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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179782
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20241219BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241219BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241219BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 C
G06Q50/30
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098916
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】及川 皓生
【テーマコード(参考)】
5H181
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA14
5H181AA16
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181EE02
5H181EE06
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MA04
5H181MA08
5H181MA29
5H181MA48
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】移動体の運転者が、輸送対象が存在しない場所を把握しやすくする。
【解決手段】本技術の第1の情報処理装置は、輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する需要解析部を備える。本技術の第2の情報処理装置は、輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて予測された前記輸送対象の需要の予測結果を示す需要予測データに基づいて、前記輸送対象の需要予測の提示を制御する提示制御部を備える。本技術は、例えば、タクシーの需要予測を行うシステムに適用できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する需要解析部を
備える情報処理装置。
【請求項2】
前記需要解析部は、前記非積載移動体が移動した経路である移動経路、及び、前記非積載移動体が前記移動経路を通過した時刻である通過時刻に基づいて、前記移動経路における前記輸送対象の需要を予測する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記需要解析部は、前記移動経路及び前記通過時刻に基づいて、前記輸送対象が存在しない場所、又は、前記移動経路における前記輸送対象の存在確率を予測する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記需要解析部は、所定の時間内に前記非積載移動体が通過した場所において、前記輸送対象が存在しないと予測する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記需要解析部は、前記移動経路、前記通過時刻、及び、前記移動経路における前記輸送対象の需要の解析結果に基づいて、前記移動経路における前記輸送対象の存在確率を予測する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記移動体の動態を示す動態データを、前記移動体又は他の情報処理装置から受信する通信部を
さらに備え、
前記需要解析部は、前記動態データに基づく前記非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記輸送対象の需要の予測結果を示す需要予測データを、前記移動体又は他の情報処理装置に送信する通信部を
さらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記移動体は、タクシーであり、
前記輸送対象は、乗客であり、
前記需要解析部は、前記乗客を乗せていない前記タクシーである空車の動態に基づいて、前記乗客の需要を予測する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記需要解析部は、前記空車が移動した経路である移動経路、及び、前記空車が前記移動経路を通過した時刻である通過時刻に基づいて、前記移動経路における前記乗客の需要を予測する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記需要解析部は、前記移動経路及び前記通過時刻に基づいて、前記乗客が存在しない場所、又は、前記移動経路における前記乗客の存在確率を予測する
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記需要解析部は、前記移動経路及び前記通過時刻に基づいて、前記乗客が存在しない区間、又は、前記区間毎の前記乗客の存在確率を予測する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記区間は、交差点に基づいて区切られる
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
情報処理装置が、
輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する
情報処理方法。
【請求項14】
輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて予測された前記輸送対象の需要の予測結果を示す需要予測データに基づいて、前記輸送対象の需要予測の提示を制御する提示制御部を
備える情報処理装置。
【請求項15】
前記提示制御部は、前記需要予測データに基づいて、前記輸送対象が存在しないと予測される場所又は方向の提示を制御する
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記提示制御部は、前記需要予測データに基づいて、前記輸送対象の存在確率の提示を制御する
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記提示制御部は、前記非積載移動体の移動状況に関する情報の提示を制御する
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記移動体の動態を示す動態データを他の情報処理装置に送信し、前記需要予測データを前記他の情報処理装置から受信する通信部を
さらに備える請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記移動体は、タクシーであり、
前記輸送対象は、乗客であり、
前記提示制御部は、前記乗客を乗せていない前記タクシーである空車の動態に基づいて予測された前記乗客の需要の予測結果を示す前記需要予測データに基づいて、前記乗客の需要予測の提示を制御する
請求項14に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置及び情報処理方法に関し、特に、タクシー等のモビリティサービスの需要を予測する場合に用いて好適な情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーの需要を予測し、運転者に提示する技術が提案されている。例えば、所定の範囲内のタクシーの需要予測値から、空車の台数又は空車から実車になった台数を引いた値を運転者に提示する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-71635号公報
【特許文献2】特開2008-65396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タクシーが効率的に乗客を乗せることができるようにするためには、運転者が、乗客が存在する場所を把握するだけでなく、乗客が存在しない場所を把握することも有効である。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、タクシー等のモビリティサービスにおいて、乗客等の輸送対象の需要を予測したり提示したりできるようにするものである。例えば、本技術は、タクシー等の移動体の運転者が、輸送対象が存在しない場所を把握しやすくするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の側面の情報処理装置は、輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する需要予測部を備える。
【0007】
本技術の第1の側面の情報処理方法は、情報処理装置が、輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する。
【0008】
本技術の第2の側面の情報処理装置は、輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて予測された前記輸送対象の需要の予測結果を示す需要予測データに基づいて、前記輸送対象の需要予測の提示を制御する提示制御部を備える。
【0009】
本技術の第1の側面においては、情報処理装置が、輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要が予測される。
【0010】
本技術の第2の側面においては、輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて予測された前記輸送対象の需要の予測結果を示す需要予測データに基づいて、前記輸送対象の需要予測が提示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図2】センシング領域の例を示す図である。
図3】本技術を適用した情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図4】サーバの機能の構成例を示すブロック図である。
図5】クライアントの機能の構成例を示すブロック図である。
図6】サーバの処理を説明するためのフローチャートである。
図7】クライアントの処理を説明するためのフローチャートである。
図8】需要予測の提示画面の例を示す図である。
図9】需要予測の提示画面の例を示す図である。
図10】需要予測の提示画面の例を示す図である。
図11】需要予測の提示画面の例を示す図である。
図12】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.車両制御システムの構成例
2.実施の形態
3.変形例
4.その他
【0013】
<<1.車両制御システムの構成例>>
図1は、本技術が適用される移動装置制御システムの一例である車両制御システム11の構成例を示すブロック図である。
【0014】
車両制御システム11は、車両1に設けられ、車両1の運転自動化に関わる処理を行う。この運転自動化には、レベル1乃至レベル5の運転自動化、及び、遠隔運転者による車両1の遠隔運転及び遠隔支援が含まれる。
【0015】
車両制御システム11は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、運転自動化制御部29、DMS(Driver Monitoring System)30、HMI(Human Machine Interface)31、及び、車両制御部32を備える。
【0016】
車両制御ECU21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、運転自動化制御部29、DMS30、HMI31、及び、車両制御部32は、通信ネットワーク41を介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク41は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay(登録商標)、イーサネット(登録商標)といったディジタル双方向通信の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等により構成される。通信ネットワーク41は、伝送されるデータの種類によって使い分けられてもよい。例えば、車両制御に関するデータに対してCANが適用され、大容量データに対してイーサネットが適用されるようにしてもよい。なお、車両制御システム11の各部は、通信ネットワーク41を介さずに、例えば近距離無線通信(NFC(Near Field Communication))やBluetooth(登録商標)といった比較的近距離での通信を想定した無線通信を用いて直接的に接続される場合もある。
【0017】
なお、以下、車両制御システム11の各部が、通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、通信ネットワーク41の記載を省略するものとする。例えば、車両制御ECU21と通信部22が通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、単に車両制御ECU21と通信部22とが通信を行うと記載する。
【0018】
車両制御ECU21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)といった各種のプロセッサにより構成される。車両制御ECU21は、車両制御システム11全体又は一部の機能の制御を行う。
【0019】
通信部22は、車内及び車外の様々な機器、他の車両、サーバ、基地局等と通信を行い、各種のデータの送受信を行う。このとき、通信部22は、複数の通信方式を用いて通信を行うことができる。
【0020】
通信部22が実行可能な車外との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式により、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク上に存在するサーバ(以下、外部のサーバと呼ぶ)等と通信を行う。通信部22が通信を行う外部ネットワークは、例えば、インターネット、クラウドネットワーク、又は、事業者固有のネットワーク等である。通信部22が外部ネットワークに対して行う通信方式は、所定以上の通信速度、且つ、所定以上の距離間でディジタル双方向通信が可能な無線通信方式であれば、特に限定されない。
【0021】
また例えば、通信部22は、P2P(Peer To Peer)技術を用いて、自車の近傍に存在する端末と通信を行うことができる。自車の近傍に存在する端末は、例えば、歩行者や自転車等の比較的低速で移動する移動体が装着する端末、店舗等に位置が固定されて設置される端末、又は、MTC(Machine Type Communication)端末である。さらに、通信部22は、V2X通信を行うこともできる。V2X通信とは、例えば、他の車両との間の車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路側器等との間の路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、家との間(Vehicle to Home)の通信、及び、歩行者が所持する端末等との間の歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信等の、自車と他との通信をいう。
【0022】
通信部22は、例えば、車両制御システム11の動作を制御するソフトウエアを更新するためのプログラムを外部から受信することができる(Over The Air)。通信部22は、さらに、地図情報、交通情報、車両1の周囲の情報等を外部から受信することができる。また例えば、通信部22は、車両1に関する情報や、車両1の周囲の情報等を外部に送信することができる。通信部22が外部に送信する車両1に関する情報としては、例えば、車両1の状態を示すデータ、認識部73による認識結果等がある。さらに例えば、通信部22は、eコール等の車両緊急通報システムに対応した通信を行う。
【0023】
例えば、通信部22は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標))により送信される電磁波を受信する。
【0024】
通信部22が実行可能な車内との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば無線通信を用いて、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、無線LAN、Bluetooth、NFC、WUSB(Wireless USB)といった、無線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の機器と無線通信を行うことができる。これに限らず、通信部22は、有線通信を用いて車内の各機器と通信を行うこともできる。例えば、通信部22は、図示しない接続端子に接続されるケーブルを介した有線通信により、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、MHL(Mobile High-definition Link)といった、有線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の各機器と通信を行うことができる。
【0025】
ここで、車内の機器とは、例えば、車内において通信ネットワーク41に接続されていない機器を指す。車内の機器としては、例えば、運転者等の車内の利用者が所持するモバイル機器やウェアラブル機器、車内に持ち込まれ一時的に設置される情報機器等が想定される。
【0026】
地図情報蓄積部23は、外部から取得した地図及び車両1で作成した地図の一方又は両方を蓄積する。例えば、地図情報蓄積部23は、3次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ等を蓄積する。
【0027】
高精度地図は、例えば、ダイナミックマップ、ポイントクラウドマップ、ベクターマップ等である。ダイナミックマップは、例えば、動的情報、準動的情報、準静的情報、静的情報の4層からなる地図であり、外部のサーバ等から車両1に提供される。ポイントクラウドマップは、ポイントクラウド(点群データ)により構成される地図である。ベクターマップは、例えば、車線や信号機の位置といった交通情報等をポイントクラウドマップに対応付け、運転自動化に適合させた地図である。
【0028】
ポイントクラウドマップ及びベクターマップは、例えば、外部のサーバ等から提供されてもよいし、カメラ51、レーダ52、LiDAR53等によるセンシング結果に基づいて、後述するローカルマップとのマッチングを行うための地図として車両1で作成され、地図情報蓄積部23に蓄積されてもよい。また、外部のサーバ等から高精度地図が提供される場合、通信容量を削減するため、車両1がこれから走行する計画経路に関する、例えば数百メートル四方の地図データが外部のサーバ等から取得される。
【0029】
位置情報取得部24は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、車両1の位置情報を取得する。取得した位置情報は、運転自動化制御部29に供給される。なお、位置情報取得部24は、GNSS信号を用いた方式に限定されず、例えば、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。
【0030】
外部認識センサ25は、車両1の外部の状況の認識に用いられる各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。外部認識センサ25が備えるセンサの種類や数は任意である。
【0031】
例えば、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)53、及び、超音波センサ54を備える。これに限らず、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54のうち1種類以上のセンサを備える構成でもよい。カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の数は、現実的に車両1に設置可能な数であれば特に限定されない。また、外部認識センサ25が備えるセンサの種類は、この例に限定されず、外部認識センサ25は、他の種類のセンサを備えてもよい。外部認識センサ25が備える各センサのセンシング領域の例は、後述する。
【0032】
なお、カメラ51の撮影方式は、特に限定されない。例えば、測距が可能な撮影方式であるToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった各種の撮影方式のカメラを、必要に応じてカメラ51に適用することができる。これに限らず、カメラ51は、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。
【0033】
また、例えば、外部認識センサ25は、車両1に対する環境を検出するための環境センサを備えることができる。環境センサは、天候、気象、明るさ等の環境を検出するためのセンサであって、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、照度センサ等の各種センサを含むことができる。
【0034】
さらに、例えば、外部認識センサ25は、車両1の周囲の音や音源の位置の検出等に用いられるマイクロフォンを備える。
【0035】
車内センサ26は、車内の情報を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車内センサ26が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0036】
例えば、車内センサ26は、カメラ、レーダ、着座センサ、ステアリングホイールセンサ、マイクロフォン、生体センサのうち1種類以上のセンサを備えることができる。車内センサ26が備えるカメラとしては、例えば、ToFカメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった、測距可能な各種の撮影方式のカメラを用いることができる。これに限らず、車内センサ26が備えるカメラは、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。車内センサ26が備える生体センサは、例えば、シートやステアリングホイール等に設けられ、利用者の各種の生体情報を検出する。
【0037】
車両センサ27は、車両1の状態を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車両センサ27が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0038】
例えば、車両センサ27は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、及び、それらを統合した慣性計測装置(IMU(Inertial Measurement Unit))を備える。例えば、車両センサ27は、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、ヨーレートセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、及び、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサを備える。例えば、車両センサ27は、エンジンやモータの回転数を検出する回転センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、タイヤのスリップ率を検出するスリップ率センサ、及び、車輪の回転速度を検出する車輪速センサを備える。例えば、車両センサ27は、バッテリの残量及び温度を検出するバッテリセンサ、並びに、外部からの衝撃を検出する衝撃センサを備える。
【0039】
記憶部28は、不揮発性の記憶媒体及び揮発性の記憶媒体のうち少なくとも一方を含み、データやプログラムを記憶する。記憶部28は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)として用いられ、記憶媒体としては、HDD(Hard Disc Drive)といった磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイスを適用することができる。記憶部28は、車両制御システム11の各部が用いる各種プログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部28は、EDR(Event Data Recorder)やDSSAD(Data Storage System for Automated Driving)を備え、事故等のイベントの前後の車両1の情報や車内センサ26によって取得された情報を記憶する。
【0040】
運転自動化制御部29は、車両1の運転自動化機能の制御を行う。例えば、運転自動化制御部29は、分析部61、行動計画部62、及び、動作制御部63を備える。
【0041】
分析部61は、車両1及び周囲の状況の分析処理を行う。分析部61は、自己位置推定部71、センサフュージョン部72、及び、認識部73を備える。
【0042】
自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータ、及び、地図情報蓄積部23に蓄積されている高精度地図に基づいて、車両1の自己位置を推定する。例えば、自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータに基づいてローカルマップを生成し、ローカルマップと高精度地図とのマッチングを行うことにより、車両1の自己位置を推定する。車両1の位置は、例えば、後輪対車軸の中心が基準とされる。
【0043】
ローカルマップは、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて作成される3次元の高精度地図、占有格子地図(Occupancy Grid Map)等である。3次元の高精度地図は、例えば、上述したポイントクラウドマップ等である。占有格子地図は、車両1の周囲の3次元又は2次元の空間を所定の大きさのグリッド(格子)に分割し、グリッド単位で物体の占有状態を示す地図である。物体の占有状態は、例えば、物体の有無や存在確率により示される。ローカルマップは、例えば、認識部73による車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理にも用いられる。
【0044】
なお、自己位置推定部71は、位置情報取得部24により取得される位置情報、及び、車両センサ27からのセンサデータに基づいて、車両1の自己位置を推定してもよい。
【0045】
センサフュージョン部72は、複数の異なる種類のセンサデータ(例えば、カメラ51から供給される画像データ、及び、レーダ52から供給されるセンサデータ)を組み合わせて、情報を得るセンサフュージョン処理を行う。異なる種類のセンサデータを組合せる方法としては、複合、統合、融合、連合等がある。
【0046】
認識部73は、車両1の外部の状況の検出を行う検出処理、及び、車両1の外部の状況の認識を行う認識処理を実行する。
【0047】
例えば、認識部73は、外部認識センサ25からの情報、自己位置推定部71からの情報、センサフュージョン部72からの情報等に基づいて、車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
【0048】
具体的には、例えば、認識部73は、車両1の周囲の物体の検出処理及び認識処理等を行う。物体の検出処理とは、例えば、物体の有無、大きさ、形、位置、動き等を検出する処理である。物体の認識処理とは、例えば、物体の種類等の属性を認識したり、特定の物体を識別したりする処理である。ただし、検出処理と認識処理とは、必ずしも明確に分かれるものではなく、重複する場合がある。
【0049】
例えば、認識部73は、レーダ52又はLiDAR53等によるセンサデータに基づくポイントクラウドを点群の塊毎に分類するクラスタリングを行うことにより、車両1の周囲の物体を検出する。これにより、車両1の周囲の物体の有無、大きさ、形状、位置が検出される。
【0050】
例えば、認識部73は、クラスタリングにより分類された点群の塊の動きを追従するトラッキングを行うことにより、車両1の周囲の物体の動きを検出する。これにより、車両1の周囲の物体の速度及び進行方向(移動ベクトル)が検出される。
【0051】
例えば、認識部73は、カメラ51から供給される画像データに基づいて、車両、人、自転車、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示等を検出又は認識する。また、認識部73は、セマンティックセグメンテーション等の認識処理を行うことにより、車両1の周囲の物体の種類を認識してもよい。
【0052】
例えば、認識部73は、地図情報蓄積部23に蓄積されている地図、自己位置推定部71による自己位置の推定結果、及び、認識部73による車両1の周囲の物体の認識結果に基づいて、車両1の周囲の交通ルールの認識処理を行うことができる。認識部73は、この処理により、信号機の位置及び状態、交通標識及び道路標示の内容、交通規制の内容、並びに、走行可能な車線等を認識することができる。
【0053】
例えば、認識部73は、車両1の周囲の環境の認識処理を行うことができる。認識部73が認識対象とする周囲の環境としては、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が想定される。
【0054】
行動計画部62は、車両1の行動計画を作成する。例えば、行動計画部62は、経路計画、経路追従の処理を行うことにより、行動計画を作成する。
【0055】
なお、経路計画は、広域的パスプランニング(Global path planning)及び局所的パスプランニング(Local path planning)を含む。広域的パスプランニングは、スタートからゴールまでの大まかな経路を計画する処理を含む。局所的パスプランニングは、軌道計画とも言われ、計画した経路において、車両1の運動特性を考慮して、車両1の近傍で安全かつ滑らかに進行することが可能な軌道生成を行う処理を含む。
【0056】
経路追従とは、経路計画により計画された経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する処理である。行動計画部62は、例えば、この経路追従の処理の結果に基づき、車両1の目標速度と目標角速度を計算することができる。
【0057】
動作制御部63は、行動計画部62により作成された行動計画を実現するために、車両1の動作を制御する。
【0058】
例えば、動作制御部63は、後述する車両制御部32に含まれる、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、及び、駆動制御部83を制御して、軌道計画により計算された軌道を車両1が進行するように、横方向車両運動制御及び縦方向車両運動制御を行う。例えば、動作制御部63は、衝突回避又は衝撃緩和、追従走行、車速維持走行、自車の衝突警告、自車のレーン逸脱警告等の運転者支援機能や、運転者又は遠隔運転者の操作によらない走行等の運転自動化を目的とした制御を行う。
【0059】
DMS30は、車内センサ26からのセンサデータ、及び、後述するHMI31に入力される入力データ等に基づいて、運転者の認証処理、及び、運転者の状態の認識処理等を行う。認識対象となる運転者の状態としては、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線方向、酩酊度、運転操作、姿勢等が想定される。
【0060】
なお、DMS30が、運転者以外の利用者の認証処理、及び、当該利用者の状態の認識処理を行うようにしてもよい。また、例えば、DMS30が、車内センサ26からのセンサデータに基づいて、車内の状況の認識処理を行うようにしてもよい。認識対象となる車内の状況としては、例えば、気温、湿度、明るさ、臭い等が想定される。
【0061】
HMI31は、各種のデータや指示等の入力と、各種のデータの利用者への提示を行う。
【0062】
HMI31によるデータの入力について、概略的に説明する。HMI31は、人がデータを入力するための入力デバイスを備える。HMI31は、入力デバイスにより入力されたデータや指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム11の各部に供給する。HMI31は、入力デバイスとして、例えばタッチパネル、ボタン、スイッチ、及び、レバーといった操作子を備える。これに限らず、HMI31は、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で情報を入力可能な入力デバイスをさらに備えてもよい。さらに、HMI31は、例えば、赤外線又は電波を利用したリモートコントロール装置や、車両制御システム11の操作に対応したモバイル機器又はウェアラブル機器等の外部接続機器を入力デバイスとして用いてもよい。
【0063】
HMI31によるデータの提示について、概略的に説明する。HMI31は、利用者又は車外に対する視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報の生成を行う。また、HMI31は、生成された各情報の出力、出力内容、出力タイミング及び出力方法等を制御する出力制御を行う。HMI31は、視覚情報として、例えば、操作画面、車両1の状態表示、警告表示、車両1の周囲の状況を示すモニタ画像等の画像や光により示される情報を生成及び出力する。また、HMI31は、聴覚情報として、例えば、音声ガイダンス、警告音、警告メッセージ等の音により示される情報を生成及び出力する。さらに、HMI31は、触覚情報として、例えば、力、振動、動き等により利用者の触覚に与えられる情報を生成及び出力する。
【0064】
HMI31が視覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、自身が画像を表示することで視覚情報を提示する表示装置や、画像を投影することで視覚情報を提示するプロジェクタ装置を適用することができる。なお、表示装置は、通常のディスプレイを有する表示装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、AR(Augmented Reality)機能を備えるウェアラブルデバイスといった、利用者の視界内に視覚情報を表示する装置であってもよい。また、HMI31は、車両1に設けられるナビゲーション装置、インストルメントパネル、CMS(Camera Monitoring System)、電子ミラー、ランプ等が有する表示デバイスを、視覚情報を出力する出力デバイスとして用いることも可能である。
【0065】
HMI31が聴覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、オーディオスピーカ、ヘッドホン、イヤホンを適用することができる。
【0066】
HMI31が触覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、ハプティクス技術を用いたハプティクス素子を適用することができる。ハプティクス素子は、例えば、ステアリングホイール、シートといった、利用者が接触する部分に設けられる。
【0067】
車両制御部32は、車両1の各部の制御を行う。車両制御部32は、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、駆動制御部83、ボディ系制御部84、ライト制御部85、及び、ホーン制御部86を備える。
【0068】
ステアリング制御部81は、車両1のステアリングシステムの状態の検出及び制御等を行う。ステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイール等を備えるステアリング機構、電動パワーステアリング等を備える。ステアリング制御部81は、例えば、ステアリングシステムの制御を行うステアリングECU、ステアリングシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0069】
ブレーキ制御部82は、車両1のブレーキシステムの状態の検出及び制御等を行う。ブレーキシステムは、例えば、ブレーキペダル等を含むブレーキ機構、ABS(Antilock Brake System)、回生ブレーキ機構等を備える。ブレーキ制御部82は、例えば、ブレーキシステムの制御を行うブレーキECU、ブレーキシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0070】
駆動制御部83は、車両1の駆動システムの状態の検出及び制御等を行う。駆動システムは、例えば、アクセルペダル、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構等を備える。駆動制御部83は、例えば、駆動システムの制御を行う駆動ECU、駆動システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0071】
ボディ系制御部84は、車両1のボディ系システムの状態の検出及び制御等を行う。ボディ系システムは、例えば、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウインドウ装置、パワーシート、空調装置、エアバッグ、シートベルト、シフトレバー等を備える。ボディ系制御部84は、例えば、ボディ系システムの制御を行うボディ系ECU、ボディ系システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0072】
ライト制御部85は、車両1の各種のライトの状態の検出及び制御等を行う。制御対象となるライトとしては、例えば、ヘッドライト、バックライト、フォグライト、ターンシグナル、ブレーキライト、プロジェクション、バンパーの表示等が想定される。ライト制御部85は、ライトの制御を行うライトECU、ライトの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0073】
ホーン制御部86は、車両1のカーホーンの状態の検出及び制御等を行う。ホーン制御部86は、例えば、カーホーンの制御を行うホーンECU、カーホーンの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0074】
図2は、図1の外部認識センサ25のカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54等によるセンシング領域の例を示す図である。なお、図2において、車両1を上面から見た様子が模式的に示され、左端側が車両1の前端(フロント)側であり、右端側が車両1の後端(リア)側となっている。
【0075】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bは、超音波センサ54のセンシング領域の例を示している。センシング領域101Fは、複数の超音波センサ54によって車両1の前端周辺をカバーしている。センシング領域101Bは、複数の超音波センサ54によって車両1の後端周辺をカバーしている。
【0076】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の駐車支援等に用いられる。
【0077】
センシング領域102F乃至センシング領域102Bは、短距離又は中距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。センシング領域102Fは、車両1の前方において、センシング領域101Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Bは、車両1の後方において、センシング領域101Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Lは、車両1の左側面の後方の周辺をカバーしている。センシング領域102Rは、車両1の右側面の後方の周辺をカバーしている。
【0078】
センシング領域102Fにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の前方に存在する車両や歩行者等の検出等に用いられる。センシング領域102Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の後方の衝突防止機能等に用いられる。センシング領域102L及びセンシング領域102Rにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の側方の死角における物体の検出等に用いられる。
【0079】
センシング領域103F乃至センシング領域103Bは、カメラ51によるセンシング領域の例を示している。センシング領域103Fは、車両1の前方において、センシング領域102Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Bは、車両1の後方において、センシング領域102Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Lは、車両1の左側面の周辺をカバーしている。センシング領域103Rは、車両1の右側面の周辺をカバーしている。
【0080】
センシング領域103Fにおけるセンシング結果は、例えば、信号機や交通標識の認識、車線逸脱防止支援システム、自動ヘッドライト制御システムに用いることができる。センシング領域103Bにおけるセンシング結果は、例えば、駐車支援、及び、サラウンドビューシステムに用いることができる。センシング領域103L及びセンシング領域103Rにおけるセンシング結果は、例えば、サラウンドビューシステムに用いることができる。
【0081】
センシング領域104は、LiDAR53のセンシング領域の例を示している。センシング領域104は、車両1の前方において、センシング領域103Fより遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域104は、センシング領域103Fより左右方向の範囲が狭くなっている。
【0082】
センシング領域104におけるセンシング結果は、例えば、周辺車両等の物体検出に用いられる。
【0083】
センシング領域105は、長距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。センシング領域105は、車両1の前方において、センシング領域104より遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域105は、センシング領域104より左右方向の範囲が狭くなっている。
【0084】
センシング領域105におけるセンシング結果は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)、緊急ブレーキ、衝突回避等に用いられる。
【0085】
なお、外部認識センサ25が含むカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の各センサのセンシング領域は、図2以外に各種の構成をとってもよい。具体的には、超音波センサ54が車両1の側方もセンシングするようにしてもよいし、LiDAR53が車両1の後方をセンシングするようにしてもよい。また、各センサの設置位置は、上述した各例に限定されない。また、各センサの数は、1つでもよいし、複数であってもよい。
【0086】
<<2.実施の形態>>
次に、図3乃至図11を参照して、本技術の実施の形態について説明する。
【0087】
<情報処理システム201の構成例>
図3は、本技術を適用するとともに、図1及び図2を参照して上述した車両1を用いた情報処理システム201の構成例を示している。
【0088】
情報処理システム201は、タクシーである車両1-1乃至車両1-nの動態に基づいて、タクシーの需要を予測し、需要予測の結果を車両1-1乃至車両1-nの運転者に提示するシステムである。
【0089】
情報処理システム201は、サーバ211、クライアント212-1乃至クライアント212-n、及び、ネットワーク213を備える。クライアント212-1乃至クライアント212-nは、車両1-1乃至車両1-n、及び、情報処理端末221-1乃至情報処理端末221-nを備える。サーバ211、車両1-1乃至車両1-n、情報処理端末221-1乃至情報処理端末221-n、及び、サーバ211は、ネットワーク213を介して、相互に接続され、相互に通信可能である。また、車両1-i(i=1、2、・・・、n)と情報処理端末221-i(i=1、2、・・・、n)とは、ネットワーク213を介さずに直接通信可能である。
【0090】
以下、クライアント212-1乃至クライアント212-nを個々に区別する必要がない場合、単にクライアント212と称する。車両1-1乃至車両1-nを個々に区別する必要がない場合、単に車両1と称する。以下、情報処理端末221-1乃至情報処理端末221-nを個々に区別する必要がない場合、単に情報処理端末221と称する。
【0091】
サーバ211は、各クライアント212から受信した動態データに基づいて、各車両1の動態ログを示す動態ログDB(Data Base)を更新する。サーバ211は、動態データ及び動態ログDBに基づいて、タクシーの乗客の需要を解析及び予測する。サーバ211は、乗客の需要予測を示す需要予測データを生成し、各クライアント212に送信する。
【0092】
車両1は、車両1の動態を示す動態データを生成し、ネットワーク213を介して、サーバ211に送信する。また、車両1は、ネットワーク213を介して、需要予測データを受信し、需要予測データに基づいて、需要予測を運転者に提示する。
【0093】
情報処理端末221は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PC(パーソナルコンピュータ)等のモバイル機器、又は、ヘッドマウントディスプレイ、スマートウオッチ、スマートシューズ等のウェアラブル機器等により構成される。情報処理端末221は、通常は車両1内で使用されるが、車両1の外で使用されてもよい。
【0094】
情報処理端末221は、車両1の動態を示す動態データを生成し、又は、動態データを車両1から受信し、ネットワーク213を介して、動態データをサーバ211に送信する。また、情報処理端末221は、ネットワーク213を介して、需要予測データを受信し、需要予測データに基づいて、需要予測を運転者に提示する。
【0095】
なお、各クライアント212において、車両1と情報処理端末221は、必ずしも1対1の関係でなくてもよく、多対1、1対多、又は、多対多の関係でもよい。また、クライアント212において、必ずしも情報処理端末221を備える必要はない。
【0096】
<サーバ211の構成例>
図4は、図3のサーバ211の機能の構成例を示している。
【0097】
サーバ211は、通信部251、情報処理部252、及び、記憶部253を備える。情報処理部252は、動態検出部261及び需要解析部262を備える。
【0098】
通信部251は、ネットワーク213を介して、各クライアント212(各車両1及び各情報処理端末221)と通信可能である。通信部251は、各クライアント212から受信したデータを情報処理部252に供給し、各クライアント212に送信するデータを情報処理部252から取得する。
【0099】
動態検出部261は、ネットワーク213及び通信部251を介して、各車両1の動態を示す動態データを各クライアント212から受信する。動態検出部261は、動態データに基づいて、各車両1の動態を検出する。動態検出部261は、各車両1の動態の検出結果に基づいて、記憶部253に記憶されており、各車両1の動態ログを示す動態ログDBを更新する。
【0100】
需要解析部262は、動態ログDBに基づいて、乗客の需要を解析し、記憶部253に記憶されおり、乗客の需要の解析結果を示す需要解析モデルを更新する。また、需要解析部262は、各車両1の動態の検出結果、及び、需要解析モデルに基づいて、乗客の需要を予測する。需要解析部262は、乗客の需要の予測結果を示す需要予測データを生成し、通信部251及びネットワーク213を介して、各クライアント212に送信する。
【0101】
<クライアント212の構成例>
図5は、図3のクライアント212の機能の構成例を示している。図5のクライアント212の機能は、車両1の車両制御システム11及び情報処理端末221の両方又は一方により実現される。
【0102】
クライアント212は、入力部301、位置情報取得部302、情報処理部303、通信部304、及び、提示部305を備える。情報処理部303は、動態データ生成部311及び提示制御部312を備える。
【0103】
入力部301は、例えば、車両1のHMI31及び情報処理端末221のうち少なくとも1つが備える各種の入力デバイスにより構成される。入力部301は、入力されたデータ(以下、入力データと称する)を情報処理部303に供給する。
【0104】
位置情報取得部302は、例えば、車両1の位置情報取得部24及び自己位置推定部71、並びに、情報処理端末221のGNSSセンサ等のうち少なくとも1つにより実現される。位置情報取得部302は、車両1の現在位置を示す位置情報を取得し、情報処理部303に供給する。
【0105】
動態データ生成部311は、入力データ及び位置情報に基づいて、車両1の動態を示す動態データを生成する。動態データ生成部311は、通信部304及びネットワーク213を介して、動態データをサーバ211に送信する。
【0106】
提示制御部312は、ネットワーク213及び通信部304を介して、需要予測データをサーバ211から受信する。提示制御部312は、需要予測データに基づいて、視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報のうち少なくとも1つにより、提示部305に乗客の需要予測を提示させる。
【0107】
通信部304は、ネットワーク213を介して、サーバ211と通信可能である。通信部304は、サーバ211から受信したデータを情報処理部303に供給し、サーバ211に送信するデータを情報処理部303から取得する。
【0108】
提示部305は、例えば、車両1のHMI31及び情報処理端末221のうち少なくとも1つが備える各種の出力デバイスにより構成される。提示部305は、視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報のうち少なくとも1つにより、乗客の需要予測等を提示する。
【0109】
<情報処理システム201の処理>
次に、図6乃至図11を参照して、情報処理システム201の処理について説明する。
【0110】
<サーバ211の処理>
まず、図6のフローチャートを参照して、サーバ211の処理について説明する。
【0111】
ステップS1において、動態検出部261は、動態データを受信したか否かを判定する。動態検出部261が、後述するようにクライアント212から送信された動態データを、ネットワーク213及び通信部251を介して受信したと判定した場合、処理はステップS2に進む。
【0112】
動態データは、例えば、車両1の識別情報(例えば、車両ID)、位置情報、車両1の状態(例えば、空車、迎車、賃走等)、及び、(乗客が乗っている場合)乗客の目的地等を含む。
【0113】
ステップS2において、動態検出部261は、動態ログDB253を更新する。例えば、動態検出部261は、受信した動態データに基づいて、動態データを送信したクライアント212の車両1の車両ID、位置情報、状態、及び、乗客の目的地、並びに、現在の日時を含む動態ログを、記憶部253に記憶されている動態ログDBに追加する。
【0114】
ステップS3において、需要解析部262は、車両1が空車であるか否かを判定する。具体的には、需要解析部262は、動態データに基づいて、動態データを送信したクライアント212の車両1が空車であるか否かを判定する。車両1が空車であると判定した場合、処理はステップS4に進む。
【0115】
ステップS4において、需要解析部262は、空車の動態に基づいて、乗客の需要を予測する。
【0116】
具体的には、空車が通過したばかりの場所は、空車が空車のまま通過したことを考慮すると、乗客が存在する確率が低いと仮定される。需要解析部262は、例えば、この仮定に基づいて、空車が移動した経路である移動経路、及び、空車が移動経路を通過した時刻である通過時刻に基づいて、乗客の需要を予測する。
【0117】
例えば、需要解析部262は、所定の時間内に空車が通過した場所を、乗客が存在しない場所であると予測する。より具体的には、例えば、需要解析部262は、所定の時間内に空車が通過した区間を、乗客が存在しない区間(以下、無乗客区間と称する)であると予測する。換言すれば、需要解析部262は、空車が通過した区間について、空車が通過してから所定の長さの期間(以下、空車予測期間と称する)、無乗客区間であると予測する。
【0118】
ここで、例えば、各道路が交差点に基づいて複数の区間に区切られ、区間毎に無乗客区間であるか否かが判定される。すなわち、隣接する2つの交差点の間が1つの区間とされ、区間毎に無乗客区間であるか否かが判定される。
【0119】
なお、空車予測期間の長さは、固定値としてもよいし、可変値としてもよい。可変値とする場合、空車予測期間の長さは、例えば、記憶部253に記憶されている需要解析モデルに基づいて設定される。
【0120】
例えば、需要解析部262は、所定のタイミングで(例えば、定期的に)、動態ログDB253に基づいて、過去の区間毎の乗客の乗車回数を解析し、解析結果に基づいて、需要解析モデルを生成する。需要解析モデルは、例えば、区間毎に乗客が存在する確率(以下、乗客存在確率と称する)を示すモデルである。
【0121】
乗客存在確率は、例えば、単位時間(例えば、1時間)当たりの乗客の乗車回数が多い区間ほど高くなり、単位時間(例えば、1時間)当たりの乗客の乗車回数が少ない区間ほど低くなる。
【0122】
なお、例えば、需要解析モデルが、各区間の乗客存在確率を、曜日や時間帯毎に示すようにしてもよい。
【0123】
そして、例えば、空車予測期間は、需要解析モデルにおいて、乗客存在確率が高い区間ほど短く設定され、乗客存在確率が低い区間ほど長く設定される。すなわち、乗客存在確率が高い区間ほど、空車が通過してから乗客が出現するまでの期間が短くなると想定されるため、空車予測期間が短く設定される。一方、乗客存在確率が低い区間ほど、空車が通過してから乗客が出現するまでの期間が長くなると想定されるため、空車予測期間が長く設定される。
【0124】
または、例えば、需要解析部262は、各区間を空車が通過した時刻、及び、需要解析モデルに基づいて、待ち行列理論等の統計的手法を用いて、各区間の乗客存在確率を予測する。例えば、各区間の乗客存在確率は、空車が通過してからの経過時間が短くなるほど低くなり、空車が通過してからの経過時間が長くなるほど、その区間の需要解析モデルにおける乗客存在確率に近づく。
【0125】
その後、処理はステップS5に進む。
【0126】
一方、ステップS3において、車両1が空車でないと判定された場合、ステップS4の処理はスキップされ、処理はステップS5に進む。
【0127】
また、ステップS1において、動態データを受信していないと判定された場合、ステップS2乃至ステップS4の処理はスキップされ、処理はステップS5に進む。
【0128】
ステップS5において、需要解析部262は、需要予測データを送信するか否かを判定する。需要解析部262は、需要予測データを送信するタイミングである場合、需要予測データを送信すると判定し、処理はステップS6に進む。
【0129】
なお、例えば、以下の1乃至4のタイミングのうち1つ以上が、需要予測データを送信するタイミングに設定される。
【0130】
1.乗客の需要予測が実行される毎
2.所定の時間毎
3.所定の時刻、所定の日時、又は、所定の曜日の所定の時刻
4.クライアント212から需要予測データの送信要求があったとき
【0131】
ステップS6において、需要解析部262は、需要予測データを送信する。具体的には、需要解析部262は、需要予測データを生成する。例えば、需要予測データは、無乗客区間、及び、各区間の乗客存在確率の少なくとも1つを示すデータである。需要解析部262は、通信部251及びネットワーク213を介して、需要予測データをクライアント212に送信する。
【0132】
なお、需要解析部262は、クライアント212の要求に従って需要予測データを送信する場合、要求があったクライアント212のみに需要予測データを送信する。
【0133】
また、需要解析部262は、各クライアント212に全ての地域の需要予測データを送信するようにしてもよいし、各クライアント212の周辺の地域の需要予測データのみを送信するようにしてもよい。
【0134】
その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0135】
一方、ステップS5において、需要解析部262は、需要予測データを送信するタイミングでない場合、需要予測データを送信しないと判定し、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0136】
次に、図7のフローチャートを参照して、図6のサーバ211の処理に対応して、クライアント212により実行される処理について説明する。
【0137】
ステップS51において、動態データ生成部311は、動態データを送信するか否かを判定する。例えば、動態データ生成部311は、所定の間隔で動態データを送信する。そして、動態データ生成部311は、動態データを送信するタイミングである場合、動態データを送信すると判定し、処理はステップS52に進む。
【0138】
ステップS52において、動態データ生成部311は、動態データを送信する。具体的には、動態データ生成部311は、車両1の現在位置を示す位置情報を位置情報取得部302から取得する。動態データ生成部311は、車両1の識別情報、位置情報、車両1の状態、及び、(乗客が乗っている場合)乗客の目的地を含む動態データを生成する。車両1の状態、及び、乗客の目的地は、例えば、入力部301を介して入力される。動態データ生成部311は、通信部304及びネットワーク213を介して、サーバ211に動態データを送信する。
【0139】
その後、処理はステップS53に進む。
【0140】
一方、ステップS51において、動態データ生成部311は、動態データを送信するタイミングでない場合、動態データを送信しないと判定し、ステップS52の処理はスキップされ、処理はステップS53に進む。
【0141】
ステップS53において、提示制御部312は、需要予測データを受信したか否かを判定する。提示制御部312が、上述した図6のステップS6の処理でサーバ211から送信された需要予測データを、ネットワーク213及び通信部304を介して受信したと判定した場合、処理はステップS54に進む。
【0142】
ステップS54において、提示部305は、提示制御部312の下に、乗客の需要予測を提示する。例えば、提示部305は、視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報のうち少なくとも1つを用いて、乗客の需要予測を車両1の運転者に提示する。
【0143】
ここで、図8乃至図11を参照して、視覚情報により乗客の需要予測を提示する方法の例について説明する。図8乃至図11は、提示部305が備える表示装置に表示される表示画面の例を示している。この表示装置には、例えば、上述したHMI31が備える表示装置が用いられる。また、例えば、路面や車内へのプロジェクションマッピングを行う表示装置が用いられてもよい。
【0144】
図8は、例えば、車両1が交差点の手前にいる場合に表示される表示画面の例を模式的に示している。具体的には、矢印401A乃至矢印401Cは、車両1が進行可能な方向を示している。
【0145】
矢印401A乃至矢印401Cの表示態様は、例えば、進行方向が低需要区間に向かう方向(以下、低需要方向と称する)、又は、高需要区間に向かう方向(以下、高需要方向と称する)のいずれであるかにより変化する。低需要区間は、例えば、無乗客区間、又は、乗客存在確率が低い区間(例えば、乗客存在確率が所定の閾値未満である区間)である。高需要区間は、例えば、無乗客区間でない区間、又は、乗客存在確率が高い区間(例えば、乗客存在確率が所定の閾値以上である区間)である。
【0146】
例えば、低需要方向を示す矢印401Aと、高需要方向を示す矢印402及び矢印401Cとで、表示態様が異なっている。
【0147】
なお、変化させる対象となる表示態様の種類は、特に限定されない。例えば、色、模様、明るさ、点滅等のうち1種類以上の表示態様が変化する。
【0148】
図9は、例えば、地図上に需要予測を表示する場合の表示画面の例を模式的に示している。
【0149】
例えば、交差点421A乃至交差点421Eが、円で示されている。各交差点間を結ぶ道路である区間422A乃至区間422Dが、線分により示されている。
【0150】
なお、以下、交差点421A乃至交差点421Eを個々に区別する必要がない場合、単に交差点421と称する。以下、区間422A乃至区間422Dを個々に区別する必要がない場合、単に区間422と称する。
【0151】
例えば、車両423は、現在の車両1の位置を示している。すなわち、車両1が、交差点421Bの手前にいることが示されている。
【0152】
そして、交差点421Bの先の区間422B乃至区間422Dの表示態様は、例えば、低需要区間又は高需要区間のいずれであるか否かに基づいて変化する。例えば、高需要区間である区間422Bと、低需要区間である区間422C及び区間422Dとで、表示態様が異なっている。
【0153】
なお、変化させる対象となる表示態様の種類は、特に限定されない。例えば、色、模様、明るさ、点滅等のうち1種類以上の表示態様が変化する。
【0154】
また、高需要区間である区間422Bに対して、推奨する進行方向を示す矢印424が表示されている。
【0155】
なお、例えば、図10に示されるように、低需要区間である区間422C及び区間422Dが地図から消されるようにしてもよい。
【0156】
また、例えば、図11に示されるように、各区間422の乗客存在確率が示されるようにしてもよい。具体的には、図11の表示画面においては、図9の表示画面と比較して、各区間422の表示態様が同じにされ、区間422B乃至区間422Dに対して、人型のメータ431A乃至メータ431Cが追加されている点が異なる。
【0157】
メータ431A乃至メータ431Cは、各区間422の乗客存在確率を示している。具体的には、メータ431A乃至メータ431Cにおいて、斜線で示される部分の比率が、各区間422の乗客存在確率を示している。従って、この例では、乗客存在確率は、高い方から区間422B、区間422C、区間422Dの順となる。
【0158】
なお、乗車存在確率に加えて、又は、乗車存在確率の代わりに、各区間422に対して、空車の移動状況に関する情報を提示するようにしてもよい。空車の移動状況に関する情報は、例えば、所定の時間内に空車が通過したか否かを示す情報、及び、空車が通過した時間に関する情報のうち少なくとも1つを提示するようにしてもよい。空車が通過した時間に関する情報は、例えば、空車が通過した時刻、又は、空車が何分前に通過したかを示す情報を含む。
【0159】
その後、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
【0160】
一方、ステップS53において、需要予測データを受信していないと判定された場合、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
【0161】
例えば、従来のAI(Artificial Intelligence)等を用いた需要予測システムは、過去に蓄積されたデータを活用し、未来の需要、例えば、所定の時間(例えば、30分)後に乗客が存在する地点等を予測している。しかし、タクシーの運転者は、乗車した乗客の目的地により移動場所が決まってしまうため、未来の需要予測を知ったとしても、それを有効に活用することが困難な場合がある。
【0162】
これに対して、本技術では、空車の動態に基づいて、リアルタイムに低需要区間が予測され、リアルタイムに車両1の運転者に提示される。これにより、車両1の運転者が、提示された情報を有効に活用することができ、例えば、乗客が存在する確率の低い区間を走行することにより発生する乗客の探索に要する時間のロスを削減することができる。
【0163】
<<2.変形例>>
以下、上述した本技術の実施の形態の変形例について説明する。
【0164】
<需要予測に関する変形例>
例えば、サーバ211は、各クライアント212のカメラ51及びLiDAR53等により検出されたセンサ情報を収集し、需要予測に利用するようにしてもよい。例えば、サーバ211の需要解析部262は、収集したセンサ情報に基づいて、各車両1の周囲の人流やイベント情報等を検出し、需要予測に利用するようにしてもよい。
【0165】
<提示方法に関する変形例>
例えば、ステアリングホイールの一部の色を変化させることにより、低需要方向又は高需要方向のうち少なくとも1つを提示するようにしてもよい。
【0166】
例えば、車内の音声や立体音響等を用いて、低需要方向又は高需要方向のうち少なくとも1つを聴覚情報により提示するようにしてもよい。
【0167】
例えば、ステアリングホイール、シート、シートベルト、床等に設けられた振動デバイス等を用いて、低需要方向又は高需要方向のうち少なくとも1つを触覚情報により提示するようにしてもよい。
【0168】
例えば、スマートウオッチ、スマートシューズ、スマートシューズ等のウェアラブル機器を用いて、低需要方向又は高需要方向のうち少なくとも1つを触覚情報により提示するようにしてもよい。
【0169】
<その他の変形例>
本技術は、タクシー以外に、人又は人以外の輸送対象を、複数の車両により輸送するモビリティサービスにも適用できる。また、本技術は、車両以外の所定の経路(例えば、飛行経路等)を移動する複数の移動体により実現するモビリティサービスにも適用できる。すなわち、本技術は、輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態(例えば、移動経路及び通過時刻)に基づいて、輸送対象の需要を予測したり、提示したりすることができる。
【0170】
具体的には、例えば、本技術は、複数の車両により荷物を回収し輸送するモビリティサービスに適用できる。例えば、本技術は、複数の飛行体により乗客を輸送するモビリティサービスに適用できる。
【0171】
<<3.その他>>
<コンピュータの構成例>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0172】
図12は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0173】
コンピュータ1000において、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。
【0174】
バス1004には、さらに、入出力インタフェース1005が接続されている。入出力インタフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記憶部1008、通信部1009、及びドライブ1010が接続されている。
【0175】
入力部1006は、入力スイッチ、ボタン、マイクロフォン、撮像素子などよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011を駆動する。
【0176】
以上のように構成されるコンピュータ1000では、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記録されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0177】
コンピュータ1000(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0178】
コンピュータ1000では、プログラムは、リムーバブルメディア1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0179】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0180】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0181】
さらに、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0182】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0183】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0184】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0185】
<構成の組み合わせ例>
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0186】
(1)
輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する需要解析部を
備える情報処理装置。
(2)
前記需要解析部は、前記非積載移動体が移動した経路である移動経路、及び、前記非積載移動体が前記移動経路を通過した時刻である通過時刻に基づいて、前記移動経路における前記輸送対象の需要を予測する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記需要解析部は、前記移動経路及び前記通過時刻に基づいて、前記輸送対象が存在しない場所、又は、前記移動経路における前記輸送対象の存在確率を予測する
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記需要解析部は、所定の時間内に前記非積載移動体が通過した場所において、前記輸送対象が存在しないと予測する
前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記需要解析部は、前記移動経路、前記通過時刻、及び、前記移動経路における前記輸送対象の需要の解析結果に基づいて、前記移動経路における前記輸送対象の存在確率を予測する
前記(3)又は(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記移動体の動態を示す動態データを、前記移動体又は他の情報処理装置から受信する通信部を
さらに備え、
前記需要解析部は、前記動態データに基づく前記非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の情報処理装置。
(7)
前記輸送対象の需要の予測結果を示す需要予測データを、前記移動体又は他の情報処理装置に送信する通信部を
さらに備える前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の情報処理装置。
(8)
前記移動体は、タクシーであり、
前記輸送対象は、乗客であり、
前記需要解析部は、前記乗客を乗せていない前記タクシーである空車の動態に基づいて、前記乗客の需要を予測する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(9)
前記需要解析部は、前記空車が移動した経路である移動経路、及び、前記空車が前記移動経路を通過した時刻である通過時刻に基づいて、前記移動経路における前記乗客の需要を予測する
前記(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記需要解析部は、前記移動経路及び前記通過時刻に基づいて、前記乗客が存在しない場所、又は、前記移動経路における前記乗客の存在確率を予測する
前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記需要解析部は、前記移動経路及び前記通過時刻に基づいて、前記乗客が存在しない区間、又は、前記区間毎の前記乗客の存在確率を予測する
前記(10)に記載の情報処理装置。
(12)
前記区間は、交差点に基づいて区切られる
前記(11)に記載の情報処理装置。
(13)
情報処理装置が、
輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて、前記輸送対象の需要を予測する
情報処理方法。
(14)
輸送対象を乗せていない移動体である非積載移動体の動態に基づいて予測された前記輸送対象の需要の予測結果を示す需要予測データに基づいて、前記輸送対象の需要予測の提示を制御する提示制御部を
備える情報処理装置。
(15)
前記提示制御部は、前記需要予測データに基づいて、前記輸送対象が存在しないと予測される場所又は方向の提示を制御する
前記(14)に記載の情報処理装置。
(16)
前記提示制御部は、前記需要予測データに基づいて、前記輸送対象の存在確率の提示を制御する
前記(14)又は(15)に記載の情報処理装置。
(17)
前記提示制御部は、前記非積載移動体の移動状況に関する情報の提示を制御する
前記(14)乃至(16)のいずれかに記載の情報処理装置。
(18)
前記移動体の動態を示す動態データを他の情報処理装置に送信し、前記需要予測データを前記他の情報処理装置から受信する通信部を
さらに備える前記(14)乃至(17)のいずれかに記載の情報処理装置。
(19)
前記移動体は、タクシーであり、
前記輸送対象は、乗客であり、
前記提示制御部は、前記乗客を乗せていない前記タクシーである空車の動態に基づいて予測された前記乗客の需要の予測結果を示す前記需要予測データに基づいて、前記乗客の需要予測の提示を制御する
前記(14)乃至(18)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0187】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0188】
1,1-1乃至1-n 車両, 11 車両制御システム, 24 位置情報取得部, 31 HMI, 71 自己位置推定部, 201 情報処理システム, 211 サーバ, 212-1乃至212-n クライアント, 221-1乃至221-n 情報処理端末, 251 通信部, 252 情報処理部, 261 動態検出部, 262 需要解析部, 301 入力部, 302 位置情報取得部, 303 情報処理部, 304 通信部, 305 提示部, 311 動態データ生成部, 312 提示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12