IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マイスターズインクの特許一覧

特開2024-179724ガードレールの保護方法及び保護装置
<>
  • 特開-ガードレールの保護方法及び保護装置 図1
  • 特開-ガードレールの保護方法及び保護装置 図2
  • 特開-ガードレールの保護方法及び保護装置 図3
  • 特開-ガードレールの保護方法及び保護装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179724
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ガードレールの保護方法及び保護装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/04 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
E01F15/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098781
(22)【出願日】2023-06-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】509078551
【氏名又は名称】株式会社マイスターズインク
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正人
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA07
2D101CB05
2D101DA04
2D101EA02
2D101FA11
2D101FA22
(57)【要約】
【課題】
本発明は、鉄製のガードレールをフィルムラッピングすることで、錆の発生を抑えて耐用年数を伸ばし、道路景観を損ねる原因の排除を可能とするガードレールの保護方法の提案をするとともに、長尺なビームに保護フィルムを連続して貼着可能なガードレールの保護装置の技術提供を課題とするものである。
【解決手段】
本発明は、断面が略波型形状の長尺なガードレールのビームに保護フィルムを貼着させる方法または装置に関し、ロールフィルムから保護フィルムを引き抜くフィルム引抜き手段Aと、ヒーター部により加熱する加熱手段Bと、型押し部により前記ビームに連続密着させる型押し手段Cと、フィルム長手方向の両辺をビームの長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する折り返し貼着手段Dと、を有する構成を採用した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させることを特徴とするガードレールの保護方法(1)。
【請求項2】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させるガードレールの保護方法であって、
前記保護フィルムが巻装されたロールフィルム(20)から保護フィルムを引き抜くフィルム引抜き手段Aと、
ヒーター部(30)により加熱する加熱手段Bと、
型押し部(40)により前記ビーム(Gb)に連続密着させる型押し手段Cと、
フィルム長手方向の両辺をビーム(Gb)の長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する折り返し貼着手段Dと、
を有する事を特徴とする請求項1に記載のガードレールの保護方法(1)。
【請求項3】
前記保護フィルムの表面に、撥水処理(200)を施したものを利用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガードレールの保護方法(1)。
【請求項4】
前記保護フィルムの素材に、熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルム(100)を利用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガードレールの保護方法(1)。
【請求項5】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させるための貼着装置であって、
前記ガードレール(G)をガイドし、摺動可能に保持するフレーム部(10)と、
ロールフィルム(20)と、
ヒーター部(30)と、
型押し部と(40)と、
フィルム端部押さえ部(50)と、
折り返し爪部(60)と、
脱着機能(70)を備えたレールガイド部(80)とを有し、
前記ロールフィルム(20)を引き出しながら、
前記ヒーター部(30)により加熱し、
前記型押し部(40)により前記ガードレール(G)のビーム(Gb)に連続密着させて加熱貼着(110)させることを特徴とするガードレールの保護装置(2)。
【請求項6】
前記保護フィルムが、その表面に撥水処理(200)を施したものであることを特徴とする請求項5に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項7】
前記レールガイド部(80)にローラー(90)を備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項8】
前記保護フィルムの素材が、ポリウレタン製の保護フィルム(100)であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項9】
施工されたガードレール(G)に長尺な前記ロールフィルム(20)を連続して貼着させるため車両(S)に搭載し、前記ガードレール(G)と前記フレーム部(10)との水平方向のクリアランス(K)と垂直方向の高さ(H)を、センサー(P)とアクチュエータ(Q)を用いて最適に保ちながら移動することで長尺なガードレール(G)へ連続貼着が可能となることを特徴とする請求項4に記載のガードレールの保護装置(2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガードレールを構成する波型断面のビームをフィルムで被覆する技術に関し、詳しくは、鉄製のガードレールをフィルムラッピングすることで、錆の発生を抑えて耐用年数を伸ばし、景観を損ねる原因の排除を可能とするガードレールの保護方法及び保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガードレールは、主として進行方向を誤った車両が道路外、対向車線または歩道に逸脱することによる交通事故の被害を防ぐ「車両用防護柵」の一種であり、車両用防護柵があることで、事故時の車両や人身への被害を最小限に抑えることができるというものである。車両用防護柵に分類されるものは、ガードレールの他にもガードパイプやガードワイヤなど複数種類がある。ガードレールは、最も代表的な車両用防護柵であり、衝突時にガードレールが変形することで、衝撃を抑えてくれるという目的や、運転者の視線を進行方向に誘導する効果があり、見通しの悪い道路において運転者に安心感を与えるものである。そして、道路に沿って長く連続的に設置されるため、道路景観に大きな影響を与えるといえ、特に錆びだらけのガードレールやかすり傷が見受けられるものは、道路景観を害するのみならず、歩行者等への安全性に欠けるものといえる。このようなガードレールの存在については何らかの措置が必要であるが、現在のところは、再塗装やビームの交換等での対応となっており作業負担が大きく不経済でもある。
【0003】
また、ガードレールといえば白色というイメージが強いが、日本の道路景観の向上を目指し、国土交通省では「景観に配慮した道路附属物等ガイドライン」を策定、白色が標準色ではなくなっており、大きな事故防止という安全面の機能は担保したうえで、今後は地域の特性や街並みとの調和を重視したガードレールを目にする機会が増えるといえる。
【0004】
ここで、車両のほうに目を向けると、近年、保護フィルムコーティング技術が進み、ボディへの傷対策が施されるようになってきた。これは利己的に作用するコ-ティング技術といえるが、本来的には利他的に作用する鉄製のガードレールにも係る保護フィルムコーティングを施すことで、錆を防ぎ耐用年数を引き延ばすと共に、道路景観を良くできるのではないかとの着想の下、本発明に至ったものである。そして、波型断面で構成されるビームの形状は単純なものであり、長尺ではあるものの形状変化が基本的にはないためロールフィルムに巻装された保護フィルムを引き出しなら貼着させることは比較的容易であり、貼着物としてのロールフィルムと、被貼着物となるビームは、相性が良いといえる。ただし、ビームは長尺なため貼着には作業負担も強いられるという問題がある。そこで係る問題を解決可能な装置の技術も併せて求められるといえる。
【0005】
このような現状に鑑み、従来からも種々の技術提案がなされている。発明の名称を「ガードレール及びガードレールカバー」とし、解決しようとする課題を「鉄製のガードレールは剛性が高く、歩行者の安全を図るようになっているが、反面、事故の際の自動車に対する衝撃が大きく、搭乗者の安全の確保が難しかった。また、鉄製のためサビを生じやすいばかりではなく、事故などにより一旦変形を起こすと復元できず、交換を必要とするので、補修のために多大な費用がかかっていた。更に、ガードレールに着色される色が白色などの単色であるため、自動車で走行中に運転者の視線動きが単調になりやすく、注意力が散漫になってカーブなどで事故を起こしやすかった。」とするもので、具体的な解決手段を「ガードレールは、支柱で支持された鉄製のレール体とガードレールカバーを備えている。ガードレールカバーは基板を有し、基板の表側には透明な遮断層、画模様を施した描画シート、透明な保護層がこの順番で層状に設けられている。また、裏側の六箇所にはステンレススチール製の固着片が焼き付けにより固着してある。そして、ガードレールカバーは、これら固着片を内側へ曲げてレール体の縁部に掛止し、固着される。」としたものである。しかしながら、係る技術は、錆や汚れの付着防止には一定の効果が期待されるが、ガードレールカバーの構造からして設置方法が複雑になってしまうという問題と、何よりコスト面の問題が残ると考えられる。
【0006】
また、発明の名称を「カバー一体型ガードレール」とし、解決しようとする課題を「突起物及び段差部を含めてレール本体を全て合成樹脂製のカバーで覆い、接着剤を用いて一体化接着構造とした安全確実なカバー一体型ガードレールを提供する。」とするもので、具体的な解決手段を「ガードレールのレール本体の幅方向両端部より突出し前記レール本体の幅よりも幅広の寸法を有するカバーにて前記レール本体の表面を覆い、接着剤を用いて前記レール本体と前記カバーとを一体化接着構造とし、該レール本体表面の突起物及び段差部を含んで全て覆って該表面を滑らかな表面として構成する。」としたものである。しかしながら、係る技術も特許文献1に記載の発明と同様、錆や汚れの付着防止には一定の効果が期待されるが、主たる目的が自動車等の搭乗者の安全確保であり、ガードレールカバーの構造や設置方法が複雑になってしまうという問題と、何よりコスト面の問題が残ると考えられる。
【0007】
また、発明の名称を「防汚性ガードレール」とし、解決しようとする目的を「ガードレールのビームの凸部平坦部および凹部ともに汚れ付着しにくいガードレールを提供する。」とするもので、具体的な解決手段を「ガードレールのビームの凸部平坦部表面が親水性を示し、且つ、凹部表面が撥水性とする防汚性ガードレールとした。親水性樹脂を被覆したビームの凹部表面に撥水性処理剤を塗布することが好ましい。」というものである。しかしながら、係る技術は、既存のガードレールを交換、または種類の違う表面処理剤の塗布、乾燥という工程が必要であり、長時間の工事期間が必要となる問題が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9-100517号
【特許文献2】実用新案登録第3154294号
【特許文献3】特開2007-85052号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、鉄製のガードレールビームをフィルムラッピングすることで、錆の発生を抑えて耐用年数を伸ばし、景観を損ねる原因の排除を可能とするとともに、長尺なビームに保護フィルムを連続して貼着するガードレールの保護方法及び保護装置の技術提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
断面が略波型形状の長尺なガードレールのビームに保護フィルムを貼着させることでガードレールを保護する構成を採用した。
【0011】
また、本発明は、断面が略波型形状の長尺なガードレールのビームに保護フィルムを貼着させるガードレールの保護方法であって、前記保護フィルムが巻装されたロールフィルムから保護フィルムを引き抜くフィルム引抜き手段Aと、ヒーター部により加熱する加熱手段Bと、型押し部により前記ビームに連続密着させる型押し手段Cと、フィルム長手方向の両辺をビームの長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する折り返し貼着手段Dとを有する構成を採用することもできる。
【0012】
また、本発明は、前記保護フィルムの表面に、撥水処理を施したものを利用する構成を採用することもできる。
【0013】
また、本発明は、前記保護フィルムの素材に、熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルムを利用する構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明は、断面が略波型形状の長尺なガードレールのビームにフィルムを貼着させるための貼着装置であって、ガードレールをガイドし摺動可能に保持するフレーム部と、ロールフィルムと、ヒーター部と、型押し部と、フィルム端部押さえ部と、折り返し爪部と、脱着機能を備えたレールガイド部とを有し、ロールフィルムを引き出しながら、ヒーター部により加熱し、型押し部により前記ガードレールに連続密着させて加熱貼着させる構成を採用することもできる。
【0015】
また、本発明は、前記保護フィルムにおいて、その表面に撥水処理が施されたものを利用する構成を採用することもできる。
【0016】
また、本発明は、前記レールガイド部にローラーを備えた構成を採用することもできる。
【0017】
また、本発明は、前記ロールフィルムの素材が、熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルムである構成を採用することもできる。
【0018】
また、本発明は、施工されたガードレールに長尺な前記ロールフィルムを連続して貼着させるため、車両に搭載し前記ガードレールと前記フレーム部との水平方向のクリアランスと垂直方向の高さを、センサーとアクチュエータを用いて最適に保ちながら移動することで長尺なガードレールへ連続貼着が可能となる構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、ガードレールのビームに保護フィルムを容易に貼着させ、鉄製のガードレールをフィルムラッピングすることで、錆の発生を抑えて耐用年数を伸ばし、景観を損ねる原因の排除を可能とする優れた効果を発揮する。
【0020】
本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、ガードレールをフィルムラッピングすることで、保護フィルム自体が有する優秀な撥水性能と撥油性能を発揮するガードレールへ変更できるという優れた効果を発揮する。
【0021】
また、本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、従来の樹脂製カバー等と比較して、コスト面においても作業面においても負担を軽減できるという優れた効果を発揮する。
【0022】
また、本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、カーブ等の注意喚起マークなどの印刷を施した印刷層を追加した保護フィルムを用いることで容易に安全配慮に資するガードレールに変更できるという優れた効果を発揮する。
【0023】
また、本発明に係るガードレールの保護装置において、レールガイド部にローラーを備えた構成を採用した場合には、ビームに沿ってフレームが摺動しやすく作業者の負担を軽くすることができるという優れた効果を発揮する。
【0024】
また、本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置において、ロールフィルムの素材に熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルムを用いる構成を採用した場合には、伸縮性と貼り付き性に優れることから施工性が高く、手直し部分を少なくできるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るガードレールの保護方法の基本構成を説明する基本構成説明図である。
図2】本発明に係るガードレールの保護装置の基本構成を説明する基本構成説明図である。
図3】本発明に係るガードレールの保護装置を構成する各部部材の配置と各部の断面を示す説明図である。
図4】本発明に係るガードレールの保護装置を車両に搭載して走行して連続貼着する実施例を説明する実施例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置は、保護フィルムをガードレールのビームに連続密着させて貼着させることを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0027】
図1は、本発明に係るガードレールの保護方法1の基本構成を説明する基本構成説明図であり、図1(a)は、ガードレールの保護方法1によりガードレールが路側に設置される前、即ちビームGb部と支柱Gsの組立前に保護フィルムを連続的にビームGbに貼着させている状態を示し、図1(b)は、ガードレールの保護方法1により路側に既に設置されたガードレールGのビームGb部にロールフィルム20から保護フィルムを引き抜いて連続的に貼着させている状態を模式的に示し、図1(c)は、係るガードレールの保護方法1が備える各手段を示したものである。以下、各種手段について説明する。
【0028】
フィルム引抜き手段Aは、軸に巻装されたロールフィルム20の一端をフィルム端部押さえ50で押さえながら長尺なビームGbに合わせて引抜く手段である。図1(b)ではビームGbと支柱Gsが路側に組み立てられたガードレールGに保護フィルムを貼着する状態を示したが、図1(a)に示したように、組立前のビームGbでもよく、係る組立前のビームGbの方が連結ボルトなどの凹凸がなく貼り付けやすいといえる。
【0029】
加熱手段Bは、シーズヒーターなどの熱源から発生した熱を、直接または送風により熱風とすることで熱可塑性の保護フィルムを加熱し、伸縮性と貼り付き性をよくする手段である。なお、平坦な面などでは加熱手段を要しない部分もあり、その場合、加熱手段Bは不要となる。
【0030】
型押し手段Cは、ビームGbの略波型形状に沿った形状の型をビームGbに貼られた保護フィルムに押し付けて伸張させ成形する手段である。
【0031】
折り返し貼着手段Dは、保護フィルムの長手方向の両辺をビームGbの長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する手段である。
【0032】
なお、加熱手段Bと型押し手段Cの順序については、そもそも加熱手段Bを不要とする構成の他、加熱手段Bに次いで型押し手段C、型押し手段Cに次いで加熱手段B、若しくは型押し手段Cに次いで加熱手段Bとし更に型押し手段Cのように構成することも、使用する保護フィルムの素材や厚みによって伸縮性や貼着性が変わるため、適宜選択できるようにすることが望ましい。
【0033】
図2は、本発明に係るガードレールの保護装置2の基本構成を説明する基本構成説明図であり、図2(a)は、路側に既に設置されたガードレールGに本発明に係るガードレールの保護装置2を用いてビーム部にフィルムを連続的に貼着させている状態を示し、図2(b)は、ガードレールGを構成するビームGbと支柱Gsとの関係を示すものである。以下、各構成部材について説明する。
【0034】
ガードレールの保護装置2は、断面が略波型形状の長尺なガードレールGにフィルムを貼着させるための貼着装置であって、ガードレールGをガイドし摺動可能に保持するフレーム部10と、ロールフィルム20と、ヒーター部30と、型押し部40と、フィルム端部押さえ部50と、折り返し爪部と60、脱着機能70を備えたレールガイド部80とを有し、ロールフィルム20を引き出しながら、ヒーター部30により加熱し、型押し部40により前記ガードレールGに連続密着させて加熱貼着110させる構成を採用した。
【0035】
ガードレールGは、波型断面形状に構成される車両用防護柵の一種であり、鉄製で白色等に塗装されたビームGbと支柱GsがブラケットGrを介して構成されるものである。ガードレールGを構成するビームGbがフィルムで被覆する対象となる。
【0036】
フレーム部10は、ロールフィルム20、ヒーター部30、型押し部40、フィルム端部押さえ部50、折り返し爪部60、脱着機能70、及びレールガイド部80のそれぞれを適切な位置に配置するための基台となるものである。
【0037】
ロールフィルム20は、長尺な熱可塑性の保護フィルムをフレーム10に対して回転自在な軸に巻装したものである。なお、図面には示していないが、フレーム10への脱着を容易にする脱着機構を備えて交換しやすくすることが作業性に資するといえる。
【0038】
撥水処理200は、保護フィルム自体の撥水性や撥油性は高いものの、これらの機能をより高めるため、その表面に撥水処理200を施すことである。具体的には、例えば、保護フィルムの表面に、微小な凹凸を設けてロータス効果による高い撥水性と自浄作用が得られる表面性状とするなどである。水を弾くハスの葉が代表するように、植物の葉は通常、表面にワックス成分が分泌されているため、ある程度の撥水性があり、また、ハスの葉の表面には微小な毛のような突起物が所定の微小間隔で付いており、この突起物が空気のクッションを作って水滴を支え、これにより撥水性をさらに高めている。係る撥水性により、葉の上の水分は濡れることなく、水滴となり、葉の上の埃などの汚れを取り込みながら転げて、汚れを落とすという自浄作用も発揮してくれるものであり、このような表面性状となるようにするのが撥水処理200である。
【0039】
また、撥水性を高めるための良し悪しは、液体の表面が固体と接するところで液面と固体面がなす角の接触角で表すことができ、接触角が0度に近いほど、撥水性が悪くなり、接触角が180度に近いほど撥水性がよいということになる。一般的に接触角が150度を超える表面を超撥水性表面といわれており、テフロン(登録商標)のようなフッ素系化合物は表面張力が水に比較して非常に小さいので、高い撥水性を示すため、保護フィルムの表面にテフロン(登録商標)加工のようなコーティングを施す撥水処理200としたり、係る表面の微細な凸凹構造とシリコーン樹脂成分の相乗効果による超撥水性塗膜で、ガードレールのビームGbの撥水性と撥油性を高め、汚れを付着しにくくさせたりすることも好適である。
【0040】
ヒーター部30は、熱源にシーズヒーターや、カートリッジヒーターなどの電気的に熱を発生させる熱源を用いて、これに風を当てて熱風を発生させるもの、或いは、蒸気を発生させて、係る蒸気を当てるスチーム式等のヒーターが考え得る。
【0041】
型押し部40は、波型断面のビームGbで構成されるガードレールの当該形状に沿って、フィルムにより被覆するため、その形状で熱を加えながら圧力をかけて貼着させるための所謂型である。係る型押しにより、凹部にもしっかりとフィルムが貼り付けられる。なお、ガードレールの継ぎ目の重ね合わせ部分は車の進行方向に対して一定方向に統一された段差があり、また、固定ボルトにも、車が引っ掛かるのを防止する丸頭のボルトが使用されているため、係る繋ぎ部では僅かな凸状の段差部の存在が問題となる。しかし、ガードレールの厚みはその規格上、最大でも5.5mmであり、ボルトの頭も皿状に形成された5.0mm程度しかないため、図面には示していないがダンパー等を設けて吸収できるようにしておけば十分に対応可能である。
【0042】
フィルム端部押さえ部50は、ロールフィルム20を引き出した片側の端部を押さえるための押さえ部であって、支柱Gsに取り付けられる前であればビームGbの片側端部にクリップし、支柱Gsに取り付けられた後であれば巻き袖ビームとビームGbの繋ぎ部近傍でクリップする部材である。
【0043】
折り返し爪部60は、ビームGbの幅よりも大きなロールフィルム20の両側を折り返して貼着させるための爪であって、ビームGbの裏側にフィルムを回り込ませて貼り付ける役割をするものである。
【0044】
脱着機能70は、レールガイド部80をフレーム10に対して展開又は取り外せることにより、本発明に係るガードレールの保護装置2をビームGbから取り外すことができ、また他方で脱着機能70は、レールガイド部80をフレーム10に対して展開又は取り付けることにより、本発明に係るガードレールの保護装置2をビームGbへ摺動可能に取り付けることができる機能である。
【0045】
レールガイド部80は、ガードレールGのビームGbとフレーム10とを摺動自在な移動を可能にすると共に、フレーム10をビームGbに保持するための案内保持機構である。
【0046】
加熱貼着110は、保護フィルムの最下層として塗工された粘着剤の層が、熱可塑性を有し、加熱により柔らかくなり、ビームGbの形状に沿ってフィルムを粘着させるものである。
【0047】
ローラー90は、図面には詳しく示していないが、フレームに設けたレールガイド部80において、フレーム10をビームGbに沿って移動し易くするための転がり軸受けである。係るローラ-90を設けた構成では、ガードレールGに当接したローラー90が回転することで摩擦抵抗を減らしスムーズな動作を得ることができる。
【0048】
ポリウレタン製の保護フィルム100については、一般的な保護フィルムの基材として、PVC(ポリ塩化ビニール)もしくは、TPU(熱可塑性ポリウレタン)が使われており、PVCのメリットは安価で製造が可能な点があるものの、PVCの最大のデメリットとして耐候性が著しく劣る事から、雨風や直射日光の当たるガードレールGを保護するには不向といえる。これに対しTPU(熱可塑性ポリウレタン)はポリ塩化ビニール(PVC)を基材としたフィルムに比べて伸縮性に優れ施工性が高く耐候性にも優れることから、本発明に係るガードレールの保護方法1又は保護装置2に用いるフィルム素材として特に好適である。更に、保護フィルムの最表面層にPTFE(テフロン(登録商標)シートとすることも撥水性の面から好適といえる。
【0049】
図3は、本発明に係るガードレールの保護装置2を構成する各部部材の配置と各部の断面を示す説明図であり、図3(a)は、フレーム10に配置される各部材の配置構成を示し、図3(b)はロールフィルム20近傍の断面を示し、図3(b1)はレールガイド部80がガードレールGのビームGbに直接当接してフレーム10を摺動並びに保持する状態を示し、図3(b2)は、レールガイド部80にローラー90を設けて、係るローラー90を介してガードレールGのビームGbに当接してフレーム10を摺動並びに保持する状態を示し、図3(c)はヒーター30近傍の断面を示し、図3(d)は型押し部40近傍の断面を示し、図3(e)は、折り返し爪部近傍の断面をそれぞれ示している。
【0050】
図4は、本発明に係るガードレールの保護装置2を車両に搭載して走行して連続貼着する実施例を説明する実施例説明図である。
【0051】
車両Sは、図4に示すように、本発明に係るガードレールの保護装置2を搭載する工事車両等であり、走行しながらガードレールGに保護フィルムを連続的に貼着させるための自動車である。
【0052】
水平方向のクリアランスKは、車両Sに搭載されたガードレールの保護装置2とガードレールのビームGbとの距離のことであり、車両に対して相対的に変化する水平方向の高さHをセンサーPにより把握し、常に適切な距離となるようにするための値である。
【0053】
垂直方向の高さHは、平らに見える路肩であっても、必ずしも平らであるとは限らず地上からの支柱Gsの高さ、即ちビームGbを支柱Gsに取り付けるボルトの位置はそれぞれ微妙に異なっているといえ、車両に対して相対的に変化する垂直方向の高さHをセンサーPにより把握し、常に適切な高さとなるようにするための値である。
【0054】
センサーPは、数百mmから数mの距離をミリ単位で測定するセンサーであり、その種類には大別するとレーザ距離センサーと超音波センサーがある。何れも発信と受信までの時間を距離に換算する「タイム・オブ・フライト方式」のセンサーであり、近距離(数十mmから数百mm)を高精度に測定する場合は、距離変化による受光素子の結像位置を距離に換算する「三角測距式」のレーザ変位センサーが最適である。
【0055】
アクチュエータQは、センサーPからの入力された情報に基づきシリンダーの伸縮を行う部材であり、水平方向のクリアランスK及び垂直方向の高さHを調整するものである。係るアクチュエータQの種類としてエアーまたは油圧でシリンダーを出し入れするものや電磁ソレノイドなど多種多様のものがあるが、正確な位置関係の制御に向くサーボモータが好適である
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、ガードレールの耐用年数を伸ばし錆びにくくなり、道路景観を損ねることがなくなるので、道路の環境整備に資するものであり産業上利用可能性は高いと思慮される。
【符号の説明】
【0057】
1 ガードレールの保護方法

A フィルム引抜き手段
B 加熱手段
C 型押し手段
D 折り返し貼着手段

G ガードレール
Gb ビーム
Gs 支柱
Gr ブラケット
2 ガードレール保護装置
10 フレーム部
20 ロールフィルム
30 ヒーター部
40 型押し部
50 フィルム端部押さえ部
60 折り返し爪部
70 脱着機能
80 レールガイド部
90 ローラー
100 ポリウレタン製の保護フィルム
110 加熱貼着
200 撥水処理

S 車両
K 水平方向のクリアランス
H 垂直方向の高さ
P センサー
Q アクチュエータ

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-09-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させるガードレールの保護方法であって、
前記保護フィルムが巻装されたロールフィルム(20)から保護フィルムを引き抜くフィルム引抜き工程Aと、
型押し部(40)により前記ビーム(Gb)に連続密着させる型押し工程Cと、
フィルム長手方向の両辺をビーム(Gb)の長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する折り返し貼着工程Dと、
を有する事を特徴とするガードレールの保護方法(1)。
【請求項2】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させるガードレールの保護方法であって、
前記保護フィルムが巻装されたロールフィルム(20)から保護フィルムを引き抜くフィルム引抜き工程Aと、
ヒーター部(30)により加熱する加熱工程Bと、
型押し部(40)により前記ビーム(Gb)に連続密着させる型押し工程Cと、
フィルム長手方向の両辺をビーム(Gb)の長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する折り返し貼着工程Dと、
を有する事を特徴とするガードレールの保護方法(1)。
【請求項3】
前記保護フィルムの表面に、撥水処理(200)を施したものを利用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガードレールの保護方法(1)。
【請求項4】
前記保護フィルムの素材に、熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルム(100)を利用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガードレールの保護方法(1)。
【請求項5】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させるための貼着装置であって、
前記ガードレール(G)をガイドし、摺動可能に保持するフレーム部(10)と、
ロールフィルム(20)と、
ヒーター部(30)と、
型押し部と(40)と、
フィルム端部押さえ部(50)と、
折り返し爪部(60)と、
脱着機能(70)を備えたレールガイド部(80)とを有し、
前記ロールフィルム(20)を引き出しながら、
前記ヒーター部(30)により加熱し、
前記型押し部(40)により前記ガードレール(G)のビーム(Gb)に連続密着させて加熱貼着(110)させることを特徴とするガードレールの保護装置(2)。
【請求項6】
前記保護フィルムが、その表面に撥水処理(200)を施したものであることを特徴とする請求項5に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項7】
前記レールガイド部(80)にローラー(90)を備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項8】
前記保護フィルムの素材が、ポリウレタン製の保護フィルム(100)であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項9】
施工されたガードレール(G)に長尺な前記ロールフィルム(20)を連続して貼着させるため車両(S)に搭載し、前記ガードレール(G)と前記フレーム部(10)との水平方向のクリアランス(K)と垂直方向の高さ(H)を、センサー(P)とアクチュエータ(Q)を用いて最適に保ちながら移動することで長尺なガードレール(G)へ連続貼着が可能となることを特徴とする請求項4に記載のガードレールの保護装置(2)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガードレールを構成する波型断面のビームをフィルムで被覆する技術に関し、詳しくは、鉄製のガードレールをフィルムラッピングすることで、錆の発生を抑えて耐用年数を伸ばし、景観を損ねる原因の排除を可能とするガードレールの保護方法及び保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガードレールは、主として進行方向を誤った車両が道路外、対向車線または歩道に逸脱することによる交通事故の被害を防ぐ「車両用防護柵」の一種であり、車両用防護柵があることで、事故時の車両や人身への被害を最小限に抑えることができるというものである。車両用防護柵に分類されるものは、ガードレールの他にもガードパイプやガードワイヤなど複数種類がある。ガードレールは、最も代表的な車両用防護柵であり、衝突時にガードレールが変形することで、衝撃を抑えてくれるという目的や、運転者の視線を進行方向に誘導する効果があり、見通しの悪い道路において運転者に安心感を与えるものである。そして、道路に沿って長く連続的に設置されるため、道路景観に大きな影響を与えるといえ、特に錆びだらけのガードレールやかすり傷が見受けられるものは、道路景観を害するのみならず、歩行者等への安全性に欠けるものといえる。このようなガードレールの存在については何らかの措置が必要であるが、現在のところは、再塗装やビームの交換等での対応となっており作業負担が大きく不経済でもある。
【0003】
また、ガードレールといえば白色というイメージが強いが、日本の道路景観の向上を目指し、国土交通省では「景観に配慮した道路附属物等ガイドライン」を策定、白色が標準色ではなくなっており、大きな事故防止という安全面の機能は担保したうえで、今後は地域の特性や街並みとの調和を重視したガードレールを目にする機会が増えるといえる。
【0004】
ここで、車両のほうに目を向けると、近年、保護フィルムコーティング技術が進み、ボディへの傷対策が施されるようになってきた。これは利己的に作用するコ-ティング技術といえるが、本来的には利他的に作用する鉄製のガードレールにも係る保護フィルムコーティングを施すことで、錆を防ぎ耐用年数を引き延ばすと共に、道路景観を良くできるのではないかとの着想の下、本発明に至ったものである。そして、波型断面で構成されるビームの形状は単純なものであり、長尺ではあるものの形状変化が基本的にはないためロールフィルムに巻装された保護フィルムを引き出しなら貼着させることは比較的容易であり、貼着物としてのロールフィルムと、被貼着物となるビームは、相性が良いといえる。ただし、ビームは長尺なため貼着には作業負担も強いられるという問題がある。そこで係る問題を解決可能な装置の技術も併せて求められるといえる。
【0005】
このような現状に鑑み、従来からも種々の技術提案がなされている。発明の名称を「ガードレール及びガードレールカバー」とし、解決しようとする課題を「鉄製のガードレールは剛性が高く、歩行者の安全を図るようになっているが、反面、事故の際の自動車に対する衝撃が大きく、搭乗者の安全の確保が難しかった。また、鉄製のためサビを生じやすいばかりではなく、事故などにより一旦変形を起こすと復元できず、交換を必要とするので、補修のために多大な費用がかかっていた。更に、ガードレールに着色される色が白色などの単色であるため、自動車で走行中に運転者の視線動きが単調になりやすく、注意力が散漫になってカーブなどで事故を起こしやすかった。」とするもので、具体的な解決手段を「ガードレールは、支柱で支持された鉄製のレール体とガードレールカバーを備えている。ガードレールカバーは基板を有し、基板の表側には透明な遮断層、画模様を施した描画シート、透明な保護層がこの順番で層状に設けられている。また、裏側の六箇所にはステンレススチール製の固着片が焼き付けにより固着してある。そして、ガードレールカバーは、これら固着片を内側へ曲げてレール体の縁部に掛止し、固着される。」としたものである。しかしながら、係る技術は、錆や汚れの付着防止には一定の効果が期待されるが、ガードレールカバーの構造からして設置方法が複雑になってしまうという問題と、何よりコスト面の問題が残ると考えられる。
【0006】
また、発明の名称を「カバー一体型ガードレール」とし、解決しようとする課題を「突起物及び段差部を含めてレール本体を全て合成樹脂製のカバーで覆い、接着剤を用いて一体化接着構造とした安全確実なカバー一体型ガードレールを提供する。」とするもので、具体的な解決手段を「ガードレールのレール本体の幅方向両端部より突出し前記レール本体の幅よりも幅広の寸法を有するカバーにて前記レール本体の表面を覆い、接着剤を用いて前記レール本体と前記カバーとを一体化接着構造とし、該レール本体表面の突起物及び段差部を含んで全て覆って該表面を滑らかな表面として構成する。」としたものである。しかしながら、係る技術も特許文献1に記載の発明と同様、錆や汚れの付着防止には一定の効果が期待されるが、主たる目的が自動車等の搭乗者の安全確保であり、ガードレールカバーの構造や設置方法が複雑になってしまうという問題と、何よりコスト面の問題が残ると考えられる。
【0007】
また、発明の名称を「防汚性ガードレール」とし、解決しようとする目的を「ガードレールのビームの凸部平坦部および凹部ともに汚れ付着しにくいガードレールを提供する。」とするもので、具体的な解決手段を「ガードレールのビームの凸部平坦部表面が親水性を示し、且つ、凹部表面が撥水性とする防汚性ガードレールとした。親水性樹脂を被覆したビームの凹部表面に撥水性処理剤を塗布することが好ましい。」というものである。しかしながら、係る技術は、既存のガードレールを交換、または種類の違う表面処理剤の塗布、乾燥という工程が必要であり、長時間の工事期間が必要となる問題が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9-100517号
【特許文献2】実用新案登録第3154294号
【特許文献3】特開2007-85052号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、鉄製のガードレールビームをフィルムラッピングすることで、錆の発生を抑えて耐用年数を伸ばし、景観を損ねる原因の排除を可能とするとともに、長尺なビームに保護フィルムを連続して貼着するガードレールの保護方法及び保護装置の技術提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
断面が略波型形状の長尺なガードレールのビームに保護フィルムを貼着させることでガードレールを保護する構成を採用した。
【0011】
また、本発明は、断面が略波型形状の長尺なガードレールのビームに保護フィルムを貼着させるガードレールの保護方法であって、前記保護フィルムが巻装されたロールフィルムから保護フィルムを引き抜くフィルム引抜き工程Aと、ヒーター部により加熱する加熱工程Bと、型押し部により前記ビームに連続密着させる型押し工程Cと、フィルム長手方向の両辺をビームの長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する折り返し貼着工程Dとを有する構成を採用することもできる。
【0012】
また、本発明は、前記保護フィルムの表面に、撥水処理を施したものを利用する構成を採用することもできる。
【0013】
また、本発明は、前記保護フィルムの素材に、熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルムを利用する構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明は、断面が略波型形状の長尺なガードレールのビームにフィルムを貼着させるための貼着装置であって、ガードレールをガイドし摺動可能に保持するフレーム部と、ロールフィルムと、ヒーター部と、型押し部と、フィルム端部押さえ部と、折り返し爪部と、脱着機能を備えたレールガイド部とを有し、ロールフィルムを引き出しながら、ヒーター部により加熱し、型押し部により前記ガードレールに連続密着させて加熱貼着させる構成を採用することもできる。
【0015】
また、本発明は、前記保護フィルムにおいて、その表面に撥水処理が施されたものを利用する構成を採用することもできる。
【0016】
また、本発明は、前記レールガイド部にローラーを備えた構成を採用することもできる。
【0017】
また、本発明は、前記ロールフィルムの素材が、熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルムである構成を採用することもできる。
【0018】
また、本発明は、施工されたガードレールに長尺な前記ロールフィルムを連続して貼着させるため、車両に搭載し前記ガードレールと前記フレーム部との水平方向のクリアランスと垂直方向の高さを、センサーとアクチュエータを用いて最適に保ちながら移動することで長尺なガードレールへ連続貼着が可能となる構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、ガードレールのビームに保護フィルムを容易に貼着させ、鉄製のガードレールをフィルムラッピングすることで、錆の発生を抑えて耐用年数を伸ばし、景観を損ねる原因の排除を可能とする優れた効果を発揮する。
【0020】
本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、ガードレールをフィルムラッピングすることで、保護フィルム自体が有する優秀な撥水性能と撥油性能を発揮するガードレールへ変更できるという優れた効果を発揮する。
【0021】
また、本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、従来の樹脂製カバー等と比較して、コスト面においても作業面においても負担を軽減できるという優れた効果を発揮する。
【0022】
また、本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、カーブ等の注意喚起マークなどの印刷を施した印刷層を追加した保護フィルムを用いることで容易に安全配慮に資するガードレールに変更できるという優れた効果を発揮する。
【0023】
また、本発明に係るガードレールの保護装置において、レールガイド部にローラーを備えた構成を採用した場合には、ビームに沿ってフレームが摺動しやすく作業者の負担を軽くすることができるという優れた効果を発揮する。
【0024】
また、本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置において、ロールフィルムの素材に熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルムを用いる構成を採用した場合には、伸縮性と貼り付き性に優れることから施工性が高く、手直し部分を少なくできるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るガードレールの保護方法の基本構成を説明する基本構成説明図である。
図2】本発明に係るガードレールの保護装置の基本構成を説明する基本構成説明図である。
図3】本発明に係るガードレールの保護装置を構成する各部部材の配置と各部の断面を示す説明図である。
図4】本発明に係るガードレールの保護装置を車両に搭載して走行して連続貼着する実施例を説明する実施例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置は、保護フィルムをガードレールのビームに連続密着させて貼着させることを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0027】
図1は、本発明に係るガードレールの保護方法1の基本構成を説明する基本構成説明図であり、図1(a)は、ガードレールの保護方法1によりガードレールが路側に設置される前、即ちビームGb部と支柱Gsの組立前に保護フィルムを連続的にビームGbに貼着させている状態を示し、図1(b)は、ガードレールの保護方法1により路側に既に設置されたガードレールGのビームGb部にロールフィルム20から保護フィルムを引き抜いて連続的に貼着させている状態を模式的に示し、図1(c)は、係るガードレールの保護方法1が備える各工程を示したものである。以下、各種工程について説明する。
【0028】
フィルム引抜き工程Aは、軸に巻装されたロールフィルム20の一端をフィルム端部押さえ50で押さえながら長尺なビームGbに合わせて引抜く工程である。図1(b)ではビームGbと支柱Gsが路側に組み立てられたガードレールGに保護フィルムを貼着する状態を示したが、図1(a)に示したように、組立前のビームGbでもよく、係る組立前のビームGbの方が連結ボルトなどの凹凸がなく貼り付けやすいといえる。
【0029】
加熱工程Bは、シーズヒーターなどの熱源から発生した熱を、直接または送風により熱風とすることで熱可塑性の保護フィルムを加熱し、伸縮性と貼り付き性をよくする工程である。なお、平坦な面などでは加熱工程を要しない部分もあり、その場合、加熱工程Bは不要となる。
【0030】
型押し工程Cは、ビームGbの略波型形状に沿った形状の型をビームGbに貼られた保護フィルムに押し付けて伸張させ成形する工程である。
【0031】
折り返し貼着工程Dは、保護フィルムの長手方向の両辺をビームGbの長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する工程である。
【0032】
なお、加熱工程Bと型押し工程Cの順序については、そもそも加熱工程Bを不要とする構成の他、加熱工程Bに次いで型押し工程C、型押し工程Cに次いで加熱工程B、若しくは型押し工程Cに次いで加熱工程Bとし更に型押し工程Cのように構成することも、使用する保護フィルムの素材や厚みによって伸縮性や貼着性が変わるため、適宜選択できるようにすることが望ましい。
【0033】
図2は、本発明に係るガードレールの保護装置2の基本構成を説明する基本構成説明図であり、図2(a)は、路側に既に設置されたガードレールGに本発明に係るガードレールの保護装置2を用いてビーム部にフィルムを連続的に貼着させている状態を示し、図2(b)は、ガードレールGを構成するビームGbと支柱Gsとの関係を示すものである。以下、各構成部材について説明する。
【0034】
ガードレールの保護装置2は、断面が略波型形状の長尺なガードレールGにフィルムを貼着させるための貼着装置であって、ガードレールGをガイドし摺動可能に保持するフレーム部10と、ロールフィルム20と、ヒーター部30と、型押し部40と、フィルム端部押さえ部50と、折り返し爪部と60、脱着機能70を備えたレールガイド部80とを有し、ロールフィルム20を引き出しながら、ヒーター部30により加熱し、型押し部40により前記ガードレールGに連続密着させて加熱貼着110させる構成を採用した。
【0035】
ガードレールGは、波型断面形状に構成される車両用防護柵の一種であり、鉄製で白色等に塗装されたビームGbと支柱GsがブラケットGrを介して構成されるものである。ガードレールGを構成するビームGbがフィルムで被覆する対象となる。
【0036】
フレーム部10は、ロールフィルム20、ヒーター部30、型押し部40、フィルム端部押さえ部50、折り返し爪部60、脱着機能70、及びレールガイド部80のそれぞれを適切な位置に配置するための基台となるものである。
【0037】
ロールフィルム20は、長尺な熱可塑性の保護フィルムをフレーム10に対して回転自在な軸に巻装したものである。なお、図面には示していないが、フレーム10への脱着を容易にする脱着機構を備えて交換しやすくすることが作業性に資するといえる。
【0038】
撥水処理200は、保護フィルム自体の撥水性や撥油性は高いものの、これらの機能をより高めるため、その表面に撥水処理200を施すことである。具体的には、例えば、保護フィルムの表面に、微小な凹凸を設けてロータス効果による高い撥水性と自浄作用が得られる表面性状とするなどである。水を弾くハスの葉が代表するように、植物の葉は通常、表面にワックス成分が分泌されているため、ある程度の撥水性があり、また、ハスの葉の表面には微小な毛のような突起物が所定の微小間隔で付いており、この突起物が空気のクッションを作って水滴を支え、これにより撥水性をさらに高めている。係る撥水性により、葉の上の水分は濡れることなく、水滴となり、葉の上の埃などの汚れを取り込みながら転げて、汚れを落とすという自浄作用も発揮してくれるものであり、このような表面性状となるようにするのが撥水処理200である。
【0039】
また、撥水性を高めるための良し悪しは、液体の表面が固体と接するところで液面と固体面がなす角の接触角で表すことができ、接触角が0度に近いほど、撥水性が悪くなり、接触角が180度に近いほど撥水性がよいということになる。一般的に接触角が150度を超える表面を超撥水性表面といわれており、テフロン(登録商標)のようなフッ素系化合物は表面張力が水に比較して非常に小さいので、高い撥水性を示すため、保護フィルムの表面にテフロン(登録商標)加工のようなコーティングを施す撥水処理200としたり、係る表面の微細な凸凹構造とシリコーン樹脂成分の相乗効果による超撥水性塗膜で、ガードレールのビームGbの撥水性と撥油性を高め、汚れを付着しにくくさせたりすることも好適である。
【0040】
ヒーター部30は、熱源にシーズヒーターや、カートリッジヒーターなどの電気的に熱を発生させる熱源を用いて、これに風を当てて熱風を発生させるもの、或いは、蒸気を発生させて、係る蒸気を当てるスチーム式等のヒーターが考え得る。
【0041】
型押し部40は、波型断面のビームGbで構成されるガードレールの当該形状に沿って、フィルムにより被覆するため、その形状で熱を加えながら圧力をかけて貼着させるための所謂型である。係る型押しにより、凹部にもしっかりとフィルムが貼り付けられる。なお、ガードレールの継ぎ目の重ね合わせ部分は車の進行方向に対して一定方向に統一された段差があり、また、固定ボルトにも、車が引っ掛かるのを防止する丸頭のボルトが使用されているため、係る繋ぎ部では僅かな凸状の段差部の存在が問題となる。しかし、ガードレールの厚みはその規格上、最大でも5.5mmであり、ボルトの頭も皿状に形成された5.0mm程度しかないため、図面には示していないがダンパー等を設けて吸収できるようにしておけば十分に対応可能である。
【0042】
フィルム端部押さえ部50は、ロールフィルム20を引き出した片側の端部を押さえるための押さえ部であって、支柱Gsに取り付けられる前であればビームGbの片側端部にクリップし、支柱Gsに取り付けられた後であれば巻き袖ビームとビームGbの繋ぎ部近傍でクリップする部材である。
【0043】
折り返し爪部60は、ビームGbの幅よりも大きなロールフィルム20の両側を折り返して貼着させるための爪であって、ビームGbの裏側にフィルムを回り込ませて貼り付ける役割をするものである。
【0044】
脱着機能70は、レールガイド部80をフレーム10に対して展開又は取り外せることにより、本発明に係るガードレールの保護装置2をビームGbから取り外すことができ、また他方で脱着機能70は、レールガイド部80をフレーム10に対して展開又は取り付けることにより、本発明に係るガードレールの保護装置2をビームGbへ摺動可能に取り付けることができる機能である。
【0045】
レールガイド部80は、ガードレールGのビームGbとフレーム10とを摺動自在な移動を可能にすると共に、フレーム10をビームGbに保持するための案内保持機構である。
【0046】
加熱貼着110は、保護フィルムの最下層として塗工された粘着剤の層が、熱可塑性を有し、加熱により柔らかくなり、ビームGbの形状に沿ってフィルムを粘着させるものである。
【0047】
ローラー90は、図面には詳しく示していないが、フレームに設けたレールガイド部80において、フレーム10をビームGbに沿って移動し易くするための転がり軸受けである。係るローラ-90を設けた構成では、ガードレールGに当接したローラー90が回転することで摩擦抵抗を減らしスムーズな動作を得ることができる。
【0048】
ポリウレタン製の保護フィルム100については、一般的な保護フィルムの基材として、PVC(ポリ塩化ビニール)もしくは、TPU(熱可塑性ポリウレタン)が使われており、PVCのメリットは安価で製造が可能な点があるものの、PVCの最大のデメリットとして耐候性が著しく劣る事から、雨風や直射日光の当たるガードレールGを保護するには不向といえる。これに対しTPU(熱可塑性ポリウレタン)はポリ塩化ビニール(PVC)を基材としたフィルムに比べて伸縮性に優れ施工性が高く耐候性にも優れることから、本発明に係るガードレールの保護方法1又は保護装置2に用いるフィルム素材として特に好適である。更に、保護フィルムの最表面層にPTFE(テフロン(登録商標)シートとすることも撥水性の面から好適といえる。
【0049】
図3は、本発明に係るガードレールの保護装置2を構成する各部部材の配置と各部の断面を示す説明図であり、図3(a)は、フレーム10に配置される各部材の配置構成を示し、図3(b)はロールフィルム20近傍の断面を示し、図3(b1)はレールガイド部80がガードレールGのビームGbに直接当接してフレーム10を摺動並びに保持する状態を示し、図3(b2)は、レールガイド部80にローラー90を設けて、係るローラー90を介してガードレールGのビームGbに当接してフレーム10を摺動並びに保持する状態を示し、図3(c)はヒーター30近傍の断面を示し、図3(d)は型押し部40近傍の断面を示し、図3(e)は、折り返し爪部近傍の断面をそれぞれ示している。
【0050】
図4は、本発明に係るガードレールの保護装置2を車両に搭載して走行して連続貼着する実施例を説明する実施例説明図である。
【0051】
車両Sは、図4に示すように、本発明に係るガードレールの保護装置2を搭載する工事車両等であり、走行しながらガードレールGに保護フィルムを連続的に貼着させるための自動車である。
【0052】
水平方向のクリアランスKは、車両Sに搭載されたガードレールの保護装置2とガードレールのビームGbとの距離のことであり、車両に対して相対的に変化する水平方向の高さHをセンサーPにより把握し、常に適切な距離となるようにするための値である。
【0053】
垂直方向の高さHは、平らに見える路肩であっても、必ずしも平らであるとは限らず地上からの支柱Gsの高さ、即ちビームGbを支柱Gsに取り付けるボルトの位置はそれぞれ微妙に異なっているといえ、車両に対して相対的に変化する垂直方向の高さHをセンサーPにより把握し、常に適切な高さとなるようにするための値である。
【0054】
センサーPは、数百mmから数mの距離をミリ単位で測定するセンサーであり、その種類には大別するとレーザ距離センサーと超音波センサーがある。何れも発信と受信までの時間を距離に換算する「タイム・オブ・フライト方式」のセンサーであり、近距離(数十mmから数百mm)を高精度に測定する場合は、距離変化による受光素子の結像位置を距離に換算する「三角測距式」のレーザ変位センサーが最適である。
【0055】
アクチュエータQは、センサーPからの入力された情報に基づきシリンダーの伸縮を行う部材であり、水平方向のクリアランスK及び垂直方向の高さHを調整するものである。係るアクチュエータQの種類としてエアーまたは油圧でシリンダーを出し入れするものや電磁ソレノイドなど多種多様のものがあるが、正確な位置関係の制御に向くサーボモータが好適である
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るガードレールの保護方法及び保護装置によれば、ガードレールの耐用年数を伸ばし錆びにくくなり、道路景観を損ねることがなくなるので、道路の環境整備に資するものであり産業上利用可能性は高いと思慮される。
【符号の説明】
【0057】
1 ガードレールの保護方法

A フィルム引抜き工程
B 加熱工程
C 型押し工程
D 折り返し貼着工程

G ガードレール
Gb ビーム
Gs 支柱
Gr ブラケット
2 ガードレール保護装置
10 フレーム部
20 ロールフィルム
30 ヒーター部
40 型押し部
50 フィルム端部押さえ部
60 折り返し爪部
70 脱着機能
80 レールガイド部
90 ローラー
100 ポリウレタン製の保護フィルム
110 加熱貼着
200 撥水処理

S 車両
K 水平方向のクリアランス
H 垂直方向の高さ
P センサー
Q アクチュエータ
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させるガードレールの保護方法であって、
前記保護フィルムが巻装されたロールフィルム(20)から保護フィルムを引き抜くフィルム引抜き工程Aと、
前記ロールフィルム(20)から引き抜かれた前記保護フィルムを型押し部(40)により前記ビーム(Gb)に連続密着させる型押し工程Cと、
フィルム長手方向の両辺をビーム(Gb)の長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する折り返し貼着工程Dと、
を有する事を特徴とするガードレールの保護方法(1)。
【請求項2】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させるガードレールの保護方法であって、
前記保護フィルムが巻装されたロールフィルム(20)から保護フィルムを引き抜くフィルム引抜き工程Aと、
前記ロールフィルム(20)から引き抜かれた前記保護フィルムをヒーター部(30)により加熱する加熱工程Bと、
前記ヒーター部(30)によって加熱された前記保護フィルムを型押し部(40)により前記ビーム(Gb)に連続密着させる型押し工程Cと、
フィルム長手方向の両辺をビーム(Gb)の長手方向の両辺を包み込むように表面から裏面へと折り返して貼着する折り返し貼着工程Dと、
を有する事を特徴とするガードレールの保護方法(1)。
【請求項3】
前記保護フィルムの表面に、撥水処理(200)を施したものを利用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガードレールの保護方法(1)。
【請求項4】
前記保護フィルムの素材に、熱可塑性ポリウレタン製の保護フィルム(100)を利用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガードレールの保護方法(1)。
【請求項5】
断面が略波型形状の長尺なガードレール(G)のビーム(Gb)に保護フィルムを貼着させるための貼着装置であって、
前記ガードレール(G)をガイドし、摺動可能に保持するフレーム部(10)と、
ロールフィルム(20)と、
ヒーター部(30)と、
型押し部と(40)と、
フィルム端部押さえ部(50)と、
折り返し爪部(60)と、
脱着機能(70)を備えたレールガイド部(80)とを有し、
前記ロールフィルム(20)を引き出しながら、
前記ヒーター部(30)により加熱し、
前記型押し部(40)により前記ガードレール(G)のビーム(Gb)に連続密着させて加熱貼着(110)させることを特徴とするガードレールの保護装置(2)。
【請求項6】
前記保護フィルムが、その表面に撥水処理(200)を施したものであることを特徴とする請求項5に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項7】
前記レールガイド部(80)にローラー(90)を備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項8】
前記保護フィルムの素材が、ポリウレタン製の保護フィルム(100)であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のガードレールの保護装置(2)。
【請求項9】
施工されたガードレール(G)に長尺な前記ロールフィルム(20)を連続して貼着させるため車両(S)に搭載し、前記ガードレール(G)と前記フレーム部(10)との水平方向のクリアランス(K)と垂直方向の高さ(H)を、センサー(P)とアクチュエータ(Q)を用いて最適に保ちながら移動することで長尺なガードレール(G)へ連続貼着が可能となることを特徴とする請求項に記載のガードレールの保護装置(2)。