(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179721
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】こんろ用ガスバーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/64 20060101AFI20241219BHJP
F23D 14/48 20060101ALI20241219BHJP
F23D 14/70 20060101ALI20241219BHJP
F23D 14/06 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
F23D14/64 A
F23D14/48 A
F23D14/70 C
F23D14/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098777
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷野 涼
(72)【発明者】
【氏名】村田 元
(72)【発明者】
【氏名】平田 健
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AA02
3K017AB02
3K017AD06
3K017DD08
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造で燃焼性向上を図ることが可能なこんろ用ガスバーナを提供する。
【解決手段】こんろ用ガスバーナ1は、バーナキャップ11と、バーナキャップ11が載せられるバーナ本体14と、バーナ本体14につながるガス混合管16と、ガスノズル18と、を備える。ガスノズル18は、燃料ガスを噴出する噴出口182を有し、ガス混合管16の上流端開口161を通じて噴出口182が挿し込まれる。ガス混合管16は、小径部2と、小径部2の上流側に位置するベルマウス部3と、を含む。ベルマウス部3は、下流側に向けて内径が急縮小する急縮小部35を含む。ガスノズル18の噴出口182は、ベルマウス部3において急縮小部35よりも下流側に位置する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナキャップと、
前記バーナキャップが載せられるバーナ本体と、
前記バーナ本体につながるガス混合管と、
燃料ガスを噴出する噴出口を有し、前記ガス混合管の上流端開口を通じて前記噴出口が挿し込まれるガスノズルと、を備え、
前記ガス混合管は、
小径部と、
前記小径部の上流側に位置するベルマウス部と、を含み、
前記ベルマウス部は、
下流側に向けて内径が急縮小する急縮小部を含み、
前記ガスノズルの前記噴出口は、前記ベルマウス部において前記急縮小部よりも下流側に位置する、
こんろ用ガスバーナ。
【請求項2】
前記ベルマウス部は、
前記急縮小部の下流側に位置し、下流側に向けて前記急縮小よりも緩やかに内径が縮小する緩縮小部を、更に含む、
請求項1のこんろ用ガスバーナ。
【請求項3】
前記ガスノズルの先端部分の外周面は、下流側に向けて径が縮小するテーパ面で構成されており、
前記テーパ面の傾斜は、前記急縮小部の軸方向の一部の傾斜と一致する、
請求項1又は2のこんろ用ガスバーナ。
【請求項4】
前記ガスノズルの内部に、前記燃料ガスの流れに乱れを生じさせる乱流形成体が設けられている、
請求項1又は2のこんろ用ガスバーナ。
【請求項5】
前記ガスノズルの内部に、前記燃料ガスの流れに乱れを生じさせる乱流形成体が設けられている、
請求項3のこんろ用ガスバーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、こんろ用ガスバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスこんろに装着されるガスバーナが知られている。特許文献1に開示されたガスバーナにおいては、バーナ本体につながるガス混合管の上流端開口に、ガスノズルの先端部分が挿し込まれている。
【0003】
このガスノズルは、外周に吸引孔が形成された二重吸い込み式のノズルである。二重吸い込み式のノズルは、外周の吸引口から吸い込んだ一次空気を、ノズル内部において燃料ガスと合流させたうえで、先端の開口を通じてガス混合管に噴出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の技術では、二重吸い込み式のガスノズルを用いることによって、燃焼性向上を図っているが、そのためにガスバーナの構造の複雑化を招くという問題があった。
【0006】
本開示が解決しようとする課題は、シンプルな構造で燃焼性向上を図ることが可能なこんろ用ガスバーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一様態に係るこんろ用ガスバーナは、バーナキャップと、前記バーナキャップが載せられるバーナ本体と、前記バーナ本体につながるガス混合管と、燃料ガスを噴出する噴出口を有し、前記ガス混合管の上流端開口を通じて前記噴出口が挿し込まれるガスノズルと、を備える。
【0008】
前記ガス混合管は、小径部と、前記小径部の上流側に位置するベルマウス部と、を含む。前記ベルマウス部は、下流側に向けて内径が急縮小する急縮小部を含む。前記ガスノズルの前記噴出口は、前記ベルマウス部において前記急縮小部よりも下流側に位置する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、シンプルな構造で燃焼性向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態のガスこんろの平面図である。
【
図2】
図2は、同上のガスこんろに設置されたこんろ用ガスバーナの平面図である。
【
図5】
図5は、同上のこんろ用ガスバーナが備えるガスノズルとこれに接続されるガス管の側面図である。
【
図6】
図6は、同上のガスノズル及びガス管を分離して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.一実施形態
図1には、一実施形態のガスこんろ9が示されている。一実施形態のガスこんろ9は、図示略のキッチンカウンターに設置されるドロップイン型のガスこんろである。以下の文中で用いる上下方向等の各方向は、ガスこんろ9が設置された状態を基準とする。
【0012】
(ガスこんろ)
一実施形態のガスこんろ9は、こんろ用ガスバーナ1(以下、単に「ガスバーナ1」という。)と、ガスバーナ1が装着されたこんろ本体7と、を備える。
【0013】
こんろ本体7は、ケーシング72と天板74を有する。こんろ本体7の箱型の外殻は、ケーシング72と天板74で構成されている。ケーシング72は、上方に開放された開口を有する矩形箱型のケーシングである。天板74は、ケーシング72の開口を覆うように、ケーシング72上に設置されている。
【0014】
天板74には複数の開口76が上下に貫通形成されており、各開口76を通じて、対応するガスバーナ1の一部が上方に突出している。一実施形態のガスこんろ9においては、ガスバーナ1が左右に2つ設置され、これら左右のガスバーナ1の後ろに、別のガスバーナ1が1つ設置されている。左右のガスバーナ1は、後ろのガスバーナ1に比較して高火力のガスバーナである。
【0015】
こんろ本体7は、複数の操作部78を更に有している。一実施形態のガスこんろ9においては、複数の操作部78のうち少なくとも1つが操作されることで、対応するガスバーナ1の点火と消火の切換えや、対応するガスバーナ1の火力調整が行われる。
【0016】
更に、一実施形態のガスこんろ9は、こんろ本体7の上面に設置される五徳8を、複数備える。複数の五徳8は、3つガスバーナ1に一対一で対応する3つの五徳8である。各五徳8は、対応するガスバーナ1の一部(詳細には後述のバーナキャップ11)を囲んで位置するように、天板74の上面に設置されている。五徳8は、リング部81と、リング部81の外周縁部に結合された複数の爪部85と、を有する。
【0017】
こんろ本体7の天板74に五徳8が設置された状態において、リング部81は、ガスバーナ1のバーナキャップ11を同心円状に囲んで位置する。複数の爪部85は、リング部81の径方向外側の向きに延びるように設けられている。
【0018】
以下においては、一実施形態のガスこんろ9が備えるガスバーナ1の詳細な構成について説明する。
【0019】
(ガスバーナ)
図2及び
図3に示すガスバーナ1は、3つのガスバーナ1に含まれる1つのガスバーナ1である。3つのガスバーナ1は、基本的に共通の構造を有する。
【0020】
ガスバーナ1は、筒状のバーナキャップ11と、環状のキャップカバー12と、鍋底温度センサ13と、バーナ本体14と、点火プラグ15と、を備える。
【0021】
バーナキャップ11は、上下に貫通した貫通孔110を中心部分に有し、かつ複数の炎孔115を外周部分に有する。複数の炎孔115は、バーナキャップ11の周方向に互いに距離をあけて並ぶように形成されている。各炎孔115は、バーナキャップ11の径方向外側に向けて開口している。
【0022】
キャップカバー12は、バーナキャップ11の上に位置するように、バーナキャップ11の上端部分に固定されている。キャップカバー12の外径寸法は、バーナキャップ11の外径寸法よりも大きい。
【0023】
鍋底温度センサ13は、ガスバーナ1によって加熱される調理容器(図示略)の底面に当接して、温度を検出するように構成されている。鍋底温度センサ13は、バーナキャップ11よりも上方に突出するように、バーナキャップ11の貫通孔110に挿通されている。鍋底温度センサ13のうち調理容器に当接するように構成された面130は、バーナキャップ11及びキャップカバー12よりも上方に位置する。
【0024】
バーナ本体14は、上下に貫通した貫通孔143を中心部分に有する。貫通孔143には、鍋底温度センサ13が挿通されている。バーナ本体14の上部には、バーナキャップ11を載置するための載置部144が設けられている。
【0025】
点火プラグ15は、バーナ本体14の外周面に沿って起立するように設置されている。点火プラグ15の先端部には、放電電極151が設けられている。放電電極151は、バーナキャップ11が有する点火ターゲット部116と対向する位置にある。
【0026】
一実施形態のガスバーナ1においては、点火プラグ15の放電電極151が、点火ターゲット部116との間でスパークを生じさせることで、各炎孔115から吹き出した混合ガスが点火され、各炎孔115から炎が噴出する燃焼状態に至る。
【0027】
更に、ガスバーナ1は、バーナ本体14につながるガス混合管16と、ガス混合管16をこんろ本体7内の所定位置に保持する保持台17と、ガス混合管16の上流端開口を通じて挿し込まれるガスノズル18と、を備える。
【0028】
(ガス混合管)
ガス混合管16は、バーナ本体14の外周壁から水平方向に突出するように、バーナ本体14の外周壁と一体に設けられている。
【0029】
ガス混合管16は、バーナ本体14の内部空間に連通する内部流路160と、内部流路160の上流端を構成する上流端開口161と、を有する。
【0030】
一実施形態のガスバーナ1では、上流端開口161に挿し込まれたガスノズル18を通じて、ガス混合管16に燃料ガスが供給されるとともに、上流端開口161とガスノズル18の隙間を通じて、周囲の空気が一次空気としてガス混合管16に供給される。ガス混合管16に供給された燃料ガスと一次空気は、ガス混合管16の内部流路160において混合された後に、バーナ本体14に供給される。
【0031】
このように、ガス混合管16は、燃料ガスと一次空気の予混合ガスをバーナ本体14に供給するように、バーナ本体14に接続されている。
【0032】
一実施形態のガスバーナ1において、ガス混合管16は、小径部2と、小径部2の上流側に位置するベルマウス部3と、ベルマウス部3の上流側に位置する大径部4と、を含む。
【0033】
(小径部)
小径部2は、ガス混合管16のうちで最も小径に形成された部分である。ここでのガス混合管16の径は、ガス混合管16の内径を意味する。小径部2は、ベルマウス部3に接続される上流端部21を有する。
【0034】
(ベルマウス部)
ベルマウス部3は、上流端部31と下流端部32を有する。ベルマウス部3の上流端部31は、大径部4に接続される部分である。ベルマウス部3の下流端部32は、小径部2の上流端部21に接続される部分である。
【0035】
ベルマウス部3は、下流側に向けて内径が緩やかに縮小するように設けられた緩縮小部34と、下流側に向けて内径が急縮小する急縮小部35と、を含む。緩縮小部34は、急縮小部35の下流側に位置し、下流側に向けて急縮小部35よりも緩やかに内径が縮小する。緩縮小部34と急縮小部35は、軸方向において滑らかに連続している。ここでの軸方向は、ベルマウス部3の軸方向である。ベルマウス部3の軸方向は、緩縮小部34の軸方向と一致し、また、急縮小部35の軸方向と一致する。
【0036】
一実施形態のガスバーナ1では、急縮小部35の上流端部が、ベルマウス部3の上流端部31を構成する。緩縮小部34の下流端部が、ベルマウス部3の下流端部32を構成する。
【0037】
以下、一実施形態のガスバーナ1における各部の寸法を示す。
【0038】
緩縮小部34の軸方向の寸法d1は、20mmである。緩縮小部34の上流端の内径は、15.726mmであり、緩縮小部34の上流端開口の面積は、194.2mm2である。緩縮小部34の下流端の内径は、11mmであり、緩縮小部34の下流端開口の面積は、95mm2である。
【0039】
急縮小部35の軸方向の寸法d2は、4.5mmである。急縮小部35の軸方向の寸法d2は、緩縮小部34の軸方向の寸法d1よりも短く、また、緩縮小部34の軸方向の寸法d1の1/2よりも短く、緩縮小部34の軸方向の寸法d1の1/4よりも短い。
【0040】
急縮小部35の上流端の内径は、26.3428mmであり、急縮小部35の上流端開口の面積は、545mm2である。急縮小部35の下流端の内径は、緩縮小部34の上流端の内径と一致し、具体的には15.726mmである。急縮小部35の下流端開口の面積は、緩縮小部34の上流端開口の面積と一致し、具体的には194.2mm2である。
【0041】
(大径部)
大径部4は、ガス混合管16のうち最も上流側の部分を構成している。大径部4は、上流端部41と下流端部42を有する。
【0042】
大径部4の上流端部41は開口を有し、大径部4には、大径部4の開口の一部を塞ぐようにダンパ45が固定されている。ダンパ45は、一次空気を調整するための部材であり、大径部4及びベルマウス部3の中心軸が通過する位置に、開口450を有する。ダンパ45の開口450が、ガス混合管16の上流端開口161を構成している。
【0043】
大径部4の下流端部42は、ベルマウス部3の上流端部31(つまり急縮小部35の上流端部)に接続される部分である。大径部4の内径は、小径部2の内径よりも大きく、また、ベルマウス部3の内径よりも大きい。大径部4の内径は、軸方向において略均一に設けられている。
【0044】
(ガスノズル)
ガスノズル18は、燃料ガスを供給するガス管19の下流端部に、接続されている。ガスノズル18は、ガス管19を通じて供給された燃料ガスを噴出する噴出口182を、自身の先端部分181に有している。噴出口182の内径は、具体的には1.32mmである。
【0045】
ガスノズル18は、ガス混合管16の上流端開口161を通じて、自身の先端部分181がガス混合管16の内側に挿し込まれた状態で、設置される。つまり、ガスノズル18の噴出口182は、ガス混合管16の上流端開口161を通じて、ガス混合管16の内部に挿し込まれる。
【0046】
図4に示されるように、ガスノズル18のガス噴出部として機能する噴出口182は、ベルマウス部3において急縮小部35よりも下流側に位置する。一実施形態のガスバーナ1において、噴出口182は、ベルマウス部3の緩縮小部34に位置する。
【0047】
ガスノズル18の噴出口182から下流側に向けて噴出された燃料ガスの噴流は、ポテンシャルコア領域R1と、ポテンシャルコア領域R1よりも下流側の遷移領域R2と、を含む。燃料ガスの噴流のポテンシャルコア領域R1は、ベルマウス部3において急縮小部35よりも下流側に位置する。一実施形態のガスバーナ1では、燃料ガスの噴流のポテンシャルコア領域R1と遷移領域R2は、ともにベルマウス部3の緩縮小部34に位置する。
【0048】
ガスノズル18の先端部分181の外周面は、下流側に向けて径が縮小するテーパ面185で構成されている。一実施形態のガスバーナ1において、ガスノズル18のテーパ面185の傾斜は一定である。つまり、テーパ面185のいずれの部分も、ガスノズル18の中心軸に対して一定の傾斜角度θ1を有している。
【0049】
テーパ面185の傾斜は、ベルマウス部3の急縮小部35における軸方向の一部355の傾斜と、一致している。つまり、ガスノズル18のテーパ面185の傾斜角度θ1は、急縮小部35の軸方向の一部355の傾斜角度θ2と、一致している。ここでの傾斜角度θ2は、急縮小部35の一部355の内面の、ベルマウス部3の中心軸に対する傾斜角度である。急縮小部35の軸方向の一部355は、ガスノズル18のテーパ面185の径方向外側に位置している。
【0050】
つまり、急縮小部35の下流端開口の軸方向の傾斜角度は、傾斜角度θ1以下になるように構成されることになる。
【0051】
ガスノズル18とガス混合管16の間には、一次空気通路6が形成されている。一次空気通路6は、上流端開口161を通じてガス混合管16に導入された一次空気(
図4の白抜き矢印を参照)が、ガスノズル18の先端部分181の外周面に沿って下流側へと流れる流路である。
【0052】
一実施形態のガスバーナ1では、ガスノズル18のテーパ面185と、ベルマウス部3の急縮小部35と、を上記のように設けたことで、一次空気通路6のうち、ガスノズル18のテーパ面185に沿って一次空気が流れる部分65の断面積は、略一定となっている。ここでの一次空気通路6の断面積は、ガスノズル18及びガス混合管16の軸方向と直交する面で切った断面積である。一次空気通路6の上記部分65の断面積が、下流側に向けて漸減するように設けられてもよい。
【0053】
(乱流形成体)
図4及び
図6に示されるように、ガスノズル18の内部には、ガス管19を通じてガスノズル18に供給された燃料ガスの流れに乱れを生じさせるための乱流形成体5が、設けられている。乱流形成体5は、ガスノズル18の内部に配置されたキャップ状の部材である。
【0054】
乱流形成体5は、複数の通気口52を有する円板状の遮蔽板51と、遮蔽板51の外周縁部から上流側に突出した外周板53と、を備える。複数の通気口52は、遮蔽板51の周方向に距離をあけて形成された2つの通気口52である。2つの通気口52は、言い換えれば、遮蔽板51の径方向に距離をあけて形成されている。乱流形成体5がガスノズル18の内部に配置された状態において、2つの通気口52は、ガスノズル18の軸方向に貫通する。外周板53は、ガスノズル18の内周面に、圧力を伴って接触している。外周板53には、複数のスリット55が設けられている。複数のスリット55は、周方向に距離をあけて形成された4つのスリット55である。各スリット55は、外周板53の上流端部から下流側に向けて切り欠かれた、直線状のスリットである。
【0055】
図4に示されるように、乱流形成体5は、ガスノズル18のうち、テーパ状である先端部分181よりも上流側の部分183の内部に、収容されている。乱流形成体5は、ガスノズル18の内部に、圧入により固定されている。
【0056】
(保持台)
図2に示されるように、保持台17は、ガスバーナ1に設けられたフランジ部165を介して、ガス混合管16をケーシング72に固定させる。保持台17は、図示略の取付具を介して、ケーシング72に固定される。
【0057】
フランジ部165は、ガス混合管16の外周壁から水平方向に延出されている。フランジ部165は、バーナ本体14からガス混合管16に至る部分の全体から、水平方向に延出されている。
【0058】
保持台17は、ガス管19の凸部197が嵌め込まれる凹部175を有している。ガス管19の凸部197は、ガス管19下流端部に設けられている。ガス管19の凸部197は、ガス管19の下流端部の全周にわたって、ガス管19の径方向外側に突出するように設けられている。
【0059】
(作用効果)
一実施形態のガスバーナ1では、上記したように、ガスノズル18の噴出口182が、ベルマウス部3において急縮小部35よりも下流側に位置しており、より詳細には、ベルマウス部3の緩縮小部34に位置している。
【0060】
したがって、ガスノズル18の噴出口182から噴出した燃料ガスのポテンシャルコア領域R1と遷移領域R2は、ベルマウス部3の急縮小部35に形成されるのではなく、ベルマウス部3のうち急縮小部35よりも下流側の部分に形成される。より詳細に述べると、ガスノズル18の噴出口182から噴出した燃料ガスのポテンシャルコア領域R1と遷移領域R2は、ベルマウス部3の緩縮小部34に形成される。
【0061】
そのため、
図4に白抜き矢印で示されるように、ガスノズル18の噴出口182から噴出される燃料ガスのポテンシャルコア領域R1及び遷移領域R2の周囲で一次空気が流れる向きは、燃料ガスの噴流が流れる向きと同様の向きになる。
【0062】
これにより、ガス混合管16の内部において燃料ガスの遷移領域R2が径方向に大きく膨らんで形成されることが、抑えられる。換言すると、一実施形態のガスバーナ1では、燃料ガスの遷移領域R2の断面積が、小さな状態で維持される。ここにおける遷移領域R2の断面積は、ガス混合管16の軸方向と直交する面で切られた断面積である。
【0063】
一実施形態のガスバーナ1では、ガスノズル18として、従来技術のような二重吸い込み式の複雑なノズルを用いずとも、上記の構成を備え、燃料ガスの遷移領域R2の断面積を小さく維持することで、一次空気の吸引量を増大させることができ、ひいては燃焼性向上を図ることができる。
【0064】
一実施形態のガスバーナ1では、例えば燃料ガスの噴出量を急激に小さくした場合でも、ガス混合管16内の圧力が急激に低下して不意に火が消えることが、抑えられる。そのため、一実施形態のガスバーナ1を備えたガスこんろ9では、火力幅を大きく設定して調理の自由度を高めることと、不完全燃焼を防止することと、が両立される。
【0065】
2.変形例
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されない。本開示の意図する範囲内であれば、例えば以下に挙げる変形例のような適宜の設計変更を行うことが可能であり、また、複数の変形例を適宜に組み合わせて適応することが可能である。
【0066】
一実施形態のこんろ用ガスバーナ1では、ベルマウス部3が緩縮小部34及び大径部4を含むが、ベルマウス部3が緩縮小部34及び大径部4の一方又は両方を含まないことも有り得る。ベルマウス部3が緩縮小部34を含まない場合、ガスノズル18の噴出口182から噴出した燃料ガスのポテンシャルコア領域R1と遷移領域R2は、小径部2の内部に形成される。また、ベルマウス部3が大径部4を含まない場合、ガス混合管16の上流端開口161は、急縮小部35の上流端部に形成される。
【0067】
一実施形態のガスバーナ1において、ベルマウス部3は、内径の縮小する割合が下流側にいくほど小さくなるように設けられ、言い換えれば、下流側にいくほど傾斜が小さくなるように設けられている。つまり、緩縮小部34と急縮小部35はともに、内径の縮小する割合が下流側にいくほど小さくなるように設けられ、言い換えれば、下流側にいくほど傾斜が小さくなるように設けられているが、これに限定されない。例えば、緩縮小部34の内径が一定の割合で縮小するように設けられてもよく、言い換えれば、緩縮小部34の傾斜が一定に設けられてもよい。また、急縮小部35の内径が一定の割合で縮小するように設けられてもよく、言い換えれば、急縮小部35の傾斜が一定に設けられてもよい。
【0068】
一実施形態のこんろ用ガスバーナ1では、ガスノズル18のテーパ面185の傾斜が、これの径方向外側に位置する急縮小部35の軸方向の一部の傾斜と一致しているが、これに限定されない。なお、ガスノズル18のテーパ面185の傾斜は、これの径方向外側に位置する急縮小部35の傾斜に近似していることが好ましい。
【0069】
一実施形態のこんろ用ガスバーナ1では、ガスノズル18の内部にキャップ状の乱流形成体5が収容されているが、これに限定されず、ガスノズル18の内部に乱流形成体5が収容されないことも有り得る。また、ガスノズル18の内部に、他の形態の乱流形成体が収容されてもよい。
【0070】
3.まとめ
第1の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、バーナキャップ(11)と、バーナキャップ(11)が載せられるバーナ本体(14)と、バーナ本体(14)につながるガス混合管(16)と、燃料ガスを噴出する噴出口(182)を有し、ガス混合管(16)の上流端開口(161)を通じて噴出口(182)が挿し込まれるガスノズル(18)と、を備える。ガス混合管(16)は、小径部(2)と、小径部(2)の上流側に位置するベルマウス部(3)と、を含む。ベルマウス部(3)は、下流側に向けて内径が急縮小する急縮小部(35)を含む。ガスノズル(18)の噴出口(182)は、ベルマウス部(3)において急縮小部(35)よりも下流側に位置する。
【0071】
第1の態様によれば、ガスノズル(18)の噴出口(182)から噴出した燃料ガスのポテンシャルコア領域(R1)及び遷移領域(R2)が、急縮小部(35)に形成されるのではなく、急縮小部(35)よりも下流側の部分に形成される。そのため、燃料ガスのポテンシャルコア領域(R1)及び遷移領域(R2)の周囲で一次空気が流れる向きが、燃料ガスの噴流が流れる向きと同様の向きになる。これにより、ガス混合管(16)の内部で形成される遷移領域(R2)の径方向の大きさが、抑えられる。換言すると、第1の態様によれば、ガス混合管(16)の内部で形成される遷移領域(R2)の断面積が、小さな状態で維持される。以上より、第1の態様によれば、ガスノズル(18)として、従来技術のような二重吸い込み式の複雑なノズルを用いずとも、ガスノズル(18)の噴出口(182)をベルマウス部(3)の急縮小部(35)よりも下流側に位置させたシンプルな構造で、一次空気の吸引量を増大させ、燃焼性向上を図ることができる。
【0072】
第2の態様のこんろ用ガスバーナ(1)では、第1の態様において、ベルマウス部(3)は、急縮小部(35)の下流側に位置し、下流側に向けて急縮小部(35)よりも緩やかに内径が縮小する緩縮小部(34)を、更に含む。
【0073】
第2の態様によれば、小径部(2)と急縮小部(35)の間に、下流に向けて緩やかに内径が縮小する緩縮小部(34)が介在するので、ガス混合管(16)にガスノズル(18)が挿し込まれたことによる抵抗増加を抑え、一次空気の吸引量を更に増大させることができる。
【0074】
第3の態様のこんろ用ガスバーナ(1)では、第1又は第2の態様において、ガスノズル(18)の先端部分(181)の外周面は、下流側に向けて径が縮小するテーパ面(185)で構成されている。テーパ面(185)の傾斜は、急縮小部(35)の軸方向の一部(355)の傾斜と一致する。
【0075】
第3の態様によれば、ガス混合管(16)に一次空気が導入される一次空気通路(6)のうち、ガスノズル(18)のテーパ面(185)に沿った部分(65)で圧損を生じることが抑えられる。そのため、一次空気の吸引量を更に増大させることができる。
【0076】
第4の態様のこんろ用ガスバーナ(1)では、第1又は第2の態様において、ガスノズル(18)の内部に、燃料ガスの流れに乱れを生じさせる乱流形成体(5)が設けられている。
【0077】
第4の態様によれば、ガスノズル(18)に供給される燃料ガスが低量の場合でも、乱流形成体(5)が作用することで、ガスノズル(18)から乱流の燃料ガスを噴出させることができる。そのため、燃料ガスの低流量時に、一次空気の吸引量が大きく低下することが抑えられる。
【0078】
第5の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、第3の態様において、ガスノズル(18)の内部に、燃料ガスの流れに乱れを生じさせる乱流形成体(5)が設けられている。
【0079】
第5の態様によれば、ガスノズル(18)に供給される燃料ガスが低量の場合でも、乱流形成体(5)が作用することで、ガスノズル(18)から乱流の燃料ガスを噴出させることができる。そのため、燃料ガスの低流量時に、一次空気の吸引量が大きく低下することが抑えられる。
【符号の説明】
【0080】
1 こんろ用ガスバーナ
11 バーナキャップ
14 バーナ本体
16 ガス混合管
161 上流端開口
18 ガスノズル
181 先端部分
182 噴出口
185 テーパ面
2 小径部
3 ベルマウス部
34 緩縮小部
35 急縮小部
355 一部
5 乱流形成体