(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179833
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電圧変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H02M3/155 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099044
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 雅文
(72)【発明者】
【氏名】池田 航介
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD03
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD41
5H730FD51
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】入力端と出力端の間に複数の電圧コンバータ回路が並列に接続された電圧変換装置において、各電圧コンバータ回路の電流センサ(副電流センサ)の精度を高める。
【解決手段】電圧変換装置は入力端に流れる電流を計測する主電流センサを備える。主電流センサの計測精度は副電流センサの計測精度よりも高い。コントローラは、それぞれの副電流センサの補正係数を以下の手順で調整する。コントローラは、特定の電圧コンバータ回路を駆動しつつ残りの電圧コンバータ回路は停止する。その状態でコントローラは、入力端に流れる電流を徐々に増やしつつ、主電流センサの計測値を取得するとともに特定の電圧コンバータ回路(唯一動作させている電圧コンバータ回路)の副電流センサの計測値を取得する。コントローラは、特定の電圧コンバータ回路の副電流センサの計測値に補正係数を乗じた値が主電流センサの計測値に一致するように補正係数を特定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端と、
出力端と、
前記入力端に流れる電流を計測する主電流センサと、
前記入力端と前記出力端の間に並列に接続されている複数の電圧コンバータ回路であって、それぞれが自身に流れる電流を計測する副電流センサを備えている複数の電圧コンバータ回路と、
前記入力端に流れる電流を制御するコントローラと、
を備えており、
前記主電流センサの計測精度は全ての前記副電流センサの計測精度よりも高く、
前記コントローラは、
特定の前記電圧コンバータ回路を駆動しつつ残りの前記電圧コンバータ回路は停止し、
前記入力端に流れる電流を徐々に増やしつつ、前記主電流センサの計測値を取得するとともに前記特定の電圧コンバータ回路の前記副電流センサの計測値を取得し、
前記特定の電圧コンバータ回路の前記副電流センサの計測値に補正係数を乗じた値が前記主電流センサの計測値に一致するように前記補正係数を特定し、
複数の前記電圧コンバータ回路を同時に駆動する場合、それぞれの前記電圧コンバータ回路の前記副電流センサの計測値に、対応する前記補正係数を乗じた値をそれぞれの前記電圧コンバータ回路を流れる電流の値として取得する、
電圧変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、複数の電圧コンバータ回路が並列に接続された電圧変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充電装置などの電気機器は電流センサを備える場合がある。特許文献1には、バッテリに流れる電流を計測する電流センサを備える蓄電システムが開示されている。コントローラは、電流センサの計測値をモニタしつつ、バッテリに充電される電力を調整する。
【0003】
電流センサの計測値が正確でないと、バッテリの充電量が正しく把握できない。特許文献1には、電流センサの補正係数を調整する技術が開示されている。なお、本明細書における補正係数とは、電流センサを流れる実際の電流の値と、電流センサの計測値との間の比例係数を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大電力を扱えるように、複数の電圧コンバータ回路を並列に接続した電圧変換装置が知られている。それぞれの電圧コンバータ回路は電流センサを備える。電流センサの計測値が正確でないと、複数の電圧コンバータ回路に均等に電流が流れるように制御しても、実際にはいずれかの電圧コンバータ回路に電流が集中してしまうおそれがある。あるいは、それぞれの電圧コンバータ回路で電流フィードバック制御を行う場合も電流センサの計測値が正確でないと十分なフィードバック制御性能が得られない。本明細書は、電流センサを備える複数の電圧コンバータ回路が並列に接続された電圧変換装置に関し、複数の電流センサの計測精度を高める技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する電圧変換装置は、入力端、出力端、入力端に流れる電流を計測する主電流センサ、入力端と出力端の間に並列に接続されている複数の電圧コンバータ回路、コントローラを備える。それぞれの電圧コンバータ回路は、自身に流れる電流を計測する副電流センサを備える。コントローラは、入力端に流れる電流を制御することができる。主電流センサの計測精度は全ての副電流センサの計測精度よりも高い。
【0007】
コントローラは、それぞれの副電流センサの補正係数を以下の手順で調整する。コントローラは、特定の電圧コンバータ回路を駆動しつつ残りの電圧コンバータ回路は停止する。その状態でコントローラは、入力端に流れる電流を徐々に増やしつつ、主電流センサの計測値を取得するとともに特定の電圧コンバータ回路(唯一動作させている電圧コンバータ回路)の副電流センサの計測値を取得する。コントローラは、特定の電圧コンバータ回路の副電流センサの計測値に補正係数を乗じた値が主電流センサの計測値に一致するように補正係数を特定する。この処理を全ての電圧コンバータ回路に対して実行すると、全ての副電流センサの補正係数が主電流センサの計測値を基準として特定される。コントローラは、複数の電圧コンバータ回路を同時に駆動する場合、それぞれの電圧コンバータ回路の副電流センサの計測値に、対応する補正係数を乗じた値をそれぞれの電圧コンバータ回路を流れる電流の値として取得する。
【0008】
本明細書が開示する技術では、一つの高精度な主電流センサの計測値に基づいて複数の副電流センサの補正係数が特定される。それゆえ、複数の副電流センサの計測精度が高い精度で揃う。
【0009】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】コントローラが実行する補正係数特定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して実施例の電圧変換装置2を説明する。電圧変換装置2は、低電圧端21に入力された電圧を昇圧して高電圧端22から出力する機能と、高電圧端22に入力された電圧を降圧して低電圧端21から出力する降圧機能を有する。電圧変換装置2は、いわゆる双方向DC-DCコンバータである。ただし、本実施例では、低電圧端21に直流電源101が接続され、高電圧端22にはバッテリ102が接続され、電圧変換装置2は直流電源101の出力電圧を昇圧してバッテリ102へ送り、バッテリ102を充電する。すなわち、本実施例では電圧変換装置2は昇圧コンバータとしてのみ機能する。それゆえ、低電圧端21を以下では入力端21と称し、高電圧端22を以下では出力端22と称する。
【0012】
電圧変換装置2の回路について説明する。電圧変換装置2は、並列に接続された4個の電圧コンバータ回路10a-10dと、電圧コンバータ回路10a-10dを制御するコントローラ20と、電圧センサ18a、18bと、電流センサ23を備える。なお、
図1において、点線矢印線は信号線を表す。すなわち、コントローラ20は電圧コンバータ回路10a-10dと通信を行うことができるとともに、直流電源101とも通信する。
【0013】
電圧コンバータ回路10aについて説明する。電圧コンバータ回路10aは、低電圧端11に印加された電圧を昇圧して高電圧端12から出力する昇圧機能と、高電圧端12に印加された電圧を降圧して低電圧端11から出力する降圧機能を有する。電圧コンバータ回路10aはいわゆる双方向DC-DCコンバータ回路である。しかし本実施例では、電圧コンバータ回路10aの昇圧機能のみを使う。
【0014】
電圧コンバータ回路10aは、2個のスイッチング素子(上スイッチング素子15aと下スイッチング素子15b)と、2個のダイオード16a、16bと、リアクトル14と、2個のコンデンサ17a、17bと、電流センサ19を備える。なお、説明の便宜上、電圧コンバータ回路10aが有する電流センサ19を副電流センサ19と称し、電圧変換装置2の入力端21に接続されている電流センサ23を主電流センサ23と称して両者を区別する。
【0015】
上スイッチング素子15aと下スイッチング素子15bは、高電圧端12とグランド線13の間に直列に接続されている。上スイッチング素子15aが高電圧端12に接続されており、下スイッチング素子15bがグランド線13に接続されている。上スイッチング素子15aと下スイッチング素子15bは、電圧変換用の素子であり、パワートランジスタと呼ばれることがある。上スイッチング素子15aと下スイッチング素子15bの一例は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0016】
上スイッチング素子15aにダイオード16aが逆並列に接続されており、下スイッチング素子15bにダイオード16bが逆並列に接続されている。ダイオード16a、16bは、グランド線13から高電圧端12への電流は通すが逆方向には電流を通さない。
【0017】
リアクトル14は、2個のスイッチング素子15a、15bの直列接続の中点と、低電圧端11の間に接続されている。コンデンサ17aは、低電圧端11とグランド線13の間に接続されており、コンデンサ17bは高電圧端12とグランド線13の間に接続されている。コンデンサ17a、17bは、電圧コンバータ回路10aに流れる電流の脈動を抑えるために備えられている。
【0018】
電圧センサ18aは、低電圧端11の電圧(低電圧端11とグランド線13の間の電圧)を計測する。電圧センサ18bは、高電圧端12の電圧(高電圧端12とグランド線13の間の電圧)を計測する。副電流センサ19はリアクトル14に流れる電流(すなわち電圧コンバータ回路10a自身に流れる電流)を計測する。別言すれば、副電流センサ19は、入力端21を通じて自身の電圧コンバータ回路10に流れ込む電流を計測する。電圧センサ18a、18b、副電流センサ19の計測値はコントローラ20に送られる。
【0019】
上スイッチング素子15aを適宜にオンオフすると、高電圧端12に印加された電圧が降圧されて低電圧端11から出力される。下スイッチング素子15bを適宜にオンオフすると、低電圧端11に印加された電圧が昇圧されて高電圧端12から出力される。上スイッチング素子15aと下スイッチング素子15bは、スイッチング素子をオンに保持するHIGH電位と、オフに保持するLOW電位の二値が繰り返されるPWM信号(パルス幅変調信号)で駆動される。下スイッチング素子15bに与えるPWM信号の反転信号を上スイッチング素子15aに与えると、電圧コンバータ回路10aは、低電圧端11と高電圧端12がPWM信号で定まる電圧比を保持するように、昇圧動作と降圧動作が自動的に切り替わる。だだし、先に述べたように、本実施例では、電圧コンバータ回路10aは、昇圧動作のみを行うように、上スイッチング素子15aは常にオフに保持される。下スイッチング素子15bに与えるPWM信号のデューティ比により、昇圧比(低電圧端11の電圧に対する高電圧端12の電圧の比)が定まる。
図1の電圧コンバータ回路10aの構造と動作はよく知られているので、詳しい説明は割愛する。
【0020】
電圧コンバータ回路10b-10dの回路構成は電圧コンバータ回路10aと同じであるので説明は割愛する。4個の電圧コンバータ回路10a-10dを並列に接続し、同時並列に駆動することで、電圧変換装置2は、大電力を扱える。以下では、複数の電圧コンバータ回路10a-10dのいずれかを区別なく表すとき、あるいは、全ての電圧コンバータ回路10a-10dを総称するとき、電圧コンバータ回路10と称する場合がある。
【0021】
コントローラ20は、4個の電圧コンバータ回路10を同時並列に駆動する。本実施例では、コントローラ20は、4個の電圧コンバータ回路10を同時並列に駆動し、直流電源101の出力電圧を昇圧し、直流電源101の電力でバッテリ102を充電する。例えば、直流電源101の出力電圧は400ボルトであり、バッテリ102の電圧が800ボルトの場合、コントローラ20は、昇圧比(「出力端22の電圧」/「入力端21の電圧」)が2.0となるように、4個の電圧コンバータ回路10を駆動する。
【0022】
コントローラ20は、4個の電圧コンバータ回路10a-10dのそれぞれの副電流センサ19の計測値をモニタし、4個の電圧コンバータ回路10a-10dに均等に電流が流れるように、4個の電圧コンバータ回路10a-10dを制御する。
【0023】
4個の電圧コンバータ回路10a-10dに均等に電流が流れるようにするには、4個の副電流センサ19の計測精度が高くなければならない。コントローラ20は、主電流センサ23を用いて、4個の副電流センサ19の補正係数を特定する。ここで、補正係数とは、電流センサを流れる実際の電流と、電流センサの出力値(計測値)との間の比例係数を意味する。
【0024】
図2に、補正係数特定処理のフローチャートを示す。コントローラ20は、定期的に補正係数調整処理を実施する。なお、主電流センサ23の計測精度は全ての副電流センサ19の計測精度よりも高い。主電流センサ23は、入力端21に流れる電流を計測する。
【0025】
図2を参照しつつ、補正係数調整処理を説明する。実施例の電圧変換装置2では4個の電圧コンバータ回路10a-10dが並列に接続されている。
図2ではより一般的に、並列に接続された電圧コンバータ回路の数を記号「N」で表している。Nは2以上の自然数であればよい。
【0026】
先に述べたように、バッテリ102を充電する際には、コントローラ20は、全ての電圧コンバータ回路10を同時並列に駆動する。一方、補正係数特定処理の場合は、コントローラ20は、特定の電圧コンバータ回路(i番目の電圧コンバータ回路)のみを駆動し、他の電圧コンバータ回路を停止した状態で、特定の電圧コンバータ回路の副電流センサ19の補正係数を特定する。
【0027】
1個の電圧コンバータ回路に過大な電流が流れないように、コントローラ20は、まず、電圧変換装置2に流れる電流を制限する(ステップS12)。具体的にはコントローラ20は、直流電源101の出力電流が所定の最大電流Imaxを超えないように、直流電源101へ指令を送る。最大電流Imaxは、1個の電圧コンバータ回路10が許容し得る電流値に設定されている。
【0028】
次にコントローラ20は、プログラム内の変数iに「1」をセットする(ステップS13)。変数iは、特定の電圧コンバータ回路10を指す。コントローラ20は、ステップS14からS19までの処理を全ての電圧コンバータ回路10のそれぞれに対して実行する。
【0029】
コントローラ20は、i番目の電圧コンバータ回路10を駆動し、他の電圧コンバータ回路10を停止する(ステップS14)。すなわち、第i番目の電圧コンバータ回路10の副電流センサ19の補正係数が特定対象となる。「i番目の電圧コンバータ回路10」が「特定の電圧コンバータ回路10」に相当する。
【0030】
コントローラ20は、電圧変換装置2に流れる電流をゼロにする(ステップS15)。具体的には、コントローラ20は、直流電源101に対して出力を一時的に止めるように指令を出す。
【0031】
続いてコントローラ20は、電圧変換装置2に流れる電流を1ステップ分増加させる(ステップS16)。ここで、「1ステップ分の電流」とは、最大電流Imaxよりも小さい値であり、予めプログラム内で定められている。「1ステップ分の電流」は、例えば、最大電流Imaxの1/10に設定されている。コントローラ20は、直流電源101に対して、出力電流を1ステップ分増加するように指令を出す。
【0032】
続いて、コントローラ20は、主電流センサ23の計測値Imと、i番目の電圧コンバータ回路10の副電流センサ19の計測値Isを取得する(ステップS17)。なお、i番目以外の電圧コンバータ回路10は停止しているので、入力端21に流れる電流と、i番目の電圧コンバータ回路10に流れる電流は等しい。ただし、計測値Imと計測値Isは異なる場合がある。それぞれの電流センサの計測精度が異なるからである。
【0033】
コントローラ20は、i番目の電圧コンバータ回路10の副電流センサ19の補正係数Ceとして、Ce=Im/Isを計算し、補正係数Ceを記憶する(ステップS18)。先の補正係数の数式から、Is×Ce=Imとなる。補正係数Ceは、副電流センサ19の計測値Isから主電流センサ23の計測値Imを求めるための比例係数に相当する。主電流センサ23の計測精度は副電流センサ19の計測精度よりも高い。主電流センサ23の計測値Imを正しい電流値と仮定し、副電流センサ19の計測値Isを、正しい電流値(すなわち主電流センサ23の計測値Im)に補正するための比例係数が補正係数Ceである。別言すれば、コントローラ20は、i番目の電圧コンバータ回路10の副電流センサ19の計測値Isに補正係数Ceを乗じた値が主電流センサ23の計測値Imに一致するように補正係数Ceを特定する。
【0034】
コントローラ20は、主電流センサ23の計測値Imが最大電流Imaxになるまで、電圧変換装置2に流れる電流(すなわちi番目の電圧コンバータ回路10に流れる電流)を1ステップずつ徐々に増やしつつ、1ステップ毎に補正係数Ceを算出する(ステップS19:NO、S16)。
【0035】
コントローラ20は、ステップS14からS20までの処理を、N個の電圧コンバータ回路10のそれぞれに対して行う(ステップS20:NO、S21、S14)。コントローラ20は、全ての電圧コンバータ回路10の補正係数Ceを特定したら処理を終了する(ステップS20:YES、エンド)。
【0036】
こうしてコントローラ20は、全ての電圧コンバータ回路10の副電流センサ19に対して、主電流センサ23の計測値Imを基準とした補正係数Ceを特定する。図示は省略しているが、
図2の処理を終了する前に、コントローラ20は、ステップS12で電圧変換装置2に課した電流制限を解除する。
【0037】
直流電源101でバッテリ102を充電する際、コントローラ20は全ての電圧コンバータ回路10を同時に駆動させる。このとき、コントローラ20は、それぞれの電圧コンバータ回路10の副電流センサ19の計測値Isに、対応する補正係数Ceを乗じた値をそれぞれの電圧コンバータ回路10を流れる電流の値として取得する。そして、コントローラ20は、複数の電圧コンバータ回路10に流れる電流が均一になるように、各電圧コンバータ回路10を制御する。
【0038】
電圧変換装置2は、一つの高精度の電流センサ(主電流センサ23)の計測値を基準として複数の副電流センサ19の補正係数Ceを決定する。それゆえ、複数の電圧コンバータ回路10のそれぞれを流れる電流が同等の計測精度で得られる。
【0039】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。
図2のフローチャートにおいて、コントローラ20は、電圧変換装置2に流れる電流を1ステップ分増加する毎に補正係数Ceを算出する(ステップS16-S18)。コントローラ20は、副電流センサ19の個々の計測値Imに対応する補正係数Ceを個別に記憶してもよい。別言すれば、コントローラ20は、計測値Imの大きさをパラメータとした補正係数Ceを記憶する。その場合、全ての電圧コンバータ回路10を駆動する際には、計測値Imの大きさに対応した補正係数Ceを用いる。
【0040】
あるいは、コントローラ20は、電圧変換装置2に流れる電流を1ステップ分増加する毎に補正係数Ceを算出した後、全ての補正係数Ceの平均値を、副電流センサ19の補正係数として記憶してもよい。別言すれば、コントローラ20は、一つの副電流センサ19に対して一つの補正係数Ceを特定する。その場合、コントローラ20は、複数の電圧コンバータ回路10を同時に駆動する際、副電流センサ19の計測値Isの大きさに関わらず、計測値Isに補正係数Ceを乗じて正確な電流値を得る。
【0041】
図1に示した電圧コンバータ回路10の回路構成は一例である。電圧コンバータ回路は、自身を流れる電流を計測する副電流センサ19を備えていればよく、
図1とは異なる回路構成であってもよい。
【0042】
実施例の電圧変換装置2は、入力端21を流れる電流を計測する主電流センサ23を備えている。主電流センサ23は、直流電源101の内部の回路に組み込まれていてもよい。あるいは、主電流センサ23は、出力端22の側に配置されていてもよい。出力端22の側に配置された主電流センサ23の計測値から入力端21を流れる電流を一意に特定できるからである。出力端22の側に配置されていても、主電流センサ23は、「入力端21に流れる電流を計測する電流センサ」に相当する。
【0043】
出力端22の側に配置された主電流センサ23は、バッテリ102に組み込まれているものであってもよい。すなわち、入力端21を流れる電流を計測する主電流センサ23は、入力端21に接続されるデバイスあるいは出力端22に接続されるデバイスに組み込まれていてもよい。
【0044】
電圧変換装置2は、バッテリ102の充電以外の他の目的にも適用可能である。電圧変換装置2は、並列に接続された複数の降圧コンバータ回路を備えていてもよい。電圧変換装置2が降圧コンバータである場合、高電圧端が入力端に相当し、低電圧端が出力端に相当する。
【0045】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
2:電圧変換装置 10、10a-10d:電圧コンバータ回路 11、21::低電圧端 12、22:高電圧端 13:グランド線 14:リアクトル 15a、15b:スイッチング素子 16a、16b:ダイオード 17a、17b:コンデンサ 18a、18b:電圧センサ 19:副電流センサ 20:コントローラ 23:主電流センサ 101:直流電源 102:バッテリ