(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179735
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H04N1/00 567L
H04N1/00 838
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098798
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノラン・イワイ
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB40
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC15
5C062AC58
(57)【要約】
【課題】機密性を有する機密性原稿について原稿読取後におけるセキュリティーを確保する。
【解決手段】画像形成装置1は、原稿載置台6Aと、画像読取部11と、普通原稿収納部220と、機密内容を含む機密性原稿を収納して隔離する機密性原稿収納部260と、普通原稿収納部220又は機密性原稿収納部260に普通原稿又は機密性原稿をそれぞれ切り換え搬送する切換部262と、読み取られた原稿情報を文字情報に変換する文字情報変換処理と、文字情報に機密情報が含まれている場合は機密性原稿として切換部262を制御して機密性原稿収納部260に収納させ、文字情報に機密情報が含まれていない場合は普通原稿として切換部262を制御して普通原稿収納部220に排出する原稿振分処理とを実行する制御部100を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
原稿が載置される原稿載置台と、
前記原稿載置台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記原稿載置台に載置された原稿が読み取られた後の普通原稿が排出される排出原稿載置台と、
前記排出原稿載置台の直下に設けられ、機密内容を含む機密性原稿を収納して隔離する機密性原稿収納部と、
前記排出原稿載置台又は前記機密性原稿収納部に普通原稿又は機密性原稿を、それぞれ切り換え搬送する動作を行う切換部と、
読み取られた原稿の画像を文字情報に変換する文字情報変換処理と、前記文字情報に機密情報が含まれている場合は前記機密性原稿として前記切換部を制御して前記機密性原稿収納部に収納させ、前記文字情報に機密情報が含まれていない場合は前記普通原稿として前記切換部を制御して前記排出原稿載置台に排出する原稿振分処理とを実行する制御部とを有する、画像読取装置。
【請求項2】
報知を行う報知部を更に備え、
前記制御部は、予め定められた時間以上の時間で前記機密性原稿収納部に前記機密性原稿が存在する場合は、前記報知部により報知を行わせる、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取装置に人体が近接しているか離れているかを検知する人体近接検知部を更に備え、
前記制御部は、予め定められた時間以上の時間で前記機密性原稿収納部に前記機密性原稿が存在し、かつ、前記人体近接検知部により前記画像読取装置に対して人体が離れていると検知された場合に、前記報知部により報知を行わせる、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記機密性原稿収納部は、機密性原稿を収納する収納領域に対する外部からのアクセスを遮蔽及び開放する鍵付の開閉機構を備え、
前記制御部は、予め定められた時間以上の時間で前記機密性原稿収納部に前記機密性原稿が存在し、かつ、前記人体近接検知部により前記画像読取装置に対して人体が離れていると検知された場合に、前記報知部により報知を行わせると共に、前記開閉機構を施錠する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像読取装置と、
前記制御部による制御で前記画像読取部による原稿読取で得られた画像を記録媒体上に画像形成する画像形成部とを備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、多機能を備えた複合機が提案されている。一方、読み取る原稿(ドキュメントともいう)には、機密性が高い機密情報も印刷されていることがある。ところが、機密性が高い情報を含む原稿を読み取り作業終了後に、プラテンガラスである載置台に置き忘れることがしばしば発生する。このような、機密情報を含む原稿の置き忘れを防止するための技術が、例えば特許文献1から特許文献3に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、プラテンに原稿が置き忘れていた場合に、その原稿を印刷させたユーザーに置き忘れを報知する。つまり、特許文献1に記載の技術は、プラテンに取り残された原稿を検出し、ユーザーがコピーまたはスキャン操作を完了すると、アラームを鳴らし、或いはユーザーに通知する。
【0004】
特許文献2には、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)の原稿排出トレイの下方に透明な部材を介して視認できる収納部を備え、この収納部にマニュアル等の冊子やサービスパーツ或いは予備の原稿等を収納しておくことが開示されている。この技術の場合、収納部が透明であるため、送られた原稿も視認可能であるので置忘れが防止される。
【0005】
特許文献3には、第1搬送部を構成する第1筐体と、第2搬送部を構成する第2筐体と、搬送された用紙が合流する部分である第3筐体とで構成された印刷装置が開示されている。この印刷装置の第2筐体は、第1搬送経路は確保しつつ、第2搬送部を覆うように設けられている。また、第2筐体には、開閉可能な上蓋が設けられており、当該上蓋を開くことにより第2筐体を開くことが可能であるものとする。そして、用紙搬送装置の第2筐体には、ロック機構部が設けられており、指示に従ってロック機構部が第2筐体をロックした場合には、第2筐体の上蓋を開くことができないものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-051402号公報
【特許文献2】特開2006-203562号公報
【特許文献3】特開2012-111576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術の場合は、原稿は依然としてプラテン上に存在しているので、機密性が高い原稿を第三者である他人に取得されるおそれがある。また、特許文献2に開示されている技術の場合は、読み取られた原稿が視認できて置き忘れ防止にはなるがセキュリティーが確保できない。特許文献3に開示されている技術の場合は、読取後の原稿についてのセキュリティーを確保する技術ではない。
【0008】
本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、自動原稿送り装置(ADF(Auto Document Feeder))で読み込んだ原稿が機密性を有する場合に、読取後の機密性原稿を、機密性を有しない普通原稿とは別の排出先である機密性原稿収納部に隔離することで、機密性を有する機密性原稿について原稿読取後におけるセキュリティーを確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、原稿が載置される原稿載置台と、前記原稿載置台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記原稿載置台に載置された原稿が読み取られた後の普通原稿が排出される排出原稿載置台と、前記排出原稿載置台の直下に設けられ、機密内容を含む機密性原稿を収納して隔離する機密性原稿収納部と、前記排出原稿載置台又は前記機密性原稿収納部に普通原稿又は機密性原稿を、それぞれ切り換え搬送する動作を行う切換部と、読み取られた原稿の画像を文字情報に変換する文字情報変換処理と、前記文字情報に機密情報が含まれている場合は前記機密性原稿として前記切換部を制御して前記機密性原稿収納部に収納させ、前記文字情報に機密情報が含まれていない場合は前記普通原稿として前記切換部を制御して前記排出原稿載置台に排出する原稿振分処理とを実行する制御部とを有するものである。
【0010】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、本発明の一局面に係る前記画像読取装置と、前記制御部による制御で前記画像読取部による原稿読取で得られた画像を記録媒体上に画像形成する画像形成部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動原稿送り装置で読み込んだ原稿が機密性を有する場合に、読取後の機密性原稿を、機密性を有しない普通原稿とは別の排出先である機密性原稿収納部に隔離することで、機密性を有する機密性原稿について原稿読取後におけるセキュリティーを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す正面からみた図である。
【
図2】画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】画像形成装置1による原稿種別に応じた原稿排出の処理を示すフローチャートである。
【
図4】仕分け排出を行う際における原稿仕分処理を示すフローチャートである。
【
図7】切換部が原稿を機密性原稿収納部に案内する場合における装置内部を示す側面図である。
【
図8】切換部が原稿を普通原稿収納部に案内する場合における装置内部を示す側面図である。
【
図9】画像形成装置による報知処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す正面からみた図である。
【0014】
図2は、画像形成装置1の内部構成を示すブロック図である。なお、画像形成装置1は、コピー機能、送信機能、印刷機能、及びファクシミリ機能等の複数の機能を備える複合機である。
【0015】
画像形成装置1は、例えば、複合機(MFP(Multifunction Peripheral
)からなる。画像形成装置1は、原稿載置台(読み取る前の原稿が載置される台)に載置された紙媒体である原稿(ドキュメントともいう)をスキャンすると、画像形成装置1は、読み取られた原稿の画像データに対してOCR(Optical Character Reader)を実行してテキストデータを取得し、当該テキストデータから、機密性が記された原稿かどうかを判断し、機密性がない原稿(以下、普通原稿という)は、後述する切換部262により、スキャン後の原稿が排出される排出トレイ(以下、普通原稿収納部220という)へ搬出し、機密性のある原稿(以下、機密性原稿という)は切換部262により、普通原稿収納部220の例えば直下に設けられた、後述する機密性原稿収納部260に保管する。
【0016】
切換部262による切換動作については後で詳細に説明する。なお、普通原稿と機密性原稿とを総称して原稿と称する。このとき、画像形成装置1は、ユーザーが当該画像形成装置1の近くにいる場合は、機密性原稿収納部260の側板265を開放状態にし、ユーザーが当該画像形成装置1を離れた場合に、機密性原稿収納部260の側板265を閉状態にして(施錠状態という)、そのユーザーに機密性原稿の置き忘れを電子メール又はアラームで報知する。
【0017】
すなわち、スキャン関連のジョブを実行した後、複数の機密性原稿がユーザーにより画像形成装置1に置き忘れられた場合に、他のユーザーに機密性原稿を持ち去られないようにすることで、機密性原稿のセキュリティーを確保する。なお、秘密、秘匿、極秘等を総称して本実施の形態では機密と称して説明する。また、機密性のあるキーワードは、機密情報と称して説明する。
【0018】
図1を参照して、さらに説明する。画像形成装置1の筐体には、画像形成装置1の様々な機能を実現するための複数の機器が収容されている。画像形成装置1は、画像読取部11、画像形成部12、定着部13、給紙部14、及び搬送部17等を備える。画像形成装置1の筐体の正面には、表示部15及び操作部16が設けられている。
【0019】
画像読取部11は、原稿がセットされる原稿載置台6Aに載置されている原稿を搬送する原稿搬送部6と、原稿搬送部6によって搬送されてくる原稿を内部に取り込むローラー10と、光学的に読み取るスキャナー(スキャナーランプ240等(
図1参照))を含むADF(Auto Document Feeder)とで構成されるものである。
【0020】
画像読取部11は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCD(Charge-Couple device)センサーで受光することによって、原稿を読取って原稿画像を示す画像データを生成する。この画像読取部11と、後述する制御部100の原稿を読み取る制御を行う処理を含んで処理対象のデータ(請求項の原稿情報)を取得する。
【0021】
画像形成部12は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び転写装置を含む。画像形成部12は、画像読取部11によって生成された画像データ、又は、通信部22を介して情報処理装置(図示せず)等から受信した画像データ等に基づいて、搬送部17によって搬送路280に沿って搬送されてくる記録紙Pに、トナー像によって構成されている画像を形成する。
【0022】
定着部13は、画像形成部12によってトナー像が形成された記録紙Pを加熱及び加圧することによってトナー像を記録紙Pに定着させる。定着部13によってトナー像が定着された記録紙Pは、排出トレイ8に排出される。給紙部14は、手差しトレイ、及び複数の給紙カセットを備える。給紙部14は、複数の給紙カセットのいずれかに収容されている記録紙P、又は手差しトレイに載置されている記録紙をピックアップローラーによって一枚ずつ引出して、搬送路280に給紙する。
【0023】
表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ等によって構成されている表示装置である。表示部15は、制御部100の制御にしたがって、画像形成装置1によって実行可能な各ジョブについての各種の画面を表示する。
【0024】
操作部16は、各ジョブの実行を開始するための指示を入力するためのスタートキー16A、設定キー16B、及び表示部15に重ねて配置されているタッチパネル16Cを含む。
【0025】
搬送部17は、搬送ローラー対17A及び排出ローラー対17B等と、搬送ローラー対17A及び排出ローラー対17B等と接続されている搬送モーターとを含む。制御部100は、搬送モーターを駆動させて搬送ローラー対17A及び排出ローラー対17B等を回転させることによって、画像形成部12及び排出トレイ8に向けて、給紙部14によって給紙された記録紙Pを搬送路280に沿って搬送させる。
【0026】
さらに、機密性原稿収納部260は、側板265が、機密性原稿収納部260の開口部を開閉する扉として動作する。側板265には、施錠機構263(ロック機構)が設けられている。施錠機構263は、側板265を、開口部を閉じた状態で施錠し、又は解錠する。施錠機構263により解錠されると側板265は開口部を開放する位置に移動可能となる。施錠機構263については後述する。
【0027】
制御部100は、画像形成装置1の全体制御を司る。より詳細には、制御部100は、画像形成装置1の各部の動作、及び、ネットワークを介して接続されているPC(Personal Computer)等の外部装置との通信を制御する。
【0028】
なお、制御部100は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit:制御部ともいう)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部100は、記憶部18等に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により各種の動作制御を実行する。
【0029】
また、制御部100は、原稿搬送部6、画像読取部11、画像形成部12、定着部13、給紙部14、表示部15、操作部16、搬送部17、記憶部18、画像処理部19、画像メモリー20、ファクシミリ通信部21、スピーカー28、施錠機構263、及び通信部22等と電気的に接続されている。
【0030】
さらに、制御部100は、切換部262と、人体の近接及び離接を検出する人体近接検知部である近接センサー26を制御する。近接センサー26は、例えば赤外線センサーからなる。近接センサー26は、画像形成装置1から一定範囲内の距離(例えば、1m以内)にいる人体を検知する。近接センサー26は、人体の検知又は非検知を示す信号を制御部100に出力する。
【0031】
原稿検知センサー300は、原稿載置台6A上における原稿の有無を検知するセンサーである。近接センサー26は、例えば発光部及び受光部を備え光センサーからなり、発光部から原稿に照射した光の反射光が受光部で受光できた場合に制御部100に原稿有信号を出力し、上記反射光が受光部で受光できない場合に制御部100に原稿無信号を出力する。
【0032】
記憶部18は、HDD(ハードディスクドライブ)等からなり、画像読取部11によって生成された画像データ等の各種データを記憶するための大容量の記憶装置である。記憶部18は、制御部100による制御で画像形成装置1の一般的な動作を実現するための上記制御プログラムを記憶する。記憶部18内の記憶領域には、読み込んだ原稿の画像データ、機密情報リスト等が記憶されている。
【0033】
画像処理部19は、画像処理用の回路であり、画像読取部11によって生成された画像データに対して、必要に応じて画像処理を実行する。画像メモリー20は、画像読取部11によって生成された画像データを一時的に記憶する領域を含む。ファクシミリ通信部21は、公衆回線への接続を行ない、公衆回線を介して画像データの送受信を行なう。
【0034】
通信部22は、LAN(Local Area Network)ボード等の通信モジュールを含む。画像形成装置1は、通信部22を介して、ネットワークを介して接続されているPC等の外部装置とデータ通信を行なう。
【0035】
制御部100は、上記制御プログラムが上記プロセッサーによって実行されることにより、更に、画面表示処理、文字情報変換処理、機密情報検出処理、普通及び機密性原稿判定処理、普通及び機密性原稿切換処理、及び報知処理、施錠処理等を実行する。
【0036】
画面表示処理は、表示部15に各種設定画面(図示せず)を表示する処理である。文字情報変換処理は、画像読取部11によって取得された画像データから例えばOCR(Optical Character Recognition)により文字情報を抽出してテキストデータに変換する処理である。機密情報検出処理は、文字情報変換処理により変換された文字情報から機密情報を検出する処理である。
【0037】
普通及び機密性原稿判定処理は、文字情報に機密情報が検出された場合に、読み取られた原稿が機密性原稿であると判定し、文字情報に機密情報が検出されない場合に、読み取られた原稿が普通原稿であると判定する処理である。
【0038】
普通及び機密性原稿切換処理は、機密性原稿と判定された場合には、切換部262に対して原稿搬送を機密性原稿収納部260側に切り換えさせる動作を行わせ、普通原稿と判定された場合には、切換部262に対して原稿搬送を普通原稿収納部220側に切り換えさせる処理である。
【0039】
報知処理は、機密性原稿収納部260に一定時間、機密性原稿が存在する場合に、スピーカー28により音を出力させ、又は通信部22により外部装置、例えば、ユーザー所有の通信端末機器に電子メールを送信させる処理である。スピーカー28及び通信部22は、特許請求の範囲における報知部の一例である。
【0040】
施錠処理は、予め定められた時間以上の時間で機密性原稿収納部260に機密性原稿が存在していて、かつ、近接センサー26により、ユーザーが当該画像形成装置1から離れていない(画像形成装置1から予め定められた範囲内(例えば2m以内)に人体が存在する)ことを検知している場合に、施錠機構263に施錠を行わせる処理である。
【0041】
次に、画像形成装置1による原稿種別に応じた原稿排出の処理を説明する。
図3は、画像形成装置1による原稿種別に応じた原稿排出の処理を示すフローチャートである。
【0042】
まず、ユーザーは、読取対象とする原稿を画像読取部11の原稿載置台上に載置する(スキャン/コピー/ファックス)。
【0043】
制御部100は、ユーザーによる操作で操作部16に、普通原稿収納部220に読取後の全ての原稿を排出させる普通原稿排出、読取後の原稿を機密性原稿又は非機密性原稿に仕分をして排出させる仕分け排出、或いは、機密性原稿収納部260に読取後の全ての原稿を排出させる機密性原稿排出、のいずれかを選択する指示が入力されるのを待機している(S10,S10でNO)。
【0044】
制御部100は、操作部16に選択指示が入力されたとき(S10でYES)、操作部16に入力された選択指示が、普通原稿排出、仕分け排出、又は機密性原稿排出のいずれを示すかを判定する(S11)。
【0045】
制御部100は、操作部16に普通原稿排出の選択指示が入力された場合(S11で「普通原稿排出」)、画像読取部11により原稿載置台上の原稿を読み取らせ、読取後の原稿を原稿搬送部6により搬送させて、切換部262を、原稿を普通原稿収納部220側に案内する方向に切り換えて、普通原稿収納部220に読取後の全ての原稿を排出させる(S12)。また、制御部100は、操作部16に機密性原稿排出の選択指示が入力された場合(S11で「機密性原稿排出」)、画像読取部11により原稿載置台上の原稿を読み取らせ、読取後の原稿を原稿搬送部6により搬送させて、切換部262を、原稿を機密性原稿収納部260側に案内する方向に切り換えて、機密性原稿収納部260に読取後の全ての原稿を排出させる(S13)。
【0046】
一方、制御部100は、操作部16に仕分け排出の選択指示が入力された場合(S11で「仕分け排出」)、画像読取部11により原稿載置台上の原稿を読み取らせ、読取後の原稿を原稿搬送部6により搬送させ、読み取った原稿が普通原稿の機密性原稿のいずれであるかに応じて、切換部262の原稿案内方向を切り替えさせて、原稿を普通原稿収納部220又は機密性原稿収納部260に仕分けて排出させる、という原稿仕分処理を実行する(S14)。
【0047】
次に、上記仕分け排出を行う際における原稿仕分処理を説明する。
図4は、上記仕分け排出を行う際における原稿仕分処理を示すフローチャートである。
図5は、機密情報テーブルの一例を示す図である。
【0048】
画像形成装置1は、記憶部18に、機密情報の各種別と、機密情報とする文字群を種別毎に記憶する機密情報テーブルTBを記憶している。
図5に例を示すように、機密情報テーブルTBには、例えば、上記種別として、名前、年齢、メールアドレス、…免許証番号が記憶されている。更に、機密情報テーブルTBには、例えば、種別「名前」の機密情報として、「大阪太郎」、「京都花子」、「神戸次郎」等の名前を示す文字群が記憶されている。また、機密情報テーブルTBには、例えば、種別「年齢」の機密情報として、0~120歳までの年齢を示す文字情報が記憶されている。更に、機密情報テーブルTBには、例えば、種別「メールアドレス」の機密情報として、「abcdefgh@mail.com」、「aabbccddee@mail.jp」、等のメールアドレスを示す文字群が記憶されている。更に、機密情報テーブルTBには、例えば、種別「免許番号」の機密情報として、「CD-1895644」、「GF-4561230」、等の免許番号を示す文字群が記憶されている。これら各種別及び各種別に対応付ける文字群は、ユーザーによる操作で操作部16に入力される、又は通信部22により外部装置から予め定められた形式(例えばcsv形式等)のファイルで受信される、により制御部100が取得し、制御部100が機密情報テーブルTBに記憶させる。
【0049】
制御部100は、操作部16に仕分け排出の選択指示が入力されたとき(S11で「仕分け排出」)、
図6に例を示すような、どのような種別及び情報を機密情報とするかの指示の入力を促す機密情報設定画面G1を表示部15に表示させる(S21)。機密情報設定画面G1においては、機密情報とする種別及び情報の選択を受け付けるための選択ボタンとして、例えば、名前ボタンB1、年齢ボタンB2、メールアドレスボタンB3…免許証番号ボタンB17が表示される。
【0050】
制御部100は、ユーザーにより上記いずれかの選択ボタンが操作されたとき、操作された選択ボタンに対応する種別及び情報を機密情報とする機密情報選択指示を受け付ける(S23)。このとき、制御部100は、ユーザーにより複数の選択ボタンが操作されたときは、操作された複数の選択ボタンに対応する全ての種別及び情報を機密情報とする指示を受け付ける。
【0051】
続いて、制御部100は、ユーザーによる操作で操作部16に原稿読取指示が入力された場合(S24でYES)、画像読取部11による原稿載置台上の原稿の読取を開始させる(S25)。このとき、制御部100は、原稿搬送部6を制御して画像読取部11により原稿載置台上の原稿を1枚ずつ読み取らせる。
【0052】
上記原稿読取による原稿読取で原稿が1枚読み取られる度に、制御部100は、当該原稿読取で得た画像データに対して文字情報変換処理を行って当該画像データから文字情報を抽出してテキストデータに変換する(S26)。そして、制御部100は、当該変換後のテキストデータが示す文字情報に対する機密情報検出処理により、文字情報に機密情報が含まれているかを検出する(S27)。
【0053】
続いて、制御部100は、上記文字情報に機密情報が含まれている場合に、読み取られた原稿が機密性原稿であると判定する(S28でYES)。このように判定したとき、制御部100は、
図7に例を示すように、切換部262を動作制御して、切換部262を、搬送路290における普通原稿収納部220への入口を閉じて機密性原稿収納部260への入口を開放し、原稿を機密性原稿として機密性原稿収納部260に案内する姿勢とさせる(S29)。このため、ローラー10により搬送されてきた原稿は機密性原稿として、機密性原稿収納部260に搬送される。
【0054】
このとき、制御部100は、近接センサー26により人体が検出されている場合(S30でYES)、すなわち、ユーザーが画像形成装置1から一定範囲内の距離(例えば、1m以内)に存在していると判定している場合は、施錠機構263を解錠させて開状態にする(S31)。この場合、原稿を読み取らせたユーザーがそのまま画像形成装置1の周辺に滞在しているとして、機密性原稿収納部260の側板265は施錠されず、当該ユーザーが、機密性原稿収納部260内の機密性原稿にアクセス可能となるようにしている。施錠機構263は、例えば、電磁的な施錠機構を備え、制御部100による電磁力の制御で、施錠又は解錠状態が切り換えられる。
【0055】
制御部100は、近接センサー26により人体が検出されていない場合(S30でNO)、施錠機構263を施錠させて閉状態にする(S35)。この場合、原稿を読み取らせたユーザーが画像形成装置1の周辺から離れたとして、当該ユーザー以外の第三者が、機密性原稿収納部260内の機密性原稿にアクセスできないようにしている。
【0056】
一方、S28において、制御部100は、上記文字情報に機密情報が含まれておらず、読み取られた原稿が機密性原稿ではない普通原稿であると判定した場合(S28でNO)、切換部262を動作制御して、
図8に例を示すように、切換部262を、搬送路290における機密性原稿収納部260への入口を閉じて普通原稿収納部220への入口を開放し、原稿を普通原稿として普通原稿収納部220に案内する姿勢とさせる(S32)。このため、ローラー10により搬送されてきた原稿は普通原稿として、普通原稿収納部220に搬送される。
【0057】
S31、S32及びS35の後、制御部100が、原稿検知センサー300からの原稿有無検知信号に基づいて、原稿載置台上における原稿の有無を判断し(S33)、原稿載置台上に原稿が有ると判断した場合は(S33でYES)、処理はS25に戻る。また、制御部100が、上記原稿有無検知信号に基づいて、原稿載置台上に原稿がないと判断した場合は(S33でNO)、処理は終了する。
【0058】
次に、画像形成装置1による報知処理を説明する。
図9は、画像形成装置1による報知処理を示すフローチャートである。
【0059】
制御部100は、原稿載置台6A上の原稿を全て読み取って普通原稿収納部220又は機密性原稿収納部260に排出し終えたとき、近接センサー26からの出力信号に基づいて、近接センサー26により人体が検出されているか否か、すなわち、ユーザーが画像形成装置1から一定範囲内の距離(例えば、1m以内)に存在しているか否かを判定する(S61)。
【0060】
制御部100は、近接センサー26により人体が検出されていないと判定したとき(S61でNO)、機密性原稿収納部260に機密性原稿が存在するかどうかを判定する(S62)。例えば、制御部100は、上記の原稿読取動作時に、読み取られた原稿が少なくとも1枚機密性原稿であると判定していたときは、機密性原稿収納部260に機密性原稿が存在すると判定する。
【0061】
ここで、制御部100は、機密性原稿収納部260に機密性原稿が存在すると判定したとき(S62でYES)、その時点から内蔵するタイマーにより時間計測を開始させておく(S63)。
【0062】
続いて、制御部100は、上記タイマーが一定時間(例えば2分)経過したかを判断する(S66)。制御部100は、上記タイマーが一定時間経過したと判断したとき(S66でYES)、施錠機構263を施錠させて閉状態にする(S67)。このとき、機密性原稿収納部260の側板265は施錠されており、ユーザー及び第三者は、機密性原稿収納部260内の機密性原稿にアクセスできない状態である。更に、制御部100は、スピーカー28によりアラーム音を出力させる(S68)。更に、制御部100は、通信部22により外部装置、例えば、ユーザー所有の通信端末機器に向けて、機密性原稿収納部260に機密性原稿が残っていることを示す内容の電子メールを送信させる(S70)。
【0063】
例えば、制御部100は、電子メールの本文に、「機密性原稿収納部に原稿が載置されたままになっています。」、又は、「機密性原稿収納部に原稿を置き忘れています。」といったメッセージを含ませ、更に、施錠機構263の解錠が許可されるパスワードを当該メッセージに含める。制御部100は、当該パスワードを記憶しており、ユーザーの操作により操作部16に当該パスワードが入力されたときは、施錠機構263を解錠させる。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、
図1乃至
図9を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
11 画像読取部
15 表示部
16 操作部
100 制御部
26 近接センサー
262 切換部
263 施錠機構
265 側板
220 普通原稿収納部
260 機密性原稿収納部
28 スピーカー