(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179743
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ケアサービス提供支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241219BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098832
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】319007561
【氏名又は名称】株式会社ヒューマニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100159547
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴谷 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100223365
【弁理士】
【氏名又は名称】大町 真義
(72)【発明者】
【氏名】西 薫
(72)【発明者】
【氏名】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】山田 一久
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L099
【Fターム(参考)】
5L049BB67
5L049CC11
5L050CC11
5L099AA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケアのサービスの提供の準備段階において、ケアサービス提供者及びケアサービス受益者が行う一連の作業を、効率化させ、よりスムーズに行えるケアサービス契約支援方法を提供する。
【解決手段】方法は、ケアサービス受益者側の携帯端末に紐づいたアドレスを用いて、ケアサービスに関する重要事項説明書へのアクセスを可能とさせる第1のURIを送信し、ケアサービス受益者が重要事項説明書を理解し同意したことの意思表示を示す第1の情報の受取りに応答して、ケアサービス受益者が重要事項説明書に第1の情報を付加した、同意済重要事項説明書を生成し、ケアサービス受益者側に、ケアサービスに関する契約書へのアクセスを可能とさせる第2のURIを送信し、ケアサービス受益者が契約書に同意したことを示す第2の情報の受取りに応答してケアサービス提供者が契約書に同意したことの意思表示を示す第3の情報を付加した合意済契約書を生成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケアサービスを提供するケアサービス提供者と、前記ケアサービスを受ける者又は前記ケアサービスを受ける者の前記ケアサービスの内容に関して同意する権限を有する者であるケアサービス受益者との間の契約に付随する書類の作成支援を、サーバ装置が実行するケアサービス契約支援方法であって、
前記ケアサービス受益者側の携帯端末に、該携帯端末に紐づいたアドレスを用いて、前記ケアサービスに関する重要事項説明書へのアクセスを可能とさせる第1のURIを送信することと、
前記ケアサービス受益者が前記重要事項説明書を理解し同意したことの意思表示を示す第1の情報を、前記携帯端末を介して受け取ることと、
前記第1の情報を受け取ったことに応答して、前記ケアサービス受益者が前記重要事項説明書に前記第1の情報を付加した、同意済重要事項説明書を生成することと、
前記ケアサービス受益者側の携帯端末に、前記ケアサービスに関する契約書へのアクセスを可能とさせる第2のURIを送信することと、
前記ケアサービス受益者が前記契約書に同意したことの意思表示を示す第2の情報を、前記携帯端末から受け取ることと、
前記第2の情報を受け取ったことに応答して、前記第2の情報と、前記ケアサービス提供者が前記契約書に同意したことの意思表示を示す第3の情報とを付加した、合意済契約書を生成することと、
を有するケアサービス契約支援方法。
【請求項2】
前記アドレスは、前記携帯端末を一意に特定するアドレス又は前記携帯端末の電話番号である、
請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項3】
前記同意済重要事項説明書と、合意済契約書と、前記アドレスとを相互に対応付けて記憶すること、
を更に有する、請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項4】
前記第1の情報、前記第2の情報、及び前記第3の情報のうちの少なくとも一つは、タッチパネルにより感知された、前記意思表示をする者による署名の情報である、請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項5】
前記第1の情報、前記第2の情報、及び前記第3の情報のうちの少なくとも一つは、前記意思表示をする者によるトリガーで前記携帯端末により撮影された、前記意思表示をする者の顔の映像の情報である、請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項6】
前記携帯端末を介して、前記ケアサービス提供者に対して、AIにより前記重要事項説明書又は前記契約書の説明を含むコミュニケーションがなされた場合、
前記コミュニケーションの内容を含むログを収集することと、
前記ログを記録することと、
を更に有する請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項7】
前記ケアサービス提供者が提示する所定のアドレスに、前記携帯端末から音声通話発信又はテキストメッセージ送信が行われることで、前記サーバ装置は、前記携帯端末の前記アドレスを取得する、請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項8】
前記携帯端末の前記アドレスに、前記携帯端末から同意済重要事項説明書及び/又は合意済契約書にアクセスを可能とさせる第3のURIを含むメッセージを送信すること、
をさらに有する請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項9】
前記契約書に係る契約の期間を延長することに同意する前記ケアサービス受益者からの意思表示を示す第4の情報を受け取ること、
を更に有する請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項10】
重要事項説明書に付随する前記ケアサービス受益者の個人情報に対する前記ケアサービス提供者による取り扱いに同意する前記ケアサービス受益者からの意思表示を示す第5の情報を受け取ること、
を更に有する請求項1に記載のケアサービス契約支援方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載のケアサービス契約支援方法を、前記サーバ装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケアサービス提供支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護などのケア(以下「ケア」という。)が必要となった者は、その者の状態に応じて、ケアサービス提供者から介護などのケアを受けることができる。ケアの提供は、個人の生活の質を向上させ、尊厳を保つという非常に重要な役割を果たす。なお、ケアの提供に際しては、ケアサービス提供者とケアサービス受益者との間で、ケアのサービスの提供に関するしかるべき合意が形成されることが必要である。
【0003】
ケアは、高齢者や身体的・精神的に障害を持つ人々が自立した生活を送る支援を提供する。これにより、当事者は社会とつながりを保ち、自身の能力や可能性を最大限に活かすことができる。
【0004】
また、すべての人が自己決定を尊重され、尊厳を保つことができるように、個々のニーズに対応したケアが提供されることが望まれる。これは、特に能力が低下した人々が自己表現し、自分自身の生活についての決定を下す権利を尊重することにつながる。
【0005】
このような背景から、ケアサービスの提供は、個々の人々だけでなく、社会全体の健康と福祉の向上に寄与し、それは社会的に極めて重要な役割を果たしている。
【0006】
従来、例えば、以下の技術が存在する。介護を受ける者とその家族で形成されるグループに所属する利用者の端末から、所定の文書に対する利用者による同意が得られている場合、同意を行った利用者の所属するグループに所属する利用者の端末を特定し、特定されたグループに所属する利用者からの文書に対する更なる同意を端末が受け付けないようにする指示、又は文書に対する同意が既になされていることを利用者に端末が報知するようにする指示を、特定されたグループに所属する利用者の端末に配信する、情報配信取得処理装置を提供する技術が存在する(特許文献1参照)。
【0007】
なお、ケアの計画は、障害の程度及び介護を受ける者の状況に応じて適切な施設が選択され、適切なケアのレベルが選択され、その選択された施設において提供されるケアに関して、具体的な計画が作成されることが重要である。たとえば、ケアを受ける者又はその家族などの支援者に対して、ケアが提供されるには、重要事項の説明及び契約の締結が前提となる。そして、具体的なケアの内容が提示され、両者で合意されることが必要となる。
【0008】
適切なケアのサービスを受けるためには、ケアサービス受益者は、適切なケアサービス提供者の提供する施設を選択することがまず重要である。ケアサービス受益者は、ケアサービス提供者から、重要事項に関する説明を受け、これを理解しかつ十分に納得し、これに同意することが必要となる。その後、ケアサービス提供者とケアサービス受益者との間で、ケアのサービスを受けることに関する契約を締結することが必要とされる。そして、具体的なケアの内容が合意され、ケアのサービスが提供される。
このように、ケアを受ける者の状況及びニーズが異なれば、ケアを提供する施設、ケアの態様、ケアの具体的計画等も異なる。また、重要事項説明書に対する同意は、ケアサービス受益者が単独で行うのに対して、ケアのサービスを受けることに関する契約の締結には、ケアサービス提供者及びケアサービス受益者の双方が同意すること(合意)が必要となるとともに、重要事項説明書に対する同意が得られていることが前提条件となる。したがって、これに関与する者は、ケアのサービスの提供の準備段階において、多くの労力を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
開示の技術は、ケアのサービスの提供の準備段階において、ケアサービス提供者及びケアサービス受益者が行う一連の作業を、効率化させ、よりスムーズに行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示の技術は、ケアサービスを提供するケアサービス提供者と、前記ケアサービスを受ける者又は前記ケアサービスを受ける者の前記ケアサービスの内容に関して同意する権限を有する者であるケアサービス受益者との間の契約に付随する書類の作成支援を、サーバ装置が実行するケアサービス契約支援方法であって、
前記ケアサービス受益者側の携帯端末に、該携帯端末に紐づいたアドレスを用いて、前記ケアサービスに関する重要事項説明書へのアクセスを可能とさせる第1のURIを送信することと、
前記ケアサービス受益者が前記重要事項説明書を理解し同意したことの意思表示を示す第1の情報を、前記携帯端末を介して受け取ることと、
前記第1の情報を受け取ったことに応答して、前記ケアサービス受益者が前記重要事項説明書に前記第1の情報を付加した、同意済重要事項説明書を生成することと、
前記ケアサービス受益者側の携帯端末に、前記ケアサービスに関する契約書へのアクセスを可能とさせる第2のURIを送信することと、
前記ケアサービス受益者が前記契約書に同意したことの意思表示を示す第2の情報を、前記携帯端末から受け取ることと、
前記第2の情報を受け取ったことに応答して、前記第2の情報と、前記ケアサービス提供者が前記契約書に同意したことの意思表示を示す第3の情報とを付加した、合意済契約書を生成することと、
を有するケアサービス契約支援方法を提供する。
【0012】
また、開示の技術は、ケアサービス契約支援方法を、前記サーバ装置に実行させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
開示の技術によれば、ケアのサービスの提供の準備段階において、ケアサービス提供者及びケアサービス受益者が行う一連の作業を、効率化させ、よりスムーズに行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、開示の技術を実現するケアサービス契約支援システムを示す図である。
【
図2】
図2は、開示の技術の基本的な処理フローを示す図である。
【
図3】
図3は、作成された書面のデータ等を記憶する処理の例を示す図である。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、携帯端末を使用して同意の意思表示が行われる例を示す図である。
【
図6】
図6は、AIなどによるコミュニケーションのログを記録する処理を示す図である。
【
図7】
図7は、開示の技術のハードウエア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で用いる用語を以下のように定義する。
ケア:介護施設、障害者施設などが、提供する援助のサービスを総称してケアと称する。
ケアサービス提供者:ケアのサービスを提供する者をいう。
ケアのサービスを受ける者:ケアサービスを実際に受ける者を言う。
ケアサービス受益者:ケアのサービスを受ける者及びケアサービスを受ける者の家族など、ケアサービスに関して、ケアサービスを受ける者を代理する代理人を言う。
なお、法律に定められた代理人すなわち、ケアサービスを受ける者に意思能力や行為能力を欠く場合に法律により代理権が認められ、代理権を行使する法定代理人、及び、ケアサービスを受ける者から代理権を授与された代理人に加えて、ケアサービス受益者とは、ケアサービスを受ける者の家族など、ケアサービスを受ける者へのケアに対して利益を得る者を含むように広義の解釈をすることができる。
【0016】
<実施形態>
以下、図面を用いて、開示の技術について説明する。
【0017】
図1は、開示の技術を実現するケアサービス契約支援システムを示す図である。ケアサービス提供者側には、ケアサービス提供サーバ100及びケアサービス提供サーバ100に通信可能に接続された端末102が少なくとも存在する。なお、ケアサービス提供サーバ100及び端末102は、必ずしもケアサービス提供者が所有している必要はない。例えば、ケアサービス提供サーバ100及び端末102は、第三者により所有されており、ケアサービス提供者は、端末102を操作できるようになっていればよい。あるいは、ケアサービス提供サーバ100及び端末102は、第三者により所有されており、端末102は、ケアサービス提供者が所有したものであってもよい。
【0018】
ケアサービスを受ける者131、ケアサービスを受ける者131を代理する者132が2名存在している。ケアサービスを受ける者131及びケアサービスを受ける者131を代理する者132は、ケアサービス受益者である。ケアサービス受益者が操作できる携帯端末130が存在する。携帯端末130は、インターネットなどのネットワークを介して、通信可能にケアサービス提供サーバ100に接続されている。なお、携帯端末130は、必ずしもケアサービス受益者の所有物である必要はない。例えば、携帯端末130は、ケアサービス提供者の所有するPC、PAD、携帯電話などであってもよい。
【0019】
ケアサービス提供者からケアのサービスを受けるためには、ケアサービス提供者とケアサービス受益者との間で、ケアのサービスに関する契約を締結することが必要となる。この契約を取り交わすためには、その前に、ケアサービス提供者からケアサービス受益者に対して、重要事項に関する説明が行われ、その重要事項に関してケアサービス受益者が同意することで、契約がスムーズに締結されるための環境が整うこととなる。
【0020】
重要事項とは、例えば、ケアサービス提供者の施設において受けられるケアのサービスの内容、質などに関連する事項があげられる。また、ケアを受ける際に使用される車いすなどの使用に関する条件、利用のための価格などが挙げられる。
【0021】
重要事項は、契約内容よりも、より詳細な事項が多いため、改定される頻度も多くなる傾向がある。例えば、車いすの利用価格などは、新たな車椅子が導入された場合又は車椅子の種類が変更された場合には、利用価格表も改定されることとなる。利用価格表が重要事項説明書に含まれていれば、その部分に関する重要事項の変更について、ケアサービス受益者からの同意を得ることが必要となる。
【0022】
これに対して、契約は、契約書の内容に対して両者(すなわち、ケアサービス提供者とケアサービス提供者)が、それぞれ同意すること(合意すること)によって、締結される。
【0023】
図2は、開示の技術の基本的な処理フローを示す図である。以下に、各ステップについて説明する。各ステップの実行主体は、例えばケアサービス提供サーバである。
[ステップS200]ケアサービス受益者側の携帯端末に、携帯端末に紐づいたアドレスを用いて、ケアサービスに関する重要事項説明書へのアクセスを可能とさせる第1のURIを送信する。
【0024】
URIとは、例えば、ネットワークにおける位置情報、例えば、インターネットにおけるサイトやファイルの位置を示すURLは、その一例である。URIの他の例としては、コンピュータ内にインストールされたアプリケーションを指定する情報及びそのアプリケーションに対して何らかの処理を行わせる指令を組み合わせた情報であってもよい。
【0025】
このステップS200において、ケアサービス受益者に説明する重要事項説明書及びこの情報に付随する情報が記載されたドキュメントファイルの位置を示す第1のURIがケアサービス受益者側に存在する携帯端末に伝達される。携帯端末に紐づいたアドレスは、携帯端末に割り振られた電話番号など、携帯端末を一位に特定できる電話番号又は電話番号に準ずるアドレスであることが望ましい。電話番号又は電話番号に準ずるアドレスを用いることで、ケアサービス受益者側の端末を確実に特定することができ、適切なケアサービス受益者に適切な重要事項説明書等の情報を提供することが可能である。
【0026】
なお、電話番号に準ずるアドレスとは、電話番号と一対一に対応するアドレスを意味し、電話番号と同等に利用できるアドレスを言い、携帯電話番号と同等に、携帯電話を特定できるとともに、適切な携帯電話に適切な情報を伝えることができるものであれば、アドレスの取得方法、アドレスの性質などに制限されない。
【0027】
ケアサービス提供者は、サービス受益者にたいして、重要事項の内容を説明することができる。ケアサービス受益者は、説明を受ける際に、携帯端末の伝達されたURIを用いることによって、重要事項説明書等の情報にアクセスして、携帯端末に表示させることができる。
【0028】
ケアサービス提供者は、ケアサービス受益者と対面で、フェイストゥフェイスで説明行うこともできるし、ネットワークを経由して、リモートの場所からオンラインにて説明を行うこともできる。まお、重要事項の説明は、録画されたビデオの再生、録音された音声の再生などで行われてもよい。あるいは重要事項の説明は、電話などで用いられる自動音声応答(AVR)により、AIの指示により説明がなされてもよい。
【0029】
あるいは、重要事項の説明は、チャットによりなされてもよい。ケアサービス受益者におけるチャットの応対は、人間によりなされてもよいし、チャットボットなどのAIによる自動応答によりなされてもよい。
【0030】
このような人間がリアルタイムに介在しない形式で重要事項の説明がなされた場合は、説明の状況に関して、ログが残されることが望ましい。例えば、ケアサービス受益者が、ビデオを最初から最後まで視聴したか否か、音声説明について、最初から最後まで、聞いたか否かなどのログが残されてもよい。あるいは、AIによるAVRによって、説明がなされた場合あるいはチャットによる場合は、AVRによる音声等での説明内容又はチャットの内容がログとして残されてもよい。これらのログは、ケアサービス提供サーバ100に記録されてもよい。このように人間でないAI又はボットなどがケアサービス受益者に対して説明を行った場合には、その説明のやり取りのログを記録しておくことで、説明が十分になされたか否かに関する争いなどに対して、このログを有効な情報として利用することができる。
処理は、ステップS202に進む。
【0031】
[ステップS202]ケアサービス受益者が重要事項説明書を理解し同意したことの意思表示を示す第1の情報を、携帯端末を介して受け取る。
ケアサービス受益者が重要事項説明書を理解し同意したことの意思表示を示す情報は第1の情報の一例である。意思表示を示す第1の情報には、様々なものが想定される。意思表示は、口頭による意思表示も有効に機能する。しかしながら、口頭による意思表示は、後にその意思表示の有効性が争われる場合などにおいて、意思表示の有効性を証明する際に困難を伴う場合が多い。このため、何らかの証拠としての機能を有する情報があることが望ましい。
従来、紙媒体を用いて同意を示す手書きの署名、印鑑による押印など、物理的な態様で意思表示を示すことは、法的な効力が高いとして扱われていた。
【0032】
開示の技術は、電子的な方法で、意思表示を表明する態様を採用することができる。採用される態様により、意思表示の法的な効力には差が生じることとなる。本開示の技術で採用され得る意思表示の形態の例については、後述する。
処理はステップS204に移る。
【0033】
[ステップS204]第1の情報を受信したことに応答して、ケアサービス受益者が重要事項説明書に第1の情報を付加した、同意済重要事項説明書を生成する。重要事項説明書にケアサービス受益者の同意を示す意思表示である第1の情報を付加して、一体とした1つの文書情報を形成することによって、ケアサービス受益者の重要事項説明書に対する同意の有効性に関する後の争いに対処することがより容易になる。第1の情報を付加された同意済重要事項説明書は、ケアサービス提供サーバ100に記録されてもよい。
処理はステップS206に移る。
【0034】
[ステップS206]ケアサービス受益者側の携帯端末に、ケアサービスに関する契約書へのアクセスを可能とさせる第2のURIを送信する。
ケアサービス提供者とケアサービス受益者との間に交わされる契約書の情報及びこの情報に付随する情報が記載されたドキュメントファイルの位置を示す第2のURIがケアサービス受益者側に存在する携帯端末に伝達される。
処理はステップS208に移る。
【0035】
[S208]ケアサービス受益者が契約書に同意したことの意思表示を示す第2の情報を、携帯端末から受け取る。
契約書の内容についての説明は、既に述べた重要事項説明書に関する説明と同様の手段が用いられ得る。本開示の技術で採用され得る両者の意思表示の形態の例については、後述する。
【0036】
ケアサービス受益者が契約書を理解し同意したことの意思表示を示す情報は第2の情報の一例である。ケアサービス提供者とケアサービス受益者との間で、契約書の記載内容に対して合意(同意)がなされれば、契約書の内容が両者を拘束する。
【0037】
なお、両者のうちいずれが先に意思表示を示すかは、任意である。例えば、ケアサービス提供者が先に契約書の内容に同意する旨の意思表示を示すのであれば、その意思表示を示す情報が含まれた契約書が、ケアサービス受益者に送られることとしてもよい。ケアサービス提供者が契約書に同意したことの意思表示を示す情報は第3の情報の一例である。
処理はステップS210に移る。
【0038】
[ステップS210]第2の情報を受け取ったことに応答して、第2の情報と、ケアサービス提供者が契約書に同意したことの意思表示を示す第3の情報とを付加した、合意済契約書を生成する。
ケアサービス提供者が契約書に同意したことの意思表示を示す第3の情報が、既に契約書に付加されているのであれば、第2の情報を契約書に付加すればよい。
【0039】
以上によって、両者の合意が示される第2の情報及び第3の情報が付加された合意済契約書が生成される。この合意済契約書は、ケアサービス提供サーバ100に記録されてもよい。
【0040】
開示の技術は、以上の一連の処理によって、重要事項説明書に対するケアサービス受益者の同意、契約書へのケアサービス提供者とケアサービス受益者との合意、これらの書類に対する両者の意思疎通、同意済重要事項説明書並びに合意済契約書の生成を、より容易に遂行することができる。
【0041】
図3は、作成された書面のデータ等を記憶する処理の例を示す図である。
[ステップS300]同意済重要事項説明書と、合意済契約書と、アドレスとを相互に対応付けて記憶する。
【0042】
ここで、アドレスは、重要事項説明書及び契約書にアクセスできる第1のURI及び第2のURIを送った携帯端末のアドレスである。アドレスから、携帯端末を特定することで、携帯端末の画面を見ることができるケアサービス受益者を特定することができる。したがって、アドレスから、意思表示を行ったケアサービス受益者を、特定することができる。したがって、同意済重要事項説明書と、合意済契約書と、アドレスとを相互に対応付けて記憶することで、同意の意思表示を行ったケアサービス受益者と、意思表示の情報から得られるケアサービス受益者との一致を、後に検証することができる。
【0043】
図4A及び
図4Bは、携帯端末を使用して同意の意思表示が行われる例を示す図である。
【0044】
図4Aにおいて、ケアサービス受益者400は、携帯端末450を操作している。携帯端末には、重要事項説明書又は契約書が表示される。また、携帯端末にはその携帯端末に固有の電話番号が割り当てられている。あるいは、電話番号に準ずるアドレスによって、携帯端末との通信が可能であってもよい。
【0045】
携帯端末は、たとえば、電話番号を当て先とするSMS、RCSなどのメッセージ通信を受け取ることができる。メッセージを受信し、メッセージ中に含まれるURIを用いて、携帯端末に重要事項説明書又は契約書が表示されてもよい。
【0046】
図4Aでは、例えば、ケアサービス受益者400が、重要事項説明書の内容に同意する場面が示されている。指410を用いてOKボタン456を押下することで、ケアサービス受益者400は、同意の意思表示を示すことができるようにしてもよい。OKボタンが押下されると、カメラ454により、ケアサービス受益者の写真452が撮影されてもよい。また、OKボタンが押下された日時、携帯端末の場所、携帯端末のハードウエアに割り当てられた固有の番号(例えばMACアドレス)などが記録されてもよい。
【0047】
ケアサービス受益者の同意を示す証拠として、撮影された写真452が、重要事項説明書に含められてもよい。写真452が付加された重要事項説明書は、同意済重要事項説明書の一例である。また、ケアサービス提供者の写真及びケアサービス受益者400の写真452が付加された契約書は、合意済契約書の一例である。
なお、写真には、撮影日時、携帯端末の場所、携帯端末のハードウエア固有の番号などが合わせて映し込まれていてもよい。
【0048】
図4Bは、指412により、携帯端末のタッチパネルに書かれた署名472が示されている。署名472のデータは、署名情報の一例である。署名情報は、上述の写真と同様に、意思表示を示す情報として取り扱うことができる。
上述の写真又は署名情報は、前記第1の情報、前記第2の情報、及び前記第3の情報の一例である。
【0049】
なお、意思表示の情報は、写真及び署名情報に限られるものではない。例えば、電子署名が意思表示の情報として採用されてもよい。また、意思表示の日時を特定できるように、タイムスタンプが併せて用いられてもよい。
【0050】
図5A、
図5B及び
図5Cは、変形例を示す図である。
図5Aは、同意済重要事項説明書又は合意済契約書を携帯端末に表示させる例を示す図である。
【0051】
[ステップS500]携帯端末のアドレスに、携帯端末から同意済重要事項説明書及び/又は合意済契約書にアクセスを可能とさせる第3のURIを含むメッセージを送信される。
同意済重要事項説明書又は合意済契約書にアクセスするためのURIが、例えば、ケアサービス提供サーバ100から、携帯端末130に送信されてもよい。このURIには、同意済重要事項説明書又は合意済契約書の文書ファイルが格納されている位置を示す情報を含ませることができる。
このようにすることによって、ケアサービス受益者に、同意済重要事項説明書又は合意済契約書を提示することができる。
【0052】
図5Bは、ケアサービス受益者の個人情報の取り扱いに関して、ケアサービス受益者からの同意の意思表示を取得する処理を示している。
[ステップS510]重要事項説明書に付随するケアサービス受益者の個人情報に対するケアサービス提供者による取り扱いに同意するケアサービス受益者からの意思表示を示す第5の情報を受け取る。
【0053】
サービス受益者のうちサービスを受ける者の個人情報は、ケアサービス提供者が提供するケアがなされる場所などで、複数者に共有される場合があり得る。例えば、ケアサービスを受ける者の年齢、身体情報、氏名、病歴などの個人情報は、ケアを提供する者の間で共有することが必要となる場合が想定される。
【0054】
したがって、ケアを受ける者の個人情報の取り扱いに関して、ケアサービス受益者から、事前に同意を得ておくことが重要である。なお、この個人情報の取り扱いの内容については、重要事項説明書に含まれてもよい。この場合には、個人情報の取り扱いに関する同意は、重要事項説明書の内容に関する同意によってなされることになる。
図5Cは、契約期間の延長に関する手続きの例を示した図である。例えば、「ケアサービス受益者が契約の更新を希望し、ケアサービス提供者が所定の期間内に明示的に契約の更新に反対の意思表示をしない場合、契約期間は所定の期間だけ延長される」という契約更新の条項が存在する場合を想定する。この場合、契約が更新されるためには、ケアサービス受益者から、契約更新に同意する旨の意思表示がなされる必要がある。下記のステップS520は、その処理を実現する処理である。
[ステップS520]前記契約書に係る契約の期間を延長することに同意する前記ケアサービス受益者からの意思表示を示す第4の情報を受け取る。
このステップS520のケアサービス受益者からの契約更新の意思表示があれば、ケアサービス提供者の明示的な契約更新の意思表示がなくても、契約は更新されることとなる。
ケアサービス受益者からの契約更新の意思表示は、第4の情報の一例である。この第4の情報の取得は、重要事項説明書の同意の意思表示の情報を取得する処理を説明した
図4に示す処理を用いることができる。この場合、契約更新に際して、ケアサービス提供者の明示的な意思表示はなされなくてもよいこととなる。
なお、契約自由の原則に基づき、両者のいずれかから明示的な契約更新を打ち切る旨の意思表示がない限り、契約が所定の期間だけ自動更新される旨の契約条項が契約書に含まれている場合には、契約更新に際して、両者のいずれからも意思表示を求めることは不要である。
【0055】
図6は、AIなどによるコミュニケーションのログを記録する処理を示す図である。以下に処理を説明する。
[ステップS650]携帯端末を介して、ケアサービス提供者に対して、AIにより重要事項説明書又は契約書の説明を含むコミュニケーションがなされたか否かがチェックされる。チェック内容が肯定的(Yes)であれば、処理はステップS652に移る。チェック内容が否定的(No)であれば、処理は終了する。
[ステップS652]コミュニケーションの内容を含むログを収集する。
[ステップS654]ログを記録する。
ケアサービス提供者からケアサービス受益者に対する重要事項説明書又は契約書の説明が、携帯端末130を介して、AIによる自動音声応答、AIによるバーチャル画像と音声による説明、ビデオ再生、録音再生などによる両者のコミュニケーションで実行される場合を想定する。
この場合には、コミュニケーションの内容を含むログが収集され、そのログが記録されるようにすることが望ましい。
例えば、AIによる説明又は、ケアサービス受益者とのコミュニケーションが適切であったか否かが、後に争いとなる場合を想定し、このコミュニケーションをログに記録することで、コミュニケーションが適切であったか否かを適切に検証することができる。
すでに説明したように、説明がビデオ再生又は録音された音声データの再生などで行われた場合でも、ケアサービス受益者が、ビデオを最初から最後まで視聴したか否か、音声説明について、最初から最後まで、聞いたか否かなどのログが残されてもよい。
図7は、開示の技術のハードウエア構成を示す図である。
ハードウエア構成は、CPU601、本実施形態のプログラム及びデータが格納され得るROM602、RAM603、ネットワークインターフェース605、入力インタフェース606、表示インタフェース607、外部メモリインタフェース608を有する。これらのハードウエアは、バス604によって相互に接続されている。
【0056】
ネットワークインターフェース605は、ネットワーク615に接続されている。ネットワーク615には、有線LAN、無線LAN、インターネット、電話網などがある。入力インタフェース606には、入力部616が接続されている。表示インタフェース607には、表示部617が接続される。表示部617は、複数の表示装置により実現されてもよい。外部メモリインタフェース608には、記憶媒体618が接続される。記憶媒体618は、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、メモリーカード、USBメモリ等であってもよい。
【0057】
加えて、例示したフローチャートの各フローは、矛盾のない限り順番を入れ替えることができる。また、矛盾のない限り、例示された1つのフローを、異なるタイミングで、複数回実行することができる。また、矛盾のない限り、複数のフローを同時に実行したりすることができる。また、全てのステップが必須のものではなく、矛盾の無い限り、1つ又は複数のステップ又は1つのステップの中の一部の手順が存在しないか、実行されなくてもよい。また、各ステップは、オペレーティングシステム又はハードウエアで実行されてもよい。また、プログラムは、非一時的な記憶媒体に記憶された状態で配布され得る。
【0058】
上述の実施形態を実現するプログラム及び方法は、
図7に示されるハードウエア構成を備えるコンピュータにより実行され得る。すなわち、実施形態のプログラムは、コンピュータに実行させる方法として、インプリメントされてもよい。
プログラムは記憶媒体618、ROM602、又はRAM603に記憶されてもよい。
各実施形態は、プログラムをインストールしたハードウエアの装置としてインプリメントされ得る。
【符号の説明】
【0059】
100 ケアサービス提供サーバ
102 端末
130 携帯端末