IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ システム計測株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ケリーバ保持治具 図1
  • 特開-ケリーバ保持治具 図2
  • 特開-ケリーバ保持治具 図3
  • 特開-ケリーバ保持治具 図4
  • 特開-ケリーバ保持治具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179686
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ケリーバ保持治具
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/20 20060101AFI20241219BHJP
   E21B 11/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E21B7/20
E21B11/00 A
E21B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098721
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】595067442
【氏名又は名称】システム計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100130096
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一総
(72)【発明者】
【氏名】久保 豊
(72)【発明者】
【氏名】関根 孝司
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA03
2D129BB03
2D129EA02
2D129EA03
2D129EA09
2D129EB02
(57)【要約】
【課題】コンパクトで簡素な構造を有し、ケーシングチューブの回転トルクからケリーバに必要な量の回転トルクを伝達できるケリーバ保持治具を提供する。
【解決手段】ケリーバの外周に相対回転不能に組付けられる外周保持体と、軸心を中心として回転可能なケーシングチューブに相対回転不能に組付けられるとともに、ケリーバに向かって半径方向内側に延在する支持部材と、外周保持体に設けられ、ケリーバが回転する円周方向に沿って延在するように設けられた第一接触部と、支持部材に設けられ、ケーシングチューブが回転する円周方向に沿って延在し、第一接触部に摺動可能に接触する第二接触部と、第一接触部と第二接触部との間に生じる摩擦力を調節することで、ケーシングチューブからケリーバに伝達されるトルク量を調整する調整装置と、を備えた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケリーバの外周に相対回転不能に組付けられる外周保持体と、
軸心を中心として回転可能なケーシングチューブに相対回転不能に組付けられるとともに、前記ケリーバに向かって半径方向内側に延在する支持部材と、
前記外周保持体に設けられ、前記ケリーバが回転する円周方向に沿って延在するように設けられた第一接触部と、
前記支持部材に設けられ、前記ケーシングチューブが回転する円周方向に沿って延在し、前記第一接触部に摺動可能に接触する第二接触部と、
前記第一接触部と前記第二接触部との間に生じる摩擦力を調節することで、前記ケーシングチューブから前記ケリーバに伝達されるトルク量を調整する調整装置と、
を備えたケリーバ保持治具。
【請求項2】
前記第一接触部は、前記外周保持体の上部と下部とに設けられ、
前記第二接触部は、前記支持部材の上部と下部とに設けられ、
前記外周保持体の前記上部と前記下部とに設けられた前記第一接触部を、
前記支持部材の前記上部と前記下部とに設けられた前記第二接触部で、挟持するように接触する
請求項1に記載のケリーバ保持治具。
【請求項3】
前記調整装置は、前記外周保持体の前記上部と前記下部とに設けられた前記第一接触部を、前記支持部材の前記上部および前記下部に設けられた前記第二接触部によって挟持する力を変化させることで前記ケリーバに伝達されるトルク量を調整する
請求項2に記載のケリーバ保持治具。
【請求項4】
前記外周保持体には、前記ケリーバに面する側に係合部が設けられ、
前記係合部と前記ケリーバの外周に設けられた被係合部とが係合することで、前記外周保持体は、前記ケリーバに相対回転不能に組付けられる
請求項1に記載のケリーバ保持治具。
【請求項5】
前記支持部材は、前記ケリーバに向かってそれぞれ延在するとともに、前記ケーシングチューブの円周部に沿って均等な角度毎に配置される複数のアーム部と、
各前記アーム部の前記ケリーバに面する側にそれぞれ設けられるとともに、前記第二接触部を保持する第二保持部と、を備え、
各前記第二保持部は、円周方向に並べられた隣接するもの同士が連結されることで、前記外周保持体を包囲する
請求項1に記載のケリーバ保持治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ケーシングチューブからケリーバに、必要な回転トルクを伝達できるように、ケリーバをケーシングチューブに保持する治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地面に縦穴を掘削し、その中に鉄筋篭を建て込み、コンクリートを打設することで杭を築造する様々な工法が知られている。これらの工法において、縦穴を掘るケリーバと、掘った穴の内壁を補強するケーシングチューブとが使われている。
【0003】
特許文献1には、ケリーバとケーシングチューブとを一体に設け、ケリーバの回転と、ケーシングチューブの回転とを、一つの駆動装置によって行う掘削装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5871367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般に、ケーシングチューブの回転トルクは、ケリーバの回転トルクの二~三倍以上あり、ケーシングチューブの回転を、そのままケリーバに伝達すると、ケーシングチューブとケリーバとを連結する部位が破損するおそれがある。そのため、ケーシングでは高トルク、ケリーバでは低トルクにさせるための複雑な機構を必要とした。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、コンパクトで簡素な構造を有し、ケーシングチューブの回転トルクをケリーバに必要なだけ伝達できるケリーバ保持治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様のケリーバ保持治具によれば、ケリーバの外周に相対回転不能に組付けられる外周保持体と、軸心を中心として回転可能なケーシングチューブに相対回転不能に組付けられるとともに、前記ケリーバに向かって半径方向内側に延在する支持部材と、を備えている。
【0008】
また、前記外周保持体に設けられ、前記ケリーバが回転する円周方向に沿って延在するように設けられた第一接触部と、前記支持部材に設けられ、前記ケーシングチューブが回転する円周方向に沿って延在し、前記第一接触部に摺動可能に接触する第二接触部と、前記第一接触部と前記第二接触部との間に生じる摩擦力を調節することで、前記ケーシングチューブから前記ケリーバに伝達されるトルク量を調整する調整装置と、を備えている。
【0009】
これによれば、ケーシングチューブの回転トルクを、第一接触部および第二接触部を介して、ケリーバに伝達するという、簡素な構造により、安全かつ確実に必要な回転トルクをケリーバに伝達することができる。
【0010】
本発明の第二の態様のケリーバ保持治具によれば、第一の態様のケリーバ保持治具において、前記第一接触部は、前記外周保持体の上部と下部とに設けられ、前記第二接触部は、前記支持部材の上部と下部とに設けられ、前記外周保持体の前記上部と前記下部とに設けられた前記第一接触部を、前記支持部材の前記上部と前記下部とに設けられた前記第二接触部で、挟持するように接触する。
【0011】
これによれば、第一接触部と第二接触部とは、第一接触部に対する第二接触部の力を逃がすことなく、確実にかつ安定して互いに接触することができる。
【0012】
本発明の第三の態様のケリーバ保持治具によれば、第二の態様のケリーバ保持治具において、前記調整装置は、前記外周保持体の前記上部と前記下部とに設けられた前記第一接触部を、前記支持部材の前記上部および前記下部に設けられた前記第二接触部によって挟持する力を変化させることで前記ケリーバに伝達されるトルク量を調整する。
【0013】
これによれば、第一接触部を第二接触部で挟持する力を変化させ、摩擦力を発生させる抗力の大きさを変えることで、伝達するトルク量を容易に調整することができる。
【0014】
本発明の第四の態様のケリーバ保持治具によれば、第一の態様のケリーバ保持治具において、前記外周保持体には、前記ケリーバに面する側に係合部が設けられ、前記係合部と前記ケリーバの外周に設けられた被係合部とが係合することで、前記外周保持体は、前記ケリーバに相対回転不能に組付けられる。
【0015】
これによれば、外周保持体に設けられた係合部と、ケリーバの外周に設けられた被係合部とを係合させるという簡素な構造で、外周保持体を、ケリーバに相対回転不能に組付けることができる。
【0016】
本発明の第五の態様のケリーバ保持治具によれば、第一の態様のケリーバ保持治具において、前記支持部材は、前記ケリーバに向かってそれぞれ延在するとともに、前記ケーシングチューブの円周部に沿って均等な角度毎に配置される複数のアーム部と、各前記アーム部の前記ケリーバに面する側にそれぞれ設けられるとともに、前記第二接触部を保持する第二保持部と、を備え、各前記第二保持部は、円周方向に並べられた隣接するもの同士が連結されることで、前記外周保持体を包囲する。
上記において、アーム部は120度の角度で、合計3本を配置さすることが好ましい。
【0017】
これによれば、支持部材は、複数の第二保持部において分かれており、これらの第二保持部を連結させることで、外周保持体を包囲した状態の支持部材で容易に組付けることができる。
また、複数のアーム部は、ケーシングチューブの円周部に沿って均等な角度毎に配置されるので、ケリーバをケーシングチューブの回転中心に容易に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のケリーバ保持治具の実施形態を一部断面で示す側方からの概要図である。
図2】上方から見た概要図である。
図3】一部を断面で示す拡大図である。
図4】外周保持体を示す断面図である。
図5】外周保持体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態)
本件発明にかかるケリーバ保持治具1と、ケリーバ保持治具1を使用した掘削装置DEの実施形態を図1図5に基づいて以下に説明する。
なお、構造物がある場合に、その構造物に仮想の中心線を考え、その中心線に近い側を「内側」、遠い側を「外側」というものとする。
【0020】
本実施形態における掘削装置DEは、ケーシングチューブCTと、ケーシングチューブ回転装置(図略)と、ケリーバKBと、ケリーバ保持治具1とを、備えている。
【0021】
図1は、地盤Gの表層上部に、ケーシングチューブ回転装置によって、ケーシングチューブCTを回転させながら圧入し、ケーシングチューブCT内の土や石を、例えばグラブバケット等で排出した状態を示している。
【0022】
(ケーシングチューブ)
ケーシングチューブCTは、坑井等がある深さに掘削されたとき、穴壁の崩壊防止あるいは水止めなどの必要に応じて、坑井等中に挿入される鋼管である。
本実施形態では、地盤Gの表層上部までの長さのものを使用している。ケーシングチューブCTの上端には円周方向に沿って全周に延在する外周フランジCTfが設けられている。外周フランジCTfには、後述する係止部CT1が120度毎に設けられている。
【0023】
(ケーシングチューブ回転装置)
ケーシングチューブ回転装置は、ケーシングチューブCTを全周回転させる。ケーシングチューブ回転装置は、公知技術であるため、説明を省略する。
【0024】
(ケリーバ)
ケリーバKBは、例えば、鋼製で断面角型あるいは丸形の棒状材で形成され、下端部には、図1に示すように、掘削するとともに土を排出するドリリングバケットDBが設けられている。ケリーバKBの外周には、図2に示すように、鉛直方向に沿って延在する複数(本実施形態では三本)の凸条が円周方向に並んで周設されている。これらの凸条は、被係合部KB1に相当する。
ケリーバKBは、公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0025】
(ケリーバ保持治具)
ケリーバ保持治具1は、ケーシングチューブCTの軸心にケリーバKBを配置するとともに、ケーシングチューブCTの回転トルクを、減少するように調整してケリーバKBに伝達する。
ケリーバ保持治具1は、図1に示すように、外周保持体11と、支持部材12と、第一接触部13u,13dと、第二接触部14u,14dと、調整装置15とを、備えている。
【0026】
(外周保持体)
外周保持体11は、図4に示すように、例えば、鉄製で略円筒状に形成されている。
外周保持体11は、保持体本体11aと、係合部11bと、第一保持部11cと、第一接触部13u,13dとを、備えている。
保持体本体11aは、図5に示すように、例えば、鉄製で、ケリーバKBの外周を囲む円筒形状に形成されている。
【0027】
係合部11bは、保持体本体11aの内側の円周方向に沿って三カ所に並べて形成されている。各係合部11bは、図5に示すように、内側(ケリーバKB側)に突出した円弧面を持ち、後述するケリーバKBの外周に形成された凹部(被係合部KB1)に係合する(図2参照)。
保持体本体11aの上端部および下端部には、第一保持部11cがそれぞれ設けられている。
【0028】
第一保持部11cは、図4に示すように、保持体本体11aの上端部および下端部の二か所において、例えば溶接によって保持体本体11aと一体に設けられている。各第一保持部11cは、保持体本体11aの半径方向外側に所定幅で突出する円形の鍔状に形成されている。保持体本体11aと第一保持部11cとが、組付けられている隅部には、図5に示すように、複数(実施形態では12か所)のリブ11dが保持体本体11aの周方向に沿ってそれぞれ設けられている。
【0029】
(第一接触部)
上端部の第一保持部11cには、図4に示すように、上面に第一接触部13uが設けられ、第一接触部13uの上面は、平滑面となっている。下端部の第一保持部11cにおいても、下面に第一接触部13dが設けられ、第一接触部13dの下面は平滑面となっている。
【0030】
各第一接触部13u,13dは、例えば軟鉄製で高さ方向の厚みが薄い円環状に形成されている。第一接触部13u,13dは、第一保持部11cに対して、例えば溶着されている。
各第一接触部13u,13dは、後述する第二接触部14u,14dに接触して摺動するよう構成されている。
【0031】
(支持部材)
支持部材12は、ケーシングチューブCTの上端に半径方向外側の端部が係止されて、ケーシングチューブCTに対して、相対回転不能に組付けられる。
支持部材は、アーム部12aと、第二保持部12bと、第二接触部14u,14dとを、備えている。
【0032】
(アーム部)
アーム部12aは、例えばH形鋼の長尺材で形成され、ケーシングチューブCTの上端部から、ケリーバKBの中心に向かって延在するように設けられている。アーム部12aは、H形鋼として、対向する二つのフランジ12a1と、フランジ12a1の間に設けられたウエブ12a2とを備えている。
【0033】
本実施形態のアーム部12aは、図2に示すように、三本設けられ、三本のアーム部12aがケーシングチューブCTの円周部に沿って均等な角度(本実施形態では120度)で配置されている。
三本のアーム部12aは、その外側の端部がケーシングチューブCTの上端部に設けられた係止部CT1に係止されている。
【0034】
係止部CT1は、係止壁CT1aとバックアップ部CT1bとを備えている。係止壁CT1aは、例えば鉄製で矩形板状に形成されている。係止壁CT1aは、ケーシングチューブCTの円周方向に沿って一対ずつ並べられている。一対ずつ並べられた係止壁CT1aは、半径方向に沿って延在し、互いに平行に配設されている。
【0035】
各係止壁CT1aは、鉛直方向に立設され、かつ対として組となった係止壁CT1aは、ケーシングチューブCTの円周部に沿って120度の角度毎に配置されている。組となった二つの係止壁CT1aの間にはアーム部12aが挟持される。係止壁CT1aのアーム部12aを挟持しない側には、バックアップ部CT1bが設けられている。
【0036】
アーム部12aのケリーバKBに面した側には、図2および図3に示すように、第二保持部12bが設けられている。アーム部12aの内側の端部に、後述する第二保持部本体12b1の外面が例えば、溶接により接合されている。アーム部12aのフランジ12a1と第二保持部本体12b1の外面とが形成する隅部には、略三角形状のリブ部材12a4が上部および下部において設けられている。また、H形鋼であるアーム部12aの対向するフランジ12a1の間にも、ウエブ12a2に垂直に立設された補強板12a3が、例えば溶接によって接合されている。
【0037】
(第二保持部)
第二保持部12bは、例えば鉄製で、外周保持体11の外周に沿って、120度の円弧状に形成されている。第二保持部12bは、外周保持体11を囲むように三つのパーツに分かれている。
第二保持部12bは、第二保持部本体12b1と、上部フランジ部12buと、下部フランジ部12bdと、連結縁12cとを備えている。
【0038】
第二保持部本体12b1は、例えば鉄製で120度分の円弧状に湾曲された板状体で形成されている。第二保持部本体12b1には、第二保持部本体12b1の上端部に沿って所定幅で水平方向に延在する上部フランジ部12buが設けられている。上部フランジ部12buには、複数(本実施形態では四つ)の取付穴MHが、円弧状に並べて設けられている。
【0039】
(調整装置)
調整装置15は、ケーシングチューブCTからケリーバKBへ伝達するトルク量を調節する。調整装置15は、図3に示すように、主に圧力調整ボルトPAB、ロックナットLNおよび保持板12baで構成される。
上記上部フランジ部12buに形成された各取付穴MHには、圧力調整ボルトPABが、それぞれ螺入されている。圧力調整ボルトPABの下端には、上部フランジ部12buに沿って湾曲した帯状の保持板12baが配設されている。
上部フランジ部12buと圧力調整ボルトPABのヘッドとの間には、ロックナットLNが設けられている。ロックナットLNは、圧力調整ボルトPABの螺入位置を固定することで、保持板12baを任意の高さ位置に固定する。
【0040】
(第二接触部)
保持板12baの下面には、例えば軟鉄製の第二接触部14uが設けられている。
また、第二保持部本体12b1には、第二保持部本体12b1の下端部に沿って所定幅で水平方向に延在する下部フランジ部12bdが設けられている。下部フランジ部12bdの上面においても、例えば軟鉄製の第二接触部14dが設けられている。第二接触部14u,14dは、上記二か所に設けられている。
【0041】
また、第二保持部本体12b1の丈寸法は、外周保持体11よりも大きく形成されている。そのため、保持板12baの第二接触部14uは、外周保持体11の上端部に設けられた第一接触部13uに上方から対向し、下部フランジ部12bdの第二接触部14dは、外周保持体11の下端部に設けられた第一接触部13dに下方から対向するよう構成されている。
【0042】
(連結縁)
第二保持部本体12b1の周方向の両端部には、所定幅で連結縁12cが設けられている。連結縁12cは、第二保持部本体12b1に対して半径方向外側に向かって折曲されて形成されている。連結縁12cには、複数(本実施形態では七つ)のボルト穴BHが形成されている。隣接する第二保持部本体12b1の連結縁12c同士は、対向して密着するよう構成され、ボルト穴BHに挿通されたボルトBおよびナットNにより相互に連結される(図2参照)。
【0043】
三つの第二保持部12bが、ボルトBおよびナットNにより相互に連結された場合、外周保持体11を、外周側から、および上下方向側から囲むように構成されている。
【0044】
(作動)
次に、本実施形態におけるケリーバ保持治具1を使った掘削の状態を、以下に説明する。
図1に示す状態から、例えば、全周回転装置等によって、ケーシングチューブCTを回転させる。
ケーシングチューブCTによる回転トルクは、ケリーバ保持治具1の支持部材12に伝達され、支持部材12の第二保持部12bおよび第二接触部14u,14dを回転させる。
【0045】
外周保持体11の第一接触部13u,13dは、第二接触部14u,14dに接触しているため、連動して回転する。その場合、第一接触部13u,13dは、第二接触部14u,14dに対して、滑りを生じた状態で回転する。そのため、ケリーバKBにケーシングチューブCTによる回転トルクのすべてを伝えるのではなく、調整装置15によって減少させるべく調整された回転トルクを伝えることができる。
【0046】
上記の記載で明らかなように、本実施形態のケリーバ保持治具1は、ケリーバKBの外周に相対回転不能に組付けられる外周保持体11と、軸心を中心として回転可能なケーシングチューブCTに相対回転不能に組付けられるとともに、ケリーバKBに向かって半径方向内側に延在する支持部材12と、を備えている。
【0047】
また、外周保持体11に設けられ、ケリーバKBが回転する円周方向に沿って延在するように設けられた第一接触部13u,13dと、支持部材12に設けられ、ケーシングチューブCTが回転する円周方向に沿って延在し、第一接触部13u,13dに摺動可能に接触する第二接触部14u,14dと、第一接触部13u,13dと第二接触部14u,14dとの間に生じる摩擦力を調節することで、ケーシングチューブCTからケリーバKBに伝達されるトルク量を調整する調整装置15と、を備えている。
【0048】
これによれば、ケーシングチューブCTの回転トルクを、第一接触部13u,13dおよび第二接触部14u,14dを介して、ケリーバKBに伝達するという、簡素な構造により、安全かつ確実に必要な回転トルクをケリーバKBに伝達することができる。
【0049】
本実施形態のケリーバ保持治具1によれば、第一接触部13u,13dは、外周保持体11の上部と下部とに設けられ、第二接触部14u,14dは、支持部材12の上部と下部とに設けられ、外周保持体11の上部と下部とに設けられた第一接触部13u,13dを、支持部材12の上部と下部とに設けられた第二接触部14u,14dで、挟持するように接触する。
【0050】
これによれば、第一接触部13u,13dと第二接触部14u,14dとは、第一接触部13u,13dに対する第二接触部14u,14dの力を逃がすことなく、確実にかつ安定して互いに接触することができる。
【0051】
本実施形態のケリーバ保持治具1によれば、調整装置15は、外周保持体11の上部と下部とに設けられた第一接触部13u,13dを、支持部材12の上部および下部に設けられた第二接触部14u,14dによって挟持する力を変化させることでケリーバKBに伝達されるトルク量を調整する。
【0052】
これによれば、第一接触部13u,13dを第二接触部14u,14dで挟持する力を調節し、摩擦力を発生させる抗力の大きさを変えることで、伝達するトルク量を容易に調整することができる。
【0053】
本実施形態のケリーバ保持治具1は、外周保持体11には、ケリーバKBに面する側に係合部11bが設けられ、係合部11bとケリーバKBの外周に設けられた被係合部KB1とが係合することで、外周保持体11は、ケリーバKBに相対回転不能に組付けられる。
【0054】
これによれば、外周保持体11に設けられた係合部11bと、ケリーバKBの外周に設けられた被係合部KB1とを係合させるという簡素な構造で、外周保持体11を、ケリーバKBに相対回転不能に組付けることができる。
【0055】
本実施形態のケリーバ保持治具1によれば、支持部材12は、ケリーバKBに向かってそれぞれ延在するとともに、ケーシングチューブCTの円周部に沿って均等な角度毎に配置される複数のアーム部12aと、各アーム部12aのケリーバKBに面する側にそれぞれ設けられるとともに、第二接触部14u,14dを保持する第二保持部12bと、を備え、各第二保持部12bは、円周方向に並べられた隣接するもの同士が連結されることで、外周保持体11を包囲する。
【0056】
これによれば、支持部材12は、複数の第二保持部12bにおいて分かれており、これらの第二保持部12bを連結させることで、外周保持体11を包囲した状態の支持部材12を容易に組付けることができる。
【0057】
また、複数のアーム部12aは、ケーシングチューブCTの円周部に沿って均等な角度毎に配置されるので、ケリーバKBをケーシングチューブCTの回転中心に容易に配置することができる。
【0058】
なお、上記実施形態において、アーム部12aの本数を三本としたが、これに限定されない。例えば、四本や五本であってもよい。
【0059】
また、第一接触部13u,13dは、外周保持体11の上部と下部とに設けられ、第二接触部14u,14dは、支持部材12の上部と下部とに設けられ、二か所で接触するものとしたが、これに限定されない。例えば、一カ所でもよく、三カ所以上でもよい。
【0060】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0061】
1:ケリーバ保持治具、11:外周保持体、11b:係合部、11c:第一保持部、12:支持部材、12a:アーム部、12b:第二保持部、12ba:保持板、13d:第一接触部、13u:第一接触部、14d:第二接触部、14u:第二接触部、15:調整装置、CT:ケーシングチューブ、DB:ドリリングバケット、KB:ケリーバ、LN:ロックナット(調整装置)、PAB:圧力調整ボルト(調整装置)。
図1
図2
図3
図4
図5