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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179794
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】サービスホールカバー
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B60J5/00 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098930
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 佳史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 賢治
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩史
(57)【要約】
【課題】ケーブル挿通時の作業性を改善させることが可能なサービスホールカバーを提供する。
【解決手段】インナーパネル13のサービスホール14を閉塞可能なカバー本体21と、カバー本体21の外縁から第1インテグラルヒンジ部30を介して外側に張り出した張出部31と、を備え、カバー本体21は、その外縁の一部に凹み部23を備え、張出部31は、第1インテグラルヒンジ部30を折り目として折り返すことにより凹み部23を被覆可能な蓋部37と、蓋部37が凹み部23を被覆した被覆状態において、蓋部37をカバー本体21に設けられた第1被係止部26に対して係止する係止部43とを備えており、被覆状態において凹み部23と蓋部37との間に、ケーブル50を挿通させるためのケーブル挿通孔22が形成されるサービスホールカバー20。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用ドアのインナーパネルに設けられたサービスホールを閉塞するためのサービスホールカバーであって、
前記サービスホールを閉塞可能なカバー本体と、
前記カバー本体の外縁から第1インテグラルヒンジ部を介して前記カバー本体の外側に張り出した張出部と、を備え、
前記カバー本体は、その外縁の一部が内側に凹んだ凹み部を備え、
前記張出部は、
前記第1インテグラルヒンジ部を折り目として当該張出部を折り返すことにより前記凹み部の少なくとも一部を被覆可能な蓋部と、
前記蓋部が前記凹み部を被覆した被覆状態において、前記蓋部を前記カバー本体に設けられた第1被係止部に対して係止するための係止部と、を備えており、
前記被覆状態において、前記凹み部と前記蓋部との間に、当該サービスホールカバーの表裏にケーブルを挿通させるためのケーブル挿通孔が形成されるようになっているサービスホールカバー。
【請求項2】
前記張出部は、
前記第1インテグラルヒンジ部を介して前記カバー本体との間で折り返し可能に連なる張出本体部と、第2インテグラルヒンジ部を介して前記張出本体部との間で折り返し可能に連なる前記蓋部と、を備え、
前記第1インテグラルヒンジ部と前記第2インテグラルヒンジ部とは、折り返しの折り目となる薄肉部が、それぞれ交差する方向に延びるものであり、
前記張出本体部と前記蓋部とがそれぞれ展開して前記カバー本体から張り出した状態である張出状態と、
前記張出本体部が前記第1インテグラルヒンジ部を境に折り返される一方、前記蓋部が展開して前記凹み部を被覆した状態である前記被覆状態と、
前記張出本体部と前記蓋部とが、それぞれ前記第1インテグラルヒンジ部と前記第2インテグラルヒンジ部とを境に折り返され、前記凹み部を被覆しない状態である非被覆状態と、の間で状態変化可能とされ、
前記カバー本体は、前記非被覆状態において、前記係止部と係止することで前記張出部の前記非被覆状態を保持する第2被係止部を備える、請求項1に記載のサービスホールカバー。
【請求項3】
前記凹み部は前記カバー本体の側縁部に設けられており、前記第1インテグラルヒンジ部は、前記凹み部の下方に設けられている請求項2に記載のサービスホールカバー。
【請求項4】
前記蓋部は、前記第2インテグラルヒンジ部を介して前記張出本体部との間で折り返し可能に連なる第1部分と、第3インテグラルヒンジ部を介して前記第1部分との間で折り返し可能に連なる第2部分と、を備え、
前記第3インテグラルヒンジ部は、前記第1インテグラルヒンジ部と、折り返しの折り目となる薄肉部が同方向に延びるものであり、
前記蓋部は、前記第2部分が前記第3インテグラルヒンジ部を境に折り返されるとともに前記第1部分が展開した状態の当該蓋部が、前記第1インテグラルヒンジ部を境に折り返されることにより、前記凹み部を被覆した前記被覆状態とされ、
前記第2部分のうち前記被覆状態において乗物室外側に配置される面に、前記カバー本体の外縁に沿う方向に延びる防水パッドが設けられている請求項2または請求項3に記載のサービスホールカバー。
【請求項5】
当該サービスホールカバーは、前記乗物用ドア内の機能部品を取り付けて一体化するためのモジュールベースとされている請求項1または請求項2に記載のサービスホールカバー。
【請求項6】
前記カバー本体の前記凹み部は、その縁部において、前記カバー本体の板面から乗物室外側に向けて凹状に後退する後退部を備え、
前記ケーブル挿通孔は、前記後退部を前記蓋部が覆うことで、前記後退部と前記蓋部との間に形成される孔である請求項1または請求項2に記載のサービスホールカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、サービスホールカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両用ドアを構成するアウターパネルとインナーパネルとの間の空間には、ウィンドウを昇降させる昇降装置や、ドアロック装置等の電装品が収容されている。また、インナーパネルには、上述した各種電装品等の組み付け作業やメンテナンス作業の利便性を向上するべく、サービスホールが開設されている。サービスホールは、作業時以外は、サービスホールカバーにより閉塞された状態とされる。
【0003】
特許文献1には、サービスホールカバーに、電装品のハーネスを通すためのハーネス孔を開設した構成が開示されている。このような構成によれば、作業者は、片手でサービスホールカバーを持ちながら、他方の手でハーネスをハーネス孔に先端から根元まで通すことで、ハーネスをサービスホールカバーに貫通させつつ、サービスホールカバーをサービスホールに組み付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-210151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、サービスホールカバーを片手で持ちながら、可撓性を有するハーネスの先端をハーネス孔に対して位置決めする作業や、先端をハーネス孔に通した後、ハーネスの把持部分を持ち替えつつ根元まで挿通させる作業は煩わしく、作業性の改善が望まれている。
【0006】
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ケーブル(ハーネス)挿通時の作業性を改善させることが可能なサービスホールカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、乗物用ドアのインナーパネルに設けられたサービスホールを閉塞するためのサービスホールカバーであって、前記サービスホールを閉塞可能なカバー本体と、前記カバー本体の外縁から第1インテグラルヒンジ部を介して前記カバー本体の外側に張り出した張出部と、を備え、前記カバー本体は、その外縁の一部が内側に凹んだ凹み部を備え、前記張出部は、前記第1インテグラルヒンジ部を折り目として当該張出部を折り返すことにより前記凹み部の少なくとも一部を被覆可能な蓋部と、前記蓋部が前記凹み部を被覆した被覆状態において、前記蓋部を前記カバー本体に設けられた第1被係止部に対して係止するための係止部と、を備えており、前記被覆状態において、前記凹み部と前記蓋部との間に、当該サービスホールカバーの表裏にケーブルを挿通させるためのケーブル挿通孔が形成されるようになっている。
【0008】
上記構成によれば、作業者は、蓋部で覆われる前の凹み部内にカバー本体の外縁側からケーブルの中間部分を横滑りさせるように挿入し、その後、張出部を折り返して、蓋部によって凹み部を被覆すれば(閉じれば)よい。この時、凹み部と蓋部との間にケーブル挿通孔が形成されるようになっているから、ケーブルは凹み部を被覆した状態の蓋部と干渉することなく、ケーブル挿通孔により当該サービスホールカバーの表裏に挿通した状態とされる。また、蓋部はカバー本体と第1インテグラルヒンジを介して一体に設けられているから、部品点数が増えることもない。このように、ケーブルを簡単にサービスホールカバーに挿通させた状態とすることが可能となり、作業性が向上する。
【0009】
前記張出部は前記第1インテグラルヒンジ部を介して前記カバー本体との間で折り返し可能に連なる張出本体部と、第2インテグラルヒンジ部を介して前記張出本体部との間で折り返し可能に連なる前記蓋部と、を備え、前記第1インテグラルヒンジ部と前記第2インテグラルヒンジ部とは、折り返しの折り目となる薄肉部が、それぞれ交差する方向に延びるものであり、前記張出本体部と前記蓋部とがそれぞれ展開して前記カバー本体から張り出した状態である張出状態と、前記張出本体部が前記第1インテグラルヒンジ部を境に折り返される一方、前記蓋部が展開して前記凹み部を被覆した状態である前記被覆状態と、前記張出本体部と前記蓋部とが、それぞれ前記第1インテグラルヒンジ部と前記第2インテグラルヒンジ部とを境に折り返され、前記凹み部を被覆しない状態である非被覆状態と、の間で状態変化可能とされ、前記カバー本体は、前記非被覆状態において、前記係止部と係止することで前記張出部の前記非被覆状態を保持する第2被係止部を備えていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、サービスホールカバーを非被覆状態での納品とすることにより、ケーブル挿通作業の際に、作業者が凹み部を被覆状態から一旦開放した状態(非被覆状態)とする作業が不要となり、インナーパネルへの取付現場での作業性が向上する。しかも、非被覆状態は、張出状態とすることで凹み部を開放させる構成と比較して、カバーを搬送する際に張出部が嵩張ったり、損傷を受けたりすることを抑制することができる。
【0011】
前記凹み部は前記カバー本体の側縁部に設けられており、前記第1インテグラルヒンジ部は、前記凹み部の下方に設けられていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、非被覆状態とされた蓋部の係止部が第2被係止部から誤って外れた場合でも、ケーブルの挿通作業中に蓋部は重力により凹み部の下方に配置されるから、蓋部が被覆状態となってケーブル挿通作業が阻害されることが抑制される。
【0013】
前記蓋部は、前記第2インテグラルヒンジ部を介して前記張出本体部との間で折り返し可能に連なる第1部分と、第3インテグラルヒンジ部を介して前記第1部分との間で折り返し可能に連なる第2部分と、を備え、前記第3インテグラルヒンジ部は、前記第1インテグラルヒンジ部と、折り返しの折り目となる薄肉部が同方向に延びるものであり、前記蓋部は、前記第2部分が前記第3インテグラルヒンジ部を境に折り返されるとともに前記第1部分が展開した状態の当該蓋部が、前記第1インテグラルヒンジ部を境に折り返されることにより、前記凹み部を被覆した前記被覆状態とされ、前記第2部分のうち前記被覆状態において乗物室外側に配置される面に、前記カバー本体の外縁に沿う方向に延びる防水パッドが設けられていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、同方向に延びる第1インテグラルヒンジ部および第3インテグラルヒンジ部を境に張出本体部と第2部分とがともに折り返された被覆状態において、第2部分のうちカバー本体の乗物室外面から連なる面は、乗物室外側に配置されることとなる。従って、カバー本体の外縁に沿って帯状の防水パッドを貼付する際に、防水パッドを張出本体部ひいては第2部分においてカバー本体から連続的に一括に貼付すれば、被覆状態において第2部分の防水パッドを乗物室外面に配置することができる。
【0015】
当該サービスホールカバーは、前記乗物用ドア内の機能部品を取り付けて一体化するためのモジュールベースとされていてもよい。
【0016】
サービスホールカバーがモジュールベースのように大型化した場合、サービスホールカバーが重くなるため、従来のように片手でサービスホールカバーを持ちながらケーブルを孔部内に手で挿通させる際の取り回しがしづらく、挿通作業が困難化する。このような場合に、本明細書に開示の技術は特に有効である。
【0017】
前記カバー本体の前記凹み部は、その縁部において、前記カバー本体の板面から乗物室外側に向けて凹状に後退する後退部を備え、前記ケーブル挿通孔は、前記後退部を前記蓋部が覆うことで、前記後退部と前記蓋部との間に形成される孔であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本明細書に開示される技術によれば、ケーブル挿通時の作業性を改善させることが可能なサービスホールカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1のドアパネルの一部分解斜視図
図2】張出部が張出状態とされたサービスホールカバーを車室内側から視た一部拡大正面図
図3】張出部が被覆状態とされたサービスホールカバーを車室内側から視た一部拡大正面図
図4図3のI-I断面図
図5図3のII-II断面図
図6】張出部が被覆状態とされたサービスホールカバーを車室外側から視た一部拡大斜視図
図7】張出部が非被覆状態とされたサービスホールカバーを車室内側から視た一部拡大正面図
図8図7のIII-III断面図
図9図7のIV-IV断面図
図10】変形例の張出部が張出状態とされたサービスホールカバーを車室内側から視た一部拡大正面図
図11】張出部が被覆状態とされたサービスホールカバーを車室内側から視た一部拡大正面図
図12図11のV-V断面図
図13】張出部が非被覆状態とされたサービスホールカバーを車室内側から視た一部拡大正面図
図14図13のVI-VI断面図
図15】実施形態2の張出部が張出状態とされたサービスホールカバーを車室外側から視た一部拡大背面図
図16】張出状態から第3インテグラルヒンジ部を境に蓋部を1回折り返した状態とされたサービスホールカバーを車室外側から視た一部拡大背面図
図17】張出部が被覆状態とされたサービスホールカバーを車室外側から視た一部拡大背面図
図18】張出部が被覆状態とされたサービスホールカバーを車室内側から視た一部拡大正面図
図19】張出部が非被覆状態とされたサービスホールカバーを車室内側から視た一部拡大正面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図9によって説明する。各図において、矢印IN及びOUTは車室内側(乗物室内側)及び車室外側(乗物室外側)の各方向をそれぞれ示し、矢印UP及びDWは車両上方(乗物上方)及び車両下方(乗物下方)をそれぞれ示し、矢印FR及びRRは車両前方(乗物前方)及び車両後方(乗物後方)をそれぞれ示す。
【0021】
図1は、本実施形態の車両用ドア10を構成するドアパネル11を示す一部分解斜視図である。車両用ドア10は乗物用ドアの一例であり、例えば、車両に配された座席の側方に位置するサイドドアとされる。ドアパネル11は、アウターパネル12とインナーパネル13とから構成されている。アウターパネル12とインナーパネル13との間の空間には、ウインドウガラスを昇降するための昇降機構(ウインドウレギュレータや電気モータなど)、車両用ドアをロックするためのロック機構、圧力センサなどの機能部品が配されている(いずれも図示せず)。このドアパネル11の車室内側を図示しないドアトリムで覆うことにより、車両用ドア10が構成される。
【0022】
インナーパネル13には、車室内側に向けて開口するサービスホール14が設けられている。サービスホール14は、上述した機能部品の組み付け作業や保守作業などを行うための開口部である。このサービスホール14は、サービスホールカバー20により閉塞可能とされている。
【0023】
サービスホールカバー20は樹脂製とされ、図1に示すように、車室内側から視た正面視において略方形状をなしており、サービスホール14を車室内側から一括して覆う部材である。このサービスホールカバー20の車室外面には、ドアパネル11の内側(アウターパネル12とインナーパネル13との間の空間)に収容される上述した機能部品の一部が取り付けられている。つまり本実施形態のサービスホールカバー20は、モジュールベースとしての機能も備えている。
【0024】
本実施形態のサービスホールカバー20は、車両後方側端部の上端付近に、ケーブル50をその表裏に挿通させるためのケーブル挿通孔22を備えている。ケーブル50は、上述したドアパネル11内の機能部品と、車体本体等に設けられた電源や制御回路等を連結するためのものである。以下、サービスホールカバー20について詳細に説明する。
【0025】
図2は、インナーパネル13(サービスホール14)に取り付ける前のサービスホールカバー20の車両後方の上端付近を、車室内側から視た一部拡大正面図である。このサービスホールカバー20は、当該サービスホールカバー20の主体をなしてサービスホール14を閉塞可能な略板状のカバー本体21を備える。カバー本体21は、その周囲に外側に向けて張り出すフランジ部21Aを含んでいる。
【0026】
カバー本体21(フランジ部21A)の後縁部(外縁の一例)21Bの上端付近には、当該後縁部21Bから車両前方に向けて縦長の長方形状に凹んだ形状の凹み部23が設けられている。また、この凹み部23の前端縁部(外縁部の一部)23Aの上下方向における略中央部には、カバー本体21の板面から車室外側に向けて溝状に窪んで前後方向に延びる収容溝(後退部の一例)24が連なっている。つまり、収容溝24の後端部が凹み部23の前端縁部23Aと連なっており、もって、前端縁部23Aの一部が車室外側に向けて凹んだ形となっている。
【0027】
カバー本体21の後縁部21Bのうち、上述した凹み部23の下方であって、当該凹み部23に隣接する位置には、第1インテグラルヒンジ部30を介してカバー本体21の後方に張り出し、第1インテグラルヒンジ部30を折り目としてカバー本体21に対して折り返し可能とされた張出部31が一体に設けられている。
【0028】
張出部31は、その展開状態において、第1インテグラルヒンジ部30を介してカバー本体21との間で折り返し可能に連なる板状の基端側部(張出本体部の一例)32と、基端側部32の上方において、第2インテグラルヒンジ部36を介して基端側部32との間で折り返し可能に連なる蓋部37と、蓋部37の上方に連なる先端側部42と、を備えている。なお図2は、基端側部32および蓋部37がともに展開して張出部31がカバー本体21から張り出した張出状態を示す図である。先端側部42は、張出部31のうち、第1インテグラルヒンジ部30の反対側の端部に設けられていると言うこともできる。
【0029】
上記第1インテグラルヒンジ部30と第2インテグラルヒンジ部36とは、折り返しの折り目となる薄肉部30A、36Aが、それぞれ交差する方向に延びている。具体的には、第1インテグラルヒンジ部30の薄肉部30Aはカバー本体21の後縁部21Bに沿う方向に延びており、第2インテグラルヒンジ部36の薄肉部36Aは、カバー本体21の後縁部21Bに対して垂直方向に延びている。
【0030】
蓋部37は全体として、上述した凹み部23と縦方向の長さ寸法が同等で、横方向の幅寸法がやや長い略矩形の板状をなしている。張出部31は、上述したように、第1インテグラルヒンジ部30によりその全体がカバー本体21に対して車室内側から折り返し可能とされており、蓋部37は、張出部31が第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返された状態において、凹み部23および収容溝24の一部を車室内側から被覆可能としている。図3は、図2の状態から張出部31が第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返されて、蓋部37が凹み部23および収容溝24の一部を被覆した被覆状態を示している。
【0031】
以下、張出部31のうち、当該張出部31がカバー本体21から張り出した張出状態において、車室内側に配置される面を表面31Aとし、車室外側に配置される面を裏面31Bと称することとする。
【0032】
蓋部37のうち、図2に示す張出状態において車両前方側(図2の左側)約半分の領域は、凹み部23の凹み寸法と同等の寸法とされた平板状の蓋本体部38とされている。また、蓋部37のうち張出状態において車両後方側(図2の右側)約半分の領域は、位置決め部39とされている。上述した第2インテグラルヒンジ部36は、蓋本体部38と連なっている。
【0033】
位置決め部39のうち上下方向における中央部は表面31A側に突出しており、張出部31が第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返されて蓋部37が凹み部23を被覆する被覆状態とされた際に、収容溝24の内側に車室内側から嵌合する嵌合凸部39Aとされている。嵌合凸部39Aの突出寸法は、収容溝24の深さ寸法より充分に短い寸法とされている(図5参照)。
【0034】
また、位置決め部39のうち嵌合凸部39Aの上下に配される部分は、蓋部37が被覆状態とされた際にカバー本体21(フランジ部21A)の車室内面に当接して、位置決め部39を収容溝24に架け渡す当接部39Bとされている。当接部39Bの表面は蓋本体部38の表面から段差部40を介して裏面31B側(車室外側)に後退した位置に配置されている。これにより、蓋部37が被覆状態とされた際に段差部40が凹み部23の前端縁部23Aに当接して、蓋部37の車両前方(左側)への移動を規制するようになっている。つまり、蓋本体部38が凹み部23にぴったり嵌め入れられた被覆状態とされる(図3および図6参照)。
【0035】
また、この被覆状態において、凹み部23と蓋部37との間には、ケーブル挿通孔22が形成されるようになっている。具体的には、上述したように、凹み部23の前端縁部23Aの一部は、収容溝24の後端部と連なることで車室外側に向けて凹んだ形となっており、被覆状態において、この前端縁部23Aの凹んだ部分(収容溝24の後端開口)と、蓋部37の嵌合凸部39Aとの間に、当該サービスホールカバー20の表裏にケーブル50を挿通させることが可能なケーブル挿通孔22が形成されるようになっている(図5および図6参照)。
【0036】
張出状態において、蓋部37の下方に第2インテグラルヒンジ部36を介して連なる基端側部32と、蓋部37の上方に連なる先端側部42とは、それぞれ矩形の板状をなし、蓋部37をカバー本体21に係止するための基端側係止孔33と、先端側係止孔(係止部の一例)43とを備えている。
【0037】
これら係止孔33、43は、それぞれ、板面を貫通する略矩形の長孔状をなしている。このうち基端側係止孔33は後縁部21Bと交差する方向に延び、先端側係止孔43は後縁部21Bに沿った方向に延びている。
【0038】
一方、カバー本体21には、基端側部32が第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返されるとともに蓋部37が展開した被覆状態(図3の状態)において、基端側係止孔33が配置される位置に、基端側係止孔33に係止可能な基端側係止突部25が設けられるとともに、先端側係止孔43が配置される位置に、先端側係止孔43に係止可能な先端側係止突部(第1被係止部の一例)26が設けられている。
【0039】
基端側係止突部25と先端側係止突部26とは、向きが異なる以外は同様の構成であるため、以下、先端側係止突部26について図2および図4を参照して説明する。
【0040】
先端側係止突部26は、カバー本体21の車室内面から立ち上がって上述した長孔状の先端側係止孔43に挿通可能な板状の立上部26Aと、立上部26Aの先端部においてカバー本体21の車室内面に沿う方向に突出して設けられ、先端側係止孔43の孔縁部に係止する爪部26Bと、を備えて構成されている。爪部26Bの背面は、先細りとなる傾斜状とされている。
【0041】
このような構成により、蓋部37(張出部31)を図2に示す張出状態から図3に示す被覆状態とする際には、張出部31(基端側部32)を第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返して各係止孔33、43を各係止突部25、26に近づけ、係止突部25、26を挿通させる。すると、係止突部25、26の立上部25A、26Aは、その先端側に設けられた爪部25B、26Bの傾斜状とされた背面が孔縁部に押し当てられることにより弾性変形する。そして爪部25B、26Bが各係止孔33、43の孔縁部を越えると、立上部25A、26Aは弾性変形が解除されて元の位置に戻るため、爪部25B、26Bが各係止孔33、43の孔縁部に係止される。これにより、係止孔33,43から係止突部25、26を引き抜くことが困難な本係止の状態となる(図4参照)。つまり、蓋部37が凹み部23を被覆した被覆状態に固定される。
【0042】
さらに、本実施形態のサービスホールカバー20は、上述したように、基端側部32と蓋部37とは、第2インテグラルヒンジ部36を介して連なっている。第2インテグラルヒンジ部36は、第1インテグラルヒンジ部30と、その折り返しの折り目となる薄肉部36Aが交差する方向に延びている。図7は、張出状態の基端側部32と蓋部37とを、それぞれ第1インテグラルヒンジ部30と第2インテグラルヒンジ部36とを境に折り返し、凹み部23を後方に向けて開放した(被覆しない)非被覆状態を示している。
【0043】
なお、この非被覆状態において、基端側係止孔33は基端側係止突部25と係止した状態とされ、第2インテグラルヒンジ部36は、蓋部37が第2インテグラルヒンジ部36を境に折り返された状態において、蓋部37と基端側係止突部25とが干渉しないように設定されている(図9参照)。
【0044】
カバー本体21のうち、非被覆状態において先端側係止孔43が配置される位置には、先端側係止孔43と仮係止可能な仮係止突部(第2被係止部の一例)27が設けられている。
【0045】
仮係止突部27は、カバー本体21の車室内面から立ち上がって上述した先端側係止孔43に挿通可能な板状をなしているが、上記各係止突部25、26とは異なり、その先端部に爪部は設けられていない(図8参照)。
【0046】
このような構成により、蓋部37を張出状態から非被覆状態とする際には、基端側部32を第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返して基端側係止孔33に基端側係止突部25を係止させた後、蓋部37を第2インテグラルヒンジ部36を境に折り返して先端側係止孔43を仮被係止部27に近づけ、仮被係止部27を挿通させる(図8参照)ことにより、蓋部37を非被覆状態に仮係止することができる。この状態において、先端側係止孔43から仮係止突部27を引き抜くのは、係止突部25、26を引き抜くより容易である。この非被覆状態においては、凹み部23は後方に向けて開放された状態とされる(図7および図9参照)。
【0047】
このように、本実施形態のサービスホールカバー20の張出部31は、基端側部32と蓋部37とがそれぞれ展開してカバー本体21から張り出した状態である張出状態と、基端側部32が第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返される一方、蓋部37が展開して凹み部23を被覆した状態である被覆状態と、基端側部32と蓋部37とが、それぞれ第1インテグラルヒンジ部30と第2インテグラルヒンジ部36とを境に折り返され、凹み部23部を被覆しない状態である非被覆状態と、の間で状態変化可能とされている。
【0048】
このようなサービスホールカバー20は、製造後、上述したように、まず張出状態とされた張出部31を第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返し、基端側係止孔33に基端側係止突部25を係止させる。そして、先端側係止孔43には先端側係止突部26を係止させないで、そのまま蓋部37を第2インテグラルヒンジ部36を境に折り返して、先端側係止孔43に仮係止突部27を仮係止させた非被覆状態とする。
【0049】
サービスホールカバー20は、この非被覆状態で搬送され、納品される。この搬送時、張出部31はカバー本体21側に仮係止された状態とされているから、張出部31がカバー本体21から張り出した状態で搬送されるのと比較して嵩張らず、コンパクトな状態とすることができる。また、張出部31が張り出した状態とされる場合には、搬送時に張出部31が他部品に引っ掛かったりぶつかったりすることで損傷の懸念があるが、非被覆状態とすることで、そのような懸念が解消される。さらに、納品後の取付作業において、作業者は凹み部23が開放された状態で作業を開始できるから、作業性に優れる。
【0050】
上述した構成のサービスホールカバー20をサービスホール14に取り付ける際には、作業者は、予め非被覆状態(図7の状態)とされたサービスホールカバー20に対し、ケーブル50の中間部をカバー本体21の後方から凹み部23内に横滑りさせるように挿入する。そして、折り返された状態である蓋部37を仮係止している先端側係止孔43から仮係止突部27を引き抜き、蓋部37を展開して、蓋部37により凹み部23を車室内側から被覆する(図3参照)。
【0051】
詳細には、蓋部37とともに展開した先端側部42の先端側係止孔43に、先端側係止突部26を係止させることにより、蓋部37を被覆状態に固定する。これにより、ケーブル50は凹み部23と蓋部37との間に形成されたケーブル挿通孔22内に挿通された状態、つまり、サービスホールカバー20の表裏に挿通された状態となる。このようにして、ケーブル50をサービスホールカバー20に挿通させた後、サービスホールカバー20をサービスホール14(インナーパネル13)に取り付ければよい。
【0052】
次に、作用効果について説明する。本実施形態は、車両用ドア10のインナーパネル13に設けられたサービスホール14を閉塞するためのサービスホールカバー20であって、サービスホール14を閉塞可能なカバー本体21と、カバー本体21の後縁部21Bから第1インテグラルヒンジ部30を介してカバー本体21の外側に張り出した張出部31と、を備え、カバー本体21は、その後縁部21Bの一部が内側に凹んだ凹み部23を備え、張出部31は、第1インテグラルヒンジ部30を折り目として当該張出部31を折り返すことにより凹み部23の少なくとも一部を被覆可能な蓋部37と、蓋部37が凹み部23を被覆した被覆状態において、蓋部37をカバー本体21に設けられた先端側係止突部26に対して係止させるための先端側係止孔43と、を備えており、被覆状態において、凹み部23と蓋部37との間に、当該サービスホールカバー20の表裏にケーブル50を挿通させるためのケーブル挿通孔22が形成されるようになっている。
【0053】
上記構成によれば、作業者は、蓋部37で覆われる前の凹み部23内にカバー本体21の外縁側からケーブル50の中間部分を横滑りさせるように挿入し、その後、張出部31を折り返して、蓋部37によって凹み部23を被覆すれば(閉じれば)よい。この時、凹み部23と蓋部37との間にケーブル挿通孔22が形成されるようになっているから、ケーブル50は凹み部23を被覆した状態の蓋部37と干渉することなく、ケーブル挿通孔22により当該サービスホールカバー20の表裏に挿通した状態とされる。また、蓋部37はカバー本体21と第1インテグラルヒンジ部30を介して一体に設けられているから、部品点数が増えることもない。このように、ケーブル50を簡単にサービスホールカバー20に挿通させた状態とすることが可能となり、作業性が向上する。
【0054】
また、張出部31は第1インテグラルヒンジ部30を介してカバー本体21との間で折り返し可能に連なる基端側部32と、第2インテグラルヒンジ部36を介して基端側部32との間で折り返し可能に連なる蓋部37と、を備え、第1インテグラルヒンジ部30と第2インテグラルヒンジ部36とは、折り返しの折り目となる薄肉部30A、36Aが、それぞれ交差する方向に延びるものであり、基端側部32と蓋部37とがそれぞれ展開してカバー本体21から張り出した状態である張出状態と、基端側部32が第1インテグラルヒンジ部30を境に折り返される一方、蓋部37が展開して凹み部23を被覆した状態である被覆状態と、基端側部32と蓋部37とが、それぞれ第1インテグラルヒンジ部30と第2インテグラルヒンジ部36とを境に折り返され、凹み部23を被覆しない状態である非被覆状態と、の間で状態変化可能とされ、カバー本体21は、非被覆状態において、先端側係止孔43と係止することで張出部31の非被覆状態を保持する仮係止突部27を備えている。
【0055】
上記構成によれば、サービスホールカバー20を非被覆状態での納品とすることにより、ケーブル挿通作業の際に、作業者が凹み部23を被覆状態から一旦開放した状態(非被覆状態)とする作業が不要となり、インナーパネル13への取付現場での作業性が向上する。しかも、非被覆状態は、張出状態とすることで凹み部23を開放させる構成と比較して、サービスホールカバー20を搬送する際に張出部31が嵩張ったり、損傷を受けたりすることを抑制することができる。
【0056】
凹み部23はカバー本体21の後縁部21Bに設けられており、第1インテグラルヒンジ部30は、凹み部23の下方に設けられている。
【0057】
上記構成によれば、非被覆状態とされた張出部31の先端側係止孔43が仮係止突部27から誤って外れた場合でも、ケーブル50の挿通作業中に蓋部37は重力により凹み部23の下方に配置されるから、蓋部37が被覆状態となってケーブル挿通作業が阻害されることが抑制される。
【0058】
また、サービスホールカバー20は、車両用ドア10内の機能部品を取り付けて一体化するためのモジュールベースとされている。このように、サービスホールカバー20がモジュールベースのように大型化した場合、サービスホールカバー20が重くなるため、従来のように片手でサービスホールカバー20を持ちながらケーブル50を孔部内に手で挿通させる際の取り回しがしづらく、挿通作業が困難化するが、このような場合に、本実施形態の構成は特に有効である。
【0059】
なお、カバー本体21の凹み部23は、その後縁部21Bにおいて、カバー本体21の板面から車室外側に向けて凹状に後退する収容溝24を備え、ケーブル挿通孔22は、凹み部23に連なる収容溝24の一部を蓋部37が覆うことで、収容溝24と蓋部37との間に形成される孔である。
【0060】
<実施形態1の変形例>
図10から図14は実施形態1の変形例である。なお、以下においては実施形態1と異なる構成についてのみ説明するものとし、実施形態1と同様の構成には実施形態1の符号に100を足した符号を以下の説明および図面に付して重複する説明を省略する。
【0061】
図10に示すように、本実施形態の張出部131は、第1インテグラルヒンジ部130を介してカバー本体121から連なる基端側部132と、基端側部132の上方において第2インテグラルヒンジ部136を介して基端側部132から連なる蓋部137と、蓋部137の上方に連なる先端側部142と、を備えている。第2インテグラルヒンジ部136は平行に並ぶ2本の薄肉部136Aにより形成されており、この第2インテグラルヒンジ部136を境に蓋部137を折り返す際には、当該第2インテグラルヒンジ部136はコ字形状に折れ曲がるようになっている(図12および図14参照)。
【0062】
基端側部132に設けられる基端側係止孔133は、第1インテグラルヒンジ部130よりも下方に設けられている。第2インテグラルヒンジ部136は、基端側部132のうち、張出部131の張出状態(図10の状態)においてカバー本体121の反対側に配置される端部に設けられており、第2インテグラルヒンジ部136の薄肉部136Aは、カバー本体121の外縁部121Bに対して垂直方向に延びている。また、第1インテグラルヒンジ部130から第2インテグラルヒンジ部136までの間は、スリット134により、基端側部132と蓋部137とは分離されている。この第2インテグラルヒンジ部136は、車両前後方向において基端側係止孔133と重ならない位置に形成されている。つまり、張出部131が被覆状態(図11参照)または非被覆状態とされた際(図13参照)に、車両前後方向において基端側係止突部125と重ならない位置に形成されている。
【0063】
蓋部137のうち、図10に示す張出状態において車両前方側(図2の左側)に配置される部分は、カバー本体121の凹み部123を車室内側から被覆可能な平板状の蓋本体部138とされている。また、蓋部137のうち張出状態において車両後方側(図2の右側)に配置される部分には、表面131A側に突出して、蓋部137が第1インテグラルヒンジ部130を境に折り返されて被覆状態とされた際(図11および図12参照)に、カバー本体121に設けられた収容溝124の内側に嵌合する嵌合凸部139Aが設けられている。嵌合凸部139Aの突出寸法は、収容溝124の深さ寸法より充分に短い寸法とされている(図12参照)。
【0064】
また、蓋部137のうち嵌合凸部139Aの下方には、蓋本体部138の表面から段差部140を介して裏面131B側(車室外側)に後退した位置に配置される位置決め凹部139Bが設けられており、これにより、蓋部137が被覆状態とされた際に段差部140が凹み部123の前端縁部123Aに当接して、蓋部137の車両前方(左側)への移動を規制するようになっている。上述した第2インテグラルヒンジ部136は、この、位置決め凹部139Bに連なっている。
【0065】
このような張出部131を有するサービスホールカバー120も、上記実施形態1と同様に、基端側部132と蓋部137とがそれぞれ展開してカバー本体121から張り出した状態である張出状態(図10参照)と、基端側部132が第1インテグラルヒンジ部130を境に折り返される一方、蓋部137が展開して凹み部123を被覆した状態である被覆状態(図11および図12参照)と、基端側部132と蓋部137とが、それぞれ第1インテグラルヒンジ部130と第2インテグラルヒンジ部136とを境に折り返され、凹み部123を被覆しない状態である非被覆状態(図13および図14参照)と、の間で状態変化可能とされる。
【0066】
また、実施形態1と同様に、張出状態の基端側部132および蓋部137を、第1インテグラルヒンジ部130および第2インテグラルヒンジ部136を境に折り返して非被覆状態とすることで、凹み部123を開放させるとともに、コンパクトな状態で納品可能とすることができる。また、被覆状態において、凹み部123と蓋部137との間に、サービスホールカバー120の表裏にケーブル50を挿通させることが可能なケーブル挿通孔122を形成することができる。
【0067】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図15から図19によって説明する。本実施形態のサービスホールカバー220は、上記実施形態1の変形例の基端側部132および蓋部137の間に、以下に示す第1部分237Aおよび第3インテグラルヒンジ部245を設けた構成とされている。なお、以下においては上述した変形例と異なる構成についてのみ説明するものとし、変形例と同様の構成には変形例の符号に100を足した符号を以下の説明および図面に付して重複する説明を省略する。
【0068】
図15は、本実施形態の張出部231を車室外側から視た背面図である。この張出部231は、図15に示す張出状態において、凹み部223の下方に設けられた第1インテグラルヒンジ部230を介してカバー本体221から連なる基端側部232と、基端側部232の上端部において第2インテグラルヒンジ部236を介して基端側部232から連なる蓋部237と、蓋部237の上方に連なる先端側部242と、を備えている。
【0069】
第2インテグラルヒンジ部236は、基端側部232のうち、張出部231の張出状態(図15の状態)においてカバー本体221の反対側に配置される端部に設けられており、第2インテグラルヒンジ部236の薄肉部236Aは、カバー本体221の後縁部221Bに対して垂直方向に延びている。
【0070】
また、本実施形態において蓋部237は、第2インテグラルヒンジ部236を介して基端側部232との間で折り返し可能に連なる第1部分237Aと、第1部分237Aのうちカバー本体221の反対側に配置される端部において第3インテグラルヒンジ部245を介して第1部分237Aとの間で折り返し可能に連なる第2部分237Bと、を備えて構成されている。
【0071】
第3インテグラルヒンジ部245は、第1インテグラルヒンジ部230と、折り返しの折り目となる薄肉部245Aが同方向に延びている。またこの第3インテグラルヒンジ部245は、第2部分237Bの下方部分に連なっている。
【0072】
さらに本実施形態の張出部231は、カバー本体221の車室外面から連なる裏面231Bに、防水パッドが55が貼付されている。具体的には、図15に示すように、カバー本体221の車室外面にはその外縁部に沿って帯状の防水パッド55が貼付されている。この防水パッド55は、カバー本体221の外縁部から第1インテグラルヒンジ部230、基端側部232、第2インテグラルヒンジ部236、第1部分237A、第3インテグラルヒンジ部245、第2部分237Bまで連側的に延びており、このうち第2部分237Bにおいては、図15に示す張出状態において、張出方向の外側(図15の左側)に配置される側縁部に沿う形で下方部分から上端まで延びている。
【0073】
本実施形態のサービスホールカバー220は、張出部231を第3インテグラルヒンジ部245および第1インテグラルヒンジ部230を境に順に折り返すことにより、凹み部223を蓋部237によって被覆可能としている。
【0074】
具体的には、まず、図15に示す張出状態から第3インテグラルヒンジ部245を境に第2部分237Bを車室内側に向けて折り返して図16に示す状態とする。そして、さらに、この状態から第1インテグラルヒンジ部230を境に張出部231全体を車室内側に向けて折り返して、図17および図18に示す被覆状態とすることができる。この被覆状態において、蓋部237と凹み部223との間には、ケーブル挿通孔222が形成されている。
【0075】
この被覆状態において、カバー本体221の裏面から張出部231の裏面231Bに連続的に貼付された帯状の防水パッド55の一部は、図17に示すように、サービスホールカバー220の車室外面に露出しており、カバー本体221に貼付されている部分の防水パッド55と同様に、サービスホールカバー220の外周縁部に概ね沿う形で延びている。従って、カバー本体221の外縁に沿って帯状の防水パッド55を貼付する際に、防水パッド55を張出部231においてもカバー本体221から連続的に一括に貼付すれば、被覆状態において蓋部237における防水パッド55を車室外面に配置することができる。
【0076】
なお、本実施形態においても、張出状態(図15参照)から第3インテグラルヒンジ部245、第1インテグラルヒンジ部230、および、第2インテグラルヒンジ部236を境に張出部231を折り返すことにより、非被覆状態(図19)で納品可能とされる。ケーブル挿通作業者は、ケーブル50を開放状態の凹み部223内に挿入した後、先端側係止孔243から仮係止突部227を引き抜き、蓋部237を展開して、蓋部237により凹み部223を車室内側から被覆するとともに先端側係止孔243に先端側係止突部226を係止させることにより、蓋部37を被覆状態に固定することができる。
【0077】
このように、本実施形態の蓋部237は、第2インテグラルヒンジ部236を介して基端側部232との間で折り返し可能に連なる第1部分237Aと、第3インテグラルヒンジ部245を介して第1部分237Aとの間で折り返し可能に連なる第2部分237Bと、を備え、第3インテグラルヒンジ部245は、第1インテグラルヒンジ部230と、折り返しの折り目となる薄肉部245Aが同方向に延びるものであり、蓋部237は、第2部分237Bが第3インテグラルヒンジ部245を境に折り返されるとともに第1部分237Aが展開した状態の当該蓋部237が、第1インテグラルヒンジ部230を境に折り返されることにより、凹み部223を被覆した被覆状態とされ、第2部分237Bのうち被覆状態において車室室外側に配置される面に、カバー本体221の外縁に沿う方向に延びる防水パッド55が設けられている。
【0078】
上記構成によれば、同方向に延びる第1インテグラルヒンジ部230および第3インテグラルヒンジ部245を境に基端側部232と第2部分237Bとがともに折り返された被覆状態において、第2部分237Bのうちカバー本体221の車室外面から連なる面は、車室外側に配置されることとなる。従って、カバー本体221の外縁に沿って帯状の防水パッド55を貼付する際に、防水パッド55を基端側部232ひいては第2部分237Bにおいてカバー本体221から連続的に一括に貼付すれば、被覆状態において第2部分237Bの防水パッド55を車室外面に配置することができ、作業性に優れる。
【0079】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0080】
(1)上記実施形態では、ケーブル挿通孔22、122、222が、カバー本体21、121、221に設けられて凹み部23、123、223に連なる収容溝24、124、224と、この収容溝24、124、224の端を被覆する蓋部37、137、237との間に形成される構成を示したが、ケーブル挿通孔の形成構造は上記実施形態に限るものでない。例えば、カバー本体側でなく蓋部側に、車室内に膨出する形態の蓋側収容溝を設け、凹み部と蓋側収容溝との間でケーブル挿通孔を形成することもできる。また、凹み部の内縁部に更に第2凹み部を設けた二段形状の凹み部を形成し、第2凹み部と蓋部の縁部との間でケーブル挿通孔を形成したり、逆に、蓋部の縁部に蓋側凹み部を形成し、凹み部と蓋側凹み部との間でケーブル挿通孔を形成することもできる。
【0081】
(2)上記実施形態では、凹み部23、123、223をカバー本体21、121、221の後縁部21B、121B、221Bに設け、第1インテグラルヒンジ部30、130、230を凹み部23、123、223の下方に設ける形態を示したが、凹み部は、カバー本体の後縁部以外の部分に設け形態としたり、第1インテグラルヒンジを凹み部の上方に設ける形態としてもよい。
【0082】
(3)サービスホールカバー20は、モジュールベースのように大型のものに限らず、機能部品が取り付けられない小型のものであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10:車両用ドア(乗物用ドア)、11:ドアパネル、13:インナーパネル、14:サービスホール、20、120、220:サービスホールカバー、21、121、221:カバー本体、21B、121B、221B:後縁部(外縁、側縁部)、22、122、222:ケーブル挿通孔、23、123、223:凹み部、23A、123A、223A:前端縁部(外縁部の一部)、24、124、224:収容溝(後退部)、25、125、225:基端側係止突部、26、126、226:先端側係止突部(第1被係止部)、27、127、227:仮係止突部(第2係止部)、30、130、230:第1インテグラルヒンジ部、30A、36A、136A、236A、245A:薄肉部、31、131、231:張出部、32、132、232:基端側部(張出本体部)、33、133、233:基端側係止孔、36、136、236:第2インテグラルヒンジ部、37、137、237:蓋部、42、142、242:先端側部、43、143、243:先端側係止孔(係止部)、50:ケーブル、55:防水パッド、237A:第1部分、237B:第2部分、245:第3インテグラルヒンジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19