(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179781
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】建込み方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/20 20060101AFI20241219BHJP
E02D 7/00 20060101ALI20241219BHJP
E02D 7/16 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E02D5/20 101
E02D7/00 Z
E02D7/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098915
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】井原 啓知
【テーマコード(参考)】
2D049
2D050
【Fターム(参考)】
2D049EA02
2D049GA19
2D049GB06
2D049GC11
2D049GD03
2D049GE03
2D050AA11
2D050EE02
2D050EE03
2D050EE12
(57)【要約】
【課題】上空に線路が存在する場合において、建込みに係る芯材同士の接続作業を低減する建込み方法を提供する。
【解決手段】建込み方法では、掘削孔7は、レール11と、マクラギ13を含み間隔をあけて並べられた複数のマクラギユニット19と、を有する線路3の下方に位置しており、掘削孔7の鉛直上方に位置するマクラギユニット19をレール11の延在方向に移動するマクラギユニット移動工程と、マクラギユニット移動工程によって拡大されたマクラギユニット19同士の間隙20を上方から通過させて切削可能芯材9Aを掘削孔7に挿入する芯材挿入工程と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削孔に芯材を建込む建込み方法であって、
前記掘削孔は、レールと、マクラギを含み間隔をあけて並べられた複数のマクラギ部と、を有する線路の下方に位置しており、
前記掘削孔の鉛直上方に位置する前記マクラギ部を前記レールの延在方向に移動するマクラギ部移動工程と、
前記マクラギ部移動工程によって拡大された前記マクラギ部同士の間隙を上方から通過させて前記芯材を前記掘削孔に挿入する芯材挿入工程と、を備える、建込み方法。
【請求項2】
前記線路は、前記マクラギ部を支持する支持桁を備え、
前記マクラギ部移動工程では、前記支持桁に対して前記マクラギ部が前記レールの延在方向にスライドされる、請求項1に記載の建込み方法。
【請求項3】
前記マクラギ部移動工程では、移動される前記マクラギ部以外の他の前記マクラギ部と前記レールとの間にスペーサーを挟み込んで、移動される前記マクラギ部から前記レールを浮かせた状態で、当該マクラギ部が移動される、請求項1に記載の建込み方法。
【請求項4】
前記芯材挿入工程では、
前記掘削孔に先に建込まれている他の芯材に対して前記芯材を接続して継ぎ足す作業が、前記線路の下方のスペースで実行される、請求項1に記載の建込み方法。
【請求項5】
前記芯材は切削可能芯材である、請求項1に記載の建込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建込み方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の杭打ち方法が知られている。この種の杭打ち方法では、地盤に鉛直な掘削孔が形成され当該掘削孔に杭の芯材が建込まれる。杭の施工現場に空頭制限がある場合には、制限内で短い芯材を順次接続し継ぎ足しながら芯材の建込みが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空頭制限が厳しいほど継ぎ足しに係る芯材を短くせざるを得ない。そして、継ぎ足しに係る芯材が短いほど芯材同士の接続作業の回数が多くなり、工期が長くなる傾向にある。特に、上空に線路が存在する場合には空頭制限が厳しいことが多いが、この種の芯材の建込みにおいては、芯材同士の接続作業が低減されることが望まれる。本発明は、上空に線路が存在する場合において、建込みに係る芯材同士の接続作業を低減する建込み方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は以下の〔1〕~〔5〕に存する。
【0006】
〔1〕掘削孔に芯材を建込む建込み方法であって、前記掘削孔は、レールと、マクラギを含み間隔をあけて並べられた複数のマクラギ部と、を有する線路の下方に位置しており、前記掘削孔の鉛直上方に位置する前記マクラギ部を前記レールの延在方向に移動するマクラギ部移動工程と、前記マクラギ部移動工程によって拡大された前記マクラギ部同士の間隙を上方から通過させて前記芯材を前記掘削孔に挿入する芯材挿入工程と、を備える、建込み方法。
【0007】
〔2〕前記線路は、前記マクラギ部を支持する支持桁を備え、前記マクラギ部移動工程では、前記支持桁に対して前記マクラギ部が前記レールの延在方向にスライドされる、〔1〕に記載の建込み方法。
【0008】
〔3〕前記マクラギ部移動工程では、移動される前記マクラギ部以外の他の前記マクラギ部と前記レールとの間にスペーサーを挟み込んで、移動される前記マクラギ部から前記レールを浮かせた状態で、当該マクラギ部が移動される、〔1〕又は〔2〕に記載の建込み方法。
【0009】
〔4〕前記芯材挿入工程では、前記掘削孔に先に建込まれている他の芯材に対して前記芯材を接続して継ぎ足す作業が、前記線路の下方のスペースで実行される、〔1〕~〔3〕の何れか1項に記載の建込み方法。
【0010】
〔5〕前記芯材は切削可能芯材である、〔1〕~〔4〕の何れか1項に記載の建込み方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上空に線路が存在する場合において、建込みに係る芯材同士の接続作業を低減する建込み方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の建込み方法が適用される施工現場を示す平面図である。
【
図3】(a)は
図1のIIIa-IIIa断面図であり、(b)はマクラギユニットの分解斜視図であり、(c)はマクラギに対するレールの固定構造を示す断面図である。
【
図6】(a)は建込み予定位置近傍の線路の平面図であり、(b)はマクラギユニット移動工程におけるマクラギユニットのレールの状態を示す断面図であり、(c)はマクラギユニット移動工程における他のマクラギユニットのレールの状態を示す断面図である。
【
図7】(a)はマクラギユニット移動工程における施工現場の平面図であり、(b)はそのVIIb-VIIb断面図である。
【
図10】
図9に続いて芯材挿入工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明に係る建込み方法の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の建込み方法が適用される施工現場101を示す平面図であり、
図2はそのII-II断面図であり、
図3(a)はそのIIIa-IIIa断面図である。施工現場101では、地盤5に鉛直な掘削孔7が形成され、掘削孔7に芯材9が建込まれる。このような掘削孔7及び芯材9が水平方向に連続して地中に構築されることで、シールドマシーン用の発進立坑の土留壁が地中に建造される。芯材9は、シールドマシーンによって切削可能な部分を含むものである。
【0015】
芯材9は、H字状の断面をなす長尺の部材であり、分割された複数のH字断面の芯材が長手方向に連結されて構成される。連結される上記芯材には、シールドマシーンによって切削可能な非金属材料からなる切削可能芯材9A(
図8参照)と、通常の鋼製のH鋼からなる芯材(以下「通常芯材9B」と呼ぶ)が含まれる。例えば、切削可能芯材9Aの上下にそれぞれ適切な長さ分の通常芯材9Bが連結されることにより、土留壁のうちの必要な深度位置に切削可能部分が形成される。例えば、1本の切削可能芯材9Aの長さは約10mであり、1本の通常芯材9Bの長さは約1.5mである。
【0016】
本実施形態の施工現場101では、芯材9の建込み予定位置8が線路3の鉛直直下に位置する。例えば、地盤5から線路3までの高さは約4mであり、すなわち、芯材9の建込み予定位置8の鉛直上方の約4mの位置に線路3が存在している。線路3は、2本のレール11,11と、当該レール11,11を支持するための工事桁4と、で構成されている。工事桁4は、比較的簡易な構造の仮設の桁であり、一対の主桁15(支持桁)と、主桁15に支持される複数のマクラギユニット19(マクラギ部)と、を備えている。マクラギユニット19は、2本のレール11,11の下に所定の間隔をあけて線路長手方向に並んでいる。2本の主桁15は、2本のレール11,11を線路幅方向に挟んで位置し線路長手方向に延在している。
【0017】
図3(b)に示されるように、マクラギユニット19は、マクラギ13と、マクラギ13を支持するマクラギ受桁17と、を備えている。マクラギ受桁17はH鋼からなり、当該H鋼の水平なウエブと鉛直な2つのフランジとで形成される矩形の窪みに直方体のマクラギ13が嵌め込まれて保持されている。マクラギ13はマクラギ受桁17に対してボルト締結されるが、ボルトの図示は省略されている。主桁15はH鋼からなり、当該H鋼のウエブの線路内側の面には線路長手方向に延びるアングル材21が固定されている。両側の主桁15,15のアングル材21,21上にマクラギ受桁17の両端がそれぞれ載置されボルト止めされることで、マクラギユニット19が主桁15,15により両持ち支持されている。マクラギ受桁17の両端部は、フランジを切り欠くなどしてアングル材21,21上に載置し易い形状に加工されている。
【0018】
また、
図3(c)に示されるように、マクラギ13の上面には、レールパッド14a、タイプレート14b、高さ調整板14c、軌道パッド14d等を介してレール11が設置されている。そして、レール11は、タイプレート14bにボルト止めされた板バネ14fで押さえ込まれることで、マクラギ13に対して固定されている。
【0019】
この線路3において、隣接するマクラギユニット19同士の間には線路長手方向の隙間が存在している。前述の通り、線路3は仮設の工事桁を用いた比較的簡易なものであるので、上記隙間を塞ぐための部材はなく、当該隙間を通じて線路3の上方と下方とが連通している。すなわち、線路3の下方からみれば、マクラギユニット19同士の隙間から上空を見通せる状態である。また、
図1に示されるように、平面視において、マクラギユニット19と芯材9の建込み予定位置8とが重複しているが、建込み予定位置8は、平面視においてレール11及び主桁15には重複しない位置に設定されている。
【0020】
続いて、発進立坑の土留壁のうち上記のような線路3の鉛直直下に位置する部分を構築するための施工方法について説明する。ここでは、
図1に示される3つのうちの中央の建込み予定位置8に芯材9を建込む場合を例として説明する。
【0021】
〔削孔工程〕
まず、建込み予定位置8に対応する位置に掘削孔7を形成する掘削工程が実行される。掘削工程では、
図4に示されるように、線路3の下方のスペースに納まる小型の自走式の削孔機械23が導入される。そして、線路3の存在による空頭制限下で、削孔機械23により、アースオーガ23aの継ぎ足し及び掘削が繰り返されて、地盤5に必要な深さの掘削孔7が形成される。完成後の掘削孔7には安定液が貯留された状態になる。
【0022】
〔先行建込み工程〕
続いて先行建込み工程では、土留壁のうち比較的深い箇所に配置される通常芯材9Bが建込まれる。ここでは、
図5に示されるように、線路3の下方のスペースに納まる小型の自走式のクレーン25が導入される。そして、クレーン25により空頭制限に応じた長さ(例えば約1.5m)の通常芯材9Bが吊られ、安定液に埋沈させるように掘削孔7に建込まれる。このような通常芯材9Bの建込みと継ぎ足しが繰り返されて、必要な長さ分だけ連結された通常芯材9Bが建込まれる。建込まれた通常芯材9Bは、所定の支持材(図示省略)を用いて掘削孔7の口元で支持され、通常芯材9Bの上端部が掘削孔7から突出した状態となる。
【0023】
〔建込み工程〕
続いて、本実施形態の建込み方法によって掘削孔7に切削可能芯材9Aを建込む建込み工程が実行される。この建込み工程は、次に説明するマクラギユニット移動工程と、芯材挿入工程と、を備えている。
【0024】
(マクラギユニット移動工程)
マクラギユニット移動工程は、掘削孔7の鉛直上方に位置するマクラギユニット19をレール11の延在方向に移動する工程である。ここでは、マクラギユニット19のうち平面視で建込み予定位置8の近傍に位置する3本が移動対象である。以下では、
図6(a)に示されるように、マクラギユニット19のうちの移動対象のものを「マクラギユニット19A」と呼ぶ。まず、マクラギユニット移動工程では、平面視で建込み予定位置8を中心として、レール11の長さ方向の約10~20m程度の範囲で、複数のマクラギユニット19がレール11,11から切り離される。具体的には、
図3(c)に示される状態から板バネ14fが取り外されることで、マクラギユニット19が、レール11,11から切り離される。
【0025】
続いて、3本のマクラギユニット19Aを挟んで両側に隣接する一対のマクラギユニット19Bにおいて、
図6(b)に示されるように、マクラギ13とレール11底面との間に高さ30~50mm程度の桟木35がスペーサーとして挟み込まれる。より詳細には、桟木35は、マクラギ13の軌道パッド14dとレール11の底面との間に挟み込まれる。そうすると、3本のマクラギユニット19Aにおいては、
図6(c)に示されるように、マクラギ13とレール11とが上下に30~50mm程度離間した状態になる。続いて、3本のマクラギユニット19Aについて、主桁15,15への固定が解除される。具体的には、マクラギユニット19Aのマクラギ受桁17の両端部のボルトが外され、アングル材21,21(
図3(a))とのボルト締結が解除される。これにより、マクラギユニット19Aは、レール11との摩擦やアングル材21,21への固定から解放され、線路長手方向に移動可能になる。
【0026】
続いて、
図7(a),(b)に示されるように、3本のマクラギユニット19Aが、アングル材21,21(
図3(a))上を摺動してスライドされ、主桁15,15に対して線路長手方向に平行移動される。これにより、隣接するマクラギユニット19A,19A同士の間隙20が拡大される。そうすると、平面視において、上記間隙20から芯材9の建込み予定位置8を見通すことができるようになり、すなわち、マクラギユニット19A,19Aと建込み予定位置8とが重複しなくなる。なお、前述の通り、建込み予定位置8は、平面視においてレール11及び主桁15には重複しない位置に設定されている。本実施形態における建込み予定位置8は、平面視において、2つのマクラギユニット19A,19Aと、2本のレール11,11と、で囲まれる領域に位置する。
【0027】
(芯材挿入工程)
続いて実行される芯材挿入工程は、マクラギユニット移動工程で拡大されたマクラギユニット19A同士の間隙20を上方から通過させて切削可能芯材9Aを掘削孔7に挿入する工程である。具体的には、線路3の上方においてクレーン(図示省略)で切削可能芯材9Aを吊り、
図8に示されるように、上記間隙20を通過させて掘削孔7に向けて吊り下ろす。
【0028】
前述の通り、掘削孔7には先行建込み工程で建込まれた通常芯材9Bの上端部が突出している。
図9に示されるように、切削可能芯材9Aが通常芯材9Bの上端部に接する位置まで下降される。そして、通常芯材9Bの上端部と切削可能芯材9Aの下端部とが添接板37やボルトを用いて接続されることで、先に建込まれた通常芯材9Bに対して切削可能芯材9Aが継ぎ足される。この接続作業は、例えば作業者の手作業により、線路3の下方のスペースで実行される。
【0029】
その後、クレーンにより更に切削可能芯材9Aが下降されると、
図10に示されるように、掘削孔7内の安定液に埋沈するようにして、切削可能芯材9Aが掘削孔7に建込まれる。なお、切削可能芯材9Aを下降させるためには、線路3の下方のスペースに別途設置された他の装置が使用されてもよい。建込まれた切削可能芯材9Aは所定の支持材(図示省略)を用いて掘削孔7の口元で支持され、切削可能芯材9Aの上端部が掘削孔7から突出した状態となる。その後、マクラギユニット19A,19Bやレール11,11等を原状に戻し、建込み工程が完了する。
【0030】
上述の建込み工程の後、掘削孔7から突出する切削可能芯材9Aの上端に、更に通常芯材9Bが必要な長さ分だけ連結され建込まれる。このような通常芯材9Bの建込みは、前述の先行建込み工程と同様にして、小型のクレーン25を用いて線路3の下方のスペースで実行される。その後、必要な長さの芯材9が建込まれたところで、掘削孔7内の安定液がトレミー管を用いてモルタルに置換される。このモルタルが硬化することで土留壁の一部が完成する。
【0031】
以上説明した芯材9の建込み方法による作用効果について説明する。
【0032】
本実施形態における切削可能芯材9Aの必要な長さは約10mである。シールドマシーンで切削されるといった用途を考慮すれば、切削可能芯材9Aの途中に添接板やボルト等の鋼製部材が存在することは回避する必要がある。従って、切削可能芯材9Aを長さ1.5m程度に細かく分割し建込み時に継ぎ足すといった手法は採用できない。そうすると、線路3の下方の高さ約4mのスペースのみで、切削可能芯材9Aの建込みを行なうことはできない。
【0033】
ここで、本実施形態の建込み方法によれば、芯材9の建込み予定位置8は、平面視において、マクラギユニット19とは重複するものの、レール11及び主桁15には重複しない位置に設定されている。従って、比較的移動が容易なマクラギユニット19のみを移動させて建込み予定位置8の鉛直上方をあけることができる。移動が困難なレール11及び主桁15を動かす必要はない。マクラギユニット19の上記のような移動により、線路3の上方からマクラギユニット19同士の間を通過させるようにして掘削孔7に切削可能芯材9Aを吊り下ろすことができる。従って、線路3の存在による空頭制限を受けずに、必要な長さの切削可能芯材9Aを継ぎ足すことなく1本で建込むことができる。
【0034】
当然ながら、本実施形態の建込み方法は、分割ができない切削可能芯材のみならず、従来は空頭制限に応じて分割して建込みされていた芯材にも適用可能である。この場合においても、空頭制限に対応する長さ以上の芯材を1本で建込むことができるので、芯材の分割数を低減することができる。従って、上空に線路が存在する場合において、建込みに係る芯材同士の接続作業を低減することができ、ひいては、工期の短縮を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態の線路3は、仮設の工事桁を用いた比較的簡易なものであるので、建込み予定位置8の上空をあけるために移動すべき部材も少ない。従って、本実施形態の建込み方法は、特に、線路が仮設の工事桁を用いたものである場合に、好適に採用することができる。
【0036】
また、本実施形態の線路3では、マクラギユニット19の両端が主桁15,15に支持され、主桁に対してマクラギユニット19がレール11の延在方法にスライドされる。また、本実施形態におけるマクラギユニット移動工程では、マクラギユニット19Bに桟木35を挟み込んでマクラギユニット19Aからレール11,11を浮かせた状態で当該マクラギユニット19Aが移動される。このような構成によれば、マクラギユニット19Aを円滑に移動することができる。
【0037】
また、通常芯材9Bの先行建込み工程は、線路3の下方のスペースで実行されるので、線路3における電車の運行中にも実行することができる。一方、切削可能芯材9Aの建込み工程は、電車の運行中に実行することはできない。上記のように通常芯材9Bの先行建込み工程を、空頭制限があるにも関わらず、線路3の下方で実行することにより、電車が運行される昼間に通常芯材9Bの先行建込み工程を実行し、電車の運行が休止される夜間に切削可能芯材9Aの建込み工程を実行する、といった効率が良いスケジューリングが可能になる。なお、通常芯材9Bの先行建込み工程や、切削可能芯材9Aの後に実行される通常芯材9Bの建込み工程は、移動させたマクラギユニット19A,19Aの間隙20を利用して切削可能芯材9Aの建込みと同様に実行されてもよい。この場合、線路3の存在による空頭制限に関わらず、必要な長さの通常芯材9Bを継ぎ足すことなく1本で建込むことができる。
【0038】
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、変形例を構成することも可能である。各実施形態等の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0039】
例えば、線路3のレール11,11同士の間に、線路長手方向に延びる足場板等が設置されている場合もあるが、この場合、切削可能芯材9Aの建込み工程では、建込み予定位置8の上方の足場板等が一時的に除去されればよい。また、実施形態では、掘削孔7の鉛直上方から移動されるマクラギ部は、マクラギ13とマクラギ受桁17とで構成されているが、本発明におけるマクラギ部は、マクラギ13の単体で構成されてもよい。
【0040】
実施形態では、
図1に示される3つのうちの中央の建込み予定位置8に芯材9を建込む場合を例として説明したが、残りの2つの建込み予定位置8における芯材9の建込みも同様に実行されればよい。この場合における切削可能芯材9Aは、2つのマクラギユニット19A,19Aと、レール11と、主桁15と、で囲まれる領域を通過して掘削孔7に挿入される。
【0041】
また、実施形態では、地盤5から線路3までの高さが約4mであったが、これには限定されず、本発明の建込み方法は、例えば地盤5から線路3までの高さが1~10mであるときに特に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0042】
3…線路、7…掘削孔、9,9A,9B…芯材、11…レール、13…マクラギ、15…主桁(支持桁)、19,19A,19B…マクラギユニット(マクラギ部)、20…間隙、35…桟木(スペーサー)。