(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017979
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】選魚装置、選魚方法、及び選魚プログラム
(51)【国際特許分類】
B07C 5/342 20060101AFI20240201BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20240201BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240201BHJP
G06V 10/764 20220101ALI20240201BHJP
【FI】
B07C5/342
G06Q50/02
G06T7/00 350B
G06V10/764
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120992
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】399003167
【氏名又は名称】日本遠洋旋網漁業協同組合
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久雄
(72)【発明者】
【氏名】嘉村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕喜
【テーマコード(参考)】
3F079
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
3F079AC02
3F079CA18
3F079CA20
3F079CA23
3F079CA26
3F079CB25
3F079CB30
3F079CC00
3F079DA12
3F079DA13
3F079EA01
3F079EA09
5L049CC01
5L096BA03
5L096CA05
5L096DA02
5L096FA02
5L096FA59
5L096FA60
5L096FA67
5L096HA11
5L096JA11
5L096JA22
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】水揚げされた漁獲物の魚種の識別、及び仕分けを自働化することができる選魚装置等を提供する。
【解決手段】選魚装置は、魚の重なりを解消してコンベア上に載置して搬送する魚分離部と、搬送される魚を撮像する撮像部と、魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する移送ロボット部と、撮像部により撮像された画像に基づいて移送ロボットの移送動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する個別魚情報取得部と、魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する魚種情報取得部と、個別魚情報と魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、搬送される魚ごとに付与して記憶する固有情報付与部と、魚固有情報に基づいて魚を移送するための制御情報を生成するロボット制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水揚げされた魚を受け入れる魚受け入れ部と、
前記魚受け入れ部に受け入れられた前記魚を1尾の魚ごとに分離し魚の重なりを解消してコンベア上に載置して搬送する魚分離部と、
前記魚分離部により分離され前記コンベア上に載置されて搬送される魚を撮像する撮像部と、
前記撮像部の下流側に備えられ、前記撮像部により撮像された魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する移送ロボット部と、
前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記移送ロボットの移送動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する個別魚情報取得部と、
前記魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する魚種情報取得部と、
前記個別魚情報と前記魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、前記コンベア上に載置されて搬送される魚ごとに付与して記憶する固有情報付与部と、
前記魚固有情報に基づいて前記複数の容器のいずれかに該当する魚を移送するための制御情報を生成するロボット制御部と、
を備えることを特徴とする選魚装置。
【請求項2】
前記魚種情報取得部は、所定の魚種と当該魚種の特徴的部分との対応関係を予め機械学習した魚種学習モデルを用いて、前記魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の選魚装置。
【請求項3】
前記魚分離部は、搬送方向が順方向となるように連結された2以上のコンベアを備え、隣接する2つの前記コンベアのうち下流側の前記コンベアの搬送速度は上流側の前記コンベアの搬送速度より速いことを特徴とする請求項1又は2に記載の選魚装置。
【請求項4】
前記ロボット制御部は、前記魚ごとの前記魚固有情報に基づき導出する前記魚の重心位置の前記コンベア上における位置情報を含めて前記制御情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の選魚装置。
【請求項5】
前記ロボット制御部は、前記魚のうち少数となる魚種を優先して選別し該当する前記容器に移送するための前記制御情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の選魚装置。
【請求項6】
前記魚の向きは、前記魚の目と尾を結ぶ線と前記コンベアの搬送方向とのなす角であることを特徴とする請求項1に記載の選魚装置。
【請求項7】
前記移送ロボットは、パラレルリンクロボットであることを特徴とする請求項1に記載の選魚装置。
【請求項8】
前記画像は、動画であることを特徴とする請求項1に記載の選魚装置。
【請求項9】
前記魚種は、鰺および鯖であることを特徴とする請求項1に記載の選魚装置。
【請求項10】
水揚げされた魚を受け入れる魚受け入れ部と、
前記魚受け入れ部に受け入れられた前記魚を1尾の魚ごとに分離し魚の重なりを解消して1尾の魚ごと搬送する魚分離部と、
前記魚分離部により分離され1尾の魚ごと搬送される魚を撮像する撮像部と、
前記撮像部の下流側に備えられ、前記撮像部により撮像された魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する移送ロボット部と、
前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記移送ロボットの移送動作を制御する制御部と、
を備えた選魚装置に用いる選魚方法であって、
前記制御部は、
前記撮像部により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する個別魚情報取得ステップと、
前記魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する魚種情報取得ステップと、
前記個別魚情報と前記魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、搬送される魚ごとに付与して記憶する固有情報付与ステップと、
前記魚固有情報に基づいて前記複数の容器のいずれか一の容器に該当する魚を移送するための制御情報を生成するロボット制御ステップと、
を実行することを特徴とする選魚方法。
【請求項11】
水揚げされた魚を受け入れる魚受け入れ部と、
前記魚受け入れ部に受け入れられた前記魚を1尾の魚ごとに分離し魚の重なりを解消して1尾の魚ごと搬送する魚分離部と、
前記魚分離部により分離され1尾の魚ごと搬送される魚を撮像する撮像部と、
前記撮像部の下流側に備えられ、前記撮像部により撮像された魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する移送ロボット部と、
前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記移送ロボットの移送動作を制御する制御部と、
を備えた選魚装置に用いる選魚プログラムであって、
前記制御部は、
前記撮像部により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する個別魚情報取得機能と、
前記魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する魚種情報取得機能と、
前記個別魚情報と前記魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、搬送される魚ごとに付与して記憶する固有情報付与機能と、
前記魚固有情報に基づいて前記複数の容器のいずれかに該当する魚を移送するための制御情報を生成するロボット制御機能と、
を実現することを特徴とする選魚プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選魚装置、選魚方法、及び選魚プログラムに関し、特に魚種を判別し仕分けることに適した選魚装置、選魚方法、及び選魚プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
沖合漁業、遠洋漁業などでは、中型若しくは大型の旋網漁船を用いて漁業が行われている。漁場で魚群を発見すると漁網で巻き捕獲し、運搬船などに積上げて漁獲する。漁獲物を積んだ運搬船などは漁場から水揚げ漁港に帰港し、漁獲物を水揚げする。
【0003】
水揚げされた漁獲物は、魚の大きさ、魚種などにより判別され仕分けられてから、単一の魚種ごとに箱詰めされて出荷される。これらの作業は、多くの場合、人手によって行われている。現在でも行われている人手による仕分けは、各魚種の小、中、大魚の仕分け及び箱詰めにそれぞれ15人から20人の人手を必要とする場合もあった。
【0004】
魚の仕分け及び箱詰めの工程において、現在では人手不足及び高齢化が進行していることから自働化への移行が始まっている。単一の魚種に仕分けするためには、魚種を判別しなければならず、魚種の判別の自働化には高度な画像認識技術が必要とされる。
【0005】
特許文献1に開示の技術によれば、機械学習されたニューラルネットワークを用いた学習モデルによって魚種を識別できるとしている。さらに、特許文献1によれば、漁獲物ごとに判別された魚種などの固有の情報が割当てられた識別番号を漁獲物ごとに紐付けるとしている。
【0006】
しかし、特許文献1に開示の技術においては、魚種を判別された漁獲物を単一の魚種ごとに自働で仕分けることまでは考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本開示は、水揚げされた漁獲物の魚種の識別、及び仕分けを自働化することができる選魚装置、選魚方法、及び選魚プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、第1の態様に係る選魚装置は、水揚げされた魚を受け入れる魚受け入れ部と、魚受け入れ部に受け入れられた魚を1尾の魚ごとに分離し魚の重なりを解消してコンベア上に載置して搬送する魚分離部と、魚分離部により分離されコンベア上に載置されて搬送される魚を撮像する撮像部と、撮像部の下流側に備えられ、撮像部により撮像された魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する移送ロボット部と、撮像部により撮像された画像に基づいて移送ロボットの移送動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、撮像部により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する個別魚情報取得部と、魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する魚種情報取得部と、個別魚情報と魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、コンベア上に載置されて搬送される魚ごとに付与して記憶する固有情報付与部と、魚固有情報に基づいて複数の容器のいずれかに該当する魚を移送するための制御情報を生成するロボット制御部と、を備える。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係る選魚装置において、魚種情報取得部は、所定の魚種と当該魚種の特徴的部分との対応関係を予め機械学習した魚種学習モデルを用いて、魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得することとしてもよい。
【0011】
第3の態様は、第1又は2の態様に係る選魚装置において、魚分離部は、搬送方向が順方向となるように連結された2以上のコンベアを備え、隣接する2つのコンベアのうち下流側のコンベアの搬送速度は上流側のコンベアの搬送速度より速いこととしてもよい。
【0012】
第4の態様は、第1の態様に係る選魚装置において、ロボット制御部は、魚ごとの魚固有情報に基づき導出する魚の重心位置のコンベア上における位置情報を含めて制御情報を生成することとしてもよい。
【0013】
第5の態様は、第1の態様に係る選魚装置において、ロボット制御部は、魚のうち少数となる魚種を優先して選別し該当する容器に移送するための制御情報を生成することとしてもよい。
【0014】
第6の態様は、第1の態様に係る選魚装置において、魚の向きは、魚の目と尾を結ぶ線とコンベアの搬送方向とのなす角であることとしてもよい。
【0015】
第7の態様は、第1の態様に係る選魚装置において、移送ロボットは、パラレルリンクロボットであることとしてもよい。
第8の態様は、第1の態様に係る選魚装置において、画像は、動画であることとしてもよい。
第9の態様は、第1の態様に係る選魚装置において、魚種は、鰺および鯖であることとしてもよい。
【0016】
第10態様に係る選魚方法は、水揚げされた魚を受け入れる魚受け入れ部と、魚受け入れ部に受け入れられた魚を1尾の魚ごとに分離し魚の重なりを解消して1尾の魚ごと搬送する魚分離部と、魚分離部により分離され1尾の魚ごと搬送される魚を撮像する撮像部と、撮像部の下流側に備えられ、撮像部により撮像された魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する移送ロボット部と、撮像部により撮像された画像に基づいて移送ロボットの移送動作を制御する制御部と、を備えた選魚装置に用いる選魚方法であって、制御部は、撮像部により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する個別魚情報取得ステップと、魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する魚種情報取得ステップと、個別魚情報と魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、搬送される魚ごとに付与して記憶する固有情報付与ステップと、魚固有情報に基づいて複数の容器のいずれか一の容器に該当する魚を移送するための制御情報を生成するロボット制御ステップと、を実行する。
【0017】
第11の態様に係る選魚プログラムは、水揚げされた魚を受け入れる魚受け入れ部と、魚受け入れ部に受け入れられた魚を1尾の魚ごとに分離し魚の重なりを解消して1尾の魚ごと搬送する魚分離部と、魚分離部により分離され1尾の魚ごと搬送される魚を撮像する撮像部と、撮像部の下流側に備えられ、撮像部により撮像された魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する移送ロボット部と、撮像部により撮像された画像に基づいて移送ロボットの移送動作を制御する制御部と、を備えた選魚装置に用いる選魚プログラムであって、制御部は、撮像部により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する個別魚情報取得機能と、魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する魚種情報取得機能と、個別魚情報と魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、搬送される魚ごとに付与して記憶する固有情報付与機能と、魚固有情報に基づいて複数の容器のいずれかに該当する魚を移送するための制御情報を生成するロボット制御機能と、を実現する。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る選魚装置等は、水揚げされた魚を受け入れる魚受け入れ部と、魚受け入れ部に受け入れられた魚を1尾の魚ごとに分離し魚の重なりを解消してコンベア上に載置して搬送する魚分離部と、魚分離部により分離されコンベア上に載置されて搬送される魚を撮像する撮像部と、撮像部の下流側に備えられ、撮像部により撮像された魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する移送ロボット部と、撮像部により撮像された画像に基づいて移送ロボットの移送動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、撮像部により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する個別魚情報取得部と、魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する魚種情報取得部と、個別魚情報と魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、コンベア上に載置されて搬送される魚ごとに付与して記憶する固有情報付与部と、魚固有情報に基づいて複数の容器のいずれかに該当する魚を移送するための制御情報を生成するロボット制御部と、を備えるので、水揚げされた漁獲物の魚種の識別、及び仕分けを自働化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る選魚装置の全体的構成の概要を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係る選魚装置における撮像部及び移送ロボット部の外観斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る選魚装置における撮像部の外観斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る選魚装置の撮像エリアにおける撮像カメラの配置について説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係る撮像部が撮像した画像の一例を説明するための図である。
【
図6】本実施形態に係る選魚装置における移送ロボット部に係るロボットの動作を説明するため図である。
【
図7】本実施形態に係る選魚装置における制御部の機能ブロック図である。
【
図8】本実施形態に係る魚の向きについて説明するため図である。
【
図9】本実施形態に係る鰺の特徴量について説明するための図である。
【
図10】本実施形態に係る鯖の特徴量について説明するための図である。
【
図11】本実施形態に係る選魚装置に用いる選魚プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至
図10を参照して本実施形態に係る選魚装置10について説明する。
(本実施形態に係る選魚装置10の全体的構成の概要)
図1を参照して、本実施形態に係る選魚装置10の全体的構成の概要について説明する。
【0021】
帰港した旋網船、運搬船などの漁船から陸揚げされた漁獲物となる魚(漁獲)は、先ず魚の体幅の大きさに基づいて、例えば、極小魚、小魚、中魚、大魚に選別される。魚の体幅の大きさに基づいて選別された各魚は、魚の体幅の大きさの各々に合わせて設けられた経路に振り分けられる。選魚装置10はこの経路の一つであり、選別された魚の体幅の大きさ毎に選魚装置10が設けられている。
【0022】
選魚装置10は、ワークとなる魚10aの搬送方向の上流から順に、魚受け入れ部11、魚整列部12、魚分離部13、撮像部14、及び、移送ロボット部15を備える。
【0023】
魚受け入れ部11は、水揚げされた魚(漁獲)を受け入れる。
魚受け入れ部11は、選魚装置10の最上流側に設けられ、魚の体幅の大きさに基づいて振り分けられた魚であって、複数の魚種が混在している魚を受け入れる。
【0024】
魚受け入れ部11は、乗り入れコンベア11aを備える。乗り入れコンベア11aの先端部に水揚げされた魚が投入される。乗り入れコンベア11aはワークとなる魚10aを一方向に搬送するベルトコンベアであり、受け入れた魚を魚整列部12へ搬送する。乗り入れコンベア11aは、その後端部が魚整列部12の魚整列用コンベア12aに接続される。乗り入れコンベア11aは、インバータ方式による速度調整が可能である。
【0025】
魚整列部12は、魚受け入れ部11から搬送されてきた魚10aの向きを整える。
魚整列部12は、ワークとなる魚10aを一方向に搬送する魚整列用コンベア12aを備える。魚整列用コンベア12aは、搬送する魚10aの長手方向を搬送方向に一致するように揃えて魚10aを整列する。魚整列部12は魚受け入れ部11より排出された魚10aを魚整列用コンベア12aの始端側で受け入れる。搬送方向に伸びる複数の仕切り壁(ガイド)若しくは溝により形成された複数の搬送用凹部が魚整列用コンベア12aの搬送面に形成されている。魚10aは、魚整列用コンベア12aの搬送面に形成された搬送用凹部に沿うようにして長尺方向を搬送方向に合わせ横並びに整列されて魚整列用コンベア12aの搬送面に載置される。
【0026】
なお、魚整列用コンベア12aには、ベルトコンベア、ローラコンベアなどが用いられる。
本実施形態で用いる魚整列用コンベア12aは、選別される魚種、魚体に合わせて選択され、食品用平ベルトコンベアが用いられる。魚整列用コンベア12aのサイズは、選別される魚のサイズに合わせて選択され、本実施形態では幅800mm、長さ1000mmのサイズの食品用平ベルトコンベアが用いられる。魚整列用コンベア12aのベルトの色は、選択する魚種に合わせて選択され、本実施形態では白色のベルトを用いた。なお、魚整列用コンベア12aはこれに限定されるものではなく、選魚装置10に選別される魚種、魚体、サイズ、色に合わせて適宜変更可能である。
【0027】
魚整列用コンベア12aは、搬送される魚を整列するためのガイドとして、固定式整列ガイド、揺動式整列ガイド、及び、櫛状に並べられたパイプの回転による整列ガイドなどを適宜備えており、更にベルトの交換を容易にする跳ね上げ式架台を備える。
ベルトコンベアの場合、コンベアの搬送面に対して相対的に静止させた状態でワークとなる魚10aを載置するので搬送中に魚10aの表面に傷が付きにくいとのメリットがある。
【0028】
魚整列用コンベア12aはインバータ方式による速度調整が可能である。
魚整列用コンベア12aの搬送速度は、乗り入れコンベア11aの搬送速度と等しいか若しくは速くなるように設定される。
【0029】
魚分離部13は、魚受け入れ部11に受け入れられた複数の魚を1尾の魚ごとに分離し魚の重なりを解消してコンベア上に載置して搬送する。
魚分離部13は、搬送方向が順方向となるように連結された2以上のコンベアを備え、この2以上のコンベアの搬送速度は同じ速度である。本実施形態に係る魚分離部13は、2台のコンベア、第1コンベア13a及び第2コンベア13bを備え、第1コンベア13a及び第2コンベア13bの搬送速度は同じ速度である。
【0030】
魚分離部13は、上流側から順に第1コンベア13aと第2コンベア13bとを備える(
図1参照)。第1コンベア13aの始端側は、魚整列用コンベア12aの終端側に接続される。第1コンベア13aの終端側は、第2コンベア13bの始端側に接続される。
【0031】
第1コンベア13aの搬送速度は、魚整列用コンベア12aの搬送速度より速くなるように設定されている。第2コンベア13bの搬送速度は、第1コンベア13aの搬送速度と等しくなるように設定されている。
【0032】
魚整列用コンベア12aの搬送面において他の魚10aと接近した状態若しくは重なった状態で搬送されてきた魚10aは、魚整列用コンベア12aより搬送速度の速い第1コンベア13aに乗り継ぐことにより、魚10aの他の魚10aとの接近状態が離隔され、魚10aの他の魚10aと重なった状態が解消若しくは緩和される。
【0033】
第1コンベア13aによって搬送される魚10aが他の魚10aと接近し重なった状態が解消されていない又は不十分な場合は、魚整列用コンベア12aの搬送速度を乗り入れコンベア11aの搬送速度に対してより速くなるように設定する。このようにすることで、乗り入れコンベア11aから魚整列用コンベア12aに魚10aが乗り継ぐことにより他の魚10aと接近した状態若しくは重なった状態が緩和され、魚整列用コンベア12aから第1コンベア13aに魚10aが乗り継ぐことにより他の魚10aと接近した状態若しくは重なった状態が充分に解消することとなる。
また、魚整列用コンベア12aは、搬送する魚10aの搬送方向に魚10aの長手方向が一致するように魚10aの向きを揃えることで、魚12aの短手方向の分離が行われ魚12a同士の重なり及び接近を解消するものである。
【0034】
このように、選魚装置10の魚分離部13において、魚受け入れ部11に受け入れられた魚は、乗り入れコンベア11aから魚整列用コンベア12aに魚10aが乗り継ぐことにより、更に魚整列用コンベア12aから第1コンベア13aに乗り継ぐことにより、魚10aと他の魚10aとの接近及び重なりを解消することができる。
【0035】
本実施形態の第1コンベア13a及び第2コンベア13bは、選別される魚種、魚体に合わせて選択され、食品用平ベルトコンベアが用いられる。第1コンベア13a及び第2コンベア13bのサイズは、選別される魚のサイズに合わせて選択され、例えば、第1コンベア13aは幅800mm、長さ1000mm、第2コンベア13bは幅800mm、長さ600mmのサイズの食品用平ベルトコンベアが用いられる。第1コンベア13a及び第2コンベア13bのベルトの色は、選択する魚種に合わせて選択され、白色のベルトを用いた。なお、第1コンベア13a及び第2コンベア13bはこれに限定されるものではなく、選魚装置10に選別される魚種、魚体、サイズ、色に合わせて適宜変更可能である。
【0036】
第2コンベア13bは、ベルトの移動とともに回転する図示しないロータリーエンコーダが取り付けられており、ベルトの移動距離とロータリーエンコーダの回転角度とが関連付けられている。ロータリーエンコーダの出力信号により、その回転角度に関連付けられたベルトの移動距離を検出することができる。
【0037】
ここで、本実施形態で用いられるベルトコンベアの搬送速度について説明する。
本実施形態で用いられるベルトコンベアは、乗り入れコンベア11a、魚整列用コンベア12a、第1コンベア13a、及び第2コンベア13b(撮像コンベア14d、取り出しコンベア15g)の4台のベルトコンベアである(
図1参照)。
【0038】
選魚装置10の移送ロボットの単位時間当たりの魚10aの取得数が多いことが予測される場合は、上記の4台のベルトコンベアを含む全体的な搬送速度は遅く設定される。一方で、選魚装置10の移送ロボットの単位時間当たりの魚10aの取得数が少ないことが予測される場合は、上記の4台のベルトコンベアを含む全体的な搬送速度は速く設定される。
【0039】
具体的には、選魚装置10の移送ロボットが魚10aを取得した回数を計数し、単位時間当たりの取得数を求め、この取得数に応じた適正なベルトコンベアの搬送速度に変更する。
【0040】
本実施形態に係る選魚装置10の移送ロボットは、60匹/分を最大取得数とし、これを超える場合はベルトコンベアの搬送速度を遅くする。また、選魚装置10の移送ロボットの単位時間当たりの取得数が40匹/分を下回る場合はベルトコンベアの搬送速度を速くする。
【0041】
第2コンベア13bは、撮像部14と移送ロボット部15とにわたり備えられ、撮像部14内に位置する撮像コンベア14dと移送ロボット部15内に位置する取り出しコンベア15gとから構成される。撮像コンベア14dと取り出しコンベア15gとは、連続した1つのコンベア(第2コンベア13b)を構成する。撮像コンベア14dの搬送面に撮像エリア14bが設けられている。
【0042】
撮像部14は、魚分離部13により分離されコンベア上に載置されて搬送される魚を撮像する。
撮像部14は、2台の撮像カメラ14a、カメラ用照明(図示せず)及びカメラボックス14cを備える(
図2、
図3、
図4参照)。
【0043】
撮像部14が撮像する画像は、静止画でもよく動画でもよく、2台の撮像カメラ14aはそれぞれ静止画用と動画用である。撮像カメラ14aはカメラボックス14cに収納されている。
【0044】
カメラボックス14cは、撮像カメラ14aを塩害及び結露などから保護し、例えば、アルマイト処理されたアルミニウム合金からなる。カメラボックス14cは、塩害用HEPAフィルターを備えた外気循環方式による吸気システム、及びエリアヒータを備えており、温度センサ、湿度センサ、及びパーティカルセンサによるフィードバック制御運転がなされている。なお、温度センサ及び湿度センサはカメラボックス14c内部の温度及び湿度を計測し、内部の精密機器の使用環境条件を計測値が超えた場合に警報が発令される。パーティカルセンサは、当該吸気システムのフィードバック制御運転の動作トリガーとして用いられる。
図示しない制御ボックスは、制御部16を収納する。制御ボックスは、完全密閉型であり、高度処理フィルターを経由する内気循環方式が採用される。このため、制御ボックスの設置時には、制御ボックス内部の空気及び水蒸気、その他残留する不純物を排気するために冷媒ガスによるエアパージが施される。また、制御ボックスは、温度センサ、湿度センサ、及びパーティカルセンサによるフィードバック制御機能を持つ空調設備を備える。制御ボックスはパーティカルセンサ、湿度センサ、及び温度センサを備える。パーティカルセンサは制御ボックス内部の清浄度を計測し、湿度センサは制御ボックス内の湿度を計測し、温度センサは制御ボックス内の温度を計測する。いずれのセンサも計測値が規定値を超えた場合に警報が発令される。
【0045】
図4に示す様に、撮像エリア14bは、その全体の領域を2台の撮像カメラ14aにより撮像される。2台の撮像カメラ14aにより撮像エリア14bの上にある魚10aを撮像する。2台の撮像カメラ14aが撮像した画像データは、1枚の画像データとして移送ロボット部15へ送られる。
【0046】
図5を参照して、2台の撮像カメラ14aが撮像し、その画像データを1枚にした画像について説明する。
図5は本実施形態に係る撮像部14が撮像した画像の一例を説明するための図である。
図5に示す様に、2台の撮像カメラ14aは、撮像エリア14bに複数の魚10aが存在する場合は、撮像エリア14bに存在する複数の魚10aを1枚の静止画として撮像することができ、当該静止画を移送ロボット部15へと送る。
【0047】
移送ロボット部15は、撮像部14の下流側に備えられ、撮像部14により撮像された魚を1尾ごとに魚種及び大きさに基づいて選別して所定の複数の容器のいずれかに移送する。
【0048】
本実施形態における移送ロボットは、パラレルリンクロボット15hを用いるが、これに限定されるものではなく、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット(スカラロボット)、及び直交ロボットを含む各種産業用ロボットを用いてもよい。
【0049】
移送ロボット部15の始端側は、撮像部14の終端側に接続される。即ち、移送ロボット部15の始端側は、撮像コンベア14dの終端側に位置する。移送ロボット部15内に位置する取り出しコンベア15gの搬送方向に向かって左右両側には容器15a~15fが設置されている。本実施形態における選魚装置10の容器は6個あり、魚種及びサイズに応じて6個の容器15a~15f(
図2参照)がそれぞれ割当てられる。
【0050】
移送ロボット部15の移送ロボットは、ロボット台15gに固定されて、移送ロボット部15における取り出しコンベア15gの上部に設置される。移送ロボットは、移送ロボット部15における取り出しコンベア15gの搬送面に載置された魚10aを取り上げて、必要に応じて魚10aを所望の向きに合わせ、容器15a~15fに収容する、いわゆるピックアンドプレイスを行う。なお、ロボット台15gは、塩害対策として耐重塩害塗装が施されている。
【0051】
本実施形態に係るパラレルリンクロボット15hとは、並列リンク機構を用いたロボットのことをいう。並行リンク機構とは、固定部となるベース15iと可動部となるチャック15mとの間にリンクとジョイントから構成される連結連鎖が複数個並列に配置された機構のことをいう。
【0052】
パラレルリンクロボット15hは3組の連結連鎖を備えている。各連結連鎖は第1リンク15jと第2リンク15kとを備え、さらに第1リンク15jと第2リンク15kとを連結される回転ジョイント15lを備える。回転ジョイント15lを構成するアクチュエータの回動角度を制御することによって第1リンク15jと第2リンク15kとのなす角を制御して可動部となるチャック15mの位置を制御する。
【0053】
チャック15mは非接触型チャックであり、非接触によりワークを保持・搬送することができる。非接触型チャックにはベルヌーイ方式チャックとサイクロン方式チャックとがあり、サイクロン方式チャックの方がベルヌーイ方式チャックより保持力が強い。
【0054】
ベルヌーイ方式チャックは、その供給ポートから供給される圧縮空気を吸着面側のノズルから放射状に噴出することで中心部に負圧を生じさせて吸引力を発生させる。サイクロン方式チャックは、その供給ポートから供給される圧縮空気を吸着面側のノズルから噴出することで旋回流を生じさせ真空を生じさせて吸引力を発生させる。
なお、チャック15mは、ベルヌーイ方式チャック及びサイクロン方式チャックに限定されるものではなく、チャックの吸着面側(ワークを保持する側の面)に負圧を生じさせてワークを保持・搬送できるものであればよい。さらに、例えば、ロボットハンドなどに利用されるメカニカルチャックをチャック15mに用いることもできる。メカニカルチャックは接触式チャックであり、ワークを挟持することで保持・搬送する。
【0055】
図6を参照してパラレルリンクロボット15hの動作について説明する。
図6は本実施形態に係る選魚装置における移送ロボット部に係るロボットの動作を説明するための図である。
パラレルリンクロボット15hは、対象のワークとなる魚10aの上にチャック15mを移動させ、回転ジョイント15lの回動角度を拡大することでチャック15mを魚10aに接近させチャック15mの吸引力により魚10aを保持する(
図6(i))。
【0056】
パラレルリンクロボット15hは、チャック15mにより魚10aを保持した状態で回転ジョイント15lの回動角度を縮小することでチャック15mとともに魚10aを持ち上げる(
図6(ii))。
【0057】
パラレルリンクロボット15hは、チャック15mにより魚10aを保持した状態でチャック15mを持ち上げて、6個の容器15a~15fのうち当該魚10aに対応付けられた何れか1つの容器の上に移動し、回転ジョイント15lの回動角度を拡大することでチャック15mを該当する容器の開口部に接近させてからチャック15mから魚10aを解放して魚10aを容器15a~15fに収容する(
図6(iii))。
パラレルリンクロボット15hは、魚10aを容器に収納する際に後述の魚の向き(θ)を所定の角度、例えば、θ=0にしてした後に魚10aを容器15a~15fに収納する。
【0058】
制御部16は、撮像部14により撮像された画像に基づいて移送ロボット15hの移送動作を制御する。
制御部16は、
図7に示す様に、個別魚情報取得部16a、魚種情報取得部16b、固有情報付与部16c、位置情報付与部16d、及びロボット制御部16eを備える。
図7は本実施形態に係る選魚装置における制御部の機能ブロック図である。
【0059】
個別魚情報取得部16aは、撮像部14により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する。
図8を参照して、本実施形態における魚の向き19について説明する。魚の向き19は、魚10a(18、22)の目18b、22bと尾18e、22eを結ぶ線とコンベアの搬送方向20とのなす角(θ)21である。なお、
図8に示す符号18fは鯖の重心位置を示し、符号22fは鯵の重心位置を示す。
【0060】
個別魚情報取得部16aは、コンピュータを用いて行われる画像解析による物体検知に利用されるアルゴリズムの一つであるYOLO(You Only Look Once)を用いて撮像部14により撮像された動画若しくは静止画に対して画像認識を行うことで、各魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを個別情報として取得する。なお、物体検知に利用されるアルゴリズムはこれに限定されるものではなく、人工知能、若しくは機械学習に基づく各種アルゴリズムを利用することができる。
【0061】
魚種情報取得部16bは、魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する。
魚種情報取得部16bは、所定の魚種と当該魚種の特徴的部分との対応関係を予め機械学習した魚種学習モデルを用いて、魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する。
【0062】
魚種は、鰺および鯖であることとしてもよい。
本実施形態における魚種学習モデルは、魚種について鰺、鯖、及びその他の魚の三種類に判別するように予め機械学習されている。なお、魚種学習モデルは、これに限定されるものではなく、他の種類の魚について判別するように機械学習され得る。また、例えば鯖の中でもマサバ、ゴマサバ、タイセイヨウサバなどの鯖の種類、又は雄雌、体長、体幅などのサイズに基づいて判別するように予め機械学習されることもできる。さらに、3種類の判別に限定されるものでは無く、2種類、若しくは4種類以上の判別を行う魚種学習モデルを生成することもできる。
【0063】
図9、
図10を参照して魚種学習モデルの機械学習に用いる教師データについて説明する。
図9は本実施形態に係る鰺の特徴量について説明するための図であり、
図10は本実施形態に係る鯖の特徴量について説明するための図である。
【0064】
鰺を判別するための特徴的部分(特徴量)は、鰺全身22a、鰺目22b、鰺のヒレとエラ22c、鰺ゼイゴ22d、及び鰺尾22eの形状、色、及び模様である(
図9参照)。
【0065】
鯖を判別するための特徴的部分(特徴量)は、鯖全身18a、鯖目18b、鯖のヒレとエラ18c、鯖ゼイゴ18d、及び鯖尾18eの形状、色、及び模様である(
図10参照)。
【0066】
魚種が鰺、鯖、その他の魚の何れかであることが予め判明している大量の魚の写真を教師データとして魚種学習モデルとなるコンピュータシステムに入力する。当該コンピュータシステムは、当該教師データを学習することで上記した鰺、鯖の特徴量と魚種である鰺、鯖とを関連づけるパターンを導き出すことで学習済みモデルとなり魚種学習モデルを形成する。
【0067】
魚種学習モデルは、魚種が特定されていない魚が映る画像を入力することで、当該画像に映る魚の魚種を推定する。魚種学習モデルは、画像の中の魚種が特定されていない魚の特徴量を解析し、魚種が特定されていない魚の特徴量が、鰺の特徴量又は鯖の特徴量の何れに該当するかの多数決により魚種を推定する。即ち、魚種が特定されていない魚の特徴量が、鰺の特徴量より鯖の特徴量に該当するものが多い場合は、魚種学習モデルは入力された画像に映る魚の魚種を鯖と推定する。
また、魚種が特定されていない魚の特徴量が、鰺の特徴量、及び鯖の特徴量の何れにも所定数以上の該当が無い場合は、鰺、鯖以外のその他の魚であると判別する。
【0068】
固有情報付与部16cは、個別魚情報と魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、コンベア13b上に載置されて搬送される魚ごとに付与して記憶する。
【0069】
ロボット制御部16eは、魚固有情報に基づいて複数の容器のいずれかに該当する魚を移送するための制御情報を生成する。
ロボット制御部16eは、魚ごとの魚固有情報に基づき導出する魚の重心位置の第2コンベア13b上における位置情報を含めて制御情報を生成する。
【0070】
ロボット制御部16eは位置情報付与部16dを備え、制御情報の生成に先立って、位置情報付与部16dにより、固有情報付与部16cにより搬送される魚ごとに付与して記憶された魚固有情報と第2コンベア13bに取り付けられたロータリーエンコーダが検出した回転角度とを関連付けることで第2コンベア13d上における位置情報を魚ごとの重心位置に付与する。
【0071】
個別魚情報取得部16aが取得する魚の重心位置は、取り出しコンベア15gの搬送面の所定点を原点とし、x軸、y軸を基準軸とする2次元直交座標系(x,y)により表される。
個別魚情報は、各魚10aの重心位置(x,y)及び魚の向き(θ)を含むものとし、ロボット制御部16eが生成する制御情報には、各魚10aの魚種、重心位置(x,y)及び魚の向き(θ)を少なくとも含むものとし、この他に魚の外形寸法などを含めることができる。パラレルリンクロボット15hはロボット制御部16eが生成する制御情報に基づいて動作をする。
【0072】
ロボット制御部16eは、魚のうち少数となる魚種を優先して選別し該当する容器15a~15dに移送するための制御情報を生成する。
【0073】
(選魚方法及び選魚プログラム)
次に
図11を参照して、本実施形態の選魚方法について、選魚プログラムとともに説明する。
図11は本実施形態の選魚プログラムのフローチャートである。
【0074】
図11に示す様に、選魚プログラムは、個別魚情報取得ステップS16a、魚種情報取得ステップS16b、固有情報付与ステップS16c、位置情報付与ステップ16d、及びロボット制御ステップS16eなどを含む。
選魚装置10は、制御部16により当該選魚プログラムを実行する。
【0075】
画像選魚プログラムは、選魚装置10の制御部16に対して、個別魚情報取得機能、魚種情報取得機能、固有情報付与機能、位置情報付与機能、及びロボット制御機能を実現させる。
【0076】
これらの機能は
図11に示す順序で処理を行う場合を例示したが、これに限らず、これらの順番を適宜入れ替えて選魚プログラムを実行しても良い。なお、上記した各機能は、前述の選魚装置10の個別魚情報取得部16a、魚種情報取得部16b、固有情報付与部16c、位置情報付与部16d、及びロボット制御部16eの説明と重複するため、その詳細な説明は省略する。
【0077】
個別魚情報取得機能は、撮像部14により撮像された魚の画像に含まれる魚の重心位置、魚の外形寸法、及び魚の向きを魚ごとの個別魚情報として取得する(S16a:個別魚情報取得ステップ)。
【0078】
魚種情報取得機能は、魚の画像に含まれる魚の魚種を魚ごとに推定し魚種情報として取得する(S16b:魚種情報取得ステップ)。
【0079】
固有情報付与機能は、個別魚情報と魚種情報とを組み合わせて固有の魚固有情報とし、コンベア13b上に載置されて搬送される魚ごとに付与して記憶する(S16c:固有情報付与ステップ)。
【0080】
位置情報付与機能は、固有情報付与機能により搬送される魚ごとに付与して記憶された魚固有情報と第2コンベア13bに取り付けられたロータリーエンコーダが検出した回転角度とを関連付けることで第2コンベア13d上における位置情報を魚ごとの重心位置に付与する(S16d:位置情報付与ステップ)。
【0081】
ロボット制御機能は、魚ごとの魚固有情報に基づき導出する魚の重心位置のコンベア13b上における位置情報を含めて制御情報を生成する(S16e:ロボット制御ステップ)。
【0082】
上記した実施形態に係る選魚装置10によれば、魚受け入れ部11に受け入れられた魚は、魚分離部13において、魚整列用コンベア12aから第1コンベア13aに乗り継ぐ際に、魚10aと他の魚10aとの接近及び重なりを解消することができる。更に、魚整列用コンベア12aから第1コンベア13aに乗り継ぐ際の魚10aと他の魚10aとの分離が不十分な場合には、乗り入れコンベア11aから魚整列用コンベア12aに乗り継ぐ際に魚10aと他の魚10aとの分離を行うので、撮像エリア14bにおいては魚10aと他の魚10aとの分離が充分に成されている。
【0083】
さらに、上記した実施形態に係る選魚装置10によれば、乗り入れコンベア11a、魚整列用コンベア12a、第1コンベア13a、及び第2コンベア13b(撮像コンベア14d、取り出しコンベア15g)は、インバータ方式によりそれぞれの搬送速度の調整が可能であるため、漁獲物の量に応じて搬送速度を調整することができる。
【0084】
さらに、上記した実施形態に係る選魚装置10によれば、魚分離部13によりコンベアの搬送面に載置された魚10aの接近及び重なりを解消することができるので、パラレルリンクロボット15hによるピックアンドプレイスを行う際に魚10aを傷つけることを抑制することができる。
【0085】
さらに、上記した実施形態に係る選魚装置10によれば、取り出しコンベア15gにおいて、搬送方向と魚10aの長手方向とを同じにするので、パラレルリンクロボット15hによる魚10aの取得がし易くなる。
【0086】
さらに、上記した実施形態に係る選魚装置10によれば、撮像カメラ14aは、撮像エリア14bにおいて複数の魚10aを1枚の静止画に収めて撮像することができるので、撮像エリア14bの搬送方向の長さを短縮することができ、延いては魚10aの全体的な搬送経路を短くすることができる。
【0087】
さらに、上記した実施形態に係る選魚装置10によれば、搬送ロボットにパラレルリンクロボット15hを用いるので、シリアルリンクロボットと比較して、アーム(リンク15j、15k)の重量が軽いため、モーターにかかる負荷が小さく、加速度及び移動速度が速く、減速・停止に係る負荷も小さくなり高速、高精度の位置決めが可能となるメリットがある。
【0088】
本開示は上記した実施形態に係る選魚装置10、選魚方法、及び選魚プログラムに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 選魚装置
10a 魚
11 魚受け入れ部
11a 乗り入れコンベア
12 魚整列部
12a 魚整列用コンベア
13 魚分離部
13a 第1コンベア
13b 第2コンベア
14 撮像部
14a 撮像カメラ
14b 撮像エリア
14c カメラボックス
14d 撮像コンベア
15 移送ロボット部
15a 容器
15b 容器
15c 容器
15d 容器
15e 容器
15f 容器
15g 取り出しコンベア
15g ロボット台
15h パラレルリンクロボット
15i ベース
15j 第1リンク
15k 第2リンク
15l 回転ジョイント
15m チャック
16 制御部
16a 個別魚情報取得部
16b 魚種情報取得部
16c 固有情報付与部
16d 位置情報付与部
16e ロボット制御部
17 入力画像
18 鯖
18a 鯖全身
18b 鯖目
18c 鯖ヒレ
18d 鯖模様
18e 鯖尾
18f 重心位置
19 魚の向き
20 コンベアの搬送方向
21 魚の目と尾を結ぶ線とコンベアの搬送方向とのなす角
22 鰺
22a 鰺全身
22b 鰺目
22c 鰺のヒレとエラ
22d 鰺ゼイゴ
22e 鰺尾
22f 重心位置