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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179814
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】螺旋管の製管装置及び巻き出し方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/32 20060101AFI20241219BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B29C63/32
F16L1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098970
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白瀧 滉司
(72)【発明者】
【氏名】山下 卓也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 佳郎
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AG08
4F211AH43
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
4F211SJ13
4F211SJ15
4F211SJ16
4F211SJ22
4F211SP04
(57)【要約】
【課題】螺旋管の製管の途中で、内周規制形態と内周解放形態との間で容易に変態可能な製管装置を提供する。
【解決手段】製管装置20の装置本体21に設けられた駆動ローラ22a,22bによって、帯状部材19の未製管の後続帯部19を挟み込んで螺旋管3の管端部3eへ押し込む。装置本体21の推進前方ユニット23には、管端ガイド30と、ブレーキ機構40と、推進前方側接続座29aを設ける。推進前方側接続座29aに内周規制体70の推進前方側接続部76を着脱可能に接続する。装置本体21の推進後方部の推進後方側接続座27には、内周規制体70の推進後方側接続部72aを着脱可能に接続する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製管中の螺旋管の管軸に沿う延伸方向の先端側の管端部を内周側へ解放した状態で螺旋巻回方向へ推進されながら前記製管を行なう内周解放形態と、螺旋環状の内周規制体によって前記管端部を内周側から規制した状態で前記螺旋巻回方向へ推進されながら前記製管を行なう内周規制形態との間で変態可能な製管装置であって、
長手方向を前記螺旋巻回方向に沿う推進方向へ向けて、前記管端部の一箇所に推進可能に配置された非環状の装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記螺旋管となる帯状部材における未製管の後続帯部を挟み込んで前記管端部へ押し込む少なくとも一対の駆動ローラと、
前記管端部を構成する前記帯状部材に形成された外周溝にスライド可能に係止される係止部を有して、前記装置本体の前記長手方向へ互いに離れて設けられた複数の管端ガイドと、
前記複数の管端ガイドのうち前記装置本体の推進前方部に設けられたと推進前方ユニットを構成し、前記推進時に前記管端部との間に摩擦抵抗を付与するブレーキ機構と、
前記推進前方ユニットに設けられ、前記内周規制体の推進前方側接続部を着脱可能に接続する推進前方側接続座と、
前記装置本体の推進後方部に設けられ、前記内周規制体の推進後方側接続部を着脱可能に接続する推進後方側接続座と、
を備えたことを特徴とする製管装置。
【請求項2】
前記推進前方側接続座に着脱可能な接続部材を更に備え、
前記内周規制体の前記推進前方側接続部が、前記接続部材を介して前記推進前方側接続座に接続される請求項1に記載の製管装置。
【請求項3】
前記接続部材が、前記推進前方側接続座と嵌合される接続本体部と、前記接続本体部から前記推進方向と直交する向きへ突出された連結軸部とを有し、前記推進前方側接続部が、前記連結軸部に回転可能に接続される請求項2に記載の製管装置。
【請求項4】
前記推進前方ユニットには、前記内周解放形態における管端部の外周に掛け回される外周規制ワイヤの両端部がそれぞれ繋着される2つの繋着部が設けられている請求項1に記載の製管装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の製管装置による巻き出し方法であって、
前記帯状部材を螺旋状にひと巻き以上巻回してなる巻き出しリングを作成するとともに、前記内周解放形態とした製管装置を前記巻き出しリングに取り付け、
前記巻き出しリングの前記延伸方向の始端側の縁部を環状の巻き出し治具によって保形した状態で、前記製管装置によって螺旋管を数巻き製管し、
次に、前記内周規制体を前記螺旋管の内周に沿って設置し、かつ前記内周規制体の前記推進前方側接続部を前記推進前方側接続座と接続し、かつ前記内周規制体の前記推進後方側接続部を前記推進後方側接続座と接続し、
その後、前記巻き出し治具を撤去することを特徴とする巻き出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の帯状部材から螺旋管を製管する装置及び前記螺旋管を巻き出す方法に関し、特に、製管しながら螺旋巻回方向へ推進される自走式の製管装置及び巻き出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、老朽化した下水道管等の既設管を更生するために、製管装置を用いて、長尺の帯状部材(プロファイル)を螺旋状に巻回してなる更生管(螺旋管)を既設管の内周にライニングする方法が知られている(特許文献1、2等参照)。特許文献1、2には、螺旋巻回方向へ推進されながら製管を行なう自走式の製管装置が開示されている。自走式の製管装置は、製管中の更生管の管軸に沿う延伸方向の先端側の管端部に配置された装置本体と、装置本体に設けられた少なくとも一対の駆動ローラと、装置本体の長手方向に互いに離れて設けられた管端ガイドを含む。装置本体の長手方向は、螺旋巻回方向すなわち推進方向へ向けられている。駆動ローラの駆動によって、帯状部材における未製管の後続帯部が管端部に組み込まれるとともに推進力が得られる。各管端ガイドが、更生管の管端部にスライド可能に係止される。
【0003】
更に、特許文献1の製管装置は、リンクローラと称される螺旋環状の内周規制体を含む内周規制型(内周規制形態)である。内周規制体の周方向の両端部が、装置本体と接続されている。内周規制体が更生管の管端部の内周に張り付くことによって、管端部が内周側から規制されている。
【0004】
特許文献2の製管装置は、内周規制体を有さない内周解放型(内周解放形態)である。管端部における装置本体の配置箇所以外の部分は、内周側へ解放されている。更に特許文献2の製管装置は、内周規制体に代えて、外周規制ワイヤを有している。外周規制ワイヤは、管端部の外周に巻回されるとともに、両端部が管端ガイド又は装置本体に繋着されている。外周規制ワイヤの長さを調節することによって管端部の周長ひいては管径を調節できる。更に、特許文献2の製管装置における推進前方の管端ガイドには、ブレーキ機構が付加されている。推進時、ブレーキ機構によって管端部との間に摩擦抵抗(ブレーキ力)を付与することができる。ブレーキ力を調節することによって、推進速度を後続帯部の送り込み速度に対して増減させて、製管径を拡縮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2015/186779
【特許文献2】特開2020-093420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内周規制型の製管装置は、管端部を内周規制体に張り付かせることによって、管端部を一定の周長になるよう製管できる。既設管の管軸が真っ直ぐな直線部においてだけでなく、管軸が曲がった曲線部においても安定的に製管できる。一方、流路断面積が内周規制体の分だけ小さくなるため、流下阻害が大きい。内周規制体が壊れたり倒れたりする懸念もある。
【0007】
これに対し、内周解放型の製管装置は、内周規制型と比べて流下阻害が小さく安全性が高い。一方、製管径の管理が容易でない。また、曲線部では製管が難しい。
【0008】
このように、内周規制型の製管装置と内周解放型の製管装置とは、互いに相反する長所と短所を有することから、1台の製管装置を状況に応じて内周規制型にしたり内周解放型にしたりすることが出来れば、各々の型の長所を活かした製管を行なうことができると考えられる。しかし、現状の製管装置を製管の途中で、内周規制型から内周解放型に変態させたり、逆に内周解放型から内周規制型に変態させたりするには、煩雑な解体や部品の変更を要し、容易でない。例えば、内周解放型から内周規制型に変態させるために、ブレーキ機構付きの推進前方管端ガイドを取り外そうとすると、該推進前方管端ガイドの係止部が管端部の外周と既設管との間に挟まれているために取り外しにくく、しかも、取り外すと製管装置が不安定になってしまう。
また、内周規制型の製管装置による更生管(螺旋管)の巻き出しに際し、帯状部材を螺旋状にひと巻き以上巻回してなる巻き出しリングを巻き出し治具によって保持したとすると、内周規制体と巻き出し治具が干渉して製管不能になるおそれがある。
【0009】
かかる事情に鑑み、本発明は、螺旋管の製管の途中で、内周規制型(内周規制形態)と内周解放型(内周解放形態)との間で容易に変態可能な製管装置を提供することを第1の課題とする。また、内周規制形態で製管を行なう場合に巻き出し治具と干渉することなく螺旋管を巻き出し可能な方法を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記第1の課題を解決するために、本発明装置は、製管中の螺旋管の管軸に沿う延伸方向の先端側の管端部を内周側へ解放した状態で螺旋巻回方向へ推進されながら前記製管を行なう内周解放形態と、螺旋環状の内周規制体によって前記管端部を内周側から規制した状態で前記螺旋巻回方向へ推進されながら前記製管を行なう内周規制形態との間で変態可能な製管装置であって、
長手方向を前記螺旋巻回方向に沿う推進方向へ向けて、前記管端部の一箇所に推進可能に配置された非環状の装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記更生管となる帯状部材における未製管の後続帯部を挟み込んで前記管端部へ押し込む少なくとも一対の駆動ローラと、
前記管端部を構成する前記帯状部材に形成された外周溝にスライド可能に係止される係止部を有して、前記装置本体の前記長手方向へ互いに離れて設けられた複数の管端ガイドと、
前記複数の管端ガイドのうち前記装置本体の推進前方部に設けられた推進前方管端ガイドと推進前方ユニットを構成し、前記推進時に前記管端部との間に摩擦抵抗を付与するブレーキ機構と、
前記推進前方ユニットに設けられ、前記内周規制体の推進前方側接続部を着脱可能に接続する推進前方側接続座と、
前記装置本体の推進後方部に設けられ、前記内周規制体の推進後方側接続部を着脱可能に接続する推進後方側接続座と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
当該製管装置によれば、内周規制体を取り外しておくことで、内周解放型(内周解放形態)の製管装置として使用できる。装置本体の長さは管端部の周長より十分に小さく、管端部における装置本体の配置箇所以外の部分が内周側へ解放される。ブレーキ機構による管端部との摩擦抵抗(ブレーキ力)を調節することによって、推進速度を後続帯部の送り込み速度に対して増減させて、製管径を拡縮できる。
内周解放形態から、内周規制体の推進前方側接続部を推進前方側接続座と接続し、推進後方側接続部を推進後方側接続座と接続すると、製管装置を内周規制型(内周規制形態)へ変態させることができる。
内周規制形態で製管する際は、好ましくは、ブレーキ機構による摩擦抵抗(ブレーキ力)が働かないようにする。
内周規制形態から、内周規制体の推進前方側接続部と推進前方側接続座との接続を解除し、内周規制体の推進後方側接続部と推進後方側接続座との接続を解除して、内周規制体を装置本体から分離すると、内周解放形態へ変態させることができる。
【0012】
好ましくは、前記製管装置は、前記推進前方側接続座に着脱可能な接続部材を更に備え、
前記内周規制体の前記推進前方側接続部が、前記接続部材を介して前記推進前方側接続座に接続される。
製管装置を内周解放形態から内周規制形態へ変態させるときは、接続部材を推進前方側接続座に取り付け、該接続部材に内周規制体の推進前方側接続部を接続する。内周規制体の推進前方側接続部を接続部材に接続した状態で、接続部材を推進前方側接続座に取り付けてもよい。
製管装置を内周規制形態から内周解放形態へ変態させるときは、内周規制体の推進前方側接続部を接続部材から外し、接続部材を推進前方側接続座から外す。内周規制体の推進前方側接続部を接続部材に接続したまま、接続部材を推進前方側接続座から外してもよい。
【0013】
好ましくは、 前記接続部材が、前記推進前方側接続座と嵌合される接続本体部と、前記接続本体部から前記推進方向と直交する向きへ突出された連結軸部とを有し、前記推進前方側接続部が、前記連結軸部に回転可能に接続される。
製管装置を内周解放形態から内周規制形態へ変態させるときは、接続部材の接続本体部を推進前方ユニットの推進前方側接続座と嵌合させ、接続部材の連結軸部と内周規制体の推進前方側接続部とを接続する。これによって、接続部材を介して、内周規制体と推進前方ユニットとを連結できる。
製管装置を内周規制形態から内周解放形態へ変態させるときは、接続部材の接続本体部を推進前方側接続座から外す。接続部材の連結軸部から内周規制体の推進前方側接続部を分離してもよい。これによって、内周規制体を推進前方ユニットから分離できる。
【0014】
好ましくは、前記推進前方ユニットには、前記内周解放形態における管端部の外周に掛け回される外周規制ワイヤの両端部がそれぞれ繋着される2つの繋着部が設けられている。
これによって、内周解放形態で製管する際は、外周規制ワイヤを管端部の外周に掛け回し、該外周規制ワイヤの長さを調整することによって、管端部の周長を調節できる。
【0015】
前記第2の課題を解決するために、本発明方法は、前記製管装置による巻き出し方法であって、
前記帯状部材を螺旋状にひと巻き以上巻回してなる巻き出しリングを作成するとともに、前記内周解放形態とした製管装置を前記巻き出しリングに取り付け、
前記巻き出しリングの前記延伸方向の始端側の縁部を環状の巻き出し治具によって保形した状態で、前記製管装置によって螺旋管を数巻き製管し、
次に、前記内周規制体を前記螺旋管の内周に沿って設置し、かつ前記内周規制体の前記推進前方側接続部を前記推進前方側接続座と接続し、かつ前記内周規制体の前記推進後方側接続部を前記推進後方側接続座と接続し、
その後、前記巻き出し治具を撤去することを特徴とする。
これによって、内周規制形態であったとすると、内周規制体が巻き出し治具と干渉することになる領域では、製管装置を内周解放形態にすることで、干渉を回避しつつ、巻き出し治具によって巻き出しリングを保形できる。その状態で数巻き製管することで、内周規制体が巻き出し治具と干渉しない領域まで製管装置が推進される。その後、内周規制体を取り付けることで、製管装置を内周規制形態に変態させて螺旋管を製管できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、螺旋管の製管の途中で、製管装置を内周規制形態から内周解放形態に容易に変態させたり、内周解放形態から内周規制形態に容易に変態させたりできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る製管装置の第1使用態様を示し、図1(a)は、前記製管装置を内周解放形態にして、既設管の直線部を更生する様子を示す平面断面図である。図1(b)は、前記製管装置を内周規制形態にして、前記既設管の曲線部を更生する様子を示す平面断面図である。図1(c)は、前記製管装置を内周解放形態にして、前記既設管の他の直線部を更生する様子を示す平面断面図である。
図2図2(a)は、前記既設管にライニングされる更生管となる帯状部材の一例を示し、図3のIIa-IIa線に沿う断面図である。図2(b)は、図1(a)の円部IIbにおける前記更生管の拡大断面図である。
図3図3は、前記内周解放形態の製管装置によって更生管を製管する様子を示す、図1(a)のIII-III線に沿う正面断面図である。
図4図4は、前記内周解放形態の製管装置の拡大図である。
図5図5は、図4のV-V線に沿う、前記製管装置の推進前方ユニットの断面図である。
図6図6は、図4のVI-VI線に沿う、前記推進前方ユニットの平面図である。
図7(a)】図7(a)は、前記製管装置の変態に用いられる接続部材の平面図である。
図7(b)】図7(b)は、同図(a)のVIIb-VIIb線に沿う、前記接続部材の断面図である。
図8(a)】図8(a)は、前記接続部材を前記推進前方ユニットに装着する様子を示す平面図である。
図8(b)】図8(b)は、前記接続部材を前記推進前方ユニットに装着した状態を示す平面図である。
図9図9は、前記製管装置を内周規制形態にして更生管を製管する様子を示す、図1(b)のIX-IX線に沿う正面断面図である。
図10図10は、前記内周規制形態の製管装置の装置本体の推進前方部と内周規制体との接続部分を示す平面図である。
図11図11は、前記製管装置の第2使用態様において前記更生管の巻き出しに用いられる巻き出し治具の正面図である。
図12図12(a)は、前記第2使用態様における巻き出しリングの作成工程を示す側面図である。図12(b)は、前記第2使用態様における製管装置の組付け工程を示す側面図である。図12(c)は、前記第2使用態様における干渉領域内製管工程を示す側面図である。図12(d)は、前記第2使用態様における内周規制形態への変態工程を示す側面図である。
図13図13は、前記組付け工程~前記干渉領域内製管工程における製管装置の装置本体の推進前方部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1(a)~同図(c)は、老朽化した既設管1を更生する様子を順追って示したものである。既設管1は、管軸が真っ直ぐな直線部1a,1a’と、管軸がカーブする曲線部1bを含む。既設管1は、地中に埋設された下水道管であるが、これに限らず、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管、トンネル等であってもよい。既設管1の内壁に更生管3がライニングされている。更生管3は、長尺の帯状部材10によって構成された螺旋管である。
【0019】
図2(a)に示すように、帯状部材10の両縁には凹凸嵌合部13,14が形成されている。帯状部材10の外周側面には、T字リブ15や凹凸嵌合部13の背部等によって画成された外周溝16が、帯長方向へ延びるように形成されている。
【0020】
図2(b)に示すように、更生管3においては、帯状部材10が螺旋状に巻回され、隣接する巻き部分の凹凸嵌合部13,14どうしが嵌合されている。更生管3の外周面には外周溝16が螺旋状に形成されている。
なお、帯状部材10の断面形状は、図2に図示したものに限らず、適宜改変できる。
【0021】
図1(a)に示すように、製管中の更生管3(先に製管された管部分3a)における、管軸に沿う延伸方向の先端側(図1(a)において左側、以下適宜「延伸先端側」と称す)の管端部3eには、製管装置20が設けられている。帯状部材10における未製管の後続帯部19が、延伸方向の後方側(図1(a)において右側、以下「延伸後方側」と称す)から、管部分3aの内部を通って、製管装置20に導入されている。製管装置20によって、後続帯部19が管端部3eに組み込まれることによって、更生管3の製管が進む。
【0022】
図3に示すように、製管装置20は、螺旋巻回方向に沿って図3において時計回りに推進されながら製管を行なう自走式の製管装置である。更に、図1に示すように、製管装置20は、管端部3eを内周側へ解放した状態で製管を行なう内周解放形態(図1(a)及び同図(c))と、管端部3eを内周側から規制した状態で製管を行なう内周規制形態(図1(b))との間で変態可能である。以下、内周解放形態の製管装置20を「製管装置20A」と表記し、内周規制形態の製管装置20を「製管装置20B」と表記する。
【0023】
<内周解放形態>
図3に示すように、製管装置20Aは、非環状の装置本体21と、外周規制ワイヤ53を備えている。装置本体21は、管端部3eの周方向の一箇所の内周側に螺旋巻回方向へ推進可能に配置されている。装置本体21ひいては製管装置20Aの長手方向LDは、更生管3の螺旋巻回方向すなわち推進方向へ向けられている。図1(a)に示すように、製管装置20Aの長手方向LDと直交する幅方向WDは、概略、更生管3の延伸方向ないしは管軸に沿っており、厳密には更生管3の管軸に対して螺旋のリード角だけ傾けられている。製管装置20Aの長手寸法は管端部3eの周長より十分短く、製管装置20Aの配置箇所以外の管端部3eが内周側へ解放されている。
【0024】
図4に示すように、製管装置20Aの装置本体21には、駆動ユニット22と、推進前方ユニット23と、推進後方ユニット24が設けられている。装置本体21の中央部に駆動ユニット22が設けられている。駆動ユニット22は、少なくとも一対(図では2対)の駆動ローラ22a,22bを含む。これら駆動ローラ22a,22bの軸線は、製管装置20Aの幅方向WD(図4において紙面直交方向)へ向けられている。駆動モータ22cによる回転駆動によって、駆動ローラ22a,22bが、帯状部材10における未製管の後続帯部19を挟み込んで、推進方向の後方側(図4において右側、以下「推進後方」と称す)へ斜めに送り出し、管端部3eに押し込む。
【0025】
図4に示すように、駆動ユニット22から推進後方(図4において右方)へ推進後方アーム25が延びている。推進後方アーム25には、支持部27を介して押さえローラ26が設けられている。押さえローラ26の軸線は、図4の紙面と直交する幅方向WDへ向けられている。押さえローラ26は、後続帯部19又は管端部3eを内周側から押さえる。
【0026】
図4に示すように、推進後方アーム25の推進後方側(図4において右側)に推進後方ユニット24が連なっている。推進後方ユニット24には、推進後方管端ガイド33が設けられている。詳細な図示は省略するが、推進後方管端ガイド33には、管端部3eの外周溝16に螺旋巻回方向へスライド可能に係止される係止部が設けられている。
【0027】
図4に示すように、駆動ユニット22の底部には、同様の係止部を有する中間の管端ガイド32が設けられている。
【0028】
図4に示すように、駆動ユニット22の推進方向の前方側(図4において左側、以下「推進前方」と称す)に推進前方ユニット23が設けられている。推進前方ユニット23は、連結板28と、推進前方ユニット本体29を含む。連結板28が、駆動ユニット22の底部から推進前方へ延びている。連結板28の先端部にユニット本体29が設けられている。
【0029】
図5及び図6に示すように、推進前方ユニット本体29は、四角形の枠形状ないしはブロック形状のユニット本体部29aと、連結板部29bを含む。連結板部29bが、連結板28とボルト(図示せず)等によって連結されている。ユニット本体部29aは、連結板部29bの推進前端部(図6において左端)に連なるとともに、管端部3eの内周面に近接して配置されている。ユニット本体部29aの上面板29cの四隅には、後記接続部材60のための4つ(複数)のボルト孔29dが形成されている。
【0030】
図5及び図6に示すように、ユニット本体部29aに、推進前方管端ガイド30とブレーキ機構40が組み込まれている。図5に示すように、推進前方管端ガイド30は、L字状のガイドブロック31と、係止部34を有している。ガイドブロック31の底辺部31bが管端部3eの外周側に配置されている。底辺部31bの先端部に係止部34が設けられている。係止部34が、管端部3eの外周溝16に螺旋巻回方向へスライド可能に係止されている。
したがって、装置本体21には、3つ(複数)の管端ガイド30,32,33が長手方向LDへ離れて配置されている。
【0031】
図5及び図6に示すように、推進前方ユニット23のブレーキ機構40は、ブレーキシャフト41と、レバー取付部42と、ブレーキシュー43を含む。ユニット本体部29aにブレーキシャフト41が回転可能に保持されている。ブレーキシャフト41の軸線は、幅方向WDへ向けられている。ブレーキシャフト41は、ガイドブロック31の縦片部31a及びユニット本体29を貫通して、ユニット本体29から延伸先端側(図5において左側、図6において下側)へ延び出ている。ブレーキシャフト41の延伸先端側の端部に、レバー取付部42が設けられている。図6において二点鎖線にて示すように、レバー取付部42にブレーキレバー44が着脱可能に取り付けられ、回転操作可能になっている。
【0032】
図5及び図6に示すように、ブレーキシャフト41の延伸後方側(図5において右側、図6において上側)の端部には、ブレーキシュー43が設けられている。ブレーキシュー43は、管端部3eを挟んで係止部34と対向している。図4に示すように、ブレーキシュー43は、ブレーキシャフト41に対して偏心された円筒形状に形成されている。図5に示すように、ブレーキシュー43の外周面が、管端部3eの内周面と近接して離間されているか又は接触されている。ブレーキシュー43が管端部3eと接触された状態で、製管装置20Aが推進されることによって、管端部3eとの間に滑り摩擦抵抗(ブレーキ力)が付与される。ブレーキシャフト41の回転角度に応じて、ブレーキシュー43の押し当て力ひいてはブレーキ力が調節される。これによって、製管装置20Aの推進速度を後続帯部19の送り込み速度に対して増減させて、管端部3eの管径を拡縮調節できる。
【0033】
図4に示すように、更に、推進前方ユニット23には、繋着部51,52が設けられている。第1繋着部51は、ガイドブロック31の底辺部31bに形成された貫通穴51aと、連結板28に形成された折り返し穴51bと、ユニット本体部29aに形成されたワイヤ端挿通孔51cとを含む。
ユニット本体部29aの延伸先端側の側面には、第2繋着部52が一体に設けられている。
【0034】
図3に示すように、内周解放形態の製管装置20Aには、外周規制ワイヤ53が付設されている。外周規制ワイヤ53は、管端部3eの外周に螺旋状に掛け回されている。図4に示すように、外周規制ワイヤ53の第1端部53aは、貫通穴51aに通され、かつ折り返し穴51bに通されて折り返され、更に挿通孔51cに挿し込まれて、止めネジ54にて止められている。
【0035】
図4に示すように、外周規制ワイヤ53の第2端部53bは、第2繋着部52に繋着されている。外周規制ワイヤ53の長さによって、管端部3eの周長ひいては管径を調節できる。
【0036】
図4に示すように、製管装置20Aには、長手方向LDの推進前方側及び推進後方側に離れて、内周規制体70のための接続座が設けられている。具体的には、推進前方ユニット23のユニット本体部29aが、推進前方側接続座として提供されている。また、推進後方アーム25の押さえローラ支持部27が、推進後方側接続座を兼ねている。これら推進前方側及び推進後方側の接続座に、内周規制体70(図9)の対応する接続部がそれぞれ接続されることによって、製管装置20が内周規制形態の製管装置20Bに変態される。
【0037】
<内周規制形態>
図9に示すように、内周規制形態の製管装置20Bにおける内周規制体70は、螺旋巻回方向に螺旋環状のリンクローラ71と、連結アタッチメント72を含む。リンクローラ71は、前記螺旋巻回方向に間隔を置いて並べられた複数のローラ74と、隣接するローラ74間に設けられたフレーム状のリンク73を有している。各ローラ74の軸線は、製管装置20Bの幅方向WD(図9において紙面直交方向)へ向けられている。リンク73によって、各ローラ74が軸線まわりに回転可能に保持され、かつ隣接するローラ74どうしがリンク73を介して連結されている。
【0038】
図9に示すように、リンクローラ71の螺旋巻回方向(推進方向)に離れた2つのリンク73A,73Bの間に装置本体21が設けられている。2つのリンク73A,73Bのうち、推進後方側(図9において右側)のリンク73Bには、連結アタッチメント72が連結されている。連結アタッチメント72の推進前方(図9において左方)を向く先端部72aは、内周規制体70における推進後方側接続部を構成している。該先端部72aが、連結シャフト75を介して、押さえローラ支持部27(推進後方側接続座)に回転可能かつ着脱可能に連結されている。
【0039】
図10に示すように、推進前方側(図9において左側)のリンク73Aには、筒状の連結ローラ76が設けられている。連結ローラ76の軸線は、幅方向WDへ向けられている。連結ローラ76の軸長は、ローラ74の軸長の半分程度である。連結ローラ76によって、装置本体20との推進前方側接続部が構成されている。
【0040】
図10に示すように、ユニット本体部29a(推進前方側接続座)には、連結ローラ76(推進前方側接続部)との接続用の接続部材60が着脱可能に取り付けられている。図7(a)に示すように、接続部材60は、接続本体部61と、連結軸部62を含む。図7(b)に示すように、接続本体部61は、概略四角形ないしは逆さU字状の箱形状に形成され、ユニット本体部29aの外側に着脱可能に嵌合される(図8(a)~図8(b))
図7(a)に示すように、接続本体部61の上面部61aの四隅には、ボルト孔29dとそれぞれ対応する4つ(複数)の挿通孔61bが形成されている。図8(b)に示すように、接続用ボルト63が、挿通孔61bを通してボルト孔29dにねじ込まれることによって、接続部材60がユニット本体部29aと接続されている。
【0041】
図7(a)に示すように、接続本体部61から幅方向WDに沿って延伸後方側(図7(a)において上側)へ連結軸部62が突出されている。図10に示すように、連結軸部62がリンク73Aの連結ローラ76の中心穴に挿通されている。これによって、リンク73Aが接続部材60に回転可能に連結されている。
【0042】
<第1使用態様>
製管装置20は、例えば次のように使用される。
図1(a)に示すように、既設管1の直線部1aにおいては、製管装置20が、好ましくは内周解放形態の製管装置20Aにされている。製管装置20Aが、製管途中の更生管3の管端部3eに配置されている。管端部3eの外周には製管装置20Aの外周規制ワイヤ53が掛け回されている。内周規制体70(図9)及び接続部材60(図7)は、撤去されている。
【0043】
図4に示すように、後続帯部19が、製管装置20Aに導入されて、一対の駆動ローラ22a,22bに挟み込まれるとともに管端部3eへ押し込まれる。これによって、管端部3eと後続帯部19との嵌合部13,14どうしが凹凸嵌合され(図2(b)参照)、後続帯部19が管端部3eに組み込まれることで、更生管3の製管が進む。製管装置20Aは、後続帯部19を押し込むときの反力によって、推進前方側へ推進される。
【0044】
一般に、この種の帯状部材10は、製管が進むにしたがって製管径が縮径される傾向がある。そこで、ブレーキ機構40によって製管装置20Aと管端部3eとの間に摩擦抵抗(ブレーキ力)を付与する。これによって、製管装置20Aの推進速度が駆動ローラ22a,22bによる後続帯部19の送り込み速度より小さくなり、管端部3eの縮径を防止できる。更には、管端部3eが拡径しようとすることで、外周規制ワイヤ53に管端部3eが張り付く。外周規制ワイヤ53の長さを調節することによって、管端部3eの周長及び管径を調節できる。
【0045】
内周解放形態の製管装置20Aによれば、既設管1を下水道管として供用中であっても、流下阻害を招くことなく更生施工を実施することができる。また、内周解放形態の製管装置20Aは、軽量かつコンパクトであり、製管中に万が一、倒れたとしても、影響が小さく、安全性が高い。
【0046】
図1(b)に示すように、既設管1の曲線部1bにおいては、製管装置20が、好ましくは内周規制形態の製管装置20Bにされている。すなわち、図1(a)において二点鎖線にて示すように、直線部1aから曲線部1bへの移行部1cで、製管装置20が、内周解放形態から内周規制形態へ変態される。
【0047】
具体的には、図8(a)~同図(b)に示すように、接続部材60をユニット本体29(推進前方側接続座)に嵌め込んで接続用ボルト63にて固定する。
次に、図10に示すように、リンク73Aの連結ローラ76の中心穴に接続部材60の連結軸部62を挿し込む。また、図9に示すように、連結アタッチメント72を支持部27に回転可能に連結する。
これらリンク73A及び連結アタッチメント72を始端又は終端として、内周規制体70を管端部3eの内周面に沿って組み立てる。
これによって、内周解放形態の製管装置20Aを内周規制形態の製管装置20Bに簡単に変態させることができる。
管端ガイド30は、撤去不要であり、管端部3eに係止させた状態のまま残置できる。したがって、変態の作業中に、装置本体21が不安定になるのを防止できる。
【0048】
外周規制ワイヤ53についても撤去不要であり、管端部3eの外周に掛け回された状態のまま残置できる。ただし、外周規制ワイヤ53が管端部3eに強く張り付かないように、外周規制ワイヤ53の長さを調節することが好ましい。なお、内周規制形態への変態に際して、外周規制ワイヤ53を取り外してもよい。
ブレーキ機構40については、管端部3eにブレーキ力が働かないよう、ブレーキシュー43の角度を調節しておく。
【0049】
製管装置20Bによる製管時は、管端部3eを内周規制体70に張り付かせる。これによって、曲線部1bにおいても管端部3eの周長及び管径を所定に保持でき、安定的に製管できる。
【0050】
図1(b)の二点鎖線にて示すように、既設管1の曲線部1bから直線部1a’への移行部1dでは、製管装置20を内周規制形態から内周解放形態へ変態させる。
すなわち、内周規制体70及び接続部材60を装置本体21から分離して撤去する。このとき、接続用ボルト63を外すことによって、接続部材60をユニット本体部29a(推進前方側接続座)から簡単に分離できる。また、連結シャフト75を外すことによって、連結アタッチメント72を支持部27(推進後方側接続座)から簡単に分離できる。これによって、内周規制形態の製管装置20Bを内周解放形態の製管装置20Aに簡単に変態させることができる。
【0051】
図1(c)に示すように、このようにして、直線部1a’においては、内周規制形態の製管装置20Bによって更生管3の製管を行なう。
製管装置20は、内周解放形態と内周規制形態との間で容易に変態可能であるから、2台の専用製管装置すなわち内周解放形態専用の製管装置と内周規制形態専用の製管装置を用意して、これら2台の専用製管装置を取り換えながら製管する必要が無い。
【0052】
<第2使用態様>
図12(d)に示すように、製管装置20によれば、既設管1の発進側管口1e付近から内周規制形態で製管する場合、次のようにして、更生管3を巻き出すことができる。
巻き出しに際して、巻き出し治具80を用意する。図11に示すように、巻き出し治具80は、治具本体81と、複数の把持部82を含む。治具本体81は、製管すべき更生管の管径に合わせた大きさの環状に形成されている。治具本体81の周方向に間隔を置いて複数の把持部82が設けられている。各把持部82は、一対の挟持部材83を有して、治具本体81から既設管1の管軸方向(図11において紙面直交方向)へ突出されている。
【0053】
図12(a)に示すように、はじめに、帯状部材10を、人力で、巻き出し治具80の周方向に沿って螺旋状にひと巻き以上巻回して、一周違いの嵌合部13,14どうしを嵌合させることで、巻き出しリング3fを作成する。巻き出し治具80の周方向の各位置の把持部82の一対の挟持部材83によって、巻き出しリング3fを内周側及び外周側から挟持して保持する。
【0054】
図12(b)に示すように、次に、製管装置20を内周解放形態にして巻き出しリング3fに取り付ける。すなわち、この段階では、内周規制体70(図9)を未だ設置しないでおく。巻き出しリング3fの延伸方向の始端側の縁部は、巻き出し治具80によって保形される。ここまでの巻き出し作業は、発進側管口1eに連なる発進人孔4(図12(c))で行ってもよく、地上で行ってもよい。
【0055】
図12(c)に示すように、このようにして作成した巻き出しリング3fを、巻き出し治具80によって保形した状態のまま、発進人孔4から発進側管口1eに臨ませる。続いて、製管装置20Aを駆動して、巻き出しリング3fに続けて更生管3を1~数巻き程度、製管する。図13に示すように、この段階では、同図において仮想線にて示す内周規制体70は未だ設置されていないから、把持部82の内周側の挟持部材83と内周規制体70との干渉が起きることが無い。言い換えると、内周規制形態であったとすると、内周規制体70が巻き出し治具80と干渉することになる領域では、製管装置20を内周解放形態にすることで、干渉を回避しつつ、巻き出し治具80によって巻き出しリング3fを保形しながら製管することができる。
【0056】
好ましくは、巻き出し製管工程中、ブレーキ機構40によって、製管装置20Aと管端部3eとの間にブレーキ力を付与する。これによって、製管径が縮径されるのを防止できる。
【0057】
このようにして、内周規制体70が巻き出し治具80と干渉しない領域まで、内周解放形態の製管装置20Aが推進される。
図12(d)に示すように、この段階で、製管装置20を一旦、停止して、内周解放形態から内周規制形態に変態させる。すなわち、リンク73Aの軸受けローラ73c(推進前方側接続部)を接続部材60を介してユニット本体29(推進前方側接続座)と接続する。かつ、連結アタッチメント72の先端部72a(推進後方側接続部)を支持部27(推進後方側接続座)と接続する。これらリンク73A及び連結アタッチメント72を始端又は終端として、内周規制体70を管端部3eの内周面に沿って構築する。
【0058】
内周規制形態への変態時、巻き出し治具80による保持状態はそのまま維持しておく。その状態で、製管装置20Bによって、更生管3を更に数巻き程度、製管する。このとき、更生管3の延伸方向の始端側の縁部が巻き出し治具80によって保持されているから、更生管3の剛性が低くても、更生管3が自重で扁平になるよう変形されるのを防止できる。更生管3の軸長が未だ短くても、更生管3及び製管装置20Bが不安定になるのを防止でき、安定的に製管できる。
【0059】
更生管3が十分に安定する軸長になるまで製管した後、巻き出し治具80を撤去する。
このようにして、既設管1の発進側管口1eの付近から内周規制形態の製管装置20Bによって製管することができる。
【0060】
本発明は、前記実施形態に限らず種々の改変をなすことができる。
例えば、接続部材60を省略してもよい。内周規制体の推進前方側接続部と、装置本体の推進前方側接続座とが、直接に接続されるようになっていてもよい。
推進前方ユニット23の推進前方側接続座は、内周規制体70の推進前方側接続部と接続される構造のものであれば、ユニット本体部29aに限らない。
内周規制体70の推進前方側接続部は、推進前方ユニット23の推進前方側接続座と接続される構造のものであれば、連結ローラ76に限らない。
装置本体21の推進後方側接続座は、内周規制体70の推進後方側接続部と接続される構造のものであれば、押さえローラ支持部27に限らない。
内周規制体70の推進後方側接続部は、装置本体21の推進後方側接続座と接続される構造のものであれば、連結アタッチメント72の先端部72aに限らない。
内周解放形態の製管装置において、外周規制ワイヤ53を省略してもよい。
本発明は、更生管3以外の螺旋管の製管にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば、老朽化した下水道管の更生技術に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 既設管
1a,1a’ 直線部
1b 曲線部
1c,1d 移行部
1e 発進側管口
3 更生管(螺旋管)
3a 先に製管された管部分
3e 延伸先端側の管端部
3f 巻き出しリング
10 帯状部材
13,14 凹凸嵌合部
16 外周溝
19 後続帯部
20 製管装置
20A 内周解放形態の製管装置
20B 内周規制形態の製管装置
21 装置本体
22 駆動ユニット
23 推進前方ユニット
24 推進後方ユニット
26 押さえローラ
27 押さえローラ支持部(推進後方側接続座)
29 ユニット本体
29a ユニット本体部(推進前方側接続座)
30 推進前方管端ガイド(管端ガイド)
32 中間管端ガイド(管端ガイド)
33 推進後方管端ガイド(管端ガイド)
34 係止部
40 ブレーキ機構
41 ブレーキシャフト
43 ブレーキシュー
51 第1繋着部
52 第2繋着部
53 外周規制ワイヤ
53a 第1端部
53b 第2端部
60 接続部材
61 接続本体部
62 連結軸部
63 接続用ボルト
70 内周規制体
71 リンクローラ
72 連結アタッチメント
72a 先端部(推進後方側接続部)
73 リンク
73A 推進前方側の接続用リンク
73B 推進後方側の接続用リンク
75 連結シャフト
76 連結ローラ(推進前方側接続部)
80 巻き出し治具
81 治具本体
82 把持部
83 挟持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10
図11
図12
図13