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特開2024-179732シート搬送制御プログラムおよびシート搬送装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179732
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】シート搬送制御プログラムおよびシート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/08 20060101AFI20241219BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20241219BHJP
   B65H 9/14 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65H7/08
B65H9/00 B
B65H9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098795
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 隆
【テーマコード(参考)】
3F048
3F102
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA20
3F048BB02
3F048BB05
3F048CA09
3F048CC03
3F048DA07
3F048DB04
3F048DB06
3F048DB11
3F048DB13
3F048EA15
3F048EB33
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB02
3F102CB01
3F102DA01
3F102EA01
3F102FA09
(57)【要約】
【課題】過剰な斜行補正動作を抑制する。
【解決手段】実施形態のシート搬送制御プログラムは、判定する処理と、カウントする処理と、更新する処理とをコンピュータに実行させる。判定する処理は、設定された斜行補正の動作量に基づいて搬送するシートに対して斜行補正を行う際に、斜行補正後のシートの検出結果に基づいてシートそれぞれの斜行補正の成否を判定する。カウントする処理は、判定された成否の数をカウントする。更新する処理は、カウントした成否の数に基づき、成功数が第1の規定数に達した場合、成否の数を初期化するとともに動作量を所定量減少させた動作量に更新する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された斜行補正の動作量に基づいて搬送するシートに対して斜行補正を行う際に、斜行補正後のシートの検出結果に基づいて当該シートそれぞれの斜行補正の成否を判定し、
判定された成否の数をカウントし、
カウントした前記成否の数に基づき、成功数が第1の規定数に達した場合、前記成否の数を初期化するとともに前記動作量を所定量減少させた動作量に更新する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするシート搬送制御プログラム。
【請求項2】
前記更新する処理は、失敗数が第2の規定数に達した場合、前記成否の数を初期化するとともに前記動作量を前記所定量増加させた動作量に更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送制御プログラム。
【請求項3】
前記動作量を更新した回数をカウントする処理をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記更新する処理は、前記動作量を更新する際に、前記更新した回数に基づく動作量分減少または増加させた動作量に更新する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送制御プログラム。
【請求項4】
前記更新する処理は、前記動作量を所定量減少させた場合の動作量が所定の下限値を下回るときは前記動作量の更新をキャンセルする、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送制御プログラム。
【請求項5】
前記動作量を固定する第1の動作モードと、前記動作量の更新を行う第2の動作モードとの選択を受け付け、
前記第1の動作モードが選択された場合は、直近に更新された動作量に基づく動作量に固定する処理をさらに前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送制御プログラム。
【請求項6】
前記動作量を更新した回数をカウントし、
前記更新した回数に基づき前記第1の規定数または前記第2の規定数を算出する処理をさらに前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送制御プログラム。
【請求項7】
設定された斜行補正の動作量に基づいて搬送するシートに対して斜行補正を行う際に、斜行補正後のシートの検出結果に基づいて当該シートそれぞれの斜行補正の成否を判定し、
判定された成否の数をカウントし、
カウントした前記成否の数に基づき、成功数が第1の規定数に達した場合、前記成否の数を初期化するとともに前記動作量を所定量減少させた動作量に更新する、
処理を実行する制御部を含むことを特徴とするシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シート搬送制御プログラムおよびシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置や読取装置へ処理対象となる用紙(以下、シートと呼ぶ)を搬送するシートフィーダーなどのシート搬送装置では、シートの搬送時において、搬送方向側のシート端部を突き当て部材に突き当てる斜行補正動作を繰り返すことでシートの斜行(スキューとも呼ばれる)を補正している。このシート搬送装置では、シート幅方向に複数設けたシート供給センサの検出結果に基づいて斜行補正動作の動作量を予め設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-116186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートの斜行が補正されるまでに必要となる斜行補正動作の動作量は、シートの厚さ、シート表面の平滑度などのシート幅以外の様々なシート特性により異なる。しかしながら、上記の従来技術では、斜行補正動作の動作量は検出されたシート幅に違いがなければ同じ動作量となる。このため、上記の従来技術では、過剰な斜行補正動作が行われる場合があるという問題がある。
【0005】
例えば、シート表面の平滑度が低い場合は、シート幅による設定よりも少ない動作量でシートの斜行が補正される。このため、斜行が補正された後も斜行補正動作が継続されるような、過剰な斜行補正動作が行われることとなる。
【0006】
1つの側面では、過剰な斜行補正動作を抑制できるシート搬送制御プログラムおよびシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1実施形態では、シート搬送制御プログラムは、判定する処理と、カウントする処理と、更新する処理とをコンピュータに実行させる。判定する処理は、設定された斜行補正の動作量に基づいて搬送するシートに対して斜行補正を行う際に、斜行補正後のシートの検出結果に基づいてシートそれぞれの斜行補正の成否を判定する。カウントする処理は、判定された成否の数をカウントする。更新する処理は、カウントした成否の数に基づき、成功数が第1の規定数に達した場合、成否の数を初期化するとともに動作量を所定量減少させた動作量に更新する。
【発明の効果】
【0008】
1実施態様によれば、過剰な斜行補正動作を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態にかかるシート搬送装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2図2は、コンピュータ構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかるシート搬送装置の動作の概要を説明するフローチャートである。
図4図4は、実施形態にかかるシート搬送装置の給紙動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、斜行補正動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、斜行確認動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、斜行確認の概要を説明する説明図である。
図8図8は、実施形態にかかるシート搬送装置の給紙動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、設定テーブルの一例を説明する説明図である。
図10図10は、実施形態にかかるシート搬送装置の動作結果の一例を説明する説明図である。
図11A図11Aは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作結果の一例を説明する説明図である。
図11B図11Bは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作結果の一例を説明する説明図である。
図12図12は、実施形態にかかるシート搬送装置の給紙動作の一例を示すフローチャートである。
図13A図13Aは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作結果の一例を説明する説明図である。
図13B図13Bは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作結果の一例を説明する説明図である。
図14A図14Aは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作モードの設定例を説明する説明図である。
図14B図14Bは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作モードの設定例を説明する説明図である。
図15図15は、実施形態にかかるシート搬送装置の給紙動作の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、設定テーブルの一例を説明する説明図である。
図17図17は、実施形態にかかるシート搬送装置の適用事例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態にかかるシート搬送制御プログラムおよびシート搬送装置を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明するシート搬送制御プログラムおよびシート搬送装置は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0011】
図1は、実施形態にかかるシート搬送装置の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、シート搬送装置1は、通信部10、入力部20、表示部30、記憶部40、制御部50および搬送部60を有する。
【0012】
通信部10は、制御部50の制御のもと、印刷装置や読取装置などの外部装置とデータ通信を行う通信インタフェースなどである。
【0013】
入力部20は、ユーザからの操作を受付ける。例えば、入力部20は、設定情報42に関連した各種情報の入力、動作モードの選択指示などをユーザより受け付ける。
【0014】
表示部30は、制御部50の制御のもと、各種情報を表示する。例えば、表示部30は、履歴情報41、設定情報42に関連する情報の表示、斜行補正が失敗した場合などの搬送エラーの表示を行う。
【0015】
記憶部40は、履歴情報41および設定情報42を有する。たとえば、記憶部40は、メモリ等により実現される。
【0016】
履歴情報41は、シート搬送装置1の動作の履歴に関する情報である。例えば、履歴情報41には、シートごとの斜行補正の動作結果(成功/失敗)、斜行補正の成否の数を示すカウント値、斜行補正の動作量を更新した回数を示す最適化達成レベルなどが含まれる。
【0017】
なお、斜行補正の成否の数を示すカウント値としては、斜行補正の成功数をカウントした成功回数カウンタと、斜行補正の失敗数をカウントした失敗回数カウンタとがある。本実施形態では、斜行補正の成否の数を示すカウント値として、成功回数カウンタおよび失敗回数カウンタの両方を有する構成を例示するが、カウント値はカウント総数に対する成功回数カウンタまたは失敗回数カウンタのいずれか一方であってもよい。
【0018】
設定情報42は、シート搬送の設定内容に関する情報である。例えば、設定情報42には、斜行補正の動作量、成功回数カウンタおよび失敗回数カウンタのカウント値の判定に関する規定値、斜行補正の動作量の下限値などが含まれる。この設定情報42における設定内容(斜行補正の動作量、規定値および下限値)は、予め初期値などが設定されている。
【0019】
ここで、斜行補正の動作量は、搬送方向側のシート端部を突き当て部材に突き当てる斜行補正動作を繰り返すために、シートを搬送させる搬送ローラ(補正部材)の動作量を示すものである。例えば、斜行補正の動作量は、補正部材回転ステップ数などが相当する。
【0020】
制御部50は、プロセッサにより実現されるコンピュータであり、シート搬送装置1のシート搬送に関する各種動作を制御する。具体的には、制御部50は、斜行補正カウント部51、斜行補正動作量決定部52、斜行補正指示部53および斜行補正確認部54を有する。
【0021】
ここで、制御部50に関連するコンピュータ構成について説明する。図2は、コンピュータ構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、コンピュータ200は、CPU201と、通信装置202と、RAM203と、不揮発性メモリ204とがバス205に接続されている。
【0023】
CPU201(CPU:Central Processing Unit)は、各種演算処理を実行する。通信装置202は、シート搬送装置1内の各部(通信部10、入力部20、表示部30、記憶部40および搬送部60)との間でデータの授受を行う。RAM203(RAM:Random Access Memory)は、各種情報を一時記憶する。不揮発性メモリ204は、斜行補正カウントプログラム204a、斜行補正動作量決定プログラム204b、斜行補正指示プログラム204c、斜行補正確認プログラム204dなどの各種プログラムを格納する。
【0024】
また、CPU201は、各プログラム204a~407dを読み出してRAM203に展開する。
【0025】
斜行補正カウントプログラム204aは、斜行補正カウントプロセス203aとして機能する。斜行補正動作量決定プログラム204bは、斜行補正動作量決定プロセス203bとして機能する。斜行補正指示プログラム204cは、斜行補正指示プロセス203cとして機能する。斜行補正確認プログラム204dは、斜行補正確認プロセス203dとして機能する。
【0026】
斜行補正カウントプロセス203aの処理は、斜行補正カウント部51の処理に対応する。斜行補正動作量決定プロセス203bの処理は、斜行補正動作量決定部52の処理に対応する。斜行補正指示プロセス203cの処理は、斜行補正指示部53の処理に対応する。斜行補正確認プロセス203dの処理は、斜行補正確認部54の処理に対応する。
【0027】
なお、各プログラム204a~204dについては、必ずしも最初から不揮発性メモリ204に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ200が読み取り可能なフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が各プログラム204a~204dを読み出して実行するようにしてもよい。
【0028】
図1に戻り、斜行補正カウント部51は、搬送するシートに対して斜行補正を行う際に、シートごとに斜行補正確認部54が判定した斜行補正の成否をもとに、成否の数をカウントする処理部である。斜行補正カウント部51は、カウントした成否の数(成功回数カウンタ/失敗回数カウンタ)を履歴情報41に格納する。
【0029】
斜行補正動作量決定部52は、シートに対する斜行補正の動作量を決定する処理部である。斜行補正動作量決定部52は、用紙セットセンサー(図示しない)におけるシート幅に対応する検出値をもとに、シート幅に対応した斜行補正の動作量を決定する。斜行補正動作量決定部52は、決定した斜行補正の動作量を設定情報42に格納する。
【0030】
また、斜行補正動作量決定部52は、斜行補正カウント部51がカウントした成否の数に基づき、成功数が第1の規定数(規定数A)に達した場合、成否の数を初期化するとともに、設定情報42に含まれる斜行補正の動作量を所定量減少させた動作量に更新する。
【0031】
また、斜行補正動作量決定部52は、斜行補正カウント部51がカウントした成否の数に基づき、失敗数が第2の規定数(規定数B)に達した場合、成否の数を初期化するとともに、設定情報42に含まれる斜行補正の動作量を所定量増加させた動作量に更新する。
【0032】
斜行補正指示部53は、搬送部60においてシートを搬送する際に、搬送部60の斜行補正部61に対して斜行補正を指示する処理部である。具体的には、斜行補正指示部53は、設定情報42に含まれる斜行補正の動作量を読み出し、読み出した斜行補正の動作量に基づいて斜行補正部61を駆動させる。
【0033】
斜行補正確認部54は、搬送部60のシート検出部62による斜行補正後のシートの検出結果に基づいてシートそれぞれの斜行補正の成否を判定する処理部である。
【0034】
具体的には、シート検出部62は、シートの搬送方向と直交するシート幅方向に複数設けられた斜行検出センサーを有する。斜行補正確認部54は、この複数の斜行検出センサーにより、シート幅方向におけるシートの検出位置を複数取得する。ついで、斜行補正確認部54は、複数の検出位置の差分(斜行成分)が所定の閾値以内であるか否かを判定することで、シートそれぞれの斜行補正の成否を判定する。
【0035】
搬送部60は、制御部50の制御のもとで駆動するモータ(図示しない)と、このモータにより回転駆動される搬送ローラとを有し、シートトレイ(図示しない)にセットされたシートを搬送する。
【0036】
搬送部60は、斜行補正部61と、シート検出部62とを有する。斜行補正部61は、例えば、搬送方向側のシート端部を突き当てるための突き当て部材と、この突き当て部材にシート端部を突き当てる動作を繰り返すための搬送ローラ(補正部材)と、この搬送ローラを回転駆動させるモータとを有する。
【0037】
シート検出部62は、シートの搬送路に設けられた各種センサーであり、例えばシートの斜行成分を検出するための上述した斜行検出センサーを含む。
【0038】
図3は、実施形態にかかるシート搬送装置の動作の概要を説明するフローチャートである。図3に示すように、制御部50は、入力部20などを介してシートの搬送(給紙)が指示されると、シート搬送に関する処理を開始する。
【0039】
処理が開始されると、斜行補正動作量決定部52は、紙ありを検出している用紙セットセンサー(図示しない)の検出値を取得する(S1)。
【0040】
ついで、斜行補正動作量決定部52は、取得した用紙セットセンサーの検出値、すなわちシート(用紙)の幅をもとに、シート幅に対応した斜行補正の動作量(補正部材回転ステップ数)を決定する(S2)。ついで、斜行補正動作量決定部52は、決定した斜行補正の動作量を設定情報42に格納する。
【0041】
ついで、制御部50は、搬送部60を駆動させてシートの給紙動作を開始する(S3)。
【0042】
図4は、実施形態にかかるシート搬送装置の給紙動作の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、給紙動作(S3)が開始されると、斜行補正動作量決定部52は、斜行補正の成否の数をもとに、斜行補正の動作量(補正部材回転ステップ数)の更新の有無を判定し、判定結果をもとに斜行補正の動作量を更新する(S10、S20)。
【0043】
具体的には、斜行補正動作量決定部52は、履歴情報41に含まれる成功回数カウンタと、設定情報42に含まれる規定数Aとを比較し、成功回数カウンタ>規定数Aであるか否かを判定する(S11)。ここで、規定数Aは、あまり大きくない固定値(概ね10以下)が予め定められているものとする。
【0044】
成功回数カウンタ>規定数Aである場合(S11:Yes)、斜行補正動作量決定部52は、41に含まれる成功回数カウンタ、失敗回数カウンタを初期化する(S12、S13)。ついで、斜行補正動作量決定部52は、設定情報42に含まれる斜行補正の動作量を所定量減算する動作量の更新を行う。具体的には、斜行補正動作量決定部52は、補正部材回転ステップ数を所定量減算することで補正部材回転ステップ数を更新し(S14)、S30へ処理を進める。
【0045】
成功回数カウンタ>規定数Aでない場合(S11:No)、斜行補正動作量決定部52は、履歴情報41に含まれる失敗回数カウンタと、設定情報42に含まれる規定数Bとを比較し、失敗回数カウンタ>規定数Bであるか否かを判定する(S21)。ここで、規定数Bは、あまり大きくない固定値(概ね10以下)が予め定められているものとする。
【0046】
失敗回数カウンタ>規定数Bである場合(S21:Yes)、斜行補正動作量決定部52は、41に含まれる成功回数カウンタ、失敗回数カウンタを初期化する(S22、S23)。ついで、斜行補正動作量決定部52は、設定情報42に含まれる斜行補正の動作量を所定量加算する動作量の更新を行う。具体的には、斜行補正動作量決定部52は、補正部材回転ステップ数を所定量加算することで補正部材回転ステップ数を更新し(S24)、S30へ処理を進める。
【0047】
失敗回数カウンタ>規定数Bでない場合(S21:No)、斜行補正動作量決定部52は、斜行補正の動作量の更新は行わず、S30へ処理を進める。
【0048】
S30において、斜行補正指示部53は、設定情報42に含まれる斜行補正の動作量を読み出し、読み出した斜行補正の動作量をもとに、斜行補正部61でのシートに対する斜行補正動作を行わせる。
【0049】
図5は、斜行補正動作の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、斜行補正動作の処理が開始されると、斜行補正指示部53は、補正部材回転ステップ数のカウンタを初期化する(S301)。
【0050】
ついで、斜行補正指示部53は、斜行補正部61のモータ(例えばステッピングモータ)を駆動させることで、斜行補正部61における補正部材(搬送ローラ)の回転を開始させる(S302)。
【0051】
ついで、斜行補正指示部53は、補正部材回転ステップ数カウンタが補正部材回転ステップ数と等しくなったか否かを判定する(S303)。補正部材回転ステップ数カウンタが補正部材回転ステップ数と等しくなっていない場合(S303:No)、斜行補正指示部53は、補正部材回転ステップ数カウンタをインクリメント(+1)し(S304)、S303へ処理を戻す。
【0052】
補正部材回転ステップ数カウンタが補正部材回転ステップ数と等しくなった場合(S303:Yes)、斜行補正指示部53は、補正部材の回転を停止し(S305)、処理を終了する。
【0053】
図4に戻り、S30についで、斜行補正確認部54は、シート検出部62による斜行補正後のシートの検出結果に基づいてシートの斜行の有無を確認する斜行確認動作を行う(S40)。
【0054】
図6は、斜行確認動作の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、斜行確認動作が開始されると、制御部50は、斜行確認を行うため、シート検出部62における斜行検出センサーの位置にシートが到達するようにシート搬送を開始する(S401)。
【0055】
図7は、斜行確認の概要を説明する説明図である。図7に示すように、シート検出部62では、シートの搬送方向と直交するシート幅方向に第1斜行検出センサー62a、第2斜行検出センサー62bが設けられている。斜行補正確認部54は、この第1斜行検出センサー62a、第2斜行検出センサー62bによりシート幅方向におけるシートの検出位置を複数(図示例では2箇所)取得する。この複数の検出位置の間にあるずれは、シートの斜行成分に相当する。したがって、斜行補正確認部54は、複数の検出位置の差分(斜行成分)が所定の閾値以内であるか否かを判定することで、シートの斜行の有無を確認できる。
【0056】
図6に戻り、S401に次いで、斜行補正確認部54は、第1斜行検出センサー62aでシートを検出したか否かを判定する(S402)。シートを検出した場合(S402:Yes)、斜行補正確認部54は、第1斜行検出センサー62aによるシートの検出位置(搬送量)をメモリ等に記録する(S403)。シートを検出しない場合(S402:No)、斜行補正確認部54は、S403をスキップする。
【0057】
ついで、斜行補正確認部54は、第2斜行検出センサー62bでシートを検出したか否かを判定する(S404)。シートを検出した場合(S404:Yes)、斜行補正確認部54は、第2斜行検出センサー62bによるシートの検出位置(搬送量)をメモリ等に記録する(S405)。シートを検出しない場合(S404:No)、斜行補正確認部54は、S405をスキップする。
【0058】
ついで、斜行補正確認部54は、第1斜行検出センサー62a、第2斜行検出センサー62b共にシートを検出したか否かを判定する(S406)。共にシートを検出していない場合(S406:No)、斜行補正確認部54は、S401による搬送開始後のシートの搬送量が規定の最大搬送量を上回ったか否かを判定する(S407)。
【0059】
シートの搬送量が規定の最大搬送量を上回っていない場合(S407:No)、斜行補正確認部54は、S402へ処理を戻す。
【0060】
共にシートを検出している場合(S406:Yes)またはシートの搬送量が規定の最大搬送量を上回っている場合(S407:Yes)、斜行補正確認部54は、シート搬送を停止する(S408)。
【0061】
ついで、斜行補正確認部54は、第1斜行検出センサー62a、第2斜行検出センサー62bによるシートの検出位置の差が予め設定された斜行判断閾値未満であるか否かを判定する(S409)。
【0062】
検出位置の差が斜行判断閾値未満である場合(S409:Yes)、斜行補正確認部54は、斜行補正が成功したものと判定し(S410)、処理を終了する。検出位置の差が斜行判断閾値未満でない場合(S409:No)、斜行補正確認部54は、斜行補正が失敗したものと判定し(S411)、処理を終了する。
【0063】
図4に戻り、S40に次いで、斜行補正カウント部51は、シートごとに斜行補正確認部54が判定した斜行補正の成否をもとに、成否の数をカウントする処理を行う(S50)。
【0064】
具体的には、斜行補正カウント部51は、斜行補正確認部54による斜行補正の成否を判定し(S51)、斜行補正が成功である場合は履歴情報41に含まれる成功回数カウンタをインクリメント(+1)する(S52)。ついで、制御部50は、搬送部60におけるシートの給紙動作を行い(S53)、印刷装置や読取装置などの後段の処理装置へシートを供給して処理を終了する。
【0065】
S51において斜行補正が失敗である場合、斜行補正カウント部51は、履歴情報41に含まれる失敗回数カウンタをインクリメント(+1)する(S54)。ついで、制御部50は、失敗したシートを排出するなどの斜行エラー処理を行い(S55)、処理を終了する。
【0066】
上記の実施形態では、「補正部材回転ステップ数」を加算または減算していきながら最適な「補正部材回転ステップ数」に近づいていくこととなる。しかし、シートの種類や装置の設置環境等の状況によっては、一度に加算または減算するステップ数が小さいと最適な「補正部材回転ステップ数」に達するまでの時間(回数)が多くかかってしまう場合が考えられる。
【0067】
また、一度に加算または減算するステップ数が大きいと、斜行補正動作の成否が交互に繰り返され、いつまでも最適な「補正部材回転ステップ数」に落ち着かないことが考えられる。
【0068】
そこで、斜行補正カウント部51は、斜行補正の動作量を更新した回数(最適化達成レベル)をカウントし、カウントした最適化達成レベルを履歴情報41に格納する。この「最適化達成レベル」は、数値が大きいほど更新した回数が多く、最適な「補正部材回転ステップ数」に近づいていることを意味する。
【0069】
斜行補正動作量決定部52は、斜行補正の動作量を更新する際に、斜行補正カウント部51がカウントした最適化達成レベル(更新した回数)に基づく動作量分減少または増加させた動作量に更新する。例えば、斜行補正動作量決定部52は、「最適化達成レベル」がより低い(より数値が小さい)ほど、加算または減算する「補正部材回転ステップ数」を多くする。また、斜行補正動作量決定部52は、「最適化達成レベル」がより高い(より数値が大きい)ほど加算または減算する「補正部材回転ステップ数」を少なくする。
【0070】
図8は、実施形態にかかるシート搬送装置の給紙動作の一例を示すフローチャートである。より具体的には、図8は、最適化達成レベル(更新した回数)に基づく動作量分減少または増加させた動作量に更新する場合の動作例を示す。
【0071】
図8に示すように、斜行補正動作量決定部52は、斜行補正の動作量を更新する際に(S11:Yes、S21:Yes)、最適化達成レベルから補正部材回転ステップ数の更新ステップ数を求める(S15、S25)。
【0072】
具体的には、斜行補正動作量決定部52は、設定情報42内に予め設定された、最適化達成レベルごとの更新ステップ数を示す設定テーブル参照することで、最適化達成レベルに対応する更新ステップ数を求める。
【0073】
図9は、設定テーブルの一例を説明する説明図である。図9に示すように、設定テーブル42aには、最適化達成レベルごとの更新ステップ数が予め設定されている。具体的には、設定テーブル42aでは、最適化達成レベルがより低い(より数値が小さい)ほど加算または減算する更新ステップ数を大きく、最適化達成レベルがより高い(より数値が大きい)ほど加算または減算する更新ステップ数を小さく設定されている。
【0074】
図8に戻り、斜行補正動作量決定部52は、求めた更新ステップ数で、S14、S24における補正部材回転ステップ数を更新(減算/加算)する。ついで、51は、最適化達成レベルを更新(+1加算)する(S16)。
【0075】
図10図11A図11Bは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作結果の一例を説明する説明図である。図10に示すように、動作結果R1は、最適化レベルに応じた更新ステップ数で補正部材回転ステップ数を更新(減算/加算)する場合におけるシート給紙を25回目まで行った結果である。
【0076】
シート給紙t1a~t1fでは、斜行補正が規定値A回成功したので、斜行補正部材回転ステップ数を減らして斜行補正動作を実行している。また、シート給紙t2a~t2cでは、斜行補正が規定値B回失敗したので、斜行補正部材回転ステップ数を増やして斜行補正動作を実行している。
【0077】
図11Aに示すように、動作結果R2は、更新ステップ数を10に固定して補正部材回転ステップ数を更新(減算/加算)する場合におけるシート給紙を30回目まで行った結果である。
【0078】
図11Bに示すように、動作結果R3は、更新ステップ数を2に固定して補正部材回転ステップ数を更新(減算/加算)する場合におけるシート給紙を30回目まで行った結果である。
【0079】
動作結果R1と、動作結果R2とを比較すると明らかなように、最適化レベルに応じた更新ステップ数で補正部材回転ステップ数を更新するほうが、補正部材回転ステップ数の収束が安定して行わる。また、動作結果R1と、動作結果R3とを比較すると明らかなように、最適化レベルに応じた更新ステップ数で補正部材回転ステップ数を更新するほうが、最適な「補正部材回転ステップ数」により早く収束する。
【0080】
上述した実施形態では、「補正部材回転ステップ数」を加算または減算していきながら最適な「補正部材回転ステップ数」に近づいていくが、最適な「補正部材回転ステップ数」付近で、成功、失敗を交互に繰り返してしまい、収束しないことが考えられる。
【0081】
そこで、斜行補正動作量決定部52は、斜行補正の動作量を所定量減少させた場合の動作量が所定の下限値(ステップ数下限値)を下回るときは動作量の更新をキャンセルする。これにより、シート搬送装置1は、斜行補正の成功、失敗が交互に繰り返されることを抑止する。
【0082】
図12は、実施形態にかかるシート搬送装置の給紙動作の一例を示すフローチャートである。より具体的には、図12は、更新後の動作量が所定の下限値を下回るときは更新をキャンセルする場合の動作例を示す。
【0083】
図12に示すように、斜行補正動作量決定部52は、S15についで、更新後のステップ数がメモリに設定されたステップ数の下限値を上回るか否かを判定する(S17)。下限値を上回る場合(S17:Yes)、斜行補正動作量決定部52は、S14へ処理を進め、補正部材回転ステップ数を更新(減算)する。
【0084】
下限値を上回らない場合(S17:No)、斜行補正動作量決定部52は、S14をスキップ、すなわち更新をキャンセルしてS16へ処理を進める。
【0085】
また、斜行補正動作量決定部52は、S23についで、ステップ数下限値のメモリに、現在の補正部材回転ステップ数を格納し(S26)、S25へ処理を進める。
【0086】
図13A図13Bは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作結果の一例を説明する説明図である。図13Aに示すように、動作結果R4は、ステップ数の下限値をもうけた場合におけるシート給紙を30回目まで行った結果である。
【0087】
シート給紙t1a~t1bでは、斜行補正が規定値A回成功したので、斜行補正部材回転ステップ数を減らして斜行補正動作を実行している。また、シート給紙t2a~t2cでは、斜行補正が規定値B回失敗したので、斜行補正部材回転ステップ数を増やして斜行補正動作を実行している。シート給紙t3a~t3bでは、斜行補正動作が失敗したので、ステップ数下限値にこの時の斜行補正部材回転ステップ数を格納している。シート給紙t4a~t4dでは、斜行補正が規定値A回成功したが、更新後の斜行補正部材回転ステップ数が下限値を下回るので、更新をキャンセルしている。
【0088】
図13Bに示すように、動作結果R5は、ステップ数の下限値を設けない場合におけるシート給紙を30回目まで行った結果である。
【0089】
動作結果R4と、動作結果R5とを比較すると明らかなように、斜行補正の動作量を所定量減少させた場合の動作量が下限値を下回るときは動作量の更新をキャンセルすることで、斜行補正の成功、失敗が交互に繰り返されることを抑止することができる。
【0090】
また、シート搬送装置1の制御部50は、斜行補正の動作量を固定する第1の動作モード(固定値モード)と、斜行補正の動作量の更新を行う第2の動作モード(最適化モード)との選択を入力部20を介してユーザより受け付けてもよい。
【0091】
図14A図14Bは、実施形態にかかるシート搬送装置の動作モードの設定例を説明する説明図である。
【0092】
図14Aに示すように、処理が開始されると、制御部50は、入力部20を介して動作モード(最適化モード/固定値モード)の選択をユーザより受け付ける(S101)。
【0093】
ついで、制御部50は、選択された動作モードを判定し(S102)、最適化モードである場合、前述したように斜行補正の動作量の更新を行う最適化モードで動作させる(S103)。
【0094】
固定値モードである場合、制御部50は、設定情報42に格納済みの斜行補正の動作量、すなわち直近までの処理で更新された斜行補正の動作量に固定して斜行補正を行う固定モードで動作させる(S104)。
【0095】
なお、固定モードについては、直近までの処理で更新された斜行補正の動作量をそのまま用いる標準モードと、その動作量よりも多くした動作量を用いる安心モードに分けてもよい。
【0096】
具体的には、制御部50は、固定値モードである場合、入力部20を介したユーザの選択や、設定情報42に含まれる動作モードの設定値をもとに、安心モードで動作させるか否かを判定する(S105)。
【0097】
安心モードで動作させない場合、制御部50は、直近までの処理で更新された斜行補正の動作量をそのまま固定した標準モードで動作させる(S106)。安心モードで動作させる場合、制御部50は、直近までの処理で更新された斜行補正の動作量に所定量を加えた動作量で固定した安心モードで動作させる(S107)。
【0098】
上述した実施形態では、「規定値A」「規定値B」の値が十分に大きいと、斜行補正動作の成否が安定している場合のみ「補正部材回転ステップ数」が更新されるため、無駄な更新が防止される場合がある。また、「補正部材回転ステップ数」を更新するまでに多くの斜行補正動作を必要とし、最適な「補正部材回転ステップ数」に到達するまでに時間がかかってしまう場合がある。
【0099】
また、「規定値A」「規定値B」の値が小さいと、「補正部材回転ステップ数」が更新されやすくなるが、斜行補正動作の成否が十分に安定していない場合でも「補正部材回転ステップ数」が更新されてしまう懸念がある。
【0100】
そこで、斜行補正カウント部51は、斜行補正の動作量を更新した回数(最適化達成レベル)をカウントし、カウントした最適化達成レベルを履歴情報41に格納する。
【0101】
斜行補正動作量決定部52は、更新した回数(最適化達成レベル)に基づき規定数Aまたは規定数Bを算出する。具体的には、最適化達成レベル低いときは「補正部材回転ステップ数」の更新されやすさを重視し、達成レベルが高くなるにしたがって、斜行補正動作成否の安定度を重視して補正部材回転ステップ数」を更新するように、規定数Aまたは規定数Bの値を算出する。
【0102】
一例として、斜行補正動作量決定部52は、「最適化達成レベル」が低い(数値が小さい)ときは、「規定値A」及び「規定値B」の値を小さく、「最適化達成レベル」が高い(数値が大きい)ときは、「規定値A」及び「規定値B」の値を大きくなるようにする。
【0103】
図15は、実施形態にかかるシート搬送装置の給紙動作の一例を示すフローチャートである。より具体的には、図15は、最適化達成レベル(更新した回数)に基づいて規定数A、規定数Bを算出する場合の動作例を示す。
【0104】
図15に示すように、斜行補正動作量決定部52は、斜行補正カウント部51がカウントした最適化レベルから、設定情報42内に設定された設定テーブルを参照することで規定数A、規定数Bの値を求める(S9)。
【0105】
図16は、設定テーブルの一例を説明する説明図である。図16に示すように、設定テーブル42bには、最適化達成レベルごとの規定数A、規定数Bの値が予め設定されている。具体的には、設定テーブル42bでは、最適化達成レベルが低い(数値が小さい)ほど規定値A及び規定値Bの値を小さく、最適化達成レベルが高い(数値が大きい)ほど規定値A及び規定値Bの値を大きく設定されている。
【0106】
図17は、実施形態にかかるシート搬送装置1の適用事例を説明する説明図である。図17のケースC1に示すように、シート搬送装置1は、印刷部2に対して印刷対象の用紙(シート)を搬送する印刷装置101のシートフィーダーに適用してもよい。また、図17のケースC2に示すように、シート搬送装置1は、読取部3に対して読取対象の用紙(シート)を搬送する読取装置102のシートフィーダーに適用してもよい。
【0107】
以上のように、シート搬送装置1は、設定された斜行補正の動作量(補正部材回転ステップ数)に基づいて搬送するシート100に対して斜行補正を行う際に、斜行補正後のシート100の検出結果に基づいてシート100それぞれの斜行補正の成否を判定する。シート搬送装置1は、判定された成否の数をカウントする。シート搬送装置1は、カウントした成否の数に基づき、成功数が第1の規定数(規定数A)に達した場合、成否の数を初期化するとともに斜行補正の動作量を所定量減少させた動作量に更新する。
【0108】
これにより、シート搬送装置1は、斜行補正の成功数が多く、成功実績のある場合は斜行補正の動作量を減少させることができ、過剰な斜行補正動作を抑制できる。例えば、シート幅により斜行補正の動作量が設定された場合、シート幅以外の様々なシート特性(シート表面の平滑度等)によっては斜行補正動作が過剰となる場合がある。これに対し、シート搬送装置1では、設定対象としたシート特性以外のシート特性によって斜行補正の動作量が少なくて済む場合(成功実績)に合わせてその動作量を減少させ、過剰な斜行補正動作が行われることを抑制できる。
【0109】
また、シート搬送装置1は、失敗数が第2の規定数(規定数B)に達した場合、成否の数を初期化するとともに斜行補正の動作量を所定量増加させた動作量に更新する。
【0110】
これにより、シート搬送装置1は、斜行補正の動作量を減少させるような更新に対し、失敗数が多くなる場合は斜行補正の動作量を増加させることができ、斜行補正の失敗が増加することを抑止できる。
【0111】
また、シート搬送装置1は、斜行補正の動作量を更新した回数(最適化達成レベル)をカウントする。シート搬送装置1は、斜行補正の動作量を更新する際に、更新した回数に基づく動作量(更新ステップ数)分減少または増加させた動作量に更新する。
【0112】
これにより、シート搬送装置1は、斜行補正の動作量の更新幅を、斜行補正の動作量を更新した回数に応じたものとすることができる。例えば、斜行補正の動作量の更新を繰り返すと、斜行補正の動作量は、シートの特性にあった値(最適な動作量)に近づくこととなる。このため、シート搬送装置1は、斜行補正の動作量を更新した回数をもとに、斜行補正の動作量を更新した回数が少ないうちは更新幅を大きくし、更新を重ねるのに応じて更新幅を小さくすることで、最適な動作量により早く収束させることができる。
【0113】
また、シート搬送装置1は、斜行補正の動作量を所定量減少させた場合の動作量が所定の下限値(ステップ数下限値)を下回るときは動作量の更新をキャンセルする。
【0114】
このように、シート搬送装置1は、斜行補正の動作量について、下限値を下回る場合は更新をキャンセルすることで、斜行補正の動作量がシート特性にあった値(最適な動作量)に近づいたところで斜行補正の成功/失敗が繰り返されるような状態となることを抑止できる。
【0115】
また、シート搬送装置1は、斜行補正の動作量を固定する第1の動作モード(固定値モード)と、斜行補正の動作量の更新を行う第2の動作モード(最適化モード)との選択を受け付ける。シート搬送装置1は、第1の動作モードが選択された場合は、直近に更新された斜行補正の動作量に基づく動作量に固定する。
【0116】
これにより、シート搬送装置1は、例えば、斜行補正の動作量がシート特性にあった値(最適な動作量)に近づいたところで斜行補正の動作量を固定することができる。
【0117】
また、シート搬送装置1は、斜行補正の動作量を更新した回数をカウントし、更新した回数に基づき第1の規定数または第2の規定数を算出する。
【0118】
これにより、シート搬送装置1は、成功実績、失敗実績の目安となる規定値A、Bを、斜行補正の動作量を更新した回数に応じたものとすることができる。例えば、規定値A、Bの値が小さいと斜行補正の動作量が更新されやすくなるが、斜行補正動作の成否が十分に安定していない場合でも斜行補正の動作量が更新されてしまう懸念がある。これに対し、シート搬送装置1は、規定値A、Bを斜行補正の動作量を更新した回数に応じた値とすることで、更新した回数が少ないうちは規定値A、Bの値を小さくして更新されやすさを重視できる。また、シート搬送装置1は、更新を重ねるのに応じて規定値A、Bの値を大きくすることで、斜行補正の動作量を更新されにくくして斜行補正動作の安定度を高めることができる。
【0119】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0120】
(付記1)設定された斜行補正の動作量に基づいて搬送するシートに対して斜行補正を行う際に、斜行補正後のシートの検出結果に基づいて当該シートそれぞれの斜行補正の成否を判定し、
判定された成否の数をカウントし、
カウントした前記成否の数に基づき、成功数が第1の規定数に達した場合、前記成否の数を初期化するとともに前記動作量を所定量減少させた動作量に更新する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするシート搬送制御プログラム。
【0121】
(付記2)前記更新する処理は、失敗数が第2の規定数に達した場合、前記成否の数を初期化するとともに前記動作量を前記所定量増加させた動作量に更新する、
ことを特徴とする付記1に記載のシート搬送制御プログラム。
【0122】
(付記3)前記動作量を更新した回数をカウントする処理をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記更新する処理は、前記動作量を更新する際に、前記更新した回数に基づく動作量分減少または増加させた動作量に更新する、
ことを特徴とする付記2に記載のシート搬送制御プログラム。
【0123】
(付記4)前記更新する処理は、前記動作量を所定量減少させた場合の動作量が所定の下限値を下回るときは前記動作量の更新をキャンセルする、
ことを特徴とする付記1に記載のシート搬送制御プログラム。
【0124】
(付記5)前記動作量を固定する第1の動作モードと、前記動作量の更新を行う第2の動作モードとの選択を受け付け、
前記第1の動作モードが選択された場合は、直近に更新された動作量に基づく動作量に固定する処理をさらに前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とする付記1に記載のシート搬送制御プログラム。
【0125】
(付記6)前記動作量を更新した回数をカウントし、
前記更新した回数に基づき前記第1の規定数または前記第2の規定数を算出する処理をさらに前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とする付記2に記載のシート搬送制御プログラム。
【0126】
(付記7)設定された斜行補正の動作量に基づいて搬送するシートに対して斜行補正を行う際に、斜行補正後のシートの検出結果に基づいて当該シートそれぞれの斜行補正の成否を判定し、
判定された成否の数をカウントし、
カウントした前記成否の数に基づき、成功数が第1の規定数に達した場合、前記成否の数を初期化するとともに前記動作量を所定量減少させた動作量に更新する、
処理を実行する制御部を含むことを特徴とするシート搬送装置。
【0127】
(付記8)前記更新する処理は、失敗数が第2の規定数に達した場合、前記成否の数を初期化するとともに前記動作量を前記所定量増加させた動作量に更新する、
ことを特徴とする付記7に記載のシート搬送装置。
【0128】
(付記9)前記動作量を更新した回数をカウントする処理をさらに前記制御部が実行し、
前記更新する処理は、前記動作量を更新する際に、前記更新した回数に基づく動作量分減少または増加させた動作量に更新する、
ことを特徴とする付記8に記載のシート搬送装置。
【0129】
(付記10)前記更新する処理は、前記動作量を所定量減少させた場合の動作量が所定の下限値を下回るときは前記動作量の更新をキャンセルする、
ことを特徴とする付記7に記載のシート搬送装置。
【0130】
(付記11)前記動作量を固定する第1の動作モードと、前記動作量の更新を行う第2の動作モードとの選択を受け付け、
前記第1の動作モードが選択された場合は、直近に更新された動作量に基づく動作量に固定する処理をさらに前記制御部が実行する、
ことを特徴とする付記7に記載のシート搬送装置。
【0131】
(付記12)前記動作量を更新した回数をカウントし、
前記更新した回数に基づき前記第1の規定数または前記第2の規定数を算出する処理をさらに前記制御部が実行する、
ことを特徴とする付記8に記載のシート搬送装置。
【符号の説明】
【0132】
1…シート搬送装置
2…印刷部
3…読取部
10…通信部
20…入力部
30…表示部
40…記憶部
41…履歴情報
42…設定情報
42a、42b…設定テーブル
50…制御部
51…斜行補正カウント部
52…斜行補正動作量決定部
53…斜行補正指示部
54…斜行補正確認部
60…搬送部
61…斜行補正部
62…シート検出部
62a…第1斜行検出センサー
62b…第2斜行検出センサー
100…シート
101…印刷装置
102…読取装置
200…コンピュータ
201…CPU
202…通信装置
203…RAM
203a…斜行補正カウントプロセス
203b…斜行補正動作量決定プロセス
203c…斜行補正指示プロセス
203d…斜行補正確認プロセス
204…不揮発性メモリ
204a…斜行補正カウントプログラム
204b…斜行補正動作量決定プログラム
204c…斜行補正指示プログラム
204d…斜行補正確認プログラム
205…バス
A、B…規定数
C1、C2…ケース
R1~R5…動作結果
t1a~t4d…シート給紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17