(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179657
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/56 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H01R13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098665
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】広森 裕也
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC01
5E021FC32
5E021GA03
(57)【要約】
【課題】一対の電線同士の干渉を抑えつつも、組付作業性の向上を可能としたコネクタを提供する。
【解決手段】ケース11と、ケース11内に配置される一対の電線22と、一対の電線22の先端部にそれぞれ設けられる端子23と、ケース11内に設けられ、端子23がそれぞれ接続される一対のバスバーと、ケース11内に設けられ、一対の電線22をそれぞれ保持する一対の電線保持部32と、を備える。各電線保持部32は、電線22が電線22の径方向に沿って挿入可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に配置される一対の電線と、
前記一対の電線の先端部にそれぞれ設けられる端子と、
前記ケース内に設けられ、前記端子がそれぞれ接続される一対のバスバーと、
前記ケース内に設けられ、前記一対の電線をそれぞれ保持する一対の電線保持部と、
を備え、
前記各電線保持部は、前記電線が前記電線の径方向に沿って挿入可能に構成されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記ケースに対して別体として構成されるホルダを備え、
前記ホルダは、前記ケース内に配置され、
前記各電線保持部は、前記ホルダに形成されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記各電線保持部は、互いに対向する一対の対向部と、前記一対の対向部からそれぞれ延出する一対の弾性片と、を有し、
前記各電線保持部は、前記一対の弾性片によって前記電線を保持する、
請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電気機器に取り付けられるコネクタが記載されている。同コネクタは、一対の電線と電気部品とを内部に含むケースを備える。ケースが電気機器の筐体に差し込まれることで、電気機器の内部の接点とコネクタとが電気的に接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコネクタでは、一対の電線がケース内に配置されることから、各電線の長さが短くなる傾向がある。各電線の長さが短いと、ケース内における電線の取り回しが難しくなる。その結果、組付作業性が悪化するおそれがある。
【0005】
さらに、上記のようなコネクタでは、一対の電線同士の干渉を抑制するために、各電線を保持するホルダをケース内に設ける場合がある。この場合、ホルダによって一対の電線の間の間隔が保持されるため、一対の電線同士の干渉を抑えることが可能となる。しかしながら、各電線をホルダで保持する構成では、各電線の可動域を狭めてしまうため、電線の短さも相まってさらに組付作業性が悪化するおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、一対の電線同士の干渉を抑えつつも、組付作業性の向上を可能としたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、ケースと、前記ケース内に配置される一対の電線と、前記一対の電線の先端部にそれぞれ設けられる端子と、前記ケース内に設けられ、前記端子がそれぞれ接続される一対のバスバーと、前記ケース内に設けられ、前記一対の電線をそれぞれ保持する一対の電線保持部と、を備え、前記各電線保持部は、前記電線が前記電線の径方向に沿って挿入可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示のコネクタによれば、一対の電線同士の干渉を抑えつつも、組付作業性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態におけるコネクタの概略構成図である。
【
図2】
図2は、同形態におけるホルダの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]ケースと、前記ケース内に配置される一対の電線と、前記一対の電線の先端部にそれぞれ設けられる端子と、前記ケース内に設けられ、前記端子がそれぞれ接続される一対のバスバーと、前記ケース内に設けられ、前記一対の電線をそれぞれ保持する一対の電線保持部と、を備え、前記各電線保持部は、前記電線が前記電線の径方向に沿って挿入可能に構成されている。
【0011】
この構成によれば、各電線保持部に対して、各電線を径方向に沿って挿入可能であるため、各電線を各バスバーに接続した後に、各電線を各電線保持部に保持させることが可能となる。これにより、端子をバスバーに接続する際には、電線保持部によって電線の可動域を狭めることなく、組付作業性を良いものとしつつ、端子をバスバーに接続した後においては、各電線保持部によって一対の電線の間の間隔を保持できる。したがって、一対の電線同士の干渉を抑えつつも、組付作業性を向上させることが可能となる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記コネクタは、前記ケースに対して別体として構成されるホルダを備え、前記ホルダは、前記ケース内に配置され、前記各電線保持部は、前記ホルダに形成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、端子をバスバーに接続した後に、ホルダを各電線に対して組み付けることが可能となる。これにより、組付作業性の向上に寄与できる。
[3]上記[1]または[2]において、前記各電線保持部は、互いに対向する一対の対向部と、前記一対の対向部からそれぞれ延出する一対の弾性片と、を有し、前記各電線保持部は、前記一対の弾性片によって前記電線を保持する構成であってもよい。
【0014】
この構成によれば、一対の弾性片によって、電線が電線保持部から外れないように保持することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
【0015】
図1に示す本実施形態のコネクタ10は、車両に搭載された電気機器D1に取り付けられるコネクタである。電気機器D1としては、例えばハイブリッド自動車や電気自動車に搭載され、バッテリと高圧デバイスとが一体化された電源ユニット等が挙げられる。コネクタ10は、電気機器D1の筐体内部に少なくとも一部が挿入されるケース11を有する。ケース11は、例えば、電気機器D1への挿入方向において長い形状を有している。
【0016】
コネクタ10は、例えば、ケース11と、分配部12と、コネクタ部13と、一対のバスバー14と、ホルダ15と、ケース11から外部に延びる複数の外部接続電線16と、を備える。分配部12、コネクタ部13、一対のバスバー14およびホルダ15の各々は、ケース11に収容されている。コネクタ部13は、ケース11内において分配部12に接続されている。各外部接続電線16は、ケース11から外部に延びている。
【0017】
(ケース11の内部の構成)
コネクタ部13は、接続部材21と、接続部材21から延びる一対の電線22と、一対の電線22の先端部にそれぞれ設けられた端子23と、を備える。
【0018】
接続部材21は、一対の接続端子部24を有する。一対の接続端子部24は、一対の電線22にそれぞれに電気的に接続されている。接続部材21は、ケース11内に収容されている。また、接続部材21は、ケース11に対して着脱可能に構成されている。接続部材21がケース11に取り付けられた状態において、一対の接続端子部24は、分配部12に電気的に接続される。
【0019】
分配部12は、複数の外部接続電線16にそれぞれ電気的に接続されている。
図1では、複数の外部接続電線16を3つ図示しているが、外部接続電線16の数は3つに限らず、2つ、または4つ以上であってもよい。各外部接続電線16は、ケース11の外部および電気機器D1の筐体の外部に引き出される。そして、複数の外部接続電線16は、車両に搭載される図示しない複数の補機にそれぞれ電気的に接続される。
【0020】
一対の電線22は、接続部材21における一対の引き出し口25からそれぞれ引き出されている。一対の引き出し口25は、コネクタ10の幅方向に並んで設けられている。なお、以下の説明では、コネクタ10の幅方向について、単に「幅方向」と称する場合がある。一対の電線22の各々は、例えば、大電流に対応した、導体断面積が10平方ミリメートル以上の太物電線である。接続部材21の各引き出し口25は、ケース11内に位置している。また、各引き出し口25から引き出される各電線22は、ケース11内に収容されている。
【0021】
一対の電線22の先端部にそれぞれ設けられた端子23は、ケース11内に保持された一対のバスバー14にそれぞれ接続されている。各バスバー14は、金属等の導体にて形成されている。各端子23は、ケース11内において、例えばボルトBによって各バスバー14に締結固定されている。これにより、端子23とバスバー14とが電気的に接続される。各バスバー14は、電気機器D1が有する図示しない機器側端子と接続される。これにより、コネクタ10と電気機器D1とが電気的に接続される。
【0022】
各端子23と各バスバー14との接続部位は、各引き出し口25よりも幅方向外側の位置に設定されている。すなわち、コネクタ10の幅方向の中心線CLからの距離は、中心線CLから引き出し口25までの距離よりも、中心線CLからバスバー14と端子23との接続部分までの距離の方がより大きく設定されている。これにより、端子23をバスバー14に接続する際には、端子23を引き出し口25に対して幅方向の外側に移動させつつバスバー14に接続させる必要がある。このため、電線22の取り回しを容易にして端子23をバスバー14に接続しやすくするために、電線22には余長が設定されている。
【0023】
(ホルダ15の構成)
図2に示すように、ホルダ15は、一対の電線22の間の間隔を保持するように各電線22を保持する。ホルダ15は、例えば、幅方向に沿って延在する基部31と、基部31に設けられた一対の電線保持部32と、を備える。一対の電線保持部32の各々は、例えば、基部31の少なくとも一部を形成する合成樹脂部分に保持された金属製の部材である。
【0024】
各電線保持部32は、コネクタ10の高さ方向に対向する一対の対向部33と、一対の対向部33同士を繋ぐ連結部34とを有する。一対の対向部33は、例えば、連結部34の高さ方向の両端部から幅方向に沿って延出している。電線保持部32は、一対の対向部33の各先端部から延出する一対の弾性片35を有している。一対の弾性片35は、自身の先端に向かって互いに近づくように傾斜している。
【0025】
電線22は、電線保持部32の各弾性片35の間に、自身の径方向に沿って挿入される(
図2中の矢印を参照)。このとき、各弾性片35は、電線22に押されて各弾性片35の間隔が広がるように変形する。そして、電線22が各弾性片35を越えて電線保持部32の奥まで入り込むと、各弾性片35は、弾性復帰することにより、電線22が一対の対向部33の間に位置する状態を保持する。これにより、電線22が電線保持部32から外れないようになっている。
【0026】
(コネクタ10の組付態様)
次に、コネクタ10の組付態様について説明する。
まず、コネクタ部13の接続部材21をケース11に組み付けることで、接続部材21の各接続端子部24を分配部12に接続する。
【0027】
次に、接続部材21の各引き出し口25から延びる各電線22の先端部に設けられた各端子23を、バスバー14に締結固定する。このとき、各電線22は、ホルダ15の各電線保持部32に保持させていない状態とする(
図2における2点鎖線を参照)。これにより、各電線22の可動域が狭められることなく、各電線22の取り回しが容易となるため、各端子23を各バスバー14に容易に接続させることが可能となる。
【0028】
各端子23を各バスバー14に接続した後、各電線22をホルダ15の各電線保持部32に保持させる。このとき、前述のように、各電線22を自身の径方向に沿って各電線保持部32に挿入する。これにより、各電線22が各電線保持部32にて保持される。したがって、各電線保持部32によって、各電線22の間の間隔が保持される。
【0029】
本実施形態の効果について説明する。
(1)コネクタ10は、ケース11内に設けられ、一対の電線22をそれぞれ保持する一対の電線保持部32を備える。各電線保持部32は、電線22が電線22の径方向に沿って挿入可能に構成されている。この構成によれば、各電線保持部32に対して、各電線22を径方向に沿って挿入可能であるため、各電線22を各バスバー14に接続した後に、各電線22を各電線保持部32に保持させることが可能となる。これにより、電線保持部32によって電線22の可動域を狭めることなく、組付作業性を良いものとしつつ、端子23をバスバー14に接続した後においては、各電線保持部32によって一対の電線22の間の間隔を保持できる。したがって、一対の電線22同士の干渉を抑えつつも、組付作業性を向上させることが可能となる。また、本実施形態の電線22は、屈曲させにくい太物電線であるため、端子23とバスバー14の接続時に電線22の可動域を狭めない本構成の効果がより顕著となる。
【0030】
(2)コネクタ10は、ケース11に対して別体として構成されるホルダ15を備える。ホルダ15は、ケース11内に配置されている。各電線保持部32は、ホルダ15に形成されている。この構成によれば、端子23をバスバー14に接続した後に、ホルダ15を各電線22に対して組み付けることが可能となる。これにより、組付作業性の向上に寄与できる。
【0031】
(3)各電線保持部32は、互いに対向する一対の対向部33と、一対の対向部33からそれぞれ延出する一対の弾性片35と、を有する。各電線保持部32は、一対の弾性片35によって電線22を保持する構成とされる。この構成によれば、一対の弾性片35によって、電線22が電線保持部32から外れないように保持することが可能となる。
【0032】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0033】
・電線保持部32の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、コネクタ10の構成に応じて適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、電線保持部32における一対の対向部33は、コネクタ10の高さ方向に対向している。すなわち、電線保持部32は、電線22をコネクタ10の幅方向に沿って一対の対向部33の間に挿入可能な構成とされている。これに対し、一対の対向部33をコネクタ10の幅方向に対向する構成として、電線22を一対の対向部33の間にコネクタ10の高さ方向に沿って挿入可能な構成としてもよい。
【0034】
・各電線保持部32をケース11に一体に設けてもよい。
・ケース11内に配置される電線22の本数、および、電線22を保持する電線保持部32の個数は、上記実施形態に限定されるものではなく、それぞれ3つ以上であってもよい。
【0035】
・コネクタ10を接続する対象となる電気機器D1は、電源ユニットに限定されることはなく、電源ユニット以外の電気機器であってもよい。
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
10 コネクタ
11 ケース
12 分配部
13 コネクタ部
14 バスバー
15 ホルダ
16 外部接続電線
21 接続部材
22 電線
23 端子
24 接続端子部
25 引き出し口
31 基部
32 電線保持部
33 対向部
34 連結部
35 弾性片
B ボルト
CL 中心線
D1 電気機器