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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179655
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ロータリードレッサ
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/053 20060101AFI20241219BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20241219BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B24B53/053
B24B53/12 Z
B24D3/00 320B
B24D3/00 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098663
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000220103
【氏名又は名称】株式会社アライドマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末光 文也
【テーマコード(参考)】
3C047
3C063
【Fターム(参考)】
3C047BB04
3C047BB15
3C047EE11
3C047EE18
3C063AA02
3C063AB03
3C063BA02
3C063BB02
3C063BB27
3C063EE40
3C063FF08
(57)【要約】
【課題】従来のロータリードレッサにおいてはドレスした砥石でワークを加工するとワークに焼けが生じやすいという問題があった。
【解決手段】ロータリードレッサは、外周面を有する台金と、台金の外周面上に設けられた砥粒層とを備えたロータリードレッサであって、砥粒層は、台金の上に設けられた結合材と、結合材により一層に固着された複数の砥粒とを有し、ロータリードレッサの砥粒層の直径が部位により異なり、砥粒層の直径は、部位により直径差が5%以上あり、砥粒層の表面に現れる複数の砥粒には、平坦に形成された作用面が設けられ、砥粒層の表面における作用面の面積割合は、砥粒層の直径の小さい部位ほど小さく、砥粒層の表面全体の作用面の平均面積割合が15%以上30%未満である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面を有する台金と、
前記台金の前記外周面上に設けられた砥粒層とを備えたロータリードレッサであって、
前記砥粒層は、前記台金の上に設けられた結合材と、前記結合材により一層に固着された複数の砥粒とを有し、
前記ロータリードレッサの前記砥粒層の直径が部位により異なり、
前記砥粒層の直径は、部位により直径差が5%以上あり、
前記砥粒層の表面に現れる前記複数の砥粒には、平坦に形成された作用面が設けられ、
前記砥粒層の表面における前記作用面の面積割合は、前記砥粒層の直径の小さい部位ほど小さく、前記砥粒層の表面全体の前記作用面の平均面積割合が15%以上30%未満である、ロータリードレッサ。
【請求項2】
前記砥粒層において最大直径の部分の前記作用面の面積割合は、15%以上30%未満である、請求項1に記載のロータリードレッサ。
【請求項3】
前記砥粒層の直径が小さい部位ほど前記ロータリードレッサの一周における前記複数の砥粒の数が少ない、請求項1または2に記載のロータリードレッサ。
【請求項4】
前記砥粒層の直径が小さい部位ほど前記ロータリードレッサの周方向の前記複数の砥粒の間隔が大きい、請求項1または2に記載のロータリードレッサ。
【請求項5】
前記砥粒は人工合成ダイヤモンドであり、前記人工合成ダイヤモンドの結晶面が配向している、請求項1または2に記載のロータリードレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータリードレッサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
総形の砥石の形状や砥面の修正を行うロータリードレッサの例として、特開2012-091292号公報(特許文献1)に記載のロータリードレッサがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-091292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のロータリードレッサにおいてはドレスした砥石でワークを加工するとワークに焼けが生じやすいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロータリードレッサは、外周面を有する台金と、台金の外周面上に設けられた砥粒層とを備えたロータリードレッサであって、砥粒層は、台金の上に設けられた結合材と、結合材により一層に固着された複数の砥粒とを有し、ロータリードレッサの砥粒層の直径が部位により異なり、砥粒層の直径は、部位により直径差が5%以上あり、砥粒層の表面に現れる複数の砥粒には、平坦に形成された作用面が設けられ、砥粒層の表面における作用面の面積割合は、砥粒層の直径の小さい部位ほど小さく、砥粒層の表面全体の作用面の平均面積割合が15%以上30%未満である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示の実施の形態に従ったロータリードレッサ100の写真である。
図2図2は、ロータリードレッサ100と砥石200が接触してロータリードレッサ100が砥石200をドレッシングする状態を示す図である。
図3図3は、砥石200とワーク300が接触して砥石200がワーク300を研削加工する状態を示す図である。
図4図4は、ロータリードレッサ100の中心から外周に向かう方向に沿った砥粒層101の断面構造を示す図である。
図5図5は、作用面の面積割合の測定方法を説明するために示すロータリードレッサ100の模式図である。
図6図6は、作用面の面積割合の測定方法を説明するために示すロータリードレッサ100の模式図である。
図7図7は、作用面の面積割合の測定方法を説明するために示すロータリードレッサ100の模式図である。
図8図8は、実施例において作製されたロータリードレッサ100の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
総形ロータリードレッサで砥石をドレスする場合、ロータリードレッサの直径が大きい部分では砥石の直径は小さくなり、ロータリードレッサの直径が小さい部分では砥石の直径は大きくなる。また、ドレス抵抗が問題となる外径研削用砥石のドレスにおいては、一般的にロータリードレッサの直径は、砥石の直径より小さいことがほとんどであり、ドレス時の回転数もロータリードレッサの方が砥石よりも小さい。ロータリードレッサと砥石の回転方向は、お互いに逆方向になる方向(ダウンカット)を一般的に使用し、ロータリードレッサと砥石の回転方向が同じ方向(アップカット)はロータリードレッサの切れ味が悪くドレスできないなど特別の理由がある場合を除いては使用されない。
【0008】
このような状況で総形ロータリードレッサを使用する場合、ロータリードレッサの大径部と小径部とでは砥石との周速比が異なる。
【0009】
従来のロータリードレッサでは一周あたりの砥粒の数は、大径部および小径部において同じであるため、大径部において周速が速く砥粒間隔は広くなり、小径部において周速が遅く砥粒間隔は狭くなる。このような状態で砥石がドレスされると、砥石の大径部および小径部において同じような砥面となる。
【0010】
このような砥石で工作物を加工すると、砥石の大径部では周速が速く、小径部では周速が遅くなる。そのため、工作物の小径部は面精度が良くなるが、周速が速すぎると工作物の小径部で工作物の加工面が焼き付く恐れがある。また、工作物の大径部は加工面が粗くなり、この部分を加工する砥石の小径部は摩耗が大きくなるため、精度も悪くなる。
【0011】
このようにドレスされた砥石の砥面が全体的に均一な状態であると、加工条件により様々な問題が発生する。
【0012】
また、工作物の形状精度や面精度を向上させるためには、砥石を精度良くドレスする必要がある。そのためには、砥石をドレスするロータリードレッサの砥面の精度を向上させる必要があり、ドレス時に作用する砥粒を増やすことで対応する。
【0013】
しかし、ドレス時に作用する砥粒を増やすと、ワークの加工面に焼けが発生しやすくなり、特に上記のように砥石の大径部(ロータリードレッサの小径部でドレスされた部分)で加工したワークの加工面に焼けが発生しやすくなる。
【0014】
本開示のロータリードレッサは、以上のような問題を解決するものである。
図1は、本開示の実施の形態に従ったロータリードレッサ100の写真である。図2は、ロータリードレッサ100と砥石200が接触してロータリードレッサ100が砥石200をドレッシングする状態を示す図である。図3は、砥石200とワーク300が接触して砥石200がワーク300を研削加工する状態を示す図である。
【0015】
図1から図3で示すように、ダイヤモンドロータリードレッサとしてのロータリードレッサ100は、台金103と、台金103の表面に設けられた超砥粒層としての砥粒層101とを有する。
【0016】
台金103は、例えば、ステンレス鋼により構成される。台金103は円柱形状であり、台金103の外周面には砥粒層101が設けられる。砥粒層101においては、砥粒としてのダイヤモンドが固定されている。なお、ダイヤモンドに換えてCBN(立方晶窒化ホウ素)を用いてもよい。さらに、ダイヤモンドと立方晶窒化ホウ素が混在していてもよい。
【0017】
砥粒層101には、円周方向に延びる溝102が形成されている。この溝102は、被加工物の形状に沿って形成されている。このようなロータリードレッサ100は、いわゆる総形砥石をドレッシングするものである。
【0018】
図4は、ロータリードレッサ100の中心から外周に向かう方向に沿った砥粒層101の断面構造を示す図である。図3で示すように、台金103の表面には低融点合金層104を介して砥粒層101が形成されている。砥粒層101は反転式メッキ法により製作され、メッキ層である結合材203と一層に固着された砥粒204とを有する。台金103上に低融点合金層104により砥粒層101が固定されている。
【0019】
作用面205をなだらかに接続する仮想面206の面積に対する複数の作用面205の合計面積比率が比率Sで表される。
【0020】
砥粒204の作用面205は、砥粒204を研削または研磨することにより形成される。砥粒204を研削または研磨する時間を変更することにより、作用面205の面積を調整できる。砥粒204としてダイヤモンドおよびCBNなどの超砥粒のみならず、アルミナなどの在来砥粒を使用することが可能である。
【0021】
ロータリードレッサ100は外周面109を有する台金103と、台金103の外周面109上に設けられた砥粒層101とを備える。砥粒層101は、台金103の上に設けられた結合材203と、結合材203により一層に固着された砥粒204とを有し、ロータリードレッサ100の砥粒層101の直径が砥粒層101の第一の部位と第二の部位とにより異なる。
【0022】
第一の部位の砥粒層101の直径をD1とし、第二の部位の砥粒層101の直径をD2とすると(D1-D2)/D1は5%以上である。砥粒層101の表面に現れる砥粒には、平坦に形成された作用面205が設けられる。
【0023】
砥粒層101の表面における作用面205の面積割合は、砥粒層101の直径の小さい部位ほど小さく、砥粒層101の表面全体の作用面205の平均作用面積割合が15%以上30%未満である。
【0024】
好ましくは、砥粒層101において最大直径の部分の作用面205の面積の割合(比率S)は、15%以上30%未満である。
【0025】
好ましくは、砥粒層101の直径が小さい部位ほどロータリードレッサ100の1周における砥粒数が少ない。
【0026】
好ましくは、砥粒層101の直径が小さい部位ほど砥粒204の間隔が広い。
砥粒204は、人工合成ダイヤモンドであり、人工合成ダイヤモンドの結晶面が配向している。
【0027】
砥粒204として人工合成ダイヤモンドを使用すると、ダイヤの結晶面が明確に現れた形状のため、結晶面が台金103の接合面と平行に近い状態で接合される。その結果、砥粒204が安定した形で密に接合され、砥粒204に作用面を形成するための研削量は少なくても作用面積比率を高くすることができる。その結果、作用面形成が容易になるとともに、砥粒層101の厚みが厚くなるので寿命も向上する。
【0028】
図5から図7は、作用面の面積割合の測定方法を説明するために示すロータリードレッサ100の模式図である。図5から図7において、回転軸108を中心としてロータリードレッサ100は回転する。図5においては外周面109が階段形状となっている。
【0029】
ステップ(1)
ロータリードレッサ100の任意の位置を選択する。直径がD1の部分を選択したとする。
【0030】
ステップ(2)
上記1)で選択した位置の直径と5%以上異なる位置を選択する。直径D2の部分を選択したとする。(D1-D2)/D1は5%以上とする。さらに、直径D3の部分を選択したとする(D2-D3)/D2は5%以上とする。
【0031】
図6のように、直径が連続的に変化するような形状の場合、上記ステップ(1)で選択した位置の直径と5%、10%、15%のように5%ごとに異なる位置を選択する。具体的には任意の位置(線Aの位置)を選択する。線Aの位置から直径が5%異なる線Bの位置を選択する。線Bの位置から直径が5%異なる線Cの位置を選択する。線Cの位置から直径が5%異なる線Dの位置を選択する。
【0032】
図7のように溝102が形成されている場合、溝102外の線Aの位置を選択する。溝外の線Aの位置の直径をD1、溝102内の線Bの位置の直径をD2とする。(D1-D2)/D1は5%以上であれば線B上でも測定する。
【0033】
ステップ(3)
上記ステップ(1)および(2)で選択した位置の周方向において、軸方向の長さ2mm、周方向の長さ10mmの範囲で周方向に10ヶ所の任意の位置を選択する。これにより測定位置121から124が決定される。線A上には10箇所の測定位置121が存在する。線B上には10箇所の測定位置122が存在する。線C上には10箇所の測定位置123が存在する。線D上には10箇所の測定位置124が存在する。
【0034】
ステップ(4)
選択した位置それぞれについて、キーエンス製VR5000の測定装置を使い、曲面補正、カットオフ補正、しきい値設定、面積測定の手順で、砥粒の作用面の面積割合を測定する。
【0035】
具体的には、測定機は:キーエンス製VR5000である。測定原理は「光切断法」である。解析手順は、(1)3次元測定する。(2)下記A,Bの何れかもしくは両方で形状を平面化する。A:うねり除去(カットオフ処理)。ある波長以上のうねりを平面化する。B:2次曲線補正。2次曲線で形状全体をフィッティングして得られた円弧形状を平面化する。(3)閾値を設定し、作用面積を計算する。線A、線B、線C、線Dそれぞれにおいて、10箇所測定した作用面積の平均値をその線における作用面積とする。(作用面積)/(測定した面積)を作用面積率とする。測定した面積とは、(2)において平面化され(3)において測定された画像の面積である。作用面の平均面積割合は、線AからDの作用面積の割合を相加平均したものである。作用面積の割合および作用面の平均面積割合はパーセントで表され、小数点以下第1位が四捨五入される。たとえば、実測値で31.33%であれば31%と表記される。
【0036】
ロータリードレッサ100小径部において、ドレスする砥石200へ作用する砥粒の作用面の面積割合が小さくなっている。すなわち、少ない作用面積で砥石200の大径部をドレスするため、砥石200の大径部の砥面は粗くなり凹凸が増える。このような砥面の砥石200で工作物を研削加工すると、砥石200の大径部の研削抵抗が低くなって焼けが発生しにくくなり、砥石200のドレスインターバルが延びる。
【0037】
(実施例)
図8は、実施例において作製されたロータリードレッサ100の模式図である。その詳細を表1および表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
「2mm幅平均砥粒間隔」とは、各部位での「2mm幅内における中央部の周方向長さ/2mm幅内の砥粒数」で求めた距離とする。なお、2mm幅の領域の外周縁部分にある砥粒でこの領域内には砥粒の一部分が入っているものについては、砥粒数を0.5ヶとしてカウントする。
【0041】
ロータリードレッサ100の砥粒204はダイヤモンド、台金103(図4)はステンレス鋼、結合材203(図4)はニッケルメッキにより構成される。砥粒204の径は♯20/25(平均粒径700μmから850μm)である。
【0042】
このロータリードレッサ100を用いて、図2で示すように砥石200をドレスした。
ドレスされる砥石200(図2)はクレノートン社製のメッシュ♯120(平均粒径120μm)結合度Kの砥石である。砥石200の材質はWAである。
【0043】
砥石200により加工されるワーク300(図3)は、直径100mm、厚み(回転軸方向の長さ)130mmの丸棒でS45Cにより構成される。
【0044】
ロータリードレッサ100と砥石200の回転方向は互いに逆(ダウンドレス)である。これにより、ロータリードレッサ100と砥石200との間に研削液が吸い込まれるようにした。砥石200とワーク300の回転方向も互いに逆である。
【0045】
ロータリードレッサ100の平均外径は93mm、回転数は1200rpm、周速は5.8m/sである。砥石200の平均外径は248mm、回転数は1490(rpm)、周速は19.4m/sである。ロータリードレッサ100の平均周速度/砥石200の平均周速度で表される周速度比は0.3である。
【0046】
まず、ロータリードレッサ100を用いて砥石200をドレッシングした。次に、この砥石200でワーク300の研削加工を繰り返し、ワーク300の加工後の精度が規定値から外れた時点で、再度砥石200をロータリードレッサ100でドレッシングした。これを100回繰り返した後の結果を表3および表4に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
「ワーク粗さ」は砥石200をドレッシングした直後に砥石200により加工されたワーク300の表面粗さであり、触診式表面粗さ計により測定して100回分の測定値の平均値とした。つまり「ワーク粗さ」は1から100回目のドレッシング直後の砥石200により加工されたワーク300の表面粗さの平均値である。
【0050】
「ワークの研削焼け判定」の欄においてワークの三箇所の研削面の外観から明らかな焼けがある場合は「C」とし、僅かに焼けがあり判断が難しい場合は「B」とし、明らかに焼けが無い場合は「A」とした。
【0051】
「ワークの面粗さ判定」の欄においてワークの三箇所の研削面の表面粗さRaの最も大きい値が0.25μm以上であれば「C」とし、0.18μm以上0.25μm未満であれば「B」とし、0.18μm未満であれば「A」とした。
【0052】
「ワークの面粗さバラつき判定」の欄においてワークの三箇所の研削面の表面粗さRaの最も大きい値と最も小さい値の差が0.030μm以上であれば「C」とし、0.020μm以上0.030μm未満であれば「B」とし、0.020μm未満であれば「A」とした。
【0053】
これらの結果から、作用面積割合が各部位で等しい試料番号1、小径部での作用面積割合が小さくても全体の作用面積割合が30%以上の試料番号6および7ではワークの研削焼け判定において「B」または「C」の評価であることが分かる。
【0054】
全体の作用面積割合が小さい試料番号2、4および5や全体の作用面積割合が35%のように大きい試料番号7では、ワークの面粗さ判定において「C」の評価であることが分かる。
【0055】
小径部での作用面積割合が大きい試料番号3および試料番号4ではワークの面粗さバラつき判定において「C」の評価であることが分かる。また、作用面積割合が各部位で等しい試料番号1、小径部での作用面積割合が大きい試料番号2、小径部での作用面積割合が小さくても全体の作用面積割合が10%のように小さい試料番号5や30%以上のように大きい試料番号6および7ではワークの面粗さバラつき判定において「B」の評価であることが分かる。
【0056】
これに対して、小径部での作用面積割合が小さく全体の作用面積割合が15%以上30%未満の試料番号8から16では、ワークの研削焼け判定、ワークの面粗さ判定およびワークの面粗さバラつき判定において「A」の評価が得られていることが分かる。
【0057】
試料番号15および16では、ロータリードレッサの最大直径の部分の作用面積割合が大きい為、その部位でドレスされた砥石により加工されたワークの一部分において、僅かに焼けが見られた。そのため「ワークの研削焼け判定」が「B」の評価となった。
(付記1)
外周面を有する台金と、
前記台金の前記外周面上に設けられた砥粒層とを備えたロータリードレッサであって、
前記砥粒層は、前記台金の上に設けられた結合材と、前記結合材により一層に固着された複数の砥粒とを有し、
前記ロータリードレッサの前記砥粒層の直径が部位により異なり、
前記砥粒層の直径は、部位により直径差が5%以上あり、
前記砥粒層の表面に現れる前記複数の砥粒には、平坦に形成された作用面が設けられ、
前記砥粒層の表面における前記作用面の面積割合は、前記砥粒層の直径の小さい部位ほど小さく、前記砥粒層の表面全体の作用面の平均面積割合が15%以上30%未満である、ロータリードレッサ。
(付記2)
前記砥粒層において最大直径の部分の前記作用面の面積割合は、15%以上30%未満である、付記1に記載のロータリードレッサ。
(付記3)
前記砥粒層の直径が小さい部位ほど前記ロータリードレッサの一周における前記複数の砥粒の数が少ない、付記1または2に記載のロータリードレッサ。
(付記4)
前記砥粒層の直径が小さい部位ほど前記ロータリードレッサの周方向の前記複数の砥粒の間隔が大きい、付記1から3のいずれか1項に記載のロータリードレッサ。
(付記5)
前記砥粒は人工合成ダイヤモンドであり、前記ダイヤモンドの結晶面が配向している、付記1から4のいずれか1項に記載のロータリードレッサ。
【0058】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
100 ロータリードレッサ、101 砥粒層、102 溝、103 台金、104 低融点合金層、109 外周面、203 結合材、204 超砥粒、205 頂面、206 仮想面、300 ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8