(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179707
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】シート真空ラミネート装置
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098758
(22)【出願日】2023-06-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】522445608
【氏名又は名称】株式会社エヌ・シー・ティ
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 浩之
(72)【発明者】
【氏名】崔 鍾仁
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AA04
4F211AA24
4F211AD20
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH36
4F211AP06
4F211AQ01
4F211AR07
4F211AR08
4F211SA07
4F211SC07
4F211SD01
4F211SD11
4F211SJ11
4F211SP05
(57)【要約】
【課題】ドライフィルムの形状癖による影響を低減することで、シート基板とドライフィルムとの貼り合わせを精度良く良好に行うことを可能とするラミネート装置を提供する。
【解決手段】シート真空ラミネート装置1は、真空ポンプにより減圧される真空チャンバー11と、シート基板3とドライフィルム5a,5bを圧着するラミネートローラー43,45と、ドライフィルム5a,5bからセパレーター61を剥離し、セパレーター61を剥離したドライフィルム層57及びレジスト層59をラミネートローラー43,45に供給するスクレーパー35,37と、を有し、ラミネートローラー43,45は、ドライフィルム層57に接触してシート基板3に圧着する小径ローラー43a,45aと、小径ローラー43a,45aに対してシート基板3とは反対側で接触し、小径ローラー43a,45aよりも直径が大きい大径ローラー43b,45bを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプにより減圧されるチャンバーと、
前記チャンバー内に設けられ、シート基板とドライフィルムを圧着するラミネートローラーと、
前記ドライフィルムに積層されたセパレーターを先端部で折り返すことにより前記ドライフィルムから剥離し、前記セパレーターを剥離した前記ドライフィルムを前記ラミネートローラーに供給するスクレーパーと、
を有し、
前記ラミネートローラーは、
前記ドライフィルムに接触して前記シート基板に圧着する第1ローラーと、
前記第1ローラーに対して前記シート基板とは反対側で接触し、前記第1ローラーよりも直径が大きい第2ローラーと、
を有することを特徴とするシート真空ラミネート装置。
【請求項2】
前記第2ローラーは、
前記第1ローラーを加熱するためのヒーターを内蔵している
ことを特徴とする請求項1に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項3】
前記第1ローラーは、
温水を通水させる配管を内蔵している
ことを特徴とする請求項2に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項4】
前記チャンバー内に設けられ、前記ドライフィルムを供給するドライフィルム軸と、
前記チャンバー内に設けられ、前記ドライフィルム軸から供給された前記ドライフィルムを前記ラミネートローラーに向けて押し出すフィードローラーと、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項5】
前記フィードローラーは、
当該フィードローラーが前記ドライフィルムを押し出す速度が、前記第1ローラーが前記ドライフィルムを引き込む速度と略等しくなるように、回転速度を制御される
ことを特徴とする請求項4に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項6】
前記ラミネートローラーにより圧着された前記シート基板及び前記ドライフィルムを冷却すると共に、前記ドライフィルムに引っ張り力を作用させる冷却ローラーをさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項7】
前記冷却ローラーは、
前記第1ローラーと前記冷却ローラーとの間隔が前記シート基板の搬送方向の寸法よりも小さくなるように配置され、
前記冷却ローラーが前記シート基板及び前記ドライフィルムを引き込む速度が、前記第1ローラーが前記シート基板及び前記ドライフィルムを押し出す速度よりも大きくなるように、回転速度を制御される
ことを特徴とする請求項6に記載のシート真空ラミネート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧された真空チャンバー内においてシート基板にフィルム等を接合するシート真空ラミネート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の表面にパターン形成用の感光性ドライフィルム等の積層フィルムを真空中で貼り付ける真空ラミネート装置が知られている。例えば特許文献1には、ナイフエッジ部においてセパレーターを鋭角に折り返すことで、セパレーターを剥離した状態でレジスト面を露出したドライフィルムを引き出し、ラミネート位置に位置決めされた基板とドライフィルムを上下のラミネーションロールにてクランプし、熱圧着しながらラミネートを行う真空ラミネート装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の真空ラミネート装置では、熱圧着に必要な強度を確保するために、ラミネーションロールの径が大きくなると考えられる。一方で、ドライフィルムはロール状に巻かれた状態から引き出されるため、ロール状にカールする形状の癖が付いている場合がある。このため、ラミネーションロールの径が大きいことに起因してナイフエッジ部の先端とラミネート位置との距離が大きくなると、ナイフエッジ部から引き出されたドライフィルムがカールし、基板との貼り合わせが良好に行えないおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、ドライフィルムの形状癖による影響を低減することで、シート基板とドライフィルムとの貼り合わせを精度良く良好に行うことを可能とし、高品質なラミネート製品を製造できるラミネート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明のシート真空ラミネート装置は、真空ポンプにより減圧されるチャンバーと、前記チャンバー内に設けられ、シート基板とドライフィルムを圧着するラミネートローラーと、前記ドライフィルムに積層されたセパレーターを先端部で折り返すことにより前記ドライフィルムから剥離し、前記セパレーターを剥離した前記ドライフィルムを前記ラミネートローラーに供給するスクレーパーと、を有し、前記ラミネートローラーは、前記ドライフィルムに接触して前記シート基板に圧着する第1ローラーと、前記第1ローラーに対して前記シート基板とは反対側で接触し、前記第1ローラーよりも直径が大きい第2ローラーと、を有する。
【0007】
本発明のシート真空ラミネート装置では、シート基板とドライフィルムを圧着するラミネートローラーが、ドライフィルムに接触してシート基板に圧着する第1ローラーと、第1ローラーに対してシート基板とは反対側で接触し、第1ローラーよりも直径が大きい第2ローラーを有する。ラミネートローラーを大小2つのローラーで構成して小さい方の第1ローラーで圧着することにより、スクレーパーと第1ローラーによるラミネート位置との距離を小さくすることができる。すなわち、スクレーパーの先端をラミネート位置に近づけることができる。これにより、ドライフィルムの形状癖による影響を低減でき、シート基板とドライフィルムとの貼り合わせを精度良く良好に行うことが可能となる。したがって、高品質なラミネート製品を製造できる。また、第1ローラーは小径であるため剛性が小さいが、大径で剛性が大きな第2ローラーがシート基板とは反対側で第1ローラーを支持するため、第1ローラーを強度的にバックアップすることができる。したがって、第1ローラーの撓みを防止できる。
【0008】
また、本願発明のシート真空ラミネート装置では、第2ローラーが第1ローラーを加熱するためのヒーターを内蔵している。これにより、加熱した第1ローラーによりドライフィルムのレジストを溶融させてシート基板に熱圧着することができる。また、第2ローラーにより第1ローラの温度をバックアップできることから、第1ローラーに対するヒーターの設置が不要となり、第1ローラーを小径化できる。
【0009】
また、本願発明のシート真空ラミネート装置では、第1ローラーが温水を通水させる配管を内蔵している。これにより、第2ローラーによる加熱に加えて、第1ローラー自体を加熱することができる。これにより、第1ローラーの表面温度をより精度良く一定温度に保持することができる。
【0010】
また、本願発明のシート真空ラミネート装置は、前記チャンバー内に設けられ、前記ドライフィルムを供給するドライフィルム軸と、前記チャンバー内に設けられ、前記ドライフィルム軸から供給された前記ドライフィルムを前記ラミネートローラーに向けて押し出すフィードローラーと、をさらに有する。
【0011】
本発明のシート真空ラミネート装置では、ドライフィルム軸から供給されたドライフィルムをフィードローラーによりラミネートローラーに向けて押し出す。これにより、ドライフィルムに作用するテンションを小さくすることができるので、ドライフィルムに伸縮が生じるのを抑制できる。その結果、シート基板とドライフィルムの位置決め精度を向上できるので、シート基板とドライフィルムを精度良く貼り合わせることができる。
【0012】
また、本願発明のシート真空ラミネート装置では、フィードローラーがドライフィルムを押し出す速度が、第1ローラーがドライフィルムを引き込む速度と略等しくなるように、フィードローラーの回転速度が制御される。これにより、ドライフィルムに作用するテンションを0に近づけることができるので、シート基板とドライフィルムの位置決め精度をさらに向上できる。
【0013】
また、本願発明のシート真空ラミネート装置は、前記ラミネートローラーにより圧着された前記シート基板及び前記ドライフィルムを冷却すると共に、前記ドライフィルムに引っ張り力を作用させる冷却ローラーをさらに有する。
【0014】
本発明のシート真空ラミネート装置では、冷却ローラーにより、ドライフィルムを圧着されたシート基板を冷却すると共に、ドライフィルムに引っ張り力を作用させる。これにより、シート基板に圧着されたドライフィルムにしわや弛みが生じていた場合でも、ドライフィルムを伸ばした状態で、溶融させたレジストを固化させてシート基板に固定することができる。したがって、ドライフィルムの平滑性を確保でき、高品質なラミネート製品を製造できる。
【0015】
また、本願発明のシート真空ラミネート装置では、冷却ローラーが、第1ローラーと冷却ローラーとの間隔がシート基板の搬送方向の寸法よりも小さくなるように配置されると共に、冷却ローラーがシート基板及びドライフィルムを引き込む速度が、第1ローラーがシート基板及びドライフィルムを押し出す速度よりも大きくなるように、冷却ローラーの回転速度が制御される。これにより、ドライフィルムに対して引っ張り力を確実に作用させることができるので、ドライフィルムの平滑性を確保でき、高品質なラミネート製品を製造できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ドライフィルムの形状癖による影響を低減することで、シート基板とドライフィルムとの貼り合わせを精度良く良好に行うことを可能とし、高品質なラミネート製品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係るシート真空ラミネート装置の全体構成の一例を表す断面図である。
【
図2】ドライフィルムの積層構造の一例を表す説明図である。
【
図3】基材にドライフィルムを圧着するラミネート位置近傍の構造を拡大して表す図である。
【
図4】ラミネートローラーを単一のローラーで構成した場合の、基材にドライフィルムを圧着するラミネート位置近傍の構造を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0019】
<1.シート真空ラミネート装置の構成>
図1~
図3を用いて、本実施形態に係るシート真空ラミネート装置の構成の一例を説明する。
図1は、本実施形態に係るシート真空ラミネート装置の全体構成の一例を表す断面図である。
図2は、ドライフィルムの積層構造の一例を表す説明図である。
図3は、基材にドライフィルムを圧着するラミネート位置近傍の構造を拡大して表す図である。
【0020】
本実施形態に係るシート真空ラミネート装置1は、減圧環境下でシート基板3にドライフィルム5a,5bを圧着してラミネート基板7を製造する装置である。
図1に示すように、シート真空ラミネート装置1は、入口チャンバー9と、真空チャンバー11と、出口チャンバー13とを有する。シート基板3は、大気圧である外部から入口チャンバー9に投入される。投入されたシート基板3は、入口チャンバー9から真空チャンバー11に搬送される。真空チャンバー11の内部空間は、真空ポンプにより空気を吸引されて所定の圧力に減圧されている。所定の圧力は例えば50Pa以下である。真空チャンバー11では、減圧された状態でシート基板3の両面に対してドライフィルム5a,5bが圧着されて、ラミネート基板7が生成される。ラミネート基板7は、真空チャンバー11から出口チャンバー13に搬送され、出口チャンバー13から外部に搬出される。
【0021】
シート基板3は、例えば銅張積層板である。シート真空ラミネート装置1によりドライフィルムをラミネートされた銅張積層板は、その後に露光、現像、エッチング、メッキ処理等が行われ、プリント配線基板が製造される。なお、シート基板3はフィルム等がラミネートされる基材であれば銅張積層板以外でもよい。
【0022】
入口チャンバー9は、入口ゲート15と出口ゲート17を有すると共に、内部にプレヒートプレート19と搬送装置21を有する。入口ゲート15及び出口ゲート17は、駆動装置(図示省略)により開閉される。出口ゲート17が閉鎖された状態のままで入口ゲート15が開放され、シート基板3が入口チャンバー9に投入される。投入されたシート基板3は、搬送装置21によりプレヒートプレート19による予熱位置に搬送されて停止される。この状態で、入口ゲート15が閉鎖されて入口チャンバー9内が真空チャンバー11内と同程度まで減圧される。また、シート基板3は上下両側に設置されたプレヒートプレート19により所定の温度まで予熱される。予熱が完了すると、入口ゲート15が閉鎖された状態のままで、出口ゲート17が開放され、搬送装置21によりシート基板3が真空チャンバー11に搬送される。シート基板3が真空チャンバー11に移動した後、出口ゲート17が閉鎖される。その後、入口チャンバー9の内部は大気圧に復帰され、出口ゲート17が閉鎖された状態のままで入口ゲート15が開放され、次のシート基板3が投入される。
【0023】
搬送装置21は、サーボモーター(図示省略)により駆動される複数のローラーを有する。シート基板3の搬送速度や停止位置等は、サーボモーターを制御するコントローラー(図示省略)により制御される。
【0024】
真空チャンバー11(チャンバーの一例)は、搬送装置23と、センタリングガイド25と、ドライフィルム軸27,29と、フィードローラー31,33と、スクレーパー35,37と、セパレーター巻き取り軸39,41と、ラミネートローラー43,45と、冷却ローラー47,49と、エッジセンサ51,53,55とを、内部に有する。
【0025】
入口チャンバー9から真空チャンバー11に搬入されたシート基板3は、搬送装置23によりラミネートローラー43,45に向けて搬送される。シート基板3は、ラミネートローラー43,45の上流側に設置されたセンタリングガイド25により、シート基板3の幅方向(
図1における紙面に垂直な方向)の位置がドライフィルム5a,5bと合うように調整される。また、シート基板3の搬送方向(
図1における右方向)先端側のエッジの位置が、ラミネートローラー43,45の上流側に設置されたエッジセンサ51により検出される。エッジセンサ51は、シート基板3のエッジを検出可能であれば特に限定されるものではなく、例えばカメラ、光学センサ、レーザーセンサ、赤外線センサ等、様々な検出方式のセンサを採用することができる。後述のエッジセンサ53,55も同様である。
【0026】
ドライフィルム軸27,29は、ロール状に巻かれたドライフィルム5a,5bを固定しており、ドライフィルム5a,5bを繰り出しながら供給する。ドライフィルム5a,5bは、感光性レジストをフィルム状に加工した材料であり、例えば3層構造の積層フィルムとして構成されている。
図2に示すように、ドライフィルム5a,5bは、例えばポリエステルフィルム等からなるドライフィルム層57と、感光性及び熱硬化性を有するレジスト層59と、例えばポリエチレンフィルム等からなるセパレーター61とを有する。ドライフィルム5a,5bは、予め所定の間隔でセパレーター61以外の部分が部分的にカット(ハーフカット)されており、シート基板3に対応する部分ではセパレーター61上にドライフィルム層57及びレジスト層59が残され、それ以外の部分ではドライフィルム層57及びレジスト層59が除去されている。ドライフィルム層57及びレジスト層59の搬送方向の寸法L1はシート基板3の搬送方向の寸法Lと略同一であり、ドライフィルム層57及びレジスト層59が除去された部分の搬送方向の寸法L2は、真空チャンバー11において搬送装置23により搬送されるシート基板3の間隔と略同一である。ドライフィルム5a,5bは、セパレーター61に対してドライフィルム層57及びレジスト層59が外周側となるようにロール状に巻かれ、ドライフィルム軸27,29に固定されている。
【0027】
フィードローラー31は、ドライフィルム軸27の近傍に配置されている。フィードローラー31は、ドライフィルム軸27から供給されたドライフィルム5aを両側から挟むように配置された一対のローラとして構成されており、ドライフィルム5aをクランプして、ラミネートローラー43に向けて押し出すように駆動する。フィードローラー31は、コントローラにより制御されるサーボモータ63により駆動される。フィードローラー31は、当該フィードローラー31がドライフィルム5aを押し出す速度が、ラミネートローラー43の小径ローラー43aがドライフィルム5aのドライフィルム層57及びレジスト層59を引き込む速度と略等しくなるように、コントローラにより回転速度を制御される。
【0028】
フィードローラー33は、ドライフィルム軸29の近傍に配置されている。フィードローラー33は、ドライフィルム軸29から供給されたドライフィルム5bを両側から挟むように配置された一対のローラとして構成されており、ドライフィルム5bをクランプして、ラミネートローラー45に向けて押し出すように駆動する。フィードローラー33は、コントローラにより制御されるサーボモータ65により駆動される。フィードローラー33は、当該フィードローラー33がドライフィルム5bを押し出す速度が、ラミネートローラー45の小径ローラー45aがドライフィルム5bのドライフィルム層57及びレジスト層59を引き込む速度と略等しくなるように、コントローラにより回転速度を制御される。以上により、ドライフィルム5a,5bに作用するテンションを小さくする(0に近づける)ことができる。
【0029】
また、ドライフィルム5aの搬送経路におけるフィードローラー31とラミネートローラー43との間には、エッジセンサ53が設置されている。エッジセンサ53により、ドライフィルム5aのドライフィルム層57及びレジスト層59の搬送方向先端側のエッジの位置が検出される。同様に、ドライフィルム5bの搬送経路におけるフィードローラー33とラミネートローラー45との間には、エッジセンサ55が設置されている。エッジセンサ55により、ドライフィルム5bのドライフィルム層57及びレジスト層59の搬送方向先端側のエッジの位置が検出される。コントローラは、エッジセンサ51,53,55の検出結果に基づいて、シート基板3の搬送方向の先端と、ドライフィルム5a,5bのドライフィルム層57及びレジスト層59の搬送方向の先端とが、ラミネート位置Lpにおいて略一致するように搬送装置23、セパレーター巻き取り軸39,41、ラミネートローラー43,45、及びフィードローラー31,33の駆動(回転量、回転速度等)を制御する。なお、ラミネート位置Lpは、ラミネートローラー43の小径ローラー43a及びラミネートローラー45の小径ローラー45aがドライフィルム層57及びレジスト層59をシート基板3の上側の表面及び下側の表面に圧着する位置である(
図3参照)。
【0030】
なお、エッジセンサ51,53,55の検出結果に基づいてシート基板3の先端位置とドライフィルム層57及びレジスト層59の先端位置が一致するように制御しても、ドライフィルム5a,5bにテンションが作用した場合にはセパレーター61に伸縮が生じてドライフィルム層57及びレジスト層59の先端位置にずれが生じる可能性がある。本実施形態では、上述のようにドライフィルム5a,5bに作用するテンションを小さくする(0に近づける)ことができるので、ドライフィルム5a,5bに伸縮が生じるのを抑制できる。その結果、シート基板3とドライフィルム層57及びレジスト層59の位置決め精度を向上できるので、精度の良い貼り合わせが可能となる。
【0031】
ドライフィルム軸27,29から供給され、フィードローラー31,33により押し出されたドライフィルム5a,5bは、複数のローラーを介して搬送され、スクレーパー35,37によりセパレーター61を剥離される。
【0032】
図3に示すように、スクレーパー35は、先端に向けて厚さが薄くなり先端が尖った形状に形成された平板状の部材であり、先端がシート基板3の上側のラミネート位置Lpの近傍に位置するように配置されている。スクレーパー35は、幅方向の寸法がシート基板3及びドライフィルム5aの幅方向の寸法と同等以上となるように形成されている。例えば、スクレーパー35の先端とラミネート位置Lp(小径ローラー43a及び大径ローラー43bの中心位置)との搬送方向の距離D1は、小径ローラー43aの直径Φ2の半分以下であることが好ましい。本実施形態では、例えばΦ2が40mmの場合には距離D1は15mmとして構成されている。スクレーパー35は、ドライフィルム5aに積層されたセパレーター61を先端部で鋭角に折り返すことによりドライフィルム5aからセパレーター61を剥離し、セパレーター61を剥離したドライフィルム層57及びレジスト層59をラミネート位置Lpに供給する。
【0033】
同様に、スクレーパー37は、先端に向けて厚さが薄くなり先端が尖った形状に形成された平板状の部材であり、先端がシート基板3の下側のラミネート位置Lpの近傍に位置するように配置されている。スクレーパー37は、幅方向の寸法がシート基板3及びドライフィルム5bの幅方向の寸法と同等以上となるように形成されている。例えば、スクレーパー37の先端とラミネート位置Lp(小径ローラー45a及び大径ローラー45bの中心位置)との搬送方向の距離D1は、小径ローラー45aの直径Φ2の半分以下であることが好ましい。本実施形態では、例えばΦ2が40mmの場合には距離D1は15mmとして構成されている。スクレーパー37は、ドライフィルム5bに積層されたセパレーター61を先端部で鋭角に折り返すことによりドライフィルム5bからセパレーター61を剥離し、セパレーター61を剥離したドライフィルム層57及びレジスト層59をラミネート位置Lpに供給する。
【0034】
スクレーパー35,37により剥離されたセパレーター61は、複数のローラーを介して搬送され、セパレーター巻き取り軸39,41にそれぞれ巻き取られる。セパレーター巻き取り軸39,41は、コントローラにより制御されるサーボモータ(図示省略)により駆動される。
【0035】
なお、スクレーパー35,37はそれぞれ、アーム67を介して回転軸69を中心に回動可能に設置されており、シリンダー71の伸縮駆動により、ラミネート位置LPに対して進退させることが可能である。シリンダー71が伸びた場合にはスクレーパー35,37はラミネート位置LPに近接し、シリンダー71が縮んだ場合にはスクレーパー35,37はラミネート位置LPから離間する。例えば、ドライフィルム5a,5bの交換等のメンテナンス作業は、スクレーパー35,37をラミネート位置LPから離間させた状態で行われる。
【0036】
ラミネートローラー43,45は、搬送されるシート基板3の上下両側に配置されており、シート基板3を上下両側からクランプして、シート基板3の上下両側の表面にドライフィルム5a,5b(ドライフィルム層57及びレジスト層59)を圧着する。
【0037】
ラミネートローラー43は、シート基板3の上側に配置されており、シート基板3の上側の表面にドライフィルム5a(ドライフィルム層57及びレジスト層59)を圧着する。ラミネートローラー43は、小径ローラー43aと、大径ローラー43bとを有する。小径ローラー43aは、軸方向の寸法がシート基板3及びドライフィルム5aの幅方向の寸法と同等以上となるように形成されており、ドライフィルム5aのドライフィルム層57に接触してシート基板3に圧着する。大径ローラー43bは、軸方向の寸法が小径ローラー43aの軸方向の寸法と同等以上となるように形成されており、小径ローラー43aに対してシート基板3とは反対側で接触する。
図3に示すように、大径ローラー43bの直径Φ1は小径ローラー43aの直径Φ2よりも大きい。例えば、直径Φ1は直径Φ2の2倍以上であることが好ましい。本実施形態では、例えばΦ1は80mm、Φ2は40mmとして構成されている。
【0038】
大径ローラー43bは、例えば強度が大きく、且つ、熱伝導率の高い金属材料で構成されており、小径ローラー43aを加熱するためのヒーター(図示省略)を内蔵している。小径ローラー43aは、例えば内側は金属材料で構成され、ドライフィルム層57と接触する外側表面はゴム材料で構成されている。大径ローラー43bにより小径ローラー43aを加熱することで、レジスト層59を溶融させてドライフィルム層57をシート基板3に熱圧着することができる。なお、小径ローラー43aは、内側に温水を通水させる配管(金属パイプ等)を内蔵してもよい。この場合には、大径ローラー43bによる加熱に加えて、小径ローラー43a自体を加熱することができるので、小径ローラー43aの表面温度をより精度良く一定温度に保持することができる。なお、小径ローラー43aは小径であるため剛性が小さいが、大径で剛性が大きな大径ローラー43bがシート基板3とは反対側で小径ローラー43aを支持するため、小径ローラー43aを強度的にバックアップして小径ローラー43aの撓みを防止できる。
【0039】
ラミネートローラー45は、シート基板3の下側に配置されており、シート基板3の下側の表面にドライフィルム5b(ドライフィルム層57及びレジスト層59)を圧着する。ラミネートローラー45は、小径ローラー45aと、大径ローラー45bとを有する。小径ローラー45aは、軸方向の寸法がシート基板3及びドライフィルム5bの幅方向の寸法と同等以上となるように形成されており、ドライフィルム5bのドライフィルム層57に接触してシート基板3に圧着する。大径ローラー45bは、軸方向の寸法が小径ローラー45aの軸方向の寸法と同等以上となるように形成されており、小径ローラー45aに対してシート基板3とは反対側で接触する。大径ローラー45bの直径Φ1は小径ローラー45aの直径Φ2よりも大きい。例えば、直径Φ1は直径Φ2の2倍以上であることが好ましい。本実施形態では、例えばΦ1は80mm、Φ2は40mmとして構成されている。
【0040】
大径ローラー45bは、例えば強度が大きく、且つ、熱伝導率の高い金属材料で構成されており、小径ローラー45aを加熱するためのヒーター(図示省略)を内蔵している。小径ローラー45aは、例えば内側は金属材料で構成され、ドライフィルム層57と接触する外側表面はゴム材料で構成されている。大径ローラー45bにより小径ローラー45aを加熱することで、レジスト層59を溶融させてドライフィルム層57をシート基板3に熱圧着することができる。なお、小径ローラー45aは、内側に温水を通水させる配管(金属パイプ等)を内蔵してもよい。この場合には、大径ローラー45bによる加熱に加えて、小径ローラー45a自体を加熱することができるので、小径ローラー45aの表面温度をより精度良く一定温度に保持することができる。なお、小径ローラー45aは小径であるため剛性が小さいが、大径で剛性が大きな大径ローラー45bがシート基板3とは反対側で小径ローラー45aを支持するため、小径ローラー45aを強度的にバックアップして小径ローラー45aの撓みを防止できる。
【0041】
なお、上記小径ローラー43a,45aが第1ローラーの一例であり、大径ローラー43b,45bが第2ローラーの一例である。
【0042】
ラミネートローラー43を構成する小径ローラー43a及び大径ローラー43bは、支持部材73により回転可能に支持されており、ラミネートローラー45を構成する小径ローラー45a及び大径ローラー45bは、支持部材75により回転可能に支持されている。支持部材73,75はそれぞれ、シリンダー77の伸縮駆動によりシート基板3に対して上下方向に移動する。ラミネートローラー43,45は、シート基板3が通過する際には互いに近づいてドライフィルム5a,5bを圧着し、圧着が終了した後次のシート基板3が到達するまでの間は互いに遠ざかって離間する。このようにして、ラミネートローラー43,45はシート基板3ごとに遠近動作を繰り返す。ラミネートローラー43を構成する小径ローラー43a及び大径ローラー43bと、ラミネートローラー45を構成する小径ローラー45a及び大径ローラー45bとは、コントローラにより制御されるサーボモータ79により駆動される。
【0043】
ラミネートローラー43,45によりドライフィルム5a,5b(ドライフィルム層57及びレジスト層59)を圧着されたラミネート基板7は、搬送装置23により冷却ローラー47,49に向けて搬送される。
【0044】
冷却ローラー47,49は、ラミネート基板7を挟むように上下に配置された一対のローラーとして構成されており、搬送されるラミネート基板7を上下両側からクランプして、ラミネート基板7を冷却する。冷却ローラー47,49は、例えば表面にフッ化炭素樹脂からなるチューブを設けた金属パイプとして構成されており、内部に冷媒を循環させることで表面温度が低い温度に保持されている。冷却ローラー47,49は、小径ローラー43a,45aと冷却ローラー47,49との搬送方向の間隔がシート基板3の搬送方向の寸法Lよりも小さくなるように配置されている。冷却ローラー47,49は、コントローラにより制御されるサーボモータ81により駆動される。冷却ローラー47,49は、当該冷却ローラー47,49がラミネート基板7を引き込む速度が、小径ローラー43a,45aがラミネート基板7を押し出す速度よりも大きくなるように、回転速度を制御される。これにより、冷却ローラー47,49は、ラミネート基板7を冷却すると共に、ドライフィルム層57及びレジスト層59に引っ張り力を作用させる。これにより、シート基板3に圧着されたドライフィルム層57にしわや弛みが生じていた場合でも、ドライフィルム層57を伸ばした状態で、溶融させたレジスト層59を固化させてシート基板3に固定することができる。
【0045】
搬送装置23は、サーボモーター(図示省略)により駆動される複数のローラーを有する。シート基板3,7の搬送速度や停止位置等は、サーボモーターを制御するコントローラー(図示省略)により制御される。冷却ローラー47,49により冷却されたラミネート基板7は、搬送装置23により出口チャンバー13に向けて搬送される。
【0046】
出口チャンバー13は、入口ゲート83と出口ゲート85を有すると共に、内部に搬送装置87を有する。入口ゲート83及び出口ゲート85は、駆動装置(図示省略)により開閉される。出口チャンバー13は、入口ゲート83及び出口ゲート85が閉鎖された状態で、真空チャンバー11内と同程度まで減圧される。真空チャンバー11においてラミネート基板7の冷却が完了すると、出口ゲート85が閉鎖された状態のままで、入口ゲート83が開放され、搬送装置23,87によりラミネート基板7が出口チャンバー13に搬入される。搬入されたラミネート基板7は所定位置まで搬送されて停止され、入口ゲート83が閉鎖される。その後、出口チャンバー13の内部は大気圧に復帰され、入口ゲート83が閉鎖された状態のままで出口ゲート85が開放され、ラミネート基板7が外部に搬出される。
【0047】
搬送装置87は、サーボモーター(図示省略)により駆動される複数のローラーを有する。ラミネート基板7の搬送速度や停止位置等は、サーボモーターを制御するコントローラー(図示省略)により制御される。なお、入口チャンバー9の搬送装置21、真空チャンバー11の搬送装置23、及び、出口チャンバー13の搬送装置87は、それぞれが独立して制御される。
【0048】
<2.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態に係るシート真空ラミネート装置1では、シート基板3とドライフィルム5a,5b(ドライフィルム層57及びレジスト層59)を圧着するラミネートローラー43,45が、ドライフィルム層57に接触してシート基板3に圧着する小径ローラー43a,45aと、小径ローラー43a,45aに対してシート基板3とは反対側で接触し、小径ローラー43a,45aよりも直径が大きい大径ローラー43b,45bを有する。ラミネートローラー43,45を大小2つのローラーで構成して小さい方の小径ローラー43a,45aで圧着することにより、スクレーパー35,37の先端をラミネート位置Lpに近づけることができる。
【0049】
例えば、
図4にラミネートローラー43を単一のローラー43cで構成した場合の構造の一例を示す。この場合、熱圧着に必要な強度を確保するために、ローラー43cの直径Φ3は比較的大きくなると考えられる。ローラー43cの直径Φ3が大きいと、スクレーパー35の先端とラミネート位置Lp(ローラー43cの中心位置)との搬送方向の距離D2も、構造上、比較的大きくなる。例えばΦ3が80mmの場合には、距離D2は30mm程度になると考えられる。一方で、ドライフィルム5a,5bはドライフィルム軸27,29においてロール状に巻かれた状態から引き出されるため、ロール状にカールする形状の癖が付いている場合がある。このため、
図4に示したような単一のローラー構成の場合、距離D2が大きくなることに起因して、スクレーパー35から引き出されたドライフィルム層57及びレジスト層59がカールし、シート基板3との貼り合わせ位置がずれてしまい、貼り合わせを良好に行えないおそれがある。
【0050】
本実施形態では、
図3に示すように、スクレーパー35,37の先端をラミネート位置Lpに近づけることができるので、ドライフィルム5a,5bの形状癖による影響を低減でき、シート基板3とドライフィルム層57及びレジスト層59との貼り合わせを精度良く良好に行うことが可能となる。したがって、高品質なラミネート製品を製造できる。また、ドライフィルム5a,5bの形状癖による影響を低減する方法として、例えばラミネート位置Lp近傍にエアを噴出する機構を設け、ドライフィルム5a,5bに対してエアを噴出してカール状の癖を是正する構成が考えられる。しかしながら、この場合にはエアを噴出させるために真空度を高くすることができない。本実施形態では、エアの噴出の必要がないため、真空チャンバー11の真空度を最大限まで高めることが可能である。
【0051】
また、ラミネートローラー43,45のうち、ドライフィルム層57に当接して押圧する小径ローラー43a,45aは表面が摩耗するため、定期的に交換が必要となる。本実施形態では、ラミネートローラー43,45を大小2つのローラーで構成するので、例えば大径ローラー43b,45bについては支持部材73,75に対して固定的に設置してサーボモータ79や減速機等と連結させる一方で、小径ローラー43a,45aについては例えば大径ローラー43b,45bに従動させる構造として、着脱しやすいように設置することが可能となる。したがって、小径ローラー43a,45aのメンテナンス性を向上できる。
【0052】
また、小径ローラー43a,45aは小径であるため剛性が小さいが、大径で剛性が大きな大径ローラー43b,45bがシート基板3とは反対側で小径ローラー43a,45aを支持するため、小径ローラー43a,45aを強度的にバックアップすることができる。したがって、小径ローラー43a,45aの撓みを防止できる。
【0053】
また、本実施形態のシート真空ラミネート装置1では、大径ローラー43b,45bが小径ローラー43a,45aを加熱するためのヒーターを内蔵している。これにより、加熱した小径ローラー43a,45aによりドライフィルム5a,5bのレジスト層59を溶融させてドライフィルム層57をシート基板3に熱圧着することができる。また、大径ローラー43b,45bにより小径ローラー43a,45aの温度をバックアップできることから、小径ローラー43a,45aに対するヒーターの設置が不要となり、小径ローラー43a,45aを小径化できる。
【0054】
また、本実施形態のシート真空ラミネート装置1では、小径ローラー43a,45aが温水を通水させる配管を内蔵してもよい。この場合には、大径ローラー43b,45bのヒーターによる加熱に加えて、小径ローラー43a,45a自体を加熱することができる。これにより、小径ローラー43a,45aの表面温度をより精度良く一定温度に保持することができる。
【0055】
また、本実施形態のシート真空ラミネート装置1では、ドライフィルム軸27,29から供給されたドライフィルム5a,5bをフィードローラー31,33によりラミネートローラー43,45に向けて押し出す。これにより、ドライフィルム5a,5bに作用するテンションを小さくすることができるので、ドライフィルム5a,5bに伸縮が生じるのを抑制できる。その結果、シート基板3とドライフィルム5a,5bの位置決め精度を向上できるので、シート基板3とドライフィルム層57及びレジスト層59を精度良く貼り合わせることができる。
【0056】
また、本実施形態のシート真空ラミネート装置1では、フィードローラー31,33がドライフィルム5a,5bを押し出す速度が、小径ローラー43a,45aがドライフィルム層57及びレジスト層59を引き込む速度と略等しくなるように、フィードローラー31,33の回転速度が制御される。これにより、ドライフィルム5a,5bに作用するテンションを0に近づけることができるので、シート基板3とドライフィルム層57及びレジスト層59の位置決め精度をさらに向上できる。
【0057】
また、本実施形態のシート真空ラミネート装置1では、冷却ローラー47,49により、シート基板3にドライフィルム層57を熱圧着して生成したラミネート基板7を冷却すると共に、ドライフィルム層57に引っ張り力を作用させる。これにより、シート基板3に圧着されたドライフィルム層57にしわや弛みが生じていた場合でも、ドライフィルム層57を伸ばした状態で、溶融させたレジスト層59を固化させてシート基板3に固定することができる。したがって、ラミネート基板7におけるドライフィルム層57の平滑性を確保でき、高品質なラミネート製品を製造できる。
【0058】
また、本実施形態のシート真空ラミネート装置1では、冷却ローラー47,49が、小径ローラー43a,45aと冷却ローラー47,49との間隔がシート基板3の搬送方向の寸法Lよりも小さくなるように配置されると共に、冷却ローラー47,49がラミネート基板7を引き込む速度が、小径ローラー43a,45aがラミネート基板7を押し出す速度よりも大きくなるように、冷却ローラー47,49の回転速度が制御される。これにより、ドライフィルム層57に対して引っ張り力を確実に作用させることができるので、ラミネート基板7におけるドライフィルム層57の平滑性を確保でき、高品質なラミネート製品を製造できる。
【0059】
<3.変形例>
本発明は、以上説明した実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0060】
例えば、以上ではシート基板3,7が入口チャンバー9及び出口チャンバー13において一旦停止するようにしたが、停止させずに連続的に搬送しつつ、加圧及び減圧を行う構成としてもよい。
【0061】
また、以上ではシート基板3の両面にドライフィルム5をラミネートする場合について説明したが、シート基板3の片面のみにドライフィルム5をラミネートする構成としてもよい。
【0062】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 シート真空ラミネート装置
3 シート基板
5a,5b ドライフィルム
11 真空チャンバー(チャンバーの一例)
27,29 ドライフィルム軸
31,33 フィードローラー
35,37 スクレーパー
43 ラミネートローラー
43a 小径ローラー(第1ローラーの一例)
43b 大径ローラー(第2ローラーの一例)
45 ラミネートローラー
45a 小径ローラー(第1ローラーの一例)
45b 大径ローラー(第2ローラーの一例)
47,49 冷却ローラー
57 ドライフィルム層
59 レジスト層
61 セパレーター
L 寸法
【手続補正書】
【提出日】2023-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプにより減圧されるチャンバーと、
前記チャンバー内に設けられ、シート基板とドライフィルム層を圧着するラミネートローラーと、
前記ドライフィルム層に積層されたセパレーターを先端部で折り返すことにより前記ドライフィルム層から剥離し、前記セパレーターを剥離した前記ドライフィルム層を前記ラミネートローラーに供給するスクレーパーと、
前記チャンバー内に設けられ、前記セパレーター上の前記シート基板に対応する部分では前記ドライフィルム層が積層されそれ以外の部分では前記ドライフィルム層が除去されたドライフィルムを供給するドライフィルム軸と、
前記チャンバー内に設けられ、前記ドライフィルム軸から供給された前記ドライフィルムをクランプして前記ラミネートローラーに向けて押し出すフィードローラーと、
を有し、
前記ラミネートローラーは、
前記ドライフィルム層に接触して前記シート基板に圧着する第1ローラーと、
前記第1ローラーに対して前記シート基板とは反対側で接触し、前記第1ローラーよりも直径が大きい第2ローラーと、
を有し、
前記フィードローラーは、
当該フィードローラーが前記ドライフィルムを押し出す速度が、前記第1ローラーが前記ドライフィルム層を引き込む速度と略等しくなるように、回転速度を制御される
ことを特徴とするシート真空ラミネート装置。
【請求項2】
前記第2ローラーは、
前記第1ローラーを加熱するためのヒーターを内蔵している
ことを特徴とする請求項1に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項3】
前記第1ローラーは、
温水を通水させる配管を内蔵している
ことを特徴とする請求項2に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項4】
前記ラミネートローラーにより圧着された前記シート基板及び前記ドライフィルム層を冷却すると共に、前記ドライフィルム層に引っ張り力を作用させる冷却ローラーをさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項5】
前記冷却ローラーは、
前記第1ローラーと前記冷却ローラーとの間隔が前記シート基板の搬送方向の寸法よりも小さくなるように配置され、
前記冷却ローラーが前記シート基板及び前記ドライフィルム層を引き込む速度が、前記第1ローラーが前記シート基板及び前記ドライフィルム層を押し出す速度よりも大きくなるように、回転速度を制御される
ことを特徴とする請求項4に記載のシート真空ラミネート装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプにより減圧されるチャンバーと、
前記チャンバー内に設けられ、シート基板とドライフィルム層を圧着するラミネートローラーと、
前記ドライフィルム層に積層されたセパレーターを先端部で折り返すことにより前記ドライフィルム層から剥離し、前記セパレーターを剥離した前記ドライフィルム層を前記ラミネートローラーに供給するスクレーパーと、
前記チャンバー内に設けられ、前記セパレーター上の前記シート基板に対応する部分では前記ドライフィルム層が積層されそれ以外の部分では前記ドライフィルム層が除去されたドライフィルムを供給するドライフィルム軸と、
前記チャンバー内に設けられ、前記ドライフィルム軸から供給された前記ドライフィルムをクランプして前記ラミネートローラーに向けて押し出すフィードローラーと、
を有し、
前記ラミネートローラーは、
前記ドライフィルム層に接触して前記シート基板に圧着する第1ローラーと、
前記第1ローラーに対して前記シート基板とは反対側で接触し、前記第1ローラーよりも直径が大きい第2ローラーと、
を有し、
前記フィードローラーは、
当該フィードローラーが前記ドライフィルムを押し出す速度が、前記第1ローラーが前記ドライフィルム層を引き込む速度と略等しくなるように、回転速度を制御され、
前記スクレーパーの先端と、前記第1ローラーが前記ドライフィルム層を前記シート基板に圧着する位置と、の前記シート基板の搬送方向の距離は、前記第1ローラーの直径の半分以下であり、
前記第2ローラーの直径は前記第1ローラーの直径の2倍以上である
ことを特徴とするシート真空ラミネート装置。
【請求項2】
前記第2ローラーは、
前記第1ローラーを加熱するためのヒーターを内蔵している
ことを特徴とする請求項1に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項3】
前記第1ローラーは、
温水を通水させる配管を内蔵している
ことを特徴とする請求項2に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項4】
前記ラミネートローラーにより圧着された前記シート基板及び前記ドライフィルム層を冷却すると共に、前記ドライフィルム層に引っ張り力を作用させる冷却ローラーをさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート真空ラミネート装置。
【請求項5】
前記冷却ローラーは、
前記第1ローラーと前記冷却ローラーとの間隔が前記シート基板の搬送方向の寸法よりも小さくなるように配置され、
前記冷却ローラーが前記シート基板及び前記ドライフィルム層を引き込む速度が、前記第1ローラーが前記シート基板及び前記ドライフィルム層を押し出す速度よりも大きくなるように、回転速度を制御される
ことを特徴とする請求項4に記載のシート真空ラミネート装置。