(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179842
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06V 10/22 20220101AFI20241219BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20241219BHJP
G06T 7/49 20170101ALI20241219BHJP
【FI】
G06V10/22
H04N1/387 200
G06T7/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099059
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光森 仁哉
(72)【発明者】
【氏名】阿嘉 辰貴
(72)【発明者】
【氏名】森田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺田 美香
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096DA03
5L096FA44
(57)【要約】
【課題】書類に対するサインの記入有無を効率的に判別する。
【解決手段】処理部12は、複数の用紙を含む書類30のスキャン指示を受け付けると、書類30の1枚目の用紙に表記されている第1のコード情報を読み取る。処理部12は、第1のコード情報に対応するサイン用紙の順番とサイン用紙におけるサイン箇所の座標情報とサイン箇所へのサインが必須か任意かを示す制御情報とを記憶部11から取得する。処理部12は、第1の書類に含まれる複数の用紙それぞれに対するスキャン処理を順に実行し、サイン用紙の順番に達すると、座標情報および制御情報に基づいてサインが必須であるサイン箇所41aをサイン用紙の画像41から特定する。処理部12は、サイン箇所41aにサインがあるか否かを判定する。処理部12は、サイン箇所41aにサインがないと判定するとエラーを出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
複数の用紙を含む第1の書類のスキャン指示を受け付けると、前記第1の書類の1枚目の用紙に表記されている第1のコード情報を読み取り、
複数のコード情報それぞれに対応付けて、当該コード情報に対応する書類のうちのサインが記入されるサイン用紙が先頭の用紙から何枚目かを示す順番と、当該サイン用紙におけるサイン箇所の座標情報と、前記サイン箇所に対するサインが必須か任意かを表す制御情報とを記憶する記憶部から、前記第1のコード情報に対応する前記サイン用紙の順番と前記座標情報と前記制御情報とを取得し、
前記第1の書類に含まれる前記複数の用紙それぞれに対するスキャンを順に実行し、前記サイン用紙の順番に達すると、前記座標情報および前記制御情報に基づいてサインが必須である第1のサイン箇所を前記サイン用紙の画像から特定し、前記第1のサイン箇所にサインがあるか否かを判定し、前記第1のサイン箇所にサインがないと判定するとエラーを出力する、
処理を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記エラーの出力では、必須のサインが記入されていない前記サイン用紙の画像に関連付けて第1のエラーメッセージを出力するとともに、前記第1の書類において必須のサインが記入されていない前記サイン用紙があることを示す第2のエラーメッセージを出力する、
処理を前記コンピュータに実行させる請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記サイン用紙には、前記サイン用紙であることを示すマークが予め印字されており、
前記記憶部から取得した前記サイン用紙の順番に対応する用紙の画像に、前記マークが含まれるか否かを判定し、前記マークが含まれない場合、前記サイン用紙を検出できないことを示すエラーを出力する、
処理を前記コンピュータに実行させる請求項1記載のプログラム。
【請求項4】
前記座標情報および前記制御情報に基づいて、前記第1のサイン箇所に関連付けられる第2のサイン箇所であって、サインが任意である前記第2のサイン箇所を、前記サイン用紙の画像または前記第1の書類に含まれる他のサイン用紙の画像から特定し、
前記第1のサイン箇所にサインを記入する署名者の属性情報に基づいて、前記第2のサイン箇所をサインが必須である前記サイン箇所として扱うか否かを判定する、
処理を前記コンピュータに実行させる請求項1記載のプログラム。
【請求項5】
前記属性情報は、前記署名者の年齢である、
請求項4記載のプログラム。
【請求項6】
コンピュータが、
複数の用紙を含む第1の書類のスキャン指示を受け付けると、前記第1の書類の1枚目の用紙に表記されている第1のコード情報を読み取り、
複数のコード情報それぞれに対応付けて、当該コード情報に対応する書類のうちのサインが記入されるサイン用紙が先頭の用紙から何枚目かを示す順番と、当該サイン用紙におけるサイン箇所の座標情報と、前記サイン箇所に対するサインが必須か任意かを表す制御情報とを記憶する記憶部から、前記第1のコード情報に対応する前記サイン用紙の順番と前記座標情報と前記制御情報とを取得し、
前記第1の書類に含まれる前記複数の用紙それぞれに対するスキャンを順に実行し、前記サイン用紙の順番に達すると、前記座標情報および前記制御情報に基づいてサインが必須である第1のサイン箇所を前記サイン用紙の画像から特定し、前記第1のサイン箇所にサインがあるか否かを判定し、前記第1のサイン箇所にサインがないと判定するとエラーを出力する、
情報処理方法。
【請求項7】
複数のコード情報それぞれに対応付けて、当該コード情報に対応する書類のうちのサインが記入されるサイン用紙が先頭の用紙から何枚目かを示す順番と、当該サイン用紙におけるサイン箇所の座標情報と、前記サイン箇所に対するサインが必須か任意かを表す制御情報とを記憶する記憶部と、
複数の用紙を含む第1の書類のスキャン指示を受け付けると、前記第1の書類の1枚目の用紙に表記されている第1のコード情報を読み取り、前記第1のコード情報に対応する前記サイン用紙の順番と前記座標情報と前記制御情報とを前記記憶部から取得し、前記第1の書類に含まれる前記複数の用紙それぞれに対するスキャンを順に実行し、前記サイン用紙の順番に達すると、前記座標情報および前記制御情報に基づいてサインが必須である第1のサイン箇所を前記サイン用紙の画像から特定し、前記第1のサイン箇所にサインがあるか否かを判定し、前記第1のサイン箇所にサインがないと判定するとエラーを出力する処理部と、
を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプログラム、情報処理方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、紙文書を電子化して保存する情報処理システムが利用されている。例えば、病院等での診療において、回送された紙の文書に印字された内容情報および識別情報を読み込むとともに、電子カルテと関連付けを行う医療管理装置の提案がある。
【0003】
また、医療行為を実施する際に必要となる帳票の管理を行う医療帳票管理システムの提案もある。提案の医療帳票管理システムは、帳票に対する署名の完了状況を示す情報を患者毎に表示し、帳票に対する署名の実行に応じて署名の完了状況を示す情報を更新する。
【0004】
なお、ペンなどによって紙に記入されたストロークを記入時刻、記入者などの情報も含めて電子的に管理する回覧文書管理システムの提案がある。提案の回覧文書管理システムは、ストロークに承認状況を表す属性を付けることによって、ストローク単位で承認状況を把握可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-205477号公報
【特許文献2】特開2017-191514号公報
【特許文献3】特開2008-20974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の用紙がまとめられて1つの書類として管理されることがある。また、書類に含まれる複数の用紙のうちの一部の用紙にサインが記入されることがある。例えば、医療現場で用いられる書類には、患者への医療行為の説明用紙や患者のサインの記入用紙など、複数の用紙が含まれ得る。また、使用される書類には複数の種類がある。書類の内の何枚目にサイン用紙があるか、当該サイン用紙の何れの位置にサインが記入されるべき箇所があるかなどは、書類の種類ごとに相違し得る。
【0007】
このため、書類に含まれる複数の用紙の電子化の作業を行う作業者にとって、当該書類に対して記入されるべきサインが適切に記入されているか否かの判断は容易でないという問題がある。
【0008】
1つの側面では、本発明は、書類に対するサインの記入有無を効率的に判別可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、プログラムが提供される。このプログラムは、コンピュータに次の処理を実行させる。コンピュータは、複数の用紙を含む第1の書類のスキャン指示を受け付けると、第1の書類の1枚目の用紙に表記されている第1のコード情報を読み取る。コンピュータは、複数のコード情報それぞれに対応付けて、当該コード情報に対応する書類のうちのサインが記入されるサイン用紙が先頭の用紙から何枚目かを示す順番と、当該サイン用紙におけるサイン箇所の座標情報と、サイン箇所に対するサインが必須か任意かを表す制御情報とを記憶する記憶部から、第1のコード情報に対応するサイン用紙の順番と座標情報と制御情報とを取得する。コンピュータは、第1の書類に含まれる複数の用紙それぞれに対するスキャンを順に実行し、サイン用紙の順番に達すると、座標情報および制御情報に基づいてサインが必須である第1のサイン箇所をサイン用紙の画像から特定し、第1のサイン箇所にサインがあるか否かを判定し、第1のサイン箇所にサインがないと判定するとエラーを出力する。
【0010】
また、1つの態様では、コンピュータが実行する情報処理方法が提供される。また、1つの態様では、記憶部と処理部とを有する情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
1つの側面では、書類に対するサインの記入有無を効率的に判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態の情報処理装置を説明する図である。
【
図2】第2の実施の形態の情報処理システムの例を示す図である。
【
図6】書類の先頭用紙に印字されるコードの例を示す図である。
【
図8】メイン処理の例を示すフローチャートである。
【
図9】サインチェック処理の例を示すフローチャートである。
【
図10】サインエリア画像における輝度値の分布の例を示す図である。
【
図11】サインエリア画像の加工例を示す図である。
【
図12】端末装置に表示される画面の例を示す図である。
【
図13】取込イメージ一覧画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、第1の実施の形態の情報処理装置を説明する図である。
情報処理装置10は、スキャナ20に接続される。スキャナ20は、書類30のスキャンに用いられる。書類30は、複数の用紙を含む。当該複数の用紙は、所定の人物のサインが記入されるサイン用紙を含む。書類30に含まれる複数の用紙それぞれは、スキャナ20により順番に読み取られ、画像化される。
【0015】
情報処理装置10は、記憶部11および処理部12を有する。記憶部11は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の半導体メモリでもよいし、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発性ストレージでもよい。処理部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサである。ただし、処理部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの特定用途の電子回路を含んでもよい。プロセッサは、RAMなどのメモリ(記憶部11でもよい)に記憶されたプログラムを実行する。複数のプロセッサの集合を「マルチプロセッサ」または単に「プロセッサ」と言うことがある。
【0016】
記憶部11は、書式情報11aを記憶する。書式情報11aは、コード情報に対応付けて、サイン用紙順序、サイン箇所座標情報および制御情報を保持する。コード情報は、書類を識別する識別子である。書類のコード情報は、書類の1枚目に記載されているコードから読み取られる。書類の1枚目に記載されるコードは、コード情報に対応する1次元バーコードや2次元バーコードなどでもよいし、コード情報そのものを示す文字列などでもよい。
【0017】
サイン用紙順序は、該当の書類における先頭の用紙から数えてサイン用紙が何番目の用紙であるかを示す順番である。当該順番はサイン用紙のページ番号であるとも言える。サイン箇所座標情報は、当該サイン用紙におけるサイン箇所の位置を示す座標情報である。サイン箇所は、サイン用紙において、サインの記入用に設けられている領域である。サイン箇所は、サイン記入欄とも言える。座標情報は、サイン用紙の画像の所定の基準点を原点とした2次元座標となる。例えば、サイン箇所は、当該サイン箇所に相当する矩形領域の対角の2つの頂点により定義される。制御情報は、サイン箇所座標情報で示されるサイン箇所へのサインの記入が、該当の書類にとって必須であるか任意であるかを示す。
【0018】
例えば、書式情報11aは、コード情報「a11」、サイン用紙順序「b11」、サイン箇所座標情報「c11」、制御情報「必須」のレコードを有する。また、書式情報11aは、コード情報「a11」、サイン用紙順序「b11」、サイン箇所座標情報「c12」、制御情報「任意」のレコードを有する。これらのレコードは、コード情報「a11」の書類におけるサイン用紙順序「b11」で特定されるサイン用紙が、2つのサイン箇所を有することを示す。
【0019】
また、書式情報11aは、コード情報「a21」、サイン用紙順序「b21」、サイン箇所座標情報「c21」、制御情報「必須」のレコードを有する。また、書式情報11aは、コード情報「a21」、サイン用紙順序「b22」、サイン箇所座標情報「c22」、制御情報「任意」のレコードを有する。これらのレコードは、コード情報「a21」の書類が2枚のサイン用紙を有すること、それら2枚のサイン用紙それぞれが1つずつサイン箇所を有することを示す。
【0020】
まず、処理部12は、書類30のスキャン指示を受け付ける。すると、スキャナ20を用いて、書類30に含まれる1枚目の用紙に表記されている第1のコード情報を読み取る。例えば、書類30の1枚目の用紙には、コード31が印字されている。処理部12は、スキャナ20からコード31の画像を取得し、コード31の画像に基づいて第1のコード情報を読み取る。
【0021】
処理部12は、記憶部11から、第1のコード情報に対応するサイン用紙の順番とサイン箇所の座標情報と制御情報とを取得する。サイン箇所の座標情報は、書式情報11aのサイン箇所座標情報に相当する。また、当該サイン箇所の制御情報は、書式情報11aの制御情報に相当する。例えば、第1のコード情報は「a11」である。この場合、書類30に対応するサイン用紙の順番は、書類30の1枚目の用紙から数えて「b11」番目である。また、当該サイン用紙の座標情報「c11」に対応するサイン箇所へのサインの記入は「必須」である。当該サイン用紙の座標情報「c12」に対応するサイン箇所へのサインの記入は「任意」である。
【0022】
処理部12は、書類30に含まれる複数の用紙それぞれに対するスキャンを順に実行し、サイン用紙の順番に達すると、取得した座標情報および制御情報に基づいてサインが必須であるサイン箇所を、サイン用紙の画像から特定する。例えば、処理部12は、書類30に含まれる複数の用紙それぞれに対する、スキャナ20を用いたスキャンを順に実行することで、複数の用紙の1枚目から順に、各用紙の画像を得る。
【0023】
そして、処理部12は、当該複数の用紙のうちのサイン用紙に対応する画像41に達したことを検知する。例えば、画像41は、サイン箇所41a,41bを有する。サイン箇所41aは、座標情報「c11」により特定され、サインの記入が必須なサイン箇所である。サイン箇所41bは、座標情報「c12」により特定され、サインの記入が必須ではないサイン箇所である。処理部12は、第1のコード情報に対して取得した座標情報および制御情報に基づいて、画像41のうち、サインが必須であるサイン箇所41aを特定する。
【0024】
処理部12は、サインの記入が必須であるサイン箇所41aにサインがあるか否かを判定する。処理部12は、サイン箇所41aにおけるサインの有無の判定には、所定の手法を用いることができる。例えば、処理部12は、サイン箇所41aに相当する画像の2値化やサイン箇所41aに予め含まれる枠線や下線などの余計な線の除去などの加工を行い、加工後の当該画像における黒色画素の割合を閾値と比較することで、サインの有無の判定を行う。この場合、処理部12は、サイン箇所41aの加工後の画像の全画素数に対する黒色画素数の割合が閾値より大きければサインがあると判定し、黒色画素数の割合が閾値以下であればサインがないと判定する。そして、処理部12は、サイン箇所41aにサインがないと判定すると、エラーを出力する。
【0025】
ユーザは、情報処理装置10により出力されたエラーを確認することで、書類30に対して必須のサインが記入されていないことを把握する。この場合、ユーザは、書類30へのサインの記入が行われた後に、再度、書類30のスキャンを情報処理装置10に実行させる。
【0026】
処理部12は、書類30に対してスキャナ20により得られた画像群において、必須のサインが全て記入されていると判定すると、例えば、当該画像群をまとめて1つの書類データとして記憶部11に格納する。処理部12は、ネットワークを介して、電子文書を一元管理する他の情報処理装置に、当該書類データを送信してもよい。なお、
図1では、当該他の情報処理装置の図示は省略されている。
【0027】
第1の実施の形態の情報処理装置10によれば、複数の用紙を含む第1の書類のスキャン指示を受け付けると、第1の書類の1枚目の用紙に表記されている第1のコード情報が読み取られる。書式情報11aを記憶する記憶部11から、第1のコード情報に対応するサイン用紙の順番とサイン用紙におけるサイン箇所の座標情報と当該サイン箇所に対するサインが必須か任意かを表す制御情報とが取得される。第1の書類に含まれる複数の用紙それぞれに対するスキャンが順に実行され、サイン用紙の順番に達すると、座標情報および制御情報に基づいてサインが必須である第1のサイン箇所がサイン用紙の画像から特定される。第1のサイン箇所にサインがあるか否かが判定され、第1のサイン箇所にサインがないと判定されるとエラーが出力される。
【0028】
これにより、情報処理装置10は、複数の用紙を含む書類に対するサインの記入有無を効率的に判別できる。また、ユーザは、情報処理装置10により出力されるエラーの有無を確認することで、該当の書類に対して記入されるべきサインが適切に記入されているか否かを容易に判断可能になる。すなわち、情報処理装置10は、書類に対する必須のサインの記入有無のユーザによる確認を効率的に行えるように支援することができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を説明する。
図2は、第2の実施の形態の情報処理システムの例を示す図である。
【0030】
第2の実施の形態の情報処理システムは、病院で作成される書類を電子化し、電子化した書類のデータを一元管理する。第2の実施の形態の情報処理システムは、端末装置100、スキャナ200および管理サーバ300を含む。端末装置100および管理サーバ300は、ネットワーク50に接続される。ネットワーク50は、例えば病院内に敷設されたLAN(Local Area Network)である。スキャナ200は、端末装置100に接続される。
【0031】
端末装置100は、書類の電子化を行う作業者により操作されるクライアントコンピュータである。1つの書類は、複数の用紙を含む。作業者は、作成された書類をスキャナ200にセットし、端末装置100を操作して、書類に含まれる複数の用紙それぞれのイメージ(画像)を端末装置100に取り込める。
【0032】
スキャナ200は、作業者によってセットされた書類に含まれる複数の用紙を1枚ずつ順番に読み取って各用紙のイメージを生成するイメージスキャナである。スキャナ200は、生成したイメージを端末装置100に出力する。
【0033】
管理サーバ300は、端末装置100に取り込まれた書類の各用紙のイメージの登録を受け付け、当該書類の情報に関連付けて各用紙のイメージを保存するサーバコンピュータである。
【0034】
図3は、端末装置のハードウェア例を示す図である。
端末装置100は、プロセッサ101、RAM102、HDD103、GPU104、入力インタフェース105、媒体リーダ106、通信インタフェース107およびスキャナインタフェース108を有する。端末装置100が有するこれらのユニットは、端末装置100の内部でバスに接続されている。プロセッサ101は、第1の実施の形態の処理部12に対応する。RAM102またはHDD103は、第1の実施の形態の記憶部11に対応する。
【0035】
プロセッサ101は、プログラムの命令を実行する演算装置である。プロセッサ101は、例えばCPUである。プロセッサ101は、HDD103に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部をRAM102にロードし、プログラムを実行する。なお、プロセッサ101は複数のプロセッサコアを含んでもよい。また、端末装置100は複数のプロセッサを有してもよい。以下で説明する処理は複数のプロセッサまたはプロセッサコアを用いて並列に実行されてもよい。また、複数のプロセッサの集合を「マルチプロセッサ」または単に「プロセッサ」と言うことがある。
【0036】
RAM102は、プロセッサ101が実行するプログラムやプロセッサ101が演算に用いるデータを一時的に記憶する揮発性の半導体メモリである。なお、端末装置100は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個のメモリを備えてもよい。
【0037】
HDD103は、OS(Operating System)やミドルウェアやアプリケーションソフトウェアなどのソフトウェアのプログラム、および、データを記憶する不揮発性の記憶装置である。なお、端末装置100は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの他の種類の記憶装置を備えてもよく、複数の不揮発性の記憶装置を備えてもよい。
【0038】
GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、端末装置100に接続されたディスプレイ111に画像を出力する。ディスプレイ111としては、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ、有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなど、任意の種類のディスプレイを用いることができる。
【0039】
入力インタフェース105は、端末装置100に接続された入力デバイス112から入力信号を取得し、プロセッサ101に出力する。入力デバイス112としては、マウス、タッチパネル、タッチパッド、トラックボールなどのポインティングデバイス、キーボード、リモートコントローラ、ボタンスイッチなどを用いることができる。また、端末装置100に、複数の種類の入力デバイスが接続されていてもよい。
【0040】
媒体リーダ106は、記録媒体113に記録されたプログラムやデータを読み取る読み取り装置である。記録媒体113として、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)、半導体メモリなどを使用できる。磁気ディスクには、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)やHDDが含まれる。光ディスクには、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)が含まれる。
【0041】
媒体リーダ106は、例えば、記録媒体113から読み取ったプログラムやデータを、RAM102やHDD103などの他の記録媒体にコピーする。読み取られたプログラムは、例えば、プロセッサ101によって実行される。なお、記録媒体113は可搬型記録媒体であってもよく、プログラムやデータの配布に用いられることがある。また、記録媒体113やHDD103を、コンピュータ読み取り可能な記録媒体と言うことがある。
【0042】
通信インタフェース107は、ネットワーク50に接続され、ネットワーク50を介して他の情報処理装置と通信する。通信インタフェース107は、スイッチやルータなどの有線通信装置に接続される有線通信インタフェースでもよいし、基地局やアクセスポイントなどの無線通信装置に接続される無線通信インタフェースでもよい。
【0043】
スキャナインタフェース108は、スキャナ200に接続され、スキャナ200と通信するためのインタフェースである。
なお、管理サーバ300も端末装置100と同様のハードウェアにより実現される。
【0044】
ここで、病院で作成される書類には、患者や医師などのサインが記入されるものがある。例えば、医師は、手術や検査などの医療行為を患者に行う場合、電子カルテなどから、医療行為への同意書を含む書類を印刷し、当該患者への説明後に、患者から同意する旨を表すサインを同意書に記入してもらう。このため、管理サーバ300に登録される書類は、サインが記入されているべき用紙を含み得る。
【0045】
そこで、端末装置100は、書類のスキャン時に、書類に対して記入されているべきサインが適切に記入されているか否かを判定し、作業者に対して当該判定結果を通知する機能を提供する。
【0046】
図4は、端末装置の機能例を示す図である。
端末装置100は、記憶部120、メイン処理部130およびサインチェック処理部140を有する。記憶部120には、RAM102やHDD103の記憶領域が用いられる。メイン処理部130およびサインチェック処理部140は、RAM102に記憶されたプログラムがCPU101により実行されることで実現される。
【0047】
記憶部120は、書式マスタを記憶する。書式マスタは、書類に含まれる用紙の書式を示す情報である。書式マスタは、同意書などのサインが記入される領域を含む用紙、すなわち、サイン用紙における当該領域の位置を特定するための情報を含む。ここで、用紙においてサインが記入される領域、すなわち、サイン箇所はサインエリアと言われる。書式マスタは、サインエリアに対するサインの記入が必須であるか任意であるかを示す情報を含む。書式マスタは、例えば管理サーバ300からダウンロードされて、記憶部120に格納される。
【0048】
メイン処理部130は、メイン処理を行う。メイン処理は、スキャナ200からの各用紙のイメージの取得、サインチェック処理部140によるサインチェック処理の起動、および、サインチェック処理結果の出力を含む。また、メイン処理部130は、スキャンされた書類データの管理サーバ300への登録も行う。
【0049】
サインチェック処理部140は、サインチェック処理を行う。サインチェック処理は、各用紙のイメージおよび記憶部120に記憶された書式マスタに基づいて、書類に含まれるサイン用紙に対するサインの有無を確認する。また、サインチェック処理部140は、該当の書類に対して必須のサインが全て記入されているか否かを判定し、必須のサインが全て記入されていない場合はエラーを出力する。
【0050】
次に書式マスタの例を説明する。
図5は、書式マスタの例を示す図である。
書式マスタ121は、記憶部120に格納される。書式マスタ121は、書類ID(IDentifier)、書類名、総ページ数、サイン用紙ページ、サインエリア番号、サインエリア座標、重要度および署名者の項目を含む。
【0051】
書類IDの項目には、書類の識別情報である書類IDが登録される。書類名の項目には、書類名が登録される。総ページ数の項目には、書類に含まれる用紙の総ページ数が登録される。サイン用紙ページの項目には、書類におけるサイン用紙のページ番号が登録される。サインエリア番号の項目には、該当の用紙におけるサインエリアを識別する番号であるサインエリア番号が登録される。サインエリア座標の項目には、用紙の左上などの所定の基準点を原点としたサインエリアの開始座標と終了座標とが登録される。座標は(x,y)で表される。サインエリアは矩形(長方形)である。例えば、開始座標はサインエリアの用紙に向かって左上の頂点を示す。終了座標はサインエリアの用紙に向かって右下の頂点を示す。重要度の項目にはサインエリアに対するサインが必須であるか任意であるかを示す情報が登録される。署名者の項目には、サインエリアにサインする人物の属性が登録される。人物の属性には、例えば、患者、医師および患者の家族などがある。なお、患者の家族は、単に「家族」と表記される。
【0052】
例えば、書式マスタ121は、書類ID「d1」の書類名「入院診療計画書」の書類に対して、総ページ数「2」、サイン用紙ページ「2」を示す情報を有する。また、書式マスタ121は、書類ID「d1」の書類のサイン用紙ページ「2」に対して、サインエリア番号「1」、サインエリア座標の開始座標「(x1,y1)」、同終了座標「(x2,y2)」、重要度「必須」、署名者「患者」を示す情報を有する。更に、書式マスタ121は、書類ID「d1」の書類のサイン用紙ページ「2」に対して、サインエリア番号「2」、サインエリア座標の開始座標「(x3,y3)」、同終了座標「(x4,y4)」、重要度「必須」、署名者「医師」を示す情報を有する。
【0053】
書式マスタ121は、他の書類に対しても同様に、上記の各項目の情報を有する。
なお、書式マスタ121は、例えばxml(Extensible Markup Language)などのマークアップ言語を用いた構造化データによって表されてもよい。
【0054】
ここで、書類には、当該書類の書類IDに対応する所定のコードが、1ページ目の用紙、すなわち、先頭用紙に印字される。
図6は、書類の先頭用紙に印字されるコードの例を示す図である。
【0055】
図6(A)は、書類60aを例示する。書類60aの先頭用紙61aは、書類60aの書類IDに対応する2次元コード62aを有する。サインチェック処理部140は、先頭用紙61aのイメージに含まれる2次元コード62aに基づいて、書類60aの書類IDを読み取ることができる。2次元コード62aには、例えば、QR(Quick Response)コード(登録商標)などが用いられる。
【0056】
図6(B)は、書類60bを例示する。書類60bの先頭用紙61bは、書類60bの書類IDに対応するバーコード62bを有する。サインチェック処理部140は、先頭用紙61bのイメージに含まれるバーコード62bに基づいて、書類60bの書類IDを読み取ることができる。
【0057】
図7は、サイン用紙の例を示す図である。
サイン用紙70は、署名者によるサインが記入される用紙である。例えば、サイン用紙70は、サインエリア71,72を有する。サイン用紙70の例では、サインエリア71は、患者のサインが記入される領域である。サインエリア72は、医師のサインが記入される領域である。
【0058】
サインチェック処理部140は、サイン用紙70のサインエリアの位置を、書式マスタ121に基づいて特定する。1枚のサイン用紙は、1以上のサインエリアを有する。1つの書類に複数のサイン用紙が含まれることもある。
【0059】
次に、端末装置100の処理手順を説明する。
図8は、メイン処理の例を示すフローチャートである。
(S10)メイン処理部130は、スキャナ200を用いて、スキャナ200にセットされた書類のスキャン処理を行う。
【0060】
(S11)メイン処理部130は、スキャン処理により生成されたTiff(Tag Image File Format)ファイルを読み込む。Tiffファイルは、例えば書類の用紙ごとのイメージを含む。Tiffファイルは、1つの書類に対して1つ生成されてもよいし、1つの書類の用紙ごとに生成されてもよい。メイン処理部130は、サインチェック処理の対象とする次の用紙のイメージを選択し、サインチェック処理部140に入力する。このとき、メイン処理部130は、スキャナ200にセットされた用紙の順序で、サインチェック処理の対象とする次の用紙のイメージの選択を行う。
【0061】
(S12)サインチェック処理部140は、サインチェック処理を行う。サインチェック処理部140は、サインチェック処理により、書類におけるサイン用紙へのサインの記入有無を判定し、その判定結果を記憶部120に格納する。サインチェック処理の詳細は後述される。
【0062】
(S13)メイン処理部130は、次ページがあるか否かを判定する。次ページがある場合、ステップS11に処理が進む。次ページがない場合、ステップS14に処理が進む。
【0063】
(S14)メイン処理部130は、サインチェック処理部140により記録されたサインチェック処理の結果を、ディスプレイ111に出力する。サインチェック処理の結果には、サイン必須のサインエリアに対するサイン有無の判定結果が含まれる。サインチェック処理により、サイン必須のサインエリアに対するサイン漏れがあると判定された場合、メイン処理部130は、ディスプレイ111にサインチェックエラーを表示させる。なお、サインチェック処理の結果の出力方法の詳細は後述される。そして、メイン処理が終了する。
【0064】
図9は、サインチェック処理の例を示すフローチャートである。
サインチェック処理は、ステップS12に相当する。
(S20)サインチェック処理部140は、サインチェック処理対象の用紙のイメージデータを読み込む。例えば、サインチェック処理部140は、スキャン対象の書類に対して、サインチェック処理対象の用紙のイメージデータを読み込んだ回数をカウントすることで、今回が何ページ目であるかを特定し得る。
【0065】
(S21)サインチェック処理部140は、書式マスタ121を読み込む。具体的には、サインチェック処理部140は、1ページ目の用紙(先頭用紙)のイメージを処理する際に、当該先頭用紙のイメージに含まれる2次元コードやバーコードを基に、書類IDを読み取り、当該書類IDに対応する書式マスタ121のレコードを取得する。書式マスタ121から取得されるレコードは、該当の書類におけるサイン用紙のページ番号、サイン用紙におけるサインエリアの位置を示すサインエリア座標および当該サインエリアの重要度の情報を含む。サインチェック処理部140は、先頭用紙の処理時に当該レコードを取得した後、2ページ目以降の用紙のイメージを処理する際には、ステップS21をスキップしてもよい。
【0066】
(S22)サインチェック処理部140は、書式マスタ121から取得した、サイン用紙のページ番号の情報に基づいて、今回のページがサインエリアを含むページであるか否か、すなわち、サイン用紙であるか否かを判定する。今回のページがサインエリアを含むページである場合、ステップS23に処理が進む。今回のページがサインエリアを含むページでない場合、当該ページに対するサインチェック処理が終了する。
【0067】
(S23)サインチェック処理部140は、今回のページの全サインエリアを処理済であるか否か、すなわち、当該全サインエリアに対するステップS24~S29の処理を実行済であるか否かを判定する。今回のページの全サインエリアを処理済の場合、ステップS30に処理が進む。未処理のサインエリアがある場合、ステップS24に処理が進む。
【0068】
(S24)サインチェック処理部140は、書式マスタ121から取得した、サインエリア座標の情報に基づいて、ステップS20で読み込んだ用紙のイメージからサインエリアの画像、すなわち、サインエリア画像を抽出し、サインエリア画像のノイズ除去を行う。
【0069】
(S25)サインチェック処理部140は、サインエリア画像の各画素の輝度値に基づいて、サインエリア画像の二値化を行う。二値化により、サインエリア画像に含まれるサイン部分が黒色の画素で表され、それ以外の部分が白色の画素で表される。
【0070】
(S26)サインチェック処理部140は、二値化後のサインエリア画像にサインエリアを囲う外周線が含まれる場合、外周除去を行う。外周線が含まれない場合、ステップS26はスキップされて、ステップS27に処理が進む。
【0071】
(S27)サインチェック処理部140は、外周除去後のサインエリア画像に下線が含まれる場合、下線除去を行う。下線が含まれない場合、ステップS27はスキップされて、ステップS28に処理が進む。
【0072】
(S28)サインチェック処理部140は、下線除去後のサインエリア画像における黒点割合の算出を行う。黒点割合は、サインエリア画像に含まれる全画素数に対する黒色の画素数の割合である。
【0073】
(S29)サインチェック処理部140は、黒点割合を基に、サインエリア画像のサイン有無を判定する。例えば、サインチェック処理部140は、黒点割合を所定の閾値と比較し、黒点割合が閾値よりも大きい場合にサインありと判定し、黒点割合が閾値以下の場合にサインなしと判定する。サインチェック処理部140は、該当の用紙のイメージに対応付けて、サイン有無の判定結果を記憶部120に格納する。そして、ステップS23に処理が進む。
【0074】
(S30)サインチェック処理部140は、書式マスタ121から取得した、各サインエリアの重要度の情報および今回のページに対するサイン有無の判定結果に基づいて、今回のページにおける必須サインが全て記入されているか否かを判定する。ここで、必須サインは、重要度「必須」であるサインエリアに記入されるべきサインを示す。必須サインが全て記入されている場合、ステップS31に処理が進む。未記入の必須サインがある場合、ステップS32に処理が進む。
【0075】
(S31)サインチェック処理部140は、今回のページに対応する用紙のイメージに対して、サインチェックOKを示す情報を記憶部120に記録する。
(S32)サインチェック処理部140は、今回のページに対応する用紙のイメージに対して、サインチェックエラーを示す情報を記憶部120に記録する。そして、サインチェック処理が終了する。
【0076】
ここで、サインの有無はサイン用紙のサイン箇所内の黒色画素の存在率で判定される。このため、スキャンする書類の紙の順番が書式マスタ121で定義されるテンプレートとずれている場合、サインの有無の検出を誤る可能性がある。
【0077】
そこで、書類に含まれるサイン用紙には、サイン用紙であることを示す所定のマークが予め印字されていてもよい。すると、サインチェック処理部140は、ステップS22において、記憶部120から取得したサイン用紙の順番に対応する用紙の画像に、当該マークが含まれるか否かを判定することで、当該用紙がサイン用紙であるか否かを確認することができる。サインチェック処理部140は、当該用紙の画像に当該マークが含まれない場合、サイン用紙を検出できないことを示すエラーを出力し、作業者による用紙の順序の見直しを促してもよい。サインチェック処理部140は、当該用紙の画像に当該マークが含まれる場合、当該用紙の画像をサイン用紙の画像として、ステップS23以降のサインチェック処理を継続する。サイン用紙に印字されるマークは、前述の2次元コードやバーコードなどのコードでもよいし、サイン用紙の予め定められた位置に付与される所定の図形や文字や記号などでもよい。
【0078】
次に、サインエリア画像の加工例を説明する。
図10は、サインエリア画像における輝度値の分布の例を示す図である。
ステップS25では、サインチェック処理部140は、サインエリア画像の各画素について、その輝度値を使用してグレー値に変換し、k-means++法を使用して二値化を行う。グラフ80は、サインエリア画像における輝度値の分布を示す。
【0079】
k-means++法では、白色画素のクラスと黒色画素のクラスの輝度値の代表値が得られる。例えば、黒色画素のクラスの輝度値の代表値が150以上の場合、サインチェック処理部140は、二値化閾値を150とする。黒色画素のクラスの代表値が150未満の場合、サインチェック処理部140は、各クラスの代表値の平均を二値化閾値とする。サインチェック処理部140は、決定した二値化閾値を用いて、サインエリア画像の各画素を二値化する。
【0080】
図11は、サインエリア画像の加工例を示す図である。
図11(A)は、ステップS25による二値化後のサインエリア画像71aを例示する。
図11(B)は、ステップS26の外周除去を例示する。例えば、サインチェック処理部140は、二値化後のサインエリア画像から外周の所定幅(例えば0.5mm)の線を削除することで、外周除去後のサインエリア画像71bを作成する。
【0081】
図11(C)は、ステップS27の下線除去を例示する。例えば、サインチェック処理部140は、外周除去後のサインエリア画像71bに含まれる所定の下線を削除することで、下線除去後のサインエリア画像71cを作成する。
【0082】
図11(D)は、ステップS28の黒点割合の算出対象となる領域71d,71eを例示する。サインチェック処理部140は、外周除去および下線除去の加工後の領域71d,71eに基づいて黒点割合を算出することで、用紙に予め印字されている余計な線によるサイン有無判定への影響を抑え、サイン有無判定を適切に行える。
【0083】
次に、端末装置100に表示される画面の例を説明する。
図12は、端末装置に表示される画面の例を示す図である。
書類400は、先頭用紙410および2ページ目のサイン用紙420を含む。先頭用紙410には、2次元コード411が印字されている。サイン用紙420は、サインエリア421,422を有する。
【0084】
作業者は、先頭用紙410およびサイン用紙420が順番にスキャンされるようにスキャナ200にセットする。端末装置100は、作業者によるスキャン開始の入力を受け付けると、スキャナ200を用いて、先頭用紙410およびサイン用紙420のイメージを取得し、以下のようにサインチェック処理を実行する。
【0085】
まず、端末装置100は、先頭用紙410のイメージに含まれる2次元コード411から書類IDを読み取る。端末装置100は、書類IDに対応するサイン用紙420のページ番号、サインエリア421,422の座標情報および重要度を書式マスタ121から取得する。この場合、サイン用紙420のページ番号は「2」である。
図12の例では、サインエリア421,422の重要度は両方とも「必須」であるとする。
【0086】
次に、端末装置100は、当該ページ番号に対応するサイン用紙420のイメージに対して、サインエリアの座標情報を基に、サイン用紙420のイメージからサインエリア421,422それぞれの画像を抽出し、サイン有無の判定を行う。
図12の例では、端末装置100は、サイン有無の判定の結果、サインエリア421,422それぞれに対して、サインが記入されていると判定する。
【0087】
そして、端末装置100は、取込イメージ一覧画面150をディスプレイ111に表示させる。取込イメージ一覧画面150は、書類の各用紙のイメージの取込結果と、サイン用紙に対するサインチェック処理の結果とを表示する画面である。
【0088】
例えば、取込イメージ一覧画面150は、先頭用紙410のイメージ410aと、サイン用紙420のイメージ420aと、ページ番号(「0001」、「0002」)と、サイン用紙420のイメージ420aに対するサインチェック処理の結果とを含む。イメージ420aは、サインエリア421,422それぞれに対応するサインエリア画像421a,422aを含む。サインチェック処理の結果としては、例えば「必須:2 任意:0」のように、重要度「必須」のサインの記入数と重要度「任意」のサインの記入数が、イメージ420aに関連付けて表示される。例えば、当該サインチェック処理の結果は、イメージ420aに隣接して表示される。また、重要度「必須」のサインに記入漏れがあると判定された場合には、後述されるように、サインチェック処理の結果として、サインチェックエラーを示すメッセージが表示される。
【0089】
なお、取込イメージ一覧画面150では、先頭用紙410のイメージ410aには、2次元コードなどのコードを適切に読み取ったことを示す丸印が重畳して表示される。
更に、取込イメージ一覧画面150は、取込書類一覧画面起動ボタン151を有する。取込書類一覧画面起動ボタン151は、取込書類一覧画面160を起動するためのボタンである。端末装置100は、取込書類一覧画面起動ボタン151が作業者により押下操作されると、取込書類一覧画面160をディスプレイ111に表示させる。取込書類一覧画面160は、管理サーバ300に登録する書類のデータの選択、および、管理サーバ300への当該データの登録実行を受け付ける画面である。
【0090】
図12の例では、取込書類一覧画面160は、書類400のイメージの取込結果161を含む。取込結果161は、登録対象としての書類400の選択を受け付けるチェックボックス、書類400の各用紙をイメージ化したファイル(書類データ)のファイル名、書類400に対するサイン有無、必須サイン数および任意サイン数などの情報を含む。必須サイン数としては、例えば書類400について「(記入済の必須サイン数)/(重要度「必須」のサインエリアの数)」=「2/2」が表示される。また、任意サイン数としては、例えば書類400について「(記入済の任意サイン数)/(重要度「任意」のサインエリアの数)」=「0/0」が表示される。
【0091】
更に、取込書類一覧画面160は、登録ボタン162を有する。登録ボタン162は、取込結果161においてチェックボックスなどにより選択された書類400を、管理サーバ300に登録するためのボタンである。端末装置100は、登録ボタン162が作業者により押下操作されると、取込結果161で選択された、書類400に対応するファイル名(例えば、「file1.pdf」)のファイルを、管理サーバ300に登録する。
【0092】
図13は、取込イメージ一覧画面の例を示す図である。
図13(A)は、サインチェックOKである場合の取込イメージ一覧画面150aを例示する。サインチェックOKである場合、端末装置100は、サインチェックOKと判定されたサイン用紙のイメージに対して、当該サイン用紙への記入済の必須サイン数および記入済の任意サイン数を示すメッセージ152を表示する。
【0093】
図13(B)は、サインチェックエラーである場合の取込イメージ一覧画面150bを例示する。サインチェックエラーである場合、端末装置100は、サインチェックエラーと判定されたサイン用紙のイメージに対して、サインチェックエラーであることを示すメッセージ153を表示する。例えば、メッセージ153は、「サイン確認NG」というメッセージである。また、端末装置100は、当該書類において、サインチェックエラーとなっている用紙があることを示すメッセージ154を表示する。例えば、メッセージ154は、「サインチェックでエラーとなっている文書があります。」というメッセージである。このように、端末装置100は、サイン用紙ごとのエラーメッセージに加えて、書類単位でのエラーメッセージを表示することで、作業者がエラーメッセージを容易に確認できるように支援する。
【0094】
ところで、作業者がスキャナ200に対してセットする用紙の順序を誤り、書類におけるサイン用紙の先頭用紙からの順番が、書式マスタ121に登録されている当該書類のサイン用紙のページ番号と異なることがある。このような場合に備えて、前述のように、サイン用紙に予め所定のマークを印字しておいてもよい。サインチェック処理部140は、記憶部120から取得したサイン用紙の順番に対応する用紙の画像に、当該マークが含まれるか否かを判定することで、当該用紙がサイン用紙であるか否かを判定し得る。例えば、サインチェック処理部140は、当該用紙の画像に当該マークが含まれない場合、サイン用紙を検出できないことを示すエラーを出力してもよい。
【0095】
他の例として、端末装置100は、例えば、サイン用紙であるべき用紙のイメージからサインエリアを検出できない場合に、当該マークを有する他のイメージをサイン用紙として特定してサインエリアの検出を行い、サイン有無の判定を行ってもよい。なお、この場合、端末装置100は、サインエリア座標で示される領域における、サインエリアに記載される所定の外周線や下線などの画像の有無により、該当の用紙のイメージに対するサインエリアを検出し得る。
【0096】
更に、端末装置100は、サインチェック処理において、特定の条件が満たされた場合に、重要度「任意」のサインエリアを、重要度「必須」として扱う制御も可能である。そこで、次に、端末装置100による当該制御の例を説明する。
【0097】
図14は、サインチェックの制御例を示す図である。
書類500は、先頭用紙510およびサイン用紙520を含む。サイン用紙520は、サインエリア521,522を有する。サインエリア521は、書式マスタ121において、署名者「患者」、重要度「必須」として定義されているサインエリアである。サインエリア522は、書式マスタ121において、署名者「家族」、重要度「任意」として定義されているサインエリアである。このため、サインエリア521とサインエリア522とは、署名者がそれぞれ「患者」と、その「家族」(保護者)であるという署名者の関係によって関連付けられる。
【0098】
端末装置100は、スキャナ200を用いて、先頭用紙510およびサイン用紙520のイメージを取得する。そして、端末装置100のサインチェック処理部140は、サインチェック処理の際に、書類500に対応する患者の年齢aを取得する。患者の年齢aは、例えば先頭用紙510などから読み取られた患者の識別情報を基に、管理サーバ300が有する患者のDB(DataBase)から取得されてもよい。あるいは、患者の年齢aは、サイン用紙520などに患者の年齢記入欄を予め設けておき、当該年齢記入欄に記載された数字を読み取ることで取得されてもよい。
【0099】
サインチェック処理部140は、患者の年齢aを閾値Yと比較する。
サインチェック処理部140は、a≧Yと判定した場合、サインエリア521に関連するサインエリア522を、書式マスタ121で定められている重要度「任意」として扱ってサインチェック処理を実行する。
【0100】
一方、サインチェック処理部140は、a<Yと判定した場合、書式マスタ121で定められている重要度「任意」ではなく、重要度「必須」としてサインエリア522を扱ってサインチェック処理を実行する。
【0101】
例えば、a<Y、かつ、サインエリア522にサインが未記入であるとする。この場合、サインチェック処理部140は、サインエリア522に必須サインが記入されていないため、サイン用紙520に対するサインチェック結果としてサインチェックエラーを記録する。
【0102】
この場合、例えば当該サインチェックエラーを示すメッセージ155,156,157が、取込イメージ一覧画面150cに表示される。メッセージ155は、サイン用紙520のイメージに対して、「サイン確認NG」であることを示すメッセージである。メッセージ156は、書類500においてサインチェックエラーの用紙があることを示すメッセージである。メッセージ157は、サインエリア522について、書式マスタ121における重要度「任意」ではなく、重要度「必須」として扱われた理由を示すメッセージである。メッセージ157は、例えば「患者がY歳未満の場合、家族のサインが必須です。」というメッセージである。
【0103】
このように、端末装置100は、署名者の属性に応じて、サインエリアに対するサインチェック処理を制御することが可能である。このため、端末装置100は、病院などの業務における同意書などの運用に柔軟に対応でき、ユーザの業務の円滑化に貢献できる。
【0104】
以上説明したように、端末装置100によれば、複数の用紙を含む書類に対するサインの記入有無を効率的に判別できる。また、ユーザは、端末装置100により出力されるエラーの有無を確認することで、該当の書類に対して記入されるべきサインが適切に記入されているか否かを容易に判断可能になる。すなわち、端末装置100は、書類に対する必須のサインの記入有無のユーザによる確認を効率的に行えるように支援することができる。
【0105】
例えば、ユーザは、書類に対して必須のサインが記入されていないことを確認すると、書類に対する当該サインの記入を署名者に依頼し、サイン記入後の書類を、端末装置100を用いて再度電子化して、管理サーバ300に登録できる。
【0106】
以上説明したように、端末装置100は例えば次の処理を実行する。
記憶部120は、複数のコード情報それぞれに対応付けて、当該コード情報に対応する書類のうちのサインが記入されるサイン用紙が先頭の用紙から何枚目かを示す順番と、当該サイン用紙におけるサイン箇所の座標情報と、サイン箇所に対するサインが必須か任意かを表す制御情報とを記憶する。書式マスタ121は、記憶部120に記憶される、これらの情報を例示する。プロセッサ101は、複数の用紙を含む第1の書類のスキャン指示を受け付けると、スキャナ200を用いて、第1の書類の1枚目の用紙に表記されている第1のコード情報を読み取る。プロセッサ101は、記憶部120から、第1のコード情報に対応するサイン用紙の順番とサイン箇所の座標情報と制御情報とを取得する。プロセッサ101は、第1の書類に含まれる複数の用紙それぞれに対するスキャンを順に実行し、サイン用紙の順番に達すると、当該座標情報および当該制御情報に基づいてサインが必須である第1のサイン箇所をサイン用紙の画像から特定する。プロセッサ101は、第1のサイン箇所にサインがあるか否かを判定し、第1のサイン箇所にサインがないと判定するとエラーを出力する。
【0107】
これにより、端末装置100は、書類に対するサインの記入有無を効率的に判別できる。ここで、プロセッサ101は、例えばスキャナ200を用いて取得された第1の書類の画像に含まれる2次元コードやバーコードなどのコードの画像から第1のコード情報を読み取ってもよい。また、第1の書類に含まれる複数の用紙それぞれに対するスキャンを順に実行する処理は、スキャナ200から、書類に含まれる複数の用紙の画像を順に取得することでもよい。例えば、プロセッサ101は、第1のコード情報の読み取りを、第1の書類に含まれる1枚目の用紙の画像を取得した後に、当該1枚目の用紙の画像に基づいて行ってもよい。
【0108】
プロセッサ101は、エラーの出力では、必須のサインが記入されていないサイン用紙の画像に関連付けて第1のエラーメッセージを出力する。それとともに、プロセッサ101は、第1の書類において必須のサインが記入されていないサイン用紙があることを示す第2のエラーメッセージを出力する。
【0109】
これにより、端末装置100は、作業者によりエラーが発見され易くすることができ、必須のサインの記入漏れを作業者が円滑に確認できるように支援できる。例えば、必須のサインが記入されていないサイン用紙の画像に関連付けて第1のエラーメッセージを出力する方法としては、当該サイン用紙の画像とともに、当該画像に隣接して、第1のエラーメッセージを画面に表示する方法が考えられる。メッセージ153は、第1のエラーメッセージの一例である。メッセージ154は、第2のエラーメッセージの一例である。
【0110】
また、書類に含まれるサイン用紙には、サイン用紙であることを示す所定のマークが予め印字されていてもよい。その場合、プロセッサ101は、記憶部120から取得したサイン用紙の順番に対応する用紙の画像に、当該マークが含まれるか否かを判定してもよい。プロセッサ101は、当該用紙の画像に当該マークが含まれない場合、サイン用紙を検出できないことを示すエラーを出力してもよい。
【0111】
これにより、端末装置100は、例えばスキャナ200に対する用紙のセット順序の見直しを作業者に促すことができ、サイン有無の判別を適切に行える。また、書類の各用紙が適正な順序で電子化されるように支援できる。サイン用紙に印字されるマークは、前述の2次元コードやバーコードなどのコードでもよいし、サイン用紙の予め定められた位置に付与される所定の図形や文字や記号などでもよい。
【0112】
また、プロセッサ101は、記憶部120から取得した座標情報および制御情報に基づいて、第1のサイン箇所に関連付けられる第2のサイン箇所であって、サインが任意である第2のサイン箇所を、サイン用紙の画像または第1の書類に含まれる他のサイン用紙の画像から特定してもよい。プロセッサ101は、第1のサイン箇所にサインを記入する署名者の属性情報に基づいて、第2のサイン箇所をサインが必須であるサイン箇所として扱うか否かを判定してもよい。
【0113】
これにより、端末装置100は、ユーザの業務におけるサイン用紙の運用に柔軟に対応でき、ユーザの業務の円滑化に貢献できる。例えば、
図14のサインエリア521またはサインエリア521の画像は第1のサイン箇所の一例である。また、サインエリア522またはサインエリア522の画像は第2のサイン箇所の一例である。書式マスタ121において、サインエリア521の署名者「患者」、サインエリア522の署名者「家族」の情報が登録されており、当該情報によって、サインエリア521,522が互いに関連付けられる。
【0114】
署名者の属性情報は、例えば署名者の年齢とすることができる。例えば、同意書や契約書に対するサインの確認では、署名者が未成年である場合などに、保護者のサインも一緒に記入してもらうことがある。このような場合に、端末装置100は、書類における各サイン箇所に対する必須のサインの記入有無を効率的に判別できる。
【0115】
なお、第2の実施の形態の例では、病院で扱われる書類を主に例示したが、端末装置100のサインチェックの機能は、病院以外の組織で扱われる書類に対しても適用することができる。
【0116】
また、第1の実施の形態の情報処理は、処理部12にプログラムを実行させることで実現できる。また、第2の実施の形態の情報処理は、プロセッサ101にプログラムを実行させることで実現できる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体113に記録できる。
【0117】
例えば、プログラムを記録した記録媒体113を配布することで、プログラムを流通させることができる。また、プログラムを他のコンピュータに格納しておき、ネットワーク経由でプログラムを配布してもよい。コンピュータは、例えば、記録媒体113に記録されたプログラムまたは他のコンピュータから受信したプログラムを、RAM102やHDD103などの記憶装置に格納し(インストールし)、当該記憶装置からプログラムを読み込んで実行してもよい。
【符号の説明】
【0118】
10 情報処理装置
11 記憶部
11a 書式情報
12 処理部
20 スキャナ
30 書類
31 コード
41 画像
41a,41b サイン箇所