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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179697
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】塗料販売治具及び塗料販売形態
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098740
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000126528
【氏名又は名称】株式会社アサヒペン
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 聡
(72)【発明者】
【氏名】上村 裕一
(72)【発明者】
【氏名】田中 三郎
(72)【発明者】
【氏名】長島 玉青
(72)【発明者】
【氏名】澤田 耕吾
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB44
5L049BB44
(57)【要約】
【課題】塗料の販売売場を小さくする(すなわち省スペース化する)ことができる塗料販売治具及び塗料販売形態を提供する。
【解決手段】基本塗料と着色剤とを、同時に陳列して販売する形態とし、基本塗料と着色剤の配合を使用者に実施してもらい、配合塗料とするよう開発設計した塗料とすることで、SKU数を大幅に小さくすることができるため、塗料の販売売場を小さくする(すなわち省スペース化する)ことができる塗料販売治具及び塗料販売形態を提供できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色、中彩用白、濃彩用白、又は無着色からなる大容量の基本塗料と、
前記基本塗料に任意の比率で配合される小容量の着色剤とを、
同時に陳列して販売する、塗料販売方法。
【請求項2】
前記基本塗料と前記着色剤の比率に応じて調色される配合色が記載された二次元バーコードを、調色される色とともに提示する、請求項1に記載の塗料販売方法。
【請求項3】
前記提示は、調色ボードによる掲示、調色カタログへの掲載、あるいは店頭での掲示によって達成される、請求項2に記載の塗料販売方法。
【請求項4】
前記基本塗料及び/または前記着色剤は、任意の量を、あるいは計量した量を販売出来る、請求項1に記載の塗料販売方法。
【請求項5】
廃塗料及び廃塗料容器を回収する機能を有する、廃塗料回収箱をさらに備える、請求項1に記載の塗料販売方法。
【請求項6】
塗装に必要な塗装道具、塗装補助道具を同時に陳列し販売する、請求項1に記載の塗料販売方法。
【請求項7】
白色、中彩用白、濃彩用白、又は無着色からなる大容量の基本塗料と、
前記基本塗料に任意の比率で配合される小容量の着色剤とを、
同時に陳列して販売する機能を有する塗料販売治具。
【請求項8】
前記基本塗料と前記着色剤の比率に応じて調色される配合色が記載された、二次元バーコードが備えられる、請求項7に記載の塗料販売治具。
【請求項9】
前記二次元バーコードが調色カタログに掲載、あるいは店頭にて掲示される、請求項8に記載の塗料販売治具。
【請求項10】
前記基本塗料が蓄えられたタンクを備え、前記タンクは、任意の量を前記タンクから取り出せる、取り出し機能が備わる、請求項7に記載の塗料販売治具。
【請求項11】
前記タンクは、計量しながら前記基本塗料を取り出すことができる、計量機能を有する、請求項10に記載の塗料販売治具。
【請求項12】
廃塗料及び廃塗料容器を回収する機能を有する、請求項7に記載の塗料販売治具。
【請求項13】
塗装に必要な塗装道具、塗装補助道具を同時に陳列する、請求項7に記載の塗料販売治具。
【請求項14】
調色ボードをさらに備える、請求項7に記載の塗料販売治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料販売治具及び塗料販売形態に関し、より詳しくは、塗料の販売売場を小さくする(すなわち省スペース化する)ことができる塗料販売治具及び塗料販売形態に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塗料販売治具及び塗料販売方法では、塗料の色、塗料製品の規格、塗料の使用用途(例えば水性多用途、室内用、水性木部など)、仕上がり(例えば塗料の粘度による違い、マット調、多彩模様調、着色塗料(エナメル)、クリヤー調など)、目的の機能(例えば抗菌の付与、防カビの付与、低汚染など)に応じて製品を網羅する必要があり、SKU(Stock Keeping Unit又は「最小の管理単位」)数が膨大であった。
実際に塗料販売者が売場で塗料を販売する場合、SKUが膨大な数であるために、高効率な在庫管理を行うことができず、売場におけるゴンドラ効率の低下、在庫過多、売場のメンテナンス時間がかかるなどの問題が生じてしまう。
【0003】
この問題は塗料市場の関係者(塗料販売者、顧客、塗料製造会社)に対して以下の課題を生じさせる。
すなわち、塗料販売者は、販売する塗料製品の種類を網羅するために、塗料製品を陳列するための広いスペースが必要となる。
また、塗料販売者は、塗料製品の在庫数を多くする必要があるため、そのことは低い在庫回転率を生じさせる原因の一つとなる。
顧客は、売場で購入したい塗料製品を選択する際に、多種多様な塗料製品から目的の塗料製品を選択する必要があるため、目的の塗料製品に到達するのに時間がかかる。
目的の塗料製品を選択するために時間がかかることは、顧客に過度な負担を生じさせるため、顧客の購買意欲を減少させる。
このことは塗料販売者にとって、顧客が塗料製品を購入することにおける機会損失につながる一因となり得る。
塗料製造会社は、SKU数が大きいため、製造における生産効率が低下すること、在庫回転率が低下すること、及び製造に伴い廃棄物が多くなることなどの問題を抱えることになる。
【0004】
塗料市場の関係者に生じる塗料売買にかかる負荷を軽減するために、これまでいくつかの方法あるいは装置が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、調色塗料を作成するための配合データを、非接触ICタグを用いて容易に取得でき、さらに配合データの更新が容易にできる色票及びその管理方法、該色票を用いた調色塗料作成方法が提案されている。
特許文献2には、身の回りに見られる色相の所定組み合わせの塗料相互を購買者が選択し得るように店頭等に陳列して販売するのに使用される塗料販売陳列棚及び塗料組合わせ表示具が提案されている。
特許文献3には、塗料に対する知識がない人でも、少ない種類の塗料から多くの色を容易かつ確実に得ることができ、楽しく塗料の選択ができ、かつその塗料の製造者及び販売者においては在庫量の低減を可能とすることができる塗料販売治具が提案されている。
上記した方法あるいは装置により、塗料市場の関係者にかかる負荷はある程度軽減されるものとなったが、いずれの文献も従来の塗料販売治具及び塗料販売方法における膨大な数のSKUに注目し、それを革新的に改善する方法では無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-177739号
【特許文献2】登録実用新案第3066884号
【特許文献3】特開昭61-241627号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、塗料の販売売場を小さくする(すなわち省スペース化する)ことができる塗料販売治具及び塗料販売形態を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、白色、中彩用白、濃彩用白、又は無着色からなる大容量の基本塗料と、前記基本塗料に任意の比率で配合される小容量の着色剤とを、同時に陳列して販売する、塗料販売方法に関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記基本塗料と前記着色剤の比率に応じて調色される配合色が記載された二次元バーコードを、調色される色とともに提示する、請求項1に記載の塗料販売方法に関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記提示は、調色ボードによる掲示、調色カタログへの掲載、あるいは店頭での掲示によって達成される、請求項2に記載の塗料販売方法に関する。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記基本塗料及び/または前記着色剤は、任意の量を、あるいは計量した量を販売出来る、請求項1に記載の塗料販売方法に関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、廃塗料及び廃塗料容器を回収する機能を有する、廃塗料回収箱をさらに備える、請求項1に記載の塗料販売方法に関する。
【0012】
請求項6に係る発明は、塗装に必要な塗装道具、塗装補助道具を同時に陳列し販売する、請求項1に記載の塗料販売方法に関する。
【0013】
請求項7に係る発明は、白色、中彩用白、濃彩用白、又は無着色からなる大容量の基本塗料と、前記基本塗料に任意の比率で配合される小容量の着色剤とを、同時に陳列して販売する機能を有する塗料販売治具に関する。
【0014】
請求項8に係る発明は、前記基本塗料と前記着色剤の比率に応じて調色される配合色が記載された、二次元バーコードが備えられる、請求項7に記載の塗料販売治具に関する。
【0015】
請求項9に係る発明は、前記二次元バーコードが調色カタログに掲載、あるいは店頭にて掲示される、請求項8に記載の塗料販売治具に関する。
【0016】
請求項10に係る発明は、前記基本塗料が蓄えられたタンクを備え、前記タンクは、任意の量を前記タンクから取り出せる、取り出し機能が備わる、請求項7に記載の塗料販売治具に関する。
【0017】
請求項11に係る発明は、前記タンクは、計量しながら前記基本塗料を取り出すことができる、計量機能を有する、請求項10に記載の塗料販売治具に関する。
【0018】
請求項12に係る発明は、廃塗料及び廃塗料容器を回収する機能を有する、請求項7に記載の塗料販売治具に関する。
【0019】
請求項13に係る発明は、塗装に必要な塗装道具、塗装補助道具を同時に陳列する、請求項7に記載の塗料販売治具に関する。
【0020】
請求項14に係る発明は、調色ボードをさらに備える、請求項7に記載の塗料販売治具に関する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、白色、中彩用白、濃彩用白、又は無着色からなる大容量の基本塗料と、前記基本塗料に任意の比率で配合される小容量の着色剤とを、同時に陳列して販売する、塗料販売方法であることを特徴とすることから、塗料の販売売場を小さくする(すなわち省スペース化する)ことができる塗料販売方法を提供できるという有利な効果を奏する。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、前記基本塗料と前記着色剤の比率に応じて調色される配合色が記載された二次元バーコードを、調色される色とともに提示する、請求項1に記載の塗料販売方法であることを特徴とすることから、二次元バーコードを用いることで、使用者に、使用者の目的の塗料の配合方法を容易に提示することができる塗料販売方法を提供できるという有利な効果を奏する。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、前記提示は、調色ボードによる掲示、調色カタログへの掲載、あるいは店頭での掲示によって達成される、請求項2に記載の塗料販売方法であることを特徴とすることから、使用者に、使用者の目的の塗料の配合方法を容易に提示することができる塗料販売方法を提供できるという有利な効果を奏する。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、前記基本塗料及び/または前記着色剤は、任意の量を、あるいは計量した量を販売出来る、請求項1に記載の塗料販売方法であることを特徴とすることから、使用者は、空の容器を塗料販売治具に持ち寄ることで、コックから任意に、あるいは計量した量の基本塗料を空の容器に充填あるいは補充することができるという有利な効果を奏する。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、廃塗料及び廃塗料容器を回収する機能を有する、廃塗料回収箱をさらに備える、請求項1に記載の塗料販売方法であることを特徴とすることから、回収した廃塗料の再利用による環境負荷の軽減、及び来店客増加の効果が見込めるという有利な効果を奏する。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、塗装に必要な塗装道具、塗装補助道具を同時に陳列し販売する、請求項1に記載の塗料販売方法であることを特徴とすることから、使用者、特に顧客に塗装作業に必要な商品の販促を促せるという有利な効果を奏する。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、白色、中彩用白、濃彩用白、又は無着色からなる大容量の基本塗料と、前記基本塗料に任意の比率で配合される小容量の着色剤とを、同時に陳列して販売する機能を有する塗料販売治具であることを特徴とすることから、塗料の販売売場を小さくする(すなわち省スペース化する)ことができる塗料販売治具を提供できるという有利な効果を奏する。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、前記基本塗料と前記着色剤の比率に応じて調色される配合色が記載された、二次元バーコードが備えられる、請求項7に記載の塗料販売治具であることを特徴とすることから、二次元バーコードを用いることで、使用者に、使用者の目的の塗料の配合方法を容易に提示することができる塗料販売治具を提供できるという有利な効果を奏する。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、前記二次元バーコードが調色カタログに掲載、あるいは店頭にて掲示される、請求項8に記載の塗料販売治具であることを特徴とすることから、使用者に、使用者の目的の塗料の配合方法を容易に提示することができる塗料販売治具を提供できるという有利な効果を奏する。
【0030】
請求項10に係る発明によれば、前記基本塗料が蓄えられたタンクを備え、前記タンクは、任意の量を前記タンクから取り出せる、取り出し機能が備わる、請求項7に記載の塗料販売治具であることを特徴とすることから、使用者は、空の容器を塗料販売治具に持ち寄ることで、コックから任意に基本塗料を空の容器に充填あるいは補充することができるという有利な効果を奏する。
【0031】
請求項11に係る発明によれば、前記タンクは、計量しながら前記基本塗料を取り出すことができる、計量機能を有する、請求項10に記載の塗料販売治具であることを特徴とすることから、使用者は、空の容器を塗料販売治具に持ち寄ることで、コックから目的の量(すなわち計量した量)の基本塗料を空の容器に充填あるいは補充することができるという有利な効果を奏する。
【0032】
請求項12に係る発明によれば、廃塗料及び廃塗料容器を回収する機能を有する、請求項7に記載の塗料販売治具であることを特徴とすることから、回収した塗料の再利用による環境負荷の軽減、及び来店客増加の効果が見込めるという有利な効果を奏する。
【0033】
請求項13に係る発明によれば、塗装に必要な塗装道具、塗装補助道具を同時に陳列する、請求項7に記載の塗料販売治具であることを特徴とすることから、使用者、特に顧客に塗装作業に必要な商品の販促を促せるという有利な効果を奏する。
【0034】
請求項14に係る発明によれば、調色ボードをさらに備える、請求項7に記載の塗料販売治具であることを特徴とすることから、使用者に、使用者の目的の塗料の配合方法を容易に提示することができるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来例である塗料販売治具及び塗料販売方法を示す図である。
図2】本発明に係る塗料販売治具及び塗料販売方法を示す図である。
図3】本発明に係る塗料販売治具及び塗料販売方法における、一実施例を示す図である。
図4】本発明に係る塗料販売治具及び塗料販売方法における、別の一実施例を示す図である。
図5】従来例である塗料販売治具及び塗料販売方法と、本発明に係る塗料販売治具及び塗料販売方法の比較を示す図である。
図6】本発明に係る塗料販売治具及び塗料販売方法における、廃塗料及び廃塗料容器を回収するための、廃塗料回収箱を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る塗料販売治具及び塗料販売形態の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらの記載によって制限されるべきものではない。
【0037】
図1は、従来例である塗料販売治具及び塗料販売方法を示す図である。
従来の塗料販売治具及び塗料販売方法では、塗料の色、塗料製品(2)の規格、塗料の使用用途(例えば水性多用途、室内用、水性木部など)、仕上がり(例えば塗料の粘度による違い、マット調、多彩模様調、着色塗料(エナメル)、クリヤー調など)、目的の機能(例えば抗菌の付与、防カビの付与、低汚染など)に応じて製品を網羅する必要があり、SKU(Stock Keeping Unit又は「最小の管理単位」)数が膨大であった。
実際に塗料販売者が売場で塗料を販売する場合、SKUが膨大な数であるために、高効率な在庫管理を行うことができず、売場におけるゴンドラ効率の低下、在庫過多、売場のメンテナンス時間がかかるなどの問題が生じてしまう。
この問題は、塗料市場の関係者(塗料販売者、顧客、塗料製造会社)に対して以下の課題を生じさせる。
すなわち、塗料販売者は、販売する塗料製品(2)の種類を網羅するために、塗料製品(2)を陳列するための広いスペースが必要となる。
また、塗料販売者は、塗料製品(2)の在庫数を多くする必要があるため、そのことは店舗における低い在庫回転率を生じさせる原因の一つとなる。
顧客は、売場で購入したい塗料製品(2)を選択する際に、多種多様な塗料製品(2)から目的の塗料製品(2)を選択する必要があるため、目的の塗料製品(2)に到達するのに時間がかかる。
目的の塗料製品(2)を選択するために時間がかかることは、顧客に過度な負担を生じさせるため、顧客の購買意欲を減少させる。
このことは塗料販売者にとって、顧客が塗料製品(2)を購入することにおける機会損失につながる一因となり得る。
塗料製造会社は、SKU数が大きいため、製造における生産効率が低下すること、在庫回転率が低下すること、及び製造に伴い廃棄物が多くなることなどの問題を抱えることになる。
【0038】
図2は、本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法を示す図である。
図2を参照すると、本発明に係る塗料販売治具(1)は、基本塗料(3)、着色剤(4)、塗装道具(5)、塗装補助道具(6)が陳列できるスペース(棚あるいは陳列するための有孔ボードなど)と、基本塗料(3)が蓄えられたタンク(7)と、着色剤(4)の配合の組合せ(すなわち配合色の作り方)を使用者が確認できる調色ボード(9)から構成される。
本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法では、使用者の目的に適う塗料を、使用者が基本塗料(3)、着色剤(4)、塗装道具(5)、塗装補助道具(6)を適切に選択し、使用者自身が作製できるように設計している。
【0039】
図2において、使用者は目的に応じて、基本塗料(3)、着色剤(4)、塗装道具(5)、及び/又は塗装補助道具(6)を選択し、購入することができる。
【0040】
基本塗料(3)(又はベースとなる塗料)は、図2に記載の如く、使用用途、規格に応じて、使用者が任意に選択できるように陳列されている。例えば一例として、図2には使用用途としてA(水性多用途、例えば木、鉄、プラスチック、コンクリート)、B(水性室内用、例えばカベ紙、ビニールカベ紙、屋内木部、コンクリート、モルタル)、及びC(水性木部用、例えばステイン)の3種類の基本塗料(3)を記載し、3種類の基本塗料(3)は、それぞれ規格の異なる容器によって陳列及び販売される態様を記載した。基本塗料(3)の使用用途の種類の数と基本塗料(3)の容器の規格の種類の数は、陳列及び販売される中で、塗料販売者によって適宜調整される。
基本塗料(3)は、着色剤(4)によって着色される製品設計上、白色、薄めの白(例えば淡彩色の着色剤(4)との配合に使用する白(淡彩用白)、濃彩色の着色剤(4)との配合に使用する白(濃彩用白)、又は濃彩色と淡彩色の中間に位置する色(中彩色)の着色剤(4)との配合に使用する白(中彩用白))、無着色、透明が好ましいが、着色剤(4)との配合により狙いの色に着色可能であれば、白色、薄めの白、無着色、透明以外の色にすでに着色されていてもよい。
基本塗料(3)は艶有り又は艶無しを設定できる。
基本塗料(3)の規格は、例えば1/12L、0.18L、1/5L、0.5L、0.7L、1.4L、1.6L、2.8L、5.0L、10.0Lなどが挙げられるが、特に限定されない。
基本塗料(3)の容器の形状は、例えば丸缶、角缶、一斗缶、ペール缶などが挙げられるが、特に限定されない。
塗料販売者が塗料の売場面積を小さくすることができ、かつ塗料販売者が顧客の様々な需要(すなわちニーズ)に対応することができるように、例えば基本塗料(3)の販売について、艶有と艶無しの2種類×0.7Lと1.4Lと2.8Lの3サイズ×白と中彩用白と濃彩用白と無着色の4種類=24種類を陳列する態様が好ましい。
基本塗料(3)の陳列する種類数は、塗料販売者の目的に応じて陳列する種類を適宜増加あるいは減少させることができる。
【0041】
着色剤(4)(又はカララント、あるいは色ダネ)は、基本塗料(3)に着色するために使用される。
着色剤(4)は、基本塗料(3)に着色させるため、着色剤(4)の容器の規格は基本塗料(3)より小さい(すなわち態様として、基本塗料(3)は大容量であり、着色剤(4)は小容量である)ことが好ましい。
例えば着色剤(4)の容器の規格は、液体の場合は10mLから300mL、固体、特に粉体の場合は、1gから100gが態様としてあり得るが、特に限定されない。
塗料販売者が塗料の売場面積を小さくすることができ、かつ塗料販売者が顧客の様々な需要(すなわちニーズ)に対応することができるように、着色剤(4)は好ましくは約40mLの液体で陳列、販売することが好ましい。
着色剤(4)の容器は瓶、缶、ポリ袋、布袋、ポリ容器など特に限定されないが、使用者の作業のしやすさを鑑み、袋あるいはポリ容器(例えばチューブ容器)であることが好ましい。
塗料販売者は着色剤(4)を、容器に既に充填された状態で陳列、販売することに加え、任意の量を、または計量した量で販売することができる。
この時着色剤(4)は、任意の量、または計量された量で、使用者によって塗料販売治具(1)に持ち寄られた空の容器(11)(例えば瓶、缶、ポリ袋、布袋、ポリ容器など)に補充あるいは充填される。
着色剤(4)の種類の数は特に限定されないが、塗料販売者が塗料の売場面積を小さくすることができ、かつ顧客が様々な色を作製することができるようにするために、20から60種類が好ましく、特に約40種類であることが好ましい。
着色剤(4)は、事前に2以上の着色剤(4)同士を混合させることができ、この混合により作製した新たな着色剤(4)を、基本塗料(3)と配合させることができる。
使用者は、2以上の着色剤(4)を基本塗料(3)に直接加え、配合させることもできる。
【0042】
配合塗料は、基本塗料(3)と1以上の着色剤(4)を任意の割合で混合した後の塗料のことである。
【0043】
塗装道具(5)は、基本塗料(3)あるいは配合塗料を塗装するために使用される道具のことである。
塗装道具(5)として例えば刷毛、ローラー、コテバケ、ブラシなどが挙げられるが、塗装するために使用される道具であれば特に限定されない。
【0044】
塗装補助道具(6)は、塗装道具(5)を使用しやすくするための補助的な役割を担う道具のことをいう。
塗装補助道具(6)として例えばバケツ、プラスチックカップ、養生テープ、ガムテープ、ワイプ、シーリング材、サンドペーパー、クロス、マスク、ヘラ、空の丸缶、空の角缶、空の一斗缶などが挙げられるが、塗装道具(5)を使用しやすくするための補助的な役割を担う道具であれば特に限定されない。
【0045】
本発明の塗料販売治具(1)には、基本塗料(3)が蓄えられたタンク(7)が備えられている。
タンク(7)は、陳列される基本塗料(3)の種類数に応じて備えられる。
タンク(7)には、使用者が塗料を取り出せる様にコック(8)が取付けられている。
タンク(7)は、使用者が任意の量の基本塗料(3)をコック(8)を介して取り出すことができる機能(以下、取り出し機能とする)、コック(8)を介して基本塗料(3)を取り出す際に、計量しながら取り出すことができる機能(以下、計量機能とする)を有する。
使用者は、空の容器(11)(例えば丸缶、角缶、一斗缶、ペール缶など)を本発明の塗料販売治具(1)に持ち寄ることで、コック(8)から任意に基本塗料(3)を空の容器(11)に充填あるいは補充することができる。
この取り出し機能及び計量機能により、塗料販売者は、基本塗料(3)の重量に応じて量り売りをすることができる。
量り売りにより使用者は必要量の基本塗料(3)だけを購入することができるため、従来の塗料販売方法と比較して、廃棄塗料を削減することができる。
使用後に基本塗料(3)が余っても、後日別の着色剤(4)を配合して再び使用することができる。
従来の塗料販売方法では、塗料製品は使い切る必要があり、塗料製品が余ってしまった場合、後日再びその塗料製品を使用する機会が生じづらいため、その塗料製品は廃棄されることが多い。
そのため従来の塗料販売方法と比較して、廃棄塗料を削減することができる。
使用者は、基本塗料(3)を充填あるいは補充するための空の容器(11)を繰り返し使うことができるため、廃棄塗料と付随して生じる、使用後の容器(すなわちゴミ)の削減も可能となる。
【0046】
調色ボード(9)は、本発明の塗料販売治具(1)に備えられた、着色剤(4)の配合表のことである。
使用者は調色ボード(9)に記載された配合方法や配合色に則り、狙いの色に基本塗料(3)を着色することができる。
【0047】
配合色は、基本塗料(3)と、1以上の着色剤(4)を配合させてなる配合塗料の色のことである。
狙いの配合色を作製するために、使用者は調色ボード(9)を参照することができる。
使用者は、狙いの配合色を作製するために、調色ボード(9)に加え、例えば店頭での掲示、調色カタログへの掲載、インターネットでの公開を参照することができる。
配合色は二次元バーコード(10)により使用者に掲示することができる。
調色ボード(9)、店頭での掲示、調色カタログへの掲載などにより掲示された配合色見本それぞれの付近に二次元バーコード(10)を設け、使用者が二次元バーコード(10)を読み取ることで、使用者は配合色見本の配合方法にアクセスすることができる。
二次元バーコード(10)は、基本塗料(3)あるいは着色剤(4)に、例えばタグとして備えられてもよい。使用者は基本塗料(3)あるいは着色剤(4)に備えられた二次元バーコード(10)を読み取ることで、その二次元バーコード(10)が備えられた基本塗料(3)あるいは着色剤(4)から作製することができる配合色を知ることができる。
【0048】
使用者とは、本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法を使用する者である。塗料販売治具(1)及び塗料販売方法を使用する者であれば特に限定されないが、例えば塗料販売者、塗料製品の顧客(あるいは塗料製品の購入意欲のある者)、塗料製造会社などが挙げられる。
【0049】
図2において基本塗料(3)及び着色剤(4)は、水性塗料である場合の態様を記載しているが、基本塗料(3)及び着色剤(4)の態様が油性であってもよい。
【0050】
図2には記載していないが、本発明に係る塗料販売治具(1)には、使用者が配合塗料を作製するための作業台が設けられていてもよい。作業台を設けることで、使用者は調色ボード(9)などを参照しながら、目的の色、用途の配合塗料を即座に作製することができる。
【0051】
図2には記載していないが、本発明に係る塗料販売治具(1)には、廃塗料及び廃塗料容器を回収する機能を有してもよい。
この回収される廃塗料は、本発明に係る基本塗料(3)、着色剤(4)、及び/又は基本塗料(3)と着色剤(4)とを任意に配合することにより調色された配合塗料に加え、水性塗料、油性塗料、粉体塗料など、通常「塗料」と呼ばれるものすべてが含まれる。
廃塗料容器とは、廃塗料が含まれている容器、あるいは廃塗料が含まれていた容器のいずれも当てはまる。
ここでの容器とは、例えばプラスチック製の容器、金属製の容器などが考えられるが、とくに限定されない。
廃塗料缶とは、廃塗料容器のうち、容器が缶であるもののことである。
回収された廃塗料及び廃塗料容器は、スラッジ粉砕機などを使用して、スラッジなどの固形物を粉砕した後に固形燃料にすることができる。
本発明の塗料販売治具(1)が廃塗料を回収する機能を有することで、回収した塗料の再利用による環境負荷の軽減、及び来店客増加の効果が見込める。
【0052】
図2には記載していないが、本発明に係る塗料販売治具(1)には、基本塗料(3)が蓄えられたタンク(7)に加え、着色剤(4)が蓄えられたタンクが設けられていてもよい。
この時の着色剤(4)が蓄えられたタンクには、基本塗料(3)が蓄えられたタンク(7)と同様に、使用者が着色剤(4)を取り出せる様にコックが取付けられていてもよい。
また、着色剤(4)が蓄えられたタンクには、使用者が任意の量の着色剤(4)をコックを介して取り出すことができる機能(以下、取り出し機能とする)、コックを介して着色剤(4)を取り出す際に、計量しながら取り出すことができる機能(以下、計量機能とする)を有していてもよい。
使用者は、空の容器(11)(例えば瓶、缶、ポリ袋、布袋、ポリ容器など)を本発明の塗料販売治具(1)に持ち寄ることで、コックから任意に着色剤(4)を空の容器(11)に充填あるいは補充することができる。
この取り出し機能及び計量機能により、塗料販売者は、着色剤(4)の重量に応じて量り売りをすることができる。
【0053】
図3は、本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法における、一実施例を示す図である。
使用者(12)は本発明の塗料販売治具(1)から必要な基本塗料、着色剤、塗装道具、塗装補助道具を選択して購入することができる。
使用者(12)は、本発明の塗料販売治具(1)に備えられたタンクに取付けられたコックから、任意に基本塗料を空の容器に充填あるいは補充することができる。
【0054】
図4は、本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法における、別の一実施例を示す図である。
図4を参照すると、本発明に係る塗料販売治具(1)は、基本塗料(3)、着色剤(4)が陳列できるスペース(棚など)と、基本塗料(3)が蓄えられた、コック(8)を備えるタンク(7)と、着色剤(4)の配合の組合せ(すなわち配合色の作り方)を使用者が確認できる二次元バーコード(10)が記載されたボードから構成される。
本発明に係る塗料販売治具(1)において、図2に記載された塗装道具、塗装補助道具の陳列スペース、及び調色ボードを設置しないことにより、店舗における塗料の売場面積をさらに小さくする(すなわち省スペース化する)ことができる。
使用者は、二次元バーコード(10)が記載されたボードから二次元バーコード(10)を読み取ることで、使用用途、目的の色に適う配合塗料の作製方法を検索することができる。
【0055】
図5は、従来例である塗料販売治具及び塗料販売方法と、本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法の比較を示す図である。
本発明に係る塗料販売治具(1)は、基本塗料、着色剤、塗装道具、塗装補助道具が陳列できるスペース(棚あるいは陳列するための有孔ボードなど)と、基本塗料が蓄えられたタンクと、着色剤の配合の組合せ(すなわち配合色の作り方)を使用者が確認できる調色ボードから構成される。
従来の塗料販売治具及び塗料販売方法では、塗料の色、塗料製品(2)の規格、塗料の使用用途、仕上がり、目的の機能に応じて製品を網羅する必要があり、SKU数が膨大であったが、本発明の塗料販売治具(1)及び塗料販売方法により、ゴンドラ数を大幅に減少させることができるため(すなわちゴンドラ効率が大幅に上昇するため)、店舗における塗料の売場面積を小さくすることができる。
店舗における塗料の売場面積を小さくすることで以下の効果を得ることができる。
塗料販売者は、塗料の売場面積を小さくすることによりできた、剰余の売場面積(従来の塗料販売治具及び塗料販売方法において占有されていた売場面積のうち、本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法における売場面積を差し引いた売場面積のこと)に、販促コーナーを設けたり、別の商品を陳列、販売するなど、有効活用することができる。
塗料販売者は、本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法により、塗料の在庫管理数を大幅に減少させることができる。
塗料販売者は、塗料の売場面積を小さくすることにより、塗料の品出し業務、塗料売場のメンテナンスにかかる時間を大幅に減少させることができる。
顧客は、塗料の売場面積が小さくなることから、目的の塗料に到達するための時間を大幅に削減することができる。
本発明の塗料の売場面積は従来より小さくなったが、着色剤の配合方法は無数である(すなわち使用者は無数の色の塗料を作製することができる)ことから、実質的には従来の塗料販売治具及び塗料販売方法より多くの塗料製品を陳列することができる。
本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法により、塗料製造会社は、製造における生産効率を増加すること(塗料製造工程の簡素化)、管理している塗料製品の在庫の大幅な削減、及び製造に伴う廃棄物の大幅な削減を図ることができる。
【0056】
図6は、本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法における、廃塗料及び廃塗料容器を回収するための、廃塗料回収箱(13)を示す図である。
本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法では、廃塗料(14)及び廃塗料容器を回収するための、廃塗料回収箱(13)を設置することができる。
この回収される廃塗料(14)は、本発明に係る基本塗料(3)、着色剤(4)、及び/又は基本塗料(3)と着色剤(4)とを任意に配合することにより調色された配合塗料に加え、水性塗料、油性塗料、粉体塗料など、通常「塗料」と呼ばれるものすべてが含まれる。
廃塗料容器とは、廃塗料(14)が含まれている容器、あるいは廃塗料(14)が含まれていた容器のいずれも当てはまる。
ここでの容器とは、例えばプラスチック製の容器、金属製の容器などが考えられるが、とくに限定されない。
廃塗料缶とは、廃塗料容器のうち、容器が缶であるもののことである。
廃塗料回収箱(13)により回収された廃塗料(14)は、スラッジ粉砕機(15)などを使用して、スラッジなどの固形物を粉砕した後に固形燃料(16)にすることができる。
廃塗料回収箱(13)を設置することにより、廃塗料(14)の再利用による環境負荷の軽減、及び来店客増加の効果が見込める。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る塗料販売治具(1)及び塗料販売方法は、塗料の販売売場を小さくする(すなわち省スペース化する)ことができるため、特に塗料売場での使用に有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 塗料販売治具
3 基本塗料
4 着色剤
5 塗装道具
6 塗装補助道具
7 タンク
9 調色ボード
10 二次元バーコード
13 廃塗料回収箱
14 廃塗料
図1
図2
図3
図4
図5
図6