(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179701
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20241219BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20241219BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241219BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241219BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241219BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098750
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 真
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】眞屋 朋和
(72)【発明者】
【氏名】冨谷 正明
(72)【発明者】
【氏名】峰田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】津本 佳世
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 新一
(72)【発明者】
【氏名】駒嶺 聡史
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181FF11
5H181FF13
5H181FF23
5H181FF27
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】音が発生するエリアにおいて、会議に適した環境を確保しやすくする。
【解決手段】制御装置20は、音が発生するエリア11内の音の大きさの分布に関する情報を取得し、取得した、分布に関する情報に基づき、エリア11内を移動する会議室付きのモビリティ30の移動を制御する制御部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音が発生するエリア内の音の大きさの分布に関する情報を取得し、
取得した、前記分布に関する情報に基づき、前記エリア内を移動する会議室付きのモビリティの移動を制御する
制御部を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記分布に関する情報に基づき、前記エリア内の、前記モビリティがある場所よりも小さい音が発生する場所を検出すると、検出した場所へ前記モビリティを移動させる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記エリア内で将来発生する音の大きさの分布を予測することで、前記分布に関する情報を取得する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記エリアで開催されているイベントに関する情報を取得し、
取得した、前記イベントに関する情報に基づき、前記エリア内で将来発生する音の大きさの分布を予測する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
音が発生するエリア内の音の大きさの分布に関する情報を制御部により取得することと、
取得した、前記分布に関する情報に基づき、前記エリア内を移動する会議室付きのモビリティの移動を前記制御部により制御することと
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動会議室として利用可能な空間、又はノイズキャンセラーなどの防音設備を備え、個室として利用可能な空間をユーザに提供する車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イベント会場など、イベントが開催されるエリアは騒がしいため、会議に適した環境を確保しにくい。
【0005】
本開示の目的は、音が発生するエリアにおいて、会議に適した環境を確保しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、
音が発生するエリア内の音の大きさの分布に関する情報を取得し、
取得した、前記分布に関する情報に基づき、前記エリア内を移動する会議室付きのモビリティの移動を制御する
制御部を備える。
【0007】
本開示に係る制御方法は、
音が発生するエリア内の音の大きさの分布に関する情報を制御部により取得することと、
取得した、前記分布に関する情報に基づき、前記エリア内を移動する会議室付きのモビリティの移動を前記制御部により制御することと
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、音が発生するエリアにおいて、会議に適した環境を確保しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係るモビリティ制御システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照して説明する。
【0011】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態に係るモビリティ制御システム10の構成を説明する。
【0013】
モビリティ制御システム10は、制御装置20と、会議室付きのモビリティ30とを備える。制御装置20は、ネットワーク40を介してモビリティ30と通信可能である。
【0014】
制御装置20は、データセンターなどの施設に設置されたコンピュータである。制御装置20は、例えば、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバである。制御装置20は、例えば、イベントを運営する事業者によって運用される。
【0015】
会議室付きのモビリティ30は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、水素車、HEV、PHEV、BEV、又はFCEVなどの任意の種類の自動車である。「HEV」は、hybrid electric vehicleの略語である。「PHEV」は、plug-in hybrid electric vehicleの略語である。「BEV」は、battery electric vehicleの略語である。「FCEV」は、fuel cell electric vehicleの略語である。モビリティ30は、本実施形態ではAVであるが、運転手によって運転されてもよいし、又は任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。「AV」は、autonomous vehicleの略語である。自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。「SAE」は、Society of Automotive Engineersの略称である。モビリティ30は、MaaS専用車両でもよい。「MaaS」は、Mobility as a Serviceの略語である。
【0016】
ネットワーク40は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの任意の組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク40は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0017】
図1及び
図2を参照して、本実施形態の概要を説明する。
【0018】
制御装置20は、音が発生するエリア11内の音の大きさの分布に関する第2情報60を制御部21により取得する。エリア11は、本実施形態では、展示会、見本市、食イベント、又は物産展などのイベントが開催されるイベント会場である。イベント会場は、例えば、アリーナである。第2情報60は、例えば、イベント会場内の各ブースへの集客を予測して作成された騒音ヒートマップであるが、イベント会場内をセンシングして作成された騒音ヒートマップでもよい。会議室付きのモビリティ30は、エリア11内を移動する。制御装置20は、取得した第2情報60に基づき、モビリティ30の移動を制御部21により制御する。
【0019】
本実施形態によれば、音が発生するエリア11において、会議に適した環境を確保しやすくなる。例えば、ユーザが携帯電話機、スマートフォン、若しくはタブレットなどのモバイル機器を用いてオンライン会議又は電話会議を行おうとしたときに、周りがうるさい場合がある。そのような場合に、モビリティ30が会議に適した静かな場所へ移動することで、ユーザはモビリティ30の会議室で騒音を回避して会議可能になる。複数のユーザが集まって会議を行おうとしたときについても同様である。本実施形態では、モビリティ30がノイズキャンセラーなどの防音設備を備えていなくても、より簡易に、音量レベルの小さい、会議に適した環境を提供することができるため、コスト削減も可能になる。
【0020】
本実施形態によれば、オンデマンド移動会議室を提供することも可能である。利便性向上のために、モビリティ30の位置に関する情報、若しくはモビリティ30が満室か空室かに関する情報がユーザのモバイル機器、又はイベント会場に設置された会場掲示版に表示されてもよい。
【0021】
本実施形態では、制御装置20は、エリア11内で将来発生する音の大きさの分布を予測することで、第2情報60を取得する。具体的には、制御装置20は、エリア11で開催されているイベントに関する第1情報50を制御部21により取得し、取得した第1情報50に基づき、エリア11内で将来発生する音の大きさの分布を予測する。そのため、制御装置20は、今は静かでも、この後人が集まることが予測されてうるさくなりそうな場所にモビリティ30を移動するのを避けることができる。
【0022】
本実施形態では、第1情報50は、イベントの開催場所51、開催時間52、参加人数規模53、又は内容54などの各種情報を含む。第1情報50は、過去及び現在の情報だけではなく、将来の情報も含むことが望ましい。すなわち、制御装置20は、そのような将来の情報に基づき、エリア11内で将来発生する音の大きさの分布を予測することが望ましい。
【0023】
本実施形態の一変形例として、制御装置20は、エリア11内で現在発生している音の大きさの分布を観測することで、第2情報60を取得してもよい。
【0024】
図2を参照して、本実施形態に係る制御装置20の構成を説明する。
【0025】
制御装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備える。
【0026】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部21は、制御装置20の各部を制御しながら、制御装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0027】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM、ROM、又はフラッシュメモリである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。フラッシュメモリは、例えば、SSDである。「SSD」は、solid-state driveの略語である。磁気メモリは、例えば、HDDである。「HDD」は、hard disk driveの略語である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、制御装置20の動作に用いられる情報と、制御装置20の動作によって得られた情報とが記憶される。本実施形態では、記憶部22には、少なくとも第1情報50及び第2情報60が記憶される。
【0028】
通信部23は、少なくとも1つの通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば、Ethernet(登録商標)などの有線LAN通信規格、又はIEEE802.11などの無線LAN通信規格に対応したモジュールである。「IEEE」は、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略称である。通信部23は、モビリティ30と通信を行う。通信部23は、制御装置20の動作に用いられる情報を受信し、また制御装置20の動作によって得られる情報を送信する。
【0029】
制御装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、制御装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、制御装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを制御装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って制御装置20の動作を実行することにより制御装置20として機能する。
【0030】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0031】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0032】
制御装置20の一部又は全ての機能が、制御部21としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、制御装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0033】
図3を参照して、本実施形態に係る制御装置20の動作を説明する。制御装置20の動作は、本実施形態に係る制御方法に相当する。すなわち、本実施形態に係る制御方法は、
図3に示したS1からS3のステップを含む。
【0034】
S1において、制御部21は、第1情報50を取得する。具体的には、制御部21は、第1情報50を記憶部22から読み取る。第1情報50は、事前に記憶部22に記憶されている。あるいは、第1情報50は、通信部23を介して外部のストレージから取得された後に記憶部22に記憶されてもよい。
【0035】
S2において、制御部21は、第2情報60を取得する。具体的には、制御部21は、S1で取得した第1情報50に基づき、エリア11内で将来発生する音の大きさの分布を予測することで、第2情報60を取得する。制御部21は、取得した第2情報60を記憶部22に記憶させる。例えば、制御部21は、第1情報50に含まれる、イベントの開催場所51、開催時間52、参加人数規模53、又は内容54に応じて、イベント会場内の各ブースへの集客を予測する。イベント会場内の各ブースが開く時刻、各ブースでイベントが始まる時刻、又は予約制のブース若しくはイベントの場合は予約の時刻が考慮されてもよい。制御部21は、より多くの集客が予測されるブース及びそのブースの周辺に、より大きな音が発生することを示す騒音ヒートマップを第2情報60として作成する。制御部21は、音楽を使用するイベントが開催されるなど、仮に集客が少なくても一定レベル以上の音の発生が予測されるブース及びそのブースの周辺に、大きな音が発生することを示すように騒音ヒートマップを調整してもよい。
【0036】
S3において、制御部21は、S2で取得した第2情報60に基づき、会議室付きのモビリティ30の移動を制御する。具体的には、制御部21は、第2情報60に基づき、エリア11内の、モビリティ30がある場所よりも小さい音が発生する場所を検出すると、検出した場所へモビリティ30を移動させる。例えば、モビリティ30の現在位置の音量レベルが今後大きくなることが、S2で作成された騒音ヒートマップで示されていたとすると、制御部21は、通信部23を介して、現在位置よりも音量レベルの小さい、会議に適した場所として騒音ヒートマップで示されている位置に移動するようモビリティ30に指示する。
【0037】
S1からS3のステップは、繰り返し実行される。そのため、制御装置20は、騒音度合いの変化にリアルタイムに対応することができる。
【0038】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の2つ以上のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の2つ以上のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 モビリティ制御システム
11 エリア
20 制御装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
30 モビリティ
40 ネットワーク
50 第1情報
51 開催場所
52 開催時間
53 参加人数規模
54 内容
60 第2情報