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特開2024-179667測定システム、データ処理装置、測定装置、データ処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179667
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】測定システム、データ処理装置、測定装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/16 20060101AFI20241219BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20241219BHJP
【FI】
G01V1/16
H04B10/80
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098681
(22)【出願日】2023-06-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】523229171
【氏名又は名称】サイスガジェット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】清水 賢
【テーマコード(参考)】
2G105
5K102
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB01
2G105DD02
2G105EE02
2G105LL01
5K102AL23
5K102AL28
5K102PH31
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】海底に設置された測定装置の測定結果のクロックドリフトの影響を軽減する。
【解決手段】データ処理装置1は、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置4が検出した地震波に基づいて測定装置4が生成し、測定装置4で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するデータ取得部183と、(1)測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、測定期間が開始した時点における測定データに関連付けられた内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、測定期間が終了した時点における測定データに関連付けられた内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部184と、少なくとも第1時刻差及び第2時刻差に基づいて、複数の測定データに関連付けられた内部時刻を補正する補正部185と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に設置された測定装置と、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて前記測定装置が検出した地震波の測定データを解析するデータ処理装置と、を備え、
前記測定装置は、
計時に使用される発振器と、
前記発振器に基づいて計時された内部時刻に関連付けられた複数の前記測定データを作成する測定データ作成部と、
を有し、
前記測定装置又は前記データ処理装置のいずれかが、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有する、
測定システム。
【請求項2】
前記補正部は、前記開始絶対時刻と前記終了絶対時刻との時間差と、前記第1時刻差と前記第2時刻差との差と、に基づいて、単位時間あたりの絶対時刻と前記内部時刻との差の変化量を特定し、特定した前記変化量に基づいて前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記補正部は、前記第1時刻差に、前記開始絶対時刻から前記内部時刻までの経過時間に前記変化量を乗算した値を加算することにより、前記内部時刻における絶対時刻と前記内部時刻との差を特定し、特定した差に基づいて前記内部時刻を補正する、
請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、
絶対時刻を含む第1音響信号を送信する信号送信部をさらに有し、
前記測定装置は、前記第1音響信号を受信する音響信号受信部をさらに有し、
前記時刻差特定部は、前記第1音響信号が示す絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定する、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項5】
前記時刻差特定部は、前記第1音響信号が示す絶対時刻に、前記第1音響信号が前記測定装置に到達するまでに要する時間を加算した時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻と、の差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定する、
請求項4に記載の測定システム。
【請求項6】
前記測定システムは、海中で前記測定装置に絶対時刻を示す第1光信号を発する光通信装置をさらに有し、
前記測定装置は、前記光通信装置が発した前記第1光信号を受信する光信号受信部をさらに有し、
前記時刻差特定部は、前記光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項7】
前記測定システムは、海中で前記測定装置に絶対時刻を示す第1光信号を発する光通信装置をさらに有し、
前記データ処理装置は、前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信する信号送信部をさらに有し、
前記測定装置は、前記光通信装置が発した前記第1光信号を受信する光信号受信部と、をさらに有し、
前記第1音響信号を受信する音響信号受信部と、
をさらに有し、
前記時刻差特定部は、前記信号送信部が前記第1音響信号を送信した絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差を特定し、前記光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて前記第2時刻差を特定する、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項8】
前記補正部は、前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記測定期間が終了した時点における前記測定装置の前記発振器の周波数偏差を特定し、特定した前記周波数偏差を前記測定装置に通知し、
前記測定装置は、前記データ処理装置から通知された前記周波数偏差に基づいて前記発振器の周波数を校正する校正部をさらに有する、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項9】
前記測定システムは、それぞれ異なる位置に設置された複数の前記測定装置を有し、
前記データ処理装置は、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信する信号送信部と、
前記第1音響信号を受信した前記測定装置が発した第2音響信号を受信する信号受信部と、
をさらに有し、
前記信号送信部は、複数の前記測定装置それぞれに対して、前記測定装置を起動させるための起動データを含む前記第1音響信号を送信し、前記起動データに対する応答データを含む前記第2音響信号を前記信号受信部が受信した前記測定装置に対して、時刻データを含む前記第1音響信号を送信する、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項10】
前記データ処理装置は、
前記船舶に搭載されており、
複数の前記測定装置それぞれの位置と前記測定装置の識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記船舶の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
を有し、
前記信号送信部は、前記記憶部に記憶された複数の前記測定装置それぞれの位置を参照することにより、前記位置情報が示す位置から所定の範囲内にある前記測定装置に対して前記時刻データを含む前記第1音響信号を送信する、
請求項9に記載の測定システム。
【請求項11】
前記信号送信部は、前記時刻データを含む前記第1音響信号に対する応答を前記信号受信部が受信した前記測定装置に対して、測定データの記録を開始する指示を示す記録開始データを含む前記第1音響信号を送信する、
請求項10に記載の測定システム。
【請求項12】
前記測定システムは、
前記信号送信部が複数の前記測定装置に対して前記記録開始データを含む前記第1音響信号を送信した後に、前記震動波を発生できる状態になったことを前記発震源に通知する制御装置をさらに有する、
請求項11に記載の測定システム。
【請求項13】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するデータ取得部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項14】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて生じる地震波を海底で測定する測定装置であって、
前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを作成するデータ作成部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有する測定装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
を実行させるためのプログラム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システム、データ処理装置、測定装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
海底に設置された地震探査設備を用いて海底の震動を測定するシステムが知られている。特許文献1には、地震探査設備をPTP(Precision Time Protocol)ネットワークにケーブルで接続することにより、地震探査設備が正確な時刻を認識できるようにすることで、測定装置におけるクロックドリフトの影響が測定結果に及ばないようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-501871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の測定装置を海底に設置して、それぞれの測定装置で測定を行う場合、多数の測定装置をPTPネットワークにケーブルで接続すると、ケーブルの配線コストが大きくなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、海底に設置された測定装置の測定結果におけるクロックドリフトの影響を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の測定システムは、海底に設置された測定装置と、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて前記測定装置が検出した地震波の測定データを解析するデータ処理装置と、を備える。前記測定装置は、計時に使用される発振器と、前記発振器に基づいて計時された内部時刻に関連付けられた複数の前記測定データを作成する測定データ作成部と、を有する。前記測定装置又は前記データ処理装置のいずれかが、(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、を有する。
【0007】
前記補正部は、前記開始絶対時刻と前記終了絶対時刻との時間差と、前記第1時刻差と前記第2時刻差との差と、に基づいて、単位時間あたりの絶対時刻と前記内部時刻との差の変化量を特定し、特定した前記変化量に基づいて前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正してもよい。
【0008】
前記補正部は、前記第1時刻差に、前記開始絶対時刻から前記内部時刻までの経過時間に前記変化量を乗算した値を加算することにより、前記内部時刻における絶対時刻と前記内部時刻との差を特定し、特定した差に基づいて前記内部時刻を補正してもよい。
【0009】
前記データ処理装置は、絶対時刻を含む第1音響信号を送信する信号送信部をさらに有し、前記測定装置は、前記第1音響信号を受信する音響信号受信部をさらに有し、前記時刻差特定部は、前記第1音響信号が示す絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定してもよい。
【0010】
前記時刻差特定部は、前記第1音響信号が示す絶対時刻に、前記第1音響信号が前記測定装置に到達するまでに要する時間を加算した時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻と、の差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定してもよい。
【0011】
前記測定システムは、海中で前記測定装置に絶対時刻を示す第1光信号を発する光通信装置をさらに有し、前記測定装置は、前記光通信装置が発した前記第1光信号を受信する光信号受信部をさらに有し、前記時刻差特定部は、前記光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定してもよい。
【0012】
前記測定システムは、海中で前記測定装置に絶対時刻を示す第1光信号を発する光通信装置をさらに有し、前記データ処理装置は、前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信する信号送信部をさらに有し、前記測定装置は、前記光通信装置が発した前記第1光信号を受信する光信号受信部と、をさらに有し、前記第1音響信号を受信する音響信号受信部と、をさらに有し、前記時刻差特定部は、前記信号送信部が前記第1音響信号を送信した絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差を特定し、前記光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて前記第2時刻差を特定してもよい。
【0013】
前記補正部は、前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記測定期間が終了した時点における前記測定装置の前記発振器の周波数偏差を特定し、特定した前記周波数偏差を前記測定装置に通知し、前記測定装置は、前記データ処理装置から通知された前記周波数偏差に基づいて前記発振器の周波数を校正する校正部をさらに有してもよい。
【0014】
前記測定システムは、それぞれ異なる位置に設置された複数の前記測定装置を有し、前記データ処理装置は、前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信する信号送信部と、前記第1音響信号を受信した前記測定装置が発した第2音響信号を受信する信号受信部と、をさらに有し、前記信号送信部は、複数の前記測定装置それぞれに対して、前記測定装置を起動させるための起動データを含む前記第1音響信号を送信し、前記起動データに対する応答データを含む前記第2音響信号を前記信号受信部が受信した前記測定装置に対して、時刻データを含む前記第1音響信号を送信してもよい。
【0015】
前記データ処理装置は、前記船舶に搭載されており、複数の前記測定装置それぞれの位置と前記測定装置の識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記船舶の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、前記信号送信部は、前記記憶部に記憶された複数の前記測定装置それぞれの位置を参照することにより、前記位置情報が示す位置から所定の範囲内にある前記測定装置に対して前記時刻データを含む前記第1音響信号を送信してもよい。
【0016】
前記信号送信部は、前記時刻データを含む前記第1音響信号に対する応答を前記信号受信部が受信した前記測定装置に対して、測定データの記録を開始する指示を示す記録開始データを含む前記第1音響信号を送信してもよい。
【0017】
前記測定システムは、前記信号送信部が複数の前記測定装置に対して前記記録開始データを含む前記第1音響信号を送信した後に、前記震動波を発生できる状態になったことを前記発震源に通知する制御装置をさらに有してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様のデータ処理装置は、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するデータ取得部と、(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、を有する。
【0019】
本発明の第3の態様の測定装置は、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて生じる地震波を海底で測定する測定装置であって、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを作成するデータ作成部と、(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、を有する。
【0020】
本発明の第4の態様のデータ処理方法は、コンピュータが実行する、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、を有する。
【0021】
本発明の第5の態様のプログラムは、コンピュータに、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、海底に設置された測定装置の測定結果のクロックドリフトの影響を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】測定システムSの概要を示す図である。
図2】複数の測定装置4を起動する手順について説明するための図である。
図3】それぞれの測定装置4の状態を示す管理テーブルの一例を示す図である。
図4】データ処理装置1の構成を示す図である。
図5】測定装置4の構成を示す図である。
図6】発振器のエージング特性について説明するための図である。
図7】発振器のエージング特性について説明するための図である。
図8】測定終了時点で音響信号を用いて第2時刻差を算出する場合と、光信号を用いて第2時刻差を算出する場合との違いを説明するための図である。
図9】周波数の校正が可能な測定装置4の構成を示す図である。
図10】校正部483による発振器41の周波数の校正について説明するための図である。
図11】データ処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図12】データ処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図13】測定データの補正処理(S25)の流れを示すフローチャートである。
図14】第1変形例に係るデータ処理装置1Aの構成を示す図である。
図15】第1変形例に係る測定装置4Aの構成を示す図である。
図16】第1変形例に係るデータ処理装置1Aにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図17】第1変形例に係る測定装置4Aにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図18】第2変形例に係るデータ処理装置1Bの構成を示す図である。
図19】第2変形例に係る測定装置4Bの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[測定システムSの概要]
図1は、測定システムSの概要を示す図である。測定システムSは、海底下地質構造を解析するための海洋物理探査システムである。測定システムSにおいては、エアガン又はスパーカー等の発震源2から震動波を発生し、海底に設置された多数の測定装置4が震動波を測定した結果を用いてデータ処理装置1が海底下地質構造を解析する。
【0025】
測定システムSは、データ処理装置1と、発震源2と、光通信装置3と、複数の測定装置4と、を備える。データ処理装置1、発震源2及び光通信装置3は、海洋を移動可能な船舶100に搭載されている。複数の測定装置4は、所定の距離以上の間隔で海底に設置されている。
【0026】
データ処理装置1は、例えばコンピュータであり、震動波が発せられたタイミングで複数の測定装置4において観測された海底の震動状態を示す測定データを取得し、取得した測定データを解析する。すなわち、データ処理装置1は、海底に設置された測定装置4と、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源2から震動波が発せられたことに応じて測定装置4が検出した地震波の測定データを解析する。図1(a)に示すように、データ処理装置1は、音響信号を送受信することにより、複数の測定装置4を制御するとともに、複数の測定装置4が生成した測定データを受信する。また、データ処理装置1は、例えばPTPネットワーク又はGPS(Global Positioning System)から絶対時刻を示す情報を取得する。
【0027】
発震源2は、測定期間中に震動波を発生させる。発震源2は、例えばデータ処理装置1の制御に基づいて震動波を発生させるが、データ処理装置1と異なる制御装置(例えば船舶100と異なる船に搭載されたコンピュータ)の制御に基づいて震動波を発生させてもよい。
【0028】
光通信装置3は、データ処理装置1の制御に基づいて少なくとも1つの測定装置4との間で光通信をすることにより、測定装置4から測定データを取得する。光通信装置3は、海中で測定装置4に第1光信号を発し、第1光信号を受信した測定装置4が送信した第2光信号を受信する。光通信装置3は、ケーブルCによりデータ処理装置1と接続されており、データ処理装置1の制御に基づいて、測定装置4との間で光通信をすることができる位置まで潜航した後に、測定装置4との間で光通信をする。光通信装置3は、複数の測定装置4の近傍まで順次移動し、複数の測定装置4から測定データを順次取得する。なお、測定システムSが複数の光通信装置3を有しており、複数の光通信装置3が複数の測定装置4から測定データを取得してもよい。
【0029】
測定装置4は、測定装置4の振動量を示す測定データを生成する。測定データは、震動波に起因する測定装置4の振動量を示す。測定データは、測定装置4が有するセンサが検出した振動の大きさを示すデータであり、例えば、センサが出力する信号を1ミリ秒ごとにサンプリングすることにより生成された測定値を含むデータである。測定データは測定装置4の内部の発振器により計時された内部時刻に関連付けられている。測定装置4は、光信号により光通信装置3に測定データを送信する。
【0030】
ところで、測定装置4の内部時刻は測定装置4が内蔵する発振器により計時された時刻なので、絶対時刻と異なっている。さらに、測定装置4が有する発振器のエージング特性の影響で、発振器の周波数は時間の経過に伴って変化する。その結果、測定装置4が測定データに関連付ける内部時刻と絶対時刻との間には差が生じる。発振器として、エージング特性が比較的良好なチップスケール原子発振器(CSAC:Chip Scale Atomic Clock)を使用したとしても、時間の経過に伴って周波数オフセットが生じてしまう。絶対時刻と内部時刻との間に差があると、発震源2が震動波を発したタイミングと測定データが示す地震波のタイミングとの関係を特定することができないため、地震波に基づく海底下地質構造の解析精度が低下してしまうという問題が生じる。
【0031】
そこで、データ処理装置1は、測定開始時点と測定終了時点において、音響信号又は光信号を用いて絶対時刻と測定装置4における内部時刻との時刻差を特定し、特定した結果に基づいて、測定データに関連付けられている内部時刻を補正する。測定装置4が有する発振器が、時間の経過によらず、単位時間あたりの周波数オフセットの変化量がほぼ一定である場合、測定期間内の各測定時点における絶対時刻と内部時刻との間の時刻差も線形に変化する。すなわち、単位時間あたりの時刻差がほぼ一定である。データ処理装置1は、この特徴を利用して、測定開始時点からの経過時間に単位時間あたりの時刻差の変化量を乗算することにより、それぞれの測定値に対応する内部時刻と絶対時刻との差を算出する。データ処理装置1は、算出した時刻の差に基づいて、測定データに関連付けられている内部時刻を補正する。
【0032】
データ処理装置1がこのように動作することにより、データ処理装置1は、測定装置4が測定中に継続的に音響信号又は光信号を用いて絶対時刻と測定装置4における内部時刻との時刻差を特定する必要がなく、測定開始時点と測定終了時点における時刻差を特定すればよい。したがって、複数の測定装置4がPTPネットワークに接続されていないとしても、測定効率を大きく低下させることなくデータ処理装置1が測定データを高い精度で解析することができる。
【0033】
[測定装置4の起動手順]
海底下地質構造を解析するための測定は、定期的に実施される。例えば、1年ごとに数日から数週間にわたって測定が実施される。測定を実施する期間が到来するたびに複数の測定装置4を設置すると、設置作業に多大な時間を要するため測定効率が悪い。そこで、本実施形態における測定システムSは、複数年にわたる複数の測定期間において、予め海底に設置された複数の測定装置4に地震波を測定させるように構成されている。
【0034】
測定装置4はバッテリーにより動作するので、長期間にわたって海底に設置された状態で動作していると、バッテリーが短時間で消耗してしまう。そこで、測定システムSにおいては、測定期間を開始する時点で複数の測定装置4が起動し、測定期間が終了すると複数の測定装置4が測定動作を停止するように構成されている。測定動作を停止した測定装置4は、データ処理装置1からの音響信号を受信する機能を維持しつつ、測定装置4が有する発振器を停止させて消費電力を抑えたスリープ状態になる。測定装置4は、例えば、測定を実行する測定状態、発振器が動作しており、かつ測定を実行していないスタンバイ状態、及び発振器が停止しており、かつ測定を実行していないスリープ状態を有する。
【0035】
図2及び図3は、複数の測定装置4を起動する手順について説明するための図である。図2は、複数の測定装置4を上方から見た状態を模式的に示している。図2に示す円(〇)は、海底に設置された測定装置4を示している。円の下の数字は、測定装置4を識別するため識別情報(ID)である。
【0036】
データ処理装置1は、船舶100が移動している間に、音響信号が到達する範囲(例えば図2における破線の枠内の範囲)の測定装置4に対して制御情報を含む音響信号を送信することにより、測定装置4が測定動作を開始できる状態にする。具体的には、データ処理装置1は、起動コマンド、同期コマンド及び記録開始コマンドを送信することにより、測定装置4が測定動作を開始できる状態にする。図2における破線の矢印は起動コマンドを表しており、実線の矢印は同期コマンドを表している。データ処理装置1は、測定に必要なパラメータ(例えばサンプリング間隔又はプリアンプゲイン)を測定装置4に送信してもよい。
【0037】
起動コマンドには、スリープ状態から測定可能な状態に測定装置4を遷移させる指示に対応する文字列と測定装置4のIDとが含まれる。同期コマンドには、測定装置4の内部時刻を要求する指示に対応する文字列と測定装置4のIDとが含まれる。データ処理装置1は、データ処理装置1が認識している絶対時刻を含む同期コマンドを送信してもよい。以下の説明において、データ処理装置1が同期コマンドを測定装置4に送信し、データ処理装置1が、絶対時刻と測定装置4の内部時刻との関係を特定する処理を「同期」という。記録開始コマンドには、測定データの記録を開始する指示に対応する文字列と測定装置4のIDとが含まれる。
【0038】
図2に示す円の中に文字が記載されていない測定装置4(例えばIDが0606の測定装置4)は、動作を停止している状態である。破線の円の中に「W」が記載されている測定装置4は、起動コマンドを受信し、起動処理を実行中であることを示している。実線の円の中に「W」が記載されている測定装置4は、起動が完了した状態であるが、同期が完了していない状態を示している。破線の円の中に「S」が記載されている測定装置4は、同期コマンドを受信し、同期処理を実行中であることを示している。実線の中に「S」が記載されている測定装置4は、同期が完了した状態を示している。
【0039】
図3は、それぞれの測定装置4の状態を示す管理テーブルの一例を示す図である。図3に示す管理テーブルにおいては、測定装置4のIDと、起動が完了したか否かを示す情報と、同期が完了したか否かを示す情報と、直前アクション(すなわち、直前に実行されたアクション)と、当該アクションが行われた時刻とが関連付けられている。図2における破線領域内の複数の測定装置4の状態、及び図3の管理テーブルにおける時刻からわかるように、データ処理装置1は、起動コマンドの送信と同期コマンドを時分割で異なる測定装置4に送信している。
【0040】
具体的には、データ処理装置1は、第1の測定装置4に起動コマンドを送信してから第1の測定装置4の起動が完了までの間に、起動済の第2の測定装置4に同期コマンドを送信する。データ処理装置1がこのように複数の測定装置4を順次起動させてから同期させることで、測定装置4に起動コマンドを送信してから当該測定装置4が起動するまで待機する場合よりも短時間で複数の測定装置4を測定できる状態にすることができる。また、人がそれぞれの測定装置4を起動させる場合に比べて、短時間で確実に測定装置4を測定できる状態にすることができる。
【0041】
また、データ処理装置1は、一定の向きに進行しながら複数の測定装置4を起動させる。一例として、図2に示すように、データ処理装置1は、船舶100の前方にある複数の測定装置4に起動コマンドを送信し、起動した複数の測定装置4よりも前の位置に船舶100が移動した後に、当該複数の測定装置4に同期コマンドを送信する。
【0042】
このように、データ処理装置1は、データ処理装置1を搭載する船舶100の前方にあり、かつ音響信号を受信できる複数の測定装置4と、船舶100の後方にあり、かつ音響信号を受信できる複数の測定装置4とにコマンドを送信する。データ処理装置1がこのように動作することで、船舶100の前方又は後方のいずれか一方にある測定装置4のみにコマンドを送信する場合に比べて短時間で複数の測定装置4を測定可能な状態にすることができる。
【0043】
なお、図2及び図3には示していないが、データ処理装置1は、同期コマンドに対する応答を測定装置4から受信して同期が完了した後に、同期が完了した測定装置4に対して記録開始コマンドを送信してもよい。記録開始コマンドは、すぐに記録を開始する指示を含むコマンドであってもよく、記録を開始する時刻を示すコマンドであってもよい。データ処理装置1は、全ての測定装置4の同期が完了した後でありかつ発震源が震動波を発生する前に、複数の測定装置4に連続的に記録開始コマンドを送信してもよい。
【0044】
測定を行うたびに多数の測定装置4を海底に設置すると、設置のための時間と費用が多大になる。一方、長期間にわたって測定装置4を動作状態にしておくと、バッテリーが消耗してしまうという問題が生じる。測定システムSにおいては、測定期間の前に、データ処理装置1が複数の測定装置4を順次起動して同期させ、測定期間が終了すると、測定装置4をスリープ状態にしてバッテリーの消耗を抑制する。測定システムSがこのように構成されていることで、長期間にわたって効率良く多数の測定装置4に地震波を測定させることができる。
【0045】
[データ処理装置1の構成]
図4は、データ処理装置1の構成を示す図である。データ処理装置1は、位置情報取得部11と、音響信号送信部12と、音響信号受信部13と、データ送受信部14と、絶対時刻取得部15と、外部通信部16と、記憶部17と、制御部18と、を有する。制御部18は、発震源制御部181と、コマンド作成部182と、データ取得部183と、時刻差特定部184と、補正部185と、を有する。なお、制御部18が有する機能部の一部が、データ処理装置1以外の装置に設けられていてもよい。
【0046】
位置情報取得部11は、データ処理装置1の位置、すなわちデータ処理装置1が搭載された船舶100の位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部11は、例えばGPS衛星から受信した電波を位置情報として取得し、取得した位置情報に基づいて、緯度・経度を特定する。位置情報取得部11は、特定した緯度・経度をコマンド作成部182に通知する。
【0047】
音響信号送信部12は、測定装置4に対して第1音響信号を送信する音響通信ユニットである。音響信号送信部12は、例えば、コマンド作成部182の制御に基づいて、コマンド作成部182から入力された制御データ(例えば各種のコマンド)を含む第1音響信号を送信する。音響信号受信部13は、記憶部17に記憶された複数の測定装置4それぞれの位置を参照することにより、位置情報取得部11が取得した位置情報が示す船舶100の位置から所定の範囲内にある測定装置4に対してコマンドを含む第1音響信号を送信する。所定の範囲は、音響信号送信部12が送信した第1音響信号を測定装置4が受信可能な範囲である。
【0048】
一例として、音響信号送信部12は、複数の測定装置4それぞれに対して、測定装置4を起動させるための起動データである起動コマンドを含む第1音響信号を送信する。音響信号送信部12は、起動コマンドに対する応答データを含む第2音響信号を音響信号受信部13が受信した測定装置4に対して、絶対時刻を示す同期コマンド(すなわち時刻データを含む同期コマンド)を含む第1音響信号を送信する。
【0049】
また、音響信号送信部12は、同期コマンドを含む第1音響信号に対する応答を音響信号受信部13が受信した測定装置4に対して、測定データの記録を開始する指示を示す記録開始データである記録開始コマンドを含む第1音響信号を送信する。すなわち、音響信号送信部12は、同期コマンドに対する応答データを送信した測定装置4に対して、記録開始データを含む第1音響信号を送信する。
【0050】
音響信号送信部12は、1つの測定装置4のIDを含む記録開始コマンドを送信してもよく、同期を完了した複数の測定装置4のIDを含む記録開始コマンドを送信してもよい。音響信号送信部12は、全ての測定装置4を対象とするコマンドであることを示す情報を含む記録開始コマンドを送信してもよい。このような記録開始コマンドを音響信号送信部12が送信することで、記録開始コマンドを1回送信することにより、複数の測定装置4に震動波の記録を開始させることができるので、測定効率が向上する。
【0051】
音響信号受信部13は、第1音響信号を受信した測定装置4が発した第2音響信号を受信する音響通信ユニットである。音響信号受信部13は、例えば、測定装置4の内部時刻を示す第2音響信号を受信する。音響信号受信部13は、受信した音響信号に含まれる時刻データに基づいて内部時刻を特定し、特定した内部時刻をデータ取得部183に通知する。
【0052】
データ送受信部14は、光通信装置3との間でデータを送受信するための通信インターフェースである。データ送受信部14は、例えば、データ取得部183から入力された、測定装置4から内部時刻を取得する指示を含むデータを光通信装置3に送信し、光通信装置3が測定装置4から取得した内部時刻を示す時刻データを受信する。
【0053】
データ送受信部14は、絶対時刻取得部15が取得した絶対時刻を光通信装置3に通知し、光通信装置3が測定装置4から内部時刻を取得した時点の絶対時刻と内部時刻とが関連付けられた時刻データを受信してもよい。データ送受信部14は、例えば、測定期間内の最後の測定が行われる時点から所定の範囲内の時点で光通信装置3が測定装置4から取得した内部時刻を示すデータを受信する。データ送受信部14は、取得した時刻データをデータ取得部183に通知する。
【0054】
絶対時刻取得部15は、例えばGPS衛星から絶対時刻を取得する。絶対時刻取得部15は、取得した絶対時刻を時刻差特定部184に通知する。絶対時刻取得部15は、絶対時刻をデータ送受信部14に通知してもよい。
【0055】
外部通信部16は、補正部185から入力された、内部時刻を補正した後の測定データを含む測定結果を送信する。外部通信部16は、測定結果を解析して海底下地質構造を特定する処理を実行する外部のコンピュータに測定結果を送信してもよく、制御部18が有する他の処理部に送信してもよい。
【0056】
記憶部17は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部17は、制御部18が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部17は、複数の測定装置4に測定を実行させるための各種のデータを記憶する。記憶部17は、例えば、複数の測定装置4それぞれの位置と測定装置4の識別情報とを関連付けて記憶する。具体的には、記憶部17は、複数の測定装置4のIDに関連付けて、測定装置4の緯度・経度を記憶する。
【0057】
また、記憶部17は、図3に示したような管理テーブルを記憶する。さらに、記憶部17は、複数の測定装置4のIDに関連付けて、測定装置4から取得した複数の測定データを記憶する。記憶部17は、測定データが生成された時点における測定装置4の内部時刻に関連付けて、複数の測定データを記憶する。その後、補正部185によって内部時刻から補正された時刻が測定データに関連付けられると、記憶部17は、補正後の時刻に関連付けて測定データを記憶する。
【0058】
制御部18は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部18は、記憶部17に記憶されたプログラムを実行することにより、発震源制御部181、コマンド作成部182、データ取得部183、時刻差特定部184及び補正部185として機能する。
【0059】
発震源制御部181は、発震源2に震動波を発生する指示を送信する。発震源制御部181は、例えば音響信号送信部12が複数の測定装置4に対して記録開始コマンドを含む第1音響信号を送信した後に、発震源2に震動波を発生させる。発震源制御部181は、例えば、全ての測定装置4が測定をできる状態になったという通知をデータ取得部183から受けた後に、震動波を発生する指示を発震源2に送信する。発震源制御部181は、予め定められた日時になると発震源2に震動波を発生させてもよく、外部装置から指示を受けたことに応じて発震源2に震動波を発生させてもよい。データ処理装置1が発震源制御部181を有しておらず、外部の制御装置が発震源制御部181として機能してもよい。
【0060】
コマンド作成部182は、音響信号送信部12が測定装置4に送信するコマンドを作成する。コマンド作成部182は、例えば、起動コマンド、同期コマンド及び記録開始コマンドを作成し、作成したコマンドを音響信号送信部12に入力する。コマンド作成部182は、コマンドを作成する際、記憶部17に記憶された複数の測定装置4が設置された位置の緯度・経度を参照することにより、位置情報取得部11から入力された緯度・経度から所定の範囲内の測定装置4を選択する。コマンド作成部182は、選択した測定装置4のIDを含むコマンドを作成する。
【0061】
図2を参照しながら説明したように、コマンド作成部182は、所定の範囲内の複数の測定装置4のうち、スリープ状態の測定装置4に対する起動コマンドを作成する。コマンド作成部182は、作成した起動コマンドに対応する測定装置4が起動したという通知をデータ取得部183から受けたことに応じて、当該測定装置4に対する同期コマンドを作成する。コマンド作成部182は、作成した同期コマンドに対応する測定装置4が同期を完了したという通知をデータ取得部183から受けたことに応じて、当該測定装置4に対する記録開始コマンドを作成する。
【0062】
コマンド作成部182は、作成したコマンドを音響信号送信部12に入力すると、記憶部17に記憶された管理テーブルにおける「直前アクション」を更新する。コマンド作成部182は、起動コマンドを音響信号送信部12に入力すると、起動コマンドに含まれる測定装置4のIDに対応する「直前アクション」を「起動中」にする。コマンド作成部182は、同期コマンドを音響信号送信部12に入力すると、同期コマンドに含まれる測定装置4のIDに対応する「直前アクション」を「同期中」にする。
【0063】
データ取得部183は、測定装置4から送信される各種のデータを取得する。データ取得部183は、音響信号受信部13を介して、音響信号送信部12が送信したコマンドに対する応答データを取得する。データ取得部183は、応答データを取得したことをコマンド作成部182に通知する。
【0064】
データ取得部183は、応答データを取得した場合に、記憶部17に記憶された管理テーブルにおける「直前アクション」を更新する。データ取得部183は、例えば起動したことを示す応答データを取得した場合に、当該応答データに含まれる測定装置4のIDに対応する「直前アクション」を「起動完了」に更新する。データ取得部183は、測定装置4が同期コマンドを受信したことに応じて送信した測定装置4の内部時刻を含む応答データを取得した場合に、当該応答データに含まれる測定装置4のIDに対応する「直前アクション」を「同期完了」に更新する。データ取得部183は、同期コマンドが送信された絶対時刻と応答データが示す内部時刻とを測定装置4のIDに関連付けて記憶部17に記憶させる。
【0065】
データ取得部183は、測定装置4が記録を開始したことを示す応答データを取得した場合に、当該応答データに含まれる測定装置4のIDに対応する「直前アクション」を「記録開始」に更新する。データ取得部183は、記録開始コマンドに対する応答コマンドを全ての測定装置4から受信した場合、すなわち全ての測定装置4の「直前アクション」が「記録開始」になった場合、測定を開始可能であることを発震源制御部181に通知する。
【0066】
また、データ取得部183は、光通信装置3が第1光信号を発した絶対時刻である発光時刻と、光通信装置3が受信した第2光信号に含まれている内部時刻と、をさらに取得してもよい。第2光信号は、第1光信号を受信したことに応じて測定装置4が送信した光信号である。データ取得部183は、発光時刻と内部時刻とを測定装置4のIDに関連付けて記憶部17に記憶させ、時刻差特定部184に通知する。
【0067】
さらに、データ取得部183は、データ送受信部14を介して、測定装置4から測定データを取得する。データ取得部183は、それぞれ異なる時刻に対応する測定値を示す複数の測定データを取得する。データ取得部183は、例えば、測定期間が終了した後に、光通信装置3が光通信により測定装置4から回収した複数の測定データをデータ送受信部14から取得する。データ取得部183は、測定装置4のIDに関連付けて、取得した測定データを記憶部17に記憶させることにより、時刻差特定部184が測定データを参照できるようにする。
【0068】
時刻差特定部184は、記憶部17に記憶された測定データを参照することにより、絶対時刻と、測定データに関連付けられた測定装置4の内部時刻と、の時刻差を特定する。具体的には、時刻差特定部184は、測定装置4のIDに関連付けて記憶部17に記憶された絶対時刻と内部時刻とを参照することにより、測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、測定期間が開始した時点における測定データに関連付けられた測定装置4の内部時刻との差である第1時刻差を特定する。また、測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、測定期間が終了した時点における測定データに関連付けられた内部時刻との差である第2時刻差と、を特定する。
【0069】
時刻差特定部184は、音響信号送信部12が第1音響信号を送信した絶対時刻と、音響信号受信部13が受信した第2音響信号が示す内部時刻との差に基づいて、第1時刻差及び第2時刻差の少なくともいずれかを特定する。時刻差特定部184は、例えば、コマンド作成部182が同期コマンドで送信した絶対時刻と、同期コマンドに対する応答データに含まれている測定装置4の内部時刻との差に基づいて第1時刻差を特定する。また、時刻差特定部184は、測定期間が終了した後に、光通信装置3が測定装置4に送信した測定データ取得要求コマンドに含まれる絶対時刻と、測定データ取得要求コマンドに対する応答データに含まれている測定装置4の内部時刻との差に基づいて第2時刻差を特定する。
【0070】
音響信号送信部12が第1音響信号を送信してから音響信号受信部13が第2音響信号を受信するまでの間に、音響信号の伝搬に要する時間がある。したがって、測定装置4が第1音響信号を受信した時点における絶対時刻は、音響信号送信部12が第1音響信号を送信した時点における絶対時刻と異なる。そこで、時刻差特定部184は、音響信号送信部12が第1音響信号を送信した絶対時刻に、第1音響信号が測定装置4に到達するまでに要する時間を加算した時刻と、音響信号受信部13が受信した第2音響信号が示す内部時刻と、の差に基づいて、第1時刻差及び第2時刻差の少なくともいずれかを特定してもよい。
【0071】
時刻差特定部184は、音響信号送信部12が第1音響信号を送信した絶対時刻に、測定装置4が第1音響信号を受信してから内部時刻を特定するまでに要する時間をさらに加算した時刻と第2音響信号が示す内部時刻との差に基づいて、第1時刻差及び第2時刻差の少なくともいずれを特定してもよい。このように、時刻差特定部184が第1音響信号の伝搬時間及び測定装置4における処理時間を利用することで、絶対時刻と内部時刻との差の特定精度が向上する。
【0072】
時刻差特定部184は、第1時刻差及び第2時刻差の両方を、音響信号送信部12が第1音響信号を送信した絶対時刻と音響信号受信部13が受信した第2音響信号に含まれる内部時刻との差に基づいて特定してもよいが、少なくともいずれかを、光通信装置3が第1光信号を送信した絶対時刻である発光時刻と光通信装置3が測定装置4から受信した第2光信号に含まれている内部時刻との差に基づいて特定してもよい。
【0073】
時刻差特定部184は、光通信装置3が第1光信号を送信した絶対時刻に、第1光信号が測定装置4に到達するまでに要する時間を加算した時刻と、光通信装置3が受信した第2光信号が示す内部時刻と、の差に基づいて、第1時刻差及び第2時刻差の少なくともいずれかを特定してもよい。光通信装置3が第1光信号を送信した絶対時刻は、データ送受信部14が光通信装置3に第1光信号の送信を指示した時刻であってもよい。
【0074】
光は音響よりも伝搬速度が大きく、音響に比べて伝搬の安定性が高い。また、光通信装置3はデータ処理装置1よりも測定装置4に近い位置で第1光信号を発する。したがって、光通信装置3が発した第1光信号が測定装置4に到達するまでに要する伝搬時間は、音響信号送信部12が送信した第1音響信号が測定装置4に到達するまでに要する伝搬時間よりも短いので、伝搬時間のばらつきが小さい。その結果、光信号を用いて時刻差を特定することで、時刻差の特定精度が向上する。
【0075】
ただし、測定開始時点と測定終了時点の両時点で光通信装置3が測定装置4の近くまで移動すると、光通信装置3が測定装置4の近くまで移動する時間が必要になってしまう。そこで、時刻差特定部184は、測定開始時点においては音響信号を用いて第1時刻差を特定し、光通信装置3が測定データを回収するために測定装置4の近くまで移動する測定終了時点においては光信号を用いて第2時刻差を特定する。時刻差特定部184がこのように動作することで、内部時刻を取得するために光通信装置3が移動する時間が増加することなく、光信号に基づいて高い精度で時刻差を特定できるので、測定効率と測定精度を両立させることができる。
【0076】
補正部185は、記憶部17に記憶された複数の測定データを読み出し、少なくとも第1時刻差及び第2時刻差に基づいて、複数の測定データに関連付けられた内部時刻を補正する。補正部185は、内部時刻を補正した複数の測定データを記憶部17に記憶させる。
【0077】
具体的には、まず、補正部185は、測定開始時点の絶対時刻である開始絶対時刻と、測定終了時点の絶対時刻である終了絶対時刻との時間差と、第1時刻差と第2時刻差との差と、に基づいて、単位時間あたりの絶対時刻と内部時刻との差の変化量を特定する。続いて、補正部185は、特定した変化量に基づいて複数の測定データに関連付けられた内部時刻を補正する。
【0078】
補正部185は、開始絶対時刻から内部時刻までの経過時間に単位時間あたりの変化量を乗算した値を第1時刻差に加算することにより、補正する対象となる測定データに対応する内部時刻における絶対時刻と内部時刻との差を特定する。補正部185は、特定した差に基づいて、補正する対象となる測定データの内部時刻を補正する。測定装置4が有する発振器の単位時間あたりの周波数オフセットの変化量が、時間の経過によらずほぼ一定である場合、このように時刻差特定部184が測定開始時点における第1時刻差と測定終了時点における第2時刻差を用いて効率良く測定データに対応する内部時刻を補正することができる。
【0079】
なお、データ取得部183が測定期間中においても同期コマンドを送信して測定装置4の内部時刻を取得し、補正部185は、測定期間中における絶対時刻と測定装置4の内部時刻との差にさらに基づいて測定データの内部時刻を補正してもよい。補正部185は、測定装置4が有する発振器のエージング特性の線形性に対応する数の時点において発せられた同期コマンドに基づいて特定された絶対時刻と内部時刻との時刻差に基づいて測定データの内部時刻を補正してもよい。補正部185がこのように動作することで、測定装置4が有する発振器のエージング特性に応じて適切に測定データに対応する内部時刻を補正することができる。
【0080】
[測定装置4の構成]
図5は、測定装置4の構成を示す図である。測定装置4は、発振器41と、センサ42と、音響信号受信部43と、音響信号送信部44と、光信号受信部45と、光信号送信部46と、記憶部47と、制御部48と、を有する。制御部48は、データ作成部481と、データ通信部482と、を有する。
【0081】
発振器41は、測定装置4における内部時刻の計時に使用される発振信号を発生する。上述のとおり、発振器41は、例えばチップスケール原子発振器であるが、他の種別の発振器であってもよい。
【0082】
センサ42は、測定装置4の振動に応じてレベルが変化する検出信号を発生する。センサ42は、検出信号をデータ作成部481に入力する。
【0083】
音響信号受信部43は、データ処理装置1から送信された第1音響信号を受信する。音響信号受信部43は、受信した第1音響信号に含まれるコマンド及び絶対時刻等のデータをデータ通信部482に入力する。音響信号送信部44は、音響信号受信部43が第1音響信号を受信したことに応じて、第1音響信号を受信した内部時刻を示す第2音響信号をデータ処理装置1に送信する。
【0084】
光信号受信部45は、光通信装置3から送信された第1光信号を受信する。光信号受信部45は、受信した第1光信号に含まれるコマンド及び絶対時刻等のデータをデータ通信部482に入力する。光信号送信部46は、光信号受信部45が第1光信号を受信したことに応じて、第1光信号を受信した内部時刻を示す第2光信号を送信する。光信号送信部46は、例えばデータ通信部482から入力された内部時刻を含む第2光信号を光通信装置3に送信する。
【0085】
記憶部47は、ROM、RAM及びSSD等の記憶媒体を有する。記憶部47は、制御部48が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部47は、データ作成部481が作成する測定データを記憶する。
【0086】
制御部48は、例えばCPUを有する。制御部48は、記憶部47に記憶されたプログラムを実行することにより、データ作成部481及びデータ通信部482として機能する。
【0087】
データ作成部481は、発振器41に基づいて計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを作成する測定データ作成部として機能する。データ作成部481は、例えば、所定の時間間隔(例えば1ミリ秒間隔)で、センサ42から入力される検出信号をサンプリングすることにより、サンプリングした信号レベル(すなわち測定値)を示す複数の測定データを作成する。データ作成部481は、複数の測定データを内部時刻に関連付けて記憶部47に記憶させる。なお、データ作成部481は、発振器41から入力された発振信号をカウントすることにより内部時刻を計時してもよく、発振器41から入力された内部時刻を示すデータに基づいて内部時刻を特定してもよい。
【0088】
データ通信部482は、音響信号受信部43を介してデータ処理装置1から受信した第1音響信号に含まれるコマンドに対する応答データを、音響信号送信部44を介して送信する。また、データ通信部482は、光信号受信部45を介して光通信装置3から受信した光信号に含まれるコマンドに対する応答データを、光信号送信部46を介して送信する。データ通信部482は、同期コマンドを受信した場合、同期コマンドを受信した時点における内部時刻を発振器41又はデータ作成部481から取得し、取得した内部時刻を含む応答データを送信する。
【0089】
また、データ通信部482は、光信号送信部46を介して、データ作成部481が作成した複数の測定データを光通信装置3に送信する。具体的には、データ通信部482は、記憶部47に記憶された複数の測定データを、内部時刻に関連付けて送信する。
【0090】
[発振器のエージング特性]
図6及び図7は、発振器のエージング特性について説明するための図である。図6は、エージング特性が発振器41よりも悪い発振器の特性を示しており、図7は、発振器41のエージング特性を示している。図6(a)及び図7(a)は、初期状態における特性を示しており、図6(b)及び図7(b)は、長期間(数年)が経過した後の特性を示している。
【0091】
図6及び図7における横軸は、測定を開始してからの経過日数を示す。図6及び図7における細い実線はクロックドリフト量(左縦軸)である。太い実線は時間の経過に伴って線形にクロックドリフト量が変化した状態を示しており、補正部185は、クロックドリフト量が太い実線のように変化することを仮定して、複数の測定データに対応する内部時刻を補正する。破線は、補正部185が内部時刻を補正した後の残差エラー(右縦軸)である。測定期間の中央付近で残差エラーが最大であり、図6においては最大で約0.44ミリ秒の残差エラーが生じている。
【0092】
これに対して、図7に示す例においては、残差エラーが約0.009ミリ秒であり、補正部185の補正処理により、測定データに対応する内部時刻が高い精度で補正されることがわかる。このように、発振器41としてエージング特性が良好なチップスケール原子発振器を用いる場合に、測定開始時点の第1時刻差と測定終了時点の第2時刻差とに基づいて、測定期間中の測定データに対応する内部時刻を補正する処理が特に有効である。
【0093】
図8は、測定終了時点で音響信号を用いて第2時刻差を算出する場合と、光信号を用いて第2時刻差を算出する場合との違いを説明するための図である。実線はクロックドリフト量を示しており、破線は補正による誤差の最大値と最小値を示している。図8(a)は、測定開始時点及び測定終了時点で音響信号に基づいて時刻差が特定された場合を示している。図8(b)は、測定開始時点で音響信号に基づいて第1時刻差が特定され、測定終了時点で光信号に基づいて第2時刻差が特定された場合を示している。
【0094】
ここでは、音響信号に基づく時刻差の特定に±0.15ミリ秒の誤差があり、光信号に基づく時刻差の特定に±0.01ミリ秒の誤差があると仮定している。図8(a)に示す例における残差エラーの最大値は0.254ミリ秒であるのに対して、図8(b)に示す例における残差エラーの最大値は0.179ミリ秒である。このように、時刻差特定部184が測定終了時点で光信号に基づいて第2時刻差を特定することで、残差エラーを小さくすることができることを確認できる。
【0095】
[発振器41の校正]
本実施形態に係る補正部185の処理により、発振器41の周波数オフセットの影響を小さくすることができるが、異なる測定期間において取得された測定データを比較する際には、周波数オフセットが小さい方が望ましい。そこで、測定システムSは、測定期間が終了した時点で、発振器41の周波数を校正するように構成されていてもよい。
【0096】
図9は、周波数の校正が可能な測定装置4の構成を示す図である。図9に示す測定装置4は、校正部483をさらに有するという点で図5に示した測定装置4と異なり、他の点で同じである。
【0097】
発振器41の周波数の校正をするために、補正部185は、第1時刻差及び第2時刻差に基づいて、測定期間が終了した時点における測定装置4の発振器の周波数偏差を特定し、特定した周波数偏差を測定装置4に通知する。補正部185は、例えば、第1時刻差と第2時刻差との差を測定期間で除算することにより、単位時間あたりの内部時刻のずれ量を算出する。単位時間あたりの内部時刻のずれ量は、周波数偏差の大きさに比例するので、補正部185は、単位時間あたりの内部時刻のずれ量に基づいて周波数偏差を算出することができる。
【0098】
校正部483は、データ処理装置1から通知された周波数偏差に基づいて、発振器41の周波数を校正する。具体的には、校正部483は、周波数偏差に応じて、発振器41の発振周波数を制御するために用いられる制御信号の電圧を変更する。周波数偏差が例えば+1.0×10-10である場合、周波数偏差1.0×10-10に相当する周波数だけ発振器41の発振周波数を下げるように制御電圧を変更する。校正部483は、測定期間が終了した時点における周波数偏差が閾値以上である場合に発振器41の周波数を校正してもよい。
【0099】
校正の精度を向上させるために、校正部483は、一定時間(例えば10分間)にわたって光通信装置3が光信号により送信した絶対時刻と、測定装置4が光信号を受信した時点における内部時刻との時刻差を複数回取得した平均値を用いて発振器41の周波数を校正してもよい。
【0100】
図10は、校正部483による発振器41の周波数の校正について説明するための図である。図10においては、1年ごとに40日の測定期間があることが想定されている。図10においては、発振器41が動作している間に周波数オフセットが大きくなり、発振器41が停止している間は周波数オフセットが変化しないことを示している。図10において周波数オフセットを示す黒点の上下方向に延びるエラーバーは、電源サイクルに起因する誤差範囲(不安定性の大きさ)を示している。
【0101】
図10(a)は、校正部483が発振器41の周波数の校正をしない場合の周波数偏差の変化を示す。図10(b)は、周波数偏差が+3.0×10-10以上になった場合に校正部483が発振器41の周波数の校正をする場合の周波数偏差の変化を示す。図10(b)に示すようにデータ取得部183が発振器41の周波数を校正することで、周波数偏差を一定の範囲内に抑えることができる。
【0102】
[データ処理装置1における処理の流れ]
図11から図13は、データ処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図11及び図12は、1回の測定期間における測定を開始してから終了するまでの処理の流れを示す。図13は、測定データに対応する内部時刻の補正処理の流れを示す。
【0103】
図11に示すフローチャートは、全ての測定装置4がスリープ状態になっている時点から開始している。一例として、コマンド作成部182は、測定装置4を起動するタイミング、すなわち測定期間が到来したかを監視する(S11)。コマンド作成部182は、測定期間が到来したと判定した場合(S11においてYES)、船舶100の位置から所定範囲内にあり、かつスリープ状態の測定装置4を選択する(S12)。コマンド作成部182は、選択した測定装置4に対して起動コマンドを送信する(S13)。
【0104】
コマンド作成部182は、S12及びS13の動作と並行して、又はS13の動作の後に、船舶100の位置から所定範囲内にあり、かつ同期が完了していない測定装置4を選択する(S14)。コマンド作成部182は、選択した測定装置4に対して同期コマンドを送信する(S15)。
【0105】
同期コマンドを受信した測定装置4からデータ取得部183が測定装置4の内部時刻を受信すると、時刻差特定部184は、コマンド作成部182が同期コマンドを送信した絶対時刻と内部時刻との関係に基づいて第1時刻差を特定し、第1時刻差を測定装置4のIDに関連付けて記憶部17に記憶させる(S16)。時刻差特定部184がこの時点で第1時刻差を特定せず、データ取得部183が、同期コマンドが送信された絶対時刻と、測定装置4から受信した内部時刻とを関連付けて記憶部17に記憶させてもよい。
【0106】
コマンド作成部182は、同期コマンドに対する応答データを受信した測定装置4に対して記録開始コマンドを送信する(S17)。コマンド作成部182は、記憶部17に記憶されている管理テーブルを参照して、全ての測定装置4の同期が完了し、測定データを記録する準備ができたかを判定する(S18)。全ての測定装置4の準備が完了していない場合(S18においてNO)、コマンド作成部182はS12からS17までの処理を繰り返す。全ての測定装置4の準備が完了した場合(S18においてYES)、コマンド作成部182は、測定の準備ができたことを発震源制御部181に通知し、発震源制御部181が発震源2に震動波を発生させる(S19)。
【0107】
発震源制御部181は、予定された最後の測定が終了するまでの間(S20においてNO)、発震源2に震動波を発生させる。発震源制御部181は、予定された最後の測定が終了した場合(S20においてYES)、測定が終了したことをコマンド作成部182に通知する。
【0108】
続いて図12に進み、コマンド作成部182は、データ送受信部14を介して記録終了コマンドを測定装置4に送信する(S21)。これにより、記録終了コマンドを受信した測定装置4は測定データの記録を終了してスタンバイ状態に移行する。データ取得部183は、光通信装置3を介して、複数の測定データを取得する(S22)。データ取得部183は、測定装置4のIDに関連付けて、取得した複数の測定データを記憶部17に記憶させる。
【0109】
また、データ取得部183は、データ送受信部14を介して、測定が終了したことに応じて光通信装置3が測定装置4に内部時刻を要求した時点における絶対時刻と光通信装置3が測定装置4から取得した内部時刻とを取得する(S23)。時刻差特定部184は、データ取得部183が取得した、測定が終了した時点における絶対時刻と、その時点における測定装置4の内部時刻とに基づいて、第2時刻差を特定する(S24)。時刻差特定部184は、特定した第2時刻差を測定装置4のIDに関連付けて記憶部17に記憶させる。
【0110】
その後、補正部185は、複数の測定データを解析する。補正部185は、共通の測定装置4のIDに関連付けて記憶部17に記憶された第1時刻差及び第2時刻差に基づいて、複数の測定データに関連付けられた内部時刻を補正する(S25)。補正部185は、補正後の複数の測定データを含む測定結果を出力する(S26)。
【0111】
図13は、測定データの補正処理(S25)の流れを示すフローチャートである。まず、補正部185は、測定データを補正する対象となる測定装置4を選択する(S31)。補正部185が測定装置4を選択する方法は任意であり、補正部185は例えば測定装置4のIDの順番に選択する。
【0112】
続いて、補正部185は、選択した測定装置4のIDに関連付けて記憶部17に記憶された開始時絶対時刻を特定する(S32)。また、補正部185は、開始時絶対時刻に対応する開始時内部時刻を特定する(S33)。補正部185は、開始時絶対時刻と開始時内部時刻とに基づいて第1時刻差を算出する(S34)。上述のとおり、補正部185は、位置情報取得部11が同期コマンドを含む第1音響信号を送信してから第1音響信号が測定装置4に到達するまでに要する時間にさらに基づいて第1時刻差を算出してもよい。
【0113】
補正部185は、選択した測定装置4のIDに関連付けて記憶部17に記憶された終了時絶対時刻及び終了時内部時刻を特定する(S35、S36)。補正部185は、終了時絶対時刻と終了時内部時刻とに基づいて第2時刻差を算出する(S37)。補正部185は、位置情報取得部11が内部時刻を要求するための第1光信号を送信してから第1光信号が測定装置4に到達するまでに要する時間にさらに基づいて第2時刻差を算出してもよい。
【0114】
続いて、補正部185は、第1時刻差及び第2時刻差に基づいて、絶対時刻と内部時刻の差の単位時間あたりの変化量ΔTを算出する(S38)。具体的には、補正部185は、第1時刻差と第2時刻差との差を、開始時絶対時刻から終了時絶対時刻までの経過時間で除算することにより変化量ΔTを算出する。
【0115】
続いて、補正部185は、測定開始内部時刻から測定データそれぞれが取得された内部時刻までの経過時間に単位量ΔTを乗算することにより、それぞれの内部時刻に対応する補正値を算出する(S39)。補正部185は、測定データそれぞれが取得された内部時刻に算出した補正値を加算することにより、補正後の内部時刻を算出する。補正部185は、選択した測定装置4に対応する測定データそれぞれの内部時刻を補正後の内部時刻に更新することにより、測定データに対応する時刻を補正する(S40)。補正部185は、全ての測定データに対応する内部時刻を補正してもよく、地震波を解析するために必要な一部の測定データに対応する内部時刻を補正してもよい。補正部185は、測定データと補正後の時刻とを関連付けて記憶部17に記憶させる。
【0116】
補正部185は、全ての測定装置4の測定データの補正が完了していない場合(S41においてNO)、S31からS40までの処理を繰り返す。補正部185は、全ての測定装置4の測定データの補正が完了した場合(S41においてYES)、補正処理を終了する。
【0117】
[データ処理装置1による効果]
以上説明したように、データ処理装置1は、測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と内部時刻との差である第1時刻差、及び測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と内部時刻との差である第2時刻差と、を特定する時刻差特定部184と、第1時刻差及び第2時刻差に基づいて、複数の測定データに関連付けられた内部時刻を補正する補正部185と、を有する。データ処理装置1がこのようにして、測定データの内部時刻を補正することで、測定装置4がPTPネットワークに接続されておらず絶対時刻を認識することができない場合であっても、測定に要する時間にほとんど影響を及ぼすことなく、データ処理装置1は、震動波と測定装置4が検出した地震波との関係を高い精度で特定することが可能になる。
【0118】
[第1変形例]
以上説明した測定システムSにおいては、データ処理装置1が第1時刻差及び第2時刻差を特定したが、測定装置4が第1時刻差及び第2時刻差を特定し、測定データに関連付けられた内部時刻を補正してもよい。この場合、測定装置4は、補正後の内部時刻(すなわち、ほぼ絶対時刻に等しい時刻)が関連付けられた測定データを作成し、データ処理装置1は、補正後の内部時刻が関連付けられた測定データを取得することができる。
【0119】
図14は、本変形例に係るデータ処理装置1Aの構成を示す図である。図15は、本変形例に係る測定装置4Aの構成を示す図である。図16は、本変形例に係るデータ処理装置1Aにおける処理の流れを示すフローチャートである。図17は、本変形例に係る測定装置4Aにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0120】
まず、図14を参照しながら、データ処理装置1Aの構成におけるデータ処理装置1と異なる点を説明する。データ処理装置1Aは、図4に示したデータ処理装置1が有していた時刻差特定部184及び補正部185を有していないという点でデータ処理装置1と異なる。図14に示す各部の機能は、図4に示したデータ処理装置1における同じ符号の各部の機能と同等である。
【0121】
データ取得部183は、データ送受信部14を介して、内部時刻が測定装置4において補正された測定データを取得する。データ取得部183が取得した測定データに関連付けられた時刻は、ほぼ絶対時刻に等しいので、このまま解析に用いることができる。そこで、データ取得部183は、外部通信部16を介して、取得した測定データを含む測定結果を外部に送信する。
【0122】
続いて、図15を参照しながら、測定装置4Aの構成における測定装置4と異なる点を説明する。測定装置4Aは、図5に示した測定装置4が有する構成に加えて、時刻差特定部484及び補正部485を有するという点で測定装置4と異なる。測定装置4Aは、図9に示した校正部483をさらに有してもよい。
【0123】
データ通信部482が音響信号受信部43を介して同期コマンドを取得すると、データ通信部482は、同期コマンドに含まれている絶対時刻を時刻差特定部484に通知する。時刻差特定部484は、その時点における内部時刻と、通知された絶対時刻との時刻差を測定開始時の第1時刻差として特定する。時刻差特定部484は、特定した第1時刻差を記憶部47に記憶させる。
【0124】
また、データ通信部482が音響信号受信部43又は光信号受信部45を介して、測定が終了した時点の絶対時刻を取得すると、データ通信部482は、取得した絶対時刻を時刻差特定部484に通知する。時刻差特定部484は、その時点における内部時刻と、通知された絶対時刻との時刻差を測定終了時の第2時刻差として特定する。時刻差特定部484は、特定した第2時刻差を記憶部47に記憶させる。
【0125】
時刻差特定部484は、時刻差特定部184と同等の処理を実行することができる。例えば、時刻差特定部484は、絶対時刻と内部時刻との差と、データ処理装置1Aから送信された第1音響信号が測定装置4Aに到達するまでの伝搬時間とに基づいて第1時刻差を算出する。また、時刻差特定部484は、絶対時刻と内部時刻との差と、光通信装置3から送信された第1光信号が測定装置4Aに到達するまでの伝搬時間とに基づいて第2時刻差を算出する。
【0126】
補正部485は、時刻差特定部484が特定した第1時刻差及び第2時刻差に基づいて、センサ42が測定データを出力した内部時刻を補正する。補正部485は、補正部185と同様に、測定開始時点の絶対時刻である開始絶対時刻と、測定終了時点の絶対時刻である終了絶対時刻との時間差と、第1時刻差と第2時刻差との差と、に基づいて、単位時間あたりの絶対時刻と内部時刻との差の変化量を特定する。続いて、補正部485は、特定した変化量に基づいて、データ作成部481が作成した複数の測定データに関連付けられた内部時刻を補正する。補正部485は、測定データに関連付けて、補正後の内部時刻をデータ通信部482に通知する。
【0127】
データ通信部482は、補正部485から通知された補正後の内部時刻が関連付けられた複数の測定データを、光信号送信部46を介して光通信装置3に送信する。
【0128】
図16に示すデータ処理装置1Aのフローチャートは、1回の測定期間における測定を開始してから、データ処理装置1Aが測定データを取得するまでの処理の流れを示す。図16に示すフローチャートにおけるS11からS20までの処理は、第1時刻差を特定する処理(S16)がないという点で図11に示したフローチャートと異なり、他の点で同じである。
【0129】
図17に示す測定装置4Aのフローチャートは、同期コマンドを含む第1音響信号をデータ処理装置1が送信した時点から開始している。音響信号受信部43が、同期コマンドを含む第1音響信号を受信すると(S41)、時刻差特定部484は、同期コマンドに含まれる絶対時刻を開始時絶対時刻として特定する(S42)。また、時刻差特定部484は、この時点における内部時刻を開始時内部時刻として特定する(S43)。時刻差特定部484は、開始時絶対時刻と開始時内部時刻との差を第1時刻差として算出する(S44)。
【0130】
その後、測定装置4Aは地震波の測定を実行し(S45)、データ作成部481が、発振器41が出力する内部時刻に関連付けられた測定データを作成する。最後の測定が終了すると、光信号受信部45が、絶対時刻を含む第1光信号を光通信装置3から受信する(S46)。時刻差特定部484は、第1光信号に含まれる絶対時刻を終了時絶対時刻として特定する(S47)。また、時刻差特定部484は、この時点における内部時刻を終了時内部時刻として特定する(S48)。時刻差特定部484は、終了時絶対時刻と終了時内部時刻との差を第2時刻差として算出する(S49)。
【0131】
続いて、補正部485は、第1時刻差及び第2時刻差に基づいて、絶対時刻と内部時刻の差の単位時間あたりの変化量ΔTを算出する(S50)。具体的には、補正部485は、第1時刻差と第2時刻差との差を、開始時絶対時刻から終了時絶対時刻までの経過時間で除算することにより変化量ΔTを算出する。
【0132】
続いて、補正部485は、測定開始内部時刻から測定データそれぞれが取得された内部時刻までの経過時間に単位量ΔTを乗算することにより、それぞれの内部時刻に対応する補正値を算出する(S51)。補正部485は、測定データそれぞれが取得された内部時刻に算出した補正値を加算することにより、補正後の内部時刻を算出する。補正部185は、測定データそれぞれの内部時刻を補正後の内部時刻に更新することにより、測定データに対応する時刻を補正する(S52)。補正部485は、全ての測定データに対応する内部時刻を補正してもよく、地震波を解析するために必要な一部の測定データに対応する内部時刻を補正してもよい。
【0133】
補正部485は、補正後の時刻に関連付けられた測定データをデータ通信部482に入力する。データ通信部482は、光信号送信部46を介して、時刻が補正された測定データを光通信装置3に送信する(S53)。
【0134】
[第2変形例]
図18は、第2変形例に係るデータ処理装置1Bの構成を示す図である。図19は、第2変形例に係る測定装置4Bの構成を示す図である。第2変形例においては、データ処理装置1Bが補正部185を有するという点で、第1変形例のデータ処理装置1Aと異なる。また、第1変形例においては、測定装置4Aが時刻差特定部484及び補正部485を有していたが、第2変形例においては、測定装置4Bが時刻差特定部484を有しており、補正部485を有していないという点でも異なる。
【0135】
測定装置4Bの時刻差特定部484は、測定装置4Aの時刻差特定部484と動作する。すなわち、時刻差特定部484は、絶対時刻と内部時刻との差と、データ処理装置1Aから送信された第1音響信号が測定装置4Aに到達するまでの伝搬時間とに基づいて第1時刻差を算出する。また、時刻差特定部484は、絶対時刻と内部時刻との差と、光通信装置3から送信された第1光信号が測定装置4Aに到達するまでの伝搬時間とに基づいて第2時刻差を算出する。時刻差特定部484は、特定した第1時刻差及び第2時刻差をデータ通信部482に入力する。
【0136】
また、測定装置4Bのデータ作成部481は、センサ42が出力した複数の測定データを内部時刻に関連付けてデータ通信部482に入力する。データ通信部482は、光信号送信部46を介して、複数の測定データを内部時刻に関連付けてデータ処理装置1Bに送信するとともに、時刻差特定部484が特定した特定した第1時刻差及び第2時刻差をデータ処理装置1Bに送信する。
【0137】
データ処理装置1Bにおいては、データ取得部183が、複数の測定データと第1時刻差及び第2時刻差とを取得すると、データ処理装置1と同様に、複数の測定データそれぞれに関連付けられた内部時刻を補正部185が補正する。このように、時刻差特定部及び補正部のそれぞれがデータ処理装置に設けられているか測定装置に設けられているかは任意である。
【0138】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0139】
1 データ処理装置
2 発震源
3 光通信装置
4 測定装置
11 位置情報取得部
12 音響信号送信部
13 音響信号受信部
14 データ送受信部
15 絶対時刻取得部
16 外部通信部
17 記憶部
18 制御部
41 発振器
42 センサ
43 音響信号受信部
44 音響信号送信部
45 光信号受信部
46 光信号送信部
47 記憶部
48 制御部
100 船舶
181 発震源制御部
182 コマンド作成部
183 データ取得部
184 時刻差特定部
185 補正部
481 データ作成部
482 データ通信部
483 校正部
484 時刻差特定部
485 補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に設置された測定装置と、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて前記測定装置が検出した地震波の測定データを解析するデータ処理装置と、海中で前記測定装置に絶対時刻を示す第1光信号を発する光通信装置と、を備え、
前記測定装置は、
計時に使用される発振器と、
前記発振器に基づいて計時された内部時刻に関連付けられた複数の前記測定データを作成する測定データ作成部と、
前記光通信装置が発した前記第1光信号を受信する光信号受信部と、
を有し、
前記測定装置又は前記データ処理装置のいずれかが、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有し、
前記時刻差特定部は、前記光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定する、
測定システム。
【請求項2】
海底に設置された測定装置と、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて前記測定装置が検出した地震波の測定データを解析するデータ処理装置と、海中で前記測定装置に絶対時刻を示す第1光信号を発する光通信装置を備え、
前記測定装置は、
計時に使用される発振器と、
前記発振器に基づいて計時された内部時刻に関連付けられた複数の前記測定データを作成する測定データ作成部と、
前記光通信装置が発した前記第1光信号を受信する光信号受信部と、
を有し、
前記測定装置又は前記データ処理装置のいずれかが、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有し、
前記データ処理装置は、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信する信号送信部と、
前記第1音響信号を受信する音響信号受信部と、
を有し、
前記時刻差特定部は、前記信号送信部が前記第1音響信号を送信した絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差を特定し、前記光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて前記第2時刻差を特定する、
測定システム。
【請求項3】
海底に設置された測定装置と、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて前記測定装置が検出した地震波の測定データを解析するデータ処理装置と、を備え、
前記測定装置は、
計時に使用される発振器と、
前記発振器に基づいて計時された内部時刻に関連付けられた複数の前記測定データを作成する測定データ作成部と、
を有し、
前記測定装置又は前記データ処理装置のいずれかが、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正し、かつ前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記測定期間が終了した時点における前記測定装置の前記発振器の周波数偏差を特定し、特定した前記周波数偏差を前記測定装置に通知する補正部と、
を有し、
前記測定装置は、前記データ処理装置から通知された前記周波数偏差に基づいて前記発振器の周波数を校正する校正部をさらに有する、
測定システム。
【請求項4】
海底におけるそれぞれ異なる位置に設置された複数の測定装置と、海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて前記測定装置が検出した地震波の測定データを解析するデータ処理装置と、を備え、
前記測定装置は、
計時に使用される発振器と、
前記発振器に基づいて計時された内部時刻に関連付けられた複数の前記測定データを作成する測定データ作成部と、
を有し、
前記測定装置又は前記データ処理装置のいずれかが、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有し、
前記データ処理装置は、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信する信号送信部と、
前記第1音響信号を受信した前記測定装置が発した第2音響信号を受信する信号受信部と、
を有し、
前記信号送信部は、複数の前記測定装置それぞれに対して、前記測定装置を起動させるための起動データを含む前記第1音響信号を送信し、前記起動データに対する応答データを含む前記第2音響信号を前記信号受信部が受信した前記測定装置に対して、時刻データを含む前記第1音響信号を送信する、
測定システム。
【請求項5】
前記データ処理装置は、
前記船舶に搭載されており、
複数の前記測定装置それぞれの位置と前記測定装置の識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記船舶の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
を有し、
前記信号送信部は、前記記憶部に記憶された複数の前記測定装置それぞれの位置を参照することにより、前記位置情報が示す位置から所定の範囲内にある前記測定装置に対して前記時刻データを含む前記第1音響信号を送信する、
請求項に記載の測定システム。
【請求項6】
前記信号送信部は、前記時刻データを含む前記第1音響信号に対する応答を前記信号受信部が受信した前記測定装置に対して、測定データの記録を開始する指示を示す記録開始データを含む前記第1音響信号を送信する、
請求項に記載の測定システム。
【請求項7】
前記測定システムは、
前記信号送信部が複数の前記測定装置に対して前記記録開始データを含む前記第1音響信号を送信した後に、前記震動波を発生できる状態になったことを前記発震源に通知する制御装置をさらに有する、
請求項に記載の測定システム。
【請求項8】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するデータ取得部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有し、
前記時刻差特定部は、前記測定装置に対して絶対時刻を示す第1光信号を海中で発する光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定する、
データ処理装置。
【請求項9】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するデータ取得部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信する信号送信部と、
前記第1音響信号を受信する音響信号受信部と、
を有し、
前記時刻差特定部は、前記信号送信部が前記第1音響信号を送信した絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差を特定し、前記測定装置に対して絶対時刻を示す第1光信号を海中で発する光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて前記第2時刻差を特定する、
データ処理装置。
【請求項10】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するデータ取得部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正し、かつ前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記測定期間が終了した時点における前記測定装置の発振器の周波数偏差を特定し、特定した前記周波数偏差を、前記周波数偏差に基づいて前記発振器の周波数を校正する前記測定装置に通知する補正部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項11】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底におけるそれぞれ異なる位置に設置された複数の測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するデータ取得部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信する信号送信部と、
前記第1音響信号を受信した前記測定装置が発した第2音響信号を受信する信号受信部と、
を有し、
前記信号送信部は、複数の前記測定装置それぞれに対して、前記測定装置を起動させるための起動データを含む前記第1音響信号を送信し、前記起動データに対する応答データを含む前記第2音響信号を前記信号受信部が受信した前記測定装置に対して、時刻データを含む前記第1音響信号を送信する、
データ処理装置。
【請求項12】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて生じる地震波を海底で測定する測定装置であって、
前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを作成するデータ作成部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有し、
前記時刻差特定部は、前記測定装置に対して絶対時刻を示す第1光信号を海中で発する光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差及び前記第2時刻差の少なくともいずれかを特定する、
する測定装置。
【請求項13】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて生じる地震波を海底で測定する測定装置であって、
前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを作成するデータ作成部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
を有し、
前記時刻差特定部は、前記測定データを解析するデータ処理装置が送信した第1音響信号に含まれる前記第1音響信号を送信した絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差を特定し、前記測定装置に対して絶対時刻を示す第1光信号を海中で発する光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて前記第2時刻差を特定する、
測定装置。
【請求項14】
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて生じる地震波を海底で測定する測定装置であって、
前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを作成するデータ作成部と、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定する時刻差特定部と、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正する補正部と、
前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて特定された、前記測定期間が終了した時点における前記測定装置の発振器の周波数偏差に基づいて、前記発振器の周波数を校正する校正部と、
を有する測定装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
前記測定装置に対して絶対時刻を示す第1光信号を海中で発する光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項16】
コンピュータが実行する、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信するステップと、
前記第1音響信号を受信するステップと、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
を有し、
前記特定するステップにおいて、前記第1音響信号を送信した絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差を特定し、前記測定装置に対して絶対時刻を示す第1光信号を海中で発する光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて前記第2時刻差を特定する、
データ処理方法。
【請求項17】
コンピュータが実行する、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記測定期間が終了した時点における前記測定装置の発振器の周波数偏差を特定し、特定した前記周波数偏差を、前記周波数偏差に基づいて前記発振器の周波数を校正する前記測定装置に通知するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項18】
コンピュータが実行する、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底におけるそれぞれ異なる位置に設置された複数の測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信するステップと、
前記第1音響信号を受信した前記測定装置が発した第2音響信号を受信するステップと、
を有し、
前記第1音響信号を送信するステップにおいて、複数の前記測定装置それぞれに対して、前記測定装置を起動させるための起動データを含む前記第1音響信号を送信し、前記起動データに対する応答データを含む前記第2音響信号を受信した前記測定装置に対して、時刻データを含む前記第1音響信号を送信する、
を有するデータ処理方法。
【請求項19】
コンピュータに、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
前記測定装置に対して絶対時刻を示す第1光信号を海中で発する光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項20】
コンピュータに、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信するステップと、
前記第1音響信号を受信するステップと、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
実行させ、
前記特定するステップにおいて、前記第1音響信号を送信した絶対時刻と、前記測定装置が前記第1音響信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて、前記第1時刻差を特定し、前記測定装置に対して絶対時刻を示す第1光信号を海中で発する光通信装置が前記第1光信号を発した発光時刻と、前記測定装置が前記第1光信号を受信した時点における前記内部時刻との差に基づいて前記第2時刻差を特定するための
プログラム。
【請求項21】
コンピュータに、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底に設置された測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記測定期間が終了した時点における前記測定装置の発振器の周波数偏差を特定し、特定した前記周波数偏差を、前記周波数偏差に基づいて前記発振器の周波数を校正する前記測定装置に通知するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項22】
コンピュータに、
海を航行する船舶から海底に向けて測定期間において発震源から震動波が発せられたことに応じて、海底におけるそれぞれ異なる位置に設置された複数の測定装置が検出した地震波を示す複数の測定データであって、前記測定装置が生成し、前記測定装置で計時された内部時刻に関連付けられた複数の測定データを取得するステップと、
(1)前記測定期間が開始した時点の開始絶対時刻と、前記測定期間が開始した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第1時刻差、及び(2)前記測定期間が終了した時点の終了絶対時刻と、前記測定期間が終了した時点における前記測定データに関連付けられた前記内部時刻との差である第2時刻差、を特定するステップと、
少なくとも前記第1時刻差及び前記第2時刻差に基づいて、前記複数の測定データに関連付けられた前記内部時刻を補正するステップと、
前記測定装置を制御するための制御データを含む第1音響信号を送信するステップと、
前記第1音響信号を受信した前記測定装置が発した第2音響信号を受信するステップと、
を実行させ、
前記第1音響信号を送信するステップにおいて、複数の前記測定装置それぞれに対して、前記測定装置を起動させるための起動データを含む前記第1音響信号を送信し、前記起動データに対する応答データを含む前記第2音響信号を受信した前記測定装置に対して、時刻データを含む前記第1音響信号を送信するための
プログラム。