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特開2024-179652柱状構造物の塗装方法および塗装用台車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179652
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】柱状構造物の塗装方法および塗装用台車
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20241219BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20241219BHJP
   E04G 21/16 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
B05D3/00 C
B05D7/00 L
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098659
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 美咲
(72)【発明者】
【氏名】大澤 淳司
(72)【発明者】
【氏名】藤浪 南夏子
【テーマコード(参考)】
2E174
4D075
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174DA12
2E174EA02
4D075AA01
4D075AA51
4D075AA76
4D075AA81
4D075AE03
4D075BB60Z
4D075CA18
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA10
4D075DC05
(57)【要約】
【課題】塗装領域を省スペースにすることが可能な柱状構造物の塗装方法および塗装用台車を提供すること。
【解決手段】柱状構造物の塗装方法は、柱状構造物(3a~3f)を台車(1a~1f)に載置した状態で、柱状構造物を塗装する方法である。柱状構造物の塗装方法は、柱状構造物を台車に載置した状態で、前記柱状構造物を保管領域(R1)に保管する工程と、柱状構造物を塗布領域(R2)に移動し、塗料を柱状構造物に塗布する工程と、柱状構造物を乾燥領域(R3)に移動し、塗布領域で柱状構造物に塗布した塗料を乾燥する工程とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状構造物を台車に載置した状態で、前記柱状構造物を塗装する方法であって、
前記柱状構造物を前記台車に載置した状態で、前記柱状構造物を保管領域に保管する工程と、
前記保管領域の前記台車を塗布領域に移動させ、前記柱状構造物に塗料を塗布する工程と、
前記塗布領域において前記塗料が塗布された前記台車を乾燥領域に移動させ、前記塗布領域で前記柱状構造物に塗布した塗料を乾燥させる工程とを備えた、柱状構造物の塗装方法。
【請求項2】
前記柱状構造物を載置した台車は、複数設けられ、
前記複数の台車は、前記保管領域または前記乾燥領域において、接した状態で停車している、請求項1に記載の柱状構造物の塗装方法。
【請求項3】
前記台車は、移動可能なベースと、前記ベースに対して高さ変更可能に支持されたサポートとを含み、
前記複数の台車は、前記乾燥領域において、前記サポートの高さが異なった状態で停車している、請求項2に記載の柱状構造物の塗装方法。
【請求項4】
柱状構造物を個別に支持し、前記柱状構造物を塗装するために用いられる台車において、
前記台車は、移動可能なベースと、前記ベースに対して高さ変更可能に支持され、前記柱状構造物を保持するサポートとを備える、柱状構造物の塗装用台車。
【請求項5】
前記台車は、前記サポート上に設けられ、前記柱状構造物を幅方向両側から支持するL字状の支持部材をさらに備える、請求項4に記載の柱状構造物の塗装用台車。
【請求項6】
前記台車は、走行方向に突出する突出部材と、前記突出部材と対向する位置に設けられる収納部とをさらに備え、
前記収納部は、他の前記台車の突出部材を受け入れ可能に設けられる、請求項4または5に記載の柱状構造物の塗装用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、柱状構造物の塗装方法および塗装用台車に関し、特に、柱状構造物を台車に載置した状態で、柱状構造物を塗装する柱状構造物の塗装方法および塗装用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、鋼製の柱や梁などの柱状構造物は、建設現場などで耐火塗料などを施工することが主流となっている。これを工場内で塗装し、現場に納品することで、現場内の作業が減少し、工期の短縮につながる。しかし、工場内では、既に他の製造工程を行っているため、塗装場を広く確保することは困難である。
【0003】
図9(A)および図9(B)には、一般的な梁の塗装場が示されている。同図を参照して、柱状構造物(梁)3が例示的に6本設けられ、それら6本の梁3はその下端が架台100によって支持されている。架台100は、梁3を支持する支持台101と、支持台101の両端を支える一対の脚部102とを含む。そのような架台100は、一対設けられ、梁3の長手方向一端部と他端部とをそれぞれ支持する。作業者が作業するスペースを確保するために、6本の梁3の間隔Wは、それぞれ1.2m程度必要である。たとえば、梁3が6本で、梁3の長手方向寸法が11mであるとすると、塗装場の広さとして11m×10.2m程度必要となる。
【0004】
柱状構造物3の従来の塗装方法は、図9(A),図9(B)に示すように、一対の架台100の上に1.2m間隔あけて梁3を配置させる。次に、梁3に下塗りを行って16時間以上乾燥させ、主材の塗装を行って16時間以上乾燥させ、中塗りを行って3時間以上乾燥させ、最後に上塗り塗装を行って24時間以上乾燥させる。このように、従来の塗装方法では、工場内での塗装において、広い面積の塗装場を確保しておく必要があるとともに、全工程を行うのに3~4日要する。
【0005】
一方、柱状構造物3は大きく重量があるため、人手で持ち運ぶことは困難である。そのため、柱状構造物3を移動させる手段として、たとえば特開2022-149324号公報(特許文献1)に開示されている可動架台が知られている。特許文献1には、柱状構造物などの重量物を載置することができ、車輪が出し入れ可能に設けられているため、任意の箇所に移動し、設置することが可能であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-149324号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、柱状構造物は、大きく重量がある上に、建築現場では複数本必要である。そのため、塗装場として広い面積を要する上に、その広い面積の塗装場を長時間確保しておかなければならない。
【0008】
また、特許文献1のような可動架台を用いた場合であっても、柱状構造物の移動が容易となるだけで、広い面積の塗装場を長時間確保しなければならないことに変わりはない。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は塗装領域を省スペースにすることが可能な柱状構造物の塗装方法および塗装用台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る柱状構造物の塗装方法は、柱状構造物を台車に載置した状態で、柱状構造物を塗装する方法であって、柱状構造物を前記台車に載置した状態で、柱状構造物を保管領域に保管する工程と、保管領域の前記台車を塗布領域に移動させ、柱状構造物に塗料を塗布する工程と、塗布領域において前記塗料が塗布された前記台車を乾燥領域に移動させ、塗布領域で柱状構造物に塗布した塗料を乾燥させる工程とを備えている。
【0011】
好ましくは、柱状構造物を載置した台車は、複数設けられ、複数の台車は、保管領域または乾燥領域において、接した状態で停車している。
【0012】
好ましくは、台車は、移動可能なベースと、ベースに対して高さ変更可能に支持されたサポートとを含み、複数の台車は、乾燥領域において、サポートの高さが異なった状態で停車している。
【0013】
本発明の一態様に係る柱状構造物の塗装用台車は、柱状構造物を個別に支持し、柱状構造物を塗装するために用いられる台車において、台車は、移動可能なベースと、ベースに対して高さ変更可能に支持され、柱状構造物を保持するサポートとを備える。
【0014】
好ましくは、台車は、サポート上に設けられ、柱状構造物を幅方向両側から支持するL字状の支持部材をさらに備える。
【0015】
好ましくは、台車は、走行方向に突出する突出部材と、突出部材と対向する位置に設けられる収納部とをさらに備え、収納部は、他の台車の突出部材を受け入れ可能に設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、塗装領域を省スペースにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る塗装用台車を示す図である。
図2図1に示す塗装用台車を変形した状態を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る柱状構造物の塗装方法を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る柱状構造物の塗装方法を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る柱状構造物の塗装方法を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る柱状構造物の塗装方法を示す図である。
図7】塗装用台車の変形例を示す図である。
図8】塗装用台車の他の変形例を示す図である。
図9】柱状構造物の従来の塗装方法を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
<柱状構造物の塗装用台車について>
本実施の形態の塗装用台車1は、柱状構造物3を個別に支持し、柱状構造物3を塗装するために用いられるものである。柱状構造物3は、典型的には建物の柱や梁などに用いられる鉄骨柱などであり、具体的にはI型鋼、H型鋼などである。柱状構造物3は、長手方向に延びる長尺部材であり、たとえば主材と、主材の上下端を繋ぐ上下フランジとを含む。塗装用台車1は、その柱状構造物3の長手方向一端部と他端部を支持し、柱状構造物3を移動可能とするものである。
【0020】
以下、このような柱状構造物3を塗装する際に用いられる塗装用台車1について詳細に説明する。なお、以下の説明において、塗装用台車を単に「台車」という。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る台車を示す図であり、図2は、台車の高さを高くした状態を示す図である。図1および図2に示すように、台車1は、移動可能なベース10と、ベース10に対して高さ変更可能に支持されたサポート20とを備える。ベース10とサポート20とは、高さ変更部材24を介して接続されている。以下の説明において、台車1の走行方向を幅方向、台車1の走行方向に直行する方向を奥行方向ともいう。
【0022】
ベース10は、上端部がサポート20を支持し、下端部が地面側に接する部材である。ベース10は、台座11と、台座11の下端に取り付けられる車輪12とを含む。台座11は、平坦な板状であり、走行方向後方に突出する突出部材13と、走行方向前方に設けられ、突出部材13と対向する位置に設けられる収納部14とを有する。
【0023】
突出部材13は、台座11の一方側を向く側壁(走行方向後方を向く面)に設けられる。突出部材13は、たとえば棒状であり、作業者が台車1を押して把持するための取っ手として機能する。また、突出部材13は、ブレーキとして機能してもよく、たとえば、図1の破線で示すように、上方に移動させることで、突出部材13の先端部が車輪12に当接して、車輪12が回転しないようにしてもよい。
【0024】
収納部14は、台座11の他方側を向く側壁(走行方向前方を向く面)に設けられる凹部である。収納部14は、複数台の台車1が整列して接して設けられる場合に有効に機能する。具体的には、収納部14は、他の台車1の突出部材13を受け入れ可能であり、側壁からの深さは、突出部材13の突出長さより大きいことが好ましい。これにより、複数台の台車1が接して停車される場合に、突出部材13が邪魔にならない。
【0025】
車輪12は、幅方向および奥行方向に離れて4つ配置されている。車輪12は、移動する際には回転可能であり、停車する際には上述した突出部材13によりブレーキがかかる。
【0026】
サポート20は、サポート本体21と、サポート本体21上に設けられる第1支持部材22および第2支持部材23とを含む。サポート本体21は、平坦な板状であり、台座11の上方に設けられ、台座11と略同じ大きさで形成される。サポート本体21の幅方向寸法は、柱状構造物3の幅方向寸法よりも大きいことが好ましい。第1支持部材22および第2支持部材23は、たとえば、柱状構造物3を幅方向両側(走行方向の前後方向)から支持する。第1支持部材22および第2支持部材23は、略同一形状であり、略L字状であり、縦部と、縦部に対して垂直に設けられる横部とを含む。縦部の長さは、横部よりも短い。柱状構造物3は、第1支持部材22の横部、および、第2支持部材23の横部の上に直接載置される。
【0027】
図2に示すように、高さ変更部材24は、ベース10とサポート20との間に設けられ、サポート20の高さ位置を変えるために設けられる。高さ変更部材24は、具体的にはリンク機構であり、最大限に延ばした状態では、サポート20が柱状構造物3の高さよりも高い位置で維持することができる。
【0028】
<柱状構造物の塗装方法について>
図3図6は、本発明の実施の形態に係る柱状構造物の塗装方法を示す図である。図3図6を参照して、柱状構造物の塗装方法について説明する。
【0029】
図3図6には、柱状構造物3の塗装方法の一例として、6本の柱状構造物3a~3fが示されている。それらの柱状構造物3a~3fの長手方向両端は、それぞれ一対の台車1a~1fに載置されている。図2図6において、柱状構造物3a~3fおよび台車1a~1fは、同一形状であるが、説明の便宜上、異なる符号を付して示している。
【0030】
柱状構造物3は、耐久性、耐火性などの観点から、その表面には塗料が塗布される。塗料の一例として、耐火塗料などが挙げられる。柱状構造物の塗装方法においては、複数の塗料を塗布する塗布工程と乾燥工程を要する。具体的には、柱状構造物の耐火塗料の塗装方法は、柱状構造物3の下地の調整を行う下地調整工程と、下塗りを行う下塗り工程と、主材の塗装を行う主材塗装工程と、中塗りを行う中塗り工程と、上塗りを行う上塗り工程とが挙げられ、特に、それぞれの工程において塗布した塗料を乾燥させる乾燥工程に時間を要する。下塗り工程および主材塗装工程では、およそ16時間以上乾燥する乾燥工程が必要であり、中塗り工程では、およそ3時間以上乾燥する乾燥工程が必要であり、上塗り工程では、およそ24時間以上乾燥する乾燥工程が必要である。そのため、全工程を終了するには、3日~4日を要する。
【0031】
図3に示すように、柱状構造物3a~3fを載置した台車1a~1fは、保管領域R1に停車されている。台車1a~1fは、それぞれ走行方向の側壁が接した状態で停車している。図示はしないが、台車1a~1eの突出部材13は、接している台車1b~1fの収納部14にそれぞれ受け入れられる。これにより、保管領域R1では、台車1a~1fを接して停車することができるため、保管領域R1の面積を最小限にすることができる。
【0032】
図4に示すように、保管領域R1の先頭(紙面上の左側)に停車していた一対の台車1aを塗布領域R2に移動させる。台車1aを塗布領域R2に移動するには、作業者は、突出部材13aでブレーキを解除し、突出部材13aを把持して移動させる。柱状構造物3aは、一対の台車1aによって支持されているため、2人で作業することが好ましい。なお、一対の台車1aは連結されて、一人で作業できるように設計されていてもよい。
【0033】
塗布領域R2では、作業者Pは、柱状構造物3aの走行方向前方(紙面上の左側)において柱状構造物3aの長手方向に移動して塗料を塗布し、柱状構造物3aの下方を潜って、柱状構造物3aの走行方向後方側(紙面上の右側)に移動する。さらに、柱状構造物3aの走行方向後方側において柱状構造物3aの長手方向に移動しながら塗料を塗布する。そのため、作業者Pが塗料を塗布する作業を行うだけの作業スペースとして、柱状構造物3aが柱状構造物3bと間隔Wだけ離れている必要がある。つまり、塗布領域R2は、保管領域R1から少なくとも間隔Wだけ離れていることが好ましい。間隔Wは、たとえば1m以上1.5m以下であり、典型的には、1.2mである。
【0034】
柱状構造物3aの下塗り作業が完了すると、作業者Pは、台車1aの突出部材13aを把持し、乾燥領域R3に移動させる。具体的には、図5に示すように、柱状構造物3aと柱状構造物3bとの間隔が間隔Wだけ離れた箇所に移動させる。
【0035】
次に、保管領域R1に停車しており、柱状構造物3bを載置した台車1bを、上述と同様の方法で塗布領域R2に移動させる。具体的には、柱状構造物3bと、柱状構造物3a,3bとの間隔をそれぞれ間隔Wだけあけて配置する。塗布領域R2では、作業者Pが柱状構造物3bの紙面上の左側に下塗りを行い、柱状構造物3bの下側を潜り、柱状構造物3bの紙面上の右側に下塗りを行う。柱状構造物3bに下塗り作業を完了すると、作業者Pは、台車1aの突出部材13bを把持し、乾燥領域R3に移動させる。
【0036】
同様にして、柱状構造物3cを載置した台車1cを塗布領域R2に移動させ、下塗りが完了した後に、乾燥領域R3に移動させる。この状態は、図6に示されている。図6では、柱状構造物3dを載置した台車1dを塗布領域R2に移動させ、作業者Pが塗布領域R2で塗料の塗布作業をする状態が示されている。乾燥領域R3では、台車1aと台車1cに挟まれている台車1cの高さ変更部材24bが高さ方向に延ばされ、高さが高くなった状態で柱状構造物3bが保持された状態が示されている。
【0037】
これにより、乾燥領域R3において、隣接している柱状構造物3の高さ位置を調整することができ、柱状構造物3の間での空気の流れを引き起こすことができる。そのため、柱状構造物3を載置した複数の台車1が接して停車されていたとしても、柱状構造物3の塗装面の乾燥を促進することができる。
【0038】
柱状構造物3e,3fを載置した台車1e,1fについても、同様に、塗布領域R2に移動させ、下塗りを行った後に乾燥領域R3に移動させる。さらに、台車1a~1fを乾燥領域R3にたとえば16時間停車させて、柱状構造物3a~3fに塗布した塗料を乾燥させる。このようにして、すべての柱状構造物3a~3fについて下塗り工程を完了させる。主材塗装工程および上塗り工程においては、一旦すべての柱状構造物3a~3fを保管領域R1に移動させ、図3図6の工程を繰り返せばよい。
【0039】
本実施の形態の柱状構造物の塗装方法は、柱状構造物を台車に載置した状態で、柱状構造物を保管領域R1に保管する工程と、柱状構造物を塗布領域R2に移動し、塗料を柱状構造物に塗布する工程と、柱状構造物を乾燥領域R3に移動し、塗布領域で柱状構造物に塗布した塗料を乾燥する工程とを備える。そのため、柱状構造物3の塗装領域を最小限にすることができる。さらに、塗料を塗布する際に、作業者は、ホースで連結されたガンなどを用いる必要があるが、従来の塗装方法のように、柱状構造物3の間を何度も潜って移動する必要はなく、柱状構造物3の長手方向に沿った直線的な移動だけですむため、作業の効率化および作業時間の短縮化を図ることができる。
【0040】
また、台車1の収納部14に他の台車1の突出部材13を収納するができるため、保管領域R1および乾燥領域R3では、台車1を接した状態で停車することができるため、保管領域R1および乾燥領域R3では最低限の領域にすることができる。
【0041】
本実施の形態は、サポート20が高さ変更部材24により高さ調節可能に設けられたため、乾燥領域R3での柱状構造物3の高さ位置が重ならないように調節することができる。そのため、効率よく柱状構造物3を乾燥することができる。さらに、塗布領域R2においても、高さ変更部材24により柱状構造物3の高さを作業者が作業しやすい高さにすることができるため、作業効率をアップさせることができる。
【0042】
<柱状構造物の塗装用台車の変形例について>
図7図8は、柱状構造物の塗装用台車の変形例を示す図である。
【0043】
図7を参照して、柱状構造物の塗装用台車1Aは、上述した第1支持部材22および第2支持部材23の構成において異なっている。具体的には、本変形例の第1支持部材22Aと第2支持部材23Aは、上述した実施の形態の第1支持部材22および第2支持部材23と同様の形状であるが、使用方法が異なっている。
【0044】
本変形例の第1支持部材22Aおよび第2支持部材23Aは、縦部が背中合わせに配置されて、つまり、縦部の背面が向かい合わせに配置されて、柱状構造物3Aを保持している。また、図7において、柱状構造物3Aの一例として、たとえばT型鋼を図示したが、上述したI型鋼、H型鋼などが用いられてもよい。
【0045】
図8を参照して、柱状構造物の塗装用台車1Bは、上述した第1支持部材22および第2支持部材23の構成において異なっている。具体的には、本変形例の第1支持部材22Bと第2支持部材23Bは、上述した実施の形態の第1支持部材22および第2支持部材23と同様の形状であるが、使用方法が異なっている。
【0046】
本変形例の第1支持部材22Bと第2支持部材23Bは、サポート本体21上をスライド可能であり、柱状構造物の大きさに応じてサポート本体21に固定されるものである。これにより、本変形例の塗装用台車1Bは、大小様々なサイズの柱状構造体に対応することが可能となる。
【0047】
上記実施の形態では、柱状構造物3を保管する領域を保管領域R1、柱状構造物3に塗料を塗布する領域を塗布領域R2、塗料を塗布した柱状構造物3を乾燥する領域を乾燥領域R3としたが、画一的に決まっている領域に限定されず、その行為を行っている領域を指し示すものである。したがって、領域R1,R2,R3のサイズは、柱上構造物を載置している台車の台数によって異なってくるものとする。
【0048】
また、台車1は柱状構造物3の長手方向一端および他端をそれぞれ載置するものであったが、台車1は1つだけ設けられて柱状構造物3の中央部を載置するものであってもよい。
【0049】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1,1A,1B,1a~1f 塗装用台車(台車)、3,3A,3a~3f 柱状構造物、10 ベース、13 突出部材、14 収納部、20 サポート、22,22A,22B 第1支持部材、23,23A,23B 第2支持部材、24 高さ変更部材、R1 保管領域、R2 塗布領域、R3 乾燥領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9