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特開2024-179663リモート支援システム、リモート支援方法、リモート支援プログラム、制御装置、制御方法、制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179663
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】リモート支援システム、リモート支援方法、リモート支援プログラム、制御装置、制御方法、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/44 20180101AFI20241219BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20241219BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20241219BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20241219BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H04W4/44
H04W24/10
H04W24/04
H04W72/0457 110
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098673
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】保手浜 剛
(72)【発明者】
【氏名】竹内 隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 碧
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF13
5K067AA21
5K067DD11
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE16
5K067HH21
(57)【要約】
【課題】通信品質異常に対するフェイルセーフ性を確保するリモート支援システムの提供。
【解決手段】ノーマル通信帯域NPCよりも優先通信帯域TPCが優先制御されるセルラーネットワークを含んだ通信ネットワークを介して、自律走行装置の制御をリモートセンタにより支援するリモート支援システムのプロセッサは、リモートセンタと自律走行装置との間においてノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態を、監視することと、リモートセンタと自律走行装置との間において優先通信帯域TPCを経由する通信状態を、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態とは個別に監視することと、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、自律走行装置に与えるリモートデータとして、正常な優先通信帯域TPCを通じて自律走行装置の制御状態を指示する指示データDoを生成することとを、実行するように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ(12)を有し、ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、自律走行装置(3)の制御をリモートセンタ(7)により支援するリモート支援システムであって、
前記プロセッサは、
前記リモートセンタと前記自律走行装置との間において前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
前記リモートセンタと前記自律走行装置との間において前記優先通信帯域を経由する通信状態を、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記自律走行装置に与えるリモートデータとして、正常な前記優先通信帯域を通じて前記自律走行装置の制御状態を指示する指示データ(Do)を生成することとを、実行するように構成されるリモート支援システム。
【請求項2】
前記リモートデータを生成することは、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、正常な前記優先通信帯域を通じて前記制御状態としての最小リスク状態への遷移を前記自律走行装置に指示する前記指示データを生成することを、含む請求項1に記載のリモート支援システム。
【請求項3】
前記リモートデータを生成することは、
前記優先通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記制御状態としての最小リスク状態への遷移であって、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドの最小リスク状態への遷移を、正常な前記ノーマル通信帯域を通じて前記自律走行装置に指示する前記指示データを生成することを、含む請求項2に記載のリモート支援システム。
【請求項4】
前記リモートデータを生成することは、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、正常な前記優先通信帯域を通じて当該通信品質異常の発生を前記自律走行装置に通知する通知データ(Dn)を、前記リモートデータとして生成することを、含む請求項1又は2に記載のリモート支援システム。
【請求項5】
プロセッサ(22)を有し、ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、リモートセンタ(7)により支援される自律走行装置(3)を制御する制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記自律走行装置と前記リモートセンタとの間において前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
前記自律走行装置と前記リモートセンタとの間において前記優先通信帯域を経由する通信状態を、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記リモートセンタから与えられるリモートデータとして、正常な前記優先通信帯域を通じて指示される指示データ(Do)に基づき前記自律走行装置を制御することとを、実行するように構成される制御装置。
【請求項6】
前記自律走行装置を制御することは、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、正常な前記優先通信帯域を通じて指示される前記指示データに基づき前記自律走行装置を最小リスク状態へ遷移させることを、含む請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記自律走行装置を制御することは、
前記ノーマル通信帯域及び前記優先通信帯域の各々を経由する通信状態のいずれにも通信品質異常が発生した場合に、前記指示データに基づくリモート支援を解除して、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドの最小リスク状態に前記自律走行装置を強制制御することを、含む請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記自律走行装置を制御することは、
前記優先通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、正常な前記ノーマル通信帯域を通じて指示される前記指示データに基づき、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドの最小リスク状態へ、前記自律走行装置を遷移させることを、含む請求項6又は7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記自律走行装置を制御することは、
前記優先通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態が正常及び異常のいずれであっても、前記指示データに基づくリモート支援を解除して、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドの最小リスク状態に前記自律走行装置を強制制御することを、含む請求項6又は7に記載の制御装置。
【請求項10】
ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、自律走行装置(3)の制御をリモートセンタ(7)により支援するために、プロセッサ(12)により実行されるリモート支援方法であって、
前記リモートセンタと前記自律走行装置との間において前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
前記リモートセンタと前記自律走行装置との間において前記優先通信帯域を経由する通信状態を、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記自律走行装置に与えるリモートデータとして、正常な前記優先通信帯域を通じて前記自律走行装置の制御状態を指示する指示データ(Do)を生成することとを、含むリモート支援方法。
【請求項11】
ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、自律走行装置(3)の制御をリモートセンタ(7)により支援するために記憶媒体(20)に記憶され、プロセッサ(22)に実行させる命令を含むリモート支援プログラムであって、
前記リモートセンタと前記自律走行装置との間において前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
前記リモートセンタと前記自律走行装置との間において前記優先通信帯域を経由する通信状態を、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記自律走行装置に与えるリモートデータとして、正常な前記優先通信帯域を通じて前記自律走行装置の制御状態を指示する指示データ(Do)を生成することとを、実行させる前記命令を含むリモート支援プログラム。
【請求項12】
ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、リモートセンタ(7)により支援される自律走行装置(3)を制御するために、プロセッサ(22)により実行されるリモート支援方法であって、
前記自律走行装置と前記リモートセンタとの間において前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
前記自律走行装置と前記リモートセンタとの間において前記優先通信帯域を経由する通信状態を、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記リモートセンタから与えられるリモートデータとして、正常な前記優先通信帯域を通じて指示される指示データ(Do)に基づき前記自律走行装置を制御することとを、含む制御方法。
【請求項13】
ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、リモートセンタ(7)により支援される自律走行装置(3)を制御するために記憶媒体(20)に記憶され、プロセッサ(22)に実行させる命令を含むリモート支援プログラムであって、
前記自律走行装置と前記リモートセンタとの間において前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
前記自律走行装置と前記リモートセンタとの間において前記優先通信帯域を経由する通信状態を、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記リモートセンタから与えられるリモートデータとして、正常な前記優先通信帯域を通じて指示される指示データ(Do)に基づき前記自律走行装置を制御することとを、実行させる前記命令を含む制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信ネットワークを介して自律走行装置の制御をリモートセンタにより支援する技術に、関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の開示技術は、遠隔操作装置から支援を受ける車両において、無線通信の遅延時間が閾値以上となる通信品質の異常時に、運転制御を通常制御から安全制御に変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-71585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示技術は、遠隔装置から時間情報を含んで送信される信号の、車両における受信結果に応じて、制御変更の要否が判断されている。そのため、通信遅延以外の通信品質異常として、例えば通信途絶等が発生した場合の車両においては、時間情報を含む信号の受信自体が困難となるため、通信品質異常に拘わらず制御変更は実行されないまま、通常制御が維持されてしまう。
【0005】
本開示の課題は、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を確保するリモート支援システム、リモート支援方法、及びリモート支援プログラムを、提供することにある。本開示の別の課題は、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を確保する制御装置、制御方法、及び制御プログラムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、
プロセッサ(12)を有し、ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、自律走行装置(3)の制御をリモートセンタ(7)により支援するリモート支援システムであって、
プロセッサは、
リモートセンタと自律走行装置との間においてノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
リモートセンタと自律走行装置との間において優先通信帯域を経由する通信状態を、ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、自律走行装置に与えるリモートデータとして、正常な優先通信帯域を通じて自律走行装置の制御状態を指示する指示データ(Do)を生成することとを、実行するように構成される。
【0008】
本開示の第二態様は、
ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、自律走行装置(3)の制御をリモートセンタ(7)により支援するために、プロセッサ(12)により実行されるリモート支援方法であって、
リモートセンタと自律走行装置との間においてノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
リモートセンタと自律走行装置との間において優先通信帯域を経由する通信状態を、ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、自律走行装置に与えるリモートデータとして、正常な優先通信帯域を通じて自律走行装置の制御状態を指示する指示データ(Do)を生成することとを、含む。
【0009】
本開示の第三態様は、
ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、自律走行装置(3)の制御をリモートセンタ(7)により支援するために記憶媒体(20)に記憶され、プロセッサ(22)に実行させる命令を含むリモート支援プログラムであって、
リモートセンタと自律走行装置との間においてノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
リモートセンタと自律走行装置との間において優先通信帯域を経由する通信状態を、ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、自律走行装置に与えるリモートデータとして、正常な優先通信帯域を通じて自律走行装置の制御状態を指示する指示データ(Do)を生成することとを、実行させる命令を含む。
【0010】
これら第一~第三態様によると、リモートセンタと自律走行装置との間での通信ネットワークに含まれるセルラーネットワークにおいて、ノーマル通信帯域及び優先通信帯域の各々を経由する通信状態が、個別に監視される。そこで、ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、リモートセンタから自律走行装置に与えられるリモートデータとして、正常な優先通信帯域を通じて自律走行装置の制御状態を指示する指示データが、生成される。これによれば、ノーマル通信帯域に通信品質異常が発生する緊急状況にこそ、ノーマル通信帯域よりも優先制御される優先通信帯域の利用権を自律走行装置に許諾して、リモートセンタからの指示データに基づくリモート支援を継続させることができる。故に、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を確保することが可能となる。
【0011】
本開示の第四態様は、
プロセッサ(22)を有し、ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、リモートセンタ(7)により支援される自律走行装置(3)を制御する制御装置であって、
プロセッサは、
自律走行装置とリモートセンタとの間においてノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
自律走行装置とリモートセンタとの間において優先通信帯域を経由する通信状態を、ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、リモートセンタから与えられるリモートデータとして、正常な優先通信帯域を通じて指示される指示データ(Do)に基づき自律走行装置を制御することとを、実行するように構成される。
【0012】
本開示の第五態様は、
ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、リモートセンタ(7)により支援される自律走行装置(3)を制御するために、プロセッサ(22)により実行されるリモート支援方法であって、
自律走行装置とリモートセンタとの間においてノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
自律走行装置とリモートセンタとの間において優先通信帯域を経由する通信状態を、ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、リモートセンタから与えられるリモートデータとして、正常な優先通信帯域を通じて指示される指示データ(Do)に基づき自律走行装置を制御することとを、含む。
【0013】
本開示の第六態様は、
ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、リモートセンタ(7)により支援される自律走行装置(3)を制御するために記憶媒体(20)に記憶され、プロセッサ(22)に実行させる命令を含むリモート支援プログラムであって、
自律走行装置とリモートセンタとの間においてノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
自律走行装置とリモートセンタとの間において優先通信帯域を経由する通信状態を、ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、リモートセンタから与えられるリモートデータとして、正常な優先通信帯域を通じて指示される指示データ(Do)に基づき自律走行装置を制御することとを、実行させる命令を含む。
【0014】
これら第四~第六態様によると、自律走行装置とリモートセンタとの間での通信ネットワークに含まれるセルラーネットワークにおいて、ノーマル通信帯域及び優先通信帯域の各々を経由する通信状態が、個別に監視される。そこで、ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、リモートセンタから自律走行装置に与えられるリモートデータとして、正常な優先通信帯域を通じて指示される指示データに基づき、自律走行装置が制御される。これによれば、ノーマル通信帯域に通信品質異常が発生する緊急状況にこそ、ノーマル通信帯域よりも優先制御される優先通信帯域の利用権が自律走行装置に許諾されることで、リモートセンタからの指示データに基づくリモート支援が継続され得る。故に、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図2】第一実施形態によるリモート支援システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】第一実施形態による制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】第一実施形態による処理フローのうち、リモート支援システム側の部分フローを示すフローチャートである。
図5】第一実施形態による処理フローのうち、制御装置側の部分フローを示すフローチャートである。
図6】第二実施形態による処理フローのうち、リモート支援システム側の部分フローを示すフローチャートである。
図7】第二実施形態による処理フローのうち、制御装置側の部分フローを示すフローチャートである。
図8】第三実施形態による処理フローのうち、リモート支援システム側の部分フローを示すフローチャートである。
図9】第三実施形態による処理フローのうち、制御装置側の部分フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき複数説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0017】
(第一実施形態)
図1に示す第一実施形態のリモート支援システム1及び制御装置2は、通信ネットワークNWを介して相互通信可能に接続される。通信ネットワークNWは、無線通信と有線通信との融合により構成されている。
【0018】
通信ネットワークNWには、複数のノードNA,NB,NC,NDが存在している。ノードNAには、制御装置2と共に自律走行装置3に搭載される通信装置4が、設定されている。ノードNBには、セルラーネットワークCWにおいて自律走行装置3の通信装置4と無線通信可能な基地局5が、設定されている。ノードNCには、例えばインターネット等の広域有線ネットワークWWと有線通信するための、セルラーネットワークCWにおける中継局6が、設定されている。ノードNDには、リモート支援システム1と共にリモートセンタ7に設置されて、広域有線ネットワークWWの有線通信を介してセルラーネットワークCWと接続される通信装置8が、設定されている。
【0019】
このように通信ネットワークNWに含まれるセルラーネットワークCWは、通信サービサの管理センタにより管理される、所謂コアネットワークである。セルラーネットワークCWは、ノーマル通信帯域NPCと優先通信帯域TPCとが構築されている。ノーマル通信帯域NPCは、ベストエフォート方式又は帯域保証方式により、ユーザの利用可能な帯域が確保される通信帯域である。優先通信帯域TPCは、ノーマル通信帯域NPCよりも優先制御される通信帯域である。優先通信帯域TPCは、セルラーネットワークCWにおいてノーマル通信帯域NPCよりも帯域を優先して割り当てられることで、通信品質の異常のうち特に通信途絶に対してノーマル通信帯域NPCよりも高品質の性能を、管理センタにより担保されている。優先通信帯域TPCは、ノーマル通信帯域NPCよりも低遅延の性能を、管理センタにより担保されていてもよい。優先通信帯域TPCは、こうした特性をネットワークスライス技術により実現していてもよい。
【0020】
自律走行装置3は、自身の外界となる交通環境において道路を自律走行可能な、自動運転車両又は自律運転ロボットであってもよい。自律走行装置3は、自身の外界となる物流施設において倉庫内外の走行路を自律走行して荷物を運搬する、物流車両又は物流ロボットであってもよい。自律走行装置3は、自身の外界となる飲食店内又は病院内の走行路を自律走行して飲食物を配膳する、配膳車両又は配膳ロボットであってもよい。自律走行装置3は、自身の外界となる災害地を自律走行して物資を運搬又は情報を収集する、災害支援ロボットであってもよい。自律走行装置3は、これら以外の装置であっても勿論よい。
【0021】
リモートセンタ7において通信装置8を制御下におくリモート支援システム1は、例えばクラウドサーバ等を構成する、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構築される。リモート支援システム1は、リモートセンタ7のオペレータへ表示出力可能に、構築されていてもよい。リモート支援システム1は、リモートセンタ7のオペレータから入力受付可能に、構築されていてもよい。
【0022】
リモート支援システム1を構成する専用コンピュータは、メモリ10及びプロセッサ12を、少なくとも一つずつ有している。メモリ10は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。プロセッサ12は、例えばCPU、GPU、及びRISC-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含んでいる。
【0023】
リモート支援システム1においてプロセッサ12は、通信ネットワークNWを介して制御装置2による自律走行装置3の制御を支援するためにメモリ10に記憶された、リモート支援プログラムに含まれる複数の命令を実行する。このときリモート支援プログラムの命令は、後述の制御装置2における制御プログラムの命令と協働して、実行される。これによりリモート支援システム1は、通信ネットワークNWを介して制御装置2による自律走行装置3の制御を支援するための機能ブロックを、複数構築する。リモート支援システム1において構築される複数の機能ブロックには、図2に示すように監視ブロック100、及びリモートブロック110が含まれている。
【0024】
図1に示す自律走行装置3において通信装置4を制御下におく制御装置2は、例えば車載コンピュータ等の、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構築される。制御装置2を構成する専用コンピュータは、メモリ20及びプロセッサ22を、少なくとも一つずつ有している。メモリ20は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。プロセッサ22は、例えばCPU、GPU、及びRISC-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含んでいる。
【0025】
制御装置2においてプロセッサ22は、通信ネットワークNWを介してリモートセンタ7のリモート支援システム1により支援される自律走行装置3を制御するためにメモリ20に記憶された、制御プログラムに含まれる複数の命令を実行する。このとき制御プログラムの命令は、リモート支援システム1における支援プログラムの命令と協働して、実行される。これにより制御装置2は、通信ネットワークNWを介してリモート支援システム1により支援される自律走行装置3を制御するための機能ブロックを、複数構築する。制御装置2において構築される複数の機能ブロックには、図3に示すように監視ブロック200、及び制御ブロック210が含まれている。
【0026】
図1~3に示すリモート支援システム1及び制御装置2は、リモート支援プログラム及び制御プログラムの各命令を協働して実行することで、それぞれリモート支援方法及び制御方法を図4,5の処理フローに従って実現する。本処理フローは、通信ネットワークNWを介してリモート支援システム1と制御装置2との間でのセキュリティ認証が相互に確立されると、それら要素1,2間で開始され、その後に同期して繰り返される。尚、処理フローにおける各「S」は、リモート支援プログラム及び制御プログラムの各命令により実行される複数ステップを、それぞれ意味している。
【0027】
図5のS200における制御装置2の監視ブロック200(図3参照)は、自律走行装置3及びリモートセンタ7間の通信ネットワークNWにおいて、セルラーネットワークCWのうちノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態を監視する。通信状態として監視される通信品質異常には、例えば通信途絶、通信遅延、データロス、帯域減少、通信ゆらぎ、及び輻輳等のうち、少なくとも一種類の通信障害が含まれる。
【0028】
S200における通信状態の監視は、自律走行装置3及びリモートセンタ7における各通信装置4,8間での、通信ネットワークNWに対する定期的なウォッチドッグ機能により、実現されてもよい。S200における通信状態の監視は、自律走行装置3及びリモートセンタ7における各通信装置4,8間での、通信ネットワークNWに対する定期的な帯域推定機能により、実現されてもよい。S200における通信状態の監視は、管理センタによるセルラーネットワークCWの管理状況を通知するデータとして、管理センタから通信装置4へ提供される管理データに基づき、実現されてもよい。S200における通信状態の監視は、後述のS110によりリモートセンタ7の通信装置8から自律走行装置3の通信装置4へ送信される通知データDn(図2,3参照)に基づき、実現されてもよい。
【0029】
S200においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常が発生したと判断されると、処理フローはS200からS210へ移行する。S210における制御装置2の監視ブロック200は、自律走行装置3及びリモートセンタ7間の通信ネットワークNWにおいて、セルラーネットワークCWのうち優先通信帯域TPCを経由する通信状態を、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態とは個別に監視する。S210において、通信状態として監視される通信品質異常、並びに当該通信状態監視の実現手法は、S200の場合に準ずる。
【0030】
図4に示すS100,S110は、S200,S210と連携して実行される。S100におけるリモート支援システム1の監視ブロック100(図2参照)は、リモートセンタ7及び自律走行装置3間の通信ネットワークNWにおいて、セルラーネットワークCWのうちノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態を監視する。S100において、通信状態として監視される通信品質異常、並びに当該通信状態監視の実現手法は、制御装置2でのS200の場合に準ずる。
【0031】
S100においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常が発生したと判断されると、処理フローはS100からS110へ移行する。S110におけるリモート支援システム1の監視ブロック100は、リモートセンタ7及び自律走行装置3間の通信ネットワークNWにおいて、セルラーネットワークCWのうち優先通信帯域TPCを経由する通信状態を、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態とは個別に監視する。S110において、通信状態として監視される通信品質異常、並びに当該通信状態監視の実現手法は、制御装置2でのS200の場合に準ずる。
【0032】
S110においてリモート支援システム1の監視ブロック100は、リモートセンタ7から自律走行装置3へ与えるリモートデータとして、ノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常の発生を優先通信帯域TPCを通じて自律走行装置3に通知する通知データDn(図2,3参照)を、生成してもよい。S110において生成された通知データDnは、リモートセンタ7の通信装置8から通信ネットワークNWに出力されることで、優先通信帯域TPCを経由して自律走行装置3に送信される。S110では、優先通信帯域TPCを経由での通信品質が正常と判断された場合に限って、通知データDnが出力されて自律走行装置3に受信されてもよい。S110では、優先通信帯域TPCを経由での通信品質が判断されるに先立っていち早く、通知データDnが出力されることで、正常な優先通信帯域TPCを経由の場合のみに通知データDnが自律走行装置3に受信されてもよい。
【0033】
S100においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常が発生していると判断されてから、S110において優先通信帯域TPCを経由での通信品質は正常と判断されると、処理フローはS110からS120へ移行する。S120におけるリモート支援システム1のリモートブロック110(図2参照)は、リモートセンタ7から自律走行装置3へ与えるリモートデータとして、正常な優先通信帯域TPCを通じて自律走行装置3の制御状態を指示する指示データDo(図2,3参照)を、生成する。S120において生成された指示データDoは、リモートセンタ7の通信装置8から通信ネットワークNWに出力されることで、正常な優先通信帯域TPCを経由して自律走行装置3に送信される。
【0034】
S120において指示データDoは、自律走行装置3を最小リスク状態(Minimal Risk Condition:MRC)へ遷移させるためにリモートブロック110により計画される、例えば最小リスク操作(Minimum Risk Manoeuvre:MRM)又はDDT(Dynamic Driving Task)フォールバック操作等の、フェイルセーフ操作による制御状態を指示するとよい。そこでS120におけるリモートブロック110は、通信ネットワークNWに接続される他の自律走行装置及び/又はインフラユニットのセンシングデータを、通信装置8に受信させて指示データDoの生成に利用してもよい。S120におけるリモートブロック110は、通信ネットワークNWに接続される他の自律走行装置及び/又はインフラユニットと自律走行装置3の間でのV2X通信により、当該装置3から入手されるセンシングデータ若しくは自己診断データを、通信装置8に受信させて指示データDoの生成に利用してもよい。
【0035】
S120において指示データDoにより指示される最小リスク状態は、ノーマル通信帯域NPCにおける通信品質異常の種類に応じて、自律走行装置3の縮退レベルに関する制御状態を調整されてもよい。この場合の指示データDoは例えば、停止通信途絶に対しては自律走行装置3を安全エリアに緊急停止させる制御操作を指示する一方、通信途絶以外の通信異常に対しては自律走行装置3を減速走行させる制御操作を指示するように、生成されてもよい。ここで特に、リスク回避の緊急度は前者よりも低くなる後者の例示では、減速走行により自律走行装置3を退避走行させる及び/又は通信品質を復帰させるための、走行ルートも指示するように指示データDoが生成されてもよい。
【0036】
S120において指示データDoにより指示される最小リスク状態は、例えば自動運転車両である自律走行装置3の自動運転レベルに応じて、自律走行装置3の縮退レベルに関する制御状態を調整されてもよい。この場合の指示データDoは例えば、低い自動運転レベルでの走行状況では自律走行装置3からドライバ又は外部牽引車への制御操作の権限移譲を指示する一方、高い自動運転レベルでの走行状況では自律走行装置3を減速走行させる制御操作を指示するように、生成されてもよい。ここで特に、リスク回避の緊急度は前者よりも低くなる後者の例示では、減速走行により自律走行装置3を退避走行させる及び/又は通信品質を復帰させるための、走行ルートも指示するように指示データDoが生成されてもよい。
【0037】
S120において指示データDoにより指示される最小リスク状態は、自律走行装置3の外部及び/又は内部への、報知若しくは警告を遂行するための制御状態であってもよい。S120において指示データDoにより指示される最小リスク状態は、自律走行装置3において蓄積されるドライブレコーダデータ及び/又は自己診断データを、例えばリモートセンタ7等の外部へ一時退避させるための制御状態であってもよい。
【0038】
S120において指示データDoにより指示される最小リスク状態は、自律走行装置3の通信品質を復帰させるための制御状態であってもよい。この場合の指示データDoは、例えば通信装置4又はその実行プログラムのリセット指示若しくは再起動指示、自動復帰プロトコルの遂行指示、自動診断の遂行指示、並びに通信復旧見込みの予測データ等を含んで生成されてもよい。
【0039】
以上のS120において指示データDoの生成及び出力は、一回だけ遂行されてもよいし、複数回繰り返して遂行されてもよい。但し、複数回繰り返しの場合に指示データDoは、初回における最小リスク状態への遷移制御を維持又は更新するように、指示を与えることとなる。また、このようなS120が完了するのに応じてリモート支援システム1側では、処理フローの今回実行が終了する。
【0040】
図5に示すS200において、ノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常が発生していると判断されてから、S210において優先通信帯域TPCを経由での通信品質は正常と判断されると、処理フローはS210から、S120と連携して実行されるS220へ移行する。S220における制御装置2の制御ブロック210は、ノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常の場合にリモートセンタ7から与えられるリモートデータとして、正常な優先通信帯域TPCを通じて指示される指示データDo(図2,3参照)を、通信装置4に受信させる。
【0041】
さらに、S220における制御ブロック210は、受信された最新の指示データDoに基づくことで、自律走行装置3を制御する。このとき、指示データDoが最小リスク状態への遷移を指示している場合の制御ブロック210は、自律走行装置3を当該最小リスク状態へ遷移させる遷移制御を、遂行する。
【0042】
以上のS220において指示データDoの受信及びそれに基づく制御は、一回だけ遂行されてもよいし、複数回繰り返して遂行されてもよい。但し、複数回繰り返しの場合に指示データDoに基づく制御は、初回における最小リスク状態への遷移制御を維持又は更新するように、遂行されることとなる。また、このようなS220が完了するのに応じて制御装置2側では、処理フローの今回実行が終了する。
【0043】
図4に示すS100において、ノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常が発生していると判断されてから、S110において優先通信帯域TPCを経由での通信品質異常も発生していると判断される場合、リモートセンタ7によるリモート支援は実質困難となる。そこで、この場合にリモート支援システム1側では、処理フローの今回実行が終了する。またこの場合、図5に示すS200においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常が発生していると判断されてから、S210において優先通信帯域TPCを経由での通信品質異常も発生していると判断されることで、制御装置2側では処理フローがS210からS222へ移行する。
【0044】
S222において制御装置2の制御ブロック210は、指示データDoに基づくリモート支援を解除して、自身により計画する最小リスク状態に自律走行装置3を強制制御する。このとき自律走行装置3を強制制御により遷移させる最小リスク状態は、S120により指示されてS220により遂行される制御状態よりもリスク回避の緊急度を高める側に、計画される。即ち、ノーマル通信帯域NPC及び優先通信帯域NPCの各々を経由する通信状態のいずれにも通信品質異常が発生した場合には、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも、安全サイドの最小リスク状態へ自律走行装置3が遷移制御される。
【0045】
以上のS222における強制制御は、一回だけ遂行されてもよいし、複数回繰り返して遂行されてもよい。但し、複数回繰り返しの場合の制御は、初回における最小リスク状態への遷移制御を維持又は更新するように、遂行されることとなる。また、このようなS222が完了するのに応じて制御装置2側では、処理フローの今回実行が終了する。
【0046】
図4に示すS100において、ノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されると、処理フローはS100からS130へ移行する。S130におけるリモート支援システム1のリモートブロック110は、リモートセンタ7から自律走行装置3へ与えるリモートデータとして、正常なノーマル通信帯域NPCを通じて自律走行装置3の制御状態を指示する指示データDoを、生成する。S130において生成された指示データDoは、リモートセンタ7の通信装置8から通信ネットワークNWに出力されることで、ノーマル通信帯域NPCを経由して自律走行装置3に送信される。
【0047】
S130において指示データDoは、自律走行装置3をノミナル状態に制御するためにリモートブロック110により計画される制御状態を、指示するとよい。ここでノミナル状態とは、自律走行装置3が例えば故障、機能不十分性、又は潜在的に危険な挙動等から解放されて制御装置2によりノミナル操作されている状態に、定義される。
【0048】
以上のS130において指示データDoの生成及び出力は、一回だけ遂行されてもよいし、複数回繰り返して遂行されてもよい。但し、複数回繰り返しの場合に指示データDoは、初回におけるノミナル状態への制御を維持又は更新するように、指示を与えることとなる。また、このようなS130が完了するのに応じてリモート支援システム1側では、処理フローの今回実行が終了する。
【0049】
図5に示すS200において、ノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されると、処理フローはS200から、S130と連携して実行されるS230へ移行する。S230における制御装置2の制御ブロック210は、リモートセンタ7から与えられるリモートデータとして、正常なノーマル通信帯域NPCを通じて指示される指示データDoを、通信装置4に受信させる。さらに、S230における制御ブロック210は、受信された最新の指示データDoに基づくことで、自律走行装置3を制御する。このとき制御ブロック210は、指示データDoの指示するノミナル状態へ自律走行装置3を制御する、ノミナル制御を遂行する。
【0050】
以上のS230において指示データDoの受信及びそれに基づく制御は、制御装置2から通信装置4,8を通じたリモート支援システム1への支援要求に応答して、実現されてもよい。また、S230において指示データDoの受信及びそれに基づく制御は、一回だけ遂行されてもよいし、複数回繰り返して遂行されてもよい。但し、複数回繰り返しの場合に指示データDoに基づく制御は、初回におけるノミナル状態への制御を維持又は更新するように、遂行されることとなる。さらに、このようなS230が完了するのに応じて制御装置2側では、処理フローの今回実行が終了する。
【0051】
ここまでの第一実施形態では、処理フローの今回実行においてノーマル通信帯域NPCと優先通信帯域TPCとのうち少なくとも一方での通信品質が異常と判断されると、次回以降の処理フローにて正常な通信品質への復帰が判断されることになる。その結果、次回以降の処理フローにてS130,S230が実行されることで、自律走行装置3がノミナル状態へ復帰する。
【0052】
(作用効果)
以上説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0053】
第一実施形態のリモート支援システム1によると、リモートセンタ7と自律走行装置3との間での通信ネットワークNWに含まれるセルラーネットワークCWにおいて、ノーマル通信帯域NPC及び優先通信帯域TPCの各々を経由する通信状態が、個別に監視される。そこで、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、リモートセンタ7から自律走行装置3に与えられるリモートデータとして、正常な優先通信帯域TPCを通じて自律走行装置3の制御状態を指示する指示データDoが、生成される。これによれば、ノーマル通信帯域NPCに通信品質異常が発生する緊急状況にこそ、ノーマル通信帯域NPCよりも優先制御される優先通信帯域TPCの利用権を自律走行装置3に許諾して、リモートセンタ7からの指示データDoに基づくリモート支援を継続させることができる。故に、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を確保することが可能となる。
【0054】
第一実施形態のリモート支援システム1によると、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、正常な優先通信帯域TPCを通じて制御状態としての最小リスク状態への遷移を自律走行装置3に指示する指示データDoが、生成される。これによれば、ノーマル通信帯域NPCに通信品質異常が発生する緊急状況にこそ、優先通信帯域TPCの利用権を自律走行装置3に許諾して、指示データDoに基づく最小リスク状態への遷移を自律走行装置3を指示することができる。故に、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を高めることが可能となる。
【0055】
第一実施形態のリモート支援システム1によると、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、正常な優先通信帯域TPCを通じて当該通信品質異常の発生を自律走行装置3に通知する通知データDnが、リモートデータとして生成されてもよい。これにより、ノーマル通信帯域NPCには通信品質異常の発生する緊急状況が、優先通信帯域TPCの優先利用により自律走行装置3へといち早く伝達されてもよい。あるいは、ノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質異常を認識した自律走行装置3において、通知データDnの受信がタイムアウトする場合には、優先通信帯域TPCを経由する通信状態にも通信品質異常の発生している状況が、認識されてもよい。これらのいずれでも、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を高める上で有効となる情報を、自律走行装置3に与えることが可能となる。
【0056】
第一実施形態の制御装置2によると、自律走行装置3とリモートセンタ7との間での通信ネットワークNWに含まれるセルラーネットワークCWにおいて、ノーマル通信帯域NPC及び優先通信帯域TPCの各々を経由する通信状態が、個別に監視される。そこで、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、リモートセンタ7から自律走行装置3に与えられるリモートデータとして、正常な優先通信帯域TPCを通じて指示される指示データDoに基づき、自律走行装置3が制御される。これによれば、ノーマル通信帯域NPCに通信品質異常が発生する緊急状況にこそ、ノーマル通信帯域NPCよりも優先制御される優先通信帯域TPCの利用権が自律走行装置3に許諾されることで、リモートセンタ7からの指示データDoに基づくリモート支援が継続され得る。故に、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を確保することが可能となる。
【0057】
第一実施形態の制御装置2によると、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、正常な優先通信帯域TPCを通じて指示される指示データDoに基づき、自律走行装置3が最小リスク状態へ遷移する。これによれば、ノーマル通信帯域NPCに通信品質異常が発生する緊急状況にこそ、優先通信帯域TPCの利用権が自律走行装置3に許諾されることで、指示データDoに基づく最小リスク状態に自律走行装置3が遷移し得る。故に、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を高めることが可能となる。
【0058】
第一実施形態の制御装置2によると、ノーマル通信帯域NPC及び優先通信帯域TPCの各々を経由する通信状態のいずれにも通信品質異常が発生した場合には、指示データDoに基づくリモート支援が解除される。そこでこの場合には、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも、安全サイドの最小リスク状態に自律走行装置3が強制制御される。これによれば、リモート支援においてノーマル通信帯域NPCの利用だけでなく、優先通信帯域TPCの利用も困難となる緊急状況にあっても、リスクに対して安全性を担保可能な最小リスク状態に自律走行装置3が遷移し得る。故に、通信品質異常に対するフェイルセーフ性を高めることが可能となる。
【0059】
(第二実施形態)
図6,7に示すように第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0060】
図6に示す第二実施形態では、S100においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されると、処理フローはS100からS2140へ移行する。S2140におけるリモート支援システム1の監視ブロック100は、優先通信帯域TPCを経由する通信状態を、S110と同様に監視する。
【0061】
S100においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されてから、S2140において優先通信帯域TPCを経由での通信品質も正常と判断されると、処理フローはS2140からS130へ移行する。一方、S100においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されてから、S2140において優先通信帯域TPCを経由での通信品質異常が発生していると判断されると、処理フローはS2140からS2150へ移行する。
【0062】
S2150におけるリモート支援システム1のリモートブロック110は、リモートセンタ7からのリモートデータとして、正常なノーマル通信帯域NPCを通じて自律走行装置3の制御状態を指示する指示データDoを、生成する。S2150において生成された指示データDoは、リモートセンタ7の通信装置8から通信ネットワークNWに出力されることで、ノーマル通信帯域NPCを経由して自律走行装置3に送信される。
【0063】
S2150において指示データDoの指示する最小リスク状態は、S120により指示されてS220により遂行される制御状態よりもリスク回避の緊急度を高める側に、計画される。即ち、優先通信帯域NPCを経由する通信状態単独での通信品質異常が発生した場合には、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも、安全サイドの最小リスク状態への遷移が指示データDoにより自律走行装置3へと指示される。
【0064】
以上のS2150において指示データDoの生成及び出力は、一回だけ遂行されてもよいし、複数回繰り返して遂行されてもよい。但し、複数回繰り返しの場合に指示データDoは、初回における最小リスク状態への遷移制御を維持又は更新するように、指示を与えることとなる。また、このようなS2150が完了するのに応じてリモート支援システム1側では、処理フローの今回実行が終了する。
【0065】
図7に示す第二実施形態では、S200においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されると、処理フローはS200からS2240へ移行する。S2240における制御装置2の監視ブロック200は、優先通信帯域TPCを経由する通信状態を、S210と同様に監視する。
【0066】
S200においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されてから、S2240において優先通信帯域TPCを経由での通信品質も正常と判断されると、処理フローはS2240からS230へ移行する。一方、S200においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されてから、S2240において優先通信帯域TPCを経由での通信品質異常が発生していると判断されると、処理フローはS2240からS2250へ移行する。
【0067】
S2250における制御装置2の制御ブロック210は、優先通信帯域TPCを経由での通信品質異常の場合にリモートセンタ7から与えられるリモートデータとして、正常なノーマル通信帯域NPCを通じて指示される指示データDoを、通信装置4に受信させる。
【0068】
さらに、S2250における制御ブロック210は、受信された最新の指示データDoに基づくことで、自律走行装置3を制御する。このとき制御ブロック210は、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態単独での通信品質異常の場合となるS220よりも、リスク回避の緊急度を指示データDoに基づき高める安全サイドの最小リスク状態へ、自律走行装置3を遷移させる遷移制御を遂行する。
【0069】
以上のS2250において指示データDoの受信及びそれに基づく制御は、一回だけ遂行されてもよいし、複数回繰り返して遂行されてもよい。但し、複数回繰り返しの場合に指示データDoに基づく制御は、初回における最小リスク状態への遷移制御を維持又は更新するように、遂行されることとなる。また、このようなS2250が完了するのに応じて制御装置2側では、処理フローの今回実行が終了する。
【0070】
ここまで説明した第二実施形態のリモート支援システム1によると、優先通信帯域TPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、正常なノーマル通信帯域NPCを通じて制御状態としての最小リスク状態への遷移を自律走行装置3に指示する指示データDoが、生成される。これによれば、ノーマル通信帯域NPCよりも優先制御される優先通信帯域TPCの利用が困難となる緊急状況では、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドにて、最小リスク状態への遷移が自律走行装置3に対して指示され得る。故に、通信品質異常に対する高いフェイルセーフ性を担保することが可能となる。
【0071】
第二実施形態の制御装置2によると、優先通信帯域TPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、正常なノーマル通信帯域NPCを通じて指示される指示データDoに基づき、自律走行装置3が最小リスク状態へ遷移する。これによれば、ノーマル通信帯域NPCよりも優先制御される優先通信帯域TPCの利用が困難となる緊急状況では、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドにて、最小リスク状態への遷移が自律走行装置3に対して実現され得る。故に、通信品質異常に対する高いフェイルセーフ性を担保することが可能となる。
【0072】
(第三実施形態)
図8,9に示すように第三実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0073】
図8に示す第三実施形態では、S100においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されてから、S2140において優先通信帯域TPCを経由での通信品質異常が発生していると判断されると、処理フローの今回実行が終了する。そこで、図9に示す第三実施形態では、S200においてノーマル通信帯域NPCを経由での通信品質は正常と判断されてから、S2240において優先通信帯域TPCを経由での通信品質異常が発生していると判断された場合には、処理フローがS2240からS222へと移行する。
【0074】
ここまで説明した第三実施形態の制御装置2によると、優先通信帯域TPCを経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合には、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態が正常及び異常のいずれであっても、指示データDoに基づくリモート支援が解除される。そこでこの場合には、ノーマル通信帯域NPCを経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも、安全サイドの最小リスク状態に自律走行装置3が強制制御される。これによれば、ノーマル通信帯域NPCよりも優先制御される優先通信帯域TPCの利用が困難となる緊急状況では、ノーマル通信帯域NPCの利用までもが困難となる事態に備えて、リスクに対して安全性を担保可能な最小リスク状態への遷移が自律走行装置3において事前に実現され得る。故に、通信品質異常に対する高いフェイルセーフ性を担保することが可能となる。
【0075】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0076】
変形例においてリモート支援システム1及び制御装置2の各々を構成する専用コンピュータは、デジタル回路及びアナログ回路のうち、少なくとも一方をプロセッサとして有していてもよい。ここでデジタル回路とは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを記憶したメモリを、有していてもよい。
【0077】
変形例の処理フローでは、S222においてS220と同一又は同等レベルの最小リスク状態に自律走行装置3が強制制御されてもよい。変形例の処理フローでは、S120においてリスク回避の緊急度がより低い通信品質異常及び/又はより低い自動運転レベルの場合には、ノミナル状態を指示する指示データDoの生成により、S220ではノミナル状態に自律走行装置3が制御されてもよい。変形例の処理フローでは、S2150においてS120と同一又は同等レベルの最小リスク状態を指示する指示データDoの生成により、S2250においてS220と同一又は同等レベルの最小リスク状態に自律走行装置3が遷移制御されてもよい。
【0078】
ここまで説明した実施形態及び変形例の制御装置2は、自律走行装置3に搭載可能に構成されてプロセッサ22及びメモリ20を少なくとも一つずつ有する半導体装置(例えば半導体チップ等)の形態にて、実施されてもよい。
【0079】
(付言)
本明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0080】
(技術的思想1)
プロセッサ(12)を有し、ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、自律走行装置(3)の制御をリモートセンタ(7)により支援するリモート支援システムであって、
前記プロセッサは、
前記リモートセンタと前記自律走行装置との間において前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
前記リモートセンタと前記自律走行装置との間において前記優先通信帯域を経由する通信状態を、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記自律走行装置に与えるリモートデータとして、正常な前記優先通信帯域を通じて前記自律走行装置の制御状態を指示する指示データ(Do)を生成することとを、実行するように構成されるリモート支援システム。
【0081】
(技術的思想2)
前記リモートデータを生成することは、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、正常な前記優先通信帯域を通じて前記制御状態としての最小リスク状態への遷移を前記自律走行装置に指示する前記指示データを生成することを、含む技術的思想1に記載のリモート支援システム。
【0082】
(技術的思想3)
前記リモートデータを生成することは、
前記優先通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記制御状態としての最小リスク状態への遷移であって、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドの最小リスク状態への遷移を、正常な前記ノーマル通信帯域を通じて前記自律走行装置に指示する前記指示データを生成することを、含む技術的思想2に記載の制御装置。
【0083】
(技術的思想4)
前記リモートデータを生成することは、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、正常な前記優先通信帯域を通じて当該通信品質異常の発生を前記自律走行装置に通知する通知データ(Dn)を、前記リモートデータとして生成することを、含む技術的思想1~3のいずれか一項に記載のリモート支援システム。
【0084】
(技術的思想5)
プロセッサ(22)を有し、ノーマル通信帯域(NPC)よりも優先通信帯域(TPC)が優先制御されるセルラーネットワーク(CW)を含んだ通信ネットワーク(NW)を介して、リモートセンタ(7)により支援される自律走行装置(3)を制御する制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記自律走行装置と前記リモートセンタとの間において前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態を、監視することと、
前記自律走行装置と前記リモートセンタとの間において前記優先通信帯域を経由する通信状態を、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態とは個別に監視することと、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記リモートセンタから与えられるリモートデータとして、正常な前記優先通信帯域を通じて指示される指示データ(Do)に基づき前記自律走行装置を制御することとを、実行するように構成される制御装置。
【0085】
(技術的思想6)
前記自律走行装置を制御することは、
前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、正常な前記優先通信帯域を通じて指示される前記指示データに基づき前記自律走行装置を最小リスク状態へ遷移させることを、含む技術的思想5に記載の制御装置。
【0086】
(技術的思想7)
前記自律走行装置を制御することは、
前記ノーマル通信帯域及び前記優先通信帯域の各々を経由する通信状態のいずれにも通信品質異常が発生した場合に、前記指示データに基づくリモート支援を解除して、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドの最小リスク状態に前記自律走行装置を強制制御することを、含む技術的思想6に記載の制御装置。
【0087】
(技術的思想8)
前記自律走行装置を制御することは、
前記優先通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、正常な前記ノーマル通信帯域を通じて指示される前記指示データに基づき、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドの最小リスク状態へ、前記自律走行装置を遷移させることを、含む技術的思想6又は7に記載の制御装置。
【0088】
(技術的思想9)
前記自律走行装置を制御することは、
前記優先通信帯域を経由する通信状態に通信品質異常が発生した場合に、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態が正常及び異常のいずれであっても、前記指示データに基づくリモート支援を解除して、前記ノーマル通信帯域を経由する通信状態単独での通信品質異常の場合よりも安全サイドの最小リスク状態に前記自律走行装置を強制制御することを、含む技術的思想6又は7に記載の制御装置。
【0089】
尚、上述した技術的思想1~9は、方法及びプログラムの各技術的思想で把握されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1:リモート支援システム、2:制御装置、3:自律走行装置、7:リモートセンタ、9:管理センタ、10,20:メモリ、12,22:プロセッサ、CW:セルラーネットワーク、Dn:通知データ、Do:指示データ、NW:通信ネットワーク、TPC:優先通信帯域、NPC:ノーマル通信帯域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9