IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ハイブリッド車両 図1
  • 特開-ハイブリッド車両 図2
  • 特開-ハイブリッド車両 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179771
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/40 20071001AFI20241219BHJP
   B60K 6/24 20071001ALI20241219BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20241219BHJP
【FI】
B60K6/40
B60K6/24 ZHV
B60K6/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098904
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】藤原 成啓
【テーマコード(参考)】
3D202
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202EE00
3D202EE01
3D202EE19
3D202EE23
(57)【要約】
【課題】コンパクトな構成のハイブリッドシステムを備えたハイブリッド車両を提供することを課題とする。
【解決手段】ハイブリッド車両は、ドライサンプ潤滑方式を採用するエンジンと、前記エンジンから駆動輪までの動力伝達経路に配置され、発電可能であるとともに前記エンジンを始動可能に設けられたモータジェネレータと、前記エンジンに供給されたオイルをオイルタンクへ回収するスカベンジポンプと、を有するハイブリッドシステムを備える。前記スカベンジポンプは、前記エンジンの側方下部に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライサンプ潤滑方式を採用するエンジンと、前記エンジンから駆動輪までの動力伝達経路に配置され、発電可能であるとともに前記エンジンを始動可能に設けられたモータジェネレータと、前記エンジンに供給されたオイルをオイルタンクへ回収するスカベンジポンプと、を有するハイブリッドシステムを備え、
前記スカベンジポンプは、前記エンジンの側方下部に配置された、
ハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクトなエンジンレイアウトを可能とする提案が種々行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-272569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジンとモータとを組み合わせたハイブリッド車両では、エンジン単独でコンパクトな構成を実現するだけでなく、モータや補機類を含むハイブリッドシステム全体としてコンパクトなパッケージとすることが求められる。特許文献1は、エンジン単体の提案であり、ハイブリッド車両に搭載した場合の提案とはなっていない。
【0005】
そこで、本明細書開示の発明は、コンパクトな構成のハイブリッドシステムを備えたハイブリッド車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、ドライサンプ潤滑方式を採用するエンジンと、前記エンジンから駆動輪までの動力伝達経路に配置され、発電可能であるとともに前記エンジンを始動可能に設けられたモータジェネレータと、前記エンジンに供給されたオイルをオイルタンクへ回収するスカベンジポンプと、を有するハイブリッドシステムを備え、前記スカベンジポンプは、前記エンジンの側方下部に配置されたハイブリッド車両によって達成される。
【発明の効果】
【0007】
本明細書開示の発明は、コンパクトな構成のハイブリッドシステムを備えたハイブリッド車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態のハイブリッド車両の概略構成図である。
図2図2は実施形態のハイブリッド車両を前側から見たときのエンジン及びエンジン周辺に設置された主要な構成部品の位置関係を模式的に示す図である。
図3図3は比較例のハイブリッド車両を前側から見たときのエンジン及びエンジン周辺に設置された主要な構成部品の位置関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されて描かれている場合もある。さらに、図面によっては、主要な構成部品のみが描かれている。
【0010】
(実施形態)
[ハイブリッド車両]
図1を参照すると、本実施形態のハイブリッド車両(以下、単に「車両」という)100は、車体101、前輪102及び後輪103を備える。車体101には、ハイブリッドシステム1が搭載されている。ハイブリッドシステム1は、エンジン10、モータジェネレータ(以下、「MG」と表記する)30及びトランスアクスル40を含む。エンジン10は、車体101の右側座席104a及び左側座席104bよりも前側に搭載されている。MG30及びトランスアクスル40は、車体101の右側座席104a及び左側座席104bよりも後側に搭載されている。エンジン10とMG30とは、トルクチューブ20を介して接続されている。後輪103は、ドライブシャフト45を介してトランスアクスル40と接続されている。本実施形態のハイブリッドシステム1は、エンジン10から駆動輪である後輪103までの動力伝達経路にMG30及びトランスアクスル40を備えたワンモータハイブリッドシステムである。MG30の側方には、エアコンユニット50aが配置されている。
【0011】
車両100は、前輪102の向きを変更するためのステアリングシャフト15、ステアリングラック16a、ステアリングインターミディエイトシャフト17a及びステアリングホイール18aを備える。ステアリングラック16a、ステアリングインターミディエイトシャフト17a及びステアリングホイール18aは、右ハンドル仕様とされており、ステアリングホイール18aが右側座席104aの前側に位置するように配置されている。車両100は、仕向地によって右ハンドル仕様と左ハンドル仕様の場合がある。車両100が左ハンドル仕様である場合は、図1において点線で示されたステアリングラック16b、ステアリングインターミディエイトシャフト17b及びステアリングホイール18bを備える。
【0012】
[エンジン]
エンジン10は、走行動力源となる。本実施形態におけるエンジン10は、V型8気筒エンジンを想定しているが、その形式は、これに限定されるものではない。エンジン10は直列エンジンであってもよい。また、エンジン10の気筒数は、適宜選定することができる。エンジン10は、その両側に設けられたエンジンマウント11を介して車体101に取り付けられている。エンジン10は、ドライサンプ潤滑方式を採用している。エンジン10は、その下部にエンジン各部に供給されたオイルを収集するオイル収集部10aを備える。オイル収集部10aは、オイル流路14を介してオイルタンク13と接続されている。オイルタンク13は、右側の前輪102の後方に配置されている。オイル流路14には、スカベンジポンプ12が設けられている。スカベンジポンプ12は、エンジン10が備えるクランクシャフトによって駆動され、オイル収集部10aに収集されたオイルを吸引する。吸引されたオイルは、オイルタンク13に回収される。オイルタンク13に回収されたオイルは、高圧ポンプであるフィードポンプ19によって再びエンジン10の各部に供給される。
【0013】
[MG]
MG30は、走行動力源として機能するとともに、発電機として機能する。また、MG30は、トルクチューブ20を介して接続されているエンジン10を始動させるスタータとしての機能も備えている。このため、本実施形態の車両100では、オルタネータとスタータが廃止されている。MG30によって発電された電気は、車両100が備える図示しないバッテリに蓄電される。
【0014】
[スカベンジポンプの配置]
ここで、図1とともに図2及び図3を参照して車両100におけるスカベンジポンプ12の配置について説明する。図2は実施形態の車両100を前側から見たときのエンジン10及びエンジン10周辺に設置された主要な構成部品の位置関係を模式的に示す図である。また、図3は比較例の車両200を前側から見たときのエンジン10及びエンジン10周辺に設置された主要な構成部品の位置関係を模式的に示す図である。図3において、車両100と共通する構成要素については、同一の参照番号が付されている。また、図2及び図3では、図1に描かれているエンジンマウント11、ステアリングシャフト15及びステアリングインターミディエイトシャフト17aは省略されている。
【0015】
図2を参照すると、スカベンジポンプ12は、エンジン10の右側方下部に配置されている。スカベンジポンプ12の下部は、エンジン10の下部に設けられたオイル収集部10aの下端部10a1よりも上側の位置している。オイル収集部10aの下端部10a1からエンジン10の上縁までの高さはT1である。スカベンジポンプ12は、エンジン10の左側方下部に配置してもよい。スカベンジポンプ12のエンジン10に対する左右方向の位置は、車両100が右ハンドル仕様であるか左ハンドル仕様であるかに応じて選定するようにしてもよい。
【0016】
図3を参照すると、図2においてスカベンジポンプ12が配置されている領域に、オルタネータ51が配置されている。オルタネータ51もスカベンジポンプ12と同様にエンジン10が備えるクランクシャフトによって駆動される。エンジン10の側方にはエンジンマウント11が設けられている。このため、スカベンジポンプ12とオルタネータ51は、エンジンマウント11との干渉を避けつつ、相互の干渉を避けるために、上下方向にずれた状態で配置されている。この結果、スカベンジポンプ12は、オイル収集部10aの下端部10a1よりも下方に突出した状態に配置されている。図3に示す比較例の車両200では、さらにオイル収集部10aとスカベンジポンプ12と接続する配管が下方に突出している。この配管からエンジン10の上縁までの高さはT2である。なお、比較例では、エンジン10の左側方にエアコンユニット50bが配置されている。
【0017】
本実施形態では、MG30が発電を行う。このため、オルタネータが廃止されている。そして、比較例においてオルタネータ51が配置されている領域にスカベンジポンプ12が配置されている。この結果、高さT1を低くすることができ、高さT1は、高さT2と比較したときに、T1<T2とすることができる。高さT1を低くすることで、車両100の重心を低くすることができる。また、ボンネットの位置を低くすることができ、車両100の空力特性を改善することができる。
【0018】
また、スカベンジポンプ12をオイル収集部10aの下端部10a1から突出しないように配置することで、エンジン10の下部を平坦にすることができる。これにより、車体101に設けられるクロスメンバーの配置の自由度が向上する。クロスメンバーを効果的に配置することで、車体101の剛性を向上させることができる。また、クロスメンバーを効果的に配置することで、部材の数を減らしつつ、車体101に必要な剛性を確保することができるため、車体101の重量を低下させることができる。
【0019】
さらに、本実施形態の車両100は、オルタネータとスタータを装備していない。このため、車両100は、その分軽量化されている。また、車両100をコンパクトに形成することができる。
【0020】
また、オルタネータを廃止した領域にスカベンジポンプ12を配置したことで、エンジン10の側方の空間に余裕が生まれる。この空間は、ステアリングインターミディエイトシャフト17aを通すために利用することができる。これにより、ステアリングインターミディエイトシャフト17aは、車体101の中心に寄せた状態で配置することができる。この結果、車両100の車幅方向の寸法を短くすることができる。
【0021】
比較例の車両200では、エアコンユニット50bがエンジン10の左側方に配置されている。これに対し、本実施形態の車両100のエアコンユニット50aは車両後方のMG30の側方に配置されている。このため、エンジン10の左側方の空間に余裕がある。この空間は、左ハンドル仕様のステアリングインターミディエイトシャフト17bを通すために利用することができる。これにより、ステアリングインターミディエイトシャフト17bは、車体101の中心に寄せた状態で配置することができる。この結果、左ハンドル仕様の車両100であっても、その車幅方向の寸法を短くすることができる。
【0022】
このように、本実施形態の車両100はコンパクトな構成のハイブリッドシステム1を備えている。コンパクトなハイブリッドシステムとすることで、幅広い車種展開に対応することができる。また、一般公道を走行することを前提とした量産車両と競技用車両とで部品を供用する比率を向上させることができる。これらは、車両開発費を抑制することができる。
【0023】
[効果]
本実施形態の車両100は、発電可能であるとともにエンジン10を始動可能に設けられたMG30を備える。これにより、オルタネータ及びスタータを廃止することができる。車両100は、オルタネータを廃止することで確保されたエンジン10の側方下部の空間にスカベンジポンプ12を備えている。これにより、ハイブリッドシステム1をコンパクトに形成し、エンジン10の上縁の位置を下げることができる
【0024】
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0025】
1 ハイブリッドシステム、10 エンジン、10a オイル収集部、11 エンジンマウント、12 スカベンジポンプ、13 オイルタンク、14 オイル流路、15 ステアリングシャフト、16a,16b ステアリングラック、17a,17b ステアリングインターミディエイトシャフト、18a,18b ステアリングホイール、19 フィードポンプ、20 トルクチューブ、30 モータジェネレータ(MG)、40 トランスアクスル、45 ドライブシャフト、50a エアコンユニット、100 ハイブリッド車両、101 車体、102 前輪、103 後輪、104a 右側座席、104b 左側座席
図1
図2
図3