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特開2024-179817エレベーターの制御ケーブル支持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179817
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】エレベーターの制御ケーブル支持装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B66B7/06 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098976
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯部 峻一
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305AA15
3F305BB08
3F305BC14
3F305BC25
(57)【要約】
【課題】かごの軽量化を図ることができるエレベーターの制御ケーブル支持装置を提供する。
【解決手段】エレベーターの制御ケーブル支持装置7において、ドラム装置71は、かご2に接続された制御ケーブル6が巻かれるドラム713を有している。保持装置72は、ドラム713から繰り出された制御ケーブル6を保持する。連動機構74は、かご2が上方へ移動するときに制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713を回転させる。ドラム装置71は、かご2の移動範囲よりも上方に設けられる。保持装置72は、かご2の上部に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごに接続された制御ケーブルが巻かれるドラムを有するドラム装置と、
前記ドラムから繰り出された前記制御ケーブルを保持する保持装置と、
前記かごが上方へ移動するときに前記制御ケーブルを巻き取る方向へ前記ドラムを回転させる回転力付与部と
を備え、
前記ドラム装置及び前記保持装置のうち、一方はかご側装置とされ、他方は支持側装置とされており、
前記かご側装置は、前記かごの上部に設けられ、
前記支持側装置は、前記かごの移動範囲よりも上方に設けられるエレベーターの制御ケーブル支持装置。
【請求項2】
前記ドラム装置は、前記支持側装置であり、
前記回転力付与部は、前記かごを移動させる巻上機の駆動シーブの回転に前記ドラムを機械的に連動させる連動機構であり、
前記かごは、前記駆動シーブの回転に応じて移動し、
前記ドラムは、前記かごが上方へ移動するときの前記駆動シーブの回転に前記連動機構を介して連動することにより前記制御ケーブルを巻き取る方向へ回転し、
前記ドラムは、前記かごが下方へ移動するときの前記駆動シーブの回転に前記連動機構を介して連動することにより前記制御ケーブルを繰り出す方向へ回転する請求項1に記載のエレベーターの制御ケーブル支持装置。
【請求項3】
前記ドラム装置は、前記かご側装置であり、
前記回転力付与部は、前記かごに設けられたかご吊り車の回転に前記ドラムを機械的に連動させる連動機構であり、
前記かご吊り車は、前記かごの移動に応じて回転し、
前記ドラムは、前記かごが上方へ移動するときの前記かご吊り車の回転に前記連動機構を介して連動することにより前記制御ケーブルを巻き取る方向へ回転し、
前記ドラムは、前記かごが下方へ移動するときの前記かご吊り車の回転に前記連動機構を介して連動することにより前記制御ケーブルを繰り出す方向へ回転する請求項1に記載のエレベーターの制御ケーブル支持装置。
【請求項4】
前記回転力付与部は、前記制御ケーブルを巻き取る方向へ前記ドラムに弾性復元力を付与する弾性体であり、
前記ドラムは、前記かごが上方へ移動するときに前記弾性体の弾性復元力によって前記制御ケーブルを巻き取る方向へ回転し、
前記ドラムは、前記かごが下方へ移動するときに前記弾性体の弾性復元力に逆らって前記制御ケーブルを繰り出す方向へ回転する請求項1に記載のエレベーターの制御ケーブル支持装置。
【請求項5】
鉛直方向に沿って予め設定された懸架基準線に対する前記ドラム装置の位置を前記ドラムの回転に応じて調整する調整機構を備え、
前記保持装置は、前記懸架基準線上に配置され、
前記調整機構は、前記制御ケーブルを巻き取る方向へ前記ドラムが回転することにより前記ドラムの軸線が前記懸架基準線から離れる方向へ前記ドラム装置を移動させ、
前記調整機構は、前記制御ケーブルを繰り出す方向へ前記ドラムが回転することにより前記ドラムの軸線が前記懸架基準線に近づく方向へ前記ドラム装置を移動させる請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの制御ケーブル支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、かごに接続された制御ケーブルを支持するエレベーターの制御ケーブル支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、かごの下部から垂れ下がっている制御ケーブルの中間部をケーブル支持ユニットによって支持しているエレベーターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-26062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された従来のエレベーターでは、かごの下部から制御ケーブルが垂れ下がっているため、制御ケーブルの荷重がかごの下部に加わってしまう。このため、従来のエレベーターでは、かごの下部の強度を高める必要がある。これにより、従来のエレベーターでは、かごの重量が大きくなってしまう。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、かごの軽量化を図ることができるエレベーターの制御ケーブル支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターの制御ケーブル支持装置は、かごに接続された制御ケーブルが巻かれるドラムを有するドラム装置と、ドラムから繰り出された制御ケーブルを保持する保持装置と、かごが上方へ移動するときに制御ケーブルを巻き取る方向へドラムを回転させる回転力付与部とを備え、ドラム装置及び保持装置のうち、一方はかご側装置とされ、他方は支持側装置とされており、かご側装置は、かごの上部に設けられ、支持側装置は、かごの移動範囲よりも上方に設けられるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るエレベーターの制御ケーブル支持装置によれば、かごの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの要部を示す側面図である。
図2】実施の形態2に係るエレベーターの要部を示す側面図である。
図3】実施の形態3に係るエレベーターの要部を示す側面図である。
図4】実施の形態4に係るエレベーターの要部を示す側面図である。
図5】実施の形態5に係るエレベーターの要部を示す側面図である。
図6】実施の形態6に係るエレベーターの要部を示す側面図である。
図7】実施の形態7に係るエレベーターの要部を示す側面図である。
図8図7のドラム装置及び調整機構を示す拡大図である。
図9図8のドラム装置及び調整機構を示す上面図である。
図10図9の矢印Aに沿って見たときのドラム装置及び調整機構を示す正面図である。
図11】実施の形態8に係るエレベーターのドラム装置及び調整機構を示す上面図である。
図12図11の矢印Bに沿って見たときのドラム装置及び調整機構を示す正面図である。
図13】実施の形態9に係るエレベーターのドラム装置及び調整機構を示す上面図である。
図14図13の矢印Cに沿って見たときのドラム装置及び調整機構を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本開示の対象は、以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、又は実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターの要部を示す側面図である。図において、昇降路1内には、かご2及び不図示の釣合おもりが主ロープ3によって吊り下げられている。かご2の下部には、一対のかご吊り車21が設けられている。釣合おもりの上部には、不図示のおもり吊り車が設けられている。
【0011】
昇降路1内の上部には、巻上機4及び制御盤5が設けられている。巻上機4及び制御盤5は、昇降路1内に固定された支持部材10に支持されている。従って、本実施の形態におけるエレベーターは、機械室が存在しない機械室レスエレベーターとなっている。
【0012】
巻上機4は、巻上機本体41と、駆動シーブ42とを有している。
【0013】
巻上機本体41は、モータを有している。駆動シーブ42は、巻上機本体41に回転可能に設けられている。駆動シーブ42は、巻上機本体41のモータの駆動力によって巻上機本体41に対して回転する。
【0014】
制御盤5は、エレベーターの運転を制御する。巻上機本体41に対する駆動シーブ42の回転は、制御盤5により制御される。
【0015】
主ロープ3は、第1端部3aと、不図示の第2端部とを有している。第1端部3a及び第2端部は、昇降路1内の上部において支持部材10に接続されている。主ロープ3は、第1端部3aから、一対のかご吊り車21、駆動シーブ42、おもり吊り車の順に巻き掛けられ、第2端部に達している。従って、主ロープ3によるかご2及び釣合おもりの吊り下げ方式は、2:1ローピング方式となっている。
【0016】
主ロープ3は、駆動シーブ42の回転に応じて移動する。一対のかご吊り車21及びおもり吊り車は、主ロープ3の移動に応じて回転する。これにより、かご2及び釣合おもりは、駆動シーブ42の回転に応じて昇降路1内を上下方向へ移動する。また、一対のかご吊り車21及びおもり吊り車は、かご2及び釣合おもりの移動に応じて回転する。巻上機4及び制御盤5は、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に設けられている。
【0017】
制御盤5には、制御ケーブル6が接続されている。制御ケーブル6の一部は、昇降路1内に垂れ下がっている。制御ケーブル6は、昇降路1内においてかご2に接続されている。これにより、制御盤5とかご2とは、制御ケーブル6を介して互いに通信可能になっている。制御ケーブル6は、かご2の移動に伴って昇降路1内を移動する。
【0018】
制御ケーブル6は、制御ケーブル支持装置7によって支持されている。制御ケーブル支持装置7は、ドラム装置71と、保持装置72と、連動機構74とを有している。
【0019】
ドラム装置71は、昇降路1内の上部に支持側装置として設けられている。支持側装置としてのドラム装置71は、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に設けられている。ドラム装置71は、支持部材10に支持されている。
【0020】
ドラム装置71は、ドラム受け台711と、ドラム回転軸712と、ドラム713とを有している。
【0021】
ドラム受け台711は、支持部材10に固定されている。ドラム回転軸712は、ドラム受け台711に回転自在に設けられている。ドラム回転軸712は、水平に配置されている。本実施の形態では、ドラム回転軸712が駆動シーブ42の軸線と平行に配置されている。
【0022】
ドラム713は、ドラム回転軸712に固定された筒状部材である。ドラム713は、ドラム回転軸712と同軸に配置されている。ドラム713は、ドラム713の軸線を中心としてドラム回転軸712と一体にドラム受け台711に対して回転する。
【0023】
ドラム713には、制御ケーブル6が巻かれる。ドラム装置71では、ドラム713への制御ケーブル6の巻き取り及びドラム713からの制御ケーブル6の繰り出しがドラム713の回転に応じて行われる。
【0024】
保持装置72は、かご2の上部にかご側装置として設けられている。制御ケーブル6は、制御盤5からドラム装置71及び保持装置72を経由して、かご2に接続されている。保持装置72は、制御ケーブル6を保持する。制御ケーブル6は、かご2に含まれる機器に接続されている。
【0025】
連動機構74は、ドラム713に回転力を付与する回転力付与部である。連動機構74は、かご2が上方へ移動するときに制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713を回転させる。また、連動機構74は、かご2が下方へ移動するときに制御ケーブル6を繰り出す方向へドラム713を回転させる。即ち、連動機構74は、かご2の移動に応じてドラム713を回転させる。連動機構74は、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に設けられている。
【0026】
連動機構74は、駆動シーブ42の回転にドラム713を機械的に連動させる。これにより、連動機構74は、駆動シーブ42の回転力をドラム713に付与する。連動機構74は、第1プーリ741と、第2プーリ742と、伝達体743とを有している。
【0027】
第1プーリ741は、駆動シーブ42の回転軸に第1回転部材として固定されている。これにより、第1プーリ741は、駆動シーブ42の軸線を中心として駆動シーブ42と一体に回転する。
【0028】
第2プーリ742は、ドラム回転軸712に第2回転部材として固定されている。これにより、第2プーリ742は、ドラム713の軸線を中心としてドラム回転軸712及びドラム713と一体に回転する。
【0029】
伝達体743は、第1プーリ741及び第2プーリ742間に巻き掛けられた無端状のベルトである。伝達体743は、第1プーリ741の回転に応じて移動する。第2プーリ742は、伝達体743の移動に応じて回転する。これにより、駆動シーブ42の回転は、第1プーリ741、伝達体743及び第2プーリ742を介してドラム713に伝わる。ドラム713は、駆動シーブ42の回転がドラム713に伝わることにより回転する。これにより、ドラム713は、連動機構74を介して駆動シーブ42の回転に連動する。
【0030】
ドラム713は、かご2が上方へ移動するときの駆動シーブ42の回転に連動機構74を介して連動することにより制御ケーブル6を巻き取る方向へ回転する。また、ドラム713は、かご2が下方へ移動するときの駆動シーブ42の回転に連動機構74を介して連動することにより制御ケーブル6を繰り出す方向へ回転する。
【0031】
連動機構74では、ドラム713による制御ケーブル6の巻き取り量及び繰り出し量がかご2の移動距離に対応するように、第1プーリ741及び第2プーリ742のそれぞれの外径が設定されている。
【0032】
次に、エレベーターの動作について説明する。巻上機4に対する制御盤5の制御により駆動シーブ42が回転すると、かご2及び釣合おもりが昇降路1内を上下方向へ移動する。かご2が上方へ移動するときの駆動シーブ42の回転方向は、かご2が下方へ移動するときの駆動シーブ42の回転方向とは逆方向となる。
【0033】
かご2が上方へ移動するときには、ドラム713が連動機構74を介して駆動シーブ42の回転に連動することにより、制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713が回転する。これにより、ドラム713が制御ケーブル6を巻き取りながら、かご2が上方へ移動する。
【0034】
かご2が下方へ移動するときには、ドラム713が連動機構74を介して駆動シーブ42の回転に連動することにより、制御ケーブル6を繰り出す方向へドラム713が回転する。これにより、ドラム713が制御ケーブル6を繰り出しながら、かご2が下方へ移動する。
【0035】
このようなエレベーターの制御ケーブル支持装置7では、ドラム装置71がかご2の移動範囲よりも上方に設けられる。また、保持装置72がかご2の上部に設けられる。さらに、ドラム713は、かご2が上方へ移動するときに連動機構74によって制御ケーブル6を巻き取る方向へ回転する。このため、かご2の移動範囲よりも上方の位置から制御ケーブル6が垂れ下がるようにすることができる。これにより、制御ケーブル6の荷重がかご2に加わることを抑制することができる。また、制御ケーブル6がかご2の下部から垂れ下がることを防止することができるため、かご2の下部の強度を高める必要がなくなる。さらに、制御ケーブル6を吊る懸架機器をかご2の下部に設ける必要もなくなる。従って、かご2の軽量化を図ることができる。また、かご2の材料コストの低減化も図ることができる。
【0036】
また、制御ケーブル6がかご2の下部から垂れ下がることを防止することができるため、制御ケーブル6の荷重によってかご2にアンバランスが生じることを抑制することができる。これにより、かご2のアンバランスを修正するためのバランスウェイトをかご2に設ける必要がなくなり、かご2の製造作業を容易にすることができるとともに、かご2の軽量化もさらに図ることができる。さらに、かご2の下部に制御ケーブル6が接続されることを回避することができるため、かご2の下部に設けられる機器の配置の適正化を図ることもできる。
【0037】
また、連動機構74は、駆動シーブ42の回転にドラム713を機械的に連動させる。このため、かご2が移動したときに、制御ケーブル6が弛んだり制御ケーブル6に過大な張力が加わったりすることを容易に抑制することができる。
【0038】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係るエレベーターの要部を示す側面図である。図において、昇降路1の上方には、機械室20が設けられている。巻上機4、制御盤5、ドラム装置71及び連動機構74は、機械室20に設けられている。従って、本実施の形態におけるエレベーターは、機械室20が存在するエレベーターとなっている。
【0039】
巻上機4、制御盤5、ドラム装置71及び連動機構74は、機械室20の床面201に支持されている。これにより、巻上機4、制御盤5、ドラム装置71及び連動機構74は、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に設けられている。
【0040】
主ロープ3は、機械室20において駆動シーブ42に巻き掛けられている。制御ケーブル6は、機械室20においてドラム713に巻かれている。
【0041】
機械室20の床面201を形成する仕切り壁202には、不図示の主ロープ通し孔と、不図示の制御ケーブル通し孔とが形成されている。主ロープ通し孔及び制御ケーブル通し孔は、仕切り壁202を貫通している。駆動シーブ42に巻き掛けられた主ロープ3は、機械室20から主ロープ通し孔を通って昇降路1内に達している。ドラム713から繰り出された制御ケーブル6は、機械室20から制御ケーブル通し孔を通って昇降路1内に達している。
【0042】
主ロープ3の第1端部3aは、かご2の上部に接続されている。主ロープ3の第2端部は、釣合おもりの上部に接続されている。従って、主ロープ3によるかご2及び釣合おもりの吊り下げ方式は、1:1ローピング方式となっている。他の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
【0043】
このように、機械室20が存在するエレベーターにおいても、かご2の移動範囲よりも上方の位置から制御ケーブル6が垂れ下がるようにすることができる。また、制御ケーブル6がかご2の下部から垂れ下がることを防止することもできる。従って、機械室20が存在するエレベーターにおいても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0044】
なお、実施の形態1及び2では、伝達体743が無端状のベルトとなっている。しかし、伝達体743はこれに限定されず、例えば無端状のチェーンであってもよい。伝達体743をチェーンとした場合、伝達体743が巻き掛けられる第1回転部材及び第2回転部材は、それぞれスプロケットとされる。
【0045】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3に係るエレベーターの要部を示す側面図である。制御ケーブル支持装置7は、ドラム装置71と、保持装置72と、連動機構75とを有している。
【0046】
ドラム装置71は、かご2の上部にかご側装置として設けられている。ドラム装置71の構成は、実施の形態1と同様である。
【0047】
保持装置72は、昇降路1内の上部に支持側装置として設けられている。支持側装置としての保持装置72は、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に設けられている。保持装置72は、支持部材10に支持されている。保持装置72の構成は、実施の形態1と同様である。
【0048】
制御ケーブル6は、制御盤5から保持装置72及びドラム装置71を経由して、かご2に接続されている。保持装置72は、制御ケーブル6を保持する。ドラム装置71では、制御ケーブル6がドラム713に巻かれる。制御ケーブル6は、かご2に含まれる機器に接続されている。
【0049】
連動機構75は、ドラム713に回転力を付与する回転力付与部である。連動機構75は、かご2が上方へ移動するときに制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713を回転させる。また、連動機構75は、かご2が下方へ移動するときに制御ケーブル6を繰り出す方向へドラム713を回転させる。即ち、連動機構75は、かご2の移動に応じてドラム713を回転させる。連動機構75は、かご2に設けられている。
【0050】
連動機構75は、一方のかご吊り車21の回転にドラム713を機械的に連動させる。これにより、連動機構74は、一方のかご吊り車21の回転力をドラム713に付与する。連動機構75は、第1プーリ751と、第2プーリ752と、伝達体753と、ガイド装置754とを有している。
【0051】
第1プーリ751は、かご吊り車21の回転軸に第1回転部材として固定されている。これにより、第1プーリ751は、かご吊り車21の軸線を中心としてかご吊り車21と一体に回転する。
【0052】
第2プーリ752は、ドラム回転軸712に第2回転部材として固定されている。これにより、第2プーリ752は、ドラム713の軸線を中心としてドラム回転軸712及びドラム713と一体に回転する。
【0053】
伝達体753は、第1プーリ751及び第2プーリ752間に巻き掛けられた無端状のベルトである。伝達体753は、第1プーリ751の回転に応じて移動する。第2プーリ752は、伝達体753の移動に応じて回転する。これにより、かご吊り車21の回転は、第1プーリ751、伝達体753及び第2プーリ752を介してドラム713に伝わる。ドラム713は、かご吊り車21の回転がドラム713に伝わることにより回転する。これにより、ドラム713は、連動機構75を介してかご吊り車21の回転に連動する。
【0054】
連動機構75では、ドラム713による制御ケーブル6の巻き取り量及び繰り出し量がかご2の移動距離に対応するように、第1プーリ751及び第2プーリ752のそれぞれの外径が設定されている。
【0055】
ガイド装置754は、かご2を避けて伝達体753を配置する。ガイド装置754は、複数のガイドローラ755を有している。
【0056】
複数のガイドローラ755は、かご2における互いに離れた位置に設けられている。伝達体753は、複数のガイドローラ755に巻き掛けられている。これにより、伝達体753は、かご2を避けてかご吊り車21からドラム装置71に達している。伝達体753は、複数のガイドローラ755にガイドされながら、第1プーリ751の回転に応じて移動する。
【0057】
各かご吊り車21は、かご2の移動に応じて回転する。かご2が上方へ移動するときのかご吊り車21の回転に連動機構75を介してドラム713が連動することにより、制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713が回転する。また、かご2が下方へ移動するときのかご吊り車21の回転に連動機構75を介してドラム713が連動することにより、制御ケーブル6を繰り出す方向へドラム713が回転する。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0058】
次に、エレベーターの動作について説明する。巻上機4に対する制御盤5の制御により駆動シーブ42が回転すると、かご2及び釣合おもりが昇降路1内を上下方向へ移動する。かご2が上下方向へ移動すると、各かご吊り車21がかご2の移動に応じて回転する。かご2が上方へ移動するときのかご吊り車21の回転方向は、かご2が下方へ移動するときのかご吊り車21の回転方向とは逆方向となる。
【0059】
かご2が上方へ移動するときには、ドラム713が連動機構75を介してかご吊り車21の回転に連動することにより、制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713が回転する。これにより、ドラム713が制御ケーブル6を巻き取りながら、かご2が上方へ移動する。
【0060】
かご2が下方へ移動するときには、ドラム713が連動機構75を介してかご吊り車21の回転に連動することにより、制御ケーブル6を繰り出す方向へドラム713が回転する。これにより、ドラム713が制御ケーブル6を繰り出しながら、かご2が下方へ移動する。
【0061】
このようなエレベーターの制御ケーブル支持装置7では、保持装置72がかご2の移動範囲よりも上方に設けられる。また、ドラム装置71がかご2の上部に設けられる。さらに、ドラム713は、かご2が上方へ移動するときに連動機構75によって制御ケーブル6を巻き取る方向へ回転する。このため、かご2の移動範囲よりも上方の位置から制御ケーブル6が垂れ下がるようにすることができる。また、制御ケーブル6がかご2の下部から垂れ下がることを防止することができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、設置スペースの観点などから昇降路1内の上部にドラム装置71を設けることができない場合でも、ドラム装置71よりも設置スペースの小さい保持装置72を昇降路1内の上部に設けることができる。これにより、制御ケーブル支持装置7の設置の自由度を向上させることができる。
【0062】
また、連動機構75は、かご吊り車21の回転にドラム713を機械的に連動させる。このため、かご2が移動したときに、制御ケーブル6が弛んだり制御ケーブル6に過大な張力が加わったりすることを容易に抑制することができる。
【0063】
実施の形態4.
図4は、実施の形態4に係るエレベーターの要部を示す側面図である。図において、昇降路1の上方には、機械室20が設けられている。巻上機4、制御盤5及び保持装置72は、機械室20に設けられている。従って、本実施の形態におけるエレベーターは、機械室20が存在するエレベーターとなっている。
【0064】
巻上機4、制御盤5及び保持装置72は、機械室20の床面201に支持されている。これにより、巻上機4、制御盤5及び保持装置72は、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に設けられている。
【0065】
主ロープ3は、機械室20において駆動シーブ42に巻き掛けられている。制御ケーブル6は、機械室20において保持装置72に保持されている。
【0066】
機械室20の床面201を形成する仕切り壁202には、不図示の主ロープ通し孔と、不図示の制御ケーブル通し孔とが形成されている。主ロープ通し孔及び制御ケーブル通し孔は、仕切り壁202を貫通している。駆動シーブ42に巻き掛けられた主ロープ3は、機械室20から主ロープ通し孔を通って昇降路1内に達している。保持装置72から垂れ下がった制御ケーブル6は、機械室20から制御ケーブル通し孔を通って昇降路1内に達している。
【0067】
主ロープ3の第1端部3a及び第2端部は、仕切り壁202に接続されている。かご2の上部には、1つのかご吊り車21が設けられている。主ロープ3は、第1端部3aから、かご吊り車21、駆動シーブ42、おもり吊り車の順に巻き掛けられ、第2端部に達している。従って、主ロープ3によるかご2及び釣合おもりの吊り下げ方式は、2:1ローピング方式となっている。
【0068】
連動機構75は、かご吊り車21の回転にドラム713を機械的に連動させる。これにより、連動機構74は、かご吊り車21の回転力をドラム713に付与する。連動機構75は、第1プーリ751と、第2プーリ752と、伝達体753とを有している。第1プーリ751、第2プーリ752及び伝達体753のそれぞれの構成は、実施の形態3と同様である。
【0069】
本実施の形態では、第1プーリ751及び第2プーリ752がいずれもかご2の上部に配置されているため、ガイド装置754を用いることなく第1プーリ751及び第2プーリ752間に伝達体753を巻き掛けることができる。従って、本実施の形態では、実施の形態3におけるガイド装置754がかご2に設けられていない。本実施の形態における伝達体753は、ガイド装置754の各ガイドローラ755に巻き掛けられることなく、第1プーリ751及び第2プーリ752間に巻き掛けられている。他の構成及び動作は、実施の形態3と同様である。
【0070】
このように、機械室20が存在するエレベーターにおいても、かご2の移動範囲よりも上方の位置から制御ケーブル6が垂れ下がるようにすることができる。また、制御ケーブル6がかご2の下部から垂れ下がることを防止することができる。従って、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0071】
なお、実施の形態3及び4では、伝達体753が無端状のベルトとなっている。しかし、伝達体753はこれに限定されず、例えば無端状のチェーンであってもよい。伝達体753をチェーンとした場合、伝達体753が巻き掛けられる第1回転部材及び第2回転部材は、それぞれスプロケットとされる。
【0072】
実施の形態5.
図5は、実施の形態5に係るエレベーターの要部を示す側面図である。本実施の形態では、実施の形態1における連動機構74に代えて弾性体76が用いられている。制御ケーブル支持装置7は、ドラム装置71と、保持装置72と、弾性体76とを有している。ドラム装置71及び保持装置72のそれぞれの構成は、実施の形態1と同様である。
【0073】
弾性体76は、ドラム713に回転力を付与する回転力付与部である。弾性体76は、ドラム受け台711に設けられている。弾性体76は、制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713にドラム回転軸712を介して弾性復元力を回転力として付与する。これにより、ドラム713には、制御ケーブル6を巻き取る方向へ弾性体76の弾性復元力が常に付与されている。弾性体76としては、ねじりばね、渦巻きばねなどが用いられている。
【0074】
ドラム713は、かご2が上方へ移動するときに弾性体76の弾性復元力によって制御ケーブル6を巻き取る方向へ回転する。また、ドラム713は、かご2が下方へ移動するときにかご2の自重によって弾性体76の弾性復元力に逆らって制御ケーブル6を繰り出す方向へ回転する。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0075】
次に、エレベーターの動作について説明する。巻上機4に対する制御盤5の制御により駆動シーブ42が回転すると、かご2及び釣合おもりが昇降路1内を上下方向へ移動する。かご2が上方へ移動するときの駆動シーブ42の回転方向は、かご2が下方へ移動するときの駆動シーブ42の回転方向とは逆方向となる。
【0076】
かご2が上方へ移動するときには、弾性体76の弾性復元力により、制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713が回転する。これにより、ドラム713が制御ケーブル6を巻き取りながら、かご2が上方へ移動する。
【0077】
かご2が下方へ移動するときには、かご2の自重により、弾性体76の弾性復元力に逆らって制御ケーブル6を繰り出す方向へドラム713が回転する。これにより、ドラム713が制御ケーブル6を繰り出しながら、かご2が下方へ移動する。
【0078】
このようなエレベーターの制御ケーブル支持装置7においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、ドラム713に弾性体76の弾性復元力を回転力として付与することができる。これにより、実施の形態1~4に比べて制御ケーブル支持装置7の部品点数を少なくすることができ、制御ケーブル支持装置7の構造を簡単にすることができる。さらに、駆動シーブ42の回転にドラム713を連動させたり、かご吊り車21の回転にドラム713を連動させたりする必要がなくなる。これにより、ドラム装置71の設置位置の自由度を向上させることができ、制御ケーブル支持装置7の設置作業を容易にすることができる。
【0079】
また、かご2が移動するときにも、制御ケーブル6に張力が付与された状態を弾性体76の弾性復元力によって常に維持することができる。これにより、かご2が移動するときに制御ケーブル6が横振れすることをより確実に抑制することができる。従って、かご2が移動するときに制御ケーブル6が昇降路1内の梁などに引っ掛かることをより確実に防止することができる。
【0080】
実施の形態6.
図6は、実施の形態6に係るエレベーターの要部を示す側面図である。図において、昇降路1の上方には、機械室20が設けられている。巻上機4、制御盤5、ドラム装置71及び弾性体76は、機械室20に設けられている。従って、本実施の形態におけるエレベーターは、機械室20が存在するエレベーターとなっている。
【0081】
巻上機4、制御盤5、ドラム装置71及び弾性体76は、機械室20の床面201に支持されている。これにより、巻上機4、制御盤5、ドラム装置71及び弾性体76は、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に設けられている。
【0082】
主ロープ3は、機械室20において駆動シーブ42に巻き掛けられている。制御ケーブル6は、機械室20においてドラム713に巻かれている。
【0083】
機械室20の床面201を形成する仕切り壁202には、不図示の主ロープ通し孔と、不図示の制御ケーブル通し孔とが形成されている。主ロープ通し孔及び制御ケーブル通し孔は、仕切り壁202を貫通している。駆動シーブ42に巻き掛けられた主ロープ3は、機械室20から主ロープ通し孔を通って昇降路1内に達している。ドラム713から繰り出された制御ケーブル6は、機械室20から制御ケーブル通し孔を通って昇降路1内に達している。
【0084】
主ロープ3の第1端部3aは、かご2の上部に接続されている。主ロープ3の第2端部は、釣合おもりの上部に接続されている。従って、主ロープ3によるかご2及び釣合おもりの吊り下げ方式は、1:1ローピング方式となっている。他の構成及び動作は、実施の形態5と同様である。
【0085】
このように、機械室20が存在するエレベーターにおいても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、ドラム713に弾性体76の弾性復元力を回転力として付与することができる。これにより、機械室20が存在するエレベーターにおいても、実施の形態5と同様の効果を得ることができる。
【0086】
なお、実施の形態5及び6では、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方にドラム装置71が支持側装置として設けられ、かご2の上部に保持装置72がかご側装置として設けられている。しかし、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に保持装置72を支持側装置として設け、かご2の上部にドラム装置71をかご側装置として設けてもよい。このようにしても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、制御ケーブル支持装置7の構造を簡単にすることができるとともに、制御ケーブル支持装置7の設置作業を容易にすることもできる。さらに、制御ケーブル6が昇降路1内の梁などに引っ掛かることをより確実に防止することもできる。
【0087】
実施の形態7.
図7は、実施の形態7に係るエレベーターの要部を示す側面図である。制御ケーブル支持装置7は、ドラム装置71と、保持装置72と、弾性体76と、調整機構77とを有している。ドラム装置71、保持装置72及び弾性体76のそれぞれの構成は、実施の形態6と同様である。
【0088】
昇降路1には、懸架基準線Pが鉛直方向に沿って予め設定されている。保持装置72は、懸架基準線P上に配置されている。かご2が上下方向へ移動するときには、かご側装置としての保持装置72が懸架基準線Pに沿って移動する。ドラム713から保持装置72に達する制御ケーブル6の位置は、懸架基準線Pと一致している。
【0089】
制御ケーブル6がドラム713に巻かれている状態では、制御ケーブル6がドラム713の外周面に積層されている。ドラム713に対する制御ケーブル6の積層厚さは、ドラム713が制御ケーブル6を巻き取ることにより増加し、ドラム713が制御ケーブル6を繰り出すことにより減少する。従って、仮にドラム装置71の位置が懸架基準線Pに対して固定されている場合、ドラム713から保持装置72に達する制御ケーブル6の位置は、ドラム713に対する制御ケーブル6の積層厚さの変化によって懸架基準線Pから外れる。
【0090】
調整機構77は、ドラム713から保持装置72に達する制御ケーブル6の位置が懸架基準線Pと一致した状態が維持されるように、懸架基準線Pに対するドラム装置71の位置を調整する。ドラム713に対する制御ケーブル6の積層厚さは、ドラム713の回転に応じて変化する。従って、調整機構77は、懸架基準線Pに対するドラム装置71の位置をドラム713の回転に応じて調整する。
【0091】
調整機構77は、制御ケーブル6を巻き取る方向へドラム713が回転することにより、ドラム713の軸線が懸架基準線Pから離れる方向へドラム装置71を移動させる。また、調整機構77は、制御ケーブル6を繰り出す方向へドラム713が回転することにより、ドラム713の軸線が懸架基準線Pに近づく方向へドラム装置71を移動させる。これにより、ドラム713が回転してドラム713に対する制御ケーブル6の積層厚さが変化しても、ドラム713から保持装置72に達する制御ケーブル6の位置が懸架基準線Pと一致した状態が維持される。
【0092】
図8は、図7のドラム装置71及び調整機構77を示す拡大図である。図9は、図8のドラム装置71及び調整機構77を示す上面図である。図10は、図9の矢印Aに沿って見たときのドラム装置71及び調整機構77を示す正面図である。本実施の形態では、制御ケーブル6の形状がベルト状である。従って、本実施の形態では、制御ケーブル6の幅方向の寸法が制御ケーブル6の厚さ方向の寸法よりも大きくなっている。制御ケーブル6は、制御ケーブル6の幅方向をドラム713の軸線方向と一致させながらドラム713に巻かれている。
【0093】
ドラム713から保持装置72に達する制御ケーブル6は、図9に示すように、仕切り壁202に形成された制御ケーブル通し孔203を通されている。懸架基準線Pは、制御ケーブル通し孔203を通る直線として設定されている。
【0094】
ドラム装置71では、ドラム713の軸線方向におけるドラム713の両側にドラム受け台711が1つずつ配置されている。ドラム回転軸712及びドラム713は、2つのドラム受け台711に支持されている。
【0095】
調整機構77は、一対の支持レール771と、ギヤ装置772とを有している。
【0096】
一対の支持レール771は、機械室20の床面201に水平に固定されている。一対の支持レール771は、互いに平行に配置されている。ドラム713の軸線は、ドラム装置71を上から見たとき、各支持レール771に直交している。
【0097】
ドラム受け台711は、一対の支持レール771に1つずつスライド可能に設けられている。これにより、ドラム装置71は、各支持レール771の長手方向へ各支持レール771に対して移動可能になっている。
【0098】
ギヤ装置772は、ドラム713の軸線方向において一方のドラム受け台711よりもドラム713から遠い位置に設けられている。ギヤ装置772は、ラックギヤ773と、第1ギヤ774と、第2ギヤ775と、第3ギヤ776とを有している。
【0099】
ラックギヤ773は、床面201に固定されている。ラックギヤ773は、各支持レール771と平行に配置されている。ラックギヤ773には、ラックギヤ773の長手方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。
【0100】
第1ギヤ774は、ドラム回転軸712に固定されている。これにより、第1ギヤ774は、ドラム713の軸線を中心としてドラム回転軸712及びドラム713と一体に回転する。第1ギヤ774は、ドラム713の軸線と同軸に配置されている。第1ギヤ774の外周部には、第1ギヤ774の周方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。
【0101】
第2ギヤ775及び第3ギヤ776は、ラックギヤ773と第1ギヤ774との間に配置されている。第2ギヤ775は、第3ギヤ776と第1ギヤ774との間に配置されている。第2ギヤ775及び第3ギヤ776のそれぞれの回転軸は、一方のドラム受け台711に取り付けられている。第2ギヤ775及び第3ギヤ776のそれぞれの軸線は、第1ギヤ774の軸線と平行である。
【0102】
第2ギヤ775の外周部には、第2ギヤ775の周方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。本実施の形態では、第2ギヤ775の外径が第1ギヤ774の外径と同じとなっている。
【0103】
第3ギヤ776の外周部には、第3ギヤ776の周方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。本実施の形態では、第3ギヤ776の外径が第2ギヤ775の外径よりも大きくなっている。
【0104】
第2ギヤ775は、第1ギヤ774及び第3ギヤ776のそれぞれに噛み合っている。第3ギヤ776は、第2ギヤ775及びラックギヤ773のそれぞれに噛み合っている。これにより、第2ギヤ775及び第3ギヤ776は、第1ギヤ774の回転に応じて回転する。
【0105】
第3ギヤ776は、第3ギヤ776の回転により、ラックギヤ773に噛み合いながらラックギヤ773の長手方向へ移動する。これにより、ドラム装置71は、ドラム回転軸712及びドラム713の回転に応じて支持レール771の長手方向へ移動する。
【0106】
従って、制御ケーブル6を巻き取る方向へのドラム713の回転に応じてギヤ装置772が動作することにより、ドラム713の軸線が懸架基準線Pから離れる方向へドラム装置71が移動する。また、制御ケーブル6を繰り出す方向へのドラム713の回転に応じてギヤ装置772が動作することにより、ドラム713の軸線が懸架基準線Pに近づく方向へドラム装置71が移動する。
【0107】
ドラム713が回転するときのドラム装置71の移動距離は、ギヤ装置772におけるギヤ比の調整により、ドラム713が回転するときのドラム713に対する制御ケーブル6の積層厚さの変化と同じになっている。これにより、ドラム713が回転するときには、支持レール771に対するドラム装置71の移動により、ドラム713から保持装置72に達する制御ケーブル6の位置が懸架基準線Pの位置に維持される。他の構成は、実施の形態6と同様である。
【0108】
このようなエレベーターの制御ケーブル支持装置7では、ドラム713に弾性体76の弾性復元力を回転力として付与することができる。このため、実施の形態6と同様の効果を得ることができる。また、調整機構77は、懸架基準線Pに対するドラム装置71の位置をドラム713の回転に応じて調整する。このため、ドラム713に対する制御ケーブル6の積層厚さが変化しても、ドラム713から保持装置72に達する制御ケーブル6の位置を懸架基準線Pに対して維持することができる。これにより、かご2が上下方向へ移動するときに昇降路1内の制御ケーブル6が左右に振れることを防止することができる。
【0109】
実施の形態8.
図11は、実施の形態8に係るエレベーターのドラム装置71及び調整機構77を示す上面図である。図12は、図11の矢印Bに沿って見たときのドラム装置71及び調整機構77を示す正面図である。調整機構77は、一対の支持レール771と、減速装置78とを有している。一対の支持レール771の構成は、実施の形態7と同様である。
【0110】
減速装置78は、ドラム713の軸線方向において一方のドラム受け台711よりもドラム713から遠い位置に設けられている。減速装置78は、ラックギヤ781と、第1スプロケット782と、第2スプロケット783と、チェーン784と、回転ギヤ785とを有している。
【0111】
ラックギヤ781は、床面201に固定されている。ラックギヤ781は、各支持レール771と平行に配置されている。ラックギヤ781には、ラックギヤ781の長手方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。
【0112】
第1スプロケット782は、ドラム回転軸712に第1回転部材として固定されている。これにより、第1スプロケット782は、ドラム713の軸線を中心としてドラム回転軸712及びドラム713と一体に回転する。第1スプロケット782は、ドラム713の軸線と同軸に配置されている。第1スプロケット782の外周部には、第1スプロケット782の周方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。
【0113】
第2スプロケット783は、第1スプロケット782から離れた位置に第2回転部材として配置されている。本実施の形態では、第2スプロケット783が第1スプロケット782の下方に配置されている。第2スプロケット783の回転軸は、一方のドラム受け台711に取り付けられている。第2スプロケット783の軸線は、第1スプロケット782の軸線と平行である。
【0114】
第1スプロケット782及び第2スプロケット783のそれぞれは、減速装置78を上から見たとき、ラックギヤ773の領域から外れた位置に配置されている。本実施の形態では、減速装置78を上から見たとき、一方のドラム受け台711からラックギヤ773よりも遠い位置に第1スプロケット782及び第2スプロケット783のそれぞれが配置されている。
【0115】
第2スプロケット783の外周部には、第2スプロケット783の周方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。本実施の形態では、第2スプロケット783の外径が第1スプロケット782の外径よりも大きくなっている。
【0116】
第1スプロケット782及び第2スプロケット783間には、無端状のチェーン784が伝達体として巻き掛けられている。これにより、チェーン784は、第1スプロケット782及び第2スプロケット783のそれぞれの歯に噛み合っている。チェーン784は、第1スプロケット782の回転に応じて移動する。第2スプロケット783は、チェーン784の移動に応じて回転する。
【0117】
回転ギヤ785は、第2スプロケット783の回転軸に固定されている。これにより、回転ギヤ785は、第2スプロケット783の軸線を中心として第2スプロケット783と一体に回転する。本実施の形態では、回転ギヤ785の外径が第2スプロケット783の外径よりも小さくなっている。
【0118】
回転ギヤ785は、第2スプロケット783と一方のドラム受け台711との間に配置されている。回転ギヤ785の外周部には、回転ギヤ785の周方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。回転ギヤ785は、ラックギヤ781に噛み合っている。回転ギヤ785は、回転ギヤ785の回転により、ラックギヤ781に噛み合いながらラックギヤ781の長手方向へ移動する。
【0119】
従って、制御ケーブル6を巻き取る方向へのドラム713の回転に応じて減速装置78が動作することにより、ドラム713の軸線が懸架基準線Pから離れる方向へドラム装置71が移動する。また、制御ケーブル6を繰り出す方向へのドラム713の回転に応じて減速装置78が動作することにより、ドラム713の軸線が懸架基準線Pに近づく方向へドラム装置71が移動する。
【0120】
ドラム713が回転するときのドラム装置71の移動距離は、減速装置78における減速比の調整により、ドラム713が回転するときのドラム713に対する制御ケーブル6の積層厚さの変化と同じになっている。減速装置78における減速比は、第1スプロケット782、第2スプロケット783及び回転ギヤ785のそれぞれの外径の調整により調整される。他の構成は、実施の形態7と同様である。
【0121】
このような調整機構77であっても、第1スプロケット782の回転をチェーン784の移動によって第2スプロケット783に伝えることにより、懸架基準線Pに対するドラム装置71の位置をドラム713の回転に応じて調整することができる。
【0122】
実施の形態9.
図13は、実施の形態9に係るエレベーターのドラム装置71及び調整機構77を示す上面図である。図14は、図13の矢印Cに沿って見たときのドラム装置71及び調整機構77を示す正面図である。調整機構77は、一対の支持レール771と、減速装置79とを有している。一対の支持レール771の構成は、実施の形態8と同様である。
【0123】
減速装置79は、ドラム713の軸線方向において一方のドラム受け台711よりもドラム713から遠い位置に設けられている。減速装置79は、ラックギヤ791と、第1プーリ792と、第2プーリ793と、ベルト794と、回転ギヤ795とを有している。ラックギヤ791の構成は、実施の形態8におけるラックギヤ781の構成と同様である。
【0124】
第1プーリ792は、ドラム回転軸712に第1回転部材として固定されている。これにより、第1プーリ792は、ドラム713の軸線を中心としてドラム回転軸712及びドラム713と一体に回転する。第1プーリ792は、ドラム713の軸線と同軸に配置されている。
【0125】
第2プーリ793は、第1プーリ792から離れた位置に第2回転部材として配置されている。本実施の形態では、第2プーリ793が第1プーリ792の下方に配置されている。第2プーリ793の回転軸は、一方のドラム受け台711に取り付けられている。第2プーリ793の軸線は、第1プーリ792の軸線と平行である。
【0126】
第1プーリ792及び第2プーリ793のそれぞれは、減速装置79を上から見たとき、ラックギヤ773の領域から外れた位置に配置されている。本実施の形態では、減速装置79を上から見たとき、一方のドラム受け台711からラックギヤ773よりも遠い位置に第1プーリ792及び第2プーリ793のそれぞれが配置されている。また、本実施の形態では、第2プーリ793の外径が第1プーリ792の外径よりも大きくなっている。
【0127】
第1プーリ792及び第2プーリ793間には、無端状のベルト794が伝達体として巻き掛けられている。ベルト794は、第1プーリ792の回転に応じて移動する。第2プーリ793は、ベルト794の移動に応じて回転する。
【0128】
回転ギヤ795は、第2プーリ793の回転軸に固定されている。これにより、回転ギヤ795は、第2プーリ793の軸線を中心として第2プーリ793と一体に回転する。本実施の形態では、回転ギヤ795の外径が第2プーリ793の外径よりも小さくなっている。
【0129】
回転ギヤ795は、第2プーリ793と一方のドラム受け台711との間に配置されている。回転ギヤ795の外周部には、回転ギヤ795の周方向へ並ぶ複数の歯が設けられている。回転ギヤ795は、ラックギヤ791に噛み合っている。回転ギヤ795は、回転ギヤ795の回転により、ラックギヤ791に噛み合いながらラックギヤ791の長手方向へ移動する。
【0130】
従って、制御ケーブル6を巻き取る方向へのドラム713の回転に応じて減速装置79が動作することにより、ドラム713の軸線が懸架基準線Pから離れる方向へドラム装置71が移動する。また、制御ケーブル6を繰り出す方向へのドラム713の回転に応じて減速装置79が動作することにより、ドラム713の軸線が懸架基準線Pに近づく方向へドラム装置71が移動する。
【0131】
ドラム713が回転するときのドラム装置71の移動距離は、減速装置79における減速比の調整により、ドラム713が回転するときのドラム713に対する制御ケーブル6の積層厚さの変化と同じになっている。減速装置79における減速比は、第1プーリ792、第2プーリ793及び回転ギヤ795のそれぞれの外径の調整により調整される。他の構成は、実施の形態8と同様である。
【0132】
このような調整機構77であっても、第1プーリ792の回転をベルト794の移動によって第2プーリ793に伝えることにより、懸架基準線Pに対するドラム装置71の位置をドラム713の回転に応じて調整することができる。
【0133】
なお、実施の形態7~9では、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方にドラム装置71が支持側装置として設けられ、かご2の上部に保持装置72がかご側装置として設けられている。しかし、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に保持装置72を支持側装置として設け、かご2の上部にドラム装置71をかご側装置として設けてもよい。このようにしても、実施の形態6と同様の効果を得ることができる。この場合、調整機構77は、ドラム装置71とともにかご2の上部に設けられる。
【0134】
また、実施の形態7~9では、実施の形態6における制御ケーブル支持装置7に調整機構77が適用されている。しかし、これに限定されず、実施の形態1~5における制御ケーブル支持装置7に調整機構77を適用してもよい。実施の形態1、2及び5における制御ケーブル支持装置7に調整機構77を適用する場合、調整機構77は、かご2及び釣合おもりのそれぞれの移動範囲よりも上方に設けられる。実施の形態3及び4における制御ケーブル支持装置7に調整機構77を適用する場合、調整機構77は、かご2の上部に設けられる。
【0135】
以上、上記の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【符号の説明】
【0136】
2 かご、4 巻上機、6 制御ケーブル、21 かご吊り車、42 駆動シーブ、71 ドラム装置、72 保持装置、74 連動機構(回転力付与部)、75 連動機構(回転力付与部)、76 弾性体(回転力付与部)、77 調整機構、713 ドラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14