(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179656
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/10 20060101AFI20241219BHJP
B29C 65/08 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65D35/10 Z
B29C65/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098664
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲川 義則
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊
【テーマコード(参考)】
3E065
4F211
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA16
3E065BA18
3E065BA35
3E065BB03
3E065CA20
3E065DA05
3E065DB02
3E065DC01
3E065DD05
3E065DE20
3E065FA20
4F211AA03
4F211AA24
4F211AF01
4F211AG01
4F211AH55
4F211AH57
4F211AR07
4F211AR12
4F211TA01
4F211TC08
4F211TD11
4F211TN22
(57)【要約】
【課題】閉塞部において互いに溶着されたシート同士が乖離することを抑制する。
【解決手段】本発明に基づくチューブ容器1において、筒状胴部10は、一枚のシートSを湾曲または屈曲させて、シートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、第1の側端部SE1の反対に位置するシートSの第2の側端部SE2とを、シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されており、帯状の溶着部12を有している。閉塞部30は、筒状胴部10の軸方向DAにおける他方端部14を閉塞する。筒状胴部10は、外部から受けた衝撃が筒状胴部10に収容された内容物を介して閉塞部30に伝わることを緩和する、衝撃緩和部10Rを有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のシートを湾曲または屈曲させて、前記シートの面方向における第1の側端部と、該第1の側端部の反対に位置する前記シートの第2の側端部とを、前記シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成された、帯状の溶着部を有する筒状胴部と、
前記筒状胴部の軸方向における一方端部に接合され、前記筒状胴部に収容された内容物を注出可能な注出部と、
前記第1の側端部と前記第2の側端部とを前記シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成された前記シートの内周面を、前記軸方向に直交する第1方向につき合わせてさらに溶着させることで形成され、前記筒状胴部の前記軸方向における他方端部を閉塞する、閉塞部とを備え、
前記筒状胴部は、外部から受けた衝撃が前記筒状胴部に収容された前記内容物を介して前記閉塞部に伝わることを緩和する、衝撃緩和部を有している、チューブ容器。
【請求項2】
前記筒状胴部は、前記第1方向において互いに対向する第1壁部および第2壁部からなり、
前記第1壁部は、前記衝撃緩和部として、前記筒状胴部の収容空間内における前記一方端部から前記他方端部までの最短経路が直線状にならないように、前記第1壁部が前記第2壁部に向かって凸状に屈曲することで形成された、第1屈曲部を有している、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記閉塞部は、前記一方端部における前記筒状胴部の前記軸方向に対して傾斜している、請求項2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記第2壁部は、前記第1屈曲部から見て他方端部側において、前記第2壁部が前記第1壁部に向かって凸状に曲がることで形成された曲げ部を有する、請求項2に記載のチューブ容器。
【請求項5】
前記筒状胴部は、前記第1方向において互いに対向する第1壁部および第2壁部からなり、
前記第1壁部は、前記第1壁部の一部を構成し、前記筒状胴部の前記他方端部を含む第1端壁部を有し、
前記第2壁部は、前記第2壁部の一部を構成し、前記筒状胴部の前記他方端部を含む第2端壁部を有し、
前記第1端壁部および前記第2端壁部が互いに接していることで、前記衝撃緩和部を構成している、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項6】
前記筒状胴部は、前記第1方向において互いに対向する第1壁部および第2壁部からなり、
前記第1壁部は、前記第1壁部の一部を構成し、前記筒状胴部の前記一方端部より前記他方端部の近くに位置する第1緩和壁部を有し、
前記第2壁部は、前記第2壁部の一部を構成し、前記筒状胴部の前記一方端部より前記他方端部の近くに位置する第2緩和壁部を有し、
前記第1緩和壁部の一部分および前記第2緩和壁部の一部分が互いに溶着していることで、前記第1緩和壁部および前記第2緩和壁部が、前記衝撃緩和部を構成している、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項7】
前記筒状胴部は、前記第1方向において互いに対向する第1壁部および第2壁部からなり、
前記第1壁部の内表面積は、前記第2壁部の内表面積より大きく、
前記第1壁部は、前記衝撃緩和部として、前記第1壁部の一部を構成し、前記筒状胴部の前記他方端部を含み、かつ、前記筒状胴部の収容空間に向かって凸状に湾曲する湾曲壁部を有している、請求項1に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチューブ容器を開示した文献として、特許第4103891号公報(特許文献1)および特許第6207316号公報(特許文献2)が開示されている。
【0003】
特許文献1には、ラミネートチューブ用積層フィルムから超音波シールにより製造されたチューブ容器が開示されている。当該チューブ容器の製造方法は、ラミネートチューブ用積層フィルムを筒状にシールして筒状胴部を形成する工程と、筒状胴部の一方の開口部に肩部および口部を形成する工程と、筒状胴部の他方の開口部におけるシール部を両外側からシールバーと受け具とにより加圧状態で挟む工程と、挟まれた偏平形状のシール部にシールバーから超音波振動エネルギーを与える工程と、超音波振動エネルギーにより、偏平形状のシール部を振動させ、当該シール部の第1の樹脂層を熱融着する工程とを備えている。
【0004】
特許文献2には、外層、アルミニウム箔層、及び内層の順に積層されているチューブ容器用積層体を用いたチューブ容器が開示されている。当該チューブ容器の製造方法は、チューブ容器用積層体を形成する積層工程、チューブ容器用積層体の内面同士の超音波シールによりチューブ容器用積層体の尻シール部を形成する尻シール工程とを備えている。チューブ容器の尻部を形成するときには、チューブ用積層体は筒状に形成されているか、または折り曲げられているので、内面同士が向き合ってシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4103891号公報
【特許文献2】特許第6207316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2に開示されるように、従来のチューブ容器は、注出側とは反対側に位置する端部(尻シール部)において、筒状体の内面同士が溶着される。これにより、閉塞部が形成される。しかしながら、チューブ容器が落下し、着地をしたときには、着地により受けた衝撃によって、閉塞部において互いに溶着されたシート同士が乖離することがある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、閉塞部において互いに溶着されたシート同士が乖離することを抑制できる、チューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づくチューブ容器は、筒状胴部と、注出部と、閉塞部とを備えている。筒状胴部は、一枚のシートを湾曲または屈曲させて、シートの面方向における第1の側端部と、第1の側端部の反対に位置するシートの第2の側端部とを、シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されており、帯状の溶着部を有している。注出部は、筒状胴部の軸方向における一方端部に接合され、筒状胴部に収容された内容物を注出可能である。閉塞部は、第1の側端部と第2の側端部とを厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成されたシートの内周面を、上記軸方向に直交する第1方向につき合わせてさらに溶着させることで形成され、筒状胴部の上記軸方向における他方端部を閉塞する。筒状胴部は、外部から受けた衝撃が筒状胴部に収容された内容物を介して閉塞部に伝わることを緩和する、衝撃緩和部を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、閉塞部において互いに溶着されたシート同士が乖離することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係るチューブ容器を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るチューブ容器を一方側から示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るチューブ容器を他方側から示す斜視図である。
【
図4】
図1のチューブ容器の一部をIV-IV線矢印方向から見た断面図である。
【
図5】
図1の筒状胴部をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係るチューブ容器の分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係る筒状胴部および閉塞部を構成するシートの部分断面図である。
【
図8】
図3の筒状胴部をVIII-VIII線矢印方向から見た部分断面図である。
【
図9】閉塞部が形成される直前のシートの状態を示す模式的な断面図である。
【
図10】本発明の実施形態1に係るチューブ容器の製造方法を示すフロー図である。
【
図11】重ね合わせ工程および筒状体形成工程におけるシートを示す模式的な図である。
【
図12】本発明の実施形態1に係るチューブ容器の製造方法に使用される超音波ホーンを、アンビルとの対向方向から見た平面図である。
【
図13】
図12の超音波ホーンをXIII-XIII線矢印方向から見た断面図である。
【
図14】本発明の実施形態1において凹凸形状の凸部が互いに接続されている超音波ホーンを示す平面図である。
【
図15】注出部接合工程において、インサート成形により注出部を筒状体に接合するときの金型および筒状体を示す模式的な断面図である。
【
図16】圧縮成形による注出部接合工程を示すフロー図である。
【
図17】圧縮成形により注出部を筒状体に接合するときの金型、成型材料および筒状体を示す模式的な断面図である。
【
図18】超音波溶着による注出部接合工程を示すフロー図である。
【
図19】超音波溶着により注出部を筒状体に接合するときに用いる装置を示す模式的な断面図である。
【
図20】閉塞部形成工程において使用される超音波ホーンおよびアンビルを筒状体とともに示す模式的な断面図である。
【
図21】本発明の実施形態2に係るチューブ容器を示す正面図である。
【
図22】
図21のチューブ容器をXXII-XXII線矢印方向から見た断面図である。
【
図23】本発明の実施形態2における閉塞部形成工程および衝撃緩和部形成工程に用いられる治具を筒状体とともに示す、模式的な断面図である。
【
図24】本発明の実施形態2において、閉塞部および衝撃緩和部を同時に形成した直後の状態の筒状体を示す模式的な断面図である。
【
図25】本発明の実施形態3に係るチューブ容器を示す正面図である。
【
図26】
図25のチューブ容器をXXVI-XXVI線矢印方向から見た断面図である。
【
図27】本発明の実施形態3の変形例に係るチューブ容器を示す正面図である。
【
図28】本発明の実施形態3に係るチューブ容器を示す斜視図である。
【
図29】本発明の実施形態4に係るチューブ容器を示す正面図である。
【
図30】
図29のチューブ容器をXXX-XXX線矢印方向から見た断面図である。
【
図31】本発明の実施形態4に係るチューブ容器を部分的に示す部分拡大断面図である。
【
図32】本発明の実施形態4に係るチューブ容器の製造方法を示すフロー図である。
【
図33】本発明の実施形態4における閉塞部形成工程および衝撃緩和部形成工程に用いられる治具を筒状体とともに示す、模式的な断面図である。
【
図34】本発明の実施形態4において、閉塞部および衝撃緩和部を同時に形成した直後の状態を示す平面図である。
【
図35】本発明の実施形態4において、溶断工程において筒状体が溶断される様子を模式的に示す正面図である。
【
図36】本発明の実施形態5に係るチューブ容器を示す斜視図である。
【
図37】
図36のチューブ容器をXXXVII-XXXVII線矢印方向に見た断面図である。
【
図38】本発明の実施形態5における閉塞部形成工程および衝撃緩和部形成工程に用いられる治具を筒状体とともに示す斜視図である。
【
図39】本発明の実施形態5において、閉塞部および衝撃緩和部を同時に形成した直後の状態の筒状体を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態に係るチューブ容器について説明する。以下の各実施形態の説明においては、図中の同一部分または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0012】
(実施形態1)
<チューブ容器>
図1は、本発明の実施形態1に係るチューブ容器を示す正面図である。
図2は、本発明の実施形態1に係るチューブ容器を一方側から示す斜視図である。
図3は、本発明の実施形態1に係るチューブ容器を他方側から示す斜視図である。
図4は、
図1のチューブ容器の一部をIV-IV線矢印方向から見た断面図である。
【0013】
図1から
図4に示すように、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1は、筒状胴部10と、注出部20と、閉塞部30と、キャップ部40とを備えている。なお、
図4に示されるチューブ容器1においては、キャップ部40は図示していない。後に説明される図においても、キャップ部40は図示されない場合がある。
【0014】
図5は、
図1の筒状胴部をV-V線矢印方向から見た断面図である。
図1から
図4に示すように、筒状胴部10は、シート基部11と、溶着部12と、一方端部13と、他方端部14と、を有している。
【0015】
図6は、本発明の実施形態1に係るチューブ容器の分解斜視図である。
図5および
図6に示すように、シート基部11は、一枚のシートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、該第1の側端部SE1の反対に位置する上記シートSの第2の側端部SE2との間に位置している。溶着部12は、上記シートSを湾曲または屈曲させて、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを上記シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されている。上記厚さ方向とは、シートSの面方向DPに直交する方向である。
【0016】
このように、本実施形態において、筒状胴部10は一枚のシートSからなる。まず、シートSの詳細について説明する。
【0017】
第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSは、シートSの厚さ方向から見て、矩形状の外形を有している。ただし、シートSは、湾曲または屈曲させることで筒状胴部10を形成できるものであれば、厚さ方向から見たときの形状は限定されない。
【0018】
図7は、本発明の実施形態1に係る筒状胴部および閉塞部を構成するシートの部分断面図である。
図7に示すように、シートSは、第1基材層SL1を少なくとも含んでいる。第1基材層SL1は、筒状胴部10の径方向において、筒状胴部10の中心側に位置している。すなわち、第1基材層SL1は、筒状胴部10の最内層である。
【0019】
第1基材層SL1は、樹脂成分を主成分として含んでおり、たとえば、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含んでいる。リサイクル性を向上させる観点からは、第1基材層SL1はポリエステル系樹脂を主成分として含んでいることが好ましい。さらに、第1基材層SL1が比較的剛性の高いポリエステル系樹脂を主成分として含んでいることにより、筒状胴部10を塑性変形させて、後述の各屈曲部を形成することが容易となる。
【0020】
第1基材層SL1がポリオレフィン系樹脂を主成分として含む場合、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンポリマー等が挙げられる。リサイクル性の観点から、第1基材層SL1のポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンであることが好ましい。
【0021】
第1基材層SL1がポリエステル系樹脂を主成分として含む場合、当該ポリエステル系樹脂としては、チューブ容器1の筒状胴部10として使用できるものであれば特に限定されない。ポリエステル系樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG、グリコール成分の一部がシクロヘキサンジメタノール(CHDM)またはネオペンチルグリコール等で変性されたポリエチレンテレフタレート)、ポリ乳酸等が挙げられる。第1基材層SL1は、樹脂成分としてポリエステル系樹脂のみを含んでいることが好ましい。
【0022】
筒状胴部10のリサイクル性の観点から、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。また、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂は、溶着部12におけるシートS同士を比較的低いエネルギーで互いに溶着させる観点、および、超音波振動を効率良く伝達させる観点から、非晶性のポリエステル系樹脂(非晶性のポリエチレンテレフタレート、および、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートなど)であることが好ましい。よって、第1基材層SL1は、筒状胴部10のリサイクル性、ならびに、溶着部12および後述する閉塞部30におけるシートSの接着性の両観点から、非晶性のホモポリエチレンテレフタレートであることが最も好ましい。環境負荷低減の観点からは、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10の内側に内容物を収容させる場合には、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂が、バージン原料からなることが好ましい。
【0023】
また、第1基材層SL1は、単層フィルムでもよいし、または、積層フィルムの一部であってもよい。第1基材層SL1を構成するフィルム(単層フィルムまたは積層フィルム)は、無延伸、一軸延伸、または、二軸延伸フィルムであってもよい。筒状胴部10および後述する閉塞部30におけるシートS同士の接着性、ならびに、筒状胴部10と注出部20との接合強度をより向上させる観点から、第1基材層SL1は、無延伸または一軸延伸フィルムで構成されていることが好ましく、無延伸フィルムで構成されていることがより好ましい。第1基材層SL1が無延伸または一軸延伸のフィルムで構成されていれば、第1基材層SL1の表面の結晶化が抑制されているため、超音波溶着を実施する際においては他の層との溶着性が向上する。第1基材層SL1は、ポリエステル系樹脂を主成分として含み、かつ、無延伸フィルムで構成されていることが特に好ましい。
【0024】
本実施形態において、シートSは、第2基材層SL2をさらに含んでいる。第2基材層SL2は、第1基材層SL1に積層されている。第2基材層SL2は、第1基材層SL1から見て筒状胴部10の径方向外側に位置している。シートSは、第2基材層SL2を含んでいなくてもよい。シートSは、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に他の層をさらに含んでいてもよい。
【0025】
本実施形態において、第2基材層SL2は樹脂成分を主成分として含んでおり、たとえば、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含んでいる。リサイクル性を向上させる観点からは、第2基材層SL2は、第1基材層SL1と同様に、ポリエステル系樹脂を主成分として含んでいることが好ましい。さらに、第2基材層SL2が比較的剛性の高いポリエステル系樹脂を主成分として含んでいることにより、筒状胴部10を塑性変形させて、後述の各屈曲部を形成することが容易となる。
【0026】
第2基材層SL2のポリオレフィン系樹脂としては、第1基材層SL1のポリオレフィン系樹脂として採用可能なものを用いることができる。リサイクル性の観点から、第2基材層SL2のポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンであることが好ましい。
【0027】
第2基材層SL2のポリエステル系樹脂としては、第1基材層SL1のポリエステル系樹脂として採用可能なものと同様のものを用いることができる。第2基材層SL2は、樹脂成分としてポリエステル系樹脂のみを含んでいることが好ましい。リサイクル性の観点から、第2基材層SL2のポリエステル系樹脂は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。環境負荷低減の観点からは、第2基材層SL2におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10および後述する閉塞部30の製造費用低減の観点からは、第2基材層SL2におけるポリエステル系樹脂は、バージン原料からなることも好ましい。
【0028】
第2基材層SL2は、単層フィルムであってもよいし、積層フィルムの一部であってもよい。第2基材層SL2を構成する単層フィルムまたは積層フィルムは、無延伸、一軸延伸、または、二軸延伸フィルムであってもよい。第2基材層SL2を構成するフィルムは、二軸延伸フィルムであることが好ましい。これにより、筒状胴部10を強靭に保ちつつ径方向厚さをより薄くできる。また、シートSが後述するバリア層BLを含む場合には、第2基材層SL2を構成するフィルムが二軸延伸フィルムであることにより、バリア層BLの割れなどを抑制できる。第2基材層SL2が積層フィルムの一部である場合、第2基材層SL2は、第1基材層SL1とともに積層フィルムの一層として構成されていてもよく、接着剤層などを介することなく直接第1基材層SL1に積層されていてもよい。第2基材層SL2は、ポリエステル系樹脂を主成分として含み、かつ、二軸延伸フィルムで構成されていることが特に好ましい。
【0029】
本実施形態において、シートSは、バリア層BLをさらに含んでいる。バリア層BLは、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1側に位置しているが、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に位置していてもよい。なお、シートSは、バリア層BLを含んでいなくてもよい。
【0030】
バリア層BLを構成する材料は特に限定されない。バリア層BLとしては、シリカバリア層もしくはアルミナバリア層などのセラミックバリア層、または、アルミバリア層などの金属バリア層などが挙げられる。本実施形態において、バリア層BLは、第2基材層SL2(具体的には第2基材層SL2を構成するフィルム)に蒸着により積層されている。
【0031】
本実施形態において、シートSは、第1接着剤層AL1をさらに含んでいる。第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置している。より具体的には、第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1とバリア層BLとの間に位置し、これらを互いに接合する。バリア層BLが第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していない場合には、第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1と第2基材層SL2とを互いに接合する。第1接着剤層AL1を構成する接着剤は特に限定されないが、ドライラミネート用接着剤を用いることが好ましい。ドライラミネート用接着剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0032】
本実施形態において、シートSは、第3基材層SL3をさらに含んでいる。第3基材層SL3は、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に積層されている。第3基材層SL3は、第1基材層SL1および第2基材層SL2から見て筒状胴部10の径方向外側に位置している。第3基材層SL3は、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していてもよい。
【0033】
なお、シートSは、第1基材層SL1と第3基材層SL3との間に他の層をさらに含んでいてもよい。シートSは、第2基材層SL2と第3基材層SL3との間に他の層をさらに含んでいてもよい。シートSは第3基材層SL3を含んでいなくてもよい。
【0034】
本実施形態において、第3基材層SL3は樹脂成分を主成分として含んでおり、たとえば、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂を主成分として含んでいてもよい。第3基材層SL3の樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、または、第1基材層SL1および第2基材層SL2の主成分として採用可能なポリオレフィン系樹脂およびポリエステル系樹脂と同様のものが使用可能である。第3基材層SL3が、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1の反対側に積層されている場合、溶着部12におけるシートS同士の接着性の観点から、第3基材層SL3は、第1基材層SL1の主成分と同種の樹脂成分を主成分として含むことが好ましい。これにより、溶着部12において、第1基材層SL1と第3基材層SL3とが互いに溶着し、溶着部12においてシートS同士の接合強度をより向上させることができる。第3基材層SL3も、第1基材層SL1と同様に、ポリエステル系樹脂を主成分として含むことが好ましい。第3基材層SL3が比較的剛性の高いポリエステル系樹脂を主成分として含んでいることにより、筒状胴部10を塑性変形させて、後述の各屈曲部を形成することが容易となる。
【0035】
第3基材層SL3の主成分として採用可能なポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。環境負荷低減の観点からは、第3基材層SL3におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10の製造費用低減の観点からは、第3基材層SL3におけるポリエステル系樹脂は、バージン原料からなることも好ましい。
【0036】
第3基材層SL3は、単層フィルムでもよいし、または積層フィルムの一部であってもよい。第3基材層SL3を構成するフィルム(単層フィルムまたは積層フィルム)は、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、または、二軸延伸フィルムのいずれから構成されていてもよい。筒状胴部10におけるシートS同士の接着性(すなわち、溶着部12における第1基材層SL1と第3基材層SL3との溶着の容易さ)の観点から、第3基材層SL3は、無延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムで構成されていることが好ましく、無延伸フィルムで構成されていることがより好ましい。第3基材層SL3が無延伸または一軸延伸のフィルムで構成されていれば、第3基材層SL3の表面の結晶化が抑制されているため、超音波溶着を実施する際においては他の層との溶着性が向上する。第3基材層SL3は、ポリエステル系樹脂を主成分として含み、かつ、無延伸フィルムで構成されていることが特に好ましい。
【0037】
第3基材層SL3は、シートSの最外層であることが好ましく、少なくとも、溶着部12および閉塞部30においてシートSの最外層であることが好ましい。
【0038】
本実施形態において、シートSは、第2接着剤層AL2をさらに含んでいる。第2接着剤層AL2は、第2基材層SL2と第3基材層SL3との間に位置しており、これらを互いに接合する。第2接着剤層AL2を構成する接着剤は特に限定されないが、ドライラミネート用接着剤を用いることが好ましい。ドライラミネート用接着剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0039】
シートSは、意匠性向上のための印刷層をさらに含んでいてもよい。印刷層は、筒状胴部10の最内層である第1基材層SL1より径方向外側に位置していれば、いずれの層間に位置していてもよい。たとえば第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に位置していてもよいし、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していてもよいし、第1基材層SL1から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していてもよい。印刷層は、第3基材層SL3から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していてもよいし、第3基材層SL3と第2基材層SL2との間に位置していてもよい。印刷層は、第3基材層SL3から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していることが好ましい。
【0040】
シートSは、溶着部12において印刷層を含まないことも好ましい。これにより、溶着部12の溶着時において印刷層が溶けてチューブ容器1の美粧性が低下することを抑制できる。また、後述する閉塞部30においてシートSが印刷層を含まないことも好ましい。これにより、閉塞部30に係る溶着時において印刷層が溶けてチューブ容器1の美粧性が低下することを抑制できる。
【0041】
印刷層は、たとえばインキからなる。インキとしては、たとえば油性インキ(溶媒に有機溶剤を用いた溶剤系インキを含む)、水性インキ(水分散系のエマルジョンインキを含む)、または、UV硬化型インキなどが挙げられる。
【0042】
シートSは、アンカーコート層をさらに含んでいてもよい。アンカーコート層は、印刷層と他の層との間に位置する。アンカーコート層は、印刷層と他の層との接着性を高める。アンカーコート層は従来公知のアンカーコート剤等により形成できる。
【0043】
シートSが印刷層を含む場合、印刷層にはさらに透明保護層が積層されていてもよい。透明保護層は、たとえばポリプロプレンフィルムなどの樹脂フィルムであってもよいし、透明インキからなる層であってもよい。
【0044】
シートSの合計厚さは、シートSを筒状に形成する観点およびチューブ容器1の取扱性の観点から、たとえば12μm以上300μm以下であることが好ましい。これにより、筒状胴部10を容器の一部として用いる場合には、容器に収容された内容物を押し出すようにして注出可能なスクイズ性を、筒状胴部10に付与できる。ひいては、シートSが、ポリエステル系樹脂を主成分として含む第1基材層SL1を含んでいる場合には、シートSの合計厚さが12μm以上300μm以下であることにより、筒状胴部10に折罫線を容易に形成することができる。これにより、筒状胴部10に良好なスクイズ性を付与できる。一方で、シートSの厚さを薄くするほど、スクイズ性が良好になるが、チューブ容器1の落下および着地の衝撃によって、閉塞部30において互いに溶着されたシートS同士が乖離しやすい傾向となる。この傾向は、第1基材層SL1が主成分としてポリエステル系樹脂を含む場合に特に大きくなる。
【0045】
また、第1基材層SL1の厚さは、たとえば10μm以上300μm以下であることが好ましい。第2基材層SL2の厚さは、たとえば5μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0046】
シートSが互いに積層された複数の層を含む場合、第1基材層SL1は、筒状胴部10の最内層であって溶着部12の溶着の際に必ず他の層と接着することになる観点から、第2基材層SL2より厚いことが好ましい。これにより、溶着部12における溶着の際に、第2基材層SL2に含まれる樹脂成分がシートS同士の溶着の強度に与える影響を小さくできる。当該影響をより小さくする観点から、第1基材層SL1の厚さは、第2基材層SL2の厚さの1.5倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、5倍以上であることがさらに好ましい。第1基材層SL1は、シートSにおいて最も厚い層であってもよい。なお、本明細書において、シートSおよびこれらを構成する層の厚さとは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSおよびこれら構成する厚さをいい、シート基部11における、延在部113(詳細は後述)を構成する層の、筒状胴部10の径方向厚さに相当する。
【0047】
第3基材層SL3の厚さは、たとえば10μm以上300μm以下であることが好ましい。第3基材層SL3の厚さは、たとえば5μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上100μm以下であることがより好ましい。第3基材層SL3の厚さは、第1基材層SL1と同じであってもよい。これにより、第1基材層SL1を構成するフィルムと同じフィルムにて第3基材層SL3を構成することが可能となる。なお、第3基材層SL3の厚さは第1基材層SL1の厚さと異なっていてもよい。第3基材層SL3の厚さは、第1基材層SL1より厚いことも好ましい。第3基材層SL3の厚さが第1基材層SL1より厚いことで、シートSが第1基材層SL1側において凹状にカールしやすくなり、シートSの筒状化がより容易となる。第3基材層SL3は、シートSにおいて最も厚い層であってもよい。第3基材層SL3は、第2基材層SL2より厚いことが好ましい。
【0048】
次に、シート基部11および溶着部12の詳細について説明する。
図8は、
図3の筒状胴部をVIII-VIII線矢印方向から見た部分断面図である。
図1~
図3、
図5および
図8に示すように、シート基部11は、第1基端部111と、第2基端部112と、延在部113とを有している。
【0049】
第1基端部111は、シートSにおいて第2の側端部SE2と連続している部分である。第2基端部112は、シートSにおいて第1の側端部SE1と連続している部分である。第1基端部111および第2基端部112は、それぞれ溶着部12に沿って、筒状胴部10の一方端部13から他方端部14にかけて延びている(
図1~
図3および
図5参照)。
【0050】
第1基端部111および第2基端部112の平均厚さは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)と異なっている。
【0051】
第1基端部111および第2基端部112は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さより径方向厚さが厚い部分および薄い部分の両方を有していてもよいし、厚い部分のみまたは薄い部分のから構成されていてもよい。たとえば、
図8に示す断面視においては、第1基端部111の径方向厚さは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)より厚い。また、第2基端部112は、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)よりの径方向厚さが薄い部分と、厚い部分とを有している。
【0052】
延在部113は、シートSの面方向DP(筒状胴部10の周方向DC)において第1基端部111と第2基端部112との間に位置している部分である(
図5参照)。延在部113は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、略C字状の外形を有している。筒状胴部10の径方向における延在部113の厚さは、筒状胴部10形成前のシートSの厚さと等しい。
【0053】
帯状の溶着部12は、上記シートSを湾曲または屈曲させて、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを上記シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されている。本実施形態においては、第1の側端部SE1の外周面と、第2の側端部SE2の内周面とが、互いに溶着されている(
図5参照)。溶着部12は、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延びている(
図3参照)。溶着部12は、一方端部13から他方端部14まで連続的に延びている。
【0054】
溶着部12は、第1先端縁121と、第2先端縁122と、溶着部外周面123と、溶着部内周面124とを有している。
【0055】
図8に示すように、第1先端縁121は、筒状胴部10の周方向DCにおける第1の側端部SE1の先端縁である。第1先端縁121は、第1基端部111と接合している。これにより、溶着部12の溶着面積が比較的大きくなる。ひいては、溶着部12に剥離の応力がかかったときに、当該応力が分散される。よって、溶着部12の溶着強度が向上する。
【0056】
なお、本実施形態では、第1先端縁121において、第1の側端部SE1の第1基材層SL1と、第1基端部111の第1基材層SL1との間に境界があるが、当該境界はなくてもよい。すなわち、第1の側端部SE1の第1基材層SL1と、第1基端部111の第1基材層SL1とが互いに溶融して周方向DCに連続していてもよい。
【0057】
さらに、第1先端縁121は、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置している。これにより、第1先端縁121が外部の物体に接触する機会を低減できる。特に、本実施形態においては、第1の側端部SE1の外周面と、第2の側端部SE2の内周面とが、互いに溶着されることで溶着部12が形成される(
図5参照)。したがって、第1先端縁121が、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していることにより、チューブ容器1の内容物が第1先端縁121と接触する機会を低減できる。このとき、第1先端縁121の少なくとも一部が、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していればよい。しかしながら、
図8に示すように、第1先端縁121の全部が、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していることが最も好ましい。
【0058】
また、第1の側端部SE1における第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1は、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内にて第1基端部111と接している。これにより、チューブ容器1の内容物が第1の側端部SE1における第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1に接触しにくくなる。ひいては、内容物が第1層間部SB1に接触することによる第1基材層SL1と第2基材層SL2との層間剥離の発生を抑制できる。
【0059】
なお、
図5を参照すると、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2との境界面が形成されているように模式的に示されている。しかしながら、本実施形態において実際には、
図8を参照すると、第1の側端部SE1の第3基材層SL3と、第2の側端部SE2の第1基材層SL1とが互いに溶け合うことで、一体層MLが形成されている。このため、少なくとも、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とは、周方向DCに沿う境界面を明確には形成していない。一体層MLの詳細については後述する。
【0060】
第1先端縁121は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13から他方端部14まで延びている(
図3参照)。
【0061】
図8に示すように、第2先端縁122は、第2の側端部SE2の周方向DCにおける先端縁である。第2先端縁122は、第2基端部112と接合している。これにより、溶着部12の溶着面積が比較的大きくなる。ひいては、溶着部12に剥離の応力がかかったときに、この応力が分散される。
【0062】
なお、本実施形態では、第2先端縁122において、第2の側端部SE2の第3基材層SL3と、第2基端部112の第3基材層SL3との間に境界があるが、当該境界はなくてもよい。すなわち、第2の側端部SE2の第3基材層SL3と、第2基端部112の第3基材層SL3とが互いに溶融して周方向DCに連続していてもよい。
【0063】
さらに、第2先端縁122は、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置している。これにより、第2先端縁122が外部の物体に接触する機会を低減できる。このとき、第2先端縁122の少なくとも一部が、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していればよい。しかしながら、
図8に示すように、第2先端縁122の全部が、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していることが最も好ましい。
【0064】
また、第2の側端部SE2における第2基材層SL2と第3基材層SL3との第2層間部SB2は、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内にて第2基端部112と接している。これにより、筒状胴部10の外側に位置する他の物体が第2層間部SB2に接触しにくくなる、ひいては、上記他の物体が第2層間部SB2に接触することにより第2基材層SL2と第3基材層SL3との層間剥離の発生を抑制できる。
【0065】
第2先端縁122は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13から他方端部14まで延びている(
図3参照)。
【0066】
次に、一体層MLについて説明する。
図8に示すように、一体層MLは、第1の側端部SE1の第3基材層SL3と、第2の側端部SE2の第1基材層SL1とが互いに溶け合うことで、一つの層として形成された層である。このため、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に接続される。
【0067】
一体層MLは、第1基端部111の第1基材層SL1と溶着している。具体的には、一体層MLが、第1基端部111の第1基材層SL1と境界を形成せず、第1基端部111の第1基材層SL1と周方向DCにおいて連続している。これにより、一体層MLが第1基端部111の第1基材層SL1と強固に接続される。また、一体層MLは、第2基端部112の第3基材層SL3と溶着している。具体的には、一体層MLが、第2基端部112の第3基材層SL3と境界を形成せず、第2基端部112の第3基材層SL3と周方向DCにおいて連続している。これにより、一体層MLと第2基端部112の第3基材層SL3とが互いに強固に接続される。
【0068】
図8に示すように、溶着部外周面123は、筒状胴部10の径方向外側を向いている。溶着部外周面123は、第2の側端部SE2で構成されている。溶着部外周面123には、凹凸が形成されている。すなわち、第2の側端部SE2には、径方向外側において凹凸が形成されている。溶着部外周面123に凹凸が形成されていることで、触覚による識別性を高めることができるとともに、筒状胴部10を把持したときに筒状胴部10が滑り落ちにくくなる。
【0069】
溶着部12においては、前記筒状胴部10の一方端部13から他方端部14にかけて、前記溶着部外周面123の前記周方向DCの全体に凹凸が形成されている(
図3および
図8参照)。そして、溶着部12(第2の側端部SE2)において、第2基材層SL2と第3基材層SL3との第2層間部SB2は、溶着部外周面123の凹凸の形状に沿うように延びている(
図8参照)。
【0070】
本実施形態において、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125は、筒状胴部10の径方向から見て、格子状に形成されている(
図3参照)。ただし、筒状胴部10の径方向から見たときの凸部125の形状は特に限定されない。溶着部外周面123には、凹部が格子状に形成されていてもよい。溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125または凹部が、格子状に形成されていることにより、筒状胴部10の周方向DCおよび軸方向DAに沿う方向のいずれにおいても、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2との溶着面積を大きくすることができる。
【0071】
凸部125または凹部は、筒状胴部10の径方向から見て、複数のドット状に形成されていてもよいし、互いに平行な複数の線状に形成されていてもよい。また、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125の高さ寸法は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さ(113の厚さ)の寸法より大きくなっている。そして、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125の高さ寸法は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さ(延在部113の厚さ)の寸法の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.5倍以上がさらに好ましい。凸部125の高さ寸法が大きくなるほど、凹凸の形状に沿うように延びている第2層間部SB2の周方向DCに沿う方向における長さが長くなり、溶着部12にかかる剥離応力が分散され、溶着部12の強度が向上する。
【0072】
一方、溶着部内周面124は、筒状胴部10の径方向内側を向いている。溶着部内周面124は、周方向DCに沿うように滑らかである。
【0073】
上記のような溶着部外周面123および溶着部内周面124を有するため、溶着部12は、径方向厚さが比較的厚い部分(凸部125が位置している部分)と、径方向厚さが比較的薄い部分とを有している。溶着部12において、径方向厚さが最も厚い部分の径方向厚さ寸法は、たとえば、シート基部11の延在部113の径方向厚さ寸法(すなわち、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSの厚さ寸法)の、1.5倍超かつ3倍以下である。溶着部12において、径方向厚さが最も薄い部分の径方向厚さ寸法は、たとえば、シート基部11の延在部113の径方向厚さ寸法(すなわち、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSの厚さ寸法)の0.3倍以上1.5倍以下である。
【0074】
なお、本実施形態において、凹凸形状が溶着部外周面123に形成されていたが、溶着部内周面124に凹凸形状が形成されていてもよい。溶着部内周面124に凹凸形状が形成される場合、当該凹凸形状の凸部は、上述した凸部125と同様の構成を有することができる。またこの場合、溶着部12(第1の側端部SE1)において、第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1が、溶着部内周面124の凹凸の形状に沿うように延びていてもよい。さらにこの場合、溶着部外周面123は、周方向DCに沿うように滑らかであってもよい。
【0075】
筒状胴部10は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13において、注出部20と接合している。一方端部13は、注出部20と接合されることで、可撓性を有さず、その外形形状を維持可能に構成されていてもよい。一方端部13は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、円環状の外形を有している。一方端部13は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、楕円環状または多角形環状の外形を有していてもよい。
【0076】
筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13は、当該軸方向DAにおけるシート基部11の一方端部と、溶着部12の一方端部とからなる。一方端部13においても、第1先端縁121は、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置することが好ましい。これにより、一方端部13の第1先端縁121近傍において筒状胴部10の内表面が比較的滑らかになり、筒状胴部10の内表面を注出部20に容易に接合できる。
【0077】
また、一方端部13において、第2先端縁122も、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していることも好ましい。これにより、一方端部13の第2先端縁122近傍において筒状胴部10の外表面が比較的滑らかになり、注出部20の少なくとも一部を筒状胴部10の外周側と接合させる場合には、筒状胴部10の外表面を注出部20に容易に接合できる。
【0078】
また、本実施形態においては、一方端部13においても、溶着部内周面124が周方向DCに沿うように滑らかである。このため、一方端部13において筒状胴部10の内周面と注出部20との接合が容易になる。
【0079】
筒状胴部10の軸方向DAにおける他方端部14は、軸方向DAに直交する方向(具体的には後述する第2方向)に沿って延びている。他方端部14は、閉塞部30により閉塞されている。他方端部14は、閉塞部30に沿うように延びている。
【0080】
ここで、注出部20について説明する。
図1から
図4に示すように、注出部20は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13に接合されている。これにより、注出部20は、筒状胴部10に収容された内容物を注出可能である。本実施形態においては、注出部20も内容物を収容可能な形状を有しており、チューブ容器1は、筒状胴部10と注出部20とで形成された空間に内容物を収容可能である。
【0081】
具体的には、注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向内側に位置している。注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向外側に位置していてもよい。注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向外側および径方向内側の両方に位置していてもよい。
【0082】
注出部20は、注出口21と、肩部22と、延出部23とを有している。注出口21は、内容物を注出するために設けられている。換言すれば、注出口21は、キャップ部40が取り外された状態のチューブ容器1の内部と外部とを互いに連通させている。注出口21は、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延び、略筒状の外形を有している。
【0083】
肩部22は、筒状胴部10の軸方向DAから見た時に注出口21を中心として注出口21から径方向に拡がっている。本実施形態において、肩部22は、上記軸方向DAから見たときの外形が円形上であるが、楕円形状または多角形状であってもよい。また、本実施形態において肩部22は、略円錐台状の外形を有しているが、円盤状の外形を有していてもよい。
【0084】
肩部22の厚みは特に限定されないが、たとえば0.5mm以上2.0mm以下である。なお、肩部22の厚みとは、肩部22の外表面から内表面までの最短の厚みである。
【0085】
延出部23は、肩部22から、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延出している。延出部23は、上記軸方向DAから見て、環状の外形を有している。
【0086】
本発明の実施形態1に係るチューブ容器1において、注出部20は、ポリエステル系樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる。注出部20におけるポリエステル系樹脂は、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂と同様のものが使用可能である。チューブ容器1のリサイクル性の観点からは、注出部20のポリエステル系樹脂は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。また、注出部20におけるポリエステル系樹脂は、注出部20の成形性の観点から、非晶性のポリエステル系樹脂(非晶性のポリエチレンテレフタレート、および、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートなど)であることが好ましい。なお、注出部20におけるポリエステル系樹脂は、結晶性のポリエステル系樹脂(たとえば、結晶性のポリエチレンテレフタレート)であってもよい。チューブ容器1のリサイクル性の観点から、注出部20を構成する樹脂組成物は、樹脂成分としてポリエステル系樹脂のみを含んでいることが好ましい。注出部20を構成する樹脂組成物は、従来公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。また、環境負荷低減の観点からは、当該樹脂組成物におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス由来の原料からなることが好ましいが、注出部20の製造費用低減の観点からは、当該樹脂組成物におけるポリエステル系樹脂は、バージン原料からなることも好ましい。
【0087】
注出部20を成形するために使用される、ポリエステル系樹脂材料の固有粘度(IV)の値は、JIS規格(K7390-1:2015)に準拠して測定したときに、たとえば0.60以上0.90以下であればよい。IV値が0.60以上0.90以下であれば、注出部20の成形が容易となる。
【0088】
次に、閉塞部30について説明する。
図9は、閉塞部が形成される直前のシートの状態を示す模式的な断面図である。
図9においては、
図5とおよそ同じ断面視にて断面図が図示されている。
【0089】
図1から
図4および
図9に示すように、閉塞部30は、第1の側端部SE1と第2の側端部とをシートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成されたシートS、すなわち筒状体CB(特に
図9参照)の内周面を、第1方向D1につき合わせてさらに溶着させることで形成されている。閉塞部30は、筒状胴部10の上記軸方向DAにおける他方端部14を閉塞する。本実施形態において、閉塞部30は、扁平状の外形を有している。
【0090】
閉塞部30は可撓性を有していてもよい。ただし、外力が作用していない状態において、閉塞部30は、上記軸方向DAおよび第1方向D1の両方に直交する方向である第2方向D2に略平行に延びた状態の閉塞部30が説明される。
【0091】
以下、筒状胴部10についてさらに説明する。
図1から
図4に示すように、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1において、筒状胴部10は、外部から受けた衝撃が筒状胴部10に収容された内容物を介して閉塞部30に伝わることを緩和する、衝撃緩和部10Rを有している。以下、筒状胴部10における、衝撃緩和部10Rに係る構成について説明する。
【0092】
図2から
図4に示すように、筒状胴部10は、第1方向D1において互いに対向する第1壁部10Aおよび第2壁部10Bからなる。溶着部12は、第1壁部10Aに位置しているが、第2壁部10Bに位置してもよい。そして、本発明の実施形態1においては、第1壁部10Aが、衝撃緩和部10Rとして、第1屈曲部151を有している。
【0093】
第1屈曲部151は、筒状胴部10の収容空間内における一方端部13から他方端部14までの最短経路が直線状にならないように、第1壁部10Aが第2壁部10Bに向かって凸状に屈曲することで形成されている。
図4においては、当該最短経路を模式的に経路Pで示している。また、第1屈曲部151が形成されていることにより、閉塞部30は、一方端部13における筒状胴部10の軸方向DAに対して傾斜している。なお、第1屈曲部151は、第1壁部10Aが塑性変形することにより形成されている。第1屈曲部151は、第2方向D2に沿って延びている。第1屈曲部151は、筒状胴部10の第2方向D2おける一方端から他方端まで延びている。第1屈曲部151は、筒状胴部10の第2方向D2における一方端および他方端まで延びていなくてもよい。
【0094】
第1壁部10Aは、第1主壁部152と、第1端壁部153とをさらに有している。第1主壁部152は、第1壁部10Aの一部を構成している。第1主壁部152は、第1屈曲部151より一方端部13側に位置する部分である。具体的には、第1主壁部152は、筒状胴部10の一方端部13を含んでいる。第1端壁部153は、第1壁部10Aの一部を構成している。第1端壁部153は、第1屈曲部151より他方端部14側に位置する部分である。具体的には、第1端壁部153は、筒状胴部10の他方端部14を含んでいる。
【0095】
第2壁部10Bは、第1対向屈曲部154と、第2主壁部155と、第2端壁部156とを有している。第1対向屈曲部154は、第1屈曲部151と対向する位置にて、第1屈曲部151に沿って第2壁部10Bが屈曲することで形成されている。第1対向屈曲部154は、第2壁部10Bが第1壁部10Aとは反対側に向かって凸状に屈曲することで形成されている。なお、第1対向屈曲部154は、第2壁部10Bが塑性変形することにより形成されている。第1対向屈曲部154は、第2方向D2に沿って延びている。第1対向屈曲部154は、筒状胴部10の第2方向D2における一方端から他方端まで延びている。第1対向屈曲部154は、筒状胴部10の第2方向D2における一方端から他方端まで延びていなくてもよい。
【0096】
第2主壁部155は、第2壁部10Bの一部を構成している。第2主壁部155は、第2壁部10Bの一部を構成している。第2主壁部155は、第1対向屈曲部154より一方端部13側に位置する部分である。具体的には、第2主壁部155は、筒状胴部10の一方端部13を含んでいる。第2端壁部156は、第2壁部10Bの一部を構成している。第2端壁部156は、第1対向屈曲部154より他方端部14側に位置する部分である。具体的には、第2端壁部156は、筒状胴部10の他方端部14を含んでいる。
【0097】
筒状胴部10は、筒状胴部10の収容空間のうち、主に、第1主壁部152および第2主壁部155との間の空間において、内容物を収容する。第1端壁部153および第2端壁部156は、互いに溶着することなく、離間している。第1端壁部153および第2端壁部156は、互いに溶着することなく、互いに接していてもよい。第1端壁部153および第2端壁部156は、互いに部分的に溶着していてもよい。第2方向D2から見たときに、第1端壁部153および第2端壁部156は、閉塞部30の延びる方向に沿って、延びていてもよい。第2方向D2から見たときに、シートSが他方端部14において折れ曲がるとともに、第1端壁部153および第2端壁部156が、閉塞部30から延びていてもよい。
【0098】
図1~
図3に示すように、キャップ部40は、注出部20に対して着脱可能に取り付けられている。
【0099】
本発明の実施形態1に係るチューブ容器1において、キャップ部40は、樹脂組成物からなる。キャップ部40は、チューブ容器1のリサイクル性の観点から、ポリエステル系樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなることが好ましい。
【0100】
キャップ部40におけるポリエステル系樹脂は、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂と同様のものが使用可能である。チューブ容器1のリサイクル性の観点からは、キャップ部40のポリエステル系樹脂は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。また、キャップ部40におけるポリエステル系樹脂は、キャップ部40の成形性の観点から、非晶性のポリエステル系樹脂(非晶性のポリエチレンテレフタレート、および、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートなど)であることが好ましい。
【0101】
<内容物入りチューブ容器>
内容物入りチューブ容器は、チューブ容器1と、チューブ容器1(筒状胴部10および注出部20)に収容された内容物とを備えている。内容物は特に限定されないが、従来公知のチューブ容器に収容されるものであってもよい。内容物としては、たとえば、化粧料、食品、医薬品、または、口腔用組成物などが挙げられる。当該内容物は、ポリオレフィン系樹脂に吸着可能な油溶性化合物、油性成分、揮発性油性成分、香料または甘味料のうち少なくとも1つ、または、界面活性剤を含有してもよい。
【0102】
本実施形態に係るチューブ容器1において、内容物と直接接触する樹脂(第1基材層SL1)がポリエステル系樹脂であれば、ポリオレフィン系樹脂に吸着可能な上記成分がチューブ容器1に吸着したり、チューブ容器1がこれらの成分を吸収して膨潤することを比較的抑制できる。また、溶着部12が強固に接合されているため、界面活性剤が溶着部12から外部へ漏出することを抑制できる。
【0103】
油溶性化合物としては、たとえば、DL-α-トコフェロール、D-δ-コフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、コハク酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸DL-α-トコフェロール、リノール酸DL-α-トコフェロール等のトコフェロール類;3-メチル-4-イソプロピルフェノール(別名イソプロピルメチルフェノール)等が挙げられる。油溶性化合物は、たとえば、上記内容物が医薬品、食品、化粧料である場合に、上記内容物に含まれる。上記トコフェロール類は、いわゆるビタミンEおよびその誘導体であり、老化防止作用、末梢血管拡張作用、血行促進作用等を期待して上記内容物に配合される。3-メチル-4-イソプロピルフェノールは、殺菌剤、防腐剤として、アクネ化粧料等の化粧料および医薬品等に配合される。
【0104】
油性成分としては、たとえば、トリアシルグリセロール;ジアシルグリセロール;菜種油、アブラナ油、ごま油、ひまわり油、コーン油、米油、ぶどう油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル等の天然油脂類;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル-2-エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル等の合成油性成分;および、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成することが可能なシリコーン樹脂、シリコーンゴム等の、シリコーン類が挙げられる。これらの油性成分は、たとえば、内容物がマヨネーズ等の食品、化粧料である場合に、上記内容物に含まれる。
【0105】
揮発性油性成分としては、比較的低分子量のシリコーン油、比較的低分子量の炭化水素油、エーテル油等が挙げられる。シリコーン油としては、直鎖状シリコーンまたは環状シリコーンが挙げられる。シリコーン油としては、具体的には、鎖状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。鎖状ジメチルポリシロキサンとしては、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、直鎖のものとしては、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等が挙げられ、分岐鎖のもとしては、メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等が挙げられる。環状ジメチルポリシロキサンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。炭化水素としては、イソドデカン、イソトリデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等が挙げられ、エーテル油としては、エチルパーフルオロブチルエーテル等が挙げられる。これらの揮発性油性成分は、主に、内容物が日焼け止め水中油型乳化化粧料などの化粧料である場合に、上記内容物に含まれる。
【0106】
香料としては、たとえば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ピメント油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、フェンネル油、珪藻油、バジル油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー、ナツメグ等の天然香料もしくはこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料;カンファー、メントール、カルボン、ベンジルサクシネート、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、メチルオイゲノール、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N-置換-パラメンタン-3-カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート、オシメン、n-デシルアルコール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、エチルリナロール、ワニリン、ベンズアルデヒド、等の単品香料;および、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等が挙げられる。これらの香料は、たとえば、上記内容物が口腔用組成物である場合に、上記内容物に含まれる。また、香料は、わさび、からし、マスタード等の食品の香気成分として上記内容物に含まれるものであってもよい。
【0107】
甘味料としては、たとえば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これらの甘味料は、たとえば、上記内容物が口腔用組成物である場合に、上記内容物に含まれる。
【0108】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、N-アシルサルコシン酸、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、N-アシルグルタミン酸塩、硫酸化油、POE-アルキルエーテルカルボン酸、POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、および、カゼインナトリウム等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム)、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE -アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、および、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。両性界面活性剤としては、イミダゾリン系両性界面活性剤およびベタイン系界面活性剤等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルキロールアミド、および、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0109】
<チューブ容器の製造方法>
次に、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1の製造方法について説明する。
図10は、本発明の実施形態1に係るチューブ容器の製造方法を示すフロー図である。本実施形態に係るチューブ容器1の製造方法は、シート準備工程S1と、重ね合わせ工程S2と、筒状体形成工程S3と、注出部接合工程S4と、キャップ部取り付け工程S5と、閉塞部形成工程S6と、衝撃緩和部形成工程S7とを備えている。
【0110】
シート準備工程S1においては、複数の層を互いに積層することで、シートSを準備する。たとえば、単層フィルムからなる第1基材層SL1と、バリア層BLが蒸着された単層フィルムからなる第2基材層SL2とを、ドライラミネートにより第1接着剤層AL1で接合するとともに、第2基材層SL2と単層フィルムからなる第3基材層SL3とを、ドライラミネートにより第2接着剤層AL2で接合することで、シートSを準備してもよい。第1基材層SL1、第2基材層SL2および第3基材層SL3を含む市販の積層フィルムを準備してもよい。
【0111】
図11は、重ね合わせ工程および筒状体形成工程におけるシートを示す模式的な図である。
図11においては、
図5の断面視方向に対応する方向からシートSを図示している。
図11に示すように、重ね合わせ工程S2においては、準備されたシートSが、筒状に形成されつつ、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに重ね合わされる。
【0112】
筒状体形成工程S3においては、筒状に形成されたシートSの径方向内側および径方向外側のうち一方側に位置させた、超音波ホーン5と、径方向内側および径方向外側のうち他方側に位置させたアンビル6とにより、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2を挟み込むことでこれらを互いに超音波溶着させることにより、筒状体を形成する。筒状体形成工程S3においては、溶着部12が形成される(
図3および
図5参照)
なお、本明細書および図中において、当該筒状体のうち、筒状胴部10と同一部分または相当部分には同一符号を付して説明される。
【0113】
このとき、
図11に示すように、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2は、超音波ホーン5からの超音波により振動されつつ、超音波ホーン5およびアンビル6によりシートSの厚さ方向に加圧される。本実施形態においては、超音波ホーン5がシートSの径方向外側に位置し、アンビル6がシートSの径方向内側に位置している。なお、超音波ホーン5がシートSの径方向内側に位置し、アンビル6がシートSの径方向外側に位置してもよい。
【0114】
超音波ホーン5およびアンビル6の少なくとも一方は、シートSを挟み込む際にシートSに押し付けるための凹凸形状51を有している。本実施形態においては、超音波ホーン5のみが凹凸形状51を有している。なお、超音波ホーン5およびアンビル6の両方が当該凹凸形状を有していてもよいし、アンビル6のみが凹凸形状を有していてもよい。
【0115】
本実施形態においては、凹凸形状51を有する超音波ホーン5が、筒状に形成されたシートSの径方向外側に位置し、アンビル6が、筒状に形成されたシートSの径方向内側に位置する。このため、溶着部外周面123に、超音波ホーン5の凹凸形状51に沿うように凹凸が形成される(
図8参照)。なお、凹凸形状51を有する超音波ホーン5が、シートSの径方向内側に位置し、アンビル6が、シートSの径方向外側に位置してもよい。
【0116】
本実施形態においては、この凹凸形状51の凸部511により、第2の側端部SE2が、複数の箇所において局所的に第1の側端部SE1に押し込まれる。これにより、溶着部12において、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2の樹脂成分が互いに溶け合いやすくなる(
図5および
図8参照)。ひいては、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に溶着される。より具体的には、溶着部12において、一体層MLが容易に形成される。
【0117】
図11に示すように、凹凸形状51は、筒状に形成されたシートSの径方向から見て第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の全体と重なるように位置する。これにより、本実施形態においては、溶着部12において、周方向DCの全体に凹凸が形成される。
【0118】
また、筒状に形成されたシートSの径方向から見て、筒状に形成されたシートSの周方向における凹凸形状51の幅寸法は、シートSにおいて第1の側端部SE1および第2の側端部SE2が互いに重なっている領域の幅寸法より大きいことが好ましい。これにより、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2が互いに重なっている領域の幅寸法の長さが設計寸法から変化したり、超音波ホーン5およびアンビル6の位置ずれが生じた場合においても、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2をより確実に互いに溶着させることができる。
【0119】
図12は、本発明の実施形態1に係るチューブ容器の製造方法に使用される超音波ホーンを、アンビルとの対向方向から見た平面図である。
図13は、
図12の超音波ホーンをXIII-XIII線矢印方向から見た断面図である。
【0120】
図12および
図13に示すように、凹凸形状51の凸部511の高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法より大きいことが好ましい。高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法の1.1倍以上でことがより好ましく、1.2倍以上であることがさらに好ましく、1.5倍以上であることが最も好ましい。
【0121】
凸部511にて第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の重ね合わせた部分を局所的に加圧することで、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2との重ね合わせ面に、超音波による摩擦熱がかかりやすくなる。そして、高さ寸法DHがシートSの厚さの寸法より大きければ、溶融したシートSの樹脂成分が凸部511間に流れ込むとともに、シートSにおいて凸部511と当接する部分においては高い応力をかけることができる。よって、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に溶着できる。また本実施形態においては、容易に一体層MLを形成できる。
【0122】
また、当該高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法の3倍以下であることが好ましい。高さ寸法DHが3倍以下であれば、凸部511がシートSを貫通することを抑制できる。高さ寸法DHは、たとえば300μm程度である。
【0123】
複数の凸部511の各々の形状は特に限定されないが、たとえば、略四角錐状であることが好ましい。また、複数の凸部511は、超音波ホーン5とアンビル6との対向方向から見て、一方向およびこれに直交する方向の各々に沿って並ぶように位置している。これにより、溶着部12の凸部125が、格子状に形成される。
【0124】
複数の凸部511の頂点同士の離隔距離の寸法DWは、0.4mm以上2.0mm以下であることが好ましい。離隔距離の寸法DWが0.4mm以上であれば、シートSの樹脂成分がより流れこみやすくなる。離隔距離の寸法DWが2.0mm以下であれば、凸部511同士の間に流れ込んだシートSの樹脂成分が凹凸形状51から漏出することを抑制できる。なお、凹凸形状51は、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の全体と重なるように形成されていなくてもよいが、これらの全体と重なるように形成されていることが好ましい。
【0125】
なお、凹凸形状51は、上述の形状に限定されない。
図14は、本発明の実施形態1において凹凸形状の凸部が互いに接続されている超音波ホーンを示す平面図である。
図14に示すように、上記対向方向から見て、複数の凸部511はそれぞれ最も近くに位置する凸部511と繋がっていてもよい。すなわち、凸部511が、凹凸形状51全体に拡がる格子状に形成されていてもよい。この場合、凹凸形状51において凸部511で構成された格子の各交差点511Cは、0.4mm以上2.0mm以下の間隔で並んでいることが好ましい。これにより、シートSの樹脂成分が凹凸形状51の凹部により流れこみやすくなる。
【0126】
注出部接合工程S4においては、筒状体CBに注出部20が接合される。本実施形態において、注出部20は、いわゆるインサート成形により筒状体CBに接合される。
図10に示すように、注出部接合工程S4は、筒状体配置工程S41と、射出成形工程S42とを有している。
【0127】
図15は、注出部接合工程において、インサート成形により注出部を筒状体に接合するときの金型および筒状体を示す模式的な断面図である。
図15に示すように、筒状体配置工程S41においては、金型7の内部に筒状体CBが配置される。具体的には、筒状体CBの一方端部13が少なくとも金型7の内部に配置される。射出成形工程S42においては、内部に筒状体CBの一方端部13が配置された状態で金型7内において筒状体CB(の一方端部13)上に溶融した樹脂組成物を充填することで、筒状体CB上に注出部20を射出成形する。
【0128】
なお、注出部接合工程S4においては、上記のインサート成形に代えて、いわゆる圧縮成型により注出部20が筒状体CBに接合されてもよい。
図16は、圧縮成形による注出部接合工程を示すフロー図である。
図17は、圧縮成形により注出部を筒状体に接合するときの金型、成型材料および筒状体を示す模式的な断面図である。
【0129】
図16および
図17に示すように、圧縮成形による注出部接合工程S4は、筒状体配置工程S41a、成形材料配置工程S42aおよび圧縮成形工程S43aを有する。筒状体配置工程S41aにおいては、第1の金型71a上に筒状体CBが配置される。成形材料配置工程S42aにおいては、第1の金型71a上に樹脂組成物からなる成形材料Mが配置される。圧縮成形工程S43aにおいては、第1の金型71aと、成形材料Mを介して第1の金型71aと対向するように配置された第2の金型72aとにより成形材料Mを圧縮加工することで、筒状体CB(の一方端部13)上に注出部20が圧縮成形される。
【0130】
さらに、注出部接合工程S4においては、上記のインサート成形および圧縮成形に代えて、超音波溶着により注出部20が筒状体CBに接合されてもよい。超音波溶着により注出部20が筒状体CBに接合される場合は、肩部22にも筒状体CBの一方端部13が接合されることが好ましい。このため、当該超音波溶着においては、肩部22にも一方端部13が接合される場合について説明する。
【0131】
図18は、超音波溶着による注出部接合工程を示すフロー図である。
図18に示すように、注出部20を接合する工程S4は、成形された注出部20を準備する工程S41bと、準備された注出部20を、筒状体CBと超音波により溶着させる工程S42bとを有する。注出部20の成形方法は、射出成形または圧縮成形など、従来公知の方法を採用できる。
【0132】
図19は、超音波溶着により注出部を筒状体に接合するときに用いる装置を示す模式的な断面図である。
図19に示すように、注出部超音波溶着工程S42bにおいては、注出部用アンビル81を筒状体CBの内部に配置し、かつ、注出部用アンビル81の上部に注出部20を載置する。注出部用アンビル81の上部は、注出口21の内面、肩部22の内面、および延出部23の内面に沿う外形を有している。このため、注出部用アンビル81上の注出部20は容易に位置決めされる。
【0133】
そして、筒状体CBの一方端部13側から、筒状体CBの軸方向DAに沿って、一方端部13に注出部用超音波ホーン82を押し当てる。このとき、一方端部13は、筒状体CBの径方向内側に向かって折り曲がる。折り曲がった一方端部13は、肩部22の一部に沿うように位置する。肩部22の一部および延出部23に沿って位置した一方端部13は、上述のように配置された注出部用アンビル81と、一方端部13を折り曲げた注出部用超音波ホーン82とによって挟み込まれる。この状態で、注出部20の肩部22の一部および延出部23と、一方端部13とが、注出部用超音波ホーン82により互いに超音波溶着される。
【0134】
キャップ部取り付け工程S5においては、予め成形されたキャップ部40を、注出部20に取り付ける。キャップ部40の成形方法は、射出成形または圧縮成形など、従来公知の方法を採用できる。
【0135】
図20は、閉塞部形成工程において使用される超音波ホーンおよびアンビルを筒状体とともに示す模式的な断面図である。
図20に示すように、閉塞部形成工程S6においては、筒状体CBの内周面同士を超音波溶着によりさらに溶着させることで、他方端部14が閉塞された筒状胴部10を形成するとともに、閉塞部30を形成する(
図1から
図4参照)。
【0136】
閉塞部形成工程S6においては、閉塞部用超音波ホーンおよび閉塞部用アンビルの一方である第1溶着器具91と、閉塞部用超音波ホーンおよび閉塞部用アンビルの他方である第2溶着器具92とで、筒状体CBを挟み込むことにより、筒状体CBの内周面同士が超音波により振動されることでその摩擦熱により溶着される。第1溶着器具91は、超音波ホーン5と同様または類似の凹凸形状を有していてもよい。本実施形態においては、第1溶着器具91が、閉塞部用超音波ホーンであり、第2溶着器具92が閉塞部用アンビルである。本実施形態においては、凹凸形状を有する閉塞部用ホーンである第1溶着器具91が、筒状体CBのうち、溶着部12を含まない第2壁部10Bと対向するように配置されることが好ましい。平坦な閉塞部用アンビルである第2溶着器具92が、筒状体CBのうち、溶着部12を含む第1壁部10Aと対向するように配置されることが好ましい。
【0137】
なお、閉塞部形成工程S6においては、筒状体CBの内周面同士が、インパルスシール方式で互いに溶着されてもよい。また、第1基材層SL1が主成分としてポリエステル系樹脂を含む場合には、ヒートシール方式およびホットエア方式での溶着が困難となるため、上述の超音波方式またはインパルスシール方式での溶着が特に好ましい。また。筒状体CBの内周面を構成するシートS同士は、ホットメルト接着剤などの接着剤により互いに接合されてもよい。
【0138】
そして、衝撃緩和部形成工程S7において、衝撃緩和部10Rが形成される。具体的には、筒状胴部10の第1壁部10Aが折り曲げられることにより、衝撃緩和部10Rとしての第1屈曲部151が形成される。このとき、筒状胴部10の第1壁部10Aを折り曲げるとともに、第2壁部10Bも折り曲げられる。これにより、第1対向屈曲部154も形成される。このようにして、本実施形態に係るチューブ容器1が製造される。
【0139】
なお、本実施形態に係るチューブ容器1の製造方法は、キャップ部取り付け工程S5と、閉塞部形成工程S6とをこの順に備えているが、この順序は逆であってもよい。また、内容物入りチューブ容器を製造する場合は、たとえば、注出部接合工程S4またはキャップ部取り付け工程S5の後、閉塞部形成工程S6の前に、筒状体CBの内部に他方端部14側から内容物を充填すればよい。
【0140】
さらに、本実施形態において、衝撃緩和部形成工程S7は、閉塞部形成工程S6の後に実施されるが、閉塞部形成工程S6の前に実施されることも好ましい。衝撃緩和部10Rとしての第1屈曲部151を形成した後に、閉塞部30を形成、すなわち、筒状体CBの内周面同士を溶着させることで、第1壁部10Aが、屈曲した状態を安定的に維持できる。また、内容物入りチューブ容器を製造する場合には、閉塞部形成工程S6の後に、注出部20から内容物を筒状体CBの内部に充填することも好ましい。これにより、第1端壁部153と第2端壁部156との間に内容物が入り込むことを抑制でき、第1端壁部153と第2端壁部156との離隔距離を小さくできる。
【0141】
上述したように、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1は、筒状胴部10と、注出部20と、閉塞部30とを備えている。筒状胴部10は、一枚のシートSを湾曲または屈曲させて、シートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、第1の側端部SE1の反対に位置するシートSの第2の側端部SE2とを、シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されており、帯状の溶着部12を有している。注出部20は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13に接合され、筒状胴部10に収容された内容物を注出可能である。閉塞部30は、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とをシートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成されたシートSの内周面を、上記軸方向DAに直交する第1方向D1につき合わせてさらに溶着させることで形成され、筒状胴部10の上記軸方向DAにおける他方端部14を閉塞する。筒状胴部10は、外部から受けた衝撃が筒状胴部10に収容された内容物を介して閉塞部30に伝わることを緩和する、衝撃緩和部10Rを有している。
【0142】
これにより、チューブ容器1が落下し、着地をしたときには、着地により受けた衝撃が、衝撃緩和部10Rによって緩和される。よって、閉塞部30において互いに溶着されたシートS同士が乖離することを抑制できる。
【0143】
また、筒状胴部10は、第1方向D1において互いに対向する第1壁部10Aおよび第2壁部10Bからなる。第1壁部10Aは、衝撃緩和部10Rとして、第1屈曲部151を有している。第1屈曲部151は、筒状胴部10の収容空間内における一方端部13から他方端部14までの最短経路が直線状にならないように、第1壁部10Aが第2壁部10Bに向かって凸状に屈曲することで形成されている。
【0144】
着地の衝撃により筒状胴部10が第1方向D1に押しつぶされると、筒状胴部10に収容された内容物が、他方端部14へ向かって急速に流れる。このときに、上記の第1屈曲部151が形成されていることで、他方端部14へ向かって流れる内容物の圧力損失が大きくなる。これにより、閉塞部30におけるシートS同士の溶着界面にかかる内容物の圧力も小さくなる。よって、閉塞部30において互いに溶着されたシートS同士が乖離することを抑制できる。
【0145】
また、閉塞部30は、一方端部13における筒状胴部10の軸方向DAに対して傾斜している。
【0146】
閉塞部30が上記のように傾いていることで、上記着地の衝撃により閉塞部30におけるシートS同士の溶着界面にかかる内容物の圧力の方向が、溶着界面の面方向に対して交差する方向になり易くなる。よって、閉塞部30において互いに溶着されたシートS同士が乖離することを抑制できる。
【0147】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係るチューブ容器について説明する。本発明の実施形態2に係るチューブ容器は、衝撃緩和部の周辺に係る構成が主に、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1と異なっている。このため、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1と同様の構成およびその効果については説明を繰り返さない。
【0148】
図21は、本発明の実施形態2に係るチューブ容器を示す正面図である。
図22は、
図21のチューブ容器をXXII-XXII線矢印方向から見た断面図である。
【0149】
図21および
図22に示すように、本実施形態においても、第1屈曲部151a(衝撃緩和部10Ra)が、筒状胴部10の収容空間内における一方端部13から他方端部14までの最短経路が直線状にならないように、第1壁部10Aaが第2壁部10Baに向かって凸状に屈曲することで形成されている。なお、本実施形態においては、第1屈曲部151aは、筒状胴部10の第2方向D2における両端から離隔するように形成されている。第1対向屈曲部154aも、筒状胴部10の第2方向D2における両端から離隔するように形成されている。
【0150】
本実施形態において、第2壁部10Baは、曲げ部161aをさらに有している。曲げ部161aは、第1屈曲部151aから見て他方端部14側において、第2壁部10Baが第1壁部10Aaに向かって凸状に曲がることで形成されている。これにより、上記着地の衝撃により、他方端部14に向かって流れる内容物の圧力損失がさらに大きくなる。これにより、閉塞部30aにおけるシートS同士の溶着界面にかかる内容物の圧力もさらに小さくなる。よって、閉塞部30aにおいて互いに溶着されたシートS同士が乖離することをさらに抑制できる。曲げ部161aは、第1対向屈曲部154aに沿って第2方向D2に凸条に延びている。また、曲げ部161aは、筒状胴部10の第2方向D2における両端から離隔するように形成されている。これにより、筒状胴部10の破損を抑制して曲げ部161aを容易に形成しつつ、閉塞部30aにおける上述の剥離抑制の効果が得られる。曲げ部161aは、第2壁部10Baが塑性変形することで形成されている。なお、曲げ部161aは、筒状胴部10の第2方向D2の両端まで延びてもよい。
【0151】
第1壁部10Aaは、対向曲げ部162aをさらに有している。対向曲げ部162aは、曲げ部161aに対向する位置に位置している。対向曲げ部162aは、第1屈曲部151aから見て他方端部14側において、第1壁部10Aaが第2壁部10Baから見て凹状に曲がることで形成されている。対向曲げ部162aは、第1屈曲部151aに沿って第2方向D2に凹条延びている。対向曲げ部162aは、第1壁部10Aaが塑性変形することで形成されている。本実施形態において、対向曲げ部162aは、曲げ部161aと溶着されていない。
【0152】
第1壁部10Aaは、第2屈曲部163aをさらに有している。第2屈曲部163aは、対向曲げ部162aより他方端部14側に位置している。第2屈曲部163aは、第1壁部10Aaが第2壁部10Baに向かって凸条に屈曲することで形成されている。第2屈曲部163aは、筒状胴部10の第2方向D2に沿って延びている。第2屈曲部163aは、第1壁部10Aaが塑性変形することで形成されている。
【0153】
第2屈曲部163aは、第2方向D2における両端が、第1屈曲部151aの第2方向D2における両端にそれぞれ接続されている。対向曲げ部162aは、第1屈曲部151aおよび第2屈曲部163aに囲まれた部分である。
【0154】
第2壁部10Baは、第2対向屈曲部164aをさらに有している。第2対向屈曲部164aは、第2屈曲部163aと対向する位置にて、第2屈曲部163aに沿って第2壁部10Baが屈曲することで形成されている。第2対向屈曲部164aは、第2壁部10Baが第1壁部10Aaから見て凹状の屈曲することで形成されている。なお、第2対向屈曲部164aは、第2壁部10Baが塑性変形することで形成されている。
【0155】
第2対向屈曲部164aは、第2方向D2における両端が、第1対向屈曲部154aの両端にそれぞれ接続されている。曲げ部161aは、第1対向屈曲部154aおよび第2対向屈曲部164aに囲まれた部分である。
【0156】
また、本実施形態において、第1端壁部153aは、第2屈曲部163aより他方端部14側に位置する部分を構成している。第2端壁部156aは、第2対向屈曲部164aより他方端部14側に位置する部分を構成している。第1端壁部153aと第2端壁部156aとは互いに接している。
【0157】
さらに、本実施形態においては、さらに、曲げ部161a、対向曲げ部162a、第2屈曲部163a、および、第2対向屈曲部164aが形成されていることで、閉塞部30aが、一方端部13における筒状胴部10の軸方向DAに略平行に延びている。これにより、チューブ容器1aの意匠性が向上する。
【0158】
本発明の実施形態2に係るチューブ容器1aの製造方法について説明する。以下の説明において、本発明の実施形態1に係るチューブ容器の製造方法と同様の構成およびその効果については説明を繰り返さない。
【0159】
図23は、本発明の実施形態2における閉塞部形成工程および衝撃緩和部形成工程に用いられる治具を筒状体とともに示す、模式的な断面図である。
図24は、本発明の実施形態2において、閉塞部および衝撃緩和部を同時に形成した直後の状態の筒状体を示す模式的な断面図である。
【0160】
図23および
図24に示すように、本発明の実施形態2においては、閉塞部形成工程S6および衝撃緩和部形成工程S7が、同時に行われてもよい。本発明の実施形態2係る衝撃緩和部形成工程S7においては、第1壁部10Aaに対向する凹条治具93aと、第2壁部10Baに対向する凸条治具94aとで、筒状体CBを挟み込むことで、第1屈曲部151a(衝撃緩和部10Ra)、第1対向屈曲部154a、曲げ部161a、対向曲げ部162a、第2屈曲部163a、および、第2対向屈曲部164aが同時に形成される。閉塞部形成工程S6および衝撃緩和部形成工程S7が、個々に実施される場合、衝撃緩和部形成工程S7の後に、閉塞部形成工程S6が実施されることも好ましい。これにより、第1端壁部153aと第2端壁部156aとの間に隙間ができた状態で閉塞部30aが形成されることを抑制できる。上述したように、本発明の実施形態2に係るチューブ容器1aが製造される。
【0161】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係るチューブ容器について説明する。本発明の実施形態3に係るチューブ容器は、衝撃緩和部に係る構成が、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1と異なっている。このため、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1と同様の構成およびその効果については説明を繰り返さない。
【0162】
図25は、本発明の実施形態3に係るチューブ容器を示す正面図である。
図26は、
図25のチューブ容器をXXVI-XXVI線矢印方向から見た断面図である。
図25および
図26に示すように、本発明の実施形態3においては、第1端壁部153bおよび第2端壁部156bが、互いに接していることで、衝撃緩和部10Rbを構成している。
【0163】
着地の衝撃により筒状胴部10が第1方向D1に押しつぶされると、筒状胴部10に収容された内容物が、他方端部14に向かって急速に流れる。他方端部14へ向かって流れる内容物は、互いに接する第1端壁部153bおよび第2端壁部156bを押し広げようとする。これにより、他方端部14に向かって流れる内容物の圧力損失が大きくなり、閉塞部30bにおけるシートS同士の溶着界面にかかる内容物の圧力も小さくなる。よって、閉塞部30bにおいて互いに溶着されたシートS同士が乖離することを抑制できる。
【0164】
本実施形態において、第1端壁部153bおよび第2端壁部156bの各々の一方端部13側の端縁は、一方端部13側に向かって凸状に湾曲している。第1端壁部153bおよび第2端壁部156bの各々の一方端部13側の端縁の、第2方向D2における両端部は、それぞれ、筒状胴部10の他方端部14の第2方向D2における両端部に接続されている。
【0165】
また、本実施形態においては、第1端壁部153b、第2端壁部156bおよび閉塞部30bが、一方端部13における筒状胴部10の軸方向DAに略平行に延びている。これにより、チューブ容器1bの意匠性が向上する。
【0166】
本発明の実施形態3に係るチューブ容器1bにおいて、第1壁部10Abは、第1屈曲部に代えて第1折目171bが形成されている。第1折目171bは、第1端壁部153bの一方端部13側の端縁に位置している。第1折目171bは、第1壁部10Abが塑性変形することにより形成されていてもよいし、塑性変形することなく折り曲がっている部分でもよい。
【0167】
本実施形態において、第2壁部10Bbは、第1対向屈曲部に代えて第2折目172bが形成されている。第2折目172bは、第2端壁部156bの一方端部13側の端縁に位置している。第2折目172bは、第2壁部10Bbが塑性変形することにより形成されていてもよいし、塑性変形することなく折り曲がっている部分でもよい。
【0168】
なお、本発明の実施形態3における第1端壁部153bおよび第2端壁部156bの形状は上記の形状に限定されない。
図27は、本発明の実施形態3の変形例に係るチューブ容器を示す正面図である。
図28は、本発明の実施形態3に係るチューブ容器を示す斜視図である。
【0169】
図27および
図28に示すように、本発明の実施形態3の変形例に係るチューブ容器においては、第1端壁部153bxおよび第2端壁部156bxの各々の一方端部13側の端縁(第1折目171bx、第2折目172bx)が、第2方向D2に平行に延びている。
【0170】
また、本変形例において、筒状胴部10bxは、一対の横折目173bxを有している。一対の横折目173bxは、それぞれ、第1端壁部153bx(第2端壁部156bx)の第2方向D2における両端部から、他方端部14の第2方向D2における両端部に延びている。一対の横折目173bxは、筒状胴部10bxが塑性変形することにより形成されている。
【0171】
本発明の実施形態3に係るチューブ容器1bの製造方法について説明する。以下の説明において、本発明の実施形態1に係るチューブ容器の製造方法および同様の構成およびその効果については説明を繰り返さない。
【0172】
本発明の実施形態3においては、閉塞部形成工程S6および衝撃緩和部形成工程S7が、同時に行われる。すなわち、本実施形態における閉塞部形成工程S6および衝撃緩和部形成工程S7では、筒状体のうち第1端壁部153bおよび第2端壁部156bに相当する部分が互いに押し付けられた状態で(すなわち、衝撃緩和部10Rbが形成された状態で)、筒状体の内周面同士を溶着する。各折目は、筒状体のうち第1端壁部153bおよび第2端壁部156bに相当する部分が互いに押し付けられたときに形成されてもよい。上述のように、本発明の実施形態3に係るチューブ容器1bが製造される。
【0173】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4に係るチューブ容器について説明する。本発明の実施形態4に係るチューブ容器は、衝撃緩和部に係る構成が主に、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1と異なっている。このため、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1と同様の構成およびその効果については説明を繰り返さない。
【0174】
図29は、本発明の実施形態4に係るチューブ容器を示す正面図である。
図30は、
図29のチューブ容器をXXX-XXX線矢印方向から見た断面図である。
図31は、本発明の実施形態4に係るチューブ容器を部分的に示す部分拡大断面図である。
図31においては、
図30と同じ断面視にてチューブ容器を図示している。
【0175】
図29から
図31に示すように、本発明の実施形態4において、第1壁部10Acは、第1緩和壁部181cを有している。第1緩和壁部181cは、第1壁部10Acの一部を構成し、筒状胴部10の一方端部13より他方端部14の近くに位置している。第2壁部10Bcは、第2緩和壁部182cを有している。第2緩和壁部182cは、第2壁部10Bcの一部を構成し、筒状胴部10の一方端部13より他方端部14の近くに位置している。第1緩和壁部181cの一部分および第2緩和壁部182cの一部分が互いに溶着していることで、第1緩和壁部181cおよび第2緩和壁部182cが衝撃緩和部10Rcを構成している。
【0176】
着地の衝撃により筒状胴部10が第1方向D1に押しつぶされると、筒状胴部10に収容された内容物が、他方端部14に向かって急速に流れる。他方端部14へ向かって流れる内容物は、互いの一部分が溶着する第1緩和壁部181cおよび第2緩和壁部182cによって、少なくとも部分的にせき止められる。仮に、他方端部14へ向かって流れる内容物によって、第1緩和壁部181cおよび第2緩和壁部182cが互いに剥離した場合には、剥離時の反力によって圧力損失が生じる。これにより、閉塞部30におけるシートS同士の溶着界面にかかる内容物の圧力が比較的小さくなる。よって、閉塞部30において互いに溶着されたシートS同士が乖離することを抑制できる。
【0177】
具体的には、第1緩和壁部181cおよび第2緩和壁部182cは、筒状胴部10の他方端部14を含んでいる。第1緩和壁部181cおよび第2緩和壁部182cは、第2方向D2に延びている。第1緩和壁部181cおよび第2緩和壁部182cは、帯状に延びている。
【0178】
筒状胴部10は、部分溶着部183cをさらに有している。部分溶着部183cは、第1緩和壁部181cの一部分と第2緩和壁部182cの一部分が互いに溶着されることで形成されている部分である。本実施形態において、部分溶着部183cは格子状に拡がっている。
【0179】
本実施形態においては、部分溶着部183cが格子状に拡がっているため、筒状胴部10の収容空間内において、第1主壁部152と第2主壁部155との間の収容空間から、他方端部14までは連通していない。しかしながら、第1主壁部152と第2主壁部155との間の収容空間から他方端部14まで連通するように部分溶着部183cが形成されてもよい。このように部分溶着部183cが形成されていても、他方端部14へ向かって流れた内容物は、部分溶着部183cにおいて部分的にせきとめられ、圧力損失が生じる。
【0180】
本発明の実施形態4に係るチューブ容器1cは、環状部45cおよび末端溶着部46cをさらに備えている。
【0181】
環状部45cは、他方端部14に接続されている。環状部45cも、筒状胴部10(具体的には第1主壁部152および第2主壁部155)と同様に形成されている。すなわち、環状部45cも、筒状胴部10を構成している上記シートSを湾曲または屈曲させて、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを上記シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されている。
【0182】
末端溶着部46cは、環状部45cに接続されている。末端溶着部46cも、閉塞部30と同様に形成されている。すなわち、末端溶着部46cも、第1の側端部SE1と第2の側端部とをシートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成されたシートS、すなわち筒状体CB(特に
図9参照)の内周面を、上記軸方向DAに直交する第1方向D1につき合わせてさらに溶着させることで形成されている。末端溶着部46cは、環状部45cの、他方端部14側とは反対側を閉塞する。末端溶着部46cは、さらに、軸方向DAにおける端縁全体が、シートSが溶解したあと固化した状態となっている。これにより、末端溶着部46cにおけるシートS同士の溶着強度は、閉塞部30におけるシートS同士の溶着強度と同等か、それ以上となっている。よって、仮に、上述の衝撃により閉塞部30で互いに溶着されていたシートS同士が乖離しても、末端溶着部46cにより、内容物が外部に漏れることを抑制できる。末端溶着部46cは、第2方向D2に延びている。末端溶着部46cは、筋状の外形を有している。
【0183】
次に、本発明の実施形態4に係るチューブ容器の製造方法について説明する。以下の説明においては、本発明の実施形態1に係るチューブ容器の製造方法と同様の構成およびその効果については説明を繰り返さない。
【0184】
図32は、本発明の実施形態4に係るチューブ容器の製造方法を示すフロー図である。
図32に示すように、本発明の実施形態4に係るチューブ容器の製造方法は、溶断工程S8をさらに備えている。
【0185】
図33は、本発明の実施形態4における閉塞部形成工程および衝撃緩和部形成工程に用いられる治具を筒状体とともに示す、模式的な断面図である。
図34は、本発明の実施形態4において、閉塞部および衝撃緩和部を同時に形成した直後の状態を示す平面図である。
【0186】
図33および
図34に示すように、本発明の実施形態4においては、閉塞部形成工程S6および衝撃緩和部形成工程S7が、同時に行われてもよい。また、本実施形態においては、複数の溶着領域が形成されているため、閉塞部形成工程S6において、筒状体CBの内周面同士がホットエア方式により互いに溶着されてもよい。
【0187】
本発明の実施形態4に係る衝撃緩和部形成工程S7においては、衝撃緩和部用ホーンおよび衝撃緩和部用アンビルの一方である第3溶着器具95cと、衝撃緩和部用ホーンおよび衝撃緩和部用アンビルの他方である第4溶着器具96cとで、筒状体CBを挟み込むことにより、筒状体CBの内周面の一部分同士が超音波により振動されることで、その摩擦熱により溶着される。第3溶着器具95cの表面は、部分溶着部183cの形状に対応する外形形状を有している。なお、部分溶着部183cは、ホットエア方式で筒状体CBの内周面同士が互いに部分的に溶着されてもよい。これにより、部分溶着部183cの溶着強度が比較的強くなる。なお、本実施形態においては、部分溶着部183cの形状に対応する外形形状を有する第3溶着器具95cが、衝撃緩和部用ホーンであることが好ましく、平坦な第4溶着器具96cが、衝撃緩和部用アンビルであることが好ましい。
【0188】
図35は、本発明の実施形態4において、溶断工程において筒状体が溶断される様子を模式的に示す正面図である。
図34および
図35に示すように、溶断工程S8においては、閉塞部30から見て他方端部14とは反対側に位置する余った筒状体CBを、第2方向D2に沿って溶断する。これにより、溶断した部分が末端溶着部46cとなり、末端溶着部46cと閉塞部30との間に位置する筒状体CBが環状部45cとなる。上述したように、本発明の実施形態4に係るチューブ容器1cが製造される。
【0189】
(実施形態5)
次に、本発明の実施形態5に係るチューブ容器について説明する。本発明の実施形態5に係るチューブ容器は、衝撃緩和部に係る構成が主に、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1と異なっている。このため、本発明の実施形態1に係るチューブ容器1と同様の構成およびその効果については説明を繰り返さない。
【0190】
図36は、本発明の実施形態5に係るチューブ容器を示す斜視図である。
図37は、
図36のチューブ容器をXXXVII-XXXVII線矢印方向に見た断面図である。
図36および
図37に示すように、本発明の実施形態5において、第1壁部10Adの内表面積は、第2壁部10Bdの内表面積より大きい。第1壁部10Adは、衝撃緩和部10Rdとして、湾曲壁部191dを有している。湾曲壁部191dは、第1壁部10Adの一部を構成し、筒状胴部10の他方端部14を含み、かつ、筒状胴部10の収容空間に向かって凸状に湾曲している。
【0191】
これにより、第1壁部10Adの内表面上における一方端部13から他方端部14までの経路が、第2壁部10Bdの内表面上における経路より長くなる。さらには、第1壁部10Adの内表面上においては、上記経路をたどる際に、他方端部14の前で湾曲壁部191dを乗り越えることになる。よって、落下時の衝撃によって第1壁部10Ad近傍の内容物を経由して他方端部14および閉塞部30dに衝撃が伝わることをこの湾曲壁部191dで緩和することができる。
【0192】
本実施形態において、第1主壁部152dは、湾曲壁部191dから見て一方端部13側に位置している。第1壁部10Adは、境界部192dをさらに有する。境界部192dは、湾曲壁部191dと第1主壁部152dとの境界に位置する。本実施形態においては、第1壁部10Adは、境界部192dにおいて外部空間に向かって凸状に屈曲している。境界部192dにおいて第1壁部10Adは屈曲していなくてもよい。
【0193】
第2壁部10Bdは、半円筒形状の外形を有している。閉塞部30dは、軸方向DAから見たときに、第2壁部10Bdの外形に沿って、略円弧状の外形を有している。なお、本実施形態において、閉塞部30dは扁平状の外形を有しているが、閉塞部30dは、実施形態4の末端溶着部46cのように筋状の外形を有していてもよい。
【0194】
次に、本発明の実施形態5に係るチューブ容器の製造方法について説明する。以下の説明においては、本発明の実施形態1に係るチューブ容器の製造方法と同様の構成およびその効果については説明を繰り返さない。
【0195】
図38は、本発明の実施形態5における閉塞部形成工程および衝撃緩和部形成工程に用いられる治具を筒状体とともに示す斜視図である。
図39は、本発明の実施形態5において、閉塞部および衝撃緩和部を同時に形成した直後の状態の筒状体を示す模式的な断面図である。
【0196】
図38および
図39に示すように、本発明の実施形態5においては、閉塞部形成工程S6および衝撃緩和部形成工程S7が、同時に行われてもよい。閉塞部形成工程S6および衝撃緩和部形成工程S7においては、支持治具97dにより筒状体CBが第2壁部10Bd側から支持されている。
【0197】
閉塞部形成工程S6においては、筒状体CBの第1壁部10Ad側に位置する超音波ホーンとしての湾曲型治具98dと、アンビルとしての支持治具97dとで筒状体CBを挟み込むことにより、閉塞部30dを形成する。支持治具97dが超音波ホーンとして、湾曲型治具98dがアンビルとして機能してもよい。これとともに、衝撃緩和部形成工程S7において、筒状体CBの第1壁部10Ad側に位置する押当て治具99dを、第1壁部10Adに押し当てる。押当て治具99dは、およそ第1壁部10Adの外形に対応する外形形状を有している。これにより、湾曲壁部191dが成形される。
【0198】
閉塞部形成工程S6および衝撃緩和部形成工程S7の後に、閉塞部30dから延出する筒状体CBの残部が生じた場合、この残部は閉塞部30dから切除されてもよい。また、閉塞部形成工程S6において閉塞部30dを筋状に形成する場合には、衝撃緩和部形成工程S7で押当て治具99dが筒状体CBに押し当てられている状態において、溶断により、筒状体CBの残部を切除しつつ筒状体CBの内周面同士を互いに溶着させればよい。このようにして、本発明の実施形態5に係るチューブ容器1dが製造される。
【0199】
(その他の変形例)
本発明の各実施形態に係るチューブ容器は、様々な他の構成を有し得る。以下、本発明の各実施形態のその他の変形例に係るチューブ容器について説明する。
【0200】
上述したように、第1基材層、第2基材層および第3基材層は、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含み得る。第1基材層の樹脂成分、第2基材層の樹脂成分、および、第3基材層の樹脂成分として採用可能なポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマー(プロピレン単独重合体)の他、ポリプロピレンコポリマー(プロピレン系共重合体)であってもよい。コポリマーとしては、プロピレンと、オレフィン類(例えば、エチレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチルペンテン、4-メチルペンテンなどのα-C2-6オレフィンなど、または、ブテン-1、4-メチル-1-ペンテン)とのランダム共重合体、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-ブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-ブテンランダム三元共重合体などが挙げられる。コポリマーの場合、共重合性単量体の割合は、20重量%以下、例えば、0.1~10重量%程度であってもよい。さらに、ポリプロピレン系樹脂は、結晶性(又は結晶質)ポリプロピレン系樹脂であってもよく、非結晶性(又は非結晶質)ポリプロピレン系樹脂であってもよい。他のコポリマーとしては、プロピレンからなる重合体ブロックと、上記したオレフィン類からなる重合体ブロックを有する共重合体である、ブロックコポリマーが挙げられる。
【0201】
これらのポリプロピレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、結晶性ポリプロピレン系樹脂、特に、ポリプロピレンホモポリマー(結晶性ポリプロピレンホモポリマー)が好ましい。耐衝撃性などを重視する場合には、ポリプロピレン系樹脂は、ランダムコポリマーであることも好ましい。
【0202】
ポリプロピレン系樹脂は、アタクチック構造であってもよいが、アイソタクチックやシンジオタクチック構造などの立体規則性を有していてもよい。これらのうち、結晶性などの点から、アイソタクチック構造を有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0203】
また、ポリプロピレン系樹脂は、バイオマス由来のポリプロピレンや、メカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリプロピレンであってもよい。
【0204】
上述したように、第1基材層、第2基材層および第3基材層は、ポリエチレンを主成分として含み得る。第1基材層の樹脂成分、第2基材層の樹脂成分、および、第3基材層の樹脂成分として採用可能なポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、ヒートシール性という観点からは、低密度ポリエチレンおよび/または直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0205】
高密度ポリエチレンとしては、密度が0.945g/cm3以上のポリエチレンを使用することができ、中密度ポリエチレンとしては、密度が0.925g/cm3以上0.945g/cm3未満のポリエチレンを使用することができ、低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満のポリエチレンを使用することができ、直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満のポリエチレンを使用することができ、超低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3未満のポリエチレンを使用することができる。
【0206】
また、ポリエチレンには、エチレンと他のモノマーとの共重合体が包含される。エチレン共重合体としては、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとからなる共重合体が挙げられ、炭素数3~20のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3ーメチルー1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンおよび6-メチル-1-ヘプテンなどが挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、酢酸ビニルまたはアクリル酸エステルなどとの共重合体であってもよい。
【0207】
上記のポリエチレンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含むことができる。このようなバイオマス由来のポリエチレンはカーボニュートラルな材料であるため、各実施形態に係るチューブ容器の製造における環境負荷を低減することができる。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリエチレンはバイオマス由来となる。なお、ポリエチレンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
【0208】
バイオマス由来のポリエチレンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα-オレフィンをさらに含んでもよい。
【0209】
本発明の各実施形態の変形例に係るチューブ容器において、筒状胴部を構成するシートは、2以上の、バリア層が積層された第2基材層(以下、中間層という場合がある)を含んでもよい。2以上の中間層は、いずれも、第1基材層と第3基材層との間に配置されてもよい。シートが、第1の中間層と、第2の中間層とを含み、第1基材層および第3基材層がいずれもポリエチレンテレフタレートを主成分として含む場合、第1中間層の第2基材層と、第2中間層の第2基材層は、いずれも、樹脂成分としてポリエチレンテレフタレートを主成分として含む、二軸延伸フィルムであってもよい。第1中間層のバリア層および第2中間層のバリア層の組み合わせとしては、たとえば、透明蒸着層(セラミックバリア層)およびアルミバリア層の組み合わせ、あるいは、2つの透明蒸着層(セラミックバリア層)の組み合わせなどが挙げられる。また、筒状胴部を構成するシートは、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含む二軸延伸フィルムである第2基材層と、当該第2基材層とは別の、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含む二軸延伸フィルムを含む中間層と、を含んでもよい。
【0210】
筒状胴部を構成するシートは、ナイロンなどからなる補強層をさらに含んでいてもよい。筒状胴部を構成するシートが補強層をさらに含むことにより、チューブ容器の強度が向上し、チューブ容器が落下したときにチューブ容器が破損することを抑制し得る。補強層の厚さは、たとえば、5μm以上25μm以下であってもよい。補強層は、たとえば、第1基材層および第2基材層の間に配置されてもよく、第2基材層および第3基材層の間に配置されてもよい。また、第1中間層がポリエチレンテレフタレートを主成分として含む二軸延伸フィルムであって、かつ、第1中間層から見て第3基材層とは反対側に位置する第2中間層が、基材層としてナイロンなどからなる補強層であってもよい。筒状胴部を構成するシートは、全体として、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂の含有量が、90質量%以上であることが好ましい。
【0211】
本発明の各実施形態に係るチューブ容器において、筒状胴部のうち略円筒状になっている部分の内径は、たとえば25mm以上60mm以下であってもよい。筒状胴部を構成するシートの厚さは、たとえば100μm以上300μm以下であることも好ましい。
【0212】
また、第1基材層の厚さは、たとえば、70μm、80μm、90μm、または、100μmであってもよい。第2基材層およびバリア層の合計厚さは、たとえば、12μm、または、25μmであってもよい。第3基材層の厚さは、たとえば、70μm、80μm、90μm、または、100μmであってもよい。第1基材層の厚さが90μm、かつ、第2基材層およびバリア層の合計厚さが12μm、かつ、第3基材層の厚さが90μmであることもまた好ましい。
【0213】
上記の各実施形態に係るチューブ容器は、筒状胴部および閉塞部を構成するシートがポリエステル系樹脂を主成分として含み得るため、リサイクル性に優れる。よって、各実施形態に係るチューブ容器は、SDGs(持続可能な開発目標)が求める持続循環経済に沿うものであり、プラスチックごみの削減に大きく貢献することができる。
【0214】
また、上記の実施形態および変形例においては、互いに組み合わせ可能な構成を適宜組み合わせてもよい。
【0215】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0216】
1,1a,1b,1c,1d チューブ容器、10,10bx 筒状胴部、10A,10Aa,10Ab,10Ac,10Ad 第1壁部、10B,10Ba,10Bb,10Bc,10Bd 第2壁部、10R,10Ra,10Rb,10Rc,10Rd 衝撃緩和部、11 シート基部、111 第1基端部、112 第2基端部、113 延在部、12 溶着部、121 第1先端縁、122 第2先端縁、123 溶着部外周面、124 溶着部内周面、13 一方端部、14 他方端部、151,151a 第1屈曲部、152,152d 第1主壁部、153,153a,153b,153bx 第1端壁部、154,154a 第1対向屈曲部、155 第2主壁部、156,156a,156b,156bx 第2端壁部、161a 曲げ部、162a 対向曲げ部、163a 第2屈曲部、164a 第2対向屈曲部、171b,171bx 第1折目、172b,172bx 第2折目、173bx 横折目、181c 第1緩和壁部、182c 第2緩和壁部、183c 部分溶着部、191d 湾曲壁部、192d 境界部、20 注出部、21 注出口、22 肩部、23 延出部、30,30a,30b,30d 閉塞部、40 キャップ部、45c 環状部、46c 末端溶着部、5 超音波ホーン、51 凹凸形状、6 アンビル、7 金型、71a 第1の金型、72a 第2の金型、81 注出部用アンビル、82 注出部用超音波ホーン、91 第1溶着器具、92 第2溶着器具、93a 凹条治具、94a 凸条治具、95c 第3溶着器具、96c 第4溶着器具、97d 支持治具、98d 湾曲型治具、99d 押当て治具、AL1 第1接着剤層、AL2 第2接着剤層、BL バリア層、CB 筒状体、M 成形材料、ML 一体層、S シート、SB1 第1層間部、SB2 第2層間部、SE1 第1の側端部、SE2 第2の側端部、SL1 第1基材層、SL2 第2基材層、SL3 第3基材層。