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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179818
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】換気扇用シャッターおよび換気扇
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/013 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
F24F7/013 101R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098977
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 努
(57)【要約】
【課題】騒音を抑えると共に、ブレードの破損を防止できる換気扇用シャッターを提供する。
【解決手段】 換気扇用シャッター1は、換気扇本体2の運転により発生した空気流が通過する開口11が設けられたフレーム10と、上下に連結した複数の矩形板14によって開口11を開閉する連鎖ブレード12と、フレーム10の両側部枠10cにそれぞれ設けられ、連鎖ブレード12の両端を上下方向にガイドするレール13と、フレーム10の上部枠10aに設けられ、連鎖ブレード12の巻き取りまたは繰り出しを行う巻き取りシャフト16と、巻き取りシャフト16を回転駆動させるモータ19とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気扇本体の運転により発生した空気流が通過する開口が設けられたフレームと、
上下に連結した複数の矩形板によって前記開口を開閉する連鎖ブレードと、
前記フレームの両側部枠にそれぞれ設けられ、前記連鎖ブレードの両端を上下方向にガイドするレールと、
前記フレームの上部枠に設けられ、前記連鎖ブレードの巻き取りまたは繰り出しを行う巻き取りシャフトと、
前記巻き取りシャフトを回転駆動させるモータとを備える換気扇用シャッター。
【請求項2】
前記巻き取りシャフトが内部に設置され、前記巻き取りシャフトに前記連鎖ブレードを巻き取らせて収納するブレード収納箱を更に備える請求項1記載の換気扇用シャッター。
【請求項3】
前記連鎖ブレードの前記巻き取りシャフトへの巻き取りによって前記開口を開いた状態にすると共に、前記連鎖ブレードの前記巻き取りシャフトからの繰り出しによって前記開口を閉じた状態にするよう前記モータを制御する第1制御部を更に備える請求項1記載の換気扇用シャッター。
【請求項4】
換気扇本体の運転により発生した空気流が通過する開口が設けられたフレームと、
上下に連結した複数の矩形板によって前記開口を開閉する連鎖ブレードと、
前記連鎖ブレードの各矩形板の両側面に設けられた一対のピンと、
前記フレームの両側部枠にそれぞれ設けられ、前記一対のピンをそれぞれ上下方向にガイドするレールと、
前記連鎖ブレードの上部に取り付けられたベルトと、
前記フレームの上部枠に設けられ、前記ベルトの巻き取りまたは繰り出しを行うプーリーと、
前記プーリーを回転駆動させるモータとを備える換気扇用シャッター。
【請求項5】
前記プーリーから前記ベルトを繰り出した場合、前記連鎖ブレードは、前記フレームに対して前記換気扇本体の反対側に折り畳まれて載置される請求項4記載の換気扇用シャッター。
【請求項6】
前記ベルトの前記プーリーへの巻き取りによって前記連鎖ブレードを引き上げて前記開口を閉じた状態にすると共に、前記ベルトの前記プーリーからの繰り出しにより前記連鎖ブレードを引き下ろして前記開口を開いた状態にするよう前記モータを制御する第2制御部を更に備える請求項4記載の換気扇用シャッター。
【請求項7】
前記フレームは、前記開口の中心と前記換気扇本体の回転中心とを一致させて、前記換気扇本体と共に取付け対象となる壁に固定させる取付穴を備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の換気扇用シャッター。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の換気扇用シャッターと、前記換気扇本体とを備える換気扇。
【請求項9】
請求項7記載の換気扇用シャッターと、前記換気扇本体とを備える換気扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気扇用シャッターおよびこの換気扇用シャッターを備えた換気扇に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、換気扇本体の運転に連動して開閉する換気扇用シャッターが開示されている。この換気扇用シャッターは、換気扇本体で発生した空気流が通過する開口が設けられたフレームと、フレームの開口に回転自在に支持され、フレームの開口を開閉する複数のブレードを備えている。各ブレードには連結板が取り付けられ、この連結板によって各ブレードは連動して回転する。この回転によって、各ブレードはフレームの開口を開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6937709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された換気扇用シャッターは、フレームの開口にブレードが設けられているため、開口を通過する空気流がブレードに当たり騒音が発生した。特に、換気扇本体の運転により建物外の空気を室内に吸い込む場合、換気扇用シャッターは、空気の流れに対して換気扇本体の上流に位置する。このため、ブレードに当たり乱れた空気流を換気扇本体が吸い込むこととなり、騒音が顕著となる。
【0005】
さらに、建物の外に直結する風路上にブレードが配置されているため、外部の風の影響を受け易く、台風などの強い風が吹いた場合、この風が有する大きな風圧により、ブレードが破損するおそれがあった。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、騒音を抑えると共に、ブレードの破損を防止できる換気扇用シャッターおよびこの換気扇用シャッターを備えた換気扇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る換気扇用シャッターは、換気扇本体の運転により発生した空気流が通過する開口が設けられたフレームと、上下に連結した複数の矩形板によって開口を開閉する連鎖ブレードと、フレームの両側部枠にそれぞれ設けられ、連鎖ブレードの両端を上下方向にガイドするレールと、フレームの上部枠に設けられ、連鎖ブレードの巻き取りまたは繰り出しを行う巻き取りシャフトと、巻き取りシャフトを回転駆動させるモータとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る換気扇用シャッターおよびこの換気扇用シャッターを備えた換気扇は、騒音を抑えると共に、ブレードの破損を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るシャッターの開状態を示す図である。
図2】実施の形態1に係るシャッターの閉状態を示す図である。
図3】実施の形態1に係るシャッターが有する連鎖ブレードの連結構造を示す図である。
図4】実施の形態1に係るシャッターが有するブレード収納ボックスの内部構造を示す図である。
図5】実施の形態1に係る換気扇が設置された状態を示す断面図である。
図6】換気扇の制御に関する機能構成を示すブロック図である。
図7】換気扇の運転を開始するための制御手順を示すフローチャートである。
図8】換気扇の運転を停止するための制御手順を示すフローチャートである。
図9】実施の形態2に係るシャッターの開状態を示す図である。
図10】実施の形態2に係るシャッターの閉状態を示す図である。
図11】実施の形態2に係るシャッターが有する連鎖ブレードを示す斜視図である。
図12】実施の形態2に係るシャッターが有するモータ収納ボックスの内部構造を示す図である。
図13】(a)および(b)は、実施の形態2に係る換気扇が設置された状態を示す断面図である。
図14】換気扇の制御に関する機能構成を示すブロック図である。
図15】換気扇の運転を開始するための制御手順を示すフローチャートである。
図16】換気扇の運転を停止するための制御手順を示すフローチャートである。
図17】第1制御部、第2制御部および第3制御部のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。また、各図面では、各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るシャッター1の開状態を示す図である。図2は、実施の形態1に係るシャッター1の閉状態を示す図である。シャッター1は、軸流ファンの運転に連動して開閉する換気扇用シャッターである。図1および図2は、軸流ファン側から見たシャッター1の構成を示している。また、図2は、ブレード収納箱のカバーを外した状態を示している。なお、「軸流ファン」は、「換気扇本体」とも称する。
【0012】
図1および図2に示すように、シャッター1は、開口11が設けられた方形状のフレーム10と、開口11を開閉する連鎖ブレード12とを備えている。フレーム10は、上部に設けられた上部枠10aと、下部に設けられた下部枠10bと、左右の側部にそれぞれ設けられた側部枠10cとを備えている。また、左右の側部枠10cの向かい合った各面には、上下に延びる溝状のレール13が形成されている。さらに、フレーム10の各角部には、取付穴10dが形成されている。
【0013】
連鎖ブレード12は、上下に連結した複数の矩形板14を備えている。図3に示すように、各矩形板14は、上端部に設けられた引掛部材14aと、下端部に設けられた引掛部材14bとを備えている。上下に隣接する一対の矩形板14は、上側の矩形板14の引掛部材14bと下側の矩形板14の引掛部材14aとが接合し、これらの矩形板14は回転可能に連結される。各矩形板14の左右の端部は、各レール13にそれぞれ摺動可能に挿入されている。
【0014】
フレーム10の上部枠10aの上部には、ブレード収納箱15がフレーム10と一体に形成されている。ブレード収納箱15の内部には、左右方向に延在する巻き取りシャフト16が設置されている。巻き取りシャフト16には、連鎖ブレード12の複数の矩形板14のうち、最上部の矩形板14の引掛部材14aが取り付けられている。その結果、引掛部材14aを介して、巻き取りシャフト16と連鎖ブレード12とが連結される。
図4に示すように、巻き取りシャフト16の左端には、回転軸16aが設けられ、回転軸16aには軸受17aが取り付けられている。軸受17aはモータ支持プレート18aによって回転自在に支持されている。モータ支持プレート18aの左側の面には、モータ19が取り付けられている。モータ19のシャフト19aの先端には、巻き取りシャフト16の回転軸16aが連結されている。
同様に、巻き取りシャフト16の右端には、回転軸16bが設けられ、回転軸16bには軸受17bが取り付けられている。軸受17bは軸受プレート18bによって回転自在に支持されている。軸受プレート18bの右側には、制御基板20が設置されている。
【0015】
図5は、実施の形態1に係る換気扇3が建物の壁4に設置された状態を示す断面図である。なお、図5において、壁4よりも右側が室内であり、壁4よりも左側が室外である。
図5に示すように、換気扇3は、シャッター1と軸流ファン2とを備えている。軸流ファン2は、ファン30とフレーム31とを備えている。ファン30は、羽根32と、羽根32の駆動源であるファンモータ33とを備えている。ファンモータ33は、4つの支持脚34によりフレーム31に支持されている。4つの支持脚34は、ファンモータ33からフレーム31へ放射状に延ばされた部材である。フレーム31の中央には、軸流ファン2の通風路である風洞部35が形成されている。
【0016】
建物の壁4には、シャッター1の開口11と同等の大きさの方形状の壁穴4aが形成されている。軸流ファン2とシャッター1とは、軸流ファン2の回転中心とシャッター1の開口11の中心とを壁穴4aの中心に一致させて、壁4の室内側の壁面にボルトとナットで固定されている。
羽根32は、ファンモータ33の駆動に伴って風洞部35内にて回転し、風洞部35、開口11および壁穴4aからなる風路を通る空気流が発生する。
【0017】
ここで、軸流ファン2のフレーム31の各角部には、取付穴(図示せず)が形成されている。建物の壁4に軸流ファン2とシャッター1とを固定する際には、フレーム31の取付穴とフレーム10の取付穴10dとを一致させてボルトとナットで共締めする。フレーム10の取付穴10dは、フレーム31の取付穴と位置を合わせるだけで、シャッター1の開口11の中心と軸流ファン2の回転中心とが一致するような位置に形成されている。
このように、フレーム31の取付穴とフレーム10の取付穴10dとを合わせてボルトとナットで共締めするだけで、シャッター1の開口11の中心と軸流ファン2の回転中心とが一致するので、細かな位置合わせが不要になり、取付作業の効率が向上する。
【0018】
図6は、換気扇3の制御に関する機能構成を示すブロック図である。図6に示すように、シャッター1が有する制御基板20には第1制御部40が設けられている。第1制御部40は、制御基板20に実装された電子部品によって構成されている。また、軸流ファン2も制御基板21を備え、制御基板21には第3制御部41が設けられている。第3制御部41は制御基板21に実装された電子部品によって構成されている。
【0019】
第1制御部40とモータ19とは信号線で接続され、第1制御部40から送信される制御信号によって、モータ19の駆動が制御される。また、第3制御部41とファンモータ33とは信号線で接続され、第3制御部41から送信される制御信号によって、ファンモータ33の駆動が制御される。さらに、第1制御部40と第3制御部41とは信号線で接続され、第1制御部40と第3制御部41との間で信号が送受信される。
【0020】
建物の室内には、利用者が操作する外部スイッチ42が設けられている。外部スイッチ42と第1制御部40とは信号線によって接続され、外部スイッチ42からのON信号およびOFF信号を第1制御部40が受信する。ON信号およびOFF信号を受信した第1制御部40は、第3制御部41と信号を送受信して同期を取ることにより、シャッター1と軸流ファン2とが連動して動作する。
【0021】
なお、外部スイッチ42からの信号線を第3制御部41に接続して、外部スイッチ42からのON信号およびOFF信号を第3制御部41が受信できるようにしてもよい。また、外部スイッチ42からの信号線を第1制御部40と第3制御部41の両方に接続して、外部スイッチ42からのON信号およびOFF信号を第1制御部40と第3制御部41との双方が受信できるようにしてもよい。これらの場合にも、第1制御部40と第3制御部41との間で信号を送受信して同期を取ることにより、シャッター1と軸流ファン2とは連動して動作する。
さらに、外部スイッチ42は、換気扇3のフレーム31に組み込まれていてもよく、壁4の室内側の壁面に取り付けられていてもよい。また、外部スイッチ42は、利用者が持ち運べるリモコンであってもよい。
【0022】
次に、換気扇3の運転を開始するための制御手順を、図7のフローチャートを用いて説明する。まず、利用者が外部スイッチ42を操作して換気扇3の運転開始を指示すると、外部スイッチ42はON信号を出力する(ステップS10)。ON信号は第1制御部40に送られ、ON信号を受信した第1制御部40は、回転信号をモータ19に送信する(ステップS11)。回転信号が入力されたモータ19は、回転信号に基づいてシャフト19aを回転させ、この回転に合わせて巻き取りシャフト16が回転を開始する(ステップS12)。
【0023】
巻き取りシャフト16の回転によって、連鎖ブレード12が順次巻き取られ、連鎖ブレード12は、左右のレール13に沿って上方向に摺動する(ステップS13)。予め定められた回転角度Aだけモータ19が回転すると連鎖ブレード12が全て巻き取られ、連鎖ブレード12はブレード収納箱15に収納される(ステップS14)。その結果、シャッター1の開口11が開いた状態になる。
【0024】
モータ19が回転角度Aだけ回転したことをセンサ(図示せず)が検出すると、センサは検出信号を出力する(ステップS15)。検出信号は第1制御部40に送られ、検出信号を受信した第1制御部40は、回転停止信号をモータ19に送信する(ステップS16)。回転停止信号が入力されたモータ19は、シャフト19aの回転を停止させ、この回転停止に合わせて巻き取りシャフト16も回転を停止する(ステップS17)。なお、巻き取りシャフト16の回転停止後もモータ19内部のコイルは励磁され、シャフト19aは回転停止した状態を維持する。
【0025】
シャッター1の開口11が開いたタイミングで、第1制御部40は、軸流ファン2の運転を開始するための制御信号を第3制御部41に送信する(ステップS18)。制御信号は第3制御部41に送られ、制御信号を受信した第3制御部41は、回転信号をファンモータ33に送信する(ステップS19)。回転信号が入力されたファンモータ33は、羽根32を回転させ、風洞部35、開口11および壁穴4aからなる風路を通る空気流を発生させる(ステップS20)。この空気流によって建物の換気を行うことができる。
【0026】
この際、連鎖ブレード12は風路外に配置されたブレード収納箱15に収納されているので、開口11を通る空気流が連鎖ブレード12に当たることはない。その結果、空気流が連鎖ブレード12に当たることによる騒音を抑制することができる。
【0027】
次に、換気扇3の運転を停止するための制御手順を、図8のフローチャートを用いて説明する。まず、利用者が外部スイッチ42を操作して換気扇3の運転停止を指示すると、外部スイッチ42はOFF信号を出力する(ステップS30)。OFF信号は第1制御部40に送られ、OFF信号を受信した第1制御部40は、逆回転信号をモータ19に送信する(ステップS31)。逆回転信号が入力されたモータ19は、シャフト19aを逆回転させ、この回転に合わせて巻き取りシャフト16が逆回転を開始する(ステップS32)。
【0028】
巻き取りシャフト16の逆回転によって、連鎖ブレード12の各矩形板14が巻き取りシャフト16から順次外れ、連鎖ブレード12は、左右のレール13に沿って下方向に摺動する(ステップS33)。モータ19が回転角度Aだけ逆回転すると連鎖ブレード12がブレード収納箱15から全て繰り出され、連鎖ブレード12はシャッター1の開口11全体を覆う(ステップS34)。このように、連鎖ブレード12が開口11を覆うことにより、雨風または虫などの建物内への侵入を防ぐことができる。
【0029】
モータ19が回転角度Aだけ逆回転したことをセンサ(図示せず)が検出すると、センサは検出信号を出力する(ステップS35)。検出信号は第1制御部40に送られ、検出信号を受信した第1制御部40は、回転停止信号をモータ19に送信する(ステップS36)。回転停止信号が入力されたモータ19は、シャフト19aの逆回転を停止させ、この逆回転停止に合わせて巻き取りシャフト16も逆回転を停止する(ステップS37)。
【0030】
ステップS31における逆回転信号をモータ19に送信する処理と並行して、第1制御部40は、軸流ファン2の運転を停止させるための制御信号を第3制御部41に送信する(ステップS38)。制御信号を受信した第3制御部41は、回転停止信号をファンモータ33に送信する(ステップS39)。回転停止信号が入力されたファンモータ33は、羽根32の回転を停止させる(ステップS40)。その結果、軸流ファン2による建物の換気が終了する。
【0031】
以上のように、実施の形態1に係るシャッター1および換気扇3は、軸流ファン2の運転時においては、フレーム10の上部枠10aに設けられた巻き取りシャフト16に連鎖ブレード12が巻き取られる。巻き取りシャフト16は風路外に位置するので、室内の空気を建物外に排気する場合、風路を通る空気流が連鎖ブレード12に当たることはない。このため、連鎖ブレード12による騒音は発生しない。また、建物外の空気を室内に給気する場合、連鎖ブレード12に当たって乱れた空気流が軸流ファン2に吸い込まれることはない。このため、乱れた空気流による騒音は発生しない。その結果、静音性の高い換気扇3を得ることができる。
さらに、風路上に連鎖ブレード12が存在しないので、台風などの強い風が吹いた場合であっても、この風が有する大きな風圧により、連鎖ブレード12が破損するといった事態を防止することができる。
【0032】
実施の形態2.
図9は実施の形態2に係るシャッター5の開状態を示す図である。図10は、実施の形態2に係るシャッター5の閉状態を示す図である。なお、図10は、モータ収納箱のカバーを外した状態を示している。ここで、実施の形態2に係るシャッター5が実施の形態1に係るシャッター1と異なるのは、連鎖ブレードを収納するための構成だけであり、それ以外の構成は実施の形態1と同一または同等である。このため、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号を付し、当該部分の説明は省略する。
【0033】
図9および図10に示すように、シャッター5は、フレーム10に設けられた開口11を開閉する連鎖ブレード50を備えている。連鎖ブレード50は、上下に連結された複数の矩形板51を備えている。各矩形板51は、実施の形態1の矩形板14と同様、上端部に設けられた引掛部材(図示せず)と、下端部に設けられた引掛部材(図示せず)とを備え、これらの引掛部材を接合することにより各矩形板51は回転可能に連結される。
【0034】
図11に示すように、複数の矩形板51は、上下方向に交互に配置された矩形板51aと矩形板51bとを備えている。矩形板51aは、上端部の両側面からそれぞれ突出したピン52を備えている。また、矩形板51bは、下端部の両側面からそれぞれ突出したピン52を備えている。各矩形板51に設けられた一対のピン52は、各レール13にそれぞれ摺動可能に挿入されている。各ピン52がレール13に沿って下方向に摺動することにより、連鎖ブレード50は引掛部材を中心に折り畳まれる。
【0035】
フレーム10の上部枠10aの左上部には、モータ収納箱53がフレーム10と一体に形成されている。図12に示すように、モータ収納箱53の内部には、モータ19が設置されている。モータ19の回転軸はモータ支持プレート18aによって回転自在に支持されている。モータ19の左側には、制御基板54が設置されている。また、モータ19の回転軸の先端にはプーリー55が取り付けられ、プーリー55にはベルト56の上端が取り付けられている。ベルト56の下端は、最上部に配置された矩形板51のピン52に取り付けられている。その結果、ベルト56を介して、プーリー55とピン52とが連結される。なお、ベルト56の下端の取り付け位置はピン52に限定されることなく、例えば、最上部に配置された矩形板51の上端であってもよい。
【0036】
図13(a)および図13(b)は、実施の形態2に係る換気扇6が建物の壁4に設置された状態を示す断面図である。なお、図13(a)は、シャッター5の閉状態を示している。また、図13(b)は、シャッター5の開状態を示している。
図13(a)および図13(b)に示すように、換気扇6は、シャッター5と軸流ファン2とを備えている。建物の壁4には、シャッター5の開口11と同等の大きさの方形状の壁穴4aが形成されている。軸流ファン2とシャッター5とは、軸流ファン2の回転中心とシャッター5の開口11の中心とを壁穴4aの中心に一致させて、壁4の室内側の壁面にボルトとナットで固定されている。
【0037】
図13(b)に示すように、シャッター5が開状態の場合、連鎖ブレード50は、フレーム10に対して軸流ファン2の反対側である壁4の壁穴4a側に折り畳まれて載置される。このように、折り畳まれた連鎖ブレード50が軸流ファン2を取り付ける側には飛び出さないので、折り畳まれた連鎖ブレード50が軸流ファン2に干渉して不具合が生じるといった事態が防止される。
【0038】
図14は、換気扇6の制御に関する機能構成を示すブロック図である。図14に示すように、シャッター5が有する制御基板54には第2制御部57が設けられている。第2制御部57は制御基板54に実装された電子部品によって構成されている。第2制御部57とモータ19とは信号線で接続され、第2制御部57から送信される制御信号によって、モータ19の駆動が制御される。
外部スイッチ42と第2制御部57とは信号線で接続され、外部スイッチ42が出力したON信号およびOFF信号を第2制御部57が受信する。ON信号およびOFF信号を受信した第2制御部57は、第3制御部41と信号を送受信して同期を取ることにより、シャッター5と軸流ファン2とが連動して動作する。
【0039】
次に、換気扇6の運転を開始するための制御手順を、図15のフローチャートを用いて説明する。まず、利用者が外部スイッチ42を操作して換気扇6の運転開始を指示すると、外部スイッチ42はON信号を出力する(ステップS50)。ON信号は第2制御部57に送られ、第2制御部57はON信号を受信する(ステップS51)。制御基板54は、モータ19への電力供給用の配線にB接点を備えており、第2制御部57がON信号を受信することによってB接点が開放される。このため、モータ19への電力の供給が停止する(ステップS52)。なお、B接点とはノーマリーオンの接点である。
【0040】
モータ19への電力の供給が停止した状態では、モータ19の回転軸には何らトルクがかかっていないので、ベルト56の下端に取り付けられた連鎖ブレード50の重さで、プーリー55からベルト56が繰り出される(ステップS53)。ベルト56が繰り出されることにより、連鎖ブレード50の各ピン52はレール13に沿って下方向に摺動する(ステップS54)。このため、連鎖ブレード50は開口11の最下部に折り畳まれて、開口11を通る空気流の風路外に収納される(ステップS55)。その結果、シャッター5の開口11が開いた状態になる。
【0041】
シャッター5の開口11が開いたタイミングで、第2制御部57は、軸流ファン2の運転を開始させるための制御信号を第3制御部41に送信する(ステップS56)。制御信号は第3制御部41に送られ、制御信号を受信した第3制御部41は、回転信号をファンモータ33に送信する(ステップS57)。回転信号が入力されたファンモータ33は、羽根32を回転させ、風洞部35、開口11および壁穴4aからなる風路を通る空気流を発生させる(ステップS58)。この空気流によって建物の換気を行うことができる。
【0042】
この際、連鎖ブレード50は開口11の最下部に折り畳まれているので、開口11を通る空気流が連鎖ブレード50に当たることはない。その結果、空気流が連鎖ブレード50に当たることによる騒音を抑制することができる。
【0043】
次に、換気扇6の運転を停止するための制御手順を、図16のフローチャートを用いて説明する。まず、利用者が外部スイッチ42を操作して換気扇6の運転停止を指示すると、外部スイッチ42はOFF信号を出力する(ステップS60)。OFF信号は第2制御部57に送られ、OFF信号を受信した第2制御部57は、回転信号をモータ19に送信する(ステップS61)。回転信号が入力されたモータ19は、プーリー55を回転させる(ステップS62)。
【0044】
プーリー55の回転によってベルト56が巻き取られ、ベルト56に連結された連鎖ブレード50が有する各ピン52は、レール13に沿って上方向に摺動する(ステップS63)。このため、開口11の最下部に折り畳まれていた連鎖ブレード50がピン52の移動に従って伸展し、予め定められた回転角度Bだけモータ19が回転すると連鎖ブレード50が開口11を全て覆う(ステップS64)。このように、連鎖ブレード50が開口11を覆うことにより、雨風または虫などの建物内への侵入を防ぐことができる。
【0045】
モータ19が回転角度Bだけ回転したことをセンサ(図示せず)が検出すると、センサは検出信号を出力する(ステップS65)。検出信号は第2制御部57に送られ、検出信号を受信した第2制御部57は、回転停止信号をモータ19に送信する(ステップS66)。回転停止信号が入力されたモータ19は、プーリー55の回転を停止させる(ステップS67)。なお、プーリー55の回転停止後もモータ19内部のコイルは励磁され、プーリー55は回転停止した状態を維持する。
【0046】
ステップS61における回転信号をモータ19に送信する処理と並行して、第2制御部57は、軸流ファン2の運転を停止させるための制御信号を第3制御部41に送信する(ステップS68)。制御信号を受信した第3制御部41は、回転停止信号をファンモータ33に送信する(ステップS69)。回転停止信号が入力されたファンモータ33は、羽根32の回転を停止させる(ステップS70)。その結果、軸流ファン2による建物の換気が終了する。
【0047】
以上のように、実施の形態2に係るシャッター5および換気扇6は、軸流ファン2の運転時においては、開口11の最下部に連鎖ブレード50が折り畳まれる。開口11の最下部は風路外に位置するので、室内の空気を建物外に排気する場合、風路を通る空気流が連鎖ブレード50に当たることはない。このため、連鎖ブレード50による騒音は発生しない。また、建物外の空気を室内に給気する場合、連鎖ブレード50に当たって乱れた空気流が軸流ファン2に吸い込まれることはない。このため、乱れた空気流による騒音は発生しない。その結果、静音性の高い換気扇6を得ることができる。
さらに、風路上に連鎖ブレード50が存在しないので、台風などの強い風が吹いた場合であっても、この風が有する大きな風圧により、連鎖ブレード50が破損するといった事態を防止することができる。
【0048】
図17は、第1制御部40、第2制御部57および第3制御部41のハードウェア構成の例を示す図である。図17には、プログラムを実行するハードウェアを用いて第1制御部40、第2制御部57および第3制御部41の機能が実現される場合におけるハードウェア構成が記載されている。第1制御部40、第2制御部57および第3制御部41は、プロセッサ60とメモリ61とをそれぞれ有する。
【0049】
プロセッサ60は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ60は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)であってもよい。第1制御部40、第2制御部57および第3制御部41の各機能は、プロセッサ60と、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、内蔵メモリであるメモリ61に格納される。メモリ61は、不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであって、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0050】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能である。また、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0051】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0052】
(付記1)
換気扇本体の運転により発生した空気流が通過する開口が設けられたフレームと、
上下に連結した複数の矩形板によって前記開口を開閉する連鎖ブレードと、
前記フレームの両側部枠にそれぞれ設けられ、前記連鎖ブレードの両端を上下方向にガイドするレールと、
前記フレームの上部枠に設けられ、前記連鎖ブレードの巻き取りまたは繰り出しを行う巻き取りシャフトと、
前記巻き取りシャフトを回転駆動させるモータとを備える換気扇用シャッター。
(付記2)
前記巻き取りシャフトが内部に設置され、前記巻き取りシャフトに前記連鎖ブレードを巻き取らせて収納するブレード収納箱を更に備える付記1記載の換気扇用シャッター。
(付記3)
前記連鎖ブレードの前記巻き取りシャフトへの巻き取りによって前記開口を開いた状態にすると共に、前記連鎖ブレードの前記巻き取りシャフトからの繰り出しによって前記開口を閉じた状態にするよう前記モータを制御する第1制御部を更に備える付記1または付記2に記載の換気扇用シャッター。
(付記4)
換気扇本体の運転により発生した空気流が通過する開口が設けられたフレームと、
上下に連結した複数の矩形板によって前記開口を開閉する連鎖ブレードと、
前記連鎖ブレードの各矩形板の両側面に設けられた一対のピンと、
前記フレームの両側部枠にそれぞれ設けられ、前記一対のピンをそれぞれ上下方向にガイドするレールと、
前記連鎖ブレードの上部に取り付けられたベルトと、
前記フレームの上部枠に設けられ、前記ベルトの巻き取りまたは繰り出しを行うプーリーと、
前記プーリーを回転駆動させるモータとを備える換気扇用シャッター。
(付記5)
前記プーリーから前記ベルトを繰り出した場合、前記連鎖ブレードは、前記フレームに対して前記換気扇本体の反対側に折り畳まれて載置される付記4記載の換気扇用シャッター。
(付記6)
前記ベルトの前記プーリーへの巻き取りによって前記連鎖ブレードを引き上げて前記開口を閉じた状態にすると共に、前記ベルトの前記プーリーからの繰り出しにより前記連鎖ブレードを引き下ろして前記開口を開いた状態にするよう前記モータを制御する第2制御部を更に備える付記4または付記5に記載の換気扇用シャッター。
(付記7)
前記フレームは、前記開口の中心と前記換気扇本体の回転中心とを一致させて、前記換気扇本体と共に取付け対象となる壁に固定させる取付穴を備える付記1から付記6のいずれか一項に記載の換気扇用シャッター。
(付記8)
付記1から付記7のいずれか一項に記載の換気扇用シャッターと、前記換気扇本体とを備える換気扇。
【符号の説明】
【0053】
1,5 シャッター、2 軸流ファン(換気扇本体)、3,6 換気扇、4 壁、10 フレーム、10a 上部枠、10c 側部枠、11 開口、12,50 連鎖ブレード、13 レール、14,51 矩形板、15 ブレード収納箱、16 巻き取りシャフト、19 モータ、20,21,54 制御基板、40 第1制御部、52 ピン、53 モータ収納箱、55 プーリー、56 ベルト、57 第2制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
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図16
図17