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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179788
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】端末装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/04 20060101AFI20241219BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G06F1/04 570
G06K7/10 436
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098923
(22)【出願日】2023-06-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1. 令和4年6月28日、ハンディターミナル製品のOSアップデートにより公開
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇河 康
(57)【要約】
【課題】低温下においても安定して動作させることができるようにする。
【解決手段】端末装置(ハンディターミナル10)は、端末装置本体(ハンディターミナル本体10A)に電源を供給する電池30の温度を測定する測定部(電池温度センサ部301)と、前記端末装置本体の動作を制御するプロセッサ(CPU11)と、を備え、前記プロセッサは、互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合であって、且つ前記測定部により測定された前記電池の温度が所定の温度以下である場合に、前記プロセッサの動作周波数を第2の周波数より低い第1の周波数以下とする制限処理を行うとともに、前記制限処理を実行中において所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置本体に電源を供給する電池の温度を測定する測定部と、
前記端末装置本体の動作を制御するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合であって、且つ前記測定部により測定された前記電池の温度が所定の温度以下である場合に、前記プロセッサの動作周波数を第2の周波数より低い第1の周波数以下とする制限処理を行うとともに、前記制限処理を実行中において所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する端末装置。
【請求項2】
前記互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合は、前記端末装置本体の起動時に、前記端末装置本体が有する複数のユニットの初期動作を並列して実行する場合である請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記端末装置本体の起動時は、前記端末装置本体の電源をオフの状態からオンの状態にするときである請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記測定部は、所定の周期で前記電池の温度を測定し、
前記所定の条件が満たされた場合は、前記測定部により測定された前記電池の温度が所定の温度よりも高い場合である請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記所定の条件が満たされた場合は、前記端末装置本体が起動してから所定の時間が経過した場合である請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記制限処理の解除後から前記端末装置本体の電源をオフするまでの間、前記所定の条件が満たされなくなった場合でも、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数のまま維持する請求項1に記載の端末装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、表示部の表示を停止するサスペンドモード実行中、且つ前記制限処理を実行中において前記所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する請求項1に記載の端末装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記電池を交換可能であるホットスワップモード実行中、且つ前記制限処理を実行中において前記所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する請求項1に記載の端末装置。
【請求項9】
端末装置本体に電源を供給する電池の温度を測定する測定部と、
前記端末装置本体の動作を制御するプロセッサと、
を備える端末装置の前記プロセッサに、
互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合であって、且つ前記測定部により測定された前記電池の温度が所定の温度以下である場合に、前記プロセッサの動作周波数を第2の周波数より低い第1の周波数以下とする制限処理を行うとともに、前記制限処理を実行中において所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットなどの店舗や倉庫等に導入され、商品管理などの業務に関する情報の入力を受け付けて管理する端末装置として、ハンディターミナルが知られている。ハンディターミナルは、例えば、管理対象の商品に付された商品識別番号などの情報が含まれるシンボル(バーコード、2次元コード)のスキャンを行うスキャナ部を有する。
ハンディターミナルは、寒冷地、冷凍室など、使用される場所の温度が低温になるケースがある。
【0003】
これに関して、特許文献1には、次の携帯端末装置が記載されている。具体的には、低温下等において当該装置に電源を供給するリチウムイオン電池等である電池の電圧降下が大きくなると電圧アラームを検出して装置を停止させる装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-338859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明のように装置を停止させる場合、低温下においてハンディターミナルの動作が不安定になるおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、低温下においても安定して動作させることができる端末装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の端末装置は、
端末装置本体に電源を供給する電池の温度を測定する測定部と、
前記端末装置本体の動作を制御するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合であって、且つ前記測定部により測定された前記電池の温度が所定の温度以下である場合に、前記プロセッサの動作周波数を第2の周波数より低い第1の周波数以下とする制限処理を行うとともに、前記制限処理を実行中において所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する。
【0008】
また、本発明のプログラムは、
端末装置本体に電源を供給する電池の温度を測定する測定部と、
前記端末装置本体の動作を制御するプロセッサと、
を備える端末装置の前記プロセッサに、
互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合であって、且つ前記測定部により測定された前記電池の温度が所定の温度以下である場合に、前記プロセッサの動作周波数を第2の周波数より低い第1の周波数以下とする制限処理を行うとともに、前記制限処理を実行中において所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低温下においても安定して端末装置を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ハンディターミナルの正面の外観図である。
図2】ハンディターミナルの背面の外観図である。
図3】ハンディターミナルの側面の外観図である。
図4】ハンディターミナルの機能構成を示すブロック図である。
図5】周波数設定処理を示すフローチャートである。
図6】変形例の周波数設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0012】
(1.端末装置の構成)
図1図4を参照して、本実施形態の端末装置であるハンディターミナル10の構成を説明する。図1は、ハンディターミナル10の正面の外観図である。図2は、ハンディターミナル10の背面の外観図である。図3は、ハンディターミナル10の側面の外観図である。図4は、ハンディターミナル10の機能構成を示すブロック図である。
【0013】
ハンディターミナル10は、スーパーマーケット、量販店などの店舗や、商品を格納する倉庫などの導入先で使用され、当該導入先の店員、管理担当者などのユーザーに操作される装置である。
【0014】
図4に示すように、ハンディターミナル10は、端末装置本体であるハンディターミナル本体10Aと、電池30と、を備える。
ハンディターミナル本体10Aは、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、操作部14と、表示部15と、光学読取部16と、無線通信部17と、計時部18と、を有する。
ハンディターミナル本体10Aの各部(ユニット)は、バス19を介して接続されている。
電池30は、ハンディターミナル本体10Aに取り付けられてバス19に接続される。
【0015】
CPU11は、ハンディターミナル10の各部を制御する。
CPU11は、記憶部13に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM12に展開する。次に、CPU11は、当該展開したプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0016】
RAM12は、揮発性のメモリであり、各種のデータやプログラムを一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0017】
記憶部13は、情報を読み出し及び書き込み可能なフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部である。
記憶部13には、各種データ及びプログラムが記憶されている。記憶部13には、アプリケーションプログラムとして、後述する周波数設定処理を実行するためのプログラム131が記憶されている。
【0018】
操作部14は、ユーザーのキー操作入力を受け付け、その操作情報をCPU11に出力する。
操作部14は、例えば、正面トリガキー141、側面トリガキー142、背面トリガキー143、一般入力キー144、電源キー(図示無し)等を有する。
正面トリガキー141は、図1に示すように、ハンディターミナル本体10Aの正面に設けられている。
側面トリガキー142は、図2図3に示すように、ハンディターミナル本体10Aの側面に設けられている。
背面トリガキー143は、図2図3に示すように、ハンディターミナル本体10Aの背面に設けられている。
正面トリガキー141、側面トリガキー142及び背面トリガキー143は、光学読取部16による読み取り動作を実行させる操作入力を受け付ける。
一般入力キー144は、図1に示すように、ハンディターミナル本体10Aの正面に設けられている。
一般入力キー144は、カーソルキー、テンキー、ファンクションキー等を有する。
電源キーは、ハンディターミナル10の電源オン/オフの入力を受け付ける。
【0019】
表示部15は、図1図3に示すように、ハンディターミナル本体10Aの正面に設けられている。
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)の表示パネルを有し、CPU11から指示された表示情報に従い、当該表示パネルに各種表示を行う。
【0020】
光学読取部16は、図2図3に示すように、ハンディターミナル本体10Aの背面に設けられている。
光学読取部16は、スキャナ部161と、撮像部162と、を有する。
【0021】
スキャナ部161は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャなどの撮像素子を有する。
スキャナ部161は、CPU11の制御に従い、シンボルを被写体として撮像してその画像データを生成し、CPU11に出力する。当該シンボルは、バーコード、2次元コードである。
CPU11は、スキャナ部161により撮像されたシンボルの画像データをデコードして当該シンボルに含まれるデータを取得する。なお、スキャナ部161は、シンボルとしてのバーコードにレーザー光を照射しその反射光の入力により得られた信号をデコードして当該バーコードに含まれたデータを得るレーザスキャナとしてもよい。
【0022】
撮像部162は、撮像素子を有し、CPU11の制御に従い、被写体を撮像してその画像データを生成し、CPU11に出力する。
【0023】
無線通信部17は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有し、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)通信の通信方式の通信部である。
CPU11は、無線通信部17を介して、アクセスポイントとの無線送受信を行い、当該アクセスポイントにネットワーク接続された通信先の機器と情報の送受信を行う。
【0024】
計時部18は、リアルタイムクロックであり、現在日時を計時し、現在日時情報としてCPU11に出力する。
【0025】
ハンディターミナル本体10Aは、図2図3に示すように、電池収納部20を有する。
電池収納部20は、電池30を収納し、電池30に電気的に接続される端子(図示無し)を有する。
電池30は、電池収納部20に着脱可能に装着され、電池収納部20の端子を介してハンディターミナル本体10Aの各部に電源電力を供給する。
【0026】
電池30は、電池本体(図示なし)と、電池温度センサ部301と、を有する。
電池本体は、リチウムイオン電池などの充電池(2次電池)であり、電源電力供給を行う。
電池温度センサ部301は、サーミスタなどにより構成され、電池30の温度を検出し、検出した電池温度の情報をCPU11に出力する。
つまり、電池温度センサ部301は、ハンディターミナル本体10A(端末装置本体)に電源を供給する電池30の温度を測定する。電池温度センサ部301は、測定部として機能する。
【0027】
なお、低温下では、概してリチウムイオン電池などの充電池の内部抵抗が常温(通常温度)の状態に比べて増大する。また、ハンディターミナル10におけるシステムの起動時及び起動直後は、ハンディターミナル10内の多くのデバイスが初期動作等を実行する。そのため、システムの起動時及び起動直後は、ハンディターミナル10内における消費電流が通常駆動時に比べて増大する。このため、低温下においてハンディターミナル10を起動すると、電池30の電圧の降下の影響によりシステムが不安定になってしまうおそれがあるが、後述するように、本実施形態によれば、低温下でもハンディターミナル10を安定的に動作させることができる。
【0028】
ハンディターミナル10は、他にも、NFC(Near Field Communication)などの近距離通信部、ワイヤレスWAN(Wide Area Network)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信部、音声入力部、音声出力部などを備える構成としてもよい。
【0029】
(2.端末装置の動作)
次に、図5を参照して、ハンディターミナル10の動作を説明する。図5は、周波数設定処理を示すフローチャートである。
【0030】
予め、ハンディターミナル10がシャットダウン状態(電源オフ状態)にあるものとする。シャットダウン状態のハンディターミナル10において、操作部14の電源キーを介してユーザーから電源オン入力がされたことをトリガとして、CPU11は、記憶部13に記憶されたプログラム131に従い、周波数設定処理を実行する。
【0031】
(周波数設定処理)
CPU11は、ハンディターミナル10を初回起動する(ステップS1)。
ステップS1において、CPU11は、初回起動動作として、互いに異なる複数の処理を並列して実行する。換言すれば、CPU11は、ハンディターミナル本体10A(端末装置本体)の起動時に、端末装置本体が有する複数のユニットの初期動作を並列して実行する。
当該ハンディターミナル本体10A(端末装置本体)の起動時は、端末装置本体の電源をオフからオンにするときである。
なお、ハンディターミナル10の初回起動時以外のタイミング、例えば初回起動が完了した後のタイミングで互いに異なる複数の処理を行う際に、後述する所定の条件が満たされた場合、以下の制限処理を行うようになっていてもよい。例えば、後述するサスペンドモードからの復帰後に、互いに異なる複数の処理を行う際であって、かつ、後述する所定の条件が満たされた場合、制限処理を行うようになっていてもよい。
【0032】
次に、CPU11は、電池30の温度(電池温度)を電池温度センサ部301から取得する。次に、CPU11は、計時部18から現在日時情報を取得して、電池温度を取得してからの経過を示す測定経過時間のカウントを開始する(ステップS2)。
【0033】
次に、CPU11は、ステップS2で取得した電池温度が-15[℃]以下であるか否かを判断する(ステップS3)。
【0034】
電池温度が-15[℃]以下である場合(ステップS3;YES)、CPU11は、CPU11の動作周波数(クロック周波数)を低温用設定にする(ステップS4)。当該低温用設定は、CPU11の動作周波数を、通常温度用設定である第2の周波数よりも低い第1の周波数以下にする設定である。
第2の周波数は、例えば、最大値が2GHzである。
第1の周波数は、例えば、最大値が600MHzである。
CPU11の動作周波数を、通常より低い周波数にすることで、ハンディターミナル10内のシステムにおける消費電流を通常より低くすることができる。そのため、電池30の温度が所定の温度以下である低温下において、電池30の電圧降下を抑制でき、ハンディターミナル10を安定的に動作させることができる。
【0035】
つまり、CPU11(プロセッサ)は、互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合であって、且つ電池温度センサ部301(測定部)により測定された電池30の温度が所定の温度(例えば、-15[℃])以下である場合に、CPU11の動作周波数を第2の周波数より低い第1の周波数以下とする制限処理を行う。
【0036】
次に、CPU11は、カウント中の測定経過時間が10秒以上か否かを判断する(ステップS5)。
測定経過時間が10秒未満である場合(ステップS5;NO)、CPU11は、本処理をステップS5に戻す。
【0037】
一方、測定経過時間が10秒以上である場合(ステップS5;YES)、CPU11は、本処理をステップS2に移行する。
つまり、電池温度センサ部301(測定部)は、所定の周期で(例えば、10秒ごとに)、電池30の温度を測定する。
【0038】
また、電池温度が-15[℃]より高い場合(ステップS3;NO)、CPU11は、CPU11の動作周波数を通常温度用設定にする(ステップS6)。当該通常温度用設定は、CPU11の動作周波数を、第1の周波数よりも高い第2の周波数にする設定である。具体的には、CPU11は、CPU11の動作周波数の最大値を例えば、2GHzにする。
【0039】
ここで、CPU11がステップS4、S5後に再度ステップS2、S3を実行する場合を説明する。この場合、CPU11は、再度ステップS3を実行するまで、CPU11の動作周波数を低温用設定にしたままである。つまり、CPU11は、制限処理を実行中である。この場合であって、電池温度が-15[℃]より高い場合(ステップS3;NO)、CPU11は、CPU11の動作周波数を通常温度用設定にする(ステップS6)。つまり、CPU11は、制限処理を実行中において、所定の条件が満たされた場合、制限処理を解除し、CPU11(プロセッサ)の動作周波数を第2の周波数に設定する。
この場合の所定の条件が満たされた場合とは、電池温度センサ部301(測定部)により測定された電池30の温度が所定の温度(例えば、-15[℃])より高い場合である。
【0040】
次に、CPU11は、操作部14を介してユーザーからリブート起動(再起動)の指示入力がされたか否かを判断する(ステップS7)。
リブート起動(再起動)の指示入力がされた場合(ステップS7;YES)、CPU11は、本処理をステップS1に移行する。
【0041】
一方、リブート起動(再起動)の指示入力がされていない場合(ステップS7;NO)、CPU11は、操作部14の電源キーを介してユーザーから電源オフ入力がされたか否かを判断する(ステップS8)。
電源オフが入力されていない場合(ステップS8;NO)、CPU11は、本処理をステップS7に移行する。
ここで、CPU11がステップS4、S5後に再度ステップS2、S3を実行し、その後ステップS6~S8を実行する場合を説明する。この場合、CPU11は、制限処理の解除後からハンディターミナル本体10A(端末装置本体)の電源をオフするまでの間、前記所定の条件が満たされなくなった場合でも、CPU11の動作周波数を第2の周波数のまま維持する。
【0042】
一方、電源オフが入力された場合(ステップS8;YES)、CPU11は、本処理を終了する。
【0043】
(サスペンドモード)
CPU11は、周波数設定処理のステップS1後に、周波数設定処理のステップS2以降と並行して、サスペンドモード(休止モード)を開始するか否かを判断する。
サスペンドモードは、表示部15の表示を停止し、操作部14を介してユーザーからのサスペンドモード終了の操作入力を待機し、最小限の処理を行う休止のモードである。
例えば、操作部14に所定時間、ユーザーによる操作入力がない場合、CPU11は、サスペンドモードを開始する。
例えば、操作部14にユーザーによるサスペンドモード終了の操作入力がされた場合、CPU11は、サスペンドモードを終了する。
【0044】
(ホットスワップモード)
CPU11は、周波数設定処理のステップS1後に、周波数設定処理のステップS2以降と並行して、ホットスワップモードを開始するか否かを判断する。
ホットスワップモードは、ハンディターミナル10のメモリの状態を維持したまま電池30の交換を行うためのモードである。ハンディターミナル10は、電池30の交換中を含めハンディターミナル本体10Aに内蔵されたサブ電池(図示略)によりハンディターミナル本体10Aのメモリの状態の維持に必要な各部への電源電力の供給を行う。また、サブ電池によるハンディターミナル本体10Aのメモリの状態の維持は、電池30の交換作業を行うのに十分な所定の時間(例えば、4分間)において行われるようになっている。
例えば、操作部14にユーザーによるホットスワップモード開始の操作入力がされた場合、CPU11は、ホットスワップモードを開始する。ユーザーは、ホットスワップモードが開始されると、ハンディターミナル本体10Aに装着された電池30を充電済の電池30に交換する。
例えば、操作部14にユーザーによるホットスワップモード終了の操作入力がされた場合、CPU11は、ホットスワップモードを終了する。
【0045】
CPU11がサスペンドモードまたはホットスワップモードを実行中である場合を説明する。この場合、且つCPU11が制限処理を実行中において所定の条件が満たされた場合、CPU11は、制限処理を解除し、CPU11の動作周波数を第2の周波数(例えば、最大値が2GHz)とする。
この場合の所定の条件が満たされた場合とは、電池温度センサ部301(測定部)により測定された電池30の温度が所定の温度(例えば、-15[℃])より高い場合である。
【0046】
なお、上述したように、CPU11は、ハンディターミナル10の初回起動後における制限処理の解除後には、リブート起動の指示、または電源オフの指示を受けつけるまで、CPU11の動作周波数を第2の周波数(通常温度用設定)のまま維持する。
言い換えると、ハンディターミナル10の初回起動後に、電池30の温度が所定の温度(例えば、-15[℃])より高いことが電池温度センサ部301により測定され制限処理が解除された後、例えばサスペンドモード中に電池30の温度が低下して所定の温度以下の温度となった場合でも、CPU11の動作周波数は第2の周波数のまま維持される。
【0047】
より具体的には、例えばサスペンドモードからの復帰時の動作は、ハンディターミナル10の初回起動時と比較して消費電流が小さいことを考慮して、一度制限処理が解除された後はCPU11の動作周波数が第2の周波数のまま維持されるようになっている。
このように、本実施の形態では、電池温度センサ部301により測定される電池30の温度と、ハンディターミナル10の操作の履歴(電源オフからの初回起動であるか、初回起動後のサスペンドモードからの復帰であるか、等)と、に応じてCPU11の動作周波数を適切に制限するため、不要な動作周波数の制限処理を抑制することができる。
【0048】
(3.変形例)
次に、本発明の変形例について説明する。
図6に、本変形例の周波数設定処理のフローチャートを示す。
【0049】
(変形例の周波数設定処理)
CPU11は、ハンディターミナル10を初回起動する。次に、CPU11は、計時部18から現在日時情報を取得して、ハンディターミナル10を初回起動してからの経過を示す起動経過時間のカウントを開始する(ステップS1a)。
次に、CPU11は、電池30の温度を電池温度センサ部301から取得する(ステップS2a)。
【0050】
次に、CPU11は、上記周波数設定処理のステップS3、S4と同様のステップS3a、S4aを実行する。
次に、CPU11は、カウント中の起動経過時間が2分以上か否かを判断する(ステップS5a)。
なお、起動経過時間における上記閾値は2分に限らない。起動経過時間における閾値は、電池30の温度が所定の温度(例えば、例えば、-15[℃])より高くなったと推定される時間であればよい。
経過時間が2分未満である場合(ステップS5a;NO)、CPU11は、本処理をステップS5aに戻す。
【0051】
一方、起動経過時間が2分以上である場合(ステップS5a;YES)、CPU11は、本処理をステップS6aに移行する。
【0052】
ここで、CPU11がステップS4a、S5aを実行する場合を説明する。この場合、CPU11は、CPU11の動作周波数を低温用設定にしたままである。つまり、CPU11は、制限処理を実行中である。この場合であって、起動経過時間が2分以上である場合(ステップS5a;YES)、CPU11は、CPU11の動作周波数を通常温度用設定にする(ステップS6a)。つまり、CPU11は、制限処理を実行中において、所定の条件が満たされた場合、制限処理を解除し、CPU11の動作周波数を第2の周波数(例えば、最大値が2GHz)とする。
この場合の所定の条件が満たされた場合とは、ハンディターミナル本体10A(端末装置本体)が起動してから所定の時間(例えば、2分)が経過した場合である。
【0053】
CPU11は、上記周波数設定処理のステップS7、S8と同様のステップS7a、S8aを実行する。
なお、図6に示す例においても、CPU11は、ハンディターミナル10の初回起動後に一度でも所定の条件が満たされた場合(ステップS5a;YES)、リブート起動の指示、または電源オフの指示を受けつけるまで、CPU11の動作周波数を第2の周波数(通常温度用設定)のまま維持するようになっている。
【0054】
(4.効果)
以上、本実施形態の端末装置(ハンディターミナル10)は、端末装置本体(ハンディターミナル本体10A)に電源を供給する電池30の温度を測定する測定部(電池温度センサ部301)と、前記端末装置本体の動作を制御するプロセッサ(CPU11)と、を備え、前記プロセッサは、互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合であって、且つ前記測定部により測定された前記電池の温度が所定の温度以下である場合に、前記プロセッサの動作周波数を第2の周波数より低い第1の周波数以下とする制限処理を行うとともに、前記制限処理を実行中において所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する。
CPU11の動作周波数を第1の周波数以下にすることで、ハンディターミナル10内のシステムにおいて互いに異なる複数の処理を並列して実行する際の消費電流をより低くすることができる。そのため、電池30の温度が所定の温度以下である低温下において、電池30の電圧降下を抑制できる。
したがって、低温下においても安定して端末装置を動作させることができる。
【0055】
本実施形態の端末装置(ハンディターミナル10)において、前記互いに異なる複数の処理を並列して実行する場合は、前記端末装置本体(ハンディターミナル本体10A)の起動時に、前記端末装置本体が有する複数のユニット(ハンディターミナル10の各部)の初期動作を並列して実行する場合である。
これにより、ハンディターミナル10が有する複数のユニット(ハンディターミナル10の各部)の初期動作を並列して実行する際の消費電流をより低くすることができる。
【0056】
本実施形態の端末装置(ハンディターミナル10)において、前記端末装置本体(ハンディターミナル本体10A)の起動時は、前記端末装置本体の電源をオフの状態からオンの状態にするときである。
したがって、電池30の温度が所定の温度以下である可能性があるハンディターミナル本体10Aの電源をオフからオンにする場合に、安定してハンディターミナル10を起動できる。
【0057】
本実施形態の端末装置(ハンディターミナル10)において、前記測定部(電池温度センサ部301)は、所定の周期で前記電池30の温度を測定し、前記所定の条件が満たされた場合は、前記測定部により測定された前記電池30の温度が所定の温度よりも高い場合である。
これにより、電池30の内部抵抗が常温の状態に比べて増大する温度でない場合、制限処理を解除できる。
【0058】
本実施形態の端末装置(ハンディターミナル10)において、前記所定の条件が満たされた場合は、前記端末装置本体(ハンディターミナル本体10A)が起動してから所定の時間が経過した場合である。
これにより、電池30の内部抵抗が常温の状態に比べて増大する温度でないと推定できる場合、制限処理を解除できる。
【0059】
本実施形態の端末装置(ハンディターミナル10)において、前記プロセッサ(CPU11)は、前記制限処理の解除後から前記端末装置本体(ハンディターミナル本体10A)の電源をオフするまでの間、前記所定の条件が満たされなくなった場合でも、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数のまま維持する。
制限処理の解除後は、第2の周波数により動作させ続けることで、CPU11における不要な速度低下、及び制限処理に起因し得る誤作動を抑制できる。
【0060】
本実施形態の端末装置(ハンディターミナル10)において、前記プロセッサ(CPU11)は、表示部15の表示を停止するサスペンドモード実行中、且つ前記制限処理を実行中において前記所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する。
本実施形態の端末装置(ハンディターミナル10)において、前記プロセッサ(CPU11)は、前記電池30を交換可能であるホットスワップモード実行中、且つ前記制限処理を実行中において前記所定の条件が満たされた場合、前記制限処理を解除し、前記プロセッサの動作周波数を前記第2の周波数に設定する。
サスペンドモードまたはホットスワップモード実行中であっても、所定の条件が満たされた場合、CPU11は第2の周波数により動作することで、CPU11における不要な速度低下、及び制限処理に起因し得る誤作動を抑制できる。
【0061】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る端末装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0062】
例えば、上記実施形態の図5に示す周波数設定処理のステップS3、または図6に示す変形例の周波数設定処理のステップS3aにおいて、電池温度が-15[℃]以下か否かを判断したが、電池温度における閾値はこれに限らない。電池30の内部抵抗が常温の状態に比べて増大する温度である場合に、CPU11が制限処理を実行する構成であればよい。
【0063】
また、上記実施形態の図5に示す周波数設定処理のステップS5において、測定経過時間の閾値を10秒としたがこれに限らない。測定経過時間の閾値は、端末装置ごとに設定してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、電池30は、リチウムイオン電池などの充電池であるとしたが、サーミスタなどの温度センサを備える電池であれば任意の電池であってよく、特に限定されるものではない。
【0065】
また、上記実施形態では、端末装置としてのハンディターミナル10を用いる構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、端末装置としては、電池で駆動し、電池の着脱又は交換が可能な、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)など、他の端末装置としてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態におけるハンディターミナル10の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0067】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0068】
10 ハンディターミナル
10A ハンディターミナル本体
11 CPU(プロセッサ)
12 RAM
13 記憶部
14 操作部
141 正面トリガキー
142 側面トリガキー
143 背面トリガキー
144 一般入力キー
15 表示部
16 光学読取部
161 スキャナ部
162 撮像部
17 無線通信部
18 計時部
19 バス
20 電池収納部
30 電池
301 電池温度センサ部(測定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6