハ反りおよびクラックの発生を抑制することができる任意の材料によって構成され得る。バッファ層24は、1つまたは複数の窒化物半導体層を含み得る。バッファ層24は、例えば、AlN層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、および異なるアルミニウム(Al)組成を有するグレーデッドAlGaN層のうちの少なくとも1つを含む。例えば、バッファ層24は、単一のAlN層、単一のAlGaN層、AlGaN/GaN超格子構造を有する層、AlN/AlGaN超格子構造を有する層、またはAlN/GaN超格子構造を有する層によって構成され得る。
【0018】
電子走行層26は、窒化物半導体によって構成されている。電子走行層26は、例えばGaN層であってよい。電子走行層26の厚さは、例えば0.1μm以上2μm以下とすることができる。電子走行層26は、1つまたは複数の窒化物半導体層を含んでもよい。また、電子走行層26におけるリーク電流を抑制するために、電子走行層26の一部に不純物を導入して電子走行層26の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。その場合、不純物は例えばCであり、不純物の濃度は、例えばピーク濃度で1×1019cm-3以上であってよい。GaNは第1窒化物半導体の一例である。
【0019】
電子供給層28は、電子走行層26よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されている。電子供給層28は、例えばAlGaN層であってよい。Al組成が大きいほどバンドギャップが大きくなるため、AlGaN層である電子供給層28は、GaN層である電子走行層26よりも大きなバンドギャップを有する。一例では、電子供給層28は、AlGa1-xNによって構成され、xは0.1<x<0.4であり、より好ましくは、0.1<x<0.3である。電子供給層28の厚さは、例えば5nm以上20nm以下とすることができる。AlGaNは第2窒化物半導体の一例である。
【0020】
電子走行層26と電子供給層28とは、バルク領域において異なる格子定数を有する。したがって、電子走行層26を構成する窒化物半導体(例えば、GaN)と電子供給層28を構成する窒化物半導体(例えば、AlGaN)は、格子不整合系のヘテロ接合を形成する。電子走行層26および電子供給層28の自発分極と、電子走行層26のヘテロ接合部が受ける圧縮応力に起因するピエゾ分極とによって、電子走行層26と電子供給層28との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層26の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、電子走行層26と電子供給層28とのヘテロ接合界面に近い位置(例えば、界面から数nm程度の距離)において電子走行層26内には二次元電子ガス(2DEG)27が形成される。
【0021】
窒化物半導体装置10はさらに、電子供給層28上の一部に形成されたゲート層30と、ゲート層30上に形成されたゲート電極40とを含む。
ゲート層30は、窒化物半導体によって構成されている。例えば、ゲート層30は、電子供給層28よりも小さなバンドギャップを有しアクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されている。一例では、ゲート層30は、アクセプタ型不純物がドープされたGaN層(p型GaN層)である。アクセプタ型不純物は、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、およびCのうちの少なくとも1つであってよい。ゲート層30中のアクセプタ型不純物の最大濃度は、例えば7×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0022】
ゲート電極40は、1つまたは複数の金属層を含む。例えば、ゲート電極40は、窒化チタン(TiN)層であってよい。あるいは、ゲート電極40は、Tiによって構成された第1金属層と、第1金属層上に設けられ、TiNによって構成された第2金属層とによって形成されてもよい。ゲート電極40は、ゲート層30とショットキー接合を形成し得る。ゲート電極40の厚さは、例えば50nm以上200nm以下とすることができる。
【0023】
窒化物半導体装置10はさらに、パッシベーション層50を含む。パッシベーション層50は、電子供給層28、ゲート層30、およびゲート電極40を覆っている。パッシベーション層50は、例えば、二酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちのいずれか1つを含む材料によって構成され得る。パッシベーション層50の厚さは、例えば50nm以上200nm以下とすることができる。パッシベーション層50は、電子供給層28の上面の一部をそれぞれ露出させるソース開口部50Aおよびドレイン開口部50Bを含む。
【0024】
窒化物半導体装置10はさらに、パッシベーション層50のソース開口部50Aを介して電子供給層28に接するソース電極42と、パッシベーション層50のドレイン開口部50Bを介して電子供給層28に接するドレイン電極44とを含む。
【0025】
ソース電極42およびドレイン電極44は、1つまたは複数の金属層を含む。例えば、ソース電極42およびドレイン電極44は、Ti層、TiN層、Al層、アルミニウムシリコン銅(AlSiCu)層、およびアルミニウム銅(AlCu)層のうちの1つまたは任意の組み合わせによって形成され得る。ソース電極42の少なくとも一部は、ソース開口部50A内に充填されており、ソース開口部50Aを介して電子供給層28直下の2DEG27にオーミック接触している。同様に、ドレイン電極44の少なくとも一部は、ドレイン開口部50B内に充填されており、ドレイン開口部50Bを介して電子供給層28直下の2DEG27にオーミック接触している。なお、図示は省略するが、半導体基板20はソース電極42に電気的に接続されており、半導体基板20にはソース電極42と同電位の電圧が印加される。
【0026】
アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によってゲート層30が形成されている場合、ゲート電極40に電圧が印加されないゼロバイアス時に、ゲート層30の直下の領域における2DEG27が空乏化することで導電経路(チャネル)が遮断される。これにより、閾値電圧が正の値となるノーマリオフ型のHEMTが実現される。
【0027】
[2.ゲート層の例示的構造]
図3に示されるように、ゲート層30は、X軸方向においてソース開口部50Aとドレイン開口部50Bとの間に位置している。ゲート層30は、ソース開口部50Aおよびドレイン開口部50Bの双方から離間しており、ドレイン開口部50Bよりもソース開口部50A寄りに位置している。
【0028】
ゲート層30は、ゲート層30の上面を含むゲート層本体部32と、ゲート層本体部32よりもそれぞれ薄いソース側延在部34およびドレイン側延在部36とを含む。ゲート層本体部32と、ソース側延在部34と、ドレイン側延在部36はいずれも、電子供給層28に接している。ソース側延在部34およびドレイン側延在部36の存在により、ゲート層30の下面はゲート層30の上面よりも大きな面積を有している。
【0029】
ゲート層本体部32は、ソース側延在部34およびドレイン側延在部36と一体に形成されている。例えば、ゲート層本体部32は、断面リッジ状(断面略矩形状)に形成されている。ただし、ゲート層本体部32の断面形状は特に限定されず、例えば断面台形状または他の断面形状であってもよい。ゲート層本体部32の厚さは、ゲート閾値電圧を含む種々のパラメータを考慮して決定され得る。ゲート層本体部32の厚さは、例えば80nm以上150nm以下とすることができる。
【0030】
ソース側延在部34は、ゲート層本体部32からソース開口部50Aに向けて延びている。ソース開口部50Aに埋め込まれたソース電極42とソース側延在部34との間にはパッシベーション層50が存在している。一方、ドレイン側延在部36は、ゲート層本体部32からドレイン開口部50Bに向けて延びている。ドレイン開口部50Bに埋め込まれたドレイン電極44とドレイン側延在部36との間にはパッシベーション層50が存在している。ソース側延在部34およびドレイン側延在部36は各々、例えばゲート層本体部32の半分以下の厚さを有し得る。
【0031】
ドレイン側延在部36は、ソース側延在部34よりもX軸方向に大きな寸法を有し得る。ソース側延在部34のX軸方向の寸法(長さ)は、例えば0.2μm以上0.3μm以下であってよい。ドレイン側延在部36のX軸方向の寸法(長さ)は、例えば0.2μm以上0.6μm以下であってよい。
【0032】
ソース側延在部34およびドレイン側延在部36は各々、略一定の厚さの平坦部分を含み得る。ソース側延在部34の平坦部分の厚さおよびドレイン側延在部36の平坦部分の厚さは、例えば5nm以上25nm以下とすることができる。なお、本明細書において「略一定の厚さ」とは、厚さが製造上のばらつき(例えば、20%)の範囲内にあることを指す。また、図3に示されるように、ソース側延在部34およびドレイン側延在部36は各々、平坦部分とゲート層本体部32との間にその平坦部分よりも厚い中間部分を含み得る。一例では、中間部分は、ゲート層本体部32から遠ざかるほど漸減する厚さを有し得る。
【0033】
[3.フィールドプレート電極の例示的構造]
図3に示されるように、窒化物半導体装置10はさらに、パッシベーション層50上に設けられるとともに、ソース電極42と電気的に接続されたフィールドプレート電極60を含む。図3の例では、フィールドプレート電極60は、ソース電極42と一体に形成されており、ソース電極42の一部として設けられている。したがって、フィールドプレート電極60には、ソース電極42と同電位を有する電圧が印加される。フィールドプレート電極60はソースフィールドプレートとも呼ばれる。フィールドプレート電極60は、平面視でゲート層30の全体を覆っている。
【0034】
フィールドプレート電極60は、ドレイン電極44から離間している。フィールドプレート電極60は、平面視でゲート層30(ドレイン側延在部36)とドレイン電極44(ドレイン開口部50B)との間に位置する端部61を含む。フィールドプレート電極60は、ゲート電極40にゲート入力電圧が印加されていないゼロバイアス状態でドレイン電極44にドレイン電圧が印加された場合にゲート電極40の端部近傍およびゲート層30の端部近傍の電界集中を緩和する役割を果たす。
【0035】
[4.窒化物半導体装置の例示的な平面レイアウト]
次に、図2を参照して、HEMT構造(窒化物半導体装置10)の例示的な平面レイアウトについて説明する。なお、図示を明瞭にするために、図2ではパッシベーション層50の図示を省略している。また、ソース開口部50Aおよびドレイン開口部50Bと、フィールドプレート電極60とが破線で描かれている。
【0036】
図2に示されるように、窒化物半導体装置10は、ゲート配線72と、ソース配線74と、ドレイン配線76とを含む。ゲート配線72、ソース配線74、およびドレイン配線76は、ソース電極42およびドレイン電極44を覆う図示しない層間絶縁層上に形成されている。例えば、ゲート配線72は、層間絶縁層を貫通するとともにゲート電極40まで延在するゲート接続導体73によりゲート電極40に接続されている。ソース配線74は、層間絶縁層を貫通するソース接続導体75によりソース電極42に接続されている。ドレイン配線76は、層間絶縁層を貫通するドレイン接続導体77によりドレイン電極44に接続されている。
【0037】
窒化物半導体装置10は、素子領域内に、HEMT構造を各々有する複数のトランジスタ要素を含む。なお、図2は、X軸方向に並ぶ複数のトランジスタ要素のみを示しているが、実際には、トランジスタ要素はX軸方向およびY軸方向に並んで設けられ得る。
【0038】
ドレイン電極44は、トランジスタ要素毎に設けられており、平面視でY軸方向に延在している。ソース電極42は、例えば、平面視で各ドレイン電極44を囲むように設けられている。図3を参照して説明したように、ソース電極42はフィールドプレート電極60を含む。すなわち、フィールドプレート電極60はソース電極42と一体的に形成されており、平面視で隣接するドレイン電極44に向かって延在している。なお、図2の例では、ソース電極42は、X軸方向に隣接する複数のトランジスタ要素に亘ってX軸方向に連続的に形成されているが、X軸方向に複数の部分に分離されていてもよい。
【0039】
ゲート層30およびゲート電極40は、トランジスタ要素毎に設けられている。各ゲート層30および各ゲート電極40は、平面視でドレイン電極44の一つを囲むように環状に形成されている。
【0040】
[5.パッシベーション層の例示的構造]
次に、図3および図4を参照して、パッシベーション層50の例示的構造を説明する。図4は、図3の窒化物半導体装置10の一部を拡大して示す概略断面図である。
【0041】
図4に示されるように、パッシベーション層50は、ゲート層30のドレイン側延在部36およびフィールドプレート電極60の双方と平面視で重複する第1部分52Aを含む。また、パッシベーション層50は、第1部分52Aと連続するとともに、ドレイン側延在部36とドレイン開口部50Bとの間に位置する第2部分52Bを含む。また、パッシベーション層50は、第1部分52Aと第2部分52Bとの境界53を含む領域に位置する第1段差部54を含む。第1段差部54は、段差上面54Aと、段差上面54Aよりも低い段差下面54Bと、段差上面54Aと段差下面54Bとをつなぐ段差壁54Cとを含む。
【0042】
第1部分52Aは、段差上面54Aからドレイン側延在部36の上面まで第1厚さT1を有している。第2部分52Bは、段差下面54Bから電子供給層28の上面まで第2厚さT2を有している。パッシベーション層50は、第1厚さT1が第2厚さT2よりも大きくなるように形成されている。第2厚さT2は、例えば50nm以上150nm以下であってよく、第1実施形態では100nmである。第1厚さT1は、例えば100nm以上200nm以下であってよく、第1実施形態では150nmである。第2厚さT2に対する第1厚さT1の比、すなわちT1/T2は、例えば1よりも大きく3以下であってよい。
【0043】
第1部分52Aは、第1厚さT1を有する領域を支配的に含んでいる。図4の例では、第1厚さT1の領域は、第1部分52Aの全体かまたは実質的にほぼ全体である。また、第2部分52Bは、第2厚さT2を有する領域を支配的に含んでいる。図4の例では、第2厚さT2の領域は、第2部分52Bの全体かまたは実質的にほぼ全体である。
【0044】
第1部分52Aは、第1厚さT1がドレイン側延在部36の厚さよりも大きくなるように形成されている。図4の例では、第1厚さT1とドレイン側延在部36の厚さとの合計厚さは、ゲート層本体部32の厚さよりも大きく、かつ、ゲート層本体部32の厚さとゲート電極40の厚さとの合計厚さよりも小さい。
【0045】
パッシベーション層50はさらに、ゲート層30のソース側延在部34およびフィールドプレート電極60の双方と平面視で重複する第3部分55Aを含む。また、パッシベーション層50は、第3部分55Aと連続するとともに、ソース側延在部34とソース開口部50Aとの間に位置する第4部分55Bを含む。また、パッシベーション層50は、第3部分55Aと第4部分55Bとの境界56を含む領域に位置する第2段差部57を含む。第2段差部57は、段差上面57Aと、段差上面57Aよりも低い段差下面57Bと、段差上面57Aと段差下面57Bとをつなぐ段差壁57Cとを含む。
【0046】
第3部分55Aは、段差上面57Aからソース側延在部34の上面まで第3厚さT3を有している。第4部分55Bは、段差下面57Bから電子供給層28の上面まで第4厚さT4を有している。パッシベーション層50は、第3厚さT3が第4厚さT4よりも大きくなるように形成されている。第4厚さT4は、例えば50nm以上150nm以下であってよく、第1実施形態では100nmである。第3厚さT3は、例えば100nm以上200nm以下であってよく、第1実施形態では150nmである。第4厚さT4に対する第3厚さT3の比、すなわちT3/T4は、例えば1よりも大きく3以下であってよい。
【0047】
第3部分55Aは、第3厚さT3を有する領域を支配的に含んでいる。図4の例では、第3厚さT3の領域は、第3部分55Aの全体かまたは実質的にほぼ全体である。また、第4部分55Bは、第4厚さT4を有する領域を支配的に含んでいる。図4の例では、第4厚さT4の領域は、第4部分55Bの全体かまたは実質的にほぼ全体である。
【0048】
第3部分55Aは、第3厚さT3がソース側延在部34の厚さよりも大きくなるように形成されている。図4の例では、第3厚さT3とソース側延在部34の厚さとの合計厚さは、ゲート層本体部32の厚さよりも大きく、かつ、ゲート層本体部32の厚さとゲート電極40の厚さとの合計厚さよりも小さい。
【0049】
[6.窒化物半導体装置の例示的な製造方法]
次に、窒化物半導体装置10の例示的な製造方法について説明する。
図5図12は、窒化物半導体装置10の製造工程を示す概略断面図である。なお、図5図12では、理解を容易にするために、窒化物半導体装置10の最終的な構成要素を含む部材またはそれに対応する部材を表す参照符号が付されている。
【0050】
図5に示されるように、例えばSi基板である半導体基板20上に、核生成層22、バッファ層24、電子走行層26、および電子供給層28が順にエピタキシャル成長によって形成される。エピタキシャル成長プロセスには、例えば有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法を用いることができる。
【0051】
なお、核生成層22、バッファ層24、電子走行層26、および電子供給層28は、図3を参照して説明したそれらにそれぞれ対応する任意の窒化物半導体層で形成され得る。第1実施形態では、例えば、核生成層22はAlN層であり、バッファ層24はグレーデッドAlGaN層であり、電子走行層26はGaN層であり、電子供給層28はAlGaN層である。
【0052】
次いで、図6に示されるように、電子供給層28上に、ゲート層30に対応する窒化物半導体層がエピタキシャル成長によって形成される。第1実施形態では、ゲート層30に対応する窒化物半導体層は、例えば、アクセプタ型不純物としてMgがドープされたp型GaN層である。
【0053】
次いで、図7に示されるように、ゲート層30に対応する窒化物半導体層上に、ゲート電極40が形成される。ゲート電極40は、例えばスパッタ法によって電極層(図示略)を形成した後に、マスク(図示略)を用いて電極層を選択的にエッチングすることにより形成することができる。第1実施形態では、ゲート電極40は、例えばTiN層である。
【0054】
次いで、図8に示されるように、マスクM1を用いて、ゲート層30に対応する図7の窒化物半導体層を選択的にエッチングすることにより、ゲート層本体部32が形成される。なお、上述したように、ゲート層本体部32の断面形状は特に限定されない。ゲート層本体部32が形成された後、マスクM1は除去される。
【0055】
次いで、図9に示されるように、マスクM2を用いて、ゲート層30に対応する図8の窒化物半導体層をさらに選択的にエッチングすることにより、ソース側延在部34およびドレイン側延在部36が形成される。これにより、ゲート層本体部32とソース側延在部34とドレイン側延在部36とを含むゲート層30が形成される。図9のゲート層30が形成された後、マスクM2は除去される。
【0056】
次いで、図10に示されるように、パッシベーション層50に対応する絶縁層が形成される。この絶縁層は、ドレイン側延在部36上のパッシベーション層50の厚さが第1厚さT1(図4参照)に達するとともに、ソース側延在部34上のパッシベーション層50の厚さが第3厚さT3(図4参照)に達するように形成される。第1実施形態では、パッシベーション層50は、例えばSiN層である。
【0057】
次いで、図11に示されるように、マスクM3を用いて、パッシベーション層50に対応する図10の絶縁層を選択的にエッチングすることにより、第1段差部54を介した第1部分52Aおよび第2部分52Bと、第2段差部57を介した第3部分55Aおよび第4部分55Bとが形成される。その後、マスクM3が除去される。図11の工程では、第2部分52Bが第2厚さT2を有する(図4参照)とともに、第4部分55Bが第4厚さT4(図4参照)を有するまでエッチングが行われる。
【0058】
次いで、図12に示されるように、パッシベーション層50にソース開口部50Aおよびドレイン開口部50Bが形成される。次いで、ソース電極42(第1実施形態ではフィールドプレート電60を含む)とドレイン電極44とを含む電極層が例えばスパッタ法によって形成される。その後、図示しないマスクを用いて図12の電極層を選択的にエッチングすることにより、図3に示すようにソース電極42およびドレイン電極44が形成される。
【0059】
[7.窒化物半導体装置の作用]
窒化物半導体装置10は、ゲート層30の端部に局所的に印加される電界を緩和するためにゲート層30の上方を覆うフィールドプレート電極60を含む。第1実施形態では、フィールドプレート電極60は、ソース電極42と一体に形成されている。したがって、フィールドプレート電極60にはソース電位が付与される。この構成では、ゲート層30の端部における電界集中がフィールドプレート電極60により緩和される。
【0060】
ここで、一般に、ゲート層の上方にフィールドプレート電極が設けられた構成においては、フィールドプレート電極がない構成に比べてソースゲート間容量が増加する。本開示の構成では、この点を考慮してパッシベーション層50が形成されている。第1実施形態では、パッシベーション層50は、第1部分52A、第2部分52B、および第1段差部54を含む。第1部分52Aは、ゲート層30のドレイン側延在部36およびフィールドプレート電極60の双方と平面視で重複するパッシベーション層50の部分である。第2部分52Bは、第1部分52Aに連続するとともにドレイン側延在部36とドレイン開口部50Bとの間に位置するパッシベーション層50の部分である。第1段差部54は、第1部分52Aと第2部分52Bとの境界53を含む領域に位置するパッシベーション層50の部分である。
【0061】
このような構成において、フィールドプレート電極60によってドレイン側延在部36の端部の電界集中を緩和する機能は、パッシベーション層50の厚さに依存し、特に、第2部分52Bの厚さを小さくするほど高くなる。すなわち、ドレイン側延在部36の端部の電界集中を緩和する機能は、第1部分52Aの厚さよりも第2部分52Bの厚さに主に依存する。パッシベーション層50は、第1部分52Aの第1厚さT1が第2部分52Bの第2厚さT2よりも大きくなるように形成されている。この構成では、第1部分52Aを介してフィールドプレート電極60とドレイン側延在部36(ゲート層30)との間に形成されるソースゲート間容量を低減しつつ、ドレイン側延在部36の端部の電界集中を緩和する機能を効果的に維持することができる。
【0062】
また、パッシベーション層50は、第3部分55A、第4部分55B、および第2段差部57を含む。第3部分55Aは、ゲート層30のソース側延在部34およびフィールドプレート電極60の双方と平面視で重複するパッシベーション層50の部分である。第4部分55Bは、第3部分55Aと連続するとともに、ソース側延在部34とソース開口部50Aとの間に位置するパッシベーション層50の部分である。第2段差部57は、第3部分55Aと第4部分55Bとの境界56を含む領域に位置するパッシベーション層50の部分である。
【0063】
フィールドプレート電極60によってソース側延在部34の端部の電界集中を緩和する機能は、パッシベーション層50の厚さに依存し、特に、第4部分55Bの厚さを小さくするほど高くなる。すなわち、ソース側延在部34の端部の電界集中を緩和する機能は、第3部分55Aの厚さよりも第4部分55Bの厚さに主に依存する。パッシベーション層50は、第3部分55Aの第3厚さT3が第4部分55Bの第4厚さT4よりも大きくなるように形成されている。この構成では、第3部分55Aを介してフィールドプレート電極60とソース側延在部34(ゲート層30)との間に形成されるソースゲート間容量を低減しつつ、ソース側延在部34の端部の電界集中を緩和する機能を効果的に維持することができる。
【0064】
第1実施形態の窒化物半導体装置10は、以下の利点を有する。
(1-1)パッシベーション層50は、ドレイン側延在部36上に形成されるとともに第1厚さT1を有する第1部分52Aと、電子供給層28上に形成されるとともに第2厚さT2を有する第2部分52Bとを含む。パッシベーション層50は、第1部分52Aの第1厚さT1が第2部分52Bの第2厚さT2よりも大きくなるように形成されている。この構成によれば、ソースゲート間容量を低減しつつドレイン側延在部36の端部の電界集中を緩和する機能を効果的に維持することができる。
【0065】
(1-2)第2厚さT2に対する第1厚さT1の比が1よりも大きく3以下である。この構成によれば、ソースゲート間容量を低減しつつドレイン側延在部36の端部の電界集中を緩和する機能をより効果的に得ることができる。
【0066】
(1-3)また、第1部分52Aは第1厚さT1の領域を支配的に含み、第2部分52Bは第2厚さT2の領域を支配的に含む。この構成によれば、ソースゲート間容量を低減しつつドレイン側延在部36の端部の電界集中を緩和する機能をより効果的に得ることができる。
【0067】
(1-4)第1厚さT1が100nm以上200nm以下である。この構成によれば、ソースゲート間容量を効果的に低減することができる。
(1-5)第2厚さT2が50nm以上150nm以下である。この構成によれば、ドレイン側延在部36の端部の電界集中を効果的に緩和することができる。
【0068】
(1-6)第1厚さT1はドレイン側延在部36の厚さよりも大きい。このように第1厚さT1をドレイン側延在部36の厚さよりも大きくすることで、ソースゲート間容量を効果的に低減することができる。
【0069】
(1-7)第1厚さT1とドレイン側延在部36の厚さとの合計厚さは、ゲート層本体部32の厚さよりも大きく、かつ、ゲート層本体部32の厚さとゲート電極40の厚さとの合計厚さよりも小さい。この構成によれば、ソースゲート間容量をより効果的に低減することができる。
【0070】
(1-8)パッシベーション層50は、ソース側延在部34上に形成されるとともに第3厚さT3を有する第3部分55Aと、電子供給層28上に形成されるとともに第4厚さT4を有する第4部分55Bとを含む。パッシベーション層50は、第3部分55Aの第3厚さT3が第4部分55Bの第4厚さT4よりも大きくなるように形成されている。この構成によれば、ソースゲート間容量を低減しつつソース側延在部34の端部の電界集中を緩和する機能を効果的に維持することができる。
【0071】
(1-9)第4厚さT4に対する第3厚さT3の比が1よりも大きく3以下である。この構成によれば、ソースゲート間容量を低減しつつソース側延在部34の端部の電界集中を緩和する機能をより効果的に得ることができる。
【0072】
(1-10)また、第3部分55Aは第3厚さT3の領域を支配的に含み、第4部分55Bは第4厚さT4の領域を支配的に含む。この構成によれば、ソースゲート間容量を低減しつつソース側延在部34の端部の電界集中を緩和する機能をより効果的に得ることができる。
【0073】
(1-11)第3厚さT3が100nm以上200nm以下である。この構成によれば、ソースゲート間容量を効果的に低減することができる。
(1-12)第4厚さT4が50nm以上150nm以下である。この構成によれば、ソース側延在部34の端部の電界集中を効果的に緩和することができる。
【0074】
(1-13)第3厚さT3はソース側延在部34の厚さよりも大きい。このように第3厚さT3をソース側延在部34の厚さよりも大きくすることで、ソースゲート間容量を効果的に低減することができる。
【0075】
(1-14)第3厚さT3とソース側延在部34の厚さとの合計厚さは、ゲート層本体部32の厚さよりも大きく、かつ、ゲート層本体部32の厚さとゲート電極40の厚さとの合計厚さよりも小さい。この構成によれば、ソースゲート間容量をより効果的に低減することができる。
【0076】
[第2実施形態]
図13は、第2実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置10の概略平面図である。第2実施形態は、パッシベーション層50の第1部分52Aの厚さおよび第3部分55Aの厚さが変更されている点で第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同様な構成については詳細な説明を省略する。
【0077】
図13に示されるように、第2実施形態において、パッシベーション層50の第1部分52Aは、複数の異なる厚さを有している。例えば、第1部分52Aは、第1厚さT1を有する第1領域521Aと、第1領域521Aよりもゲート層本体部32寄りに位置するとともに第1厚さT1よりも大きな厚さT1Aを有する第2領域521Bとを含む。すなわち、平面視において第1領域521Aは、第2領域521Bよりも大きな面積を有している。図13の例では、第1部分52Aは、第2領域521Bよりも第1領域521Aを支配的に含む。第1領域521Aの第1厚さT1は、第2部分52Bの第2厚さT2よりも依然として大きい。
【0078】
この構成では、例えば第1領域521Aの第1厚さT1を第1実施形態の場合に比べて小さくすることで、ドレイン側延在部36の端部における電界集中を緩和する機能を高めることができる。また、第1部分52Aが複数の異なる厚さ(第1厚さT1および厚さT1A)を有することにより、第1部分52Aの平均厚さを増加させることができる。これによりゲートソース間容量の低減を図ることができる。
【0079】
なお、第2実施形態では、第1部分52Aと第2部分52Bとの境界53は、ドレイン側延在部36の端部よりもドレイン開口部50B寄りに位置している。このように、境界53は、ドレイン側延在部36の端部の位置に平面視で必ずしも正確に一致している必要はなく、わずかにずれていてもよい。
【0080】
同様に、第2実施形態において、パッシベーション層50の第3部分55Aは、複数の異なる厚さを有している。例えば、第3部分55Aは、第3厚さT3を有する第3領域551Aと、第3領域551Aよりもゲート層本体部32寄りに位置するとともに第3厚さT3よりも大きな厚さT3Aを有する第4領域551Bとを含む。図13の例では、第3部分55Aは、第4領域551Bよりも第3領域551Aを支配的に含む。すなわち、平面視において第3領域551Aは、第4領域551Bよりも大きな面積を有している。第3領域551Aの第3厚さT3は、第4部分55Bの第4厚さT4よりも依然として大きい。
【0081】
この構成では、例えば第3領域551Aの第3厚さT3を第1実施形態の場合に比べて小さくすることで、ソース側延在部34の端部における電界集中を緩和する機能を高めることができる。また、第3部分55Aが複数の異なる厚さ(第3厚さT3および厚さT3A)を有することにより、第3部分55Aの平均厚さを増加させることができる。これによりゲートソース間容量の低減を図ることができる。
【0082】
なお、第2実施形態では、第3部分55Aと第4部分55Bとの境界56は、ソース側延在部34の端部よりもソース開口部50A寄りに位置している。このように、境界56は、ソース側延在部34の端部の位置に平面視で必ずしも正確に一致している必要はなく、わずかにずれていてもよい。
【0083】
第2実施形態の窒化物半導体装置10は、第1実施形態の利点に加えて、以下の利点を有する。
(2-1)第1部分52Aが複数の異なる厚さ(第1厚さT1および厚さT1A)を有することにより、第1部分52Aの平均厚さを増加させてゲートソース間容量を低減することができる。これに加えて、第1領域521Aの第1厚さT1を第1実施形態の場合に比べて小さくすることにより、ドレイン側延在部36の端部における電界集中を緩和する機能を高めることができる。
【0084】
(2-2)第3部分55Aが複数の異なる厚さ(第3厚さT3および厚さT3A)を有することにより、第3部分55Aの平均厚さを増加させてゲートソース間容量を低減することができる。これに加えて、第3領域551Aの第3厚さT3を第1実施形態の場合に比べて小さくすることにより、ソース側延在部34の端部における電界集中を緩和する機能を高めることができる。
【0085】
[第3実施形態]
図14は、第3実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置10の概略平面図である。第3実施形態は、第2実施形態のフィールドプレート電極60がフィールドプレート電極60Aに置き換えられている点で第2実施形態と異なる。その他の構成は、第1および第2実施形態と同様であるため、同様な構成については詳細な説明を省略する。
【0086】
図14に示されるように、第3実施形態では、フィールドプレート電極60Aは、ソース電極42とは分離して設けられている。なお、図示は省略しているが、フィールドプレート電極60Aは、ソース電極42に電気的に接続されている。フィールドプレート電極60Aは、平面視においてドレイン側延在部36の少なくとも一部(端部)を覆うように第1部分52Aと第1段差部54と第2部分52Bとに跨がって設けられている。図14の例では、フィールドプレート電極60Aは、平面視でドレイン側延在部36の一部と重なっており、ドレイン側延在部36の全体とは重なっていない。この構成では、平面視でフィールドプレート電極60Aとドレイン側延在部36とが重なる領域が小さくなることにより、ゲートソース間容量を低減することができる。
【0087】
また、ソース電極42は、平面視においてソース側延在部34の少なくとも一部(端部)を覆うように第3部分55Aと第2段差部57と第4部分55Bとに跨がって設けられている。図14の例では、ソース電極42は、平面視でソース側延在部34の一部と重なっており、ソース側延在部34の全体とは重なっていない。この構成では、平面視でソース電極42とソース側延在部34とが重なる領域が小さくなることにより、ゲートソース間容量を低減することができる。
【0088】
第3実施形態の窒化物半導体装置10は、第1および第2実施形態の利点に加えて、以下の利点を有する。
(3-1)平面視でフィールドプレート電極60Aとドレイン側延在部36とが重なる領域が小さい。また、平面視でソース電極42とソース側延在部34とが重なる領域が小さい。これにより、ゲートソース間容量を低減することができる。
【0089】
[変更例]
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態および以下の各変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0090】
・ゲート層30は、ソース側延在部34およびドレイン側延在部36の双方を含む構造に限定されない。例えば、ゲート層30は、ゲート層本体部32とドレイン側延在部36とを含むが、ソース側延在部34を含まない構造であってもよい。
【0091】
・第1実施形態において、境界53は、ドレイン側延在部36の端部の位置に平面視で必ずしも正確に一致している必要はなく、第2および第3実施形態のようにわずかにずれていてもよい。同様に、境界56は、ソース側延在部34の端部の位置に平面視で必ずしも正確に一致している必要はなく、第2および第3実施形態のようにわずかにずれていてもよい。
【0092】
・第1厚さT1は、ドレイン側延在部36の厚さよりも大きいことに限定されず、ドレイン側延在部36と同じ厚さであってよい。また、第3厚さT3は、ソース側延在部34の厚さよりも大きいことに限定されず、ソース側延在部34と同じ厚さであってもよい。
【0093】
・第1厚さT1とドレイン側延在部36の厚さとの合計厚さは、ゲート層本体部32の厚さ以下であってもよい。また、第3厚さT3とソース側延在部34の厚さとの合計厚さは、ゲート層本体部32の厚さ以下であってもよい。
【0094】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、例えば、「第1要素が第2要素上に実装される」という表現は、或る実施形態では第1要素が第2要素に接触して第2要素上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1要素が第2要素に接触することなく第2要素の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1要素と第2要素との間に他の要素が形成される構造を排除しない。
【0095】
本開示で使用されるZ軸方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ軸方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X軸方向が鉛直方向であってもよく、またはY軸方向が鉛直方向であってもよい。
【0096】
[付記]
上記各実施形態および各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、各付記に記載された構成要素に対応する実施形態の構成要素の符号を括弧書きで示す。符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0097】
(付記1)
第1窒化物半導体で構成された電子走行層(26)と、
前記電子走行層(26)上に設けられ、前記第1窒化物半導体よりも大きなバンドギャップを有する第2窒化物半導体で構成された電子供給層(28)と、
前記電子供給層(28)上の一部に設けられ、第3窒化物半導体で構成されたゲート層(30)と、
前記ゲート層(30)上に設けられたゲート電極(40)と、
前記電子供給層(28)、前記ゲート層(30)、および前記ゲート電極(40)を覆うとともに、ソース開口部(50A)およびドレイン開口部(50B)を含むパッシベーション層(50)と、
前記ソース開口部(50A)を介して前記電子供給層(28)に接するソース電極(42)と、
前記ドレイン開口部(50B)を介して前記電子供給層(28)に接するドレイン電極(44)と、
前記パッシベーション層(50)上に設けられ、前記ソース電極(42)と電気的に接続されたフィールドプレート電極(60;60A)と、を備え、
前記ゲート層(30)は、ゲート層本体部(32)と、前記ゲート層本体部(32)から前記ドレイン開口部(50B)に向かって延在するドレイン側延在部(36)と、を含み、
前記パッシベーション層(50)は、
前記ドレイン側延在部(36)および前記フィールドプレート電極(60;60A)の双方と平面視で重複する第1部分(52A)と、
前記第1部分(52A)と連続し、前記ドレイン側延在部(36)と前記ドレイン開口部(50B)との間に位置する第2部分(52B)と、
前記第1部分(52A)と前記第2部分(52B)との境界(53)を含む領域に位置する第1段差部(54)と、を含み、
前記第1段差部(54)は、段差上面(54A)と、前記段差上面(54A)よりも低い段差下面(54B)と、前記段差上面(54A)と前記段差下面(54B)とをつなぐ段差壁(54C)とを有し、
前記第1部分(52A)は、前記段差上面(54A)から前記ドレイン側延在部(36)の上面まで第1厚さ(T1)を有し、
前記第2部分(52B)は、前記段差下面(54B)から前記電子供給層(28)の上面まで第2厚さ(T2)を有し、
前記第1厚さ(T1)は前記第2厚さ(T2)よりも大きい、窒化物半導体装置(10)。
【0098】
(付記2)
前記第2厚さ(T2)に対する前記第1厚さ(T1)の比が、1よりも大きく3以下である、付記1に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0099】
(付記3)
前記第1部分(52A)は、前記第1厚さ(T1)を有する領域を支配的に含み、
前記第2部分(52B)は、前記第2厚さ(T2)を有する領域を支配的に含む、付記1または2に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0100】
(付記4)
前記第1厚さ(T1)は、100nm以上200nm以下である、付記1~3のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0101】
(付記5)
前記第2厚さ(T2)は、50nm以上150nm以下である、付記1~4のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0102】
(付記6)
前記第1部分(52A)は、
前記第1厚さ(T1)を有する第1領域(521A)と、
前記第1領域(521A)よりも前記ゲート層本体部(32)寄りに位置し、前記第1厚さ(T1)よりも大きな厚さ(T1A)を有する第2領域(521B)と、
を含む、付記1~5のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0103】
(付記7)
平面視において前記第1領域(521A)は前記第2領域(521B)よりも大きな面積を有している、付記6に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0104】
(付記8)
前記第1厚さ(T1)は、前記ドレイン側延在部(36)の厚さよりも大きい、付記1~7のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0105】
(付記9)
前記第1厚さ(T1)と前記ドレイン側延在部(36)の厚さとの合計厚さは、前記ゲート層本体部(32)の厚さよりも大きく、かつ、前記ゲート層本体部(32)の厚さと前記ゲート電極(40)の厚さとの合計厚さよりも小さい、付記1~8のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0106】
(付記10)
前記ゲート層(30)はさらに、前記ゲート層本体部(32)から前記ソース開口部(50A)に向かって延在するソース側延在部(34)を含み、
前記パッシベーション層(50)は、
前記ソース側延在部(34)および前記フィールドプレート電極(60;60A)の双方と平面視で重複する第3部分(55A)と、
前記第3部分(55A)と連続し、前記ソース側延在部(34)と前記ソース開口部(50A)との間に位置する第4部分(55B)と、
前記第3部分(55A)と前記第4部分(55B)との境界(56)を含む領域に位置する第2段差部(57)と、を含み、
前記第2段差部(57)は、段差上面(57A)と、前記第2段差部(57)の前記段差上面(57A)よりも低い段差下面(57B)と、前記第2段差部(57)の前記段差上面(57A)と前記段差下面(57B)とをつなぐ段差壁(57C)とを有し、
前記第3部分(55A)は、前記第2段差部(57)の前記段差上面(57A)から前記ソース側延在部(34)の上面まで第3厚さ(T3)を有し、
前記第4部分(55B)は、前記第2段差部(57)の前記段差下面(57B)から前記電子供給層(28)の上面まで第4厚さ(T4)を有し、
前記第3厚さ(T3)は前記第4厚さ(T4)よりも大きい、付記1~9のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0107】
(付記11)
前記第4厚さ(T4)に対する前記第3厚さ(T3)の比が、1よりも大きく3以下である、付記10に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0108】
(付記12)
前記第3厚さ(T3)は、100nm以上200nm以下である、付記10または11に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0109】
(付記13)
前記第4厚さ(T4)は、50nm以上150nm以下である、付記10~12のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0110】
(付記14)
前記第3部分(55A)は、
前記第3厚さ(T3)を有する第3領域(551A)と、
前記第3領域(551A)よりも前記ゲート層本体部(32)寄りに位置し、前記第3厚さ(T3)よりも大きな厚さ(T3A)を有する第4領域(551B)と、
を含む、付記10~13のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0111】
(付記15)
前記第3厚さ(T3)は、前記ソース側延在部(34)の厚さよりも大きい、付記10~14のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0112】
(付記16)
前記第3厚さ(T3)と前記ソース側延在部(34)の厚さとの合計厚さは、前記ゲート層本体部(32)の厚さよりも大きく、かつ、前記ゲート層本体部(32)の厚さと前記ゲート電極(40)の厚さとの合計厚さよりも小さい、付記10~15のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0113】
(付記17)
前記フィールドプレート電極(60)は、前記ソース電極(42)と一体に形成されており、かつ、平面視で前記ソース側延在部(34)、前記ゲート層本体部(32)、および前記ドレイン側延在部(36)を覆うように前記ソース電極(42)から前記ドレイン電極(44)に向かって延在している、付記1~16のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0114】
(付記18)
前記フィールドプレート電極(60A)は、前記ソース電極(42)とは分離して設けられており、かつ、平面視で前記ドレイン側延在部(36)の少なくとも一部を覆うように前記第1部分(52A)と前記第1段差部(54)と前記第2部分(52B)とに跨がって設けられている、付記1~16のうちのいずれか一つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0115】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0116】
10…窒化物半導体装置
20…半導体基板
26…電子走行層
28…電子供給層
30…ゲート層
32…ゲート層本体部
34…ソース側延在部
36…ドレイン側延在部
40…ゲート電極
42…ソース電極
44…ドレイン電極
50…パッシベーション層
50A…ソース開口部
50B…ドレイン開口部
52A…第1部分
521A…第1領域
521B…第2領域
52B…第2部分
53…境界
54…第1段差部
54A…段差上面
54B…段差下面
54C…段差壁
55A…第3部分
551A…第3領域
551B…第4領域
55B…第4部分
56…境界
57…第2段差部
57A…段差上面
57B…段差下面
57C…段差壁
60,60A…フィールドプレート電極
T1…第1厚さ
T1A…厚さ
T2…第2厚さ
T3…第3厚さ
T3A…厚さ
T4…第4厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1窒化物半導体で構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に設けられ、前記第1窒化物半導体よりも大きなバンドギャップを有する第2窒化物半導体で構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に設けられ、第3窒化物半導体で構成されたゲート層と、
前記ゲート層上に設けられたゲート電極と、
前記電子供給層、前記ゲート層、および前記ゲート電極を覆うとともに、ソース開口部およびドレイン開口部を含むパッシベーション層と、
前記ソース開口部を介して前記電子供給層に接するソース電極と、
前記ドレイン開口部を介して前記電子供給層に接するドレイン電極と、
前記パッシベーション層上に設けられ、前記ソース電極と電気的に接続されたフィールドプレート電極と、を備え、
前記ゲート層は、ゲート層本体部と、前記ゲート層本体部から前記ドレイン開口部に向かって延在するドレイン側延在部と、を含み、
前記パッシベーション層は、
前記ドレイン側延在部および前記フィールドプレート電極の双方と平面視で重複する第1部分と、
前記第1部分と連続し、前記ドレイン側延在部と前記ドレイン開口部との間に位置する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との境界を含む領域に位置する第1段差部と、を含み、
前記第1段差部は、段差上面と、前記段差上面よりも低い段差下面と、前記段差上面と前記段差下面とをつなぐ段差壁とを有し、
前記第1部分は、前記段差上面から前記ドレイン側延在部の上面まで第1厚さを有し、
前記第2部分は、前記段差下面から前記電子供給層の上面まで第2厚さを有し、
前記第1厚さは前記第2厚さよりも大きい、窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記第2厚さに対する前記第1厚さの比が、1よりも大きく3以下である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第1厚さを有する領域を支配的に含み、
前記第2部分は、前記第2厚さを有する領域を支配的に含む、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記第1厚さは、100nm以上200nm以下である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記第2厚さは、50nm以上150nm以下である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記第1部分は、
前記第1厚さを有する第1領域と、
前記第1領域よりも前記ゲート層本体部寄りに位置し、前記第1厚さよりも大きな厚さを有する第2領域と、を含む、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
平面視において前記第1領域は前記第2領域よりも大きな面積を有している、請求項6に記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記第1厚さは、前記ドレイン側延在部の厚さよりも大きい、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
前記第1厚さと前記ドレイン側延在部の厚さとの合計厚さは、前記ゲート層本体部の厚さよりも大きく、かつ、前記ゲート層本体部の厚さと前記ゲート電極の厚さとの合計厚さよりも小さい、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項10】
前記ゲート層はさらに、前記ゲート層本体部から前記ソース開口部に向かって延在するソース側延在部を含み、
前記パッシベーション層は、
前記ソース側延在部および前記フィールドプレート電極の双方と平面視で重複する第3部分と、
前記第3部分と連続し、前記ソース側延在部と前記ソース開口部との間に位置する第4部分と、
前記第3部分と前記第4部分との境界を含む領域に位置する第2段差部と、を含み、
前記第2段差部は、段差上面と、前記第2段差部の前記段差上面よりも低い段差下面と、前記第2段差部の前記段差上面と前記段差下面とをつなぐ段差壁とを有し、
前記第3部分は、前記第2段差部の前記段差上面から前記ソース側延在部の上面まで第3厚さを有し、
前記第4部分は、前記第2段差部の前記段差下面から前記電子供給層の上面まで第4厚さを有し、
前記第3厚さは前記第4厚さよりも大きい、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項11】
前記第4厚さに対する前記第3厚さの比が、1よりも大きく3以下である、請求項10に記載の窒化物半導体装置。
【請求項12】
前記第3厚さは、100nm以上200nm以下である、請求項10に記載の窒化物半導体装置。
【請求項13】
前記第4厚さは、50nm以上150nm以下である、請求項10に記載の窒化物半導体装置。
【請求項14】
前記第3部分は、
前記第3厚さを有する第3領域と、
前記第3領域よりも前記ゲート層本体部寄りに位置し、前記第3厚さよりも大きな厚さを有する第4領域と、を含む、請求項10に記載の窒化物半導体装置。
【請求項15】
前記第3厚さは、前記ソース側延在部の厚さよりも大きい、請求項10に記載の窒化物半導体装置。
【請求項16】
前記第3厚さと前記ソース側延在部の厚さとの合計厚さは、前記ゲート層本体部の厚さよりも大きく、かつ、前記ゲート層本体部の厚さと前記ゲート電極の厚さとの合計厚さよりも小さい、請求項10に記載の窒化物半導体装置。
【請求項17】
前記フィールドプレート電極は、前記ソース電極と一体に形成されており、かつ、平面視で前記ゲート層本体部および前記ドレイン側延在部を覆うように前記ソース電極から前記ドレイン電極に向かって延在している、請求項1~16のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項18】
前記フィールドプレート電極は、前記ソース電極とは分離して設けられており、かつ、平面視で前記ドレイン側延在部の少なくとも一部を覆うように前記第1部分と前記第1段差部と前記第2部分とに跨がって設けられている、請求項1~16のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
[概要]
一般に、窒化物半導体装置は、ゲート層の端部に局所的に印加される電界を緩和するためにゲート層の上方を覆うフィールドプレート電極を含む。フィールドプレート電極は、ソース電極と一体に形成されるかまたはソース電極に電気的に接続されている。この構成では、ゲート層の上方にフィールドプレート電極が存在することでソースゲート間容量が増加する。
本開示の一態様による窒化物半導体装置は、電子走行層、電子供給層、ゲート層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、パッシベーション層、およびフィールドプレート電極を含む。前記電子走行層は、第1窒化物半導体で構成されている。前記電子供給層は、前記電子走行層上に設けられ、前記第1窒化物半導体よりも大きなバンドギャップを有する第2窒化物半導体で構成されている。前記ゲート層は、前記電子供給層上の一部に設けられ、第3窒化物半導体で構成されている。前記ゲート電極は、前記ゲート層上に設けられている。前記パッシベーション層は、前記電子供給層、前記ゲート層、および前記ゲート電極を覆っており、ソース開口部およびドレイン開口部を含む。前記ソース電極は、前記ソース開口部を介して前記電子供給層に接している。前記ドレイン電極は、前記ドレイン開口部を介して前記電子供給層に接している。前記フィールドプレート電極は、前記パッシベーション層上に設けられ、前記ソース電極と電気的に接続されている。前記ゲート層は、ゲート層本体部と、前記ゲート層本体部から前記ドレイン開口部に向かって延在するドレイン側延在部とを含む。前記パッシベーション層は、前記ドレイン側延在部および前記フィールドプレート電極の双方と平面視で重複する第1部分と、前記第1部分と連続し、前記ドレイン側延在部と前記ドレイン開口部との間に位置する第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との境界を含む領域に位置する第1段差部とを含む。前記第1段差部は、段差上面と、前記段差上面よりも低い段差下面と、前記段差上面と前記段差下面とをつなぐ段差壁とを有している。前記第1部分は、前記段差上面から前記ドレイン側延在部の上面まで第1厚さを有している。前記第2部分は、前記段差下面から前記電子供給層の上面まで第2厚さを有している。前記第1厚さは前記第2厚さよりも大きい。