(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179806
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】接続構造及びその接続構造を備えたカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61M25/00 532
A61M25/00 502
A61M25/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098947
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】相場 洋之
(72)【発明者】
【氏名】秋元 麗
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267BB02
4C267BB09
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB20
4C267BB40
4C267CC09
4C267GG14
4C267HH04
4C267HH07
(57)【要約】
【課題】 湾曲した場合においても接合強度が十分な接続構造、及びその接続構造を備えたカテーテルを提供する。
【解決手段】 先端チップ3の基端部3bをカテーテルシャフト5の先端部5aに挿入して接続されるカテーテル1において、基端部3bの端部の外周には凸凹部3cが形成されており、先端部5aの側面には貫通孔5fが形成されており、カテーテルシャフト5と凸凹部3cとの間には、貫通孔5fを介して硬化性の充填剤7fが備えられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管状部材の第1の端部を第2の管状部材の第2の端部に挿入して接続する接続構造において、
前記第1の端部の外周には第1の凸凹部が形成されており、
前記第2の端部の側面には貫通孔が形成されており、
前記第2の管状部材と前記第1の凸凹部との間には、前記貫通孔を介して硬化性の樹脂が備えられていることを特徴とする接続構造。
【請求項2】
前記第2の端部の内周には前記第1の凸凹部に嵌合する第2の凸凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記第1の凸凹部と前記第2の凸凹部とは、ねじ構造により嵌合していることを特徴とする請求項2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記第2の端部において前記第1の端部の端部側に対向して配置されていることを特徴とする請求項3に記載の接続構造。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、
それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、
それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の接続構造。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、
それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の接続構造。
【請求項8】
前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、
それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項9】
前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、
それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の接続構造。
【請求項10】
前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、
それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の接続構造。
【請求項11】
前記硬化性の樹脂は、前記第2の管状部材の表面に、前記貫通孔よりも拡径した状態で硬化していることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項12】
前記硬化性の樹脂は、前記第2の管状部材の表面に、前記貫通孔よりも拡径した状態で硬化していることを特徴とする請求項2に記載の接続構造。
【請求項13】
前記硬化性の樹脂は、前記第2の管状部材の表面に、前記貫通孔よりも拡径した状態で硬化していることを特徴とする請求項3に記載の接続構造。
【請求項14】
前記第2の管状部材は、カテーテルシャフトであって、
前記第1の管状部材は、前記カテーテルシャフトの先端に接続された先端チップであって、
請求項1乃至請求項13の何れかに記載の接続構造を備えたことを特徴とするカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの管状部材を接続する接続構造、及びその接続構造を備えたカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療機器の分野においては、2つの管状部材を接続した接続構造を用いたカテーテルが知られており、手技を行なう医師は、カテーテルの内腔にガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤの先端をカテーテルの先端から突出させ、ガイドワイヤの先導によってカテーテルを病変部に到達させ、病変部に到達されたカテーテルの内腔を介してステント、塞栓コイル等のデバイスを病変部に配置してきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、貫通孔2aが形成されたボールチップ(管状部材)2と、貫通孔が形成されたチューブ(管状部材)1cとを接続した接続構造を有するカテーテル1が記載されている(
図1及び
図2等参照)。
【0004】
特許文献1に記載されたボールチップ2は、球状部3と、球状部3から延在した挿込部4と、を有し、ボールチップ2の挿込部4をチューブ1cに挿入した状態でボールチップ2とチューブ1cとが接続され、挿込部4とチューブ1cとの間には接着剤6が充填されている(
図3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカテーテルでは、挿込部4とチューブ1cとの間に接着剤6が充填されているものの、その接合強度のみでは、医師が手技を行う際に、ボールチップ2とチューブ1cとが外れてしまうという問題があった。
【0007】
特に、医師がカテーテル1の先端部を湾曲させた場合には、ボールチップ2がチューブ1cから外れる可能性が高い。
【0008】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、湾曲した場合においても接合強度が十分な接続構造、及びその接続構造を備えたカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様は、第1の管状部材の第1の端部を第2の管状部材の第2の端部に挿入して接続する接続構造において、前記第1の端部の外周には第1の凸凹部が形成されており、前記第2の端部の側面には貫通孔が形成されており、前記第2の管状部材と前記第1の凸凹部との間には、前記貫通孔を介して硬化性の樹脂が備えられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の接続構造において、前記第2の端部の内周には前記第1の凸凹部に嵌合する第2の凸凹部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様の接続構造において、前記第1の凸凹部と前記第2の凸凹部とは、ねじ構造により嵌合していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第4の態様は、第3の態様の接続構造において、前記貫通孔は、前記第2の端部において前記第1の端部の端部側に対向して配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第5の態様は、第1の態様の接続構造において、前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第6の態様は、第2の態様の接続構造において、前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第7の態様は、第3の態様の接続構造において、前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第8の態様は、第1の態様の接続構造において、前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第9の態様は、第2の態様の接続構造において、前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第10の態様は、第3の態様の接続構造において、前記貫通孔は、前記第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第11の態様は、第1の態様の接続構造において、前記硬化性の樹脂は、前記第2の管状部材の表面に、前記貫通孔よりも拡径した状態で硬化していることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の第12の態様は、第2の態様の接続構造において、前記硬化性の樹脂は、前記第2の管状部材の表面に、前記貫通孔よりも拡径した状態で硬化していることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の第13の態様は、第3の態様の接続構造において、前記硬化性の樹脂は、前記第2の管状部材の表面に、前記貫通孔よりも拡径した状態で硬化していることを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の第14の態様のカテーテルは、前記第2の管状部材は、カテーテルシャフトであって、前記第1の管状部材は、前記カテーテルシャフトの先端に接続された先端チップであって、第1の態様乃至第13の態様の何れかの接続構造を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の態様によれば、第1の管状部材の第1の端部を第2の管状部材の第2の端部に挿入して接続する接続構造において、第1の端部の外周には第1の凸凹部が形成されており、第2の端部の側面には貫通孔が形成されており、第2の管状部材と第1の凸凹部との間には、貫通孔を介して硬化性の樹脂が備えられているので、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度を向上させることができる。
【0024】
また、本発明の第2の態様によれば、第1の態様の接続構造において、第2の端部の内周には第1の凸凹部に嵌合する第2の凸凹部が形成されているので、第1の態様の接続構造の効果に加え、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0025】
また、本発明の第3の態様によれば、第2の態様の接続構造において、第1の凸凹部と第2の凸凹部とは、ねじ構造により嵌合しているので、第2の態様の接続構造の効果に加え、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0026】
また、本発明の第4の態様によれば、第3の態様の接続構造において、貫通孔は、第2の端部において第1の端部の端部側に対向して配置されているので、第3の態様の接続構造の効果に加え、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0027】
また、本発明の第5の態様によれば、第1の態様の接続構造において、貫通孔は、第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されているので、第1の態様の接続構造の効果に加え、湾曲させた場合においても、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0028】
また、本発明の第6の態様によれば、第2の態様の接続構造において、貫通孔は、第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されているので、第2の態様の接続構造の効果に加え、湾曲させた場合においても、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0029】
また、本発明の第7の態様によれば、第3の態様の接続構造において、貫通孔は、第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、点対称に配置されているので、第3の態様の接続構造の効果に加え、湾曲させた場合においても、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0030】
また、本発明の第8の態様によれば、第1の態様の接続構造において、貫通孔は、第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されているので、第1の態様の接続構造の効果に加え、湾曲させた場合においても、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0031】
また、本発明の第9の態様によれば、第2の態様の接続構造において、貫通孔は、第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されているので、第2の態様の接続構造の効果に加え、湾曲させた場合においても、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0032】
また、本発明の第10の態様によれば、第3の態様の接続構造において、貫通孔は、第2の端部の側面に離間して複数形成されており、それら複数の貫通孔は、横断面視において、均等に配置されているので、第3の態様の接続構造の効果に加え、湾曲させた場合においても、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができる。
【0033】
また、本発明の第11の態様によれば、第1の態様の接続構造において、硬化性の樹脂は、第2の管状部材の表面に、貫通孔よりも拡径した状態で硬化しているので、第1の態様の接続構造の効果に加え、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができるとともに、接続構造を湾曲させた場合においても、第2の管状部材の表面に隙間が発生することを防止することができる。
【0034】
また、本発明の第12の態様によれば、第2の態様の接続構造において、硬化性の樹脂は、第2の管状部材の表面に、貫通孔よりも拡径した状態で硬化しているので、第2の態様の接続構造の効果に加え、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができるとともに、接続構造を湾曲させた場合においても、第2の管状部材の表面に隙間が発生することを防止することができる。
【0035】
また、本発明の第13の態様によれば、第3の態様の接続構造において、硬化性の樹脂は、第2の管状部材の表面に、貫通孔よりも拡径した状態で硬化しているので、第3の態様の接続構造の効果に加え、第1の管状部材と第2の管状部材との接合強度をさらに向上させることができるとともに、接続構造を湾曲させた場合においても、第2の管状部材の表面に隙間が発生することを防止することができる。
【0036】
さらに、本発明の第14の態様のカテーテルによれば、第2の管状部材は、カテーテルシャフトであって、第1の管状部材は、カテーテルシャフトの先端に接続された先端チップであって、第1の態様乃至第13の態様の何れかの接続構造を備えているので、カテーテルシャフトと先端チップとの接合強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1実施形態のカテーテルの全体図である。
【
図2】第1実施形態のカテーテルにおける先端チップ(第1の管状部材)の拡大縦断面図である。
【
図3】第1実施形態のカテーテルにおけるカテーテルシャフト(第2の管状部材)の先端部の拡大縦断面図である。
【
図5】第2実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【
図6】第3実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【
図7】第4実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【
図8】第5実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【
図9】第6実施形態のカテーテルの先端斜視図である。
【
図10】第6実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0039】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0040】
図1は、本発明の第1実施形態のカテーテルの全体図であり、
図2は、第1実施形態のカテーテルにおける先端チップの拡大縦断面図であり、
図3は、第1実施形態のカテーテルにおけるカテーテルシャフトの先端部の拡大縦断面図であり、
図4は、
図1におけるA部の拡大縦断面図である。
【0041】
図1に示すように、本実施形態のカテーテル1は、カテーテルシャフト5(本発明の「第2の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト5の先端に接合された先端チップ3(本発明の「第1の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト5の基端に接合されたコネクタ2とから構成されている。
【0042】
カテーテルシャフト5は、横断面視中央部に略円形のルーメンL3を有する、長尺の中空管状体であり、
図3に示すように、内層5bと、その内層5bの外周に巻回された編組5dと、内層5b及び編組5dを覆う外層5eとから構成されている。
【0043】
また、カテーテルシャフト5の先端部5a(本発明の「第2の端部」に相当)は、ルーメンL3に連通するルーメンL2を有し、内層5bの内面に形成された凸凹部5c(本発明の「第2の凸凹部」に相当)と、その凸凹部5cの長手方向中間部において、内層5b、編組5d及び外層5eを貫通する、平面視略円形でありかつ直径φaの1つの貫通孔5fと、備える。
【0044】
内層5bは、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部にガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するためのルーメンL3を形成している。内層5bを形成する樹脂材料は、生体適合性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロチレン)が使用されている。
【0045】
編組5dは、12本の第1素線と、12本の第2素線との合計24本(12本×12本)の素線が交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。編組5dを形成する材料も、生体適合性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、ステンレス合金が使用されている。
【0046】
外層5eは樹脂からなり、内層5b及び編組5dを被覆している。外層5eを形成する樹脂材料も、生体適合性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリウレタン等が使用可能であり、本実施形態では、ポリアミドが使用されている。
【0047】
本実施形態の凸凹部5cは、内層5b内周の横断面視全体に亙って形成されたピッチD1のネジ形状を呈し、後述する先端チップ3の基端部3bとネジ構造により嵌合するものである。
【0048】
カテーテルシャフト5の先端部5aに接合される先端チップ3は、カテーテルシャフト5のルーメンL3に連通するルーメンL1を備えた中空円筒形状であり、
図2に示すように、最先端部に向かって先細りテーパ形状の外周面を有する先端テーパ部3aと、その先端テーパ部3aの基端側に隣接し、先端テーパ部3aの基端の外径よりも小さい外径の基端部3b(本発明の「第1の端部」に相当)と、を備える。
【0049】
また、先端チップ3の基端部3bの外周には、横断面視全体に亙って形成されたピッチD1のネジ形状の凸凹部3c(本発明の「第1の凸凹部」に相当)が形成されており、上述のカテーテルシャフト5の先端部5aとネジ構造により嵌合するものである。
【0050】
先端チップ3を形成する樹脂材料としては、生体適合性を有する、ポリスチレンエラストマー、ポリスチレン、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリエステル、ポリアミドエラストマー、ポリアミド等の材料が使用可能であり、本実施形態では、ポリウレタンエラストマーが使用されている。
【0051】
図4に示すように、先端チップ3は、基端部3bをカテーテルシャフト5の先端部5aに回しながら挿入して、ネジ構造により嵌合するものであるが、本実施形態のカテーテル1は、嵌合した後の先端チップ3とカテーテルシャフト5との接合強度を向上させるために、貫通孔5fに硬化性の樹脂7f(
図4斜線部参照、以下、「充填剤7f」と記す)が充填されている。
【0052】
なお、
図4において、充填剤7fは、貫通孔5fのみに充填されているように図示されているが、実際には、貫通孔5fの領域のみならず、貫通孔5fの領域から、基端部3bの表面に沿って、先端部5aの先端側及び基端側に拡がって充填されているものである。
【0053】
なお、先端チップ3の基端部3bの長手方向の長さは、カテーテルシャフト5の先端部5aの長手方向の長さと同一でもよいが、先端チップ3をカテーテルシャフト5に挿入したときに、先端チップ3の先端テーパ部3aの基端と、カテーテルシャフト5の先端との当接状態を良好にするために、本実施形態では、基端部3bの長手方向の長さを、先端部5aの長手方向の長さよりも短くしている。
【0054】
充填剤7fの樹脂材料は、貫通孔5fにしっかり充填されるように、初期に流動性を有し、後に硬化する材料であることが望ましく、例えば、シアノアクリレート系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリウレタン系接着剤等の材料が使用可能であり、本実施形態では、シアノアクリレート系接着剤が使用されている。
【0055】
また、上記材料の中でも、シアノアクリレート系接着剤、アクリル系接着剤及びエポキシ系接着剤は、硬化後の剛性が高いため、凸凹部3cを、貫通孔5fに充填された充填剤7fの物理的形状によってカテーテルシャフト5に固定し、先端チップ3がカテーテルシャフト5に対して長手方向に抜けることをさらに防止することができる。
【0056】
一方、上記材料の中でも、シリコーン系接着剤及びポリウレタン系接着剤は、硬化後の剛性がゴムのように低いものであるが、カテーテル1が湾曲した場合においても、形状の追従性は高い。
【0057】
また、コネクタ2は樹脂からなり、カテーテルシャフト5のルーメンL3に連通するルーメンを有し、カテーテルシャフト5の基端に接続されている。
【0058】
本実施形態のカテーテル1によれば、先端チップ3の基端部3bをカテーテルシャフト5の先端部5aに挿入して接続する接続構造において、基端部3bの外周には凸凹部3cが形成されており、先端部5aの側面には貫通孔5fが形成されており、カテーテルシャフト5と凸凹部3cとの間には、貫通孔5fを介して硬化性の充填剤7fが備えられているので、先端チップ3とカテーテルシャフト5との接合強度を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態のカテーテル1によれば、先端部5aの内周には凸凹部3cに嵌合する凸凹部5cが形成されているので、先端チップ3とカテーテルシャフト5との接合強度をさらに向上させることができる。
【0060】
さらに、本実施形態のカテーテル1によれば、凸凹部3cと凸凹部5cとは、ねじ構造により嵌合しているので、先端チップ3とカテーテルシャフト5との接合強度をさらに向上させることができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0062】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、
図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0063】
第2実施形態のカテーテル10は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、貫通孔の数が異なる。すなわち、カテーテル1における貫通孔の数が1つであったのに対し、本実施形態のカテーテル10における貫通孔の数は2つである。
【0064】
図5は、第2実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【0065】
図1に示すように、本実施形態のカテーテル10は、カテーテルシャフト15(本発明の「第2の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト15の先端に接合された先端チップ3(本発明の「第1の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト15の基端に接合されたコネクタ2とから構成されている。
【0066】
カテーテルシャフト15は、第1実施形態のカテーテルシャフト5と同様に、横断面視中央部に略円形のルーメンL3を有する、長尺の中空管状体であり、
図5に示すように、内層15bと、その内層15bの外周に巻回された編組15dと、内層15b及び編組15dを覆う外層15eとから構成されている。
【0067】
また、カテーテルシャフト15の先端部15a(本発明の「第2の端部」に相当)は、ルーメンL3に連通するルーメンL2を有し、内層15bの内面に形成された凸凹部15c(本発明の「第2の凸凹部」に相当)と、その凸凹部15cの長手方向中間部において、内層15b、編組15d及び外層15eを貫通する、平面視略円形でありかつ直径φaの2つの貫通孔15f及び15gを備える。
【0068】
なお、貫通孔15fは、横断面視、貫通孔15gに対して180度回転した点対称の位置に配置され、貫通孔15f及び貫通孔15gは、横断面視において均等に配置されている。
【0069】
また、内層15b、編組15d及び外層15eを形成する材料は、それぞれ第1実施形態の内層5b、編組5d及び外層5eと同様の材料である。
【0070】
本実施形態の凸凹部15cは、内層15b内周の横断面視全体に亙って形成されたピッチD1のネジ形状を呈し、後述する先端チップ3の基端部3bとネジ構造により嵌合するものである。
【0071】
図5に示すように、先端チップ3は、基端部3bをカテーテルシャフト15の先端部15aに回しながら挿入して、ネジ構造により嵌合するものであるが、本実施形態のカテーテル10も、嵌合した後の先端チップ3とカテーテルシャフト15との接合強度を向上させるために、貫通孔15f及び貫通孔15gに硬化性の樹脂17f及び17g(
図5斜線部参照、以下、「充填剤17f」・「充填剤17g」と記す)が充填されている。
【0072】
なお、
図5において、充填剤17f及び充填剤17gは、貫通孔15f及び貫通孔15gのみに充填されているように図示されているが、実際には、貫通孔15f及び貫通孔15gの領域のみならず、貫通孔15f及び貫通孔15gの領域から、基端部3bの表面に沿って、先端部15aの先端側及び基端側に拡がって充填されているものである。
【0073】
なお、先端チップ3の基端部3bの長手方向の長さは、カテーテルシャフト15の先端部15aの長手方向の長さと同一でもよいが、先端チップ3をカテーテルシャフト15に挿入したときに、先端チップ3の先端テーパ部3aの基端と、カテーテルシャフト15の先端との当接状態を良好にするために、本実施形態でも、基端部3bの長手方向の長さを、先端部15aの長手方向の長さよりも短くしている。
【0074】
充填剤17f及び充填剤17gの樹脂材料は、第1実施形態の充填剤7fと同様の材料である。
【0075】
本実施形態のカテーテル10によれば、先端チップ3の基端部3bをカテーテルシャフト15の先端部15aに挿入して接続する接続構造において、基端部3bの外周には凸凹部3cが形成されており、先端部15aの側面には貫通孔15f及び貫通孔15gが形成されており、カテーテルシャフト15と凸凹部3cとの間には、貫通孔15f及び貫通孔15gを介して硬化性の充填剤17f及び充填剤17gが備えられているので、先端チップ3とカテーテルシャフト15との接合強度を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態のカテーテル10によれば、先端部15aの内周には凸凹部3cに嵌合する凸凹部15cが形成されているので、先端チップ3とカテーテルシャフト15との接合強度をさらに向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態のカテーテル10によれば、凸凹部3cと凸凹部15cとは、ねじ構造により嵌合しているので、先端チップ3とカテーテルシャフト15との接合強度をさらに向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態のカテーテル10によれば、貫通孔15f及び貫通孔15gは、先端部15aの側面に離間して複数形成されており、横断面視において、点対称に配置されているので、湾曲させた場合においても、先端チップ3とカテーテルシャフト15との接合強度をさらに向上させることができる。
【0079】
さらに、本実施形態のカテーテル10によれば、貫通孔15f及び貫通孔15gは、先端部15aの側面に離間して複数形成されており、横断面視において、均等に配置されているので、湾曲させた場合においても、先端チップ3とカテーテルシャフト15との接合強度をさらに向上させることができる。
【0080】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0081】
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、
図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0082】
第3実施形態のカテーテル20は、第2実施形態のカテーテル10と比較して、貫通孔の位置が異なる。
【0083】
図6は、第3実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【0084】
図1に示すように、本実施形態のカテーテル20は、カテーテルシャフト25(本発明の「第2の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト25の先端に接合された先端チップ3(本発明の「第1の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト25の基端に接合されたコネクタ2とから構成されている。
【0085】
カテーテルシャフト25は、第1実施形態のカテーテルシャフト5と同様に、横断面視中央部に略円形のルーメンL3を有する、長尺の中空管状体であり、
図6に示すように、内層25bと、その内層25bの外周に巻回された編組25dと、内層25b及び編組25dを覆う外層25eとから構成されている。
【0086】
また、カテーテルシャフト25の先端部25a(本発明の「第2の端部」に相当)は、ルーメンL3に連通するルーメンL2を有し、内層25bの内面に形成された凸凹部25c(本発明の「第2の凸凹部」に相当)と、その凸凹部25cの長手方向中間部において、内層25b、編組25d及び外層25eを貫通する、平面視略円形でありかつ直径φaの2つの貫通孔25f及び25gと、備える。
【0087】
なお、2つの貫通孔25f及び25gは、カテーテルシャフト25の先端部25aにおいて、先端チップ3の基端部3bの基端近傍に対向して配置されており、貫通孔25fは、横断面視、貫通孔25gに対して180度回転した点対称の位置に配置され、貫通孔25f及び貫通孔25gは、横断面視において均等に配置されている。
【0088】
また、内層25b、編組25d及び外層25eを形成する材料は、それぞれ第1実施形態の内層5b、編組5d及び外層5eと同様の材料である。
【0089】
本実施形態の凸凹部25cも、内層25b内周の横断面視全体に亙って形成されたピッチD1のネジ形状を呈し、後述する先端チップ3の基端部3bとネジ構造により嵌合するものである。
【0090】
図6に示すように、先端チップ3は、基端部3bをカテーテルシャフト25の先端部25aに回しながら挿入して、ネジ構造により嵌合するものであるが、本実施形態のカテーテル20も、嵌合した後の先端チップ3とカテーテルシャフト25との接合強度を向上させるために、貫通孔25f及び貫通孔25gに硬化性の樹脂27f及び27g(
図6斜線部参照、以下、「充填剤27f」・「充填剤27g」と記す)が充填されている。
【0091】
なお、
図6において、充填剤27f及び充填剤27gは、貫通孔25f及び貫通孔25gのみに充填されているように図示されているが、実際には、貫通孔25f及び貫通孔25gの領域のみならず、貫通孔25f及び貫通孔25gの領域から、基端部3bの表面に沿って、先端部25aの先端側及び基端側に拡がって充填されているものである。
【0092】
なお、先端チップ3の基端部3bの長手方向の長さは、カテーテルシャフト25の先端部25aの長手方向の長さと同一でもよいが、先端チップ3をカテーテルシャフト25に挿入したときに、先端チップ3の先端テーパ部3aの基端と、カテーテルシャフト25の先端との当接状態を良好にするために、本実施形態でも、基端部3bの長手方向の長さを、先端部25aの長手方向の長さよりも短くしている。
【0093】
充填剤27f及び充填剤27gの樹脂材料は、第1実施形態の充填剤7fと同様の材料である。
【0094】
本実施形態のカテーテル20によれば、先端チップ3の基端部3bをカテーテルシャフト25の先端部25aに挿入して接続する接続構造において、基端部3bの外周には凸凹部3cが形成されており、先端部25aの側面には貫通孔25f及び貫通孔25gが形成されており、カテーテルシャフト25と凸凹部3cとの間には、貫通孔25f及び貫通孔25gを介して硬化性の充填剤27f及び充填剤27gが備えられているので、先端チップ3とカテーテルシャフト25との接合強度を向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態のカテーテル20によれば、先端部25aの内周には凸凹部3cに嵌合する凸凹部25cが形成されているので、先端チップ3とカテーテルシャフト25との接合強度をさらに向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態のカテーテル20によれば、凸凹部3cと凸凹部25cとは、ねじ構造により嵌合しているので、先端チップ3とカテーテルシャフト25との接合強度をさらに向上させることができる。
【0097】
また、本実施形態のカテーテル20によれば、2つの貫通孔25f及び25gは、カテーテルシャフト25の先端部25aにおいて、先端チップ3の基端部3bの基端側に対向して配置されているので、先端チップ3とカテーテルシャフト25との接合強度をさらに向上させることができる。
【0098】
また、本実施形態のカテーテル20によれば、貫通孔25f及び貫通孔25gは、先端部25aの側面に離間して複数形成されており、横断面視において、点対称に配置されているので、湾曲させた場合においても、先端チップ3とカテーテルシャフト25との接合強度をさらに向上させることができる。
【0099】
さらに、本実施形態のカテーテル20によれば、貫通孔25f及び貫通孔25gは、先端部25aの側面に離間して複数形成されており、横断面視において、均等に配置されているので、湾曲させた場合においても、先端チップ3とカテーテルシャフト25との接合強度をさらに向上させることができる。
【0100】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0101】
以下、本発明の第4実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、
図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0102】
第4実施形態のカテーテル30は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、カテーテルシャフトの形状が異なる。
【0103】
図7は、第4実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【0104】
図1に示すように、本実施形態のカテーテル30は、カテーテルシャフト35(本発明の「第2の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト35の先端に接合された先端チップ3(本発明の「第1の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト35の基端に接合されたコネクタ2とから構成されている。
【0105】
カテーテルシャフト35は、第1実施形態のカテーテルシャフト5と同様に、横断面視中央部に略円形のルーメンL3を有する、長尺の中空管状体であり、
図7に示すように、内層35bと、その内層35bの外周に巻回された編組35dと、内層35b及び編組35dを覆う外層35eとから構成されている。
【0106】
また、カテーテルシャフト35の先端部35a(本発明の「第2の端部」に相当)は、ルーメンL3に連通するルーメンL2を有し、内層35bの内面に形成された長手方向に平坦な円筒部35cと、その円筒部35cの長手方向中間部において、内層35b、編組35d及び外層35eを貫通する、平面視略円形でありかつ直径φaの1つの貫通孔35fと、備える。
【0107】
また、内層35b、編組35d及び外層35eを形成する材料は、それぞれ第1実施形態の内層5b、編組5d及び外層5eと同様の材料である。
【0108】
図7に示すように、先端チップ3は、基端部3bをカテーテルシャフト35の先端部に挿入して嵌合されるものであるが、本実施形態のカテーテル30も、嵌合した後の先端チップ3とカテーテルシャフト35との接合強度を向上させるために、貫通孔35fに硬化性の樹脂37f(
図7斜線部参照、以下、「充填剤37f」と記す)が充填されている。
【0109】
なお、
図7において、充填剤37fは、貫通孔35fのみに充填されているように図示されているが、実際には、貫通孔35fの領域のみならず、貫通孔35fの領域から、基端部3bの表面に沿って、先端部35aの先端側及び基端側に拡がって充填されているものである。
【0110】
なお、先端チップ3の基端部3bの長手方向の長さは、カテーテルシャフト35の先端部35aの長手方向の長さと同一でもよいが、先端チップ3をカテーテルシャフト35に挿入したときに、先端チップ3の先端テーパ部3aの基端と、カテーテルシャフト35の先端との当接状態を良好にするために、本実施形態でも、基端部3bの長手方向の長さを、先端部35aの長手方向の長さよりも短くしている。
【0111】
充填剤37fの樹脂材料は、第1実施形態の充填剤7fと同様の材料である。
【0112】
本実施形態のカテーテル30によれば、先端チップ3の基端部3bをカテーテルシャフト35の先端部35aに挿入して接続する接続構造において、基端部3bの外周には凸凹部3cが形成されており、先端部35aの側面には貫通孔35fが形成されており、カテーテルシャフト35と凸凹部3cとの間には、貫通孔35fを介して硬化性の充填剤37fが備えられているので、先端チップ3とカテーテルシャフト35との接合強度を向上させることができる。
【0113】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0114】
以下、本発明の第5実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、
図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0115】
第5実施形態のカテーテル40は、第2実施形態のカテーテル10と比較して、凸凹部の形状が異なる。
【0116】
図8は、第5実施形態のカテーテルにおける
図4相当図である。
【0117】
図1に示すように、本実施形態のカテーテル40は、カテーテルシャフト45(本発明の「第2の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト45の先端に接合された先端チップ43(本発明の「第1の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト45の基端に接合されたコネクタ2とから構成されている。
【0118】
カテーテルシャフト45は、第1実施形態のカテーテルシャフト5と同様に、横断面視中央部に略円形のルーメンL3を有する、長尺の中空管状体であり、
図8に示すように、内層45bと、その内層45bの外周に巻回された編組45dと、内層45b及び編組45dを覆う外層45eとから構成されている。
【0119】
また、カテーテルシャフト45の先端部45a(本発明の「第2の端部」に相当)は、ルーメンL3に連通するルーメンL2を有し、内層45bの内面に形成された凸凹部45c(本発明の「第2の凸凹部」に相当)と、その凸凹部45cの長手方向中間部において、内層45b、編組45d及び外層45eを貫通する、平面視略円形でありかつ直径φaの2つの貫通孔45f及び45gと、備える。
【0120】
なお、貫通孔45fは、横断面視、貫通孔45gに対して180度回転した点対称の位置に配置され、貫通孔45f及び貫通孔45gは、横断面視において均等に配置されている。
【0121】
また、内層45b、編組45d及び外層45eを形成する材料は、それぞれ第1実施形態の内層5b、編組5d及び外層5eと同様の材料である。
【0122】
本実施形態の凸凹部45cは、
図8に示すように、先端に向かって尖り、かつ基端に向かって先細りのテーパ形状の突起部を長手方向に複数個並べた形状を呈し、後述する先端チップ43の基端部43bと嵌め込みによって嵌合するものである。
【0123】
カテーテルシャフト45の先端部45aに接合される先端チップ43は、カテーテルシャフト45のルーメンL3に連通するルーメンL1を備えた中空円筒形状であり、
図8に示すように、最先端部に向かって先細りテーパ形状の外周面を有する先端テーパ部43aと、その先端テーパ部43aの基端側に隣接し、先端テーパ部43aの基端の外径よりも小さい外径の基端部43b(本発明の「第1の端部」に相当)と、を備える。
【0124】
また、先端チップ43の基端部43bの外周は、先端に向かって尖り、かつ基端に向かって先細りのテーパ形状の突起部を長手方向に複数個並べた形状の凸凹部43c(本発明の「第1の凸凹部」に相当)が形成されており、上述のカテーテルシャフト45の先端部45aと嵌め込みによって嵌合するものである。
【0125】
先端チップ43を形成する樹脂材料は、第1実施形態の先端チップ3と同様の材料である。
【0126】
図8に示すように、先端チップ43は、基端部43bをカテーテルシャフト45の先端部45aにはめ込みによって嵌合するものであるが、本実施形態のカテーテル40は、嵌合した後の先端チップ43とカテーテルシャフト45との接合強度を向上させるために、貫通孔45f及び貫通孔45gに硬化性の樹脂47f及び47g(
図8斜線部参照、以下、「充填剤47f」・「充填剤47g」と記す)が充填されている。
【0127】
なお、
図8において、充填剤47f及び充填剤47gは、貫通孔45f及び貫通孔45gのみに充填されているように図示されているが、実際には、貫通孔45f及び貫通孔45gの領域のみならず、貫通孔45f及び貫通孔45gの領域から、基端部43bの表面に沿って、先端部45aの先端側及び基端側に拡がって充填されているものである。
【0128】
なお、先端チップ43の基端部43bの長手方向の長さは、カテーテルシャフト45の先端部45aの長手方向の長さと同一でもよいが、先端チップ43をカテーテルシャフト45に挿入したときに、先端チップ43の先端テーパ部43aの基端と、カテーテルシャフト45の先端との当接状態を良好にするために、本実施形態においても、基端部43bの長手方向の長さを、先端部45aの長手方向の長さよりも短くしている。
【0129】
充填剤47f及び充填剤47gの樹脂材料は、第1実施形態の充填剤7fと同様の材料が使用されている。
【0130】
本実施形態のカテーテル40によれば、先端チップ43の基端部43bをカテーテルシャフト45の先端部45aに挿入して接続する接続構造において、基端部43bの外周には凸凹部43cが形成されており、先端部45aの側面には貫通孔45f及び貫通孔45gが形成されており、カテーテルシャフト45と凸凹部43cとの間には、貫通孔45f及び貫通孔45gを介して硬化性の充填剤47f及び充填剤47gが備えられているので、先端チップ43とカテーテルシャフト45との接合強度を向上させることができる。
【0131】
また、本実施形態のカテーテル40によれば、先端部45aの内周には凸凹部43cに嵌合する凸凹部45cが形成されているので、先端チップ43とカテーテルシャフト45との接合強度をさらに向上させることができる。
【0132】
また、本実施形態のカテーテル40によれば、貫通孔45f及び貫通孔45gは、先端部45aの側面に離間して複数形成されており、横断面視において、点対称に配置されているので、湾曲させた場合においても、先端チップ43とカテーテルシャフト45との接合強度をさらに向上させることができる。
【0133】
さらに、本実施形態のカテーテル40によれば、貫通孔45f及び貫通孔45gは、先端部45aの側面に離間して複数形成されており、横断面視において、均等に配置されているので、湾曲させた場合においても、先端チップ43とカテーテルシャフト45との接合強度をさらに向上させることができる。
【0134】
(第6実施形態)
最後に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0135】
以下、本発明の第6実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、
図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0136】
第6実施形態のカテーテル50は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、貫通孔の数が異なる。すなわち、カテーテル1における貫通孔の数が1つであったのに対し、本実施形態のカテーテル50における貫通孔の数は4つである。
【0137】
図9は、第6実施形態のカテーテルの先端斜視図であり、
図10は、第6実施形態のカテーテルにおける
図4相当図であり、
図11は、
図9のB-B断面図(横断面において
図10に対して90度回転させた位置のおける縦断面図)であり、
図12は、
図9のC-C断面図である。
【0138】
なお、
図12において、後述する「充填剤57h」及び「充填剤57j」は、C-C断面に表出していることから斜線で図示し、後述する「充填剤57f」及び「充填剤57g」は、C-C断面に表出していないことから、網線で図示している。
【0139】
図1及び
図9に示すように、本実施形態のカテーテル50は、カテーテルシャフト55(本発明の「第2の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト55の先端に接合された先端チップ3(本発明の「第1の管状部材」に相当)と、カテーテルシャフト55の基端に接合されたコネクタ2とから構成されている。
【0140】
カテーテルシャフト55は、第1実施形態のカテーテルシャフト5と同様に、横断面視中央部に略円形のルーメンL3を有する、長尺の中空管状体であり、
図10及び
図11に示すように、内層55bと、その内層55bの外周に巻回された編組55dと、内層55b及び編組55dを覆う外層55eとから構成されている。
【0141】
また、カテーテルシャフト55の先端部55a(本発明の「第2の端部」に相当)は、ルーメンL3に連通するルーメンL2を有し、内層55bの内面に形成された凸凹部55c(本発明の「第2の凸凹部」に相当)と、その凸凹部55cの長手方向中間部において、内層55b、編組55d及び外層55eを貫通する、平面視略円形でありかつ直径φaの4つの貫通孔55f、55g、55h及び55jと、備える。
【0142】
なお、本実施形態においては、
図10乃至
図12に示すように、貫通孔55fは、横断面視、貫通孔55gに対して180度回転した点対称の位置に配置され、貫通孔55hは、横断面視、貫通孔55jに対して180度回転した点対称の位置に配置され、貫通孔55f、貫通孔55g、貫通孔55h及び貫通孔55jは、横断面視において均等に配置されている。
【0143】
具体的には、貫通孔55fと貫通孔55hとの間の角度、貫通孔55hと貫通孔55gとの間の角度、貫通孔55gと貫通孔55jとの間の角度、及び貫通孔55jと貫通孔55fとの間の角度は、それぞれθ1=90度である。
【0144】
また、本実施形態においては、
図9乃至
図12に示すように、貫通孔55f及び貫通孔55gは、貫通孔55h及び貫通孔55jよりも長手方向基端側に配置されている。
【0145】
また、内層55b、編組55d及び外層55eを形成する材料は、それぞれ第1実施形態の内層5b、編組5d及び外層5eと同様の材料である。
【0146】
本実施形態の凸凹部55cは、内層55b内周の横断面視全体に亙って形成されたピッチD1のネジ形状を呈し、後述する先端チップ3の基端部3bとネジ構造により嵌合するものである。
【0147】
図10乃至
図12に示すように、先端チップ3は、基端部3bをカテーテルシャフト55の先端部55aに回しながら挿入して、ネジ構造により嵌合するものであるが、本実施形態のカテーテル50も、嵌合した後の先端チップ3とカテーテルシャフト55との接合強度を向上させるために、貫通孔55f、55g、55h及び55jにそれぞれ硬化性の樹脂57f、57g、57h及びの57j(
図10乃至
図12斜線部及び網線部参照、以下、「充填剤57f」・「充填剤57g」・「充填剤57h」・「充填剤57j」と記す)が充填されている。
【0148】
なお、
図10乃至
図12においても、充填剤57f、57g、57h及び57jは、貫通孔55f、55g、55h及び55jのみに充填されているように図示されているが、実際には、貫通孔55f、55g、55h及び55jの領域のみならず、貫通孔55f、55g、55h及び55jの領域から、基端部3bの表面に沿って、先端部55aの先端側及び基端側に拡がって充填されているものである。
【0149】
また、本実施形態の充填剤57f、充填剤57g、充填剤57h、充填剤57jは、カテーテルシャフト55の表面において、貫通孔55f、貫通孔55g、貫通孔55h及び貫通孔55jよりも拡径した状態で硬化している。なお、
図10乃至
図12において、拡径した部分を拡径部55fe、拡径部55ge、拡径部55he、拡径部55jeとして図示している。
【0150】
また、先端チップ3の基端部3bの長手方向の長さは、カテーテルシャフト55の先端部55aの長手方向の長さと同一でもよいが、先端チップ3をカテーテルシャフト55に挿入したときに、先端チップ3の先端テーパ部3aの基端と、カテーテルシャフト55の先端との当接状態を良好にするために、本実施形態でも、基端部3bの長手方向の長さを、先端部55aの長手方向の長さよりも短くしている。
【0151】
充填剤57f、充填剤57g、充填剤57h及び充填剤57jの樹脂材料は、第1実施形態の充填剤7fと同様の材料である。
【0152】
本実施形態のカテーテル50によれば、先端チップ3の基端部3bをカテーテルシャフト55の先端部55aに挿入して接続する接続構造において、基端部3bの外周には凸凹部3cが形成されており、先端部55aの側面には、貫通孔55f、貫通孔55g、貫通孔55h及び貫通孔55jが形成されており、カテーテルシャフト55と凸凹部3cとの間には、貫通孔55f、貫通孔55g、貫通孔55h及び貫通孔55jを介して硬化性の充填剤57f、充填剤57g、充填剤57h及び充填剤57jが備えられているので、先端チップ3とカテーテルシャフト55との接合強度を向上させることができる。
【0153】
また、本実施形態のカテーテル50によれば、先端部55aの内周には凸凹部3cに嵌合する凸凹部55cが形成されているので、先端チップ3とカテーテルシャフト55との接合強度をさらに向上させることができる。
【0154】
また、本実施形態のカテーテル50によれば、凸凹部3cと凸凹部55cとは、ねじ構造により嵌合しているので、先端チップ3とカテーテルシャフト55との接合強度をさらに向上させることができる。
【0155】
また、本実施形態のカテーテル50によれば、貫通孔55f、貫通孔55g、貫通孔55h及び貫通孔55jは、先端部55aの側面に離間して複数形成されており、横断面視において、点対称に配置されているので、湾曲させた場合においても、先端チップ3とカテーテルシャフト55との接合強度をさらに向上させることができる。
【0156】
また、本実施形態のカテーテル50によれば、貫通孔55f、貫通孔55g、貫通孔55h及び貫通孔55jは、先端部55aの側面に離間して複数形成されており、横断面視において、均等に配置されているので、湾曲させた場合においても、先端チップ3とカテーテルシャフト55との接合強度をさらに向上させることができる。
【0157】
さらに、本実施形態のカテーテル50によれば、硬化性の充填剤57f、充填剤57g、充填剤57h及び充填剤57jは、カテーテルシャフト55の表面に、貫通孔55f、貫通孔55g、貫通孔55h及び貫通孔55jよりも拡径した状態(拡径部55fe、拡径部55ge、拡径部55he及び拡径部55je)で硬化しているので、先端チップ3とカテーテルシャフト55との接合強度をさらに向上させることができるとともに、カテーテル50を湾曲させた場合においても、カテーテルシャフト55の表面に隙間が発生することを防止することができる。
【0158】
以上、本発明の各種実施形態のカテーテルについて説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0159】
例えば、上述の実施形態においては、カテーテルを対象として説明してきたが、本発明は、カテーテルに限られるものではなく、一般的な接続構造についても適用可能なものである。
【0160】
また、上述の実施形態においては、貫通孔の数を1つ、2つ及び4つの場合を例にとり説明してきたが、貫通孔の数は、3つであっても良く、カテーテルの横断面の領域が許容する限りにおいて4つ以上であっても良い。
【0161】
さらに、貫通孔の数を増大させる場合には、第6実施形態のカテーテル50のように、幾つかの貫通孔をカテーテルの長手方向先端側または基端側に配置するようにしても良い。
【0162】
ただし、何れの場合においても、各貫通孔をカテーテルの横断面視において点対称または均等に配置する方が、管状部材の接合強度をさらに向上させることができる。
【0163】
また、上述の実施形態においては、第1の凸凹部及び第2の凸凹部の形状について、ネジ構造及び第5実施形態の形状のみについて説明してきたが、第1の凸凹部及び第2の凸凹部の形状は、凸凹形状が認識可能な範囲において、どのような凸凹形状であっても良い。
【0164】
また、上述の実施形態においては、貫通孔の形状を平面視略円形として説明してきたが、本発明の貫通孔の形状については、平面視、縦断面視及び横断面視において特に限定されるものではなく、任意の形状であって良い。
【0165】
さらに、上述の実施形態においては、貫通孔の直径をφa、ねじのピッチをD1として説明してきたが、本発明の貫通孔の直径、ネジのピッチについては、任意の値を設定することが可能である。
【符号の説明】
【0166】
1,10,20,30,40,50・・・カテーテル
2・・・コネクタ
3,43・・・先端チップ(第1の管状部材)
3a,43a・・・先端テーパ部
3b,43b・・・基端部(第1の端部)
3c,43c・・・凸凹部(第1の凸凹部)
5,15,25,35,45,55・・・カテーテルシャフト(第2の管状部材)
5a,15a,25a,35a,45a,55a・・・先端部(第2の端部)
5b,15b,25b,35b,45b,55b・・・内層
5c,15c,25c,35c,45c,55c・・・凸凹部(第2の凸凹部)
5d,15d,25d,35d,45d,55d・・・編組
5e,15e,25e,35e,45e,55e・・・外層
5f,15f,15g,25f,25g,35f,45f,45g,55f,55g,55h,55j・・・貫通孔
7f,17f,17g,27f,27g,37f,47f,47g,57f,57g,57h,57j・・・充填剤(硬化性の樹脂)
57fe,57ge,57he,57je・・・拡径部
L1,L2,L3・・・ルーメン