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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179827
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20241219BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H03H9/19 E
H03B5/32 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099037
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】古賀 嵩祥
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄介
(72)【発明者】
【氏名】西澤 竜太
【テーマコード(参考)】
5J079
5J108
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA43
5J079BA47
5J079HA03
5J079HA07
5J079HA16
5J079HA22
5J079HA30
5J108AA01
5J108BB02
5J108CC05
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE14
5J108GG03
5J108GG14
5J108GG20
(57)【要約】
【課題】Q値の高い振動素子を有する振動デバイスを提供する。
【解決手段】振動デバイス1は、ベース10と、振動部22、振動部22より厚さが薄い薄肉部23、及び薄肉部23を介して振動部22に接続されている支持部24を含み、支持部24において金属バンプ27によりベース10に接合された振動素子20と、を備え、振動部22の厚さをt1とし、薄肉部23の表面23sから振動部22の表面22sまでの長さをh1としたとき、0.01≦h1/t1≦0.156を満たす。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
振動部、前記振動部より厚さが薄い薄肉部、及び前記薄肉部を介して前記振動部に接続されている支持部を含み、前記支持部において金属バンプにより前記ベースに接合された振動素子と、を備え、
前記振動部の厚さをt1とし、
前記薄肉部の表面から前記振動部の表面までの長さをh1としたとき、
0.01≦h1/t1≦0.156を満たす、
振動デバイス。
【請求項2】
前記h1及び前記t1は、
0.029≦h1/t1≦0.12を満たす、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記h1及び前記t1は、
0.048≦h1/t1≦0.095を満たす、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記支持部は、前記振動部と同じ厚さである、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記振動部は、厚み滑り振動し、
前記厚み滑り振動の振動方向に沿った前記振動素子の長さをL1とし、
前記振動方向における、前記支持部と前記振動部との間の前記薄肉部の長さをL2としたとき、
0.092≦L2/L1≦0.1109を満たす、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記L1及び前記L2は、
0.0935≦L2/L1≦0.1085を満たす、
請求項5に記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記L1及び前記L2は、
0.0951≦L2/L1≦0.1065を満たす、
請求項5に記載の振動デバイス。
【請求項8】
前記ベースは、シリコン基板を含む、
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の振動デバイス。
【請求項9】
前記シリコン基板に接合され、前記シリコン基板との間で前記振動素子を収容する蓋体を更に備え、
前記シリコン基板は、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を含み、
前記第1面側に前記振動素子が前記金属バンプにより接合され、
前記振動素子と電気的に接続された発振回路が前記シリコン基板に形成されている、
請求項8に記載の振動デバイス。
【請求項10】
前記振動素子は、水晶振動素子であり、
前記金属バンプと前記ベースとの間に、水晶基板を有する、
請求項1又は請求項5に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
振動する振動部及び振動部より厚さが薄く振動部の外縁に一体化された薄肉部を有するメサ型構造の振動素子を備え、振動エネルギーを振動部に閉じ込めQ値を向上させた振動デバイスが知られている。
例えば特許文献1では、振動素子としてのメサ型構造の振動片をベース基板に接合する接合材の大きさを最適化することで、振動片に生じる屈曲振動の振幅を減衰させた振動デバイスとしての振動子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-152477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の振動デバイスは、接合材として金属バンプを用いた場合、導電性接着剤に比べ硬度が高いため、振動素子の振動状態への影響が大きくなり、振動特性が劣化しQ値が低下するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
振動デバイスは、ベースと、振動部、前記振動部より厚さが薄い薄肉部、及び前記薄肉部を介して前記振動部に接続されている支持部を含み、前記支持部において金属バンプにより前記ベースに接合された振動素子と、を備え、前記振動部の厚さをt1とし、前記薄肉部の表面から前記振動部の表面までの長さをh1としたとき、0.01≦h1/t1≦0.156を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図2図1のA1-A1線での断面図。
図3】第1実施形態に係る振動デバイスの備える振動素子の概略構造を示す平面図。
図4図3のA2-A2線での断面図。
図5】薄肉部の表面から振動部の表面までの長さに対する振動素子のQ値を示す図。
図6】支持部と振動部との間隔に対する振動素子のQ値を示す図。
図7】第2実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図8図7のB1-B1線での断面図。
図9】第2実施形態に係る振動デバイスの備える振動素子の概略構造を示す平面図。
図10図9のB2-B2線での断面図。
図11】第3実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図12図11のC1-C1線での断面図。
図13】第3実施形態に係る振動デバイスの備える振動素子の概略構造を示す平面図。
図14図13のC2-C2線での断面図。
図15】第4実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
図16図15のD-D線での断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係る振動デバイス1について、図1図6を参照して説明する。
尚、説明の便宜上、以降の各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。また、X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸方向の矢印先端側を「プラス側」、基端側を「マイナス側」、Z方向プラス側を「上」、Z方向マイナス側を「下」とも言う。
【0008】
振動デバイス1は、図1及び図2に示すように、ベース10と、ベース10の第1面11に配置されている振動素子20と、振動素子20をベース10に接合する金属バンプ27と、振動素子20を覆ってベース10の第1面11に接合されている蓋体16と、を有する。
【0009】
ベース10は、シリコン基板であり、表裏関係にある第1面11及び第2面12を有し、第1面11に振動素子20が金属バンプ27により接合され、2つの内部端子14が設けられている。また、振動素子20と電気的に接続された発振回路13がシリコン基板に設けられている。尚、本実施形態では、発振回路13は、シリコン基板であるベース10の第1面11側に設けられている。換言すれば、ベース10は、第1面11を能動面とした半導体集積回路基板である。発振回路13は、振動素子20を発振させてクロック信号等の基準信号の周波数を生成する。尚、発振回路13と内部端子14とは、電気的に接続されている。
【0010】
ベース10の第2面12には、基準信号の周波数を出力する外部端子15が複数設けられている。外部端子15は、図示しない配線や貫通電極により発振回路13と電気的に接続されている。尚、外部端子15は、ベース10との間に、図示しない絶縁層を介して配置してもよい。
【0011】
蓋体16は、ベース10側に開口する凹部25が設けられており、ベース10の第1面11に接合部材17を介して接合され、ベース10と共に振動素子20を収容する収容空間26を構成している。尚、収容空間26内は、減圧状態、好ましくはより真空に近い状態となっている。これにより、粘性抵抗が減り、振動素子20の発振特性が向上する。また、蓋体16の構成材料としては、シリコンが好適であり、ガラスやセラミック等でも構わない。
【0012】
振動素子20は、図3及び図4に示すように、振動部22、薄肉部23、及び支持部24を有する基板21と、振動部22の上下面に設けられた励振電極31及び支持部24の下面に設けられた2つのパッド電極32と、を有する。尚、振動部22は、矢印Sで示す振動方向に厚み滑り振動する。また、振動素子20は、支持部24において、金属バンプ27によりベース10に接合されている。
【0013】
基板21は、振動方向となるX方向の長さが長い矩形であり、振動部22と、振動部22より厚みが薄い薄肉部23と、振動部22と同じ厚さである支持部24と、を有する。支持部24は、薄肉部23を介して振動部22に接続され、金属バンプ27によりベース10に接合されている。尚、薄肉部23は、平面視で、振動部22を取り囲むように配置され、振動部22の上面及び下面からそれぞれ同じ深さに凹んでいる。よって、基板21は、両面メサ型構造である。また、基板21の構成材料としては、水晶であり、ATカット水晶基板が好適である。
【0014】
振動部22の上下面に設けられた励振電極31は、平面視で、振動部22の外形より内側に形成されており、2つの励振電極31が重なるように配置されている。振動部22の上面に設けられた励振電極31は、X方向マイナス側に延在するリード電極33と基板21のX方向マイナス側の側面に設けられた側面電極34を介して、支持部24の下面に設けられた一方のパッド電極32に電気的に接続されている。また、振動部22の下面に設けられた励振電極31は、X方向マイナス側に延在するリード電極33を介して、支持部24の下面に設けられた他方のパッド電極32に電気的に接続されている。
【0015】
振動素子20の2つのパッド電極32は、ベース10の第1面11に設けられた2つの内部端子14とそれぞれ重なる位置に配置され、金属バンプ27を介して機械的・電気的に接合されている。そのため、振動部22の上下面に設けられた励振電極31とベース10に設けられた発振回路13とが電気的に接続されるため、振動素子20を発振させることができる。
【0016】
振動素子20は、基板21のX方向マイナス側端部に配置された支持部24を金属バンプ27によりベース10に接合した片持ち梁構造とすることで、金属バンプ27から振動部22までの間隔を長くし、接合に伴う金属バンプ27の残留応力が振動特性に影響するのを小さくすることができる。従って、金属バンプ27から振動部22までの間隔が長ければ長いほど振動特性への影響を小さくすることができる。しかし、振動素子20のX方向の長さが長くなり、小型化が課題となる。
【0017】
そこで、振動素子20の小型化を図りつつ、振動素子20のQ値向上を図る方法として、メサ部となる振動部22の表面22sと薄肉部23の表面23sとの段差に対する振動素子20のQ値への影響を調査した。
【0018】
図4に示すように、振動部22の厚さをt1とし、振動部22の表面22sから薄肉部23の表面23sまでの長さをh1とした場合に、段差となる長さh1を変化させた場合の振動素子20のQ値をシミュレーションした結果を図5に示す。
【0019】
尚、シミュレーションに用いた振動素子20の図3及び図4に示す各部寸法は、L1=700μm、L2=83μm、L3=478μm、L4=90μm、M1=500μm、M2=35.3μm、t1=29.2μmとし、h1を0μm~7μmと変化させてシミュレーションしている。
【0020】
図5は、横軸に振動部22の厚さt1を基準としたh1/t1とし、縦軸に長さh1が0μmである場合の振動素子20のQ値をQ0として基準としたQ/Q0とし、h1/t1に対するQ値をシミュレーションした結果をプロットし近似曲線を示している。尚、本シミュレーションでは、上面の段差である長さh1と下面の段差の長さが同じ値である場合をシミュレーションしている。
【0021】
図5に示す近似曲線は、h1/t1が大きくなるにつれQ/Q0が大きくなり、h1/t1が0.07付近でQ/Q0が最大値となる。その後、h1/t1が大きくなるにつれQ/Q0は、小さくなる傾向を示している。
【0022】
図5より、厚さt1と長さh1との関係が0.01≦h1/t1≦0.156を満たしている場合は、長さh1が0μmであるh1/t1がゼロである場合の振動素子20のQ0値に比べ、2倍以上にQ値を大きくすることができる。
【0023】
また、図5より、厚さt1と長さh1との関係が0.029≦h1/t1≦0.12を満たしている場合は、長さh1が0μmであるh1/t1がゼロである場合の振動素子20のQ0値に比べ、3.5倍以上にQ値を大きくすることができる。
【0024】
また、図5より、厚さt1と長さh1との関係が0.048≦h1/t1≦0.095を満たしている場合は、長さh1が0μmであるh1/t1がゼロである場合の振動素子20のQ0値に比べ、4.4倍以上にQ値を大きくすることができる。
【0025】
従って、メサ部の高さである振動部22の表面22sから薄肉部23の表面23sまでの長さh1と、振動部22の厚みt1と、の比を上述した範囲とすることで、振動エネルギーを効率良く振動部22領域内に閉じ込めることができるので、導電性接着剤に比べ硬度が高い金属バンプ27で接合した場合でも、長さh1が0μmであるh1/t1がゼロである場合の振動素子20のQ0値に比べ、振動素子20のQ値を大きくすることができる。
【0026】
次に、振動素子20の小型化を図りつつ、振動素子20のQ値の更なる向上を図る方法として、メサ部の高さである振動部22の表面22sから薄肉部23の表面23sまでの長さh1を一定とし、支持部24と振動部22との間隔に対する振動素子20のQ値への影響を調査した。
【0027】
図3に示すように、厚み滑り振動の振動方向に沿った振動素子20の長さをL1とし、振動方向における、支持部24と振動部22との間の薄肉部23の長さをL2とした場合に、間隔となる長さL2を変化させた場合の振動素子20のQ値をシミュレーションした結果を図6に示す。
【0028】
尚、シミュレーションに用いた振動素子20の図3及び図4に示す各部寸法は、L1=720μm、L3=453μm、L4=90μm、M1=493μm、M2=31.5μm、t1=28.5μm、h1=2μmとし、L2を61μm~89μmと変化させてシミュレーションしている。また、t1=28.5μm、h1=2μmであるため、h1/t1は0.07となり、Q値は、長さh1が0μmである場合の振動素子20のQ0値に比べ、2.5倍以上である。
【0029】
図6は、横軸に振動素子20の長さL1を基準としたL2/L1とし、縦軸に長さL2が89μmであるL2/L1が0.124の場合の振動素子20のQ値をQ0として基準としたQ/Q0とし、L2/L1に対するQ値をシミュレーションした結果をプロットし近似曲線を示している。尚、本シミュレーションでは、上面の段差である長さh1と下面の段差の長さが同じ値である場合をシミュレーションしている。
【0030】
図6に示す近似曲線は、基準としたL2/L1が0.124よりL2/L1が小さくなるにつれQ/Q0が大きくなり、L2/L1が0.12付近でQ/Q0が最大値となる。その後、L2/L1が小さくなるにつれQ/Q0は、小さくなる傾向を示している。
【0031】
図6より、振動素子20の長さL1と支持部24と振動部22との間隔である長さL2との関係が0.092≦L2/L1≦0.1109を満たしている場合は、L2/L1が0.124である場合の振動素子20のQ0値に比べ、1.2倍以上にQ値を大きくすることができる。
【0032】
また、図6より、長さL1と長さL2との関係が0.0935≦L2/L1≦0.1085を満たしている場合は、L2/L1が0.124である場合の振動素子20のQ0値に比べ、1.25倍以上にQ値を大きくすることができる。
【0033】
また、図6より、長さL1と長さL2との関係が0.0951≦L2/L1≦0.1065を満たしている場合は、L2/L1が0.124である場合の振動素子20のQ0値に比べ、1.3倍以上にQ値を大きくすることができる。
【0034】
従って、振動素子20の長さL1と、支持部24と振動部22との間の薄肉部23の長さL2と、の比を上述した範囲とすることで、振動エネルギーを更に効率良く振動部22領域内に閉じ込めることができるので、L2/L1が0.124である場合の振動素子20のQ0値に比べ、振動素子20のQ値を大きくすることができる。
【0035】
上述したように、本実施形態の振動デバイス1は、メサ部の高さである振動部22の表面22sから薄肉部23の表面23sまでの長さh1と、振動部22の厚みt1と、の関係が0.01≦h1/t1≦0.156を満たしているので、h1/t1がゼロである場合の振動素子20のQ0値に比べ、2倍以上にQ値を大きくすることができる。そのため、メサ型構造の振動素子20を導電性接着剤に比べ硬度が高い金属バンプ27でベース10に接合によるQ値の劣化よりも振動エネルギー閉じ込め効果によるQ値向上が図れ、高いQ値を有する振動素子20を備えた振動デバイス1を得ることができる。
【0036】
また、長さh1と、厚さt1と、の関係が0.029≦h1/t1≦0.12を満たしているので、h1/t1がゼロである場合の振動素子20のQ0値に比べ、3.5倍以上にQ値を大きくすることができる。
【0037】
また、長さh1と、厚さt1と、の関係が0.048≦h1/t1≦0.095を満たしているので、h1/t1がゼロである場合の振動素子20のQ0値に比べ、4.4倍以上にQ値を大きくすることができる。
【0038】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る振動デバイス1aについて、図7図10を参照して説明する。
【0039】
本実施形態の振動デバイス1aは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、振動素子20aの構造が異なること以外は第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0040】
振動デバイス1aは、図7及び図8に示すように、ベース10と、ベース10の第1面11に配置されている振動素子20aと、振動素子20aをベース10に接合する金属バンプ27と、振動素子20aを覆ってベース10の第1面11に接合されている蓋体16と、を有する。
【0041】
振動素子20aの基板21aは、図9及び図10に示すように、振動方向となるX方向の長さが長い矩形であり、振動部22aと、振動部22aより厚みが薄い薄肉部23aと、薄肉部23aより厚みが厚い支持部24aと、を有する。支持部24aは、薄肉部23aを介して振動部22aに接続されている。
【0042】
振動素子20aは、薄肉部23aが、平面視で、振動部22aを取り囲むように配置され、振動部22aの下面から凹んでいる。よって、基板21aは、上面側がフラットで、下面側にメサ部を有する片面メサ型構造である。
【0043】
本実施形態の振動デバイス1aは、振動素子20aが片面メサ型構造であるが、メサ部の高さである振動部22aの表面22sから薄肉部23の表面23sまでの長さh1と、振動部22aの厚みt1と、の比を所定の範囲とすることで、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0044】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る振動デバイス1bについて、図11図14を参照して説明する。
【0045】
本実施形態の振動デバイス1bは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、振動素子20bの構造が異なること以外は第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0046】
振動デバイス1bは、図11及び図12に示すように、ベース10と、ベース10の第1面11に配置されている振動素子20bと、振動素子20bをベース10に接合する金属バンプ27と、振動素子20bを覆ってベース10の第1面11に接合されている蓋体16と、を有する。
【0047】
振動素子20bの基板21bは、図13及び図14に示すように、振動方向となるX方向の長さが長い矩形であり、振動部22と、振動部22より厚みが薄い薄肉部23と、薄肉部23と厚みが同じ支持部24bと、を有している。また、支持部24bは、薄肉部23を介して振動部22に接続されている。
【0048】
本実施形態の振動デバイス1bは、振動素子20bの支持部24bが薄肉部23と厚みが同じであるが、メサ部の高さである振動部22の表面22sから薄肉部23の表面23sまでの長さh1と、振動部22の厚みt1と、の比を所定の範囲とすることで、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0049】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る振動デバイス1cについて、図15及び図16を参照して説明する。
【0050】
本実施形態の振動デバイス1cは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、金属バンプ27とベース10との間に水晶基板18が配置されていること以外は第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0051】
振動デバイス1cは、図15及び図16に示すように、ベース10と、ベース10の第1面11に配置されている振動素子20と、振動素子20をベース10に接合する金属バンプ27と、金属バンプ27とベース10との間に配置された水晶基板18と、振動素子20を覆ってベース10の第1面11に接合されている蓋体16と、を有する。尚、振動素子20は、水晶振動素子である。
【0052】
振動デバイス1cは、金属バンプ27とベース10との間に水晶基板18が配置されている。水晶基板18は、接合部材19を介してベース10に接合されている。そのため、振動素子20を金属バンプ27によってベース10に直接接合した場合に比べ、ベース10と振動素子20との線膨張係数の違いにより生じる応力を低減することができる。尚、水晶基板18の結晶方向は、振動素子20の結晶方向と同じであることが好ましい。結晶方向を同じにすることで、ベース10と振動素子20との線膨張係数の違いにより生じる応力をより低減することができる。
【0053】
本実施形態の振動デバイス1cは、金属バンプ27とベース10との間に水晶基板18が配置されているので、ベース10と振動素子20との線膨張係数の違いにより生じる応力を低減することができ、メサ部の高さである振動部22の表面22sから薄肉部23の表面23sまでの長さh1と、振動部22の厚みt1と、の比を所定の範囲とすることで、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0054】
5.変形例
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した第1~第4実施形態では、ベース10の第1面11側に発振回路13が形成された場合について説明したが、ベース10の第2面12側に発振回路13を形成してもよい。その場合、更にベース10の第1面11から第2面12に貫通し、振動素子20と発振回路13との間を電気的に接続する貫通電極をベース10に形成してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,1a,1b,1c…振動デバイス、10…ベース、11…第1面、12…第2面、13…発振回路、14…内部端子、15…外部端子、16…蓋体、17…接合部材、18…水晶基板、19…接合部材、20…振動素子、21…基板、22…振動部、22s…表面、23…薄肉部、23s…表面、24…支持部、25…凹部、26…収容空間、27…金属バンプ、31…励振電極、32…パッド電極、33…リード電極、34…側面電極、L1,L2…長さ、h1…長さ、t1…厚さ、S…矢印。
図1
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