(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179829
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20241219BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099039
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小平 直人
【テーマコード(参考)】
2H189
2H192
【Fターム(参考)】
2H189AA14
2H189HA06
2H189MA07
2H192AA24
2H192DA15
2H192EA15
2H192FA73
2H192FB03
2H192FB05
2H192FB33
2H192GD25
2H192GD51
2H192GD81
2H192JB02
(57)【要約】
【課題】冷却能力または冷却効率の高いペルチェ素子を備えた電気光学装置を提供すること。
【解決手段】電気光学装置は、表示領域A1の外側にペルチェ素子20を備えた液晶装置300であって、ペルチェ素子20は、第1導電型の第1部材としてのP型半導体部材21と、P型半導体部材21と、表示領域A1に沿う方向としてのY1方向に隣り合って設けられた第2導電型の第2部材としてのN型半導体部材22と、P型半導体部材21の表示領域A1側の部分21aと接する第1電極としての電極23aと、電極23aとY1方向に隣り合って設けられ、N型半導体部材22の表示領域A1側の部分22aと接する第2電極としての電極23bと、P型半導体部材21の表示領域A1側の反対側の部分21bおよびN型半導体部材22の表示領域A1側の反対側の部分22bと接する第3電極としての電極24と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域の外側にペルチェ素子を備えた電気光学装置であって、
前記ペルチェ素子は、
第1導電型の第1部材と、
前記第1部材と、前記表示領域に沿う方向に隣り合って設けられた第2導電型の第2部材と、
前記第1部材の前記表示領域側の部分と接する第1電極と、
前記第1電極と前記方向に隣り合って設けられ、前記第2部材の前記表示領域側の部分と接する第2電極と、
前記第1部材および前記第2部材の前記表示領域側の反対側の部分と接する第3電極と、を有する、
電気光学装置。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた電気光学層と、
前記電気光学層を囲むように設けられたシール部材と、を備え、
前記第1部材および前記第2部材は、平面視で、前記シール部材と重なる、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた電気光学層と、
前記電気光学層を囲むように設けられたシール部材と、を備え、
前記第1電極と前記第2電極とは、平面視で、前記シール部材と前記表示領域との間と重なる、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、を備え、
前記ペルチェ素子は、前記第1基板または前記第2基板に設けられる、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、を備え、
前記第1基板は、
複数の端子と、
前記複数の端子に沿う第1辺と、
前記第1辺と交差する第2辺および第3辺と、
前記第1辺と対向するとともに前記第2辺および前記第3辺と交差する第4辺と、を有し、
前記ペルチェ素子は、平面視において、前記表示領域と前記第1基板の前記第2辺との間の領域、前記表示領域と前記第1基板の前記第4辺との間の領域、および前記表示領域と前記第1基板の前記第3辺との間の領域に配列されている、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
表示領域の外側に半導体部材からなるペルチェ素子を備えた電気光学装置であって、
前記ペルチェ素子は、それぞれ、前記半導体部材に、
第1導電型の第1領域と、
前記第1領域と、前記表示領域に沿う方向に隣り合う第2導電型の第2領域と、
前記第1領域と、前記方向の反対方向に隣り合う前記第2導電型の第3領域と、
前記第1領域の前記表示領域側の部分と前記第3領域の前記表示領域側の部分とが接する第1接合領域と、
前記第1領域の前記表示領域の反対側の部分と前記第2領域の前記表示領域の反対側の部分とが接する第2接合領域と、を有する、
電気光学装置。
【請求項7】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた電気光学層と、
前記電気光学層を囲むように設けられたシール部材と、を備え、
前記半導体部材は、平面視で、前記シール部材と重なる、
請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、を備え、
前記ペルチェ素子は、前記第1基板または前記第2基板に設けられる、
請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項9】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、を備え、
前記第1基板は、
複数の端子と、
前記複数の端子に沿う第1辺と、
前記第1辺と交差する第2辺および第3辺と、
前記第1辺と対向するとともに前記第2辺および前記第3辺と交差する第4辺と、を有し、
前記ペルチェ素子は、平面視において、前記表示領域と前記第1基板の前記第2辺との間の領域、前記表示領域と前記第1基板の前記第4辺との間の領域、および前記表示領域と前記第1基板の前記第3辺との間の領域に配列されている
請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電気光学装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
放熱用にペルチェ素子を備えた電気光学装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1には、液晶パネルの表示領域にマトリクス状に配置された遮光膜と、遮光膜の両端に夫々接続され相互に異なる導電型の一対の半導体素子と、一対の半導体素子に夫々接続される放熱用の電極と、放熱用の電極相互間に電圧を供給して遮光膜をペルチェ素子の吸熱体として利用する電源手段と、を備えた液晶装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
明るいプロジェクターを実現するために、光源の高光束化が行われている。
しかし、光源の高光束化は、液晶パネルの温度を上昇させる原因となり、液晶パネルの温度上昇は、耐光性寿命や液晶動作に影響を及ぼす原因となる。
そのため、液晶パネルの温度上昇を抑制する技術のさらなる向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係る電気光学装置は、表示領域の外側にペルチェ素子を備えた電気光学装置であって、前記ペルチェ素子は、それぞれ、第1導電型の第1部材と、前記第1部材と、前記表示領域に沿う方向に隣り合って設けられた第2導電型の第2部材と、前記第1部材の前記表示領域側と接する第1電極と、前記第1電極と前記方向に隣り合って設けられ、前記第2部材の前記表示領域側と接する第2電極と、前記第1部材および前記第2部材の前記表示領域側の反対側と接する第3電極と、を有する。
【0006】
本願の一態様に係る電気光学装置は、表示領域の外側に半導体部材からなるペルチェ素子を備えた電気光学装置であって、前記ペルチェ素子は、それぞれ、前記半導体部材に、第1導電型の第1領域と、前記第1領域と、前記表示領域に沿う方向に隣り合う第2導電型の第2領域と、前記第1領域と、前記方向の反対方向に隣り合う前記第2導電型の第3領域と、前記第1領域の前記表示領域側と前記第3領域の前記表示領域側とが接する第1接合領域と、前記第1領域の前記表示領域の反対側と前記第2領域の前記表示領域の反対側とが接する第2接合領域と、を有する。
【0007】
本願の一態様に係る電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1のA-A線に沿う電気光学装置の断面図。
【
図5】
図4のB-B線に沿うペルチェ素子の断面構造を示す説明図。
【
図6A】変形例1に係るペルチェ素子の断面構造を示す説明図。
【
図6B】変形例2に係るペルチェ素子の断面構造を示す説明図。
【
図6C】変形例3に係るペルチェ素子の断面構造を示す説明図。
【
図6D】変形例4に係るペルチェ素子の断面構造を示す説明図。
【
図6E】変形例5に係るペルチェ素子の断面構造を示す説明図。
【
図6F】変形例6に係るペルチェ素子の断面構造を示す説明図。
【
図7】実施形態2に係るペルチェ素子の平面構造を示す説明図。
【
図8】ペルチェ素子の製造方法を示すフローチャート。
【
図13】実施形態3に係る電子機器の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
また、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。また、以下では、Z1方向またはZ2方向に見ることを「平面視」とし、Z軸を含む断面に対して垂直方向から見ることを「断面視」とする。
【0010】
さらに、以下の説明において、例えば基板に対して、「基体上に」との記載は、基体の上に接して配置される場合、基体の上に他の構造物を介して配置される場合、または基体の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。また、「基体の上面」との記載は、基板のZ1方向側の面を示すものとし、「基体の下面」との記載は、基板のZ2方向側の面を示すものとする。
【0011】
1.実施形態1
本実施形態では、電気光学装置として、液晶装置の例を説明する。
液晶装置は、画素ごとにスイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)を備えたアクティブ駆動型の透過型液晶装置である。この液晶装置は、例えば、後述する投射型表示装置において、光変調装置として用いられる。なお、本実施形態において、投射型表示装置は、電子機器の一例である。
【0012】
1.1.液晶装置の構造の概要
本実施形態に係る液晶装置300の構造について、
図1と
図2とを参照して説明する。
図1は、液晶装置300の平面図である。
図2は、
図1のA-A線に沿う液晶装置300の断面図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、液晶装置300は、素子基板100、対向基板200、シール部材8、液晶層Lc、および複数のペルチェ素子20を有する。また、液晶装置300は、表示領域A1と周辺領域A2とを有する。なお、本実施形態において、素子基板100は、第1基板の一例であり、対向基板200は、第2基板の一例である。
【0014】
素子基板100と対向基板200とは、それぞれ透光性を有する。なお、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0015】
シール部材8は、周辺領域A2において、表示領域A1を囲うように配置される。シール部材8は、素子基板100と対向基板200との間に配置され、素子基板100と対向基板200とを接着する。シール部材8の材料としては、例えばエポキシ樹脂などの各種硬化性樹脂を含む接着剤などを用いることができる。
【0016】
液晶層Lcは、素子基板100、対向基板200、およびシール部材8で囲まれた領域に設けられる。液晶層Lcは、正または負の誘電異方性を有する液晶分子を含む。液晶層Lcは、画素電極10と共通電極250とによって生じる電界に応じて、液晶分子の配向が変化することで、光学的特性が変化する電気光学層である。
【0017】
本実施形態では、液晶層Lcの光入射側に、対向基板200が配置され、液晶層Lcの光出射側に、素子基板100が配置される。対向基板200に入射した入射光ILは、液晶層Lcで変調されて、変調光MLとして素子基板100から射出される。
【0018】
表示領域A1は、マトリクス状に配置された複数の画素Pを有し、複数の画素Pによって、画像が表示される。周辺領域A2は、表示領域A1の外側の領域である。
表示領域A1の外側には、複数のペルチェ素子20が設けられる。ここで、素子基板100または対向基板200の周囲4辺をそれぞれ辺f1,f2,f3,f4とし、周辺領域A2において、辺f1と表示領域A1との間の領域をe1、辺f2と表示領域A1との間の領域をe2、辺f3と表示領域A1との間の領域をe3、辺f4と表示領域A1との間の領域をe4とすると、本実施形態において、複数のペルチェ素子20は、領域e1,e2,e3に設けられている。なお、ペルチェ素子20は、領域e4を含めすべての領域に設けてもよく、領域e1,e2,e3,e4のうちの1領域または2領域のみに沿って設けてもよい。
【0019】
ペルチェ素子20は、P型半導体部材21、N型半導体部材22、電極23、および電極24を有する。
P型半導体部材21およびN型半導体部材22は、表示領域A1に沿って、交互に配置される。また、P型半導体部材21およびN型半導体部材22は、平面視で、シール部材8と重なる位置に設けられる。
【0020】
電極23は、周辺領域A2において、平面視で、シール部材8と表示領域A1との間に配置される。電極23は、表示領域A1に沿う方向に隣り合って設けられる電極23aと電極23bとを含む。電極23は、P型半導体部材21の表示領域A1側とN型半導体部材22の表示領域A1側とを電気的に接続する。本実施形態において、電極23は、ペルチェ素子20の吸熱用の部材として機能する。
【0021】
電極24は、周辺領域A2において、平面視で、シール部材8と素子基板100の外縁との間に配置される。複数の電極24は、表示領域A1に沿う方向に隣り合って設けられる。電極24は、P型半導体部材21の表示領域A1の反対側とN型半導体部材22の表示領域A1の反対側とを電気的に接続する。本実施形態において、電極24は、ペルチェ素子20の放熱用の部材として機能する。
【0022】
ペルチェ素子20は、外部端子9を介して、直流電源150に接続される。ペルチェ素子20の電極23aは、直流電源150のプラス側に接続され、ペルチェ素子20の電極23bは、直流電源150のマイナス側に接続される。直流電源150からは、矢印の向きに直流電流Iが供給される。
【0023】
なお、本実施形態において、P型半導体部材21は、第1部材の一例であり、N型半導体部材22は、第2部材の一例である。また、電極23aは、第1電極の一例であり、電極23bは、第2電極の一例であり、電極24は、第3電極の一例である。また、表示領域A1に沿う方向は、領域e1では、Y1方向であり、領域e2では、X1方向であり、領域e3では、Y2方向である。
【0024】
周辺領域A2の領域e1および領域e3の外側には、図示しない走査線駆動回路が設けられる。また、領域e4の外側には、図示しない検査回路が設けられる。また、領域e4の外側には、複数の外部端子9と図示しないデータ線駆動回路とが設けられる。なお、表示領域A1の形状は、四角形であるが、他の形状、例えば円形であってもよい。
【0025】
素子基板100は、基体90、導電層および絶縁層を含む中継配線層50、画素電極10、および配向膜12を有する。
【0026】
基体90は、透光性および絶縁性を有する平板である。基体90は、例えば石英基板またはガラス基板である。
画素電極10は、透光性を有する。画素電極10は、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)などの透明導電材料によって形成される。画素電極10の厚さ方向は、Z1方向またはZ2方向と一致する。
配向膜12は、透光性および絶縁性を有する。配向膜12は、液晶層Lcの液晶分子を配向させる。配向膜12の材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2)またはポリイミドが挙げられる。
【0027】
対向基板200は、基体210、絶縁層220、共通電極250、および配向膜260を有する。
基体210は、透光性および絶縁性を有する平板である。基体210は、例えば石英基板またはガラス基板である。
絶縁層220は、透光性および絶縁性を有する。絶縁層220の材料は、例えば酸化シリコンなどの無機材料である。
【0028】
共通電極250は、複数の画素電極10に対向して配置される電極であり、対向電極と言い換えられる。共通電極250は、例えばITO、IZO、およびFTOなどの透明導電材料を含む。
【0029】
外部端子9は、図示しないFPC(Flexible printed circuits)などの外部接続線が実装される実装端子である。外部端子9には、外部接続線を介して、外部から画像信号、同期信号、検査信号などを含む各種信号を供給する信号源、および電圧や電流を供給する電源が接続される。
【0030】
1.2.素子基板の電気的な構成
図3は、素子基板100の電気的な構成を示す等価回路図である。
図3に示すように、素子基板100の表示領域A1には、複数のトランジスター1、n本の走査線3、m本のデータ線4、およびm本の容量線5が設けられる。nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。n本の走査線3とm本のデータ線4との各交差に対応してトランジスター1が配置される。
【0031】
n本の走査線3のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線3はY1方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線3のそれぞれは、対応するトランジスター1のゲート電極に電気的に接続される。n本の走査線3は、走査線駆動回路に電気的に接続され、走査線駆動回路から走査信号G1、G2、…、およびGnが、供給される。
【0032】
m本のデータ線4のそれぞれはY1方向に延在し、m本のデータ線4はX1方向に等間隔で並ぶ。m本のデータ線4のそれぞれは、対応する複数のトランジスター1のソース領域に電気的に接続される。m本のデータ線4は、データ線駆動回路に電気的に接続され、データ線駆動回路から画像信号E1、E2、…、およびEmが、供給される。
【0033】
n本の走査線3とm本のデータ線4とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視において格子状に配置される。隣り合う2つの走査線3と隣り合う2つのデータ線4とで囲まれる領域が画素Pに対応する。
画素P毎に画素電極10が設けられる。画素電極10は、トランジスター1のドレイン領域に電気的に接続される。
【0034】
m本の容量線5のそれぞれはY1方向に延在し、m本の容量線5はX1方向に等間隔で並ぶ。また、m本の容量線5は、m本のデータ線4およびn本の走査線3に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各容量線5には、共通電位またはグランド電位などの固定電位が、外部端子9を介して印加される。
【0035】
容量素子2の一方の電極は、容量線5に電気的に接続される。容量素子2の他方の電極は、画素電極10に電気的に接続され、画素電極10に供給される画像信号の電位を保持する。
【0036】
1.3.ペルチェ素子の構造
図4は、ペルチェ素子20の平面構造を示す説明図であり、周辺領域A2において、領域e1付近の一部分を拡大した部分拡大平面図である。
図5は、
図4のB-B線に沿う断面図であり、ペルチェ素子20の断面構造を示す説明図である。
【0037】
図4に示すように、ペルチェ素子20は、P型半導体部材21、N型半導体部材22、電極23a、電極23b、および電極24を含む。
【0038】
周辺領域A2には、複数のペルチェ素子20が、表示領域A1に沿って設けられる。
複数のペルチェ素子20は、直列に接続される。
図4では、複数のペルチェ素子20が、表示領域A1と素子基板100の辺f1との間の領域e1に、Y1方向およびY2方向に隣り合って設けられている。
【0039】
P型半導体部材21の表示領域A1側の部分21aは、コンタクトホール25を介して、電極23aに電気的に接続される。また、P型半導体部材21の表示領域A1の反対側の部分21bは、コンタクトホール26を介して、電極24に電気的に接続される。
【0040】
N型半導体部材22は、P型半導体部材21のY1方向に隣り合って設けられる。N型半導体部材22の表示領域A1の反対側の部分22bは、コンタクトホール28を介して、電極24に電気的に接続される。また、N型半導体部材22の表示領域A1側の部分22aは、コンタクトホール27を介して、電極23bに電気的に接続される。
電極23bには、Y1方向に隣って設けられたペルチェ素子20のP型半導体部材21の表示領域A1側がコンタクトホール29を介して、電気的に接続される。
【0041】
ペルチェ素子20は、ペルチェ効果を有している。ペルチェ効果とは、異種の導体または半導体を電気的に直列に接合して、PN接合部に直流電流を流すと、N→P接合部分では吸熱が発生し、P→N接合部分では放熱が発生する現象である。
【0042】
図1に示したように、ペルチェ素子20の電極23aから電極23bに直流電流Iを流すことにより、N→P接合部分となるN型半導体部材22とP型半導体部材21との間の電極23aおよび電極23bで吸熱が起こり、N→P接合部分となるP型半導体部材21とN型半導体部材22との間の電極24で発熱が起こる。
【0043】
電極23a,23bで吸収された熱は、電極24から液晶装置300の外部へ放出される。このようにして、液晶装置300において、ペルチェ素子20により液晶層Lcを冷却することができる。
【0044】
吸熱用の電極23は、表示領域A1に沿う方向に、隣り合って設けられる。したがって、電極23の配置ピッチは、画素電極10の配置ピッチに依存しない。よって、画素電極10の配置ピッチに関係なく、所望のピッチで、電極23を設けることができる。
図4では、電極23の配置ピッチは、画素電極10の配置ピッチよりも大きいが、これに限らず、画素電極10の配置ピッチよりも小さいピッチとすることもできる。さらには、場所によって、電極23の配置ピッチを変えることもできる。例えば、領域e2の中央付近と両サイド付近とで、電極23の配置ピッチを変えてもよい。
【0045】
このようにペルチェ素子20の配置を、画素電極10の配置ピッチに依存することなく、必要な冷却能力に応じて、または、冷却効率が高まるように、最適化することができる。例えば、画素ピッチよりも小さいピッチで配置することができる。また、場所によって温度にムラがある場合、温度ムラが軽減されるように、場所によってペルチェ素子20の配置ピッチを変えることができる。
【0046】
他方、特許文献1に記載のものでは、表示領域に、走査線やデータ線に対応するように配置された遮光膜を、ペルチェ素子の吸熱体として利用するため、ペルチェ素子の配置ピッチは、走査線やデータ線の配置ピッチ、換言すると、画素電極の配置ピッチに依存する。
【0047】
吸熱用の電極23は、表示領域A1に沿う方向に、隣り合って設けられる。換言すると、吸熱用の電極23は、表示領域A1に設けられない。したがって、表示領域A1に入射する入射光ILは、電極23に当たらない。よって、電極23が、入射光ILに照らされることで高温になって、液晶層Lcの温度を上昇させることを抑制することができる。
他方、特許文献1に記載のものでは、吸熱体として利用する遮光膜が、表示領域に配置されるため、入射光によって、遮光膜が照らされて、遮光膜が高温になり、冷却能力が低下するおそれがある。
【0048】
図5に示すように、P型半導体部材21は、TFT層40に設けられる。
TFT層40は、絶縁層43と、絶縁層43の層間に設けられたトランジスター1を有する。トランジスター1は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有する半導体層41およびゲート電極42からなる。なお、P型半導体部材21およびN型半導体部材22が設けられるレイヤーは、TFT層40に限定されない。P型半導体部材21およびN型半導体部材22が設けられるレイヤーの他の例は、後述する変形例で説明する。
【0049】
本実施形態において、P型半導体部材21は、半導体層41と同層、且つ、同じ材料で形成される。図示しないが、N型半導体部材22も、半導体層41と同層、且つ、同じ材料で形成される。
具体的に、P型半導体部材21およびN型半導体部材22は、ポリシリコンからなる。P型半導体部材21は、例えば、1E+12cm3~1E+16cm3程度の濃度のP型不純物を含んでいる。N型半導体部材22は、例えば、1E+12cm3~1E+16cm3程度の濃度のN型不純物を含んでいる。
【0050】
なお、P型半導体部材21およびN型半導体部材22は、4族元素(Si、Ge、Sn、Pb等)系半導体、3族元素(B、Al、Ga、In等)系半導体および5族元素(N、P、As、Sb等)系半導体、または、2族元素(Zn、Cd、Hg等)系半導体および6族元素(S、Se、Te、Po等)系半導体等の熱電材料の組み合わせであってもよい。
【0051】
電極23および電極24は、中継配線層50に設けられる。
中継配線層50は、絶縁層54と、絶縁層54の層間に設けられた導電層51,52,53とを含む。
【0052】
絶縁層54は、透光性および絶縁性を有する。絶縁層54の材料は、例えば酸化シリコンなどの無機材料である。
導電層51,52,53は、遮光性を有する導電材料で形成される。遮光性を有する導電材料としては、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、およびアルミニウム(AL)などの金属、金属窒化物ならびに金属シリサイドなどの金属材料を用いることができる。なお、「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは、可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは、10%以下であることをいう。
【0053】
導電層51,52,53は、走査線3、データ線4、容量線5、容量素子2の電極、その他の中継電極を構成する。なお、導電層の層数は、2層以下または4層以上であってもよい。
【0054】
本実施形態では、電極23および電極24は、中継配線層50において、導電層51と同層、且つ、同じ材料で形成される。なお、電極23および電極24は、導電層52または導電層53と同層、且つ、同じ材料で形成してもよい。また、電極23と電極24とは、それぞれ異なる導電層と同層に形成されてもよい。なお、電極23および電極24が設けられるレイヤーは、中継配線層50に限定されない。電極23および電極24が設けられるレイヤーの他の例は、後述する変形例で説明する。
【0055】
電極23は、コンタクトホール25を介して、P型半導体部材21に電気的に接続される。電極24は、コンタクトホール26を介して、P型半導体部材21に電気的に接続される。なお、電極23とP型半導体部材21との電気的な接続は、コンタクトホール25内に設けられた導電部材からなるコンタクトプラグを介して接続してもよい。同様に、電極24とP型半導体部材21との電気的な接続は、コンタクトホール26内に設けられた導電部材からなるコンタクトプラグを介して接続してもよい。なお、図示しないが、コンタクトホール27,28も同様に、コンタクトプラグを有する構成としてもよい。
【0056】
1.4.変形例
前述したペルチェ素子20の断面構造の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を、以下に例示する。
【0057】
1.4.1.変形例1
図6Aは、変形例1に係るペルチェ素子20の断面構造を示す説明図であり、
図5と同様に、
図4のB―B線に沿う断面図である。
変形例1では、P型半導体部材21およびN型半導体部材22が設けられるレイヤーが、
図5に示した例と異なる。
【0058】
図6Aに示すようにP型半導体部材21は、下層30に設けられる。
下層30は、基体90とTFT層40との間の絶縁層であり、例えば酸化シリコンなどの透光性を有する無機材料からなる。また、下層30には、図示しない遮光層が設けられることがある。
図示しないがN型半導体部材22は、P型半導体部材21と同層に設けられる。
【0059】
1.4.2.変形例2
図6Bは、変形例2に係るペルチェ素子20の断面構造を示す説明図であり、
図5と同様に、
図4のB―B線に沿う断面図である。
変形例2では、ペルチェ素子20は、中継配線層50に設けられる。
図6Bに示すようにP型半導体部材21、電極23、および電極24は、中継配線層50に設けられる。
図示しないがN型半導体部材22、電極23、および電極24も、同様に、中継配線層50に設けられる。
【0060】
1.4.3.変形例3
図6Cは、変形例3に係るペルチェ素子20の断面構造を示す説明図であり、
図5と同様に、
図4のB―B線に沿う断面図である。
変形例3では、P型半導体部材21は、表層60に設けられる。
表層60は、画素電極10と中継配線層50との間の保護層であり、例えば、BSG(Borosilicate Glass)などの透光性および吸湿性を有する無機材料で構成される。
図示しないがN型半導体部材22も、P型半導体部材21と同様に、表層60に設けられる。
【0061】
電極23および電極24は、中継配線層50に設けられる。なお、電極23および電極24は、TFT層40または下層30に設けられてもよい。
【0062】
1.4.4.変形例4
図6Dは、変形例4に係るペルチェ素子20の断面構造を示す説明図であり、
図5と同様に、
図4のB―B線に沿う断面図である。
変形例4では、ペルチェ素子20は、対向基板200に設けられる。
【0063】
図6Dに示すようにP型半導体部材21は、絶縁層220に設けられる。
電極23および電極24は、表層240に設けられる。表層240は、共通電極250とレンズ形成層230との間の保護層である。なお、電極23および電極24は、絶縁層220またはレンズ形成層230に設けられてもよい。
図示しないがN型半導体部材22も、P型半導体部材21と同様に、絶縁層220に設けられる。
【0064】
電極23は、コンタクトホール25内に設けられたコンタクトプラグを介して、P型半導体部材21と電気的に接続される。また、電極24は、コンタクトホール26内に設けられたコンタクトプラグを介して、P型半導体部材21と電気的に接続される。
【0065】
1.4.5.変形例5
図6Eは、変形例5に係るペルチェ素子20の断面構造を示す説明図であり、
図5と同様に、
図4のB―B線に沿う断面図である。
【0066】
変形例5では、P型半導体部材21は、レンズ形成層230に設けられる。
レンズ形成層230は、レンズ231と透光層232とを含む。レンズ231は、透光層232と屈折率の異なる無機材料で形成される。例えば、レンズ231は、酸窒化ケイ素(SiON)によって形成され、透光層232は、酸化シリコンなどの無機材料によって形成される。
図示しないがN型半導体部材22も、P型半導体部材21と同様に、レンズ形成層230に設けられる。
【0067】
1.4.6.変形例6
図6Fは、変形例6に係るペルチェ素子20の断面構造を示す説明図であり、
図5と同様に、
図4のB―B線に沿う断面図である。
【0068】
変形例6では、P型半導体部材21は、表層240に設けられる。図示しないがN型半導体部材22も、P型半導体部材21と同様に、表層240に設けられる。
電極23および電極24は、レンズ形成層230に設けられる。なお、電極23および電極24は、絶縁層220または表層240に設けてもよい。
【0069】
1.4.7.変形例7
上述した例では、ペルチェ素子20は、素子基板100または対向基板200のいずれか一方に設けられているが、ペルチェ素子20は、素子基板100または対向基板200の両方に設けてもよい。
【0070】
以上、述べたとおり、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置300によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の液晶装置300は、表示領域A1の外側にペルチェ素子20を備えた液晶装置300であって、ペルチェ素子20は、第1導電型の第1部材としてのP型半導体部材21と、P型半導体部材21と、表示領域A1に沿う方向としてのY1方向に隣り合って設けられた第2導電型の第2部材としてのN型半導体部材22と、P型半導体部材21の表示領域A1側の部分21aと接する第1電極としての電極23aと、電極23aとY1方向に隣り合って設けられ、N型半導体部材22の表示領域A1側の部分22aと接する第2電極としての電極23bと、P型半導体部材21の表示領域A1側の反対側の部分21bおよびN型半導体部材22の表示領域A1側の反対側の部分22bと接する第3電極としての電極24と、を有する。
【0071】
このように、P型半導体部材21とN型半導体部材22とは、表示領域A1の外側において、表示領域A1に沿う方向としてのY1方向に隣り合って設けられる。
【0072】
したがって、ペルチェ素子20の配置ピッチを画素電極10の配置ピッチに関係なく、最適化することができるため、ペルチェ素子20による冷却能力または冷却効率を最大限に高めることができる。
また、ペルチェ素子20は、表示領域A1に配置されないため、表示領域A1に入射する入射光ILが、ペルチェ素子20に当たることがない。よって、入射光ILによってペルチェ素子20の温度が上昇して、液晶層Lcの温度を上昇させることを抑制できる。
【0073】
本実施形態の液晶装置300は、さらに、第1基板としての素子基板100と、素子基板100に対向する第2基板としての対向基板200と、素子基板100と対向基板200とに挟持された電気光学層としての液晶層Lcと、液晶層Lcを囲むように設けられたシール部材8と、を備え、P型半導体部材21およびN型半導体部材22は、平面視で、シール部材8と重なる。
【0074】
このように、P型半導体部材21およびN型半導体部材22は、平面視で、シール部材8と重なる。したがって、表示領域A1の外側において、P型半導体部材21およびN型半導体部材22を効率よく配置することができ、狭額縁化しやすい構成とすることができる。
【0075】
本実施形態の液晶装置300は、さらに、第1基板としての素子基板100と、素子基板100に対向する第2基板としての対向基板200と、素子基板100と対向基板200とに挟持された電気光学層としての液晶層Lcと、液晶層Lcを囲むように設けられたシール部材8と、を備え、第1電極としての電極23aと第2電極としての電極23bとは、平面視で、シール部材8と表示領域A1との間と重なる。
【0076】
このように、電極23aと電極23bとは、表示領域A1の外側において、シール部材8と表示領域A1との間と重なる。換言すると、電極23aと電極23bとは、表示領域A1の外側において、液晶層Lcと重なる。したがって、ペルチェ素子20の吸熱用の部材である電極23aと電極23bとを、液晶層Lcと重なる位置に設けることができるため、ペルチェ素子20の冷却能力または冷却効率を高めることができる。
【0077】
本実施形態の液晶装置300は、さらに、第1基板としての素子基板100と、素子基板100に対向する第2基板としての対向基板200と、を備え、ペルチェ素子20は、素子基板100または対向基板200に設けられる。
【0078】
このように、ペルチェ素子20は、素子基板100または対向基板200に設けられる。換言すると、一組のペルチェ素子20を素子基板100に設け、もう一組のペルチェ素子20を対向基板200に設けてもよい。
したがって、ペルチェ素子20の冷却能力または冷却効率を容易に高めることができる。
【0079】
本実施形態の液晶装置300は、さらに、第1基板としての素子基板100と、素子基板100に対向する第2基板としての対向基板200と、を備え、素子基板100は、複数の端子としての複数の外部端子9と、複数の外部端子9に沿う第1辺としての辺f4と、辺f4と交差する第2辺としての辺f1および第3辺としての辺f3と、辺f4と対向するとともに辺f1および辺f3と交差する第4辺としての辺f2と、を有し、ペルチェ素子20は、平面視において、表示領域A1と素子基板100の辺f1との間の領域e1、表示領域A1と素子基板100の辺f2との間の領域e2、および表示領域A1と素子基板100の辺f3との間の領域e3に配列されている。
【0080】
このように、ペルチェ素子20は、平面視において、表示領域A1と素子基板100の辺f1との間の領域e1、表示領域A1と素子基板100の辺f2との間の領域e2、および表示領域A1と素子基板100の辺f3との間の領域e3に配列されている。したがって、冷却能力または冷却効率の高いペルチェ素子20を実現することができる。
【0081】
2.実施形態2
実施形態2に係る電気光学装置としての液晶装置300について、
図7から
図12を参照して説明する。
図7は、実施形態2に係るペルチェ素子20の平面構造を示す説明図であり、
図4と同様に、周辺領域A2において、領域e1付近の一部分を拡大した部分拡大平面図である。
図8は、実施形態2に係るペルチェ素子20の製造方法を示すフローチャートである。
図9から
図12は、ペルチェ素子20の製造方法の一工程を示す平面図である。
なお、実施形態1と同じ構成には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0082】
2.1.ペルチェ素子の構造
図7に示すように、実施形態2の液晶装置300において、ペルチェ素子20は、P型半導体領域71、N型半導体領域72、接合領域73、および接合領域74を有する。
【0083】
P型半導体領域71のY1方向には、接合領域74を介して、N型半導体領域72aが設けられ、P型半導体領域71のY2方向には、接合領域73を介して、N型半導体領域72bが設けられる。
P型半導体領域71は、半導体部材70において、P型不純物を含んでいる領域であり、N型半導体領域72a,72bは、半導体部材70において、N型不純物を含んでいる領域である。
【0084】
接合領域73は、P型半導体領域71の表示領域A1側の部分71aとN型半導体領域72bの表示領域A1側の部分72baとが接している部分であり、接合領域74は、P型半導体領域71の表示領域A1の反対側の部分71bとN型半導体領域72aの表示領域A1の反対側の部分72abとが接している部分である。
【0085】
なお、実施形態2において、P型半導体領域71は、第1領域の一例であり、N型半導体領域72aは、第2領域の一例であり、N型半導体領域72bは、第3領域の一例である。また、接合領域73は、第1接合領域の一例であり、接合領域74は、第2接合領域の一例である。
【0086】
実施形態2において、接合領域73が陽極側になるように直流電源を接続して、接合領域73から接合領域74に直流電流を流すことにより、接合領域73で吸熱が起こり、接合領域74で発熱が起こる。
【0087】
接合領域73で吸収された熱は、接合領域74から液晶装置300の外部へ放出される。このようにして、液晶装置300において、ペルチェ素子20により液晶層Lcを冷却することができる。
【0088】
このように、実施形態2のペルチェ素子20は、吸熱用の電極23と放熱用の電極24を有さない。したがって、ペルチェ素子20の構造を簡素化することができ、狭額縁化または薄型化に適した構成とすることができる。
【0089】
2.2.ペルチェ素子の製造方法
次に、
図8のフローチャートを参照して、実施形態2のペルチェ素子20の製造方法を説明する。
ステップS1では、半導体部材70を形成する。基体90上の所望の層上に母材となる半導体部材70を成膜し、
図9に示すように、パターニングを行う。半導体部材70は、シリコンである。
【0090】
ステップS2では、P型半導体領域71を設けるためにマスク80を形成する。
図10に示すように、マスク80は、半導体部材70において、N型半導体領域72を設ける領域を覆うように、レジストをパターニングして形成する。
【0091】
ステップS3では、半導体部材70に、P型不純物を注入する。この工程によって、
図11に示すように、半導体部材70にP型半導体領域71が形成される。
ステップS4では、N型半導体領域72を設けるためにマスク80を形成する。マスク80は、半導体部材70において、P型半導体領域71を覆うように、レジストをパターニングして形成する。
【0092】
ステップS5では、半導体部材70に、N型不純物を注入する。
この工程によって、
図12に示すように、半導体部材70にN型半導体領域72が形成される。また、P型半導体領域71とN型半導体領域72との表示領域A1側の境界部分に接合領域73が形成され、P型半導体領域71とN型半導体領域72との表示領域A1の反対側の境界部分に接合領域74が形成される。
【0093】
以上、述べたとおり、実施形態2の電気光学装置としての液晶装置300によれば、実施形態1の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0094】
実施形態2の液晶装置300は、表示領域A1の外側に半導体部材70からなるペルチェ素子20を備えた電気光学装置であって、ペルチェ素子20は、それぞれ、半導体部材70に、第1導電型の第1領域としてのP型半導体領域71と、P型半導体領域71と、表示領域A1に沿う方向としてのY1方向に隣り合う第2導電型の第2領域としてのN型半導体領域72aと、P型半導体領域71と、Y1方向の反対方向としてのY2方向に隣り合う第2導電型の第3領域としてのN型半導体領域72bと、P型半導体領域71の表示領域A1側の部分71aとN型半導体領域72bの表示領域A1側の部分72baとが接する第1接合領域としての接合領域73と、P型半導体領域71の表示領域A1の反対側の部分71bとN型半導体領域72aの表示領域A1の反対側の部分72abとが接する第2接合領域としての接合領域74と、を有する。
【0095】
このように、P型半導体領域71とN型半導体領域72aとは、表示領域A1の外側において、Y1方向に隣り合って設けられ、P型半導体領域71とN型半導体領域72bとは、表示領域A1の外側において、Y2方向に隣り合って設けられる。換言すると、ペルチェ素子20は、表示領域A1の外側において、Y1方向に隣り合って設けられる。
【0096】
したがって、ペルチェ素子20の配置ピッチを画素電極10の配置ピッチに関係なく、最適化することができるため、ペルチェ素子20による冷却能力または冷却効率を最大限に高めることができる。
また、ペルチェ素子20は、表示領域A1に配置されないため、表示領域A1に入射する入射光ILが、ペルチェ素子20に当たることがない。よって、入射光ILによってペルチェ素子20の温度が上昇して、液晶層Lcの温度を上昇させることを抑制できる。
【0097】
本実施形態の液晶装置300は、さらに、第1基板しての素子基板100と、素子基板100に対向する第2基板としての対向基板200と、素子基板100と対向基板200とに挟持された電気光学層としての液晶層Lcと、液晶層Lcを囲むように設けられたシール部材8と、を備え、半導体部材70は、平面視で、シール部材8と重なる。
【0098】
このように、半導体部材70は、平面視で、シール部材8と重なる。したがって、表示領域A1の外側において、半導体部材70を効率よく配置することができ、狭額縁化しやすい構成とすることができる。
【0099】
本実施形態の液晶装置300は、さらに、第1基板しての素子基板100と、素子基板100に対向する第2基板としての対向基板200と、を備え、ペルチェ素子20は、素子基板100または対向基板200に設けられる。
【0100】
このように、ペルチェ素子20は、素子基板100または対向基板200に設けられる。換言すると、一組のペルチェ素子20を素子基板100に設け、もう一組のペルチェ素子20を対向基板200に設けてもよい。
したがって、ペルチェ素子20の冷却能力または冷却効率を容易に高めることができる。
【0101】
本実施形態の液晶装置300は、さらに、第1基板としての素子基板100と、素子基板100に対向する第2基板としての対向基板200と、を備え、素子基板100は、複数の端子としての複数の外部端子9と、複数の外部端子9に沿う第1辺としての辺f4と、辺f4と交差する第2辺としての辺f1および第3辺としての辺f3と、辺f4と対向するとともに辺f1および辺f3と交差する第4辺としての辺f2と、を有し、複数のペルチェ素子20は、平面視において、表示領域A1と素子基板100の辺f1との間の領域e1、表示領域A1と素子基板100の辺f2との間の領域e2、および表示領域A1と素子基板100の辺f3との間の領域e3に配列されている。
【0102】
このように、ペルチェ素子20は、平面視において、表示領域A1と素子基板100の辺f1との間の領域e1、表示領域A1と素子基板100の辺f2との間の領域e2、および表示領域A1と素子基板100の辺f3との間の領域e3に配列されている。したがって、冷却能力または冷却効率の高いペルチェ素子20を実現することができる。
【0103】
3.実施形態3
図13は、電子機器の一例を示す模式図であり、電子機器としての投射型表示装置1000の概略構成を示す模式図である。
投射型表示装置1000は、例えば、上述した液晶装置300を3枚備えた3板式のプロジェクターである。液晶装置300Rは赤色の表示色に対応し、液晶装置300Gは緑色の表示色に対応し、液晶装置300Bは青色の表示色に対応する。制御部1005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、液晶装置300R,300G,300Bの動作を制御する。
【0104】
照明光学系1001は、光源である照明装置1002からの出射光のうち赤色成分RLを液晶装置300Rに供給し、緑色成分GLを液晶装置300Gに供給し、青色成分BLを液晶装置300Bに供給する。各液晶装置300R,300G,300Bは、照明光学系1001から供給される各色光RL,GL,BLを表示画像に応じて変調する光変調装置として機能する。
投射光学系1003は、液晶装置300R、液晶装置300G、および液晶装置300Bからの出射光を合成してスクリーン1004に投射する。
【0105】
以上、述べたとおり、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、上述した液晶装置300を備える。
よって、電気的な信頼性の高い液晶装置300を採用することで、投射型表示装置1000の性能を向上させることができる。
【0106】
なお、電子機器は、例示した3板式のプロジェクターに限定されない。例えば、単板式、2板式、または、4枚以上の液晶装置300を備えたプロジェクターであってもよい。また、電子機器は、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、カメラ、テレビ、カーナビゲーション装置、パソコン、ディスプレイ、電子ペーパー、電卓、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器などであってもよい。
【0107】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、上述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0108】
1…トランジスター、2…容量素子、3…走査線、4…データ線、5…容量線、8…シール部材、9…外部端子、10…画素電極、12…配向膜、20…ペルチェ素子、21…P型半導体部材、21a,21b…部分、22…N型半導体部材、22a,22b…部分、23,23a,23b…電極、24…電極、25,26,27,28,29…コンタクトホール、30…下層、40…TFT層、41…半導体層、42…ゲート電極、43…絶縁層、50…中継配線層、51…導電層、52…導電層、53…導電層、54…絶縁層、60…表層、70…半導体部材、71…P型半導体領域、72…N型半導体領域、72a…N型半導体領域、72b…N型半導体領域、73…接合領域、74…接合領域、80…マスク、90…基体、100…素子基板、200…対向基板、210…基体、220…絶縁層、230…レンズ形成層、231…レンズ、232…透光層、240…表層、250…共通電極、260…配向膜、300,300B,300G,300R…液晶装置、1000…投射型表示装置、1001…照明光学系、1002…照明装置、1003…投射光学系、1004…スクリーン、1005…制御部、A1…表示領域、A2…周辺領域、E1…画像信号、G1…走査信号、e1,e2,e3,e4…領域、f1,f2,f3,f4…辺