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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179734
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/00 20060101AFI20241219BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241219BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J29/38 201
G03G21/00 396
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098797
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ヴァー・ダボン
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB10
2C061CG02
2C061CH01
2C061CH03
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061HH03
2C061HH06
2C061HJ06
2C061HJ10
2C061HK04
2C187AC06
2C187AD14
2C187AE01
2C187AE07
2C187BF02
2C187BG14
2C187BH04
2C187CC10
2C187CD03
2C187CD15
2C187DD01
2H270KA59
2H270KA62
2H270LA70
2H270LB17
2H270NC02
2H270NC14
2H270NC20
2H270ND21
2H270ND33
2H270QB01
2H270QB19
2H270RA27
2H270RB03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】印刷に適する印刷対象ドキュメントの作成を容易にする。
【解決手段】画像形成装置1は、印刷対象ドキュメントの印刷データに含まれるオブジェクトを抽出し、当該抽出したオブジェクト毎に画像処理を行うことで描画データを生成する描画部102と、オブジェクト毎に行う画像処理に要する時間を測定する測定部103と、測定部103による測定結果に基づいて、印刷データに対する画像処理時間に関する情報を示すパフォーマンスレポートを作成するレポート作成部104と、レポート作成部104が作成したパフォーマンスレポートを外部に出力することにより、パフォーマンスレポートをユーザーに提示する制御部100とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
印刷対象ドキュメントの印刷データを受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記印刷データを解析し、前記印刷データに含まれるオブジェクトを抽出し、当該抽出したオブジェクト毎に画像処理を行うことで描画データを生成する描画部と、
前記画像形成部を制御し、前記描画部が生成した前記描画データに基づいて、前記記録媒体に画像を形成させる制御部と、
前記オブジェクト毎に行う画像処理に要する時間を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて、前記印刷データに対する画像処理時間に関する情報を示すパフォーマンスレポートを作成するレポート作成部と、
データを外部に出力する出力部とを備え、
前記制御部は、前記レポート作成部が作成した前記パフォーマンスレポートを前記出力部に外部に出力させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記レポート作成部は、前記オブジェクトの種類毎に前記画像処理時間を示す前記パフォーマンスレポートを作成する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記オブジェクトの種類はラスター画像、テキスト、又はベクター図形である請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記レポート作成部は、ラスター画像について、前記オブジェクト毎の前記画像処理時間を示す前記パフォーマンスレポートを作成する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷データを正規化する正規化処理を行う正規化部を更に備え、
前記描画部は、前記正規化部による正規化処理で得られた正規化データを解析し、当該正規化データに含まれるオブジェクトを抽出し、当該抽出したオブジェクト毎に画像処理を行い、
前記測定部は、前記正規化データに含まれる前記オブジェクト毎に行う画像処理に要する時間を測定し、
前記レポート作成部は、前記正規化データに対する前記画像処理時間に関する情報を前記パフォーマンスレポートに追加する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記レポート作成部は、前記印刷データに対する前記画像処理時間が予め定められた時間以上である場合、又は前記印刷データのデータ量が予め定められた量以上である場合には、前記印刷データが示す画像全体を前記パフォーマンスレポートに収まる縮小処理を行い、当該縮小処理後の画像を前記パフォーマンスレポートに貼り付ける請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷対象ドキュメントの印刷データを受け付け、印刷対象ドキュメントを記録媒体に形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等で作成されたドキュメント(文書)を、プリンターで印刷するとき、当該ドキュメントは、パソコン等でページ記述言語(Page Description Language;PDL)と呼ばれるプログラミング言語に変換され、印刷データとしてプリンターに送信される。
【0003】
プリンターでは、パソコン等から送信されて来た印刷データを描画データへ変換する必要がある。例えば、プリンターは、印刷データに対してレンダリング処理を行うことで描画データを生成する(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8879112号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷データにレンダリング処理等の画像処理を行い、描画データを生成するにはある程度の時間を要する。特に、印刷データ(印刷対象ドキュメント)にカラーイメージデータが含まれている場合、レンダリング処理にはかなりの長い時間を要することがある。
【0006】
レンダリング処理に要する時間が長くなると、生産性が低下し、ユーザーにとって使い勝手が良いとは言えない。また、上記時間が長くなり過ぎると、プリンターが、印刷処理を強制終了してしまうことも考えられる。
【0007】
上記したように、印刷対象ドキュメントの構成要素が原因で、上記時間が長くなることがある。換言すれば、ユーザーが印刷対象ドキュメントを印刷に適するように作成できれば、上記時間を短くすることが可能になる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、印刷に適する印刷対象ドキュメントの作成を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、印刷対象ドキュメントの印刷データを受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記印刷データを解析し、前記印刷データに含まれるオブジェクトを抽出し、当該抽出したオブジェクト毎に画像処理を行うことで描画データを生成する描画部と、前記画像形成部を制御し、前記描画部が生成した前記描画データに基づいて、前記記録媒体に画像を形成させる制御部と、前記オブジェクト毎に行う画像処理に要する時間を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づいて、前記印刷データに対する画像処理時間に関する情報を示すパフォーマンスレポートを作成するレポート作成部と、データを外部に出力する出力部とを備え、前記制御部は、前記レポート作成部が作成した前記パフォーマンスレポートを前記出力部に外部に出力させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作成されるユーザーはパフォーマンスレポートを参照することで、印刷データ(印刷対象ドキュメント)に対する画像処理時間を知ることができるので、どのようなドキュメントが印刷に適し、どのようなドキュメントが印刷に適さないのかを学習できるようになる。従って、ユーザーによる印刷に適する印刷対象ドキュメントの作成を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図2】印刷対象ドキュメントの一例を示す図である。
図3図2に示した印刷対象ドキュメントの印刷データに対するパフォーマンスレポートの一例を示す図である。
図4】画像形成装置における制御ユニットで行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図5図2に示した印刷対象ドキュメントの印刷データに対するパフォーマンスレポートの一例を示す図である。
図6】第3実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図7図2に示した印刷対象ドキュメントの印刷データに対するパフォーマンスレポートの一例を示す図である。
図8】印刷対象ドキュメントの一例を示す図である。
図9図8に示した印刷対象ドキュメントの印刷データに対するパフォーマンスレポートの一例を示す図である。
図10図8に示した印刷対象ドキュメントの印刷データに対するパフォーマンスレポートの一例を示す図である。
図11】印刷対象ドキュメントに貼り付けられる地図の一例を示す図である。
図12図8に示した印刷対象ドキュメントの印刷データに対するパフォーマンスレポートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。
【0013】
画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、及び記憶部8を含んで構成されている。画像形成装置1には、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの外部記憶媒体7が脱着可能に構成されている。
【0014】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部6は、ADF(Auto Document Feeder)であり、図略の原稿載置トレイを備え、原稿載置トレイに載置されている原稿を原稿読取部5へ供給する。
【0015】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0016】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、画像メモリー等に記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0017】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は図略の排出トレイに排出される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0018】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0019】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0020】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の外部装置(例えば、パソコン92や携帯端末93)と種々のデータの送受信を行う通信インターフェイスである。ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲における出力部の一例である。
【0021】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、各種の制御プログラム等を記憶する。
【0022】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、受付部101と、描画部102と、測定部103と、レポート作成部104と、を備えている。
【0023】
制御ユニット10は、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、受付部101、描画部102、測定部103、及びレポート作成部104として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0024】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、記憶部8、及び外部記憶媒体7と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成装置1による画像形成に必要な各種の処理などを実行する。
【0025】
受付部101は、印刷対象ドキュメントの印刷データを受け付ける。受付部101は、ネットワークインターフェイス部91を介して、パソコン92や携帯端末93等から送信され受信した印刷データを受け付ける。また、受付部101は、画像形成装置1に設けられたUSBインターフェイス等を介してUSBメモリー等の外部記憶媒体7に保存されている印刷データを受け付ける。印刷データは、画像形成装置1で解析可能なページ記述言語で記載されたデータである。当該USBインターフェイスは、特許請求の範囲における出力部の一例である。
【0026】
描画部102は、受付部101が受け付けた印刷データを解析し、印刷データに含まれるオブジェクトを抽出し、当該抽出したオブジェクト毎に画像処理を行い、画像処理後の全てのオブジェクトの画像からなる描画データを生成する。具体的には、描画部102は、オブジェクト毎にレンダリング処理を行うことで描画データを生成する。オブジェクトの種類はラスター画像、テキスト、及びベクター図形である。
【0027】
図2は、印刷対象ドキュメントの一例を示す図である。図2に示した印刷対象ドキュメントD1は、オブジェクトとして、2つの写真PH1,PH2と、5つの文字からなる文字列L1と、十字形状をした図柄PA1と、を有する。
【0028】
描画部102は、例えば、受付部101が印刷対象ドキュメントD1の印刷データを受け付けると、当該印刷データを解析し、ラスター画像として2つの写真PH1,PH2を抽出し、テキストとして文字列L1を構成する5つの文字を抽出し、そしてベクター図形として図柄PA1を抽出し、合計8つのオブジェクトを抽出する。
【0029】
描画部102は、更に、抽出したオブジェクト毎に画像処理を行うことで描画データを生成する。例えば、描画部102は、上記8つのオブジェクトそれぞれに対して画像処理を行う。制御部100は、画像形成部12等を制御し、描画部102が生成した描画データに基づいて、記録媒体に画像を形成させる。
【0030】
測定部103は、オブジェクト毎に行う画像処理に要する時間を測定する。例えば、測定部103は、上記の各オブジェクトに対する画像処理の開始時刻及び終了時刻を記憶し、開始時刻から終了時刻までの長さを算出することにより、画像処理に要する時間を測定する。
【0031】
レポート作成部104は、測定部103による測定結果を用いて、印刷データに対する画像処理時間に関する情報を示すパフォーマンスレポートを作成する。図3は、印刷対象ドキュメントD1の印刷データに対するパフォーマンスレポート(Performance Report)の一例を示す図である。
【0032】
図3においてパフォーマンスレポートR1の上下中央より下に、印刷対象ドキュメントD1の印刷データに対する画像処理時間(Total Processing Time)が10秒で、ラスター画像のオブジェクト(Raster Objects)に対する画像処理時間が9.7秒で、テキストのオブジェクト(Text Objects)に対する画像処理時間が0.1秒で、ベクター図形のオブジェクト(Vector Objects)に対する画像処理時間が0.2秒であることが示されている。また、パフォーマンスレポートR1の図3において右下には、印刷データに対する画像処理時間の種類毎の割合を示す円グラフが示されている。
【0033】
また、パフォーマンスレポートR1の図3において上段左側には、印刷対象ドキュメントD1が有する文字列L1のフォント(Arial)、及び印刷対象ドキュメントD1が有するオブジェクトの個数が種類毎に示されている。具体的には、パフォーマンスレポートR1に、ラスター画像のオブジェクトが2個、テキストのオブジェクトが5個、ベクター図形のオブジェクトが1個であることが示されている。
【0034】
制御部100は、レポート作成部104が作成したパフォーマンスレポートを外部出力させる。これにより、パフォーマンスレポートがユーザーに提示される。外部出力の例として、例えば、制御部100は、画像形成部12等を制御し、記録媒体に上記パフォーマンスレポートを画像形成させ、又は、制御部100は、上記パフォーマンスレポートを、ネットワークインターフェイス部91を介して、電子メールで予め登録された宛先に送信する。
【0035】
次に、画像形成装置1における制御ユニット10で行われる処理の一例を図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、例えば、受付部101が、パソコン92等から送信されてきた印刷データを受け付けたときに行われる処理である。
【0036】
描画部102は、受付部101が受け付けた印刷データを解析し、印刷データに含まれるオブジェクトを抽出する(S1)。更に、描画部102は、上記パフォーマンスレポートを作成する設定が有効であるか否かを判断する(S2)。上記パフォーマンスレポートを作成する設定の有効/無効は、ユーザーによる操作で操作部47に入力された有効指示又は無効指示に従って、制御部100が有効/無効の設定を制御ユニット10に内蔵されるメモリー等に記憶させている。描画部102は、当該有効/無効の設定内容に従って、上記パフォーマンスレポートを作成する設定が有効であるか否かを判断する。
【0037】
描画部102は、上記設定が無効と判断した場合(S2でNO)、上記抽出したオブジェクト毎に画像処理を行い(S3)、描画データを生成する(S4)。制御部100は、画像形成部12等を制御し、描画部102が生成した描画データが示す画像を記録媒体上に形成させる(S5)。この後、処理を終了する。
【0038】
一方、描画部102は、上記設定が有効と判断した場合(S2でYES)、上記抽出したオブジェクトを、種類(ラスター画像、テキスト、ベクター図形)を区別して記憶部8に保存する(S6)。
【0039】
測定部103は、制御ユニット10に内蔵された時計から現在時刻を、画像処理の開始時刻として取得する(S7)。描画部102は、ある1つのオブジェクトに対して画像処理を実行する(S8)。測定部103は、1つのオブジェクトについて画像処理が終了すると、上記時計から現在時刻を、当該オブジェクトについての画像処理の終了時刻として取得する(S9)。
【0040】
測定部103は、取得した開始時刻及び終了時刻から画像処理に要した時間を算出し(S10)、画像処理したオブジェクトに対応付けて、画像処理時間を示す情報を記憶部8に保存する(S11)。
【0041】
そして、描画部102が、画像処理すべきオブジェクトが残っているか否かを判断し(S12)、画像処理すべきオブジェクトが残っていると判断した場合(S12でYES)、S7乃至S11の処理が再度行われる。すなわち、描画部102は、別のオブジェクトに対して画像処理を実行し、測定部103は、画像処理時間を測定する。
【0042】
一方、描画部102は、画像処理すべきオブジェクトは残っていない(すべてのオブジェクトに対して画像処理を実行した)と判断した場合(S12でNO)、画像処理後の各オブジェクトについてのデータを用いて描画データを生成する(S13)。制御部100は、画像形成部12等を制御し、描画部102が生成した描画データが示す画像を記録媒体上に形成させる(S14)。
【0043】
その後、レポート作成部104は、記憶部8に保存されている画像処理時間を示す情報を用いてパフォーマンスレポートを作成する(S15)。制御部100は、レポート作成部104が作成したパフォーマンスレポートを、画像形成部12による画像形成、又はネットワークインターフェイス部91による外部装置への送信等により、外部に出力する(S16)。この後、処理は終了する。
【0044】
上記第1実施形態によれば、各オブジェクトについての画像処理時間を示す情報を用いてパフォーマンスレポートを作成して出力するため、ユーザーはパフォーマンスレポートを参照することで、印刷データ(印刷対象ドキュメント)に対する画像処理時間を知ることができる。このため、ユーザーは、ドキュメントに要した画像処理時間を参照することで、どのドキュメントが印刷に適し(画像処理時間が適度)、どのドキュメントが印刷に適さない(画像処理時間が過度に長い)のかを学習できるようになる。従って、印刷に適する印刷対象ドキュメントの作成を容易にすることができる。
【0045】
図3に例を示したように、画像処理時間がオブジェクトの種類毎にユーザーに提示されるので、ユーザーはパフォーマンスレポートを参照することで、画像処理時間が長くなりやすいオブジェクトの種類を容易に認識できる。また、パフォーマンスレポートR1からも分かるように、一般的に、ラスター画像に対する画像処理時間は、テキスト及びベクター図形に対する画像処理時間と比較して、長くなる。
【0046】
そこで、第2実施形態として、レポート作成部104は、ラスター画像について、オブジェクト毎に画像の内容及び画像処理時間を示すパフォーマンスレポートを作成するようにする。図5は、印刷対象ドキュメントD1の印刷データに対するパフォーマンスレポートの別の一例を示す図である。
【0047】
図5に示したパフォーマンスレポートR2には、ラスター画像である写真PH1に対する画像処理時間が0.6秒で、写真PH2に対する画像処理時間が9.1秒であることが示されている。これにより、ユーザーはパフォーマンスレポートR2を参照することで、写真PH1ではなく、写真PH2に対する画像処理に大きな負荷が掛かっていることを認識することができる。
【0048】
更に第3実施形態を説明する。図6は、第3実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。上記第3実施形態に係る画像形成装置は、制御ユニット10が正規化部105を備える点で、上記第1実施形態に係る画像形成装置と相違する。制御ユニット10は、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、更に、正規化部105としても機能する。第1及び第2実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0049】
正規化部105は、印刷データを正規化する正規化処理を行う。印刷データの正規化処理として、オブジェクトが示す特徴量の値の範囲を一定の範囲内に収めるように変換する既知の一般的な正規化手法を採用する。例えば、正規化部105は、正規化処理として、印刷データが示す各画素や各色が0から255の値で示されている場合、印刷データの値を0.0から1.0の範囲内に収まるように変換する。
【0050】
描画部102は、正規化部105による正規化で得られた正規化データを解析し、当該正規化データに含まれるオブジェクトを抽出し、当該抽出したオブジェクト毎に画像処理を行う。すなわち、描画部102は、オリジナルの印刷データよりもデータ量の軽い正規化データに含まれるオブジェクトに対しても画像処理を行う。
【0051】
測定部103は、正規化データに含まれるオブジェクト毎に行う画像処理に要する時間を測定する。正規化データに対する画像処理時間は、オリジナルの印刷データに対する画像処理時間と比較して、同じ又は短くなる。
【0052】
レポート作成部104は、正規化データに対する画像処理時間に関する情報をパフォーマンスレポートに追加する。図7は、印刷対象ドキュメントD1の印刷データに対するパフォーマンスレポートの更に別の一例を示す図である。
【0053】
図7に示したパフォーマンスレポートR3には、オリジナルの印刷データに対する画像処理時間(Processing Time)が10秒で、ラスター画像、テキスト、及びベクター図形それぞれに対する画像処理時間が9.7秒、0.1秒、0.2秒であることが示されている。
【0054】
また、パフォーマンスレポートR3には、正規化データに対する画像処理時間(Normalized Data Processing Time)が1秒で、ラスター画像、テキスト、及びベクター図形それぞれに対する画像処理時間が0.7秒、0.1秒、0.2秒であることが示されている。従って、ユーザーはパフォーマンスレポートR3を参照することで、正規化によって、ラスター画像に対する画像処理時間が9秒短くなることを知ることができる。また、パフォーマンスレポートR3には、両者を比較する棒グラフが示されている。
【0055】
図8は、印刷対象ドキュメントの別の一例を示す図である。図8に示した印刷対象ドキュメントD2には、地図アプリケーションを利用した地図データが示す画像である地図M1が貼り付けられている。図9及び図10は、図8に示した印刷対象ドキュメントD2の印刷データに対するパフォーマンスレポートの一例を示す図である。
【0056】
図9及び図10に示したパフォーマンスレポートR4,R5には、印刷対象ドキュメントD2の印刷データに対する画像処理時間(Processing Time)が3600秒で、ラスター画像、テキスト、及びベクター図形それぞれに対する画像処理時間が600秒、1800秒、1200秒であることが示されている。
【0057】
また、図10に示したパフォーマンスレポートR5には、正規化データに対する画像処理時間(Normalized Data Processing Time)が1秒で、ラスター画像、テキスト、及びベクター図形それぞれに対する画像処理時間が0.7秒、0.1秒、0.2秒であることが示されている。また、パフォーマンスレポートR5には、両者を比較する棒グラフが示されている。
【0058】
画像処理時間が3600秒と長くなるのは、印刷データのデータ量が過大であることが原因の一つと考えられる。例えば、ユーザーがパソコン等で作成した印刷対象ドキュメントD2は、パソコン等のディスプレイ上では、図8に示したように表示されていたとしても、実際には見た目よりも遥かに大きい地図が印刷対象ドキュメントD2に貼り付けられている可能性がある。
【0059】
例えば、図11に示すような地図M2が印刷対象ドキュメントD2に貼り付けられている可能性がある。すなわち、印刷対象ドキュメントD2は地図M2のデータを含むが、印刷時の設定により、地図M2の地図M1部分だけが図8に示すように印刷されている場合がある。地図M2は地図M1を含んでいるが、地図M1は地図M2全体のほんの一部であり、図11から明らかなように、地図M2は地図M1よりも遥かに大きく、地図M2には数多くのラスター画像、テキスト、及びベクター図形のオブジェクトが含まれている。
【0060】
そこで、第4実施形態として、レポート作成部104は、印刷データに対する画像処理時間が予め定められた時間以上である場合、又は印刷データのデータ量が予め定められた量以上である場合、当該印刷データが示す画像全体をパフォーマンスレポートに収めるのに適した予め定められたデータ量となる大きさに縮小し、当該縮小後の画像をパフォーマンスレポートに追加する。図12は、図8に示した印刷対象ドキュメントD2の印刷データに対するパフォーマンスレポートの別の一例を示す図である。
【0061】
図12に示したパフォーマンスレポートR6には、印刷データが示す画像全体を縮小した画像が貼り付けられている。ユーザーは、パフォーマンスレポートR6を参照することで、印刷したい画像は地図M1部分だけであるのに、ドキュメントD2には、データ量が大きい地図M2全体を示す画像が含まれていること(不要な情報が数多く含まれていること)を把握可能になる。
【0062】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、図1乃至図12を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
12 画像形成部
100 制御部
101 受付部
102 描画部
103 測定部
104 レポート作成部
105 正規化部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12