(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179680
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】掘削機及び掘削装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20241219BHJP
E21B 19/00 20060101ALI20241219BHJP
E21B 6/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E21B7/20
E21B19/00
E21B6/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098708
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】522345087
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】鈴江 秀吉
(72)【発明者】
【氏名】鈴江 寿礼
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA03
2D129DA21
2D129EA09
2D129EA12
2D129EA21
2D129EB29
2D129EC11
2D129EC38
2D129GA31
(57)【要約】
【課題】地盤を効率的に掘削し、掘削した孔内にパイプ又はパイプ状部材を残したまま掘削機を簡単に回収することができる掘削機及び掘削装置を提供する。
【解決手段】先端に取付けられる、拡縮ビット231を備えるカッターヘッド200を回転かつ進退させ掘削する掘削機1であって、パイプ状のケーシング150と、前記ケーシング150に搭載され前記カッターヘッド200を駆動する、前記カッターヘッドの取付座24を備える掘削機本体10と、前記掘削機本体10と前記ケーシング150とを着脱自在に連結するクランプ装置300と、を備え、前記クランプ装置300のクランプを解除することで、前記ケーシング150から前記カッターヘッド200、前記掘削機本体10及び前記クランプ装置300を一体的に引き抜き可能に構成されてなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に取付けられる、拡縮ビットを備えるカッターヘッドを回転かつ進退させ掘削する掘削機であって、
パイプ状のケーシングと、
前記ケーシングに搭載され前記カッターヘッドを駆動する、前記カッターヘッドの取付座を備える掘削機本体と、
前記掘削機本体と前記ケーシングとを着脱自在に連結するクランプ装置と、
を備え、
前記クランプ装置のクランプを解除することで、前記ケーシングから前記カッターヘッド、前記掘削機本体及び前記クランプ装置を一体的に引き抜き可能に構成されてなることを特徴とする掘削機。
【請求項2】
回転方向に応じて出没する、地盤を掘削する拡縮ビットを備えるカッターヘッドを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【請求項3】
前記掘削機本体は、
前記カッターヘッドに打撃力を付与する起振機構と、
前記カッターヘッドを回転させる回転機構と、
モーターと、前記モーターの出力軸に接続され互いに異なる回転数で回転する複数の出力軸を備える減速機とを含んでなる、前記起振機構及び前記回転機構を駆動する駆動装置と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の掘削機。
【請求項4】
前記ケーシングがパイプ又は鋼管矢板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の掘削機。
【請求項5】
前記掘削機を先導体とし、前記掘削機の後端に掘削深度に応じ順次、延長用のケーシング、配管を集合させたジョイント管が連結されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の掘削機。
【請求項6】
前記掘削機本体は、後端に前記ジョイント管を接続するための配管室を備え、
前記クランプ装置は、前記配管室の外周面と前記ケーシングの内周面との間に配置されてなることを特徴とする請求項5に記載の掘削機。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の掘削機と、
前記ケーシングから前記カッターヘッド、前記掘削機本体及び前記クランプ装置を一体的に引き抜く引抜き装置と、
を備えることを特徴とする掘削装置。
【請求項8】
請求項5に記載の掘削機と、
前記ケーシングから前記カッターヘッド、前記掘削機本体及び前記クランプ装置を一体的に引き抜く引抜き装置と、
を備え、
前記引抜き装置は、
前記ジョイント管に着脱自在に連結する下クランプ手段及び上クランプ手段と、
前記下クランプ手段と前記上クランプ手段とに連結し、前記下クランプ手段と前記上クランプ手段との間隔を伸縮させる連結シリンダと、
を備え、
前記下クランプ手段は、前記延長用のケーシングの上端部に係止する係止手段を備えることを特徴とする掘削装置。
【請求項9】
前記クランプ装置のクランプ及びクランプ解除、前記下クランプ手段のクランプ及びクランプ解除、前記上クランプ手段のクランプ及びクランプ解除、前記連結シリンダの伸縮動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を掘削しつつパイプ又はパイプ状部材を掘削孔内に埋設することが可能な掘削機及び掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より地盤を掘削しつつパイプ又はパイプ状部材を掘削孔内に埋設可能な掘削機が知られている。例えば、拡縮ビットを備え、掘削時にはビット部を拡径してケーシングパイプより一段大径の掘削孔を穿設し、ケーシングパイプを立て込み、その後、拡縮ビットを縮径させケーシングパイプ内を挿通させ回収することができる掘削機がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
またアウタビットを備えるアウターチューブと、アウターチューブ内に収容される、先端部にインナービットが装着されたダウンザホールを備えるインナビットアッセンブリとを備え、インナビットアッセンブリとアウターチューブとがクランプ装置で係合離脱自在に連結された掘削装置がある(例えば特許文献2参照)。この掘削装置は、掘削後にインナビットアッセンブリをアウターチューブと切り離し回収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-283516号公報
【特許文献2】特開2002-106279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり地盤を掘削しつつパイプ又はパイプ状部材を掘削孔内に埋設することが可能な掘削機は、これまでにも開発されているが、硬い地盤を効率的に掘削し、パイプ又はパイプ状部材を掘削孔内に残し掘削機を簡単に回収する方法などについてはまだまだ改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、地盤を効率的に掘削し、掘削した孔内にパイプ又はパイプ状部材を残したまま掘削機を簡単に回収することができる掘削機及び掘削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、先端に取付けられる、拡縮ビットを備えるカッターヘッドを回転かつ進退させ掘削する掘削機であって、パイプ状のケーシングと、前記ケーシングに搭載され前記カッターヘッドを駆動する、前記カッターヘッドの取付座を備える掘削機本体と、前記掘削機本体と前記ケーシングとを着脱自在に連結するクランプ装置と、を備え、前記クランプ装置のクランプを解除することで、前記ケーシングから前記カッターヘッド、前記掘削機本体及び前記クランプ装置を一体的に引き抜き可能に構成されてなることを特徴とする掘削機である。
【0008】
本発明に係る掘削機は、回転方向に応じて出没する、地盤を掘削する拡縮ビットを備えるカッターヘッドを含んでなることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る掘削機において、前記掘削機本体は、前記カッターヘッドに打撃力を付与する起振機構と、前記カッターヘッドを回転させる回転機構と、モーターと、前記モーターの出力軸に接続され互いに異なる回転数で回転する複数の出力軸を備える減速機とを含んでなる、前記起振機構及び前記回転機構を駆動する駆動装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る掘削機において、前記ケーシングがパイプ又は鋼管矢板であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る掘削機は、前記掘削機を先導体とし、前記掘削機の後端に掘削深度に応じ順次、延長用のケーシング、配管を集合させたジョイント管が連結されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る掘削機において、前記掘削機本体は、後端に前記ジョイント管を接続するための配管室を備え、前記クランプ装置は、前記配管室の外周面と前記ケーシングの内周面との間に配置されてなることを特徴とする。
【0013】
本発明は、前記掘削機と、前記ケーシングから前記カッターヘッド、前記掘削機本体及び前記クランプ装置を一体的に引き抜く引抜き装置と、を備えることを特徴とする掘削装置である。
【0014】
本発明は、前記掘削機と、前記ケーシングから前記カッターヘッド、前記掘削機本体及び前記クランプ装置を一体的に引き抜く引抜き装置と、を備え、前記引抜き装置は、前記ジョイント管に着脱自在に連結する下クランプ手段及び上クランプ手段と、前記下クランプ手段と前記上クランプ手段とに連結し、前記下クランプ手段と前記上クランプ手段との間隔を伸縮させる連結シリンダと、を備え、前記下クランプ手段は、前記延長用のケーシングの上端部に係止する係止手段を備えることを特徴とする掘削装置である。
【0015】
本発明に係る掘削装置は、前記クランプ装置のクランプ及びクランプ解除、前記下クランプ手段のクランプ及びクランプ解除、前記上クランプ手段のクランプ及びクランプ解除、前記連結シリンダの伸縮動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、地盤を効率的に掘削し、掘削した孔内にパイプ又はパイプ状部材を残したまま掘削機を簡単に回収することができる掘削機及び掘削装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態の掘削機1の縦断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の掘削機1の縦断面図及びカッターヘッド200の拡径状態の正面図である。
【
図3】
図1において切断線A-A,切断線B-Bで切断した掘削機1の断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の掘削機1の回転振り子30の動きを説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態の掘削機1の緩衝手段40の構成を説明するための図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の掘削機1の減速機70の構造図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の掘削機1の減速機70の断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の掘削機1のカッターヘッド200の斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の掘削機1のカッターヘッド200の固定ビット部210の分解構成図である。
【
図10】本発明の第1実施形態の掘削機1のカッターヘッド200の固定ビット220の変形例である。
【
図11】本発明の第1実施形態の掘削機1のカッターヘッド200の拡径状態を示す図である。
【
図12】本発明の第1実施形態の掘削機1のカッターヘッド200の拡径状態の断面図である。
【
図13】本発明の第1実施形態の掘削機1のカッターヘッド200の縮径状態を示す図である。
【
図14】本発明の第1実施形態の掘削機1のカッターヘッド200の縮径状態の断面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態の掘削機1のクランプ装置の300の構成を説明するための図である。
【
図16】
図2の切断線C-C,切断線D-D,切断線E-Eで切断した掘削機1のクランプ装置300の断面図である。
【
図17】本発明の第1実施形態の掘削機1の使用例を示す図である。
【
図18】本発明の第1実施形態の掘削機1の使用例を示す図である。
【
図19】本発明の第2実施形態の掘削装置2の引抜き装置400の構成を説明するための図である。
【
図20】本発明の第2実施形態の掘削装置2の引抜き装置400の断面図である。
【
図21】本発明の第2実施形態の掘削装置2の引抜き装置400の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態の掘削機1の縦断面図、
図2(A)は、
図1の縦断面図と直交する方向の縦断面図、(B)は、カッターヘッド200の拡径時の正面図である。
図3(A),(B)は、
図1において切断線A-A,切断線B-Bで切断した掘削機1の断面図である。
図4、
図5は、それぞれ掘削機1の回転振り子30の動きを説明するための図、緩衝手段40の構成を説明するための図である。
図6、
図7は、掘削機1の減速機70の構造図、減速機70の断面図である。
【0019】
以下の説明において掘削機1の下方は、カッターヘッド200側であり、
図1では左側である。また掘削機1の下方は、掘削機1の前側、先端側でもある。掘削機1の軸方向,軸心方向は、中心軸線Mに平行な方向であり上下方向である。半径方向,径方向は、中心軸線Mに直交する方向、周方向は中心軸線Mを中心に円弧に沿う方向、内側は中心軸線側をいう。
【0020】
本発明の第1実施形態の掘削機1は、地盤を掘削するカッターヘッド200と、パイプ状のケーシング150と、ケーシング150に搭載されカッターヘッド200を駆動する掘削機本体10と、掘削機本体10とケーシング150とを着脱自在に連結するクランプ装置300とを備える。
【0021】
第1実施形態の掘削機1において、カッターヘッドは、拡縮ビットを備えるカッターヘッドを使用する。カッターヘッドは、基本的に拡縮ビットを備え、拡縮ビットを拡径させケーシング150の外径よりも大きな掘削孔を掘削可能であり、拡縮ビットを縮径させることでケーシング150を挿通可能なカッターヘッドであればよい。第1実施形態の掘削機1において好適なカッターヘッド200については後述する。
【0022】
掘削機本体10は、カッターヘッド200に打撃力を付与する起振機構20と、カッターヘッド200を回転させる回転機構55と、起振機構20及び回転機構55を駆動する、モーター67及び減速機70を備える駆動装置65とを主に構成される。
【0023】
起振機構20は、カッターヘッド200に付与する打撃力を発生させる起振手段21と、起振手段21に連結し衝撃を吸収する緩衝手段40と、回転機構55に係合する係合手段50とを備える。
【0024】
起振手段21は、打撃力の源泉となる遠心力を発生させる回転振り子30(30a、30b)と、回転振り子30を支持する支持台であるホイールケース22と、回転振り子30を回転させる駆動軸35とを含み、カッターヘッド200に地盤を掘削するための打撃力を付与する。
【0025】
ホイールケース22は、前部にカッターヘッド取付部24、中央から後部に回転振り子取付部25を有する本体23と、回転振り子取付部25を覆うように本体23に取付けられた円筒状のケース29とを備える。カッターヘッド取付部24は、前部がケーシング150の先端部151から突出するように設けられている。本実施形態ではケース29が本体23にボルト止めされているが、ケース29を本体23と一体的に設けてもよい。
【0026】
回転振り子取付部25には、中心軸線Mに直交する支軸27が取付けられ、支軸27に回転振り子30が回転自在に取付けられている。また回転振り子取付部25には、駆動軸35が挿通する挿通孔26が上下方向に設けられている。挿通孔26の上端には駆動軸35を回転自在に支持する軸受28が取り付けられている。
【0027】
ホイールケース22は、ケーシング150内に配置され、連結するカッターヘッド200及び支持する回転振り子30と一体的に回転しつつ上下動する。これについての詳細は後述する。
【0028】
回転振り子30は、一対の回転振り子30a、30bからなる。回転振り子30aと回転振り子30bとは同一形状、同一構造からなる。以下、回転振り子30aを用いて形状、構造を説明する。
【0029】
回転振り子30aは、肉厚板状の部材であり扇形状を有する(
図4参照)。回転振り子30aは、扇の中心点から離れるに従って体積が大きくなり、中心点から離れた扇部分がウエイトとして機能し、回転することで大きな遠心力を生み出す。このような回転振り子30は、偏心ロータ、偏心重錘、フライホイールと言い換えることができる。
【0030】
回転振り子30aは、扇の中心点近傍に支軸27に挿通する挿通孔を備え、挿通孔にボールベアリング33aが装着され、回転振り子30aは、ボールベアリング33aを介し支軸27に回転自在に取り付けられている。また回転振り子30aには、支軸27に挿通可能な傘歯車32aが取り付けられている。この傘歯車32aは、駆動軸35の先端に取り付けられた傘歯車36と噛み合う。
【0031】
一対の回転振り子30a、30bの回転方向、位相は、以下のとおりである。一対の回転振り子30a、30bは、中心軸線Mを挟み相反する位置に配置され、駆動軸35の回転に伴い支軸27を中心に中心軸線Mに平行に回転する。一対の回転振り子30a、30bは、1つの傘歯車36と噛み合うため回転方向は逆向きとなる。また一対の回転振り子30a、30bは、同位相で回転するように支軸27に取り付けられている。このため一対の回転振り子30a、30bは、下死点及び上死点が一致する(
図4(A),(C)参照)。
【0032】
このように構成される一対の回転振り子30a、30bが回転することで上下方向に大きな遠心力が発生し、これがカッターヘッド200の打撃力の源泉となる。回転振り子30a、30bの回転により生じる水平方向の荷重は、回転振り子30a、30bの回転が逆向きゆえ相殺される。
【0033】
回転振り子30は、カッターヘッド200に付与する打撃力の源泉となる遠心力を生み出すことができればよく、形態は本実施形態に限定されるものではない。例えばアームの先端に重りを取り付けた回転振り子、円板の周縁部近傍に重りを取り付け支軸27への挿通孔31を中心点から偏心させた偏心ロータなどであってもよい。
【0034】
駆動軸35は、減速機70の第1出力軸71の回転を回転振り子30に伝達する部材であり、前端に傘歯車36を備え、後端に軸継手37が設けられ、第1出力軸71と連結する。駆動軸35は、中間部が軸受28で回転自在に支持され、傘歯車36が回転振り子30の傘歯車32(32a、32b)と噛み合う。軸継手37は、第1出力軸71に対して駆動軸35を軸方向に移動自在に接続する継手であり、本実施形態ではボールスプライン継手である。軸継手37は、第1出力軸71の回転を確実に駆動軸35に伝達可能で、かつ第1出力軸71に対して駆動軸35を軸方向に移動自在に接続できれば他の形態、構造であってもよい。
【0035】
緩衝手段40は、起振手段21及び回転機構55に連結するスプリングホルダー41と、スプリングホルダー41に装着される圧縮ばね47とを含み、起振手段21が移動規制手段に衝突する際の衝撃を吸収する。緩衝手段40は、回転機構55に対し、係合手段50を介して連結する。
【0036】
スプリングホルダー41は、円筒状の本体の前部にフランジ部42、中央から後部にかけて圧縮ばね47を収容するばね収容部43を有する。スプリングホルダー41は、フランジ部42がホイールケース22の後端にボルト止めされ、ホイールケース22と連結する。駆動軸35は、スプリングホルダー41の本体内に位置する。
【0037】
ばね収容部43は、本体の外側に位置し、ここに圧縮ばね47を収容する収容孔44が設けられている。収容孔44は、ばね収容部43を軸方向に貫通する孔であり、下端に内側に突出する段部を備える。収容孔44は、ばね収容部43の周方向に等間隔で複数個設けられている。本実施形態において、収容孔44の数は8であるが、個数はこれに限定されるものではない。
【0038】
圧縮ばね47は、両端に段部を有する円柱状のガイドシャフト48に挿通された状態で収容孔44に装着されている。ガイドシャフト48に挿通された圧縮ばね47は、ガイドシャフト48の両端の段部の間に位置する。圧縮ばね47の外径は、ガイドシャフト48の段部の外径よりも大きく、収容孔44の内径よりも小さく設定されている。
【0039】
ガイドシャフト48の長さは、収容孔44よりも長く、収容孔44に装着されたガイドシャフト48の両端部は、収容孔44から突出している。一方、圧縮ばね47の長さは、収容孔44の長さよりも短く、収容孔44に装着された圧縮ばね47は、収容孔44内に位置する。
【0040】
ガイドシャフト48に挿通された圧縮ばね47が装着された各収容孔44の上端には、ストッパーフランジ49が取付けられる。ストッパーフランジ49の外径は、収容孔44の内径よりも大きく、ストッパーフランジ49の内径は、ガイドシャフト48の段部の外径よりも僅かに大きい。このためガイドシャフト48は、ストッパーフランジ49を挿通可能である。
【0041】
ばね収容部43には、係合手段50を構成する伝達シャフト51を取付けるための取付座46が設けられている。取付座46は、ばね収容部43の半径方向に設けられた凹溝であり、ばね収容部43の周方向に等間隔で複数個、ばね収容部43の横断面において隣り合う収容孔44の間に設けられている。
【0042】
係合手段50は、回転機構55と起振機構20とに係合し、回転機構55の回転を起振機構20に伝達する。また係合手段50は、起振機構20の軸方向の移動をサポートする手段としても機能する。係合手段50は、円柱状の伝達シャフト51と、伝達シャフト51の上部に取り付けられる軸受52と、カラー53とを備える。
【0043】
伝達シャフト51は、ばね収容部43の取付座46に下半分が嵌め込まれ、上半分は、ばね収容部43から突出するように取り付けられている。ばね収容部43から突出する伝達シャフト51には、軸受52を介してカラー53が回転自在に取付けられている。伝達シャフト51を含む軸受52及びカラー53は、ローラーガイド56のガイド溝60に嵌り込む。
【0044】
回転機構55は、駆動装置65を構成する減速機70の第2出力軸72に固定されたローラーガイド56を備え、ローラーガイド56と係合手段50とを係合させ、起振機構20及びカッターヘッド200を回転させる。また回転機構55は、ローラーガイド56の下端に取付けられたばね受けフランジ62を備える。ばね受けフランジ62は、ローラーガイド56のフランジ部58とで起振機構20の軸方向の移動距離を規制する移動規制手段を構成する。
【0045】
ローラーガイド56は、円筒状の本体57の後端にフランジ部58を有し、本体57の中央から前端にかけて本体57の外側に設けられたガイド部59を有する。ローラーガイド56は、フランジ部58が減速機70の第2出力軸72にボルト止めされ、本体57がスプリングホルダー41のばね収容部43を覆うように配置されている。
【0046】
ガイド部59は、本体57の外側に位置し、ここにカラー53が取付けられた伝達シャフト51が摺動自在に嵌り込むガイド溝60が設けられている。ガイド溝60は、ガイド部59の内周面に臨む軸方向(上下方向)に伸びる凹溝である。ガイド溝60は、ガイド部59の周方向に各伝達シャフト51がそれぞれ嵌り込むように複数個、本実施形態では8個設けられている。
【0047】
駆動装置65は、起振機構20及び回転機構55を駆動する装置であり、モーター67及び減速機70を主に構成され、モーター67と減速機70とが連結された状態でハウジング66内に収容されている。ハウジング66の外径は、ケーシング150の内径よりも小さく、ケーシング150を挿通可能である。
【0048】
モーター67は、特に限定されるものではなく、公知のモーターを使用することができる。モーター67及び減速機70は、ハウジング66内に設けられた冷却装置(図示省略)で冷却される。冷却装置には、モーター67及び減速機70の外周面を覆うように配置されたコイル状の冷却管、又はジャケットに冷却水を流通させ冷却する間接式の冷却装置を使用することができる。
【0049】
減速機70は、モーター67の出力軸に直結しモーター67の出力軸68と同じ回転数で回転する第1出力軸71と、第1出力軸71に比較して低速で回転する第2出力軸72とを備える。第1出力軸71の回転数をN1、第2出力軸72の回転数をN2とすると、N1>N2である。第1出力軸71は、モーター67の出力軸68と直結するため高速で回転する。第1出力軸71の先端部には駆動軸35の軸継手37に係合する軸継手73が設けられている。
【0050】
減速機70は、第1出力軸71と、第1出力軸71と比較して減速された第2出力軸72とを備えれば特に限定されるものではないが、減速機70は、ハウジング66内に格納されるためコンパクトであり、さらにカッターヘッド200を回転駆動するものであるから高トルクのものが好ましい。好適な減速機70を
図6及び
図7に示す。
図7は、
図6のF-F断面図である。
【0051】
図6に示す減速機70は、偏心揺動型の減速機であり、入力回転体75と、入力回転体75の外周面に固定された偏心カム76と、複数の外歯歯車77と、複数の伝達棒78と、複数の出力フランジ79と、複数のキャリアピン80と、内歯歯車81と、出力回転体72と、ケーシング82とを主に構成される。
【0052】
入力回転体75は、軸受を介してケーシング82の中心に回転自在に取り付けられている。入力回転体75は、モーター67の出力軸68と連結し、入力回転数N1で回転する。本実施形態では、入力回転体75の一部をケーシング82から突出させ、これを第1出力軸71としている。第1出力軸71は、入力回転体75と別体であってもよく、軸部材を入力回転体75と連結させこれを第1出力軸71としてもよい。
【0053】
偏心カム76は、入力回転体75の回転軸から偏心した回転軸を有し、入力回転体75と一体的に回転し、伝達棒78を介して外歯歯車77を揺動回転させる。外歯歯車77は、円環状の部材であり、軸受及び伝達棒78を介して偏心カム76と回転自在に連結する。外歯歯車77は、内周面が円形であり、外周面に外歯が設けられている。外歯歯車77の歯数は、MOである。
【0054】
伝達棒78は、偏心カム76の動きを外歯歯車77に伝達するための部材であり、一端が偏心カム76に取付けられた軸受の外周面に、他端が外歯歯車77の内周面に接するように、放射状に配置される。出力フランジ79は、隣り合う外歯歯車77の間に配置され、キャリアピン80と連結する。出力フランジ79は、円環状の部材であり、スプライン継手を介して出力回転体72に連結し、キャリアピン80を介して伝達される動力を出力回転体72に伝達する。
【0055】
内歯歯車81は、円筒状のケーシング本体82の内周面に設けられている。内歯歯車81の歯数は、MIである。
【0056】
出力回転体72は、円筒状の本体を有し、入力回転体75を覆うように配置され、軸受を介してケーシング82に回転自在に取り付けられている。出力回転体72には、伝達棒78を挿通する挿通孔が設けられ、外周面には、スプライン継手のキーが設けられている。本実施形態では、出力回転体72が第2出力軸72であり、第2出力軸72と第1出力軸71の回転軸は一致する。
【0057】
入力回転体75が回転すると、外歯歯車77は、内歯歯車81に噛み合いながら揺動回転する。内歯歯車81の歯数M
Iが外歯歯車77の歯数M
Oよりも多いため、外歯歯車77は、入力回転体75の回転数N
1に対して入力回転体75の回転方向とは逆方向に(M
I-M
O)/M
Oの割合で回転する。つまり減速機70の減速比はM
O/(M
I-M
O)となる。外歯歯車77の回転は、当該動力がキャリアピン80に伝達され、出力フランジ79を介して出力回転体72に伝達される。この結果、第2出力軸72の回転数N
2は、第1出力軸71の回転数N
1に(M
I-M
O)/M
Oを乗じた値となる。
図6に示す減速機70の詳細構造は、特許第7191353号公報参照のこと。
【0058】
以上からなる駆動装置65は、第1出力軸71が軸継手73を介して駆動軸35と連結し、駆動軸35を回転数N1で回転させる。また駆動装置65は、減速機70の第2出力軸72がローラーガイド56と連結し、回転機構55さらには起振機構20及びカッターヘッド200を回転数N2で回転させる。
【0059】
掘削機1は、さらにカッターヘッド200が掘削した掘削土を搬送するスクリューケーシング86を備える。スクリューケーシング86は、掘削土の搬送手段であり、掘削土をスクリューケーシング86の上部まで持ち上げる。スクリューケーシング86は、円筒状の本体87を備え、本体87の下端部には内側に突出するフランジ部88を有する。また本体87の外壁面には、掘削土を搬送するスクリュー89が設けられている。
【0060】
スクリューケーシング86は、本体87の上端部がリングキー90を介してローラーガイド56と連結する。これによりスクリューケーシング86は、ローラーガイド56と一体的に回転数N2で回転する。
【0061】
本体87の内径は、ホイールケース22のケース29の外径よりも僅かに大きく、ホイールケース22は、本体87の内側に位置する。また本体87の内径は、ローラーガイド56のガイド部59の外径よりも大きく、ローラーガイド56は、本体87の内側に位置する。
【0062】
スクリュー89の外径は、ケーシング150の内径と略同一であり、スクリュー89の外周面がケーシング150の内面に摺動自在に接する。スクリュー89の外径をケーシング150の内径よりも僅かに小さく設定し、スクリュー89の外周面をケーシング150の内面に接触させることなく近接した状態としてもよい。これらによりケーシング150の内周面と本体87の外周面との間に掘削土の搬送路が形成され、スクリューケーシング86を回転させることで掘削土を減速機70側に搬送することができる。
【0063】
スクリューケーシング86は、ローラーガイド56に連結した状態でフランジ部88の先端面がケーシング150の先端部151と同じ高さにある。フランジ部88は、中央部にホイールケース22のカッターヘッド取付部24が挿通する円孔が設けられ、円孔の内周面にはブッシュ91が嵌め込まれている。ブッシュ91は、カッターヘッド取付部24の外周面に摺動自在に接し、ホイールケース22の回転及び上下動をガイドする。
【0064】
本実施形態の掘削機1は、掘削深度に応じて継ぎ足し使用する延長用のケーシング160及び各種配管を集合させたジョイント管165を接続可能に構成されている。掘削機1は、掘削機1に配置された送気管などの各種配管と新たに接続されるジョイント管165とを接続するための配管室105を備える。
【0065】
配管室105は、ケーシング150の内径より小さい円筒状の本体107を有し、本体107の下端には連結用フランジ109が、本体107の上端にはジョイント管165を連結するための連結部111が設けられている。この連結部111によりジョイント管165を容易に連結し、また取外すことができる。
【0066】
配管室105は、駆動装置65の上方に位置し、駆動装置65のハウジング66に連結用フランジ109が固定されている。以上のように本実施形態において配管室105は、掘削機本体10に含まれる。
【0067】
ケーシング150は、円筒パイプ状の部材であり、配管室105を含む掘削機本体10を収容可能な内径及び長さを有する。本実施形態の掘削機1において、ケーシング150は、配管室105を含む掘削機本体10を収容するケーシングとして機能する他、埋設管として機能する。埋設管としての機能については、後述する。
【0068】
次に本実施形態の掘削機1に好適なカッターヘッド200について説明する。
図8は、カッターヘッド200の斜視図、
図9は、カッターヘッド200の固定ビット部210の分解構成図である。
図10は、カッターヘッド200の固定ビット220の変形例である。
図11(A),(B)は、カッターヘッド200の拡径状態を示す正面図、拡径状態における拡縮ビット部230の横断面図である。
図12(A)は、カッターヘッド200の拡径状態における縦断面図、(B)は、(A)とは異なる位置の縦断面図である。
図13(A),(B)は、カッターヘッド200の縮径状態を示す正面図、縮径状態における拡縮ビット部230の横断面図である。
図14(A)は、カッターヘッド200の縮径状態における縦断面図、(B)は、(A)とは異なる位置の縦断面図である。
【0069】
カッターヘッド200は、固定ビット部210と、拡縮ビット部230と、掘削機本体10と連結する連結部250とを備え、下から上に向かって固定ビット部210、拡縮ビット部230、連結部250の順に配され、これらが連結されてなる。カッターヘッド200は、連結部250が掘削機本体10のカッターヘッド取付部24に取付けられ、掘削機本体10を介して回転及び上下動し、地盤を掘削する。
【0070】
固定ビット部210は、肉厚の有底円筒状のケーシング211を有し、ここに地盤を掘削する固定ビット220が固定されてなる。ケーシング211は、有底円筒状の底に該当する部分が前面212となるように配される。
【0071】
ケーシング211は、前面212が平面であり、前面212と側面213との境界は傾斜面214となっている。前面212、側面213及び傾斜面214にはそれぞれ固定ビット220を取付けるため取付座215が設けられている。
【0072】
取付座215は、固定ビット220の台座222が嵌り込む凹部216と、固定ビット220の取付ボルト225が挿通する挿通孔217とを備える。凹部216は、台座222の下部がほぼ隙間なく嵌り込む大きさを有する。挿通孔217は、凹部216に連通し、ケーシンング211に直交するように穿設されている。これにより固定ビット220をケーシング211にしっかりと固定することができる。
【0073】
固定ビット220は、超硬チップ221と、超硬チップ221が固定される台座222と、台座222に直交するように台座222の底面に取付けられた取付ボルト225とで構成される。固定ビット220は、ケーシング211に設けられた挿通孔217に取付ボルト225が挿通され、凹部216に台座222が嵌り込み、振動等で緩まないようにケーシンング211に堅固にボルト止めされる。
【0074】
台座222は、細長い略長方体形状を有し、上面223に長手方向に平行な凹溝224が設けられている。超硬チップ221は、凹溝224と略同一の大きさを有する基部の上に先端が細い山型部が配された形状を有し、山型部が台座222の上面223から突出するように凹溝224にろう付けし固定されている。本実施形態では、台座222が細長い略長方体形状を有し、超硬チップ221が上部に山型部を有するが、台座222及び超硬チップ221の形状は特に限定されるものではない。
【0075】
図10に固定ビット220の変形例を示す。
図10(A)の固定ビット220aは、球形の超硬チップ221aが台座222の凹溝224に4個ジグザグに取付けられている。
図10(B)の固定ビット220bは、球形の超硬チップ221aが台座222の凹溝224に3個間隔を開けて一直線上に取付けられている。
【0076】
図10(C)の固定ビット220cは、台座222に長手方向に交差するように3個の凹溝224cが設けられ、それぞれ凹溝224cに上部が山型の超硬チップ221が取付けられている。
図10(D)の固定ビット220dは、台座222に長手方向に直交するように3個の凹溝224dが設けられ、それぞれ凹溝224dに上部が山型の超硬チップ221が取付けられている。
【0077】
本実施形態の固定ビット部210は、前面212に10個、側面213及び傾斜面214にそれぞれ6個の固定ビット220が放射状に取付けられている。固定ビット部210における固定ビット220の個数、配置は特に限定されるものではないが、本実施形態のように多数の固定ビット220をケーシング211全体に配置するのがよい。本実施形態のように多数の固定ビット220をケーシング211全体に配置すれば各固定ビット220にかかる負荷が低減される。
【0078】
従来のダウンザホールハンマーのハンマービットが、ハンマー本体の前面にのみ掘削ビットを配置しているのに対して、本実施形態の固定ビット部210は、ケーシング211の前面212のみならず側面213及び傾斜面214にも固定ビット220を配置しているので、拡縮ビット部230の負担が軽減される。
【0079】
固定ビット部210で使用する固定ビット220の形態は、全て同じでなくてもよい。例えば前面212に配置する固定ビット220と、側面213又は傾斜面214に配置する固定ビット220とが異なっていてもよい。一方、固定ビット部210で使用する固定ビット220の形態を統一すれば、作製が容易で低コストで作製できる利点がある。
【0080】
拡縮ビット部230は、地盤を掘削する拡縮ビット231と、拡縮ビット231を出没可能に収容するベースフランジ238と、ベースフランジ238に連結する固定側フランジ245とを主に構成される。
【0081】
拡縮ビット231は、細長い略長方体形状の本体232を有し、本体232の先端面233に超硬チップ236が取付けられている。本体232の反先端部は、上下方向に傾斜した傾斜面235となっている。本実施形態においては、拡縮ビット部230に同一形状・構造の拡縮ビット231が6個配置されている。
【0082】
本体232の先端面233には、軸線方向に平行な3つの凹溝234が設けられている。超硬チップ236は、凹溝234と略同一の大きさを有する基部の上に先端が細い山型部が設けられた形状を有し、山型部が先端面233から突出するように各凹溝234にろう付けし固定されている。本体232の先端面233及び凹溝234、さらには超硬チップ236の形状は特に限定されるものではない。
【0083】
ベースフランジ238は、肉厚の円筒部239と円筒部239につながるフランジ部243を有する。円筒部239の外径は、ケーシング211の外径と略同一である。円筒部239の内径は、外径と内径との差の半分の長さが拡縮ビット231の本体232の長さよりも大きく設定されている。円筒部239には本体232を収容する6個の凹部241が60°ピッチで放射状に設けられている。円筒部239の上面240は、固定側フランジ245と連結する面となっている。
【0084】
凹部241は、円筒部239の外周面242、内周面及び上面240につながるように形成されている。凹部241の形状及び大きさは、拡縮ビット231の本体232の形状及び大きさと略同一であり、拡縮ビット231は、凹部241にほぼ隙間なく摺動自在に嵌り込むことができる。
【0085】
フランジ部243は、円筒部239の下方に設けられている。フランジ部243の外径は、円筒部239の内径よりも大きく、またフランジ部243の内径は円筒部239の内径よりも小さく設定されている。
【0086】
固定側フランジ245は、肉厚のフランジ部246とフランジ部246につながる円筒部248を有する。フランジ部246の外径は、ベースフランジ238の円筒部239の外径よりも僅かに大きく設定されている。フランジ部246の内径は、ベースフランジ238の円筒部239の外径と内径との略中間の大きさである。フランジ部246の下面247は、ベースフランジ238と連結するフランジ面となっている。
【0087】
円筒部248は、フランジ部246の上方に軸線が中心軸線Mと平行になるように設けられている。円筒部248の外径及び内径は、フランジ部246の外径と内径との中間の大きさであり、円筒部248は、フランジ部246の上面から上方に突出している。
【0088】
以上からなる拡縮ビット部230は、ベースフランジ238の凹部241に拡縮ビット231が嵌め込まれ、ベースフランジ238の上面240に固定側フランジ245のフランジ部246の下面247が接するように配され、これらが締結ボルト262を介してケーシング211の上端に連結される。固定ビット部210と拡縮ビット部230とは、連結された状態で互いの軸線は一致する。
【0089】
連結部250は、カッターヘッド取付部24に連結する回転側フランジ251と、固定側フランジ245を回転自在に支持する軸受フランジ256とを有する。
【0090】
回転側フランジ251は、肉厚のリング形状を有し、外径はケーシング211の外径と略同一である。回転側フランジ251の内径は、ベースフランジ238のフランジ部243の内径と略同一である。回転側フランジ251の上面252には、カッターヘッド取付部24に連結するためのねじ孔253が設けられ、下面側には固定側フランジ245の円筒部248が嵌り込む凹部255が設けられている。
【0091】
軸受フランジ256は、肉厚のリング形状を有し、外径は固定側フランジ245のフランジ部246の内径と略同一である。軸受フランジ256の内径は、ベースフランジ238のフランジ部243の外径と内径との中間の大きさである。軸受フランジ256は、軸受260が嵌まり込む凹部257を有し、回転側フランジ251と締結ボルト259を介して連結される。
【0092】
以上からなる連結部250は、回転側フランジ251の凹部255に固定側フランジ245の円筒部248が嵌り込むように、さらに軸受フランジ256の凹部257と固定側フランジ245の円筒部248の内周面249とが対向するように配置され、軸受フランジ256の凹部257と固定側フランジ245の円筒部248との間に軸受260が装着され、軸受260を介して拡縮ビット部230と連結部250とが互いに回転自在に連結される。
【0093】
さらにカッターヘッド200は、拡縮ビット231をベースフランジ238の外周面242から径方向に突出させ、又は突出した拡縮ビット231を引っ込め元の位置に戻す拡縮手段270を有する。
【0094】
拡縮手段270は、軸方向にスライドし、係合する拡縮ビット231を出没させるスライド部材271と、スライド部材271を軸方向にスライドさせるねじ部材280とを備える。
【0095】
スライド部材271は、肉厚のリング部272の外周面に60°ピッチで径方向に放射状に突出した突出部273が一体的に設けられている。リング部272の内径は、ベースフランジ238のフランジ部243の内径よりも大きく設定され、リング部272の外径は、ベースフランジ238の円筒部239の内径よりも小さく、突出部273は、中央から先端部がベースフランジ328の円筒部239の凹部241に嵌り込む大きさを有する。リング部272の内周面には、ねじ部材280のねじ部282に螺合するねじ部276が設けられている。
【0096】
突出部273の個数及びピッチは、ベースフランジ238の円筒部239の凹部241の個数及びピッチに対応するように設けられている。突出部273の先端面は、上下方向に傾斜する傾斜面274となっており、この傾斜面274は、拡縮ビット231の傾斜面235と平行である。
【0097】
ねじ部材280は、円筒部281と円筒部281の上端に設けられたフランジ部285とを有し、上下方向の長さは、拡縮ビット部230の長さと略同一である。円筒部281の外径は、スライド部材271のリング部272の内径と略同一であり、円筒部281の外周面にはスライド部材271のねじ部276に螺合するねじ部282が設けられている。ねじ部282の長さは、拡縮ビット231を拡径位置及び縮径位置にすべく設定されている。円筒部281の先端には、ベースフランジ238のフランジ部243の内周面244が摺動自在に嵌り込む切欠き部283が設けられている。
【0098】
フランジ部285の外径は、円筒部281の外径よりも大きく設定されており、フランジ部285には、ねじ部材280を連結部250に連結するためのボルト挿通孔が穿設されている。
【0099】
拡縮手段270は、以下の要領でカッターヘッド200に組み込まれる。ねじ部材280のねじ部282とリング部材271のねじ部276とを螺合させ、ねじ部材280の切欠き部283にベースフランジ238のフランジ部243の内周面244が接した状態で、フランジ部285が、連結部250の軸受フランジ256と回転側フランジ251とに挟み込まれ、これらが締結ボルト259で連結される。この状態で拡縮ビット231の傾斜面235とスライド部材271の傾斜面274とが摺動自在に接する。
【0100】
上記構成からなるカッターヘッド200は、外観が略円柱形状を有し、ケーシング211の前面212が先端面を形成し、ケーシング211、ベースフランジ238、固定側フランジ245及び回転側フランジ251の外周面がカッターヘッド200の側面を形成する。またカッターヘッド200は、固定ビット部210と拡縮ビット部230が一体的に連結され、これらが連結部250に対して自転可能に連結される。カッターヘッド200の内部の一部、特に中心軸線M廻りは、空洞となっている。
【0101】
カッターヘッド200の拡縮ビット231の拡径、縮径要領は以下のとおりである。固定ビット部210及び拡縮ビット部230は、連結部250に対して自転可能に連結されているため、固定ビット部210及び拡縮ビット部230に掘削抵抗が加わると、固定ビット部210及び拡縮ビット部230が連結部250に対して相対的に回転する。これにより連結部250に連結するねじ部材280も固定ビット部210及び拡縮ビット部230に対して相対的に回転する。
【0102】
カッターヘッド200が掘削方向に回転するとスライド部材271がねじ部材280に沿って上方に移動する。これに伴い拡縮ビット231は、摺動自在に接するスライド部材271の突出部273により径方向外側に押し出され漸次拡径する。拡縮ビット231の拡径は、スライド部材271がねじ部材280のねじ部282の上端まで移動した時点で終了する。拡縮ビット231の拡径が終了しても、カッターヘッド200の回転に起因しスライド部材271には上方へ移動する力が作用するので拡縮ビット231の拡径状態は維持される。
【0103】
拡縮ビット231が拡径した状態でカッターヘッド200に対して逆方向の回転を加えると、スライド部材271は、ねじ部材280に沿って下方に移動する。スライド部材271の下方への移動に伴い拡縮ビット231は、摺動自在に接するスライド部材271の突出部273の傾斜面274の位置との関係で漸次縮径する。スライド部材271の縮径は、スライド部材271がねじ部材280のねじ部282の下端まで移動した時点で終了する。
【0104】
拡縮ビット231は、拡径時、ケーシング150の外径よりも大きく掘削可能に突出する。一方、縮径時、拡縮ビット231は、超硬チップ238の最先端の位置がベースフランジ238の外周面242と同一、又はベースフランジ238の外周面242よりも内側(中心軸線側)に入り込む。
【0105】
次にクランプ装置300の構造を説明する。
図15(A)は、クランプ装置300のクランプが解除された状態の断面図、
図15(B)は、クランプ装置300がクランプした状態の断面図である。
図16(A),(B),(C)は、それぞれ
図2の切断線C-C,切断線D-D,切断線E-Eで切断した断面図である。
【0106】
クランプ装置300は、掘削機本体10とケーシング150とを着脱自在に連結する装置であり、テーパーフランジ310と、テーパーフランジ310に摺動自在に接する複数のクサビ部材320と、複数のクサビ部材320を連結する連結フランジ330と、クサビ部材320を上下動させるクランプ用シリンダ340とを含み、配管室本体107の外周面とケーシング150の内周面152との間に設けられている。
【0107】
テーパーフランジ310は、外周面が円錐状の傾斜面311、内周面が円筒形状のテーパー部312と、テーパー部312の上端に設けられたフランジ部314とを備える。テーパー部312の内径は、配管室本体107の外径と略同一である。テーパー部312の外径は、上部に向かうに従って大きくなっている。
【0108】
フランジ部314は、中央に開口部を有するフランジであり、開口部の径は、テーパー部312の内径よりも小さく、フランジ部314の内周面は、テーパー部312よりも径方向内側に位置する。フランジ部314の外径は、テーパー部312の上端の外径よりも大きく、フランジ部314の外周面は、テーパー部312よりも径方向外側に位置する。
【0109】
以上からなるテーパーフランジ310は、配管室105に対して上方から被せるように挿通され、フランジ部314が配管室本体107の上面108にボルト止めされている。
【0110】
クサビ部材320は、内周面に円錐状の傾斜面321を有し外周面が円筒状の部材を4分割した部材であり、テーパーフランジ310の傾斜面311に摺動自在に接する。クサビ部材320の傾斜面321は、テーパーフランジ310の傾斜面311と平行であり、クサビ部材320の内周面の径は、上部に向かうに従って大きくなっている。
【0111】
4つのクサビ部材320は、同一形状・同一寸法であり、4つのクサビ部材320を周方向に隙間なく並べた状態で形成されるクサビ部材320の外径は、ケーシング150の内径よりも小さく設定されている。本実施形態では、4つの円弧状のクサビ部材からなるが、クサビ部材の個数は2個、3個又は5個以上であってもよい。
【0112】
連結フランジ330は、円環状のフランジであり、複数のクサビ部材320とクランプ用シリンダ340とを連結する。連結フランジ330の内径は、配管室本体107の外径よりも僅かに大きく、連結フランジ330の外径は、ケーシング150の内径よりも僅かに小さい。クサビ部材320は、基端部323が連結フランジ330の上面332に径方向にスライド可能に取付けられている。
【0113】
クランプ用シリンダ340は、4個のシリンダで構成され、各シリンダ本体341の基端部342が配管室105の連結用フランジ109の上面に周方向に90°ピッチで固定されている。またクランプ用シリンダ340のロッド344の先端が連結フランジ330に連結している。
【0114】
ロッド344を突き出すようにクランプ用シリンダ340を動作させると、連結フランジ330を介してクサビ部材320が上方に押し出される。押し出されたクサビ部材320は、傾斜面321をテーパーフランジ310の傾斜面311に摺動させながら上昇するとともに径方向外側に押し出される。これによりクサビ部材320の外周面325が、ケーシング150の内周面152に圧接し、クランプ装置300とケーシング150とが連結する。この状態がクランプ状態である。
【0115】
クランプ装置300は、配管室本体107の外周面とケーシング150の内周面152との間に配置され、配管室105に固定されているので、クランプ装置300をクランプ状態にすると、掘削機本体10及びカッターヘッド200もクランプ装置300を介してケーシング150と連結する。一方、ロッド344をシリンダ本体341側に後退するようにクランプ用シリンダ340を動作させ、クサビ部材320がケーシング150の内周面152から離れる。この状態がクランプ解除の状態である。クランプ解除の状態では、掘削機本体10、カッターヘッド200及びクランプ装置300は、ケーシング150と縁が切れている。
【0116】
掘削機1の使用方法を説明する。
図17は、掘削機1を用いた乾式真空工法である。乾式真空工法は、カッターヘッド200に泥水を供給することなく掘削する工法であり、地盤が盛土など比較的柔らかい土壌の掘削に適している。
【0117】
掘削機1は、先端にカッターヘッド200が取付けられ、掘削機本体10がクランプ装置300を介してケーシング150に固定されている。このような掘削機1は、カッターヘッド200を下方にして鉛直方向に立てた状態においては、カッターヘッド200を含む掘削機本体10が、クランプ装置300を介してケーシング150に吊り下げられた状態にある。また必要に応じて延長用のケーシング160及びジョイント管165が接続されてなる。
【0118】
延長用のケーシング160は、ケーシング150と同じく円筒パイプ状の部材であり、内径、外径ともケーシング150と同じである。このためカッターヘッド200及び掘削機本体10は、延長用のケーシング160内を挿通可能である。
【0119】
掘削機1は、ケーシング150又は延長用のケーシング160が地上600に設置された反力装置500に把持される。反力装置500は、操作盤502及び油圧ユニット504と接続し、ケーシング150又は延長用のケーシング160を回転不能にかつ上下方向に移動可能に支持する。
【0120】
掘削機1には連結されたジョイント管165に送気管508が接続され、地上600に設置されたコンプレッサ506からシール用の空気が供給される。このシール用空気は、ケーシング150内に供給され、起振機構20及び回転機構55に掘削土が入り込まないようにケーシング150内をシールし、カッターヘッド取付部24の先端に取付けられた逆止弁14からカッターヘッド200側に出る。
【0121】
また掘削機1には連結されたジョイント管165に吸引パイプ514が接続される。吸引パイプ514は、地上600に設置された真空タンク512及び真空排土装置510と接続し、スクリューケーシング86が搬送する掘削土を吸引する。
【0122】
掘削機1は、適宜延長用のケーシング160及びジョイント管165が接続され、掘削機1を先導体とし、先端に位置するカッターヘッド200が低速(回転数N2)で回転しつつ上下動し地盤を掘削する。具体的な動作は次のとおりである。
【0123】
モーター67を稼動させると、第1出力軸71に連結する駆動軸35が高速(回転数N1)で回転し、一対の回転振り子30a、30bを回転させる。回転振り子30a、30bの回転に伴い、回転振り子30a、30bを支持するホイールケース22が上下動する。このときホイールケース22と連結するスプリングホルダー41に装着された伝達シャフト51が、ローラーガイド56のガイド溝60に嵌り込み、起振機構20は、ガイド溝60に案内され上下動する。
【0124】
ホイールケース22が上下動すると、ホイールケース22と連結するスプリングホルダー41に装着されたガイドシャフト48の下端がばね受けフランジ62に衝突し、またガイドシャフト48の上端がローラーガイド56のフランジ部58に衝突し、装着された圧縮ばね47が衝撃を吸収する。圧縮ばね47は、圧縮状態から伸長することで起振機構20の上下動を付勢する。
【0125】
上記の動作により起振機構20は、連結されたカッターヘッド200と一体的に上下動しカッターヘッド200に打撃力を付与する。
【0126】
またモーター67を稼動させると、第1出力軸71と一緒に第2出力軸72も回転数N2で回転する。第2出力軸72が回転することで第2出力軸72に連結されたローラーガイド56も一体的に回転数N2で回転する。ローラーガイド56と起振機構20とは直接的には連結されていないが、スプリングホルダー41に取付けられた伝達シャフト51がローラーガイド56のガイド溝60に嵌り込んでいるため、ローラーガイド56の回転が伝達シャフト51を介して起振機構20に伝達される。
【0127】
これにより回転機構55が回転数N2で回転すると、起振機構20及びそれに連結されたカッターヘッド200も一体的に回転数N2で回転する。回転機構55は、ローラーガイド56が減速機70の第2出力軸72に連結され、伝達シャフト51がガイド溝60に上下動可能に係合するため起振機構20が上下動しても上下動しない。
【0128】
以上により起振機構20及びカッターヘッド200が一体的に回転数N2で回転しつつ上下動する。これにより固定ビット220が地盤を掘削する。さらに固定ビット部210が回転しつつ地盤を掘削することで固定ビット部210に掘削抵抗が加わる。これにより固定ビット部210及び拡縮ビット部230が連結部250に対して相対的に回転し、スライド部材271がねじ部材280に沿って上方に移動する。これに伴い拡縮ビット231は、スライド部材271の突出部273により径方向外側に押し出され拡径し、地盤を掘削する。
【0129】
カッターヘッド200が掘削する掘削土は、以下の要領で地上に排出される。スクリューケーシング86は、リングキー90を介してローラーガイト56と連結する。このためモーター67を稼動させると、スクリューケーシング86は回転数N2で回転し、掘削土を減速機70側に搬送する。この掘削土は、さらに吸引パイプ514に吸引され地上600に運ばれる。
【0130】
掘削深度に応じて延長用のケーシング160及びジョイント管165を順次継ぎ足し、掘削する。掘削が完了するとカッターヘッド200を逆転回転させる。これにより拡縮ビット231が縮径する。
【0131】
掘削機1の回収は、拡縮ビット231を縮径させ、クランプ装置300を掘削時と同様にクランプさせた状態で、反力装置500を介して延長用ケーシング160及びジョイント管165と一体的に地上に引き上げる。
【0132】
本掘削機1は、クランプ装置300のクランプを解除状態とすれば、ケーシング150と掘削機本体10の縁が切れるので掘削した場所にケーシング150及び延長用ケーシング160を残し、掘削機本体10及びカッターヘッド200を回収することができる。
【0133】
拡縮ビット231を縮径させた状態でジョイント管165の上端に引き上げ用のワイヤー(図示省略)を取付け、クランプ装置300をクランプ解除状態にする。ワイヤーをクレーン(図示省略)で吊り上げると、ケーシング150及び延長用ケーシング160をその場所にそのままの状態で残し、カッターヘッド200、掘削機本体10、クランプ装置300及びジョイント管165を一体的に引き上げることができる。
【0134】
掘削機1の他の使用方法を説明する。
図18は、掘削機1を用いた泥水還流工法である。泥水還流工法は、カッターヘッド200に泥水を供給しつつ、泥水を掘削土と共に回収し、掘削土と分離した泥水を循環使用し掘削する工法であり、岩盤など硬質の地盤の掘削に適している。
図17の掘削機1を用いた乾式真空工法と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0135】
泥水還流工法では、地上600に泥水循環装置520が設置される。泥水循環装置520は、泥水送水ポンプ522を備え、送泥管524がジョイント管165に接続され、カッターヘッド200に泥水が送られる。カッターヘッド200には先端面に泥水を送るノズル218が設けられ、ここから泥水が排出する。また泥水循環装置520は、サンドポンプ530から送られる掘削土を含む泥水から掘削土を分離する分離機526を備え、ここで掘削土が分離され、泥水は循環使用される。
【0136】
泥水還流工法では、地上600に設置したサンドポンプ530を介して掘削土を含む泥水を回収する。
【0137】
泥水還流工法における掘削機1の起振機構20、カッターヘッド200などの動きは、
図17に示す乾式真空工法と基本同じであるが、泥水を供給しつつ掘削し、掘削した掘削土及び泥水をケーシング150、延長用のケーシング160の外側から回収する点で乾式真空工法と異なる。泥水還流工法で使用する掘削機1の場合には、スクリューケーシング86、又はスクリュー89を省略してもよい。
【0138】
泥水還流工法における掘削機1の回収要領、掘削した場所にそのままケーシング150及び延長用ケーシング160を残し、掘削機本体10及びカッターヘッド200を回収する要領は、乾式真空工法における掘削機1と同じである。
【0139】
図19は、本発明の第2実施形態の掘削装置2の引抜き装置400の構成を説明するための図であり、(A)は縦断面図、(B)は上クランプ手段431の平面図である。
図20は、
図19に示す引抜き装置400の断面図であり、(A),(B),(C),(D)は、それぞれ
図19の切断線G-G,切断線H-H,切断線I-I,切断線J-Jで切断した断面図である。
図21は、本発明の第2実施形態の掘削装置2の引抜き装置400の使用方法を説明するための図である。
図19(A)及び
図21は、左側が下方である。
【0140】
第2実施形態の掘削装置2は、第1実施形態の掘削機1と、掘削機本体10を引き抜くための引抜き装置400と、及び掘削機1のクランプ装置300及び引抜き装置400の動作を制御する制御装置480とを含み構成されている。
【0141】
引抜き装置400は、下クランプ手段401、上クランプ手段431、下クランプ手段401と上クランプ手段431とに連結し、これらの間隔を伸縮させる連結シリンダ461とを含み構成される。
【0142】
下クランプ手段401は、ケーシング402と、クサビ部材410と、クサビ部材410をクランプ用シリンダ425に連結するためのクサビ部材取付座415と、クサビ部材410を上下動させるクランプ用シリンダ425を備える。
【0143】
ケーシング402は、上下方向に延びる円筒状の本体部403を有し、本体部403の上端に径方向外側に位置する上フランジ部404を有する。また本体部403の下端には径方向内側に位置する下フランジ部405を有する。下フランジ部405の中央には開口部が設けられ、この開口部の周縁部に本体部403に平行な内円筒部406が設けられている。
【0144】
本体部403の外径は、ケーシング150又は延長用のケーシング160の内径よりも僅かに小さい。一方、上フランジ部404の外径は、ケーシング150又は延長用のケーシング160の外径よりも大きい。このため本体部403をケーシング150又は延長用のケーシング160内に挿入すると、上フランジ部404がケーシング150又は延長用のケーシング160の端部に係止する。
【0145】
内円筒部406の長さは、本体部403の長さの半分程度であり、内径はジョイント管165の外径よりも僅かに大きく設定されている。内円筒部406の外径は、本体部403と内円筒部406との間にクランプ用シリンダ425、クサビ部材取付座415を配置できる空間が確保できるように設定されている。内円筒部406の内周面の上部には、上端に向かって径が大きくなる傾斜面407が設けられている。
【0146】
クサビ部材410は、上端に外側に突出するフランジ部414を有する、外周面に円錐状の傾斜面412を有し内周面が円筒状の部材を2分割した部材である。2つのクサビ部材410は、同一形状・同一寸法であり、2つのクサビ部材410を周方向に隙間なく並べた状態で形成されるクサビ部材410の内径は、ジョイント管165の外径よりも僅かに小さく設定されている。クサビ部材410の傾斜面412は、内円筒部406の傾斜面407と平行であり、傾斜面412の径は、上部に向かうに従って大きくなっている。
【0147】
クサビ部材取付座415は、上部にクサビ部材410を固定するための取付座420を有する。取付座420は、中央が開口した円環状のフランジである。取付座420の下方にクサビ部材取付座415をクランプ用シリンダ425のロッド427に取付けるための固定部416を備え、ロッド427の先端に堅固に固定されている。固定部416の内周面にはクサビ部材410のフランジ部414が嵌り込む凹部422が設けられている。クサビ部材410は、フランジ部414を凹部422に嵌め入れ、径方向にスライド可能に取付座420にボルト止めされている。
【0148】
固定部416の内側周縁部には下方に延びる円筒部417が設けられている。円筒部417は、ケーシング402の内円筒部406と平行であり、クサビ部材取付座415をクランプ用シリンダ425のロッド427に取付けると、円筒部417の内周面418が内円筒部406の外周面408に接するように設けられている。
【0149】
クランプ用シリンダ425は、2個のシリンダで構成され、各シリンダ本体426の基端部がケーシング402の下フランジ部405の上面であって周方向に見て相対する位置に固定されている。またクランプ用シリンダ425のロッド427の先端にクサビ部材取付座415が取付けられている。
【0150】
ロッド427を突き出すようにクランプ用シリンダ425を動作させると、クサビ部材取付座415は、円筒部内周面418を内円筒部外周面408に摺動させながら上方に移動する。これに伴いクサビ部材取付座415に固定されたクサビ部材410は、円筒部406から離れ、クランプ解除状態となる。
【0151】
ロッド427をシリンダ本体426側に後退するようにクランプ用シリンダ425を動作させると、クサビ部材取付座415は、円筒部内周面418を内円筒部外周面408に摺動させながら下方に移動する。これに伴いクサビ部材取付座415に固定されたクサビ部材410は、傾斜面412を内円筒部406の傾斜面407に摺動させながら下方に移動するとともに径方向内側に押し出される。これによりクサビ部材410の内周面413が、ジョイント管165の外周面167に圧接し、下クランプ手段401がジョイント管165に係止し、クランプ状態となる。
【0152】
上クランプ手段431は、下クランプ手段401のケーシング402の上フランジ404を除き、下クランプ手段401の構成と同じであり、下クランプ手段401の部材を上下反転させた配置からなる。具体的には以下のとおりである。
【0153】
上クランプ手段431は、ケーシング432と、クサビ部材440と、クサビ部材440をクランプ用シリンダ455に連結するためのクサビ部材取付座445と、クサビ部材440を上下動させるクランプ用シリンダ455を備える。
【0154】
ケーシング432は、上下方向に延びる円筒状の本体部433を有し、本体部433の上端に径方向内側に位置する上フランジ部435を有する。上フランジ部435の中央には開口部が設けられ、この開口部の周縁部に本体部433に平行な内円筒部436が設けられている。本体部433の外径は、ケーシング150又は延長用のケーシング160の内径よりも僅かに小さい。
【0155】
内円筒部436の長さは、本体部433の長さの半分程度であり、内径はジョイント管165の外径よりも僅かに大きく設定されている。内円筒部436の外径は、本体部433と内円筒部436との間にクランプ用シリンダ455、クサビ部材取付座435を配置できる空間が確保できるように設定されている。内円筒部436の内周面の下部には、下端に向かって径が大きくなる傾斜面437が設けられている。
【0156】
クサビ部材440は、下端に外側に突出するフランジ部444を有する、外周面に円錐状の傾斜面442を有し内周面が円筒状の部材を2分割した部材である。2つのクサビ部材440は、同一形状・同一寸法であり、2つのクサビ部材440を周方向に隙間なく並べた状態で形成されるクサビ部材440内径は、ジョイント管165の外径よりも僅かに小さく設定されている。クサビ部材440の傾斜面442は、内円筒部436の傾斜面437と平行であり、傾斜面442の径は、下部に向かうに従って大きくなっている。
【0157】
クサビ部材取付座445は、下部にクサビ部材440を固定するための取付座450を有する。取付座450は、中央が開口した円環状のフランジである。取付座450の上方にクサビ部材取付座445をクランプ用シリンダ455のロッド457に取付けるための固定部446を備え、ロッド457の先端に堅固に固定されている。固定部446の内周面にはクサビ部材440のフランジ部444が嵌り込む凹部452が設けられている。クサビ部材440は、フランジ部444を凹部452に嵌め入れ、径方向にスライド可能に取付座450にボルト止めされている。
【0158】
固定部446の内側周縁部には上方に延びる円筒部447が設けられている。円筒部447は、ケーシング432の内円筒部436と平行であり、クサビ部材取付座445をクランプ用シリンダ455のロッド457に取付けると、円筒部447の内周面448が内円筒部436の外周面438に接するように設けられている。
【0159】
クランプ用シリンダ455は、2個のシリンダで構成され、各シリンダ本体456の基端部がケーシング432の上フランジ部435の下面であって周方向に見て相対する位置に固定されている。またクランプ用シリンダ455のロッド457の先端にクサビ部材取付座445が取付けられている。
【0160】
ロッド457を突き出すようにクランプ用シリンダ455を動作させると、クサビ部材取付座445は、円筒部内周面448を内円筒部外周面438に摺動させながら下方に移動する。これに伴いクサビ部材取付座445に固定されたクサビ部材440は、円筒部436から離れ、クランプ解除状態となる。
【0161】
ロッド457をシリンダ本体456側に後退するようにクランプ用シリンダ455を動作させると、クサビ部材取付座445は、円筒部内周面448を内円筒部外周面438に摺動させながら上方に移動する。これに伴いクサビ部材取付座445に固定されたクサビ部材440は、傾斜面442を円筒部436の傾斜面437に摺動させながら上方に移動するとともに径方向内側に押し出される。これによりクサビ部材440の内周面443が、ジョイント管165の外周面167に圧接し、上クランプ手段431がジョイント管165に係止し、クランプ状態となる。
【0162】
連結シリンダ461は、下クランプ手段401と上クランプ手段431とに連結し、これらの間隔を伸縮させる部材であり、2つの連結シリンダ461からなる。2つの連結シリンダ461は、平面視においてクランプ用シリンダ425,455の間であって相対する位置に配置されている。各連結シリンダ461は、シリンダ本体462の基端部が下クランプ手段401の下フランジ405の上面にボルト止めされ、ロッド465の先端が連結板470を介して上クランプ手段431の上フランジ435の下面にボルト止めされている。
【0163】
以上によりロッド465を前進させることでクランプ手段401と上クランプ手段431との間隔が広がり、逆にロッド465を後退させることでクランプ手段401と上クランプ手段431との間隔が狭まる。本実施形態ではシリンダ本体462の基端部が下フランジ405の上面にボルト止めされ、ロッド465の先端が上フランジ435の下面にボルト止めされているが、シリンダ本体462の基端部が上フランジ435の下面にボルト止めされ、ロッド465の先端が下フランジ405の上面にボルト止めされていてもよい。
【0164】
制御装置480は、クランプ装置300及び引抜き装置400の動作を制御する装置である。制御装置480は、プログラマブルロジックコントローラ、マイコンでありプログラム機能を備え、予め設定された手順に従い、クランプ装置300のクランプ用シリンダ340、引抜き装置400のクランプ用シリンダ425,455、連結用シリンダ461の動作を制御する。このような制御装置480は、
図17に示す乾式真空工法を用いる設備では、操作盤502に組み込まれる。
【0165】
図21を用いて引抜き装置400の動作について説明する。連結シリンダ461のロッド465を後退させた状態の引抜き装置400を下クランプ手段401側からジョイント管165に挿入する。これにより下クランプ手段401のケーシング402の上フランジ部404が、延長用ケーシング160の上端161に引っ掛り、引抜き装置400が延長用ケーシング160に係止する(
図21(A))。
【0166】
図21(A)の状態において、クランプ装置300は、クランプ状態、引抜き装置400の下クランプ手段401及び上クランプ手段431は、クランプ解除状態である。クランプ装置300、下クランプ手段401及び上クランプ手段431のクランプ及びクランプ解除は、制御装置480が制御する。
【0167】
次に、上クランプ手段431のみクランプ状態とする(
図21(B))。引き続き、連結シリンダ461のロッド465を伸長させる。これによりカッターヘッド200、掘削機本体10及びジョイント管165が、一体的にロッド465の伸長分だけ持ち上げられる(
図21(C))。
【0168】
続いて、クランプ装置300及び下クランプ手段401をクランプ状態とした後、上クランプ手段431をクランプ解除状態とする。この状態ではクランプ装置300及び下クランプ手段401より掘削機本体10等の落下が防止されている(
図21(D))。
【0169】
続いて、連結シリンダ461のロッド465を後退させ、上クランプ手段431を下クランプ手段401側に引き寄せる(
図21(E))。その後、上クランプ手段431をクランプし、クランプ装置300及び下クランプ手段401のクランプを解除する。この状態は、
図21(B)と同じ状態であり、以降、
図21(B)~(E)の動作を繰り返し、これによりケーシング150及び延長用ケーシング160からカッターヘッド200、掘削機本体10及びジョイント管165を一体的に引き抜くことができる。
【0170】
以上からなる第1実施形態の掘削機1の特徴をダウンザホールハンマーと比較しつつ説明する。第1実施形態の掘削機1は、先端部のカッターヘッド200を回転させつつ上下動させることができるため岩盤層などの硬い地盤も掘削できる点でダウンザホールハンマーと共通する。一方、以下に説明のとおり、装置構造の違いに起因しダウンザホールハンマーとは作用効果が異なる。
【0171】
ダウンザホールハンマーは、打撃のための駆動源(コンプレッサ)が地上にあり、動作媒体である圧縮空気は、パイプを介してハンマーピストンに供給される。このため掘削深度が深くなると圧縮空気を供給するための圧力損失も大きくなり、エネルギーロスが増大しエネルギー効率が悪くなる。また圧縮空気を供給するパイプの取り回しも容易ではない。
【0172】
これに対して掘削機1は、同じケーシング150にカッターヘッド200と、カッターヘッド200の駆動装置65が組み込まれているので、カッターヘッド200と駆動装置65とが常に一体となって移動する。このため駆動装置65の駆動力がカッターヘッド200に効率的に伝達され、掘削深度が深くなってもエネルギーの伝達効率が低下しない。このため掘削機1は、エネルギー効率に優れ、省エネルギーである。
【0173】
また掘削機1は、1つのモーター67でカッターヘッド200の回転と打撃を実現させるので装置をコンパクト化することができる。また掘削機1は、ダウンザホールハンマーとは異なり、ケーシング(掘削パイプに相当)が回転しないため装置本体を回転させるための回転装置を地上に設置する必要がなく省スペース化を実現できる。また掘削機1は、ケーシングが回転しないため安全である。
【0174】
ダウンザホールハンマーは、通常、ハンマーピストンを駆動させた後の圧縮空気を利用して掘削土等を地上に噴出させるため周辺環境が悪化する。これに対して掘削機1は、吸引パイプ又は排泥管を通じて掘削土等を地上に排出するので周辺環境に悪影響を与えない。また掘削機1は、
図17及び
図18に示すように施工場所・土質によって掘削方法を選択することができるので使い勝手がよい。
【0175】
ダウンザホールハンマーは、通常、ハンマーの打撃に圧縮空気を使用するため振動、騒音が発生するなど周辺環境に悪影響を及ぼす。これに対して掘削機1は、回転振り子30を用い機械的に上下動を発生させる起振機構20がケーシング150に組み込まれ、これがカッターヘッド200を上下動させるため地上での振動、騒音は非常に小さい。
【0176】
また掘削機1は、回転振り子30を用い機械的に上下動を発生させるので、ピストンに比較して大きな打撃力が得られる。
【0177】
さらに掘削機1は、カッターヘッド200が固定ビット220及び拡縮ビット231を備えるので効率的に地盤を掘削することができる。カッターヘッド200が掘削方向に回転しつつ上下動すると、固定ビット部210に設けられた固定ビット210が地盤を掘削する。このときカッターヘッド200が上下動することで地盤に対し打撃力を与え、岩盤など硬い地盤も掘削することができる。固定ビット部210には、先端面212のみならず側面213及び傾斜面214にも固定ビット220が取付けられているため掘削能力に優れる。
【0178】
本実施形態のカッターヘッド200は、前面に固定ビット220が配され、その後方に拡縮ビット231が配されている。このため拡縮ビット231が掘削する前に、既に固定ビット部210の横断面積と同じ大きさの地盤は既に掘削されているため拡縮ビット231が掘削する地盤は僅かである。このため拡縮ビット231の負担は少ないと言える。
【0179】
以上のように第1実施形態のカッターヘッド200は、複数の固定ビット220と縮径ビット231とを有し、これらが協働して地盤を掘削するので迅速に地盤を掘削することができる。またカッターヘッド200は、縮径ビット231が固定ビット220の後方に配置されているので縮径ビット231の負担が軽減され、地盤を効率的に掘削することができる。
【0180】
またカッターヘッド200は、固定ビット220がケーシング211に着脱可能に取付けられているので、固定ビット220の交換が容易であり、また固定ビット220の配置の自由度も高い。拡縮ビット231の交換も可能である。また固定ビット220は、超硬チップ221が台座222に、拡縮ビット231は超硬チップ236が本体232にろう付けされているので、超硬チップ221、236が摩耗しても超硬チップ221、236を交換可能であり経済的である。また超硬チップ221、236がろう付けされているので超硬チップ221、236の配列の自由度も高い。
【0181】
またカッターヘッド200は、所定の長さを有するねじ機構を用いた拡縮手段270を用いて拡縮ビット231を出没させるので、拡縮ビット231は、カッターヘッド200が掘削方向(正回転方向)に大きく回転しなければ拡径状態とならず、同様に拡縮ビット231はカッターヘッド200が逆方向に大きく回転しなければ縮径状態とはならない。
【0182】
拡縮手段270を構成するねじ機構の所定の長さは、連結部250に対し拡縮ビット部230が300°程度回転したときに相当する。このためカッターヘッド200が地盤に引っ掛かり回転方向が僅かに変化しても、拡径状態から縮径状態、縮径状態から拡径状態にならないため安定した掘削を行うことができる。
【0183】
さらに掘削機1は、掘削機本体10がクランプ装置300を介してケーシング150に着脱自在に固定されているため掘削機本体10、さらには掘削機本体10に連結されたカッターヘッド200及びクランプ装置300を掘削機本体10と一体的にケーシング150から引き抜き回収することができる。掘削深度が深く掘削機1に延長用ケーシング160、ジョイント管165が接続されている場合は、ジョイント管165を掘削機本体10と一体的に引き抜き回収し、ケーシング150及び延長用ケーシング160をそのままその場所に残すことができる。
【0184】
以上のように本発明に係る掘削機1は、地盤を掘削し掘削した掘削孔にケーシング150及び延長用ケーシング160をそのまま残すことができるのでケーシング150及び延長用ケーシング160を埋設管として使用することができる。ケーシング150及び延長用ケーシング160には、パイプの他、鋼管矢板を使用することができる。鋼管矢板は、円筒状の矢板本体と本体の側面に取付けられた継手を備えるので、円筒状の矢板本体を掘削機1のケーシング150として使用することができる。本発明に係る掘削機、掘削装置を使用すればパイプ、鋼管矢板などパイプ状部材を効率的に設置することができる。
【0185】
また第2実施形態の掘削装置2は、ケーシング150及び延長用ケーシング160に対し、カッターヘッド200、掘削機本体10、クランプ装置300及びジョイント管165を一体的に抜き去り回収することができる引抜き装置400を備えるので、掘削機本体10等を引き抜くためのクレーン等が不要となる。クレーン等を使用するにはその設置場所を確保する必要があるが、引抜き装置400は、延長用ケーシング160に引っ掛け使用するため特に設置場所を確保する必要はなくこの点でも使い勝手がよい。
【0186】
本発明に係る掘削機1は、地盤に対して鉛直方向のみならず斜めに掘削孔を掘削することができる。斜めに傾斜孔を掘削し、そこにケーシング150及び延長用ケーシング160のみを残し掘削機本体10等を引き抜き回収する場合、クレーン等では掘削機本体10等の回収が難しい。第2実施形態の掘削装置2では、引抜き装置400を備えるので、斜めの掘削孔であってもそこにケーシング150及び延長用ケーシング160のみを残し掘削機本体10等を容易に回収することができる。
【0187】
以上、第1実施形態の掘削機1、第2実施形態の掘削装置2を用いて、本発明に係る掘削機及び掘削装置を説明したが、本発明に係る掘削機、掘削装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
【0188】
図面を参照しながら好適な掘削機及び掘削装置について説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0189】
1 掘削機
2 掘削装置
10 掘削機本体
20 起振機構
21 起振手段
24 カッターヘッド取付部
55 回転機構
65 駆動装置
67 モーター
70 減速機
105 配管室
150 ケーシング
160 延長用のケーシング
165 ジョイント管
200 カッターヘッド
300 クランプ装置
400 引き抜き装置
401 下クランプ手段
404 上フランジ部
431 上クランプ手段
461 連結シリンダ
480 制御装置
M 中心軸線